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特開2023-113590電極、それを含むリチウム電池及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113590
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】電極、それを含むリチウム電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20230808BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230808BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20230808BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20230808BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014553
(22)【出願日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0014384
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 珍憲
(72)【発明者】
【氏名】權 一京
(72)【発明者】
【氏名】南 鉉
(72)【発明者】
【氏名】李 東根
(72)【発明者】
【氏名】片 雅▲ラン▼
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017CC01
5H017DD05
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H050AA07
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB12
5H050DA10
5H050EA08
5H050FA02
5H050FA08
5H050FA10
5H050GA03
5H050GA04
5H050GA10
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
(57)【要約】
【課題】電極、それを含むリチウム電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)を含む電極活物質層;電極活物質層の一面上に、または両面間に配置される電極集電体;及び電極活物質層と電極集電体との間に配置される中間層(interlayer)を含み、電極活物質層が自立膜(free-standing film)であり、電極活物質層が中間層まで延びた貫通孔を含む、電極、それを含むリチウム電池及び電極製造方法が提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)を含む電極活物質層と、
前記電極活物質層の一面上に、または両面間に配置される電極集電体と、
前記電極活物質層と前記電極集電体との間に配置される中間層(interlayer)と、を含み、
前記電極活物質層が自立膜(free-standing film)であり、
前記電極活物質層が前記中間層まで延びた貫通孔を含む、電極。
【請求項2】
前記電極集電体が貫通孔の底部を構成し、前記電極集電体が前記貫通孔の一端を遮断する、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記電極集電体で前記貫通孔から延びるバリ(burr)または陥没部が不在(free)である、請求項1に記載の電極。
【請求項4】
前記中間層が前記貫通孔と前記電極集電体との間に配置され、前記中間層が前記貫通孔と前記電極集電体とを分離する、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記中間層または電極集電体と接触する貫通孔の一端の直径が、前記電極活物質層の表面に露出された前記貫通孔の他端の直径よりさらに大径である、請求項1に記載の電極。
【請求項6】
前記中間層がバインダを含み、前記バインダが伝導性バインダ及び非伝導性バインダのうち、選択された1つ以上を含み、前記バインダがフッ素系バインダを含む、請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記中間層が炭素系導電材をさらに含む、請求項6に記載の電極。
【請求項8】
前記電極活物質層の一面が、前記複数の貫通孔が配置される第1開口部を含み、前記第1開口部の表面積が前記電極活物質層の一面の全体面積の99%以下であり、
前記複数の貫通孔の平均直径d1の前記電極活物質層の厚さT1に対する割合d1/T1が0.001~0.1である、請求項1に記載の電極。
【請求項9】
前記バインダが乾燥バインダであり、前記乾燥バインダが繊維化(fibrilized)バインダを含み、前記乾燥バインダがフッ素系バインダを含む、請求項1に記載の電極。
【請求項10】
前記電極活物質層が導電材をさらに含み、前記導電材が乾燥導電材であり、前記乾燥導電材が炭素系導電材を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項11】
前記電極集電体が、前記電極活物質層の一面上の一部に、または両面間の一部に配置され、
前記電極活物質層及び前記電極活物質層の一面上に、または両面間に配置された電極集電体を含む第1領域(domain)と、
前記電極活物質層を含み、前記電極活物質層の一面上に、または両面間に電極集電体が不在(free)である第2領域と、を含み、
前記第1領域及び前記第2領域が複数の貫通孔を含み、
前記電極活物質層が第1表面及び前記第1表面に対向する(opposing)第2表面を含み、
前記第1表面と前記第2表面との長手方向末端に連結される第1側面及び前記第1側面に対向する第2側面を含み、
前記第1表面と前記第2表面の幅方向末端に連結される第3側面及び前記第3側面に対向する第4側面を含み、
前記第1領域が前記第1表面、第2表面、第3側面、及び第4側面によって定義され、前記第1表面と第2表面との間に配置される前記電極集電体を含む領域であり、
前記第2領域が前記第1表面、第2表面、第3側面及び第4側面によって定義され、前記第1表面と第2表面との間に前記電極集電体不在(free)の領域である、請求項1に記載の電極。
【請求項12】
前記電極活物質層が、前記電極活物質層の長手方向第1距離及び幅方向第1距離によって定義される第1面積を有し、
前記電極集電体が、前記電極集電体の長手方向第2距離及び幅方向第2距離によって定義される第2面積を有し、
前記電極集電体の第2面積が前記電極活物質層の第1面積の100%以下である、請求項11に記載の電極。
【請求項13】
前記電極集電体の長手方向第2距離が前記電極活物質層の長手方向第1距離の100%以下であるか、
前記電極集電体の幅方向第2距離が前記電極活物質層の幅方向第1距離の100%以下であるか、
前記電極集電体の長手方向第2距離が前記電極活物質層の長手方向第1距離の100%以下であり、前記電極集電体の幅方向第2距離が前記電極活物質層の幅方向第1距離の100%以下である、請求項11に記載の電極。
【請求項14】
前記電極集電体が、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの片面または両面に配置された金属層とを含み、
前記ベースフィルムは、ポリマーを含み、前記ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、またはそれらの組み合わせを含み、
前記金属層は、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、またはそれらの合金を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項15】
正極と、
負極と、
前記正極と負極との間に配置される電解質と、を含み、
前記正極及び負極のうち、1つ以上が、請求項1~14のうち、いずれか1項に記載の電極である、リチウム電池。
【請求項16】
電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を準備する段階と、
前記乾燥混合物を圧延または押出して自立膜を準備する段階と、
前記自立膜に複数の貫通孔(through-hole)を導入する段階と、
電極集電体を提供し、前記電極集電体の一面または両面上に中間層を配置する段階と、
前記電極集電体の一面または両面上に前記自立膜を提供して電極活物質層を配置する段階と、を含む、電極製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極、それを採用したリチウム電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の小型化、高性能化に符合するために、リチウム電池の小型化、軽量化以外に高エネルギー密度化が重要になっている。すなわち、高容量のリチウム電池が重要になっている。
【0003】
また、各種ウェアラブル(wearable)機器の登場によって柔軟性が向上したリチウム電池が重要になっている。
【0004】
前記用途に符合するリチウム電池を具現するために、高いローディングを有し、柔軟性を有する電極が検討されている。
【0005】
高いローディングを有する電極において、電極内の構成成分の分布が不均一になり、電極表面近くでの密度が増加する。したがって、そのような電極を採用したリチウム電池の性能が低下する。
【0006】
リチウム電池の性能低下を防止することができる電極が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、電極活物質層が貫通孔を含むことにより、電池の性能低下を防止する新たな電極を提供することである。
【0008】
また、電極内の構成成分の均一な分布を有することにより、電池の性能低下を防止する新たな電極を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記電極を含むリチウム電池を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、前記電極の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面によって、電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)を含む電極活物質層と、前記電極活物質層の一面上に、または両面間に配置される電極集電体と、前記電極活物質層と前記電極集電体との間に配置される中間層(interlayer)と、を含み、前記電極活物質層が自立膜(free-standing film)であり、
前記電極活物質層が前記中間層まで延びた貫通孔を含む、電極が提供される。
【0012】
他の一側面によって、正極;負極;及び前記正極と負極との間に配置される電解質;を含み、前記正極及び負極のうち、1つ以上が、前記による電極である、リチウム電池が提供される。
【0013】
さらに他の一側面によって、電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を準備する段階と、前記乾燥混合物を圧延または押出して自立膜を準備する段階と、前記自立膜に複数の貫通孔(through-hole)を導入する段階と、電極集電体を提供し、前記電極集電体の一面または両面上に中間層を配置する段階と、前記電極集電体の一面または両面上に前記自立膜を提供して電極活物質層を配置する段階と、を含む、電極製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
一側面によれば、電極活物質層が貫通孔を含むことにより、そのような電極を採用したリチウム電池のサイクル特性が向上する。
【0015】
また、電極内で均一な構成成分の分布を有することにより、そのような電極を採用したリチウム電池の高率特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】例示的な一具現例による電極の側面図である。
図1B】例示的な一具現例による電極の側面図である。
図2A】従来の電極の側面図である。
図2B】従来の電極の側面図である。
図3A】例示的な一具現例による電極の側面図である。
図3B】例示的な一具現例による電極の側面図である。
図4】例示的な一具現例による電極の概略図である。
図5】例示的な一具現例による電極の概略図である。
図6A】例示的な一具現例による電極の側面図である。
図6B】例示的な一具現例による電極の側面図である。
図7】例示的な一具現例による電極の概略図である。
図8】例示的な一具現例による電極の概略図である。
図9A】例示的な一具現例による電極の平面図である。
図9B】例示的な一具現例による電極の平面図である。
図9C】例示的な一具現例による電極の平面図である。
図9D】例示的な一具現例による電極の平面図である。
図9E】例示的な一具現例による電極の平面図である。
図9F】例示的な一具現例による電極の平面図である。
図10】例示的な一具現例による電極組立体の側面図である。
図11】例示的な一具現例による電極組立体の側面図である。
図12】例示的な一具現例による電極組立体の正面図である。
図13】一具現例によるリチウム電池の概略図である。
図14】一具現例によるリチウム電池の概略図である。
図15】一具現例によるリチウム電池の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下で説明される本創意的思想(present inventive concept)は、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳細に説明する。しかし、これは、本創意的思想を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本創意的思想の技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物または代替物を含むと理解されねばならない。
【0018】
以下で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本創意的思想を限定しようとする意図ではない。単数表現は、文脈上、明白に異なる意味ではない限り、複数の表現も含む。以下、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料またはそれらの組合物が存在するということを示すものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料またはそれらの組合物などの存在または付加可能性を予め排除するものではないということを理解せねばならない。以下で使用される「/」は、状況によって「及び」とも解釈され、「または」とも解釈される。
【0019】
図面において複数層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大するか、縮小して示した。明細書全体を通じて類似した部分については、同じ図面符号を付した。明細書全体において層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」または「上方に」あるとするとき、それは、他の部分の直上にある場合だけではなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。明細書全体において第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されうるが、構成要素が用語によって限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0020】
本明細書において「乾燥」は、工程溶媒などの溶媒と意図的に接触しない状態または、溶媒を意図的に含まない状態を意味する。例えば、乾燥導電材は、溶媒と意図的に接触していない導電材または溶媒を意図的に含まない導電材を意味する。例えば、乾燥バインダは、溶媒と意図的に接触していないバインダまたは溶媒を意図的に含まないバインダを意味する。例えば、溶媒と混合されず、常温で液体状態のバインダは、乾燥バインダである。
【0021】
本明細書において電極の長さ、電極の厚さ、貫通孔の直径、貫通孔の深さ、及び貫通孔の面積は、それぞれ平均長さ、平均厚さ、平均直径、平均深さ、及び平均面積を示す。平均値は、例えば、複数の地点で測定された値の算術平均値である。電極の長さ、電極の厚さ、貫通孔の直径、貫通孔の深さ及び貫通孔の面積は、それぞれマイクロメータ、走査電子顕微鏡イメージまたは光学顕微鏡イメージから測定されうる。
【0022】
本明細書において粒子の「粒径」は、粒子が球状である場合、平均直径を示し、粒子が非球状である場合には、平均長軸長を示す。粒子の粒径は、粒子サイズ分析機(particle size analyzer(PSA))を用いて測定することができる。粒子の「粒径」は、例えば、平均粒径である。平均粒径は、例えば、メジアン粒径D50である。メジアン粒径D50は、例えば、レーザ回折法で測定される粒子サイズ分布で小さな粒子サイズを有する粒子側から計算して50%累積体積に該当する粒子サイズである。
【0023】
以下、例示的な具現例による電極、それを含むリチウム電池及びその製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0024】
一具現例による電極は、電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)を含む電極活物質層;前記電極活物質層の一面上に、または両面間に配置される電極集電体;及び前記電極活物質層と前記電極集電体との間に配置される中間層(interlayer);を含み、前記電極活物質層が自立膜(free-standing film)であり、前記電極活物質層が前記中間層まで延びた貫通孔を含む。
【0025】
電極活物質層と電極集電体との間に、例えば、接着力を有する中間層が配置されることにより、電極製造過程において電極活物質層と電極集電体とが強い圧力なしにラミネーションされうる。したがって、電極集電体が均一な表面を有することができる。結果として、リチウム電池の充放電過程で、電極集電体の位置による電極活物質層と電極集電体との電流密度の不均衡による局所的な副反応が防止されうる。一方、従来の電極では、電極活物質層と電極集電体との高い結着力を得るために、電極活物質層と電極集電体とが強い圧力によって圧延される。したがって、電極集電体が不均一な表面を有する。結果として、リチウム電池の充放電過程で、電極集電体の位置による電極活物質層と電極集電体との電流密度の不均衡による局所的な副反応が増加しうる。
【0026】
また、電極活物質層が複数の貫通孔を含むことにより、リチウム電池の高率特性が向上する。例えば、複数の貫通孔に電解液が配置されることにより、電極と電解液との接触面積が増加し、電極活物質層内でリチウムイオンの伝導距離が減少する。例えば、複数の貫通孔は、電極内でイオン伝導チャネル(channel)として作用する。したがって、前記複数の貫通孔によって、電極表面と電極内部での電極反応の不均衡による内部抵抗の増加及び高率特性の低下が効果的に抑制されうる。特に、増加した電極活物質層の厚さを有する電極及び/またはその積層体を備えた高密度電池で、高い電流密度でサイクル特性の低下が効果的に防止されうる。結果として、複数の貫通孔を含む電極を採用したリチウム電池の内部抵抗が減少して高率特性低下を防止することができる。また、電極活物質層が複数の貫通孔を含むことにより、電極の柔軟性が向上する。したがって、柔軟性が向上した電極を含むリチウム電池が、ウェアラブル機器のように形態が変化する用途にさらに好適に使用されうる。
【0027】
また、複数の貫通孔が中間層まで延びることにより、電極活物質層の最表面と電極集電体に隣接した電極活物質層の内部との間の電流密度の不均衡が防止されうる。したがって、電流密度の不均衡による局所的な副反応が防止されることにより、電極活物質層の部分的な劣化及びそれによる電極の劣化を防止することができる。結果として、複数の貫通孔が中間層まで延びた電極を採用することにより、リチウム電池の寿命特性が向上しうる。
【0028】
本開示による電極において、電極集電体が貫通孔の底部を構成し、前記電極集電体が前記貫通孔の一端を遮断することができる。貫通孔の底部が電極集電体によって形成されるので、貫通孔の底部が電極活物質層によって形成される従来の電極と区分される。貫通孔の底部が電極集電体によって構成されることにより、電極集電体に隣接した電極活物質層までイオン伝導が容易に遂行されうる。
【0029】
従来の電極においては電極上にドリリング(drilling)によって貫通孔を形成するので、貫通孔形成過程で貫通孔の末端にバリ(burr)が発生するか、電極集電体の一部が陥没されうる。したがって、貫通孔に隣接した電極活物質層と電極集電体との間に欠陥が形成されることにより、そのような欠陥を通じて不均一な電流密度が発生しうる。したがって、電極の劣化が進められることにより、そのような電極を採用したリチウム電池の寿命特性が低下しうる。
【0030】
一方、本開示による電極が含む電極集電体は、前記貫通孔から延びるか、誘導される欠陥が防止されるので、そのような欠陥を実質的に含まない。例えば、電極集電体は、前記貫通孔から延びるバリ(burr)または陥没部(dent)を含まない。したがって、そのような電極を採用したリチウム電池の寿命特性が向上しうる。本開示による電極は、例えば、電極活物質層に貫通孔を形成した後、電極集電体と貫通孔を含む電極活物質層とをラミネーションして製造する。したがって、上述した従来電極の電極活物質層に貫通孔を導入する過程で発生する電極集電体の欠陥形成を防止しうる。
【0031】
電極活物質層が自立膜(self-standing film)なので、電極活物質層は、例えば、支持体なしに膜(film)状を保持することができる。したがって、電極活物質層は、別途の自立膜で準備された後、電極集電体上に配置されうる。
【0032】
本開示による電極において、中間層が前記貫通孔と前記電極集電体との間に配置され、前記中間層が前記貫通孔と前記電極集電体とを分離することができる。中間層が貫通孔の一端と電極集電体との間に配置されることにより、電解質と電極集電体との直接的な接触を遮断することができる。したがって、電極集電体表面で電解質の分解などの副反応を防止することができる。したがって、そのような電極を含むリチウム電池の充放電特性がさらに向上しうる。
【0033】
本開示による電極において、中間層または電極集電体と接触する貫通孔の一端の直径が前記電極活物質層の表面に露出された前記貫通孔の他端の直径よりさらに大きくもなる。中間層または電極集電体と接触する貫通孔の一端の直径が前記電極活物質層の表面に露出された前記貫通孔の他端の直径よりさらに大きくなることにより、電極活物質層の内部で電解質と電極活物質層とがさらに広い接触面積を有することにより、電極活物質層表面と電極活物質層の内部の電流密度の不均衡が効果的に防止されうる。したがって、そのような電極を採用するリチウム電池の充放電特性がさらに向上しうる。中間層または電極集電体と接触する貫通孔の一端の直径dと前記電極活物質層の表面に露出された前記貫通孔の他端の直径dの割合、すなわちd:dは、1:1超過でもある。例えば、d:dは、1:1.01~2、1:1.01~1.5、または、1:1.01~1.1でもある。中間層または電極集電体と接触する貫通孔の一端の直径dと前記電極活物質層の表面に露出された前記貫通孔の他端の直径dの割合は、電極断面に対する走査電子顕微鏡を通じて測定することができる。
【0034】
電極集電体を構成する材料は、リチウムと反応しない材料、すなわち、リチウムと合金または化合物を形成しない材料として導電性を有するものであれば、いずれも使用可能である。金属基材は、例えば、金属または合金である。金属基材は、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)またはこれらの合金からなる。電極集電体は、例えば、シート、ホイル(foil)、フィルム、板状体(plate)、多孔性体、メソ多孔性体、貫通孔含有体、多角形リング体、メッシュ体、発泡体、及び不織布体のうち、選択される形態を有することができるが、必ずしもそのような形態に限定されず、当該技術分野で使用する形態であれば、いずれも可能である。
【0035】
電極集電体は、従来の電極が含む電極集電体に比べて減少した厚さを有する。したがって、本開示による電極は、例えば、薄膜集電体を含むことにより、厚膜集電体を含む従来の電極と区別される。一具現例による電極が減少した厚さを有する薄膜集電体を採用することにより、薄膜集電体を含む電極で電極活物質層の厚さが相対的に増加する。結果として、そのような電極を採用したリチウム電池のエネルギー密度が増加する。金属基材と中間層とを含む電極集電体の厚さは、例えば、15μm未満、14.5μm以下、または14μm以下でもある。電極集電体の厚さは、例えば、0.1μm~15μm未満、1μm~14.5μm、2μm~14μm、3μm~14μm、5μm~14μm、または10μm~14μmでもある。
【0036】
中間層(interlayer)は、例えば、電極集電体の一面または両面上に直接(directly)配置される。したがって、電極集電体と中間層との間に他の層が配置されない。中間層が電極集電体の一面または両面上に直接配置されることにより、電極集電体と電極活物質層との結着力がさらに向上しうる。
【0037】
中間層の厚さは、例えば、電極集電体厚さの30%以下である。中間層の厚さは、例えば、電極集電体厚さの0.01~30%、0.1~30%、0.5~30%、1~25%、1~20%、1~15%、1~10%、1~5%、または、1~3%である。中間層の厚さは、例えば、10nm~5μm、50nm~5μm、200nm~4μm、500nm~3μm、500nm~2μm、500nm~1.5μm、700nm~1.3μmである。中間層がそのような範囲の厚さを有することにより、電極集電体と電極活物質層との結着力がさらに向上し、界面抵抗の増加が抑制されうる。
【0038】
中間層は、例えば、バインダを含む。中間層がバインダを含むことにより、電極集電体と電極活物質層との結着力がさらに向上しうる。中間層が含むバインダは、例えば、伝導性バインダまたは非伝導性バインダである。
【0039】
伝導性バインダは、例えば、イオン伝導性バインダ、及び/または、電子伝導性バインダである。イオン伝導性及び電子伝導性をいずれも有するバインダは、イオン伝導性バインダにも属し、電子伝導性バインダにも属することができる。
【0040】
イオン伝導性バインダは、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP, polyvinylidene fluoride-hexafluoropropylene)、ポリフッ化ビニル(PVF, Polyvinyl Fluoride)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF, polyvinylidene fluoride)、ポリメチルメタクリレート(PMMA, poly(methylmethacrylate)、ポリエチレンオキシド(PEO, polyethylene oxide)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール(PPY)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアニリン、及びポリアセチレンなどである。イオン伝導性バインダは、極性作用基を含むことができる。極性作用基を含むイオン伝導性バインダは、例えば、ナフィオン(Nafion)、アクイビオン(Aquivion)、フレミオン(Flemion)、ゴア(Gore)、アシプレックス(Aciplex)、モーガンADP(Morgane ADP)、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)(sulfonated poly(ether ether ketone), SPEEK)、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトンケトン)(sulfonated poly(arylene ether ketone ketone sulfone), SPAEKKS)、スルホン化ポリ(アリールエーテルケトン)(sulfonated poly(aryl ether ketone, SPAEK)、ポリ[ビス(ベンズイミダゾベンズイソキノリノン)(poly[bis(benzimidazobenzisoquinolinones)], SPBIBI)、ポリスチレンスルホン酸(Poly(styrene sulfonate), PSS)、リチウム9,10-ジフェニルアントラセン-2-スルホン酸(lithium 9,10-diphenylanthracene-2-sulfonate, DPASLi+)などである。電子伝導性バインダは、例えば、ポリアセチレン(polyacetylene)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリ(p-フェニレン)(poly(p-phenylene))、ポリフェニレンビニレン(poly(phenylenevinylene))、ポリ(フェニレンスルフィド)(poly(phenylenesulfide))、ポリアニリン(polyaniline)などである。中間層は、例えば、伝導性高分子を含む導電層でもある。
【0041】
中間層が含むバインダは、例えば、電極活物質層が含むバインダのうちから選択されうる。中間層が電極活物質層と同じバインダを含む。中間層が含むバインダは、例えば、フッ素系バインダである。中間層が含むフッ素系バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。中間層は、例えば、乾式または湿式で電極集電体上に配置される。中間層は、例えば、バインダを含む結着層でもある。
【0042】
中間層は、例えば、炭素系導電材を追加的に含むことができる。中間層が含む炭素系導電材は、電極活物質層が含む炭素系導電材のうちから選択されうる。中間層が電極活物質層と等しい炭素系導電材を含むことができる。中間層が炭素系導電材を含むことにより、中間層は、例えば、導電層でもある。中間層は、例えば、バインダと炭素系導電材を含む導電層でもある。
【0043】
中間層は、例えば、CVD、PVDなどの蒸着によって乾式で電極集電体上に配置されうる。中間層は、例えば、スピンコーティング、ディップコーティングなどによって湿式で電極集電体上に配置されうる。中間層は、例えば、炭素系導電材を蒸着によって電極集電体上に蒸着することにより、電極集電体上に配置されうる。乾式コーティングされた中間層は、炭素系導電材からなり、バインダを含まない。あるいはまた、中間層は、例えば、炭素系導電材、バインダ及び溶媒を含む組成物を電極集電体表面上にコーティングして乾燥させることにより、電極集電体上に配置されうる。中間層は、単層構造または複数の層を含む多層構造でもある。
【0044】
本開示による電極が含む電極活物質層の一面は、例えば、複数の貫通孔が配置された第1開口部(first opening)を含む。例えば、第1開口部の表面積は、例えば、電極活物質層の一面の全体面積の99%以下、90%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下でもある。第1開口部の表面積が、例えば、電極活物質層の一面の全体面積の0.1%~99%、0.1%~90%、0.1%~50%、0.1%~20%、0.1%~10%、0.2%~15%、0.2%~10%、または、0.2%~5%でもある。貫通孔が占める第1開口部の表面積がそのような範囲の値を有することにより、リチウム電池のサイクル特性がさらに向上しうる。第1開口部の表面積は貫通孔が占める電極活物質層表面の面積である。
【0045】
電極活物質層の一面において複数の貫通孔が配置される第1開口部の表面積(面積A)は、第1開口部の表面積を除いた電極活物質層の残り表面積(面積B)に比べて小さい。例えば、面積Aは、例えば、面積Bの99%以下、90%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下でもある。面積Aは、例えば、面積Bの0.1%~99%、0.1%~90%、0.1%~50%、0.1%~20%、0.5%~10%、0.5%~15%、0.5%~10%、または、0.5%~5%でもある。貫通孔が占める第1開口部の面積がそのような範囲の値を有することにより、リチウム電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0046】
複数の貫通孔の平均直径d1は、例えば、0.1μm~20μm、または、0.1μm~10μmである。複数の貫通孔がそのような範囲の平均直径を有することにより、複数の貫通孔を含む電極を採用したリチウム電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0047】
複数の貫通孔の平均直径d1と電極活物質層の厚さT1との割合d1/T1は、0.001~0.2、または0.001~0.1でもある。複数の貫通孔の平均直径d1と電極活物質層の厚さT1との割合d1/T1がそのような範囲の値を有することにより、複数の貫通孔を含む電極を採用したリチウム電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0048】
電極が含む複数の貫通孔は、例えば、電極活物質層に一定間隔で規則的に(regularly)配置されうる。複数の貫通孔が電極活物質層に規則的に配置されることにより、電極内で規則的な電流密度分布が保持されうる。したがって、不規則的な電流分布による電極活物質層の局所的な劣化を防止し、結果として、リチウム電池のサイクル特性低下を防止することができる。
【0049】
電極が含む複数の貫通孔は、例えば、電極活物質層に一定間隔で周期的に(periodically)配置されうる。複数の貫通孔が電極活物質層に周期的に配置されることにより、電極内で周期的な電流密度分布が保持されうる。したがって、非周期的な電流密度分布による電極活物質層の局所的な劣化を防止し、結果として、リチウム電池のサイクル特性低下を防止することができる。
【0050】
電極が含む複数の貫通孔は、例えば、格子(lattice)構造を有するように2次元または3次元的に配置されうる。電極が含む電極活物質層に複数の貫通孔が格子構造を有するように2次元または3次元的に配置されることにより、そのような電極を含むリチウム電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0051】
電極が含む貫通孔の入口は、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、アルファベット型、またはドーナツ型のうち、選択された1つ以上の形態を有することができるが、必ずしもそのような形態に限定されず、当該技術分野で使用し、貫通孔を形成する形態であれば、いずれも可能である。アルファベット型は、例えば、A型ないしZ型のうち、選択された1つ以上の形態を有する。アルファベット型は、例えば、X型、H型、T型、L型などから選択された1つ以上の形態を有する。貫通孔の入口は、例えば、多面体状を有する。貫通孔の形態は、電極表面に対する走査電子顕微鏡イメージまたは光学顕微鏡イメージから判断されうる。
【0052】
電極が含む貫通孔は、例えば、電極活物質層の一面または両面と60°~120°、70~110°、または80°~100°の角度をなすように電極活物質層を貫いて配置されうる。貫通孔がそのような角度をもって配置されることにより、リチウム電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0053】
電極の断面(cross section)は、例えば、第2領域で電極活物質層と前記貫通孔とが交互に整列された構造(alternately aligned structure)を含む。電極の断面が、電極活物質層と貫通孔とが交互に整列された構造を有することにより、そのような電極を含むリチウム電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0054】
電極活物質層が含むバインダは、例えば、乾燥バインダ(dry binder)である。乾燥バインダは、例えば、溶媒に含浸されるか、溶解されるか、分散されていないバインダである。乾燥バインダは、例えば、溶媒を含むか、溶媒と接触しないバインダである。
【0055】
乾燥バインダは、例えば、繊維化(fibrillized)バインダである。繊維化バインダは、電極活物質層が含む電極活物質及びその他の成分を支持して結着するマトリックスの役割を遂行する。繊維化バインダは、例えば、電極断面に対する走査電子顕微鏡イメージとして繊維状を有していることが確認できる。繊維化バインダは、例えば、10以上、20以上、50以上、または100以上の縦横比(aspect ratio)を有する。
【0056】
乾燥バインダは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサプロピレン(PVDF-HFP)共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはそれらの共重合体などであるが、必ずしもそれらに限定されず、乾式電極の製造に使用されるバインダであれば、いずれも使用可能である。乾燥バインダは、特にフッ素系バインダを含む。フッ素系バインダは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサプロピレン(PVDF-HFP)共重合体、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0057】
電極活物質層が含む乾燥バインダの含量は、電極活物質層の総重量に対して、例えば、1wt%~10wt%、または1wt%~5wt%である。電極活物質層がそのような範囲の乾燥バインダを含むことにより、電極の結着力が向上し、電極の高いエネルギー密度を保持することができる。
【0058】
電極活物質層は、例えば、導電材をさらに含む。導電材は、例えば、乾燥導電材である。乾燥導電材は、例えば、溶媒に含浸されるか、溶解されるか、分散されていない導電材である。乾燥導電材は、例えば、溶媒を含むか、溶媒と接触しない導電材である。乾燥導電材は、例えば、炭素系導電材を含む。炭素系導電材は、カーボンブラック、黒鉛微粒子、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維;カーボンナノチューブ;などであるが、それらに限定されず、当該技術分野で炭素系導電材として使用されるものであれば、いずれも使用可能である。
【0059】
電極活物質層が含む乾燥導電材の含量は、電極活物質層の総重量に対して、例えば、1~10wt%、または1~5wt%である。電極活物質層がそのような範囲の乾燥導電材を含むことにより、電極の導電性が向上し、電極の高いエネルギー密度を保持することができる。
【0060】
電極活物質層は、乾式で製造されるので、意図的に添加される工程溶媒を含まない。例えば、残留工程溶媒(residual processing solvent)を含まない。電極活物質層内に意図せぬ微量の溶媒が残留しうるが、そのような溶媒は、意図的に添加された工程溶媒ではない。したがって、前記電極活物質層は、成分と工程溶媒とを混合した後、乾燥によって工程溶媒の一部または全部を除去して製造された湿式電極活物質層と区別される。
【0061】
電極において、第1領域が含む電極活物質層で、SAICAS(surface and Interfacial Measuring Analysis System)測定時に、前記電極活物質層の全体厚さに対して前記電極活物質層の表面から前記電極集電体方向に5%離隔された第1地点から、前記電極集電体の表面から5%離隔された第2地点までの深さによる垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)の変化率が300%以下でもある。垂直方向相対結着力変化率は、例えば、10~300%、10~250%、10~200%、10~150%、または10~100%である。電極集電体の表面から電極活物質層方向に5%離隔された第2地点は、例えば、電極活物質層の全体厚さに対して前記電極活物質層の表面から電極集電体方向に95%離隔された地点に該当する。垂直方向相対結着力は、下記数式1から計算される。SAICAS測定方法は、例えば、評価例2を参照する。
【0062】
[数式1]
垂直方向相対結着力(FV, Vertical Relative Force)の変化率=[(垂直方向相対結着力の最大値(FVR1)-垂直方向相対結着力の最小値(FVR1))/垂直方向相対結着力の最小値(FVR1)]×100
【0063】
電極において、SAICAS(surface and Interfacial Measuring Analysis System)測定時に、垂直方向相対結着力の変化率が300%以下であることから、電極内で構成成分の分布の均一性が向上しうる。また、電極活物質層内で構成成分の不均一な分布による副反応及び内部抵抗の増加が抑制されるので、電極反応の可塑性が向上しうる。高ローディングを有する電極の場合にも、リチウム電池のサイクル特性が向上しうる。また、電極が中間層を含むことにより、電極活物質層と電極集電体との結着力がさらに向上し、電極の内部抵抗が減少する。したがって、そのような電極を採用したリチウム電池のサイクル特性が向上しうる。
【0064】
電極において、第1領域が含む電極活物質層で、SAICAS測定時に、前記電極活物質層の表面から前記電極集電体表面までの全体深さに対し、前記電極活物質層表面から電極集電体方向に10%離隔された第1地点での第1水平方向結着力(FH1, Horizontal Force)に対する前記電極集電体の表面から電極活物質層方向(例えば、深さ方向)に10%離隔された第2地点での第2水平方向結着力(FH2, Horizontal Force)の水平方向結着力の割合が50%以上でもある。水平方向結着力の割合は、例えば、50~100%、60~100%、70~100%、80~100%、または90~100%である。電極集電体の表面から電極活物質層方向に10%離隔された第2地点は、例えば、電極活物質層の全体厚さに対して前記電極活物質層の表面から電極集電体方向に90%離隔された地点に該当する。水平方向結着力の割合は、例えば、下記数式2に表示される。SAICAS測定方法は、例えば、評価例3を参照する。
【0065】
[数式2]
水平方向結着力の割合=[第2水平方向結着力(FH2)/第1水平方向結着力(FH1)]×100
【0066】
SAICAS測定時に、水平方向結着力の割合が50%以上であることから、電極内で構成成分の分布の均一性がさらに向上する。電極がそのような範囲の水平方向結着力を有することにより、そのような電極を採用したリチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。
【0067】
電極は、例えば、正極である。正極は、正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極活物質を含む。
【0068】
正極活物質層が含む正極活物質は、リチウム金属酸化物として、当業界で通常使用されるものであれば、制限なしにいずれも使用可能である。
【0069】
正極活物質は、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組み合わせで選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうち、1種以上のものを使用し、その具体例としては、 Li1-b(前記式において、0.90≦a≦1、及び0≦b≦0.5である);Li1-b2-c(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiE2-b4-c(前記式において、0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoα(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiNi1-b-cCo2-αα(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cCo2-α(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cMnα(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiNi1-b-cMn2-αα(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cMn2-α(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMn(前記式において、0.90≦a≦1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式において、0.90≦a≦1,0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式において、0.90≦a≦1,0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式において、0.90≦a≦1,0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式において、0.90≦a≦1,0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiIO;LiNiVO;Li(3-f)(PO(0≦f≦2);Li(3-f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうち、いずれか1つで表現される化合物を使用することができる。
【0070】
上述した化合物を表現する化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり;Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはそれらの組み合わせであり;Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり;Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり;Fは、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり;Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり;Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0071】
上述した化合物表面にコーティング層が付け加えられた化合物の使用も可能であり、上述した化合物と、コーティング層が付け加えられた化合物との混合物の使用も可能である。上述した化合物の表面に付加されるコーティング層は、例えば、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含む。このようなコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質である。コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはそれらの混合物である。コーティング層の形成方法は、正極活物質の物性に悪影響を与えない範囲内で選択される。コーティング方法は、例えば、スプレーコーティング法、浸漬法などである。具体的なコーティング方法は、当該分野に従事する者によく理解されうる内容なので、詳細な説明は省略する。
【0072】
正極活物質層が含む正極活物質の含量は、正極活物質層の総重量に対して、例えば、80~98wt%、または90~98wt%である。
【0073】
正極活物質は、例えば、複合正極活物質である。
【0074】
複合正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属酸化物を含むコア(core);及び前記コアの表面に沿って配置されるシェル(shell);を含み、前記シェルが化学式M(0<a≦3、0<b<4、aが1、2、または3であれば、bは、整数ではない)で表される1種以上の第1金属酸化物;及びグラフェンを含み、前記第1金属酸化物がグラフェンマトリックス内に配置され、前記Mは、元素周期律表2族ないし13族、第15族及び16族のうち、選択された1つ以上の金属であり、前記リチウム遷移金属酸化物がニッケルを含み、ニッケル含量が遷移金属全体モル数に対して80mol%以上である。複合正極活物質のコア上に第1金属酸化物及びグラフェンを含むシェルが配置される。
【0075】
従来のグラフェンは、凝集により、コア上に均一なコーティングが困難である。一方、前記複合正極活物質は、グラフェンマトリックスに配置された複数の第1金属酸化物を含む複合体を使用することにより、グラフェンの凝集を防止しつつ、コア上に均一なシェルが配置される。したがって、コアと電解液との接触を効果的に遮断することにより、コアと電解質との接触による副反応を防止する。また、電解液によるニッケルイオンの還元(Ni3+->Ni2+)及び陽イオンミキシング(cation mixing)が抑制されることにより、NiO相(phase)のような抵抗層の生成が抑制される。また、ニッケルイオンの溶出も抑制される。グラフェンを含むシェル(shell)は、柔軟性を有するので、充放電時に複合正極活物質の体積変化を容易に受容することにより、複合正極活物質内部のクラック(crack)発生が抑制される。グラフェンは、高い導電性を有するので、複合正極活物質と電解液との界面抵抗が減少する。したがって、グラフェンを含むシェル(shell)が導入されるにもかかわらず、リチウム電池の内部抵抗が保持されるか、減少する。また、第1金属酸化物が耐電圧性を有するので、高電圧での充放電時にコアが含むリチウム遷移金属酸化物の劣化を防止することができる。結果として、複合正極活物質を含むリチウム電池のサイクル特性及び高温安定性が向上する。シェルは、例えば、1種の第1金属酸化物または2種以上の互いに異なる第1金属酸化物を含む。また、複合正極活物質でリチウム遷移金属酸化物は、全体遷移金属モル数に対して80mol%以上の高いニッケル含量を有しつつも、コア上に第1金属酸化物とグラフェンを含むシェルが配置されることにより、高い放電容量とサイクル特性とを同時に提供する。したがって、80mol%以上の高いニッケル含量を有する複合正極活物質は、ニッケル含量が相対的に低い複合正極活物質に比べて向上した容量を提供しつつも、依然として優秀な寿命特性を提供する。第1金属酸化物の含む金属は、例えば、Al、Nb、Mg、Sc、Ti、Zr、V、W、Mn、Fe、Co、Pd、Cu、Ag、Zn、Sb、及びSeのうち、選択された1つ以上でもある。
【0076】
第1金属酸化物は、例えば、Al(0<z<3),NbO(0<x<2.5),MgO(0<x<1),Sc(0<z<3),TiO(0<y<2),ZrO(0<y<2),V(0<z<3),WO(0<y<2),MnO(0<y<2),Fe(0<z<3),Co(0<w<4),PdO(0<x<1),CuO(0<x<1),AgO(0<x<1),ZnO(0<x<1),Sb(0<z<3),及びSeO(0<y<2)のうちから選択された1つ以上でもある。グラフェンマトリックス内にそのような第1金属酸化物が配置されることにより、コア上に配置されたシェルの均一性が向上し、複合正極活物質の耐電圧性がさらに向上する。例えば、シェルは、第1金属酸化物としてAl(0<x<3)を含む。シェルは、化学式M(0<a≦3、0<c≦4、aが1、2、または3であれば、cは、整数)で表される1種以上の第2金属酸化物をさらに含んでもよい。前記Mは、元素周期律表2族ないし13族、第15族及び16族のうち、選択された1つ以上の金属である。例えば、第2金属酸化物は、前記第1金属酸化物と同じ金属を含み、第2金属酸化物のaとcとの比率であるc/aが前記第1金属酸化物のaとbとの比率であるb/aに比べてさらに大きい値を有する。例えば、c/a>b/aである。第2金属酸化物は、例えば、Al,NbO,NbO,Nb,MgO,Sc,TiO,ZrO,V,WO,MnO,Fe,Co,PdO,CuO,AgO,ZnO,Sb,及びSeOのうちから選択される。 第1金属酸化物は、第2金属酸化物の還元生成物である。第2金属酸化物の一部または全部が還元されることにより、第1金属酸化物が得られる。したがって、第1金属酸化物は、第2金属酸化物に比べて酸素含量が低く、金属の酸化数がさらに高い。例えば、シェルは、第1金属酸化物であるAl(0<x<3)及び第2金属酸化物であるAlを含む。複合正極活物質において、例えば、シェルが含むグラフェンとコアが含むリチウム遷移金属酸化物の遷移金属が化学結合を通じて化学的に結合される(bound)。シェルが含むグラフェンの炭素原子(C)と前記リチウム遷移金属酸化物の遷移金属(Me)は、例えば、酸素原子を媒介としてC-O-Me結合(例えば、C-O-Ni結合)を通じて化学的に結合される(bound)。シェルが含むグラフェンとコアが含むリチウム遷移金属酸化物が化学結合を通じて化学的に結合されることにより、コアとシェルが複合化される。したがって、グラフェンとリチウム遷移金属酸化物の単なる物理的混合物と区別される。また、シェルが含む第1金属酸化物とグラフェンも化学結合を通じて化学的に結合される(bound)。ここで、化学結合は、例えば、共有結合またはイオン結合である。共有結合は、例えば、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アミド基、カルボン酸無水物基及び酸無水物基のうち、少なくとも1つを含む結合である。イオン結合は、例えば、カルボン酸イオン、アンモニウムイオン、アシル陽イオン基などを含む結合である。シェルの厚さは、例えば、1nm~5μm、1nm~1μm、1nm~500nm、1nm~200nm、1nm~100nm、1nm~90nm、1nm~80nm、1nm~70nm、1nm~60nm、1nm~50nm、1nm~40nm、1nm~30nm、1nm~20nm、または1nm~10nmである。シェルがそのような範囲の厚さを有することにより、複合正極活物質が含むリチウム電池の内部抵抗増加が抑制される。
【0077】
複合正極活物質が含む複合体の含量は、複合正極活物質の総重量の3wt%以下、2wt%以下、1wt%以下、0.5wt%以下、0.2wt%以下でもある。複合体の含量は、複合正極活物質の総重量の0.01wt%~3wt%、0.01wt%~1wt%、0.01wt%~0.7wt%、0.01wt%~0.6wt%、0.01wt%~0.5wt%、0.01wt%~0.2wt%、0.01wt%~0.1wt%、または0.03wt%~0.07wt%でもある。複合正極活物質がそのような範囲の複合体を含むことにより、複合正極活物質を含むリチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。複合体が含む第1金属酸化物及び第2金属酸化物のうち、選択された1つ以上の粒径は、1nm~1μm、1nm~500nm、1nm~200nm、1nm~100nm、1nm~70nm、1nm~50nm、1nm~30nm、3nm~30nm、3nm~25nm、5nm~25nm、5nm~20nm、または7nm~20nmでもある。第1金属酸化物及び/または第2金属酸化物がそのようなナノ範囲の粒径を有することにより、複合体のグラフェンマトリックス内にさらに均一に分布されうる。したがって、そのような複合体が凝集なしにコア上に均一にコーティングされてシェルを形成することができる。また、第1金属酸化物及び/または第2金属酸化物がそのような範囲の粒径を有することにより、コア上にさらに均一に配置されうる。したがって、コア上に第1金属酸化物及び/または第2金属酸化物が均一に配置されることにより、耐電圧特性をさらに効果的に発揮することができる。第1金属酸化物及び/または第2金属酸化物の粒径は、例えば、平均粒径である。第1金属酸化物及び第2金属酸化物の平均粒径は、例えば、レーザ回折方式や動的光散乱方式の測定装置を使用して測定する。平均粒径は、例えば、レーザ散乱粒度分布計(例えば、HORIBA LA-920)を用いて測定し、体積換算における素粒子側から50%累積したときのメジアン径(D50)の値である。
【0078】
複合正極活物質が含むコアは、例えば、下記化学式1で表示されるリチウム遷移金属酸化物を含む:
【0079】
[化学式1]
LiNiCo2-b
【0080】
前記化学式1において、1.0≦a≦1.2、0≦b≦0.2、0.8≦x<1、0<y≦0.3、0<z≦0.3、及びx+y+z=1であり、Mは、マンガン(Mn)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びホウ素(B)からなる群から選択された1つ以上で、Aは、F、S、Cl、Brまたはそれらの組み合わせである。
【0081】
複合正極活物質が含むコアは、例えば、下記化学式2ないし4で表示されるリチウム遷移金属酸化物を含む:
【0082】
[化学式2]
LiNiCoMn
【0083】
[化学式3]
LiNiCoAl
【0084】
前記式において、0.8≦x≦0.95、0<y≦0.2、0<z≦0.2及びx+y+z=1である。
【0085】
[化学式4]
LiNiCoAlMn
【0086】
前記式において、0.8≦x≦0.95、0<y≦0.2、0<v≦0.2、0<w≦0.2及びx+y+v+w=1である。
【0087】
複合正極活物質が含むコアは、例えば、下記化学式5で表示されるリチウム遷移金属酸化物を含む:
【0088】
[化学式5]
LiNi2-b
【0089】
前記化学式5において、1.0≦a≦1.2、0≦b≦0.2、0.8≦x<1、0<z≦0.2、及びx+z=1であり、Mは、マンガン(Mn)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びホウ素(B)からなる群から選択された1つ以上であり、Aは、F、S、Cl、Brまたはそれらの組み合わせである。前記化学式5において、例えば、1.0≦a≦1.2、0≦b≦0.2、0.8≦x≦0.95、0.05≦z≦0.2、及びx+z=1である。
【0090】
電極は、例えば、負極である。負極は、負極活物質層を含み、負極活物質層は、負極活物質を含む。
【0091】
負極活物質は、当該技術分野でリチウム電池の負極活物質として使用するものであれば、いずれも使用可能である。例えば、リチウム金属、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素系材料からなる群から選択された1つ以上を含む。リチウムと合金可能な金属は、例えば、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などである。元素Yは、例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせである。遷移金属酸化物は、例えば、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などである。非遷移金属酸化物は、例えば、SnO、SiO(0<x<2)などである。炭素系材料は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはそれらの混合物である。結晶質炭素は、例えば、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛である。非晶質炭素は、例えば、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどである。
【0092】
負極活物質層が含む負極活物質の含量は、負極活物質層の総重量に対して、例えば、80~98wt%、または90~98wt%である。本発明の一実施形態において、電極集電体は、例えば、ベースフィルムと、ベースフィルムの片面または両面に配置された金属層とを含むことができる。ベースフィルムは、例えば、ポリマーを含むことができる。ポリマーは、例えば、熱可塑性ポリマーであり得る。ポリマーは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、またはそれらの組み合わせを含み得る。ベースフィルムに熱可塑性ポリマーを含有させることにより、短絡時にベースフィルムが液化し、急激な電流上昇を抑えることができる。ベースフィルムは、例えば絶縁体であってもよい。金属層は、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、またはそれらの合金を含むことができる。金属層は、電気化学的ヒューズとして機能し、過電流で切断されて短絡防止機能を実行する場合がある。金属層の厚さを調整することにより、金属層の限界電流と最大電流を調整することができる。金属層は、ベースフィルム上にメッキまたは蒸着することができる。金属層の厚さが薄くなると、電極集電体の限界電流および/または最大電流が減少し、短絡時のリチウム電池の安定性が向上する。外部接続のために、金属層にリードタブを追加することができる。リードタブは、超音波溶接、レーザー溶接、スポット溶接などによって金属層または金属層/ベースフィルム積層体に溶接することができる。溶接中にベースフィルムおよび/または金属層を少なくとも部分的に溶融させながら、金属層をリードタブに電気的に接続することができる。金属層とリードタブとの間の溶接をより強固にするために、金属層とリードタブとの間に金属チップを追加することができる。金属チップは、金属層の金属と同じ材料のフレークであってもよい。金属チップは、例えば、金属箔または金属メッシュであってもよい。金属片としては、アルミ箔、銅箔、SUS箔等が挙げられる。リードタブは、金属チップを金属層上に配置した後、リードタブを溶接することにより、金属チップ/金属層積層体または金属チップ/金属層/ベースフィルム積層体に溶接することができる。溶接中、ベースフィルム、金属層、および/または金属チップが少なくとも部分的に溶融している間に、金属層または金属層/金属チップスタックがリードタブに電気的に接続され得る。金属チップおよび/またはリードタブが金属層上の一部に追加されてもよい。基材フィルムの厚みは、例えば、1~50μm、1.5~50μm、1.5~40μm、1~30μmとすることができる。ベースフィルムがこの範囲内の厚さを有する場合、電極組立体の重量をより効果的に低減することができる。ベースフィルムの融点は、例えば、100~300℃、100~250℃以下、または100~200℃であってもよい。ベースフィルムがこの範囲内の融点を有するので、ベースフィルムは、リードタブを溶接する工程で溶融してリードタブに容易に結合することができる。ベースフィルムと金属層との密着性を向上させるために、ベースフィルムにコロナ処理等の表面処理を施してもよい。金属層の厚さは、例えば、0.01~3μm、0.1~3μm、0.1~2μm、または0.1μm~0.1μmとすることができる。金属層がこの範囲内の厚さを有する場合、導電性を維持しながら、電極アセンブリの安定性を確保することができる。金属チップの厚さは、例えば、2~10μm、2~7μm、または4~6μmであってもよい。金属チップがこの範囲内の厚さを有する場合、金属層とリードタブとの間の接続をより容易に行うことができる。電極集電体がこのような構造を有することにより、電極を軽量化することができ、その結果、リチウム電池のエネルギー密度を向上させることができる。本発明の一実施形態では、電極集電体は、例えば、カソード集電体および/またはアノード集電体を含むことができる。
【0093】
図1Aを参照すれば、本開示による電極300は、電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)THを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の両面100A、100Bの間に配置される電極集電体200;及び電極活物質層100と電極集電体200との間に配置される中間層(interlayer)250、250a、250bを含み、電極活物質層100が自立膜(free-standing film)であり、電極活物質層100が中間層250まで延びた貫通孔THを含む。
【0094】
電極活物質層100は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。図1Aによる電極300において、電極300が含む電極活物質層100の厚さT1は、電極集電体200の両面上にそれぞれ配置される電極活物質層100a、100bの厚さTa、Tbの和である。貫通孔THの深さは、例えば、電極活物質層100の厚さT1と実質的に同一である。
【0095】
電極活物質層100は、複数の貫通孔THを含み、複数の貫通孔を通じて電解質、すなわち、リチウムイオンが電極活物質層100の内部まで伝達される。したがって、電極活物質層100は、イオン伝導チャネルを含む領域である。したがって、複数の貫通孔を含む電極300は、イオン伝導チャネルを備えた電極である。
【0096】
図1Bを参照すれば、本開示による電極300は、電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)THを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の一面100A上に配置される電極集電体200;及び電極活物質層100と電極集電体200との間に配置される中間層(interlayer)250を含み、電極活物質層100が自立膜(free-standing film)であり、電極活物質層100が中間層250まで延びた貫通孔THを含む。
【0097】
電極活物質層100は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。図1Bによる電極300において、電極300は、任意の厚さT1を有する電極活物質層100を含む。貫通孔THの深さは、例えば、電極活物質層100の厚さT1と実質的に同一である。
【0098】
電極活物質層100は、複数の貫通孔THを含み、複数の貫通孔を通じて電解質、すなわち、リチウムイオンが電極活物質層100の内部まで伝達される。したがって、電極活物質層100は、イオン伝導チャネルを含む領域である。したがって、複数の貫通孔を含む電極300は、イオン伝導チャネルを備えた電極である。
【0099】
図2A及び図2Bを参照すれば、従来の電極300は、電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)THを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の両面100A、100Bの間にまたは一面100A上に配置される電極集電体200;を含む。電極活物質層100が電極スラリー形態で電極集電体200上に配置されるので、自立膜(free-standing film)ではない。電極活物質層100が中間層250まで延びた貫通孔THを含むが、貫通孔の形成過程で貫通孔の一端から延びるバリ(burr)、陥没部(dent)などの欠陥(defect)DTを含む。従来の電極300はそのような欠陥を含むことにより、そのような欠陥で電解質(図示せず)と電極活物質層100または電解質(図示せず)と電極集電体200との局所的な副反応によって電極が劣化されうる。したがって、そのような従来の電極300を採用する電池の寿命特性のようなサイクル特性は低下しうる。
【0100】
図3A及び図3Bを参照すれば、本開示による電極300は、電極活物質及びバインダを含み、複数の貫通孔(through-hole)THを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の両面100A、100Bの間に配置される電極集電体200;及び電極活物質層100と電極集電体200との間に配置される中間層(interlayer)250、250a、250bを含み、電極活物質層100が自立膜(free-standing film)であり、電極活物質層100が中間層250まで延びた貫通孔THを含み、中間層250と接触する貫通孔THの一端の直径dが前記電極活物質層100の表面に露出された前記貫通孔THの他端の直径dよりさらに大きい。中間層250と接触する貫通孔THの一端の直径dが電極活物質層100の表面に露出された前記貫通孔THの他端の直径dよりさらに大きくなることにより、電極活物質層100内部で電解質(図示せず)と電極活物質層100がさらに広い接触面積を有するので、電極活物質層表面と電極活物質層の内部の電流密度の不均衡が効果的に防止されうる。dとdの割合、すなわちd:dは、1:1超過でもある。例えば、d:dは、1:1.01~2、1:1.01~1.5、または1:1.01~1.1でもある。
【0101】
図4を参照すれば、本開示による電極300において、電極活物質層100は、電極活物質及びバインダを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の両面100A、100Bの間に配置される電極集電体200;を含み、電極活物質層100が複数の貫通孔(through-hole)THを含む。電極活物質層100は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。電極300が含む電極活物質層100の厚さT1は、電極集電体200の両面上にそれぞれ配置される電極活物質層100a、100bの厚さTa、Tbの和である。図4の断面は、図1Aに該当する。
【0102】
図5を参照すれば、本開示による電極300において、電極活物質層100は、第1表面S1及び第1表面に対向する(opposing)第2表面S2を含み、第1表面S1と第2表面S2の長手方向末端に連結される第1側面SS1及び第1側面に対向する第2側面SS2を含み、第1表面S1と第2表面S2の幅方向末端に連結される第3側面SS3及び第3側面に対向する第4側面SS4を含む。電極活物質層100は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。電極300が含む電極活物質層100の厚さT1は、電極集電体200の両面上にそれぞれ配置される電極活物質層100a、100bの厚さTa、Tbの和である。
【0103】
図5を参照すれば、電極活物質層100が長手方向第1距離L1及び幅方向第1距離W1によって定義される第1面積A1を有し、電極集電体200が第1表面S1と第2表面S2との間に配置され、電極集電体200が長手方向第2距離L2及び前記幅方向第2距離W2によって定義される第2面積A2を有し、電極集電体200の第2面積A2が電極活物質層100の第1面積A1と実質的に同一である。例えば、電極集電体200の第2面積A2は、電極活物質層100の第1面積A1の100%である。
【0104】
図5を参照すれば、電極集電体200は、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4のうち、選択された2個以下の側面を通じて電極活物質層100の外部に延びるタップ(tap)TBをさらに含む。例えば、タップTBが第1側面SS1及び/または、第2側面SS2を通じて電極活物質層100の外部に延びる。それと異なって、タップTBが第3側面SS3及び/または第4側面SS4を通じて電極活物質層100の外部に延びる。タップTBが一側面または互いに対向する2側面を通じて電極活物質層100の外部に延びることにより、隣接した複数のタップTBによる短絡が防止されうる。
【0105】
本開示による電極において、例えば、前記電極活物質層の一面上の一部に、または両面間の一部のみに電極集電体が配置されうる。電極活物質層の一面上の一部に、または両面間の一部に電極集電体が配置されることにより、電極内で電極集電体が占める体積が減少する。したがって、そのような減少した電極集電体の体積を有する電極を含むリチウム電池のエネルギー密度が向上する。したがって、向上した出力を提供するリチウム電池を提供することができる。
【0106】
前記電極は、電極活物質層及び前記電極活物質層の一面上に、または両面間に配置された電極集電体を含む第1領域(domain);及び前記電極活物質層を含み、前記電極活物質層の一面上に、または両面間に電極集電体が不在(free)である第2領域を含むことができる。そして、前記第1領域及び前記第2領域が複数の貫通孔を含む。
【0107】
電極活物質層の一面上に、または両面間に電極集電体が不在(free)である第2領域が複数の貫通孔を含むことにより、電極の柔軟性が増加してリチウム電池の高率特性がさらに向上しうる。電極活物質層の一面上に、または両面間に配置された電極集電体を含む第1領域(domain)に貫通孔が追加に配置されることにより、リチウム電池の高率特性が追加で向上しうる。
【0108】
電極活物質層の一面上の一部に、または両面間の一部のみに電極集電体が配置される電極は、例えば、延伸可能(stretchable)電極でもある。延伸可能電極は、前記延伸可能電極の長手方向及び幅方向のうち、選択された1つ以上の方向に延伸可能である。延伸可能電極は、例えば、電極の長手方向に5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、40%以上、または、50%以上延伸可能である。延伸可能電極は、例えば、電極の長手方向に5%~100%、10%~100%、15%~100%、20%~100%、30%~100%、40%~100%、または50%~100%延伸可能である。延伸可能電極は、例えば、電極の幅方向に5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、40%以上、または50%以上延伸可能である。延伸可能電極は、例えば、電極の幅方向に5%~100%、10%~100%、15%~100%、20%~100%、30%~100%、40%~100%、または50%~100%延伸可能である。延伸可能電極は、例えば、延伸後にも電極にクラックなどが発生せず、最初長さに回復し、そのようなサイクルを複数回繰り返しても電極にクラックなどが発生しない。延伸可能電極は、例えば、第1領域にのみ電極集電体を含み、第2領域に電極集電体を含まないことにより、第2領域が容易に延伸可能である。また、電極の一部のみに電極集電体が配置されるので、複数の電極が積層された後、巻き取られるか、折り曲げられても、電極活物質層と電極集電体の脱離が最小化され、多様な形態のリチウム電池を容易に具現することができる。
【0109】
図6Aを参照すれば、本開示による電極300は、電極活物質及びバインダを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の両面100A、100B間の一部に配置される電極集電体200;を含み、電極活物質層100が複数の貫通孔(through-hole)THを含む。第1領域D1は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の両面100A、100B間に配置される電極集電体200を含む領域である。すなわち、第1領域D1は、電極集電体200と前記電極集電体の両面上に電極厚さ方向に配置される電極活物質層100を含む領域である。第2領域D2は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の両面間に配置される電極集電体200を含まない領域である。すなわち、第2領域D2は、第1領域D1を除いた残りの電極活物質層領域である。図6Aにおいて、第1領域D1と第2領域D2の区分は、例えば、電極厚さ方向に沿って配置される仮想の点線からなる。第1領域D1及び第2領域D2は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。電極300が含む第1領域D1と第2領域D2は、実質的に同じ厚さT1を有する。第1領域D1及び第2領域D2は、複数の貫通孔を含み、複数の貫通孔を通じて電解質、すなわち、リチウムイオンが伝達される。したがって、第1領域D1及び第2領域D2は、イオン伝導チャネルを含む領域である。したがって、第1領域D1及び第2領域D2を含む電極300は、イオン伝導チャネルを備えた電極である。
【0110】
図6Bを参照すれば、本開示による電極300は、電極活物質及びバインダを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の一面100A上の一部に配置される電極集電体200;を含み、電極活物質層100が複数の貫通孔(through-hole)THを含む。第1領域D1は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の一面100A上に配置される電極集電体200を含む領域である。すなわち、第1領域D1は、電極集電体200と前記電極集電体の一面上に電極厚さ方向に配置される電極活物質層100を含む領域である。第2領域D2は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の一面上に配置される電極集電体200を含まない領域である。すなわち、第2領域D2は、第1領域D1を除いた残りの電極活物質層領域である。図6Bにおいて、第1領域D1と第2領域D2の区分は、例えば、電極厚さ方向に沿って配置される仮想の点線からなる。第1領域D1及び第2領域D2は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。電極300が含む第1領域D1と第2領域D2は、実質的に同じ厚さT1を有する。
【0111】
図7を参照すれば、本開示による電極300において、電極活物質層100は、電極活物質及びバインダを含む電極活物質層100;及び電極活物質層100の両面間の一部に配置される電極集電体200;を含み、電極活物質層100が複数の貫通孔(through-hole)THを含む。第1領域D1は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の両面間に配置される電極集電体200を含む領域である。すなわち、第1領域D1は、電極集電体200と前記電極集電体の両面上に電極厚さ方向に配置される電極活物質層100を含む領域である。第2領域D2は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の両面間に配置される電極集電体200を含まない領域である。すなわち、第2領域D2は、第1領域D1を除いた残りの電極活物質層領域である。第1領域D1及び第2領域D2は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。電極300が含む第1領域D1と第2領域D2は、実質的に同じ厚さT1を有する。図7の断面は、図6Aに該当する。
【0112】
図8を参照すれば、本開示による電極300において、電極活物質層100は、第1表面S1及び第1表面に対向する(opposing)第2表面S2を含み、第1表面S1と第2表面S2の長手方向末端に連結される第1側面SS1及び第1側面に対向する第2側面SS2を含み、第1表面S1と第2表面S2の幅方向末端に連結される第3側面SS3及び第3側面に対向する第4側面SS4を含む。第1領域D1は、第1表面S1、第2表面S2、第3側面SS3、及び第4側面SS4によって定義され、第1表面S1と第2表面S2の間に配置される電極集電体200を含む領域である。第2領域D2は、第1表面S1、第2表面S2、第3側面SS3及び第4側面SS4によって定義され、第1表面S1と第2表面S2との間に電極集電体200が不在(free)である領域である。第1領域D1及び第2領域D2は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。電極300が含む第1領域D1と第2領域D2は、実質的に同じ厚さT1を有する。
【0113】
図8を参照すれば、電極活物質層100が長手方向第1距離L1及び幅方向第1距離W1によって定義される第1面積A1を有し、電極集電体200が第1表面S1と第2表面S2との間に配置され、電極集電体200が長手方向第2距離L2及び前記幅方向第2距離W2によって定義される第2面積A2を有し、電極集電体200の第2面積A2が電極活物質層100の第1面積A1の90%以下である。例えば、電極集電体200の第2面積A2は、電極活物質層100の第1面積A1の1~90%、5~80%、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、10~30%、または10~20%である。電極300において電極集電体200の面積が電極活物質層100に比べて小さいことにより、そのような電極300を採用するリチウム電池のエネルギー密度がさらに向上する。
【0114】
図8を参照すれば、電極集電体200の長手方向第2距離L2が電極活物質層100の長手方向第1距離L1の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、または20%以下である。例えば、電極集電体200の長手方向第2距離L2が電極活物質層100の長手方向第1距離L1の1~90%、5~80%、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、10~30%、または、10~20%である。それと異なって、電極集電体200の幅方向第2距離W2が電極活物質層100の幅方向第1距離W1の100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下または20%以下である。例えば、電極集電体200の幅方向第2距離W2が電極活物質層100の幅方向第1距離W1の1~100%、5~90%、10~80%、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、10~30%、または10~20%である。例えば、電極集電体200の長手方向第2距離L2が電極活物質層100の長手方向第1距離L1の90%以下、または50%であり、電極集電体200の幅方向第2距離W2が電極活物質層100の幅方向第1距離W1の90%以下、または50%以下である。電極集電体200がそのような大きさを有することにより、そのような電極300を採用するリチウム電池のエネルギー密度がさらに向上する。
【0115】
図8を参照すれば、電極集電体200が、電極活物質層100が含む第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3、及び第4側面SS4のうち、3個以下の側面上に露出される。電極集電体200が電極活物質層100に比べてさらに小さい面積を有することにより、電極活物質層100が含む側面のうち、一部の側面、例えば、3個、2個、または、1個の側面に露出される。電極集電体200が露出される電極活物質層100の側面の個数が減少することにより、電極活物質層100の側面を介した短絡の発生可能性が減少するので、そのような電極300を採用したリチウム電池の安定性が向上する。
【0116】
図8を参照すれば、電極集電体200は、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4のうち、選択された2個以下の側面を通じて電極活物質層100の外部に延びるタップ(tap)TBをさらに含む。例えば、タップTBが第1側面SS1及び/または第2側面SS2を通じて電極活物質層100の外部に延びる。それと異なって、タップTBが第3側面SS3及び/または第4側面SS4を通じて電極活物質層100の外部に延びる。タップTBが一側面または互いに対向する2つの側面を通じて電極活物質層100の外部に延びることにより、隣接した複数のタップTBによる短絡が防止されうる。
【0117】
図9Aないし図9Fを参照すれば、本開示による電極300において、電極活物質層100の両面間の一部に配置される電極集電体200は、多様な形態を有し、電極活物質層100内で多様な位置に配置されうる。図9Aないし図9Fにおいて、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4によって定義される電極活物質層100において電極集電体200が配置される領域が第1領域に該当し、電極集電体200が配置されない領域は、第2領域に該当する。電極活物質層100は、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。第1領域D1は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の一面上に、または両面間に配置される電極集電体200を含む領域である。すなわち、第1領域D1は、電極集電体200と前記電極集電体の一面または両面上に電極厚さ方向に配置される電極活物質層100を含む領域である。第2領域D2は、電極活物質層100を含み、電極活物質層100の一面上に、または両面間に配置される電極集電体200を含まない領域である。すなわち、第2領域D2は、第1領域D1を除いた残りの電極活物質層領域である。
【0118】
図9Aを参照すれば、電極集電体200は、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4によって定義される電極活物質層100の一部に配置される。電極集電体200は、電極活物質層100の第1側面SS1上に露出され、第1側面SS1を通じて電極活物質層100の外部に延びるタップTBを含む。タップの幅方向距離Wが電極集電体200の幅方向第2距離W2の100%である。
【0119】
図9Bを参照すれば、電極集電体200は、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4によって定義される電極活物質層100の一部に配置される。電極集電体200は、電極活物質層100の第1側面SS1、第2側面SS2、及び第3側面SS3上に露出され、第1側面SS1を通じて電極活物質層100の外部に延びるタップTBを含む。電極集電体200の長手方向第2距離L2は電極活物質層100の長手方向第1距離L1の100%である。電極集電体200の幅方向第2距離W2が電極活物質層100の幅方向第1距離W1の100%未満である。
【0120】
図9Cを参照すれば、電極集電体200は、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4によって定義される電極活物質層100の一部に配置される。電極集電体200は、電極活物質層100の第1側面SS1、第2側面SS2、及び第4側面SS4上に露出され、第1側面SS1を通じて電極活物質層100の外部に延びるタップTBを含む。
【0121】
図9Dを参照すれば、電極集電体200は、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4によって定義される電極活物質層100の一部に配置される。電極集電体200は、電極活物質層100の第1側面SS1上に露出され、第1側面SS1を通じて電極活物質層100の外部に延びるタップTBを含む。タップの幅方向距離Wが電極集電体200の幅方向第2距離W2の100%未満である。
【0122】
図9E及び図9Fを参照すれば、複数の電極集電体200は、第1側面SS1、第2側面SS2、第3側面SS3及び第4側面SS4によって定義される電極活物質層100の一部に配置される。電極活物質層100の長手方向または幅方向に沿って離隔されて配置される複数の電極集電体200を含む。複数の電極集電体200は、例えば、等間隔で離隔されるか、互いに異なる間隔で離隔される。複数の電極集電体200は、電極活物質層100の一面、例えば、第1表面S1及び第2表面S2のうち、1つ以上と45°以下、40°以下、30°以下、25°以下、20°以下、15°以下、10°以下、5°以下の角度をなす。例えば、複数の集電体200は、電極活物質層100の一面と0°の角度をなし、すなわち、平行に配置される。複数の電極集電体200は、例えば、電極活物質層100の第1表面S1と第2表面S2との間に配置される。
【0123】
他の一具現例によるリチウム電池は、正極;負極;及び正極と負極との間に配置される電解質;を含み、正極及び負極のうち、1つ以上が上述した電極である。
【0124】
本開示による電極を含むリチウム電池は、電極集電体表面上に欠陥が防止され、電極活物質層が貫通孔を含む電極を採用することにより、例えば、向上した高率特性、向上した寿命特性などの向上したサイクル特性を提供する。
【0125】
図10ないし図12を参照すれば、リチウム電池1000は、正極300a;負極300b;及び正極300aと負極300bとの間に配置される電解質400を含み、正極300a及び負極300bのうち、1つ以上が上述した電極である。リチウム電池1000は、電極組立体500を含む。正極300a及び/または負極300bが含む電極活物質層100、100a、100bは、任意の直径d1を有する複数の貫通孔(through-hole)THを含む。
【0126】
図10を参照すれば、電極組立体500は、厚さ方向に沿って積層される複数の正極300a;複数の正極300aの間にそれぞれ配置される複数の負極300b;複数の正極300aと負極300bとの間にそれぞれ配置される複数の電解質400を含む。正極300aが正極集電体200aを含み、正極集電体200aが電極組立体500の一側面SS5を通じて正極活物質層100aの外部に延びる正極タップTaを含み、負極300bが負極集電体200bを含み、負極集電体200bが電極組立体500の一側面SS5に対向する(opposing)他側面SS6を通じて負極活物質層100bの外部に延びる負極タップTbを含む。リチウム電池1000は、電極組立体500を含む。正極タップTaと負極タップTbとが互いに対向する側面上に配置されるので、これらの間の短絡可能性が減少する。
【0127】
図11を参照すれば、電極組立体500は、厚さ方向に沿って積層される複数の正極300a;複数の正極300aの間にそれぞれ配置される複数の負極300b;複数の正極300aと負極300bとの間にそれぞれ配置される複数の電解質400を含む。正極300aが正極集電体200aを含み、正極集電体200aが電極組立体500の一側面SS5を通じて正極活物質層100aの外部に延びる正極タップTaを含み、負極300bが負極集電体200bを含み、負極集電体200bが電極組立体500の同じ一側面SS5を通じて負極活物質層100bの外部に延びる負極タップTbを含む。リチウム電池1000は、電極組立体500を含む。
【0128】
図12を参照すれば、一側面SS5上に複数の正極タップTaが厚さ方向に一定間隔で離隔されて配置され、複数の負極タップTbが厚さ方向に一定間隔で離隔されて配置される。複数の正極タップTaは、電極組立体500の幅方向一側面SS7に隣接して配置され、複数の負極タップTbは、電極組立体500の幅方向他側面SS8に隣接して配置される。図12は、図11の一側面SS5の正面図である。リチウム電池1000は、電極組立体500を含む。
【0129】
正極タップTaと負極タップTbとが同一側面上に配置されるが、これらが互いに幅方向に離隔されて配置されるので、これらの間の短絡可能性が減少する。
【0130】
図面に図示されないが、厚さ方向に沿って積層される複数の正極;複数の正極間にそれぞれ配置される複数の負極;複数の正極と負極との間にそれぞれ配置される複数の電解質を含む電極組立体において、複数の貫通孔を含まない正極及び/または負極間に複数の貫通孔を含む正極及び/または負極が1つ以上配置されることにより、複数の貫通孔を備える正極及び/または負極が一種のイオン伝導層またはイオン伝導チャネルとして作用して電極組立体を含むリチウム電池の高率特性のようなサイクル特性をさらに向上させうる。
【0131】
リチウム電池1000は、例えば、リチウムイオン電池、リチウム固体電池、及びリチウム空気電池などである。
【0132】
他の一具現例による電極製造方法が提供される。
【0133】
本開示による電極の製造方法は、電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して混合物を準備する段階;前記乾燥混合物を圧延または押出して自立膜を準備する段階;前記自立膜に複数の貫通孔(through-hole)を導入する段階;電極集電体を提供し、前記電極集電体の一面または両面上に中間層を配置する段階;及び前記電極集電体の一面または両面上に前記自立膜を提供して電極活物質層を配置する段階;を含む。
【0134】
このような製造方法で製造された電極は、電極内で均一な結着力分布の均一性が向上することにより、そのような電極を採用したリチウム電池の性能が向上する。また、そのような製造方法で製造された電極は、電極活物質層が複数の貫通孔を含むことにより、そのような電極を採用したリチウム電池のサイクル特性が向上する。
【0135】
まず、電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を準備する。乾式混合は、工程溶媒を含まない状態で混合することを意味する。工程溶媒は、例えば、電極スラリーの製造に使用される溶媒である。工程溶媒は、例えば、水、NMPなどであるが、これらに限定されず、電極スラリーの製造時に使用される工程溶媒であれば、特に限定されない。乾式混合は、撹拌機を用いて、例えば、25~65℃の温度で遂行されうる。乾式混合は、撹拌機を使用し、例えば、10~10000rpm、または、100~10000rpmの回転速度で遂行されうる。乾式混合は、撹拌機を使用し、例えば、1~200分、または1~150分間遂行されうる。
【0136】
乾式混合は、例えば、1回以上遂行されうる。まず、電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを1次乾式混合して第1混合物を準備することができる。1次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、2000rpm以下の回転速度で、15分以下の時間の間遂行されうる。1次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、500~2000rpmの回転速度で、5~15分間遂行されうる。1次乾式混合によって電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを均一に混合することができる。次いで、電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを2次乾式混合して第2混合物を準備することができる。2次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、4000rpm以上の回転速度で、10分以上の時間の間遂行されうる。2次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、4000~9000rpmの回転速度で、10~60分間遂行されうる。2次乾式混合によって繊維化された(fibrillated)乾燥バインダを含む乾燥混合物が得られる。
【0137】
撹拌機は、例えば、ニーダー(kneader)である。撹拌機は、例えば、チャンバ;チャンバ内部に配置されて回転する1つ以上の回転軸;及び回転軸に回転可能に結合され、回転軸の長手方向に配置されるブレードを含む。ブレードは、例えば、リボンブレード、シグマブレード、ジェット(Z)ブレード、分散ブレード、及びスクリューブレードのうち、選択される1つ以上でもある。ブレードを含むことにより、溶媒なしにも電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを効果的に混合してドウ(dough-like)状の混合物を製造することができる。
【0138】
乾燥導電材としては、カーボンブラック、黒鉛微粒子、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維;カーボンナノチューブ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維または金属チューブ;ポリフェニレン誘導体のような伝導性高分子などが使用されるが、それらに限定されず、当該技術分野で導電材として使用するものであれば、いずれも使用可能である。導電材は、例えば、炭素系導電材である。乾燥導電材に係わるさらに具体的な内容は、上述した電極部分を参照する。
【0139】
乾燥バインダとしては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、前述した高分子の混合物、スチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使用され、溶媒としては、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水などが使用されるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。乾燥バインダに係わるさらに具体的な内容は、上述した電極部分を参照する。
【0140】
乾燥混合物に可塑剤または気孔形成剤をさらに付け加えて電極板内部に気孔を形成しうる。
【0141】
乾燥混合物の製造に使用される電極活物質、乾燥導電材、乾燥バインダの含量は、電極部分で上述した通りである。
【0142】
正極は、電極活物質として正極活物質を使用する。正極活物質は、上述した電極部分を参照する。負極は、電極活物質として負極活物質を使用する。負極活物質は、上述した電極部分を参照する。
【0143】
次いで、製造された乾燥混合物を圧延または押出して自立膜(self-standing film)を準備する。
【0144】
製造された混合物は、例えば、押出装置に投入してシート状に押出されうる。押出時の圧力は、例えば、4MPa~100MPa、または10MPa~90MPaである。得られた混合物は、シート状でもある。自立膜の厚さ及び形態は、要求される電池の充放電特性、形態などによって選択されうる。
【0145】
次いで、前記自立膜に複数の貫通孔(throughhole)を導入する。
【0146】
複数の貫通孔は、図4及び図5に図示されたように自立膜全体に均一に形成されうる。貫通孔を導入する方法は、レーザドリリング、パンチング、表面に凹凸が導入されたローラなどでもあるが、これらに限定されず、当該技術分野で貫通孔を導入する方法及び/または装置であれば、いずれも可能である。貫通孔の直径、貫通孔間の距離(pitch)などは、要求される電池の充放電特性、形態などによって選択されうる。
【0147】
次いで、電極集電体を提供し、前記電極集電体の一面または両面上に中間層(interlayer)を配置する。
【0148】
電極集電体は、電極集電体の一面または両面上に配置された中間層(interlayer)を含み、中間層に対する具体的な内容は、上述した電極部分を参照する。
【0149】
電極集電体の材料は、上述した電極集電体部分を参照する。正極集電体は、例えば、アルミニウム箔である。負極集電体は、例えば、銅箔である。
【0150】
電極集電体の一面または両面上に乾式または湿式で中間層をコーティングする。具体的なコーティング方法は、上述した中間層を含む電極集電体部分を参照する。
【0151】
次いで、前記電極集電体の一面または両面上に前記自立膜を提供して電極活物質層を配置する。
【0152】
電極集電体の一面または両面上に自立膜を配置し、ラミネーションして前記電極集電体の一面または両面上に配置される電極活物質層を含む電極を製造する。
電極活物質層の一面または両面上に中間層が配置され、前記中間層がバインダを含むことにより、接着力を有することができるので、電極集電体と自立膜のラミネーションが低い圧力によって容易に進められうる。
【0153】
ラミネーションは、例えば、圧延によって遂行されうる。圧延は、例えば、ロールプレス、平板プレスなどでもあるが、必ずしもこれらに限定されない。圧延時の圧力は、湿式電極の製造時に加えられる圧力の50%以下、10%以下、または1%以下でもある。圧延時の圧力は、例えば、0.01~10.0ton/cm、または、0.1~10.0ton/cmである。圧延時の圧力が過度に増加すれば、薄膜電極集電体のクラックを起こしうる。圧延時の圧力が過度に低ければ、電極集電体と電極活物質層との結着力が低い。
【0154】
リチウム電池は、例えば、下記の例示的な方法によって製造されるが、必ずしもそのような方法に限定されず、要求される条件によっても異なる。
【0155】
まず、上述した電極製造方法によって正極及び負極のうち、1つまたは両方ともが製造される。それと異なって、正極及び負極のうち、1つの電極が上述した電極製造方法で製造される場合、他の電極は、湿式製造方法で製造されうる。例えば、他の電極は、電極活物質、導電材、バインダ及び溶媒を含む電極スラリーを製造し、製造された電極スラリーを電極集電体上にコーティングして乾燥させて製造することができる。湿式で製造される電極が含む導電材及びバインダは、上述した乾式電極の製造に使用される導電材、及びバインダのうちから選択されうる。
【0156】
次いで、正極と負極との間に挿入されるセパレータが準備される。
【0157】
セパレータは、リチウム電池で一般的に使用されるものであれば、いずれも使用可能である。セパレータは、例えば、電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ電解液含湿能にすぐれるものが使用される。セパレータは、例えば、ガラスファイバ、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組み合わせ物のうちから選択されたものであって、不織布または織布形態である。リチウムイオン電池には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのような巻き取り可能なセパレータが使用され、リチウムイオンポリマー電池には、有機電解液含浸能に優れたセパレータが使用される。
【0158】
セパレータは、下記の例示的な方法によって製造されるが、必ずしもそのような方法に限定されず、要求される条件によって調節される。
【0159】
まず、高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合し、セパレータ組成物が準備される。セパレータ組成物が電極上部に直接コーティング及び乾燥され、セパレータが形成される。あるいはまた、セパレータ組成物が支持体上にキャスティング及び乾燥された後、前記支持体から剥離させたセパレータフィルムが電極上部にラミネーションされてセパレータが形成される。
【0160】
セパレータ製造に使用される高分子は、特に限定されず、電極板の結合材に使用される高分子であれば、いずれも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートまたはそれらの混合物などが使用される。
【0161】
次いで、電解質が準備される。
【0162】
電解質は、例えば、有機電解液である。有機電解液は、例えば、有機溶媒にリチウム塩が溶解されて製造される。
【0163】
有機溶媒は、当該技術分野で有機溶媒として使用されるものであれば、いずれも使用可能である。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルまたはそれらの混合物である。
【0164】
リチウム塩も、当該技術分野でリチウム塩として使用するものであれば、いずれも使用可能である。リチウム塩は、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(CyF2y+1SO)(但し、x、yは自然数)、LiCl、LiIまたはそれらの混合物である。
【0165】
一方、電解質は、固体電解質である。固体電解質は、例えば、ホウ素酸化物、リチウムオキシナイトライドなどであるが、それらに限定されず、当該技術分野で固体電解質として使用するものであれば、いずれも使用可能である。固体電解質は、例えば、スパッタリングなどの方法で前記負極上に形成されるか、別途の固体電解質シートが負極上に積層される。固体電解質は、例えば、酸化物系固体電解質または硫化物系固体電解質である。
【0166】
図13を参照すれば、一具現例によるリチウム電池1は、正極3、負極2及びセパレータ4を含む。正極3、負極2及びセパレータ4がワインディングされるか、折り畳まれて電池構造体7を形成する。形成された電池構造体7が電池ケース5に収容される。電池ケース5に有機電解液が注入され、キャップ(cap)アセンブリ6に密封されてリチウム電池1が完成される。電池ケース5は、円筒状であるが、必ずしもそのような形態に限定されず、例えば、角状、薄膜状などである。
【0167】
図14を参照すれば、一具現例によるリチウム電池1aは、正極3a、負極2a及びセパレータ4aを含む。正極3a及び負極2aの間にセパレータ4aが配置され、正極3a、負極2a及びセパレータ4aがワインディングされるか、折り畳まれて電池構造体7aを形成する。形成された電池構造体7aが電池ケース5aに収容される。電池構造体7aで形成された電流を外部に誘導するための電気的通路の役割を行う電極タブ8aを含む。電池ケース5aに有機電解液が注入され、密封されてリチウム電池1aが完成される。電池ケース5aは、角状であるが、必ずしもそのような形態に限定されず、例えば、円筒状、薄膜状などである。
【0168】
図15を参照すれば、 一具現例によるリチウム電池1bは、正極3b、負極2b及びセパレータ4bを含む。正極3b及び負極2bの間にセパレータ4bが配置されて電池構造体が形成される。電池構造体7bがバイセル構造によって積層された(stacked)後、電池ケース5bに収容される。電池構造体7bで形成された電流を外部に誘導するための電気的通路の役割を行う電極タブ8bを含む。電池ケース5bに有機電解液が注入され、密封されてリチウム電池1bが完成される。電池ケース5bは、角状であるが、必ずしもそのような形態に限定されず、例えば、円筒状、薄膜状などである。
【0169】
パウチ型リチウム電池は、図14及び図15のリチウム電池において電池ケースとしてパウチを使用したものにそれぞれ該当する。パウチ型リチウム電池は、1つ以上の電池構造体を含む。正極及び負極の間にセパレータが配置されて電池構造体が形成される。電池構造体がバイセル構造によって積層された後、有機電解液に含浸され、パウチに収容及び密封されてパウチ型リチウム電池が完成される。例えば、図示されていないが、上述した正極、負極及びセパレータが単純積層されて電極組立体の形態にパウチに収容されるか、ゼリーロール状の電極組立体に巻き取られるか、折り畳まれた後、パウチに収容される。次いで、パウチに有機電解液が注入され、密封されてリチウム電池が完成される。
【0170】
リチウム電池は、寿命特性及び高率特性に優れるので、例えば、電気車両(electric vehicle、EV)に使用される。例えば、プラグインハイブリッド車両(plug-in hybrid electric vehicle, PHEV)などのハイブリッド車両に使用される。また、多量の電力保存が要求される分野に使用される。例えば、電気自転車、電動工具などに使用される。
【0171】
リチウム電池は、複数個積層されて電池モジュールを形成し、複数の電池モジュールが電池パックを形成する。このような電池パックが高容量及び高出力が要求される全ての機器に使用されうる。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電気車両などに使用されうる。電池モジュールは、例えば、複数の電池とそれらを保持するフレームを含む。電池パックは、例えば、複数の電池モジュールとこれらを連結するバスバー(bus bar)を含む。電池モジュール及び/または、電池パックは、冷却装置をさらに含んでもよい。複数の電池パックが電池管理システムによって調節される。電池管理システムは、電池パック、及び電池パックに連結された電池制御装置を含む。
【0172】
以下の実施例及び比較例を通じて本発明がさらに詳細に説明される。但し、実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらだけで本発明の範囲が限定されるものではない。
【0173】
(リチウム電池(halfcell)の製造)
実施例1:乾式正極、集電体全部配置、複数の貫通孔、貫通孔の面積1%、貫通孔の直径1μm
(正極の製造)
LiNi0.91Co0.05Al0.04(以下、NCA91と称する)正極活物質、炭素導電材(Denka Black)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を93:4:3の重量比でブレードミキサーに投入した後、25℃、1000rpmの速度で10分間1次乾式混合して活物質、導電材、及びバインダが均一に混合された第1混合物を準備した。
【0174】
次いで、バインダの繊維化を進行させるために、第1混合物を25℃、5000rpmの速度で20分間さらに2次混合して第2混合物を準備した。第1混合物及び第2混合物の製造時に別途の溶媒を使用していない。
【0175】
準備された第2混合物を 押出機に投入し、押出してシート状の正極活物質層自立膜(self-standing film)を準備した。押出時の圧力は、50MPaであった。
【0176】
正極活物質層自立膜にレーザパンチャー(laser puncher)を使用して一定間隔で離隔されて規則的で周期的に配置される複数の貫通孔を形成した。
【0177】
貫通孔の直径は、1μmであり、貫通孔の形態は、円形である。貫通孔は、正極活物質層自立膜の表面に垂直方向に形成された。
【0178】
正極活物質層の一面の全体面積で貫通孔が占める面積の割合は、1%であった。
【0179】
12μm厚さのアルミニウム薄膜の両面上に中間層(interlayer)としてカーボン層が配置された正極集電体が準備された。
【0180】
カーボン層は、炭素導電材(Denka black)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む組成物をアルミニウム薄膜上にコーティングした後、乾燥させて準備された。アルミニウム薄膜の一面上に配置されるカーボン層の厚さは、約1μmであった。
【0181】
第1正極活物質層自立膜を配置し、第1正極活物質層自立膜上に正極集電体を配置し、正極集電体の他面に第2正極活物質層自立膜を配置して正極活物質層/カーボン層/アルミニウム/カーボン層/正極活物質層構造の積層体を準備した。正極集電体の幅及び長さは、正極活物質層自立膜と同一であった。
【0182】
準備された積層体を圧延して均一な厚さの乾式正極を製造した。圧延時の圧力は、3.0ton/cmであった。乾式正極の厚さは、200μmであった。乾式正極の厚さは、乾式正極の断面に対して走査電子顕微鏡を使用して測定した。
【0183】
製造された正極断面に対して走査電子顕微鏡を使用して測定した結果、貫通孔の底面に隣接した正極集電体の表面は、平坦であり、陥没部またはバリ(burr)が観察されていない。
【0184】
貫通孔の底面では、中間層が配置され、中間層が貫通孔と正極集電体とを分離した。
【0185】
貫通孔の直径d1と電極活物質層の厚さT1との割合d1/T1は、0.01であった。
【0186】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用し、リチウム金属を相対電極とし、PTFE隔離膜(separator)と1.3M LiPFがEC(エチレンカーボネート)+EMC(エチルメチルカーボネート)+DMC(ジメチルカーボネート)(3:4:3体積比)に溶けている溶液を電解質として使用してコインセルを製造した。
【0187】
実施例2:乾式正極、集電体全部配置、複数の貫通孔、貫通孔の面積5%、貫通孔の直径1μm
(正極の製造)
正極活物質層の一面の全体面積で貫通孔が占める面積の割合を5%と増加させたことを除いては、実施例1と同様の方法で正極を製造した。
【0188】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0189】
実施例3:乾式正極、集電体全部配置、複数の貫通孔、貫通孔の面積0.2%、貫通孔の直径1μm
(正極の製造)
正極活物質層の一面の全体面積で貫通孔が占める面積の割合を0.2%と減少させたことを除いては、実施例1と同様の方法で正極を製造した。
【0190】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0191】
実施例4:乾式正極、集電体全部配置、複数の貫通孔、貫通孔の面積1%、貫通孔の直径10μm
(正極の製造)
貫通孔の直径を10μmに増加させたことを除いては、実施例1と同様の方法で電飾電極を製造した。貫通孔の直径d1と電極活物質層の厚さT1の割合d1/T1は、0.1であった。
【0192】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0193】
実施例5:乾式正極、集電体全部配置、複数の貫通孔、貫通孔の面積1%、貫通孔の直径0.1μm
(正極の製造)
貫通孔の直径を0.1μmに減少させたことを除いては、実施例1と同様の方法で電飾電極を製造した。貫通孔の直径d1と電極活物質層の厚さT1の割合d1/T1は、0.001であった。
【0194】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0195】
実施例6:乾式正極、集電体一部配置、複数の貫通孔、貫通孔の面積1%、貫通孔の直径1μm
(正極の製造)
正極集電体として、正極集電体の幅は、正極活物質層自立膜と同一であり、正極集電体の長さは、正極活物質層自立膜長さの1/4である正極集電体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で電極を製造した。
【0196】
製造された乾式正極は、図1Aに図示された断面構造を有する。製造された乾式正極は、正極活物質層の両面間に正極集電体が配置された第1領域D1と正極活物質層の両面間に正極集電体が配置されない第2領域D2からなる構造を有する。第1領域D1及び第2領域D2にいずれも複数の貫通孔が配置された。
【0197】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0198】
比較例1:湿式正極、集電体全部配置、複数の貫通孔、貫通孔の面積1%、貫通孔の直径1μm
(正極の製造)
LiNi0.91Co0.05Al0.04正極活物質、炭素導電材(Denka Black)、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)を92:4:4の重量比で混合した混合物をN-メチルピロリドン(NMP)と共にメノウ乳鉢で混合してスラリーを製造した。
【0199】
15μm厚さのアルミニウム集電体の一面上の全部に前記スラリーをバーコーティング(bar coating)し、常温で乾燥した後、真空、120℃の条件でもう一回乾燥して第1正極活物質層を導入した。
【0200】
次いで、前記アルミニウム集電体の他面上に同様の方法で第2正極活物質層を導入して積層体を準備した。準備された積層体を圧延して正極を製造した。圧延時の圧力は、4.0ton/cmであった。
【0201】
製造された正極の両面に順次にレーザパンチャー(laser puncher)を使用して一定間隔で離隔されて規則的で周期的に配置される複数の貫通孔を形成した。
【0202】
貫通孔の直径は、1μmであり、貫通孔の形態は、円形であった。貫通孔は、正極活物質層自立膜の表面に垂直方向に形成された。
【0203】
正極活物質層の一面の全体面積で貫通孔が占める面積の割合は、1%であった。貫通孔の深さは、正極活物質層の厚さと同一であった。
【0204】
製造された正極断面に対して走査電子顕微鏡を使用して測定した結果、貫通孔形成過程でレーザによって貫通孔の底面に隣接した正極集電体表面の一部が陥没されてバリ(burr)が発生した。
【0205】
製造された正極は、図2Aに図示された断面構造を有する。
【0206】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0207】
比較例2:湿式正極、集電体全部配置、貫通孔不在(free)
(正極の製造)
正極活物質層に貫通孔を導入する段階を省略したことを除いては、比較例1と同様の方法で電極を製造した。
【0208】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0209】
比較例3:乾式正極、集電体全部配置、貫通孔不在(free)
(正極の製造)
正極活物質層に貫通孔を導入する段階を省略したことを除いては、実施例1と同様の方法で乾式正極を製造した。
【0210】
(コインセルの製造)
前記で製造された正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコインセルを製造した。
【0211】
比較例4:乾式正極、集電体全部配置、中間層不在(free)
カーボン層がコーティングされていない12μm厚さのアルミニウム薄膜を正極集電体として使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で乾式正極を製造した。
【0212】
製造された正極で正極活物質層の一部が正極集電体から剥離された状態で存在するのでコインセルの製造が不可能であった。
【0213】
評価例1:正極活物質層の垂直方向結着力評価(I)
SAICAS (SAICAS EN-EX,Daipla Wintes,JAPAN)を使用して、実施例1ないし6及び比較例1ないし4で製造された正極が含む正極活物質層の結着特性を分析した。
【0214】
結着特性分析は、正極活物質層の両面間に正極集電体が配置される第1領域に対して遂行された。実施例1ないし6及び比較例1で製造された正極に対する結着特性分析は、貫通孔のない領域に対して遂行された。
【0215】
幅1mmのダイヤモンドブレードを使用してクリアランス角(clearance angle)10゜、レーキ角(rake angle)20゜、せん断角(shearing angle)45゜、水平速度(horizontal velocity) 4μm/s、及び垂直速度(vertical velocity)0.4μm/sの条件で定速分析を遂行して深さによる垂直方向結着力(FV, Vertical Force)を測定した。
【0216】
まず、第1領域が含む正極活物質層表面の第1位置から正極集電体表面まで1次定速分析を遂行し、正極集電体表面に沿ってブレードを水平移動させて正極活物質層を除去した。次いで、前記第1位置から10μm後進させた位置で、1次定速分析と同じ条件で2次定速分析を遂行した。2次定速分析で測定されたデータを使用した。
【0217】
正極活物質層で正極活物質層の垂直方向結着力を測定し、測定されたデータを結着力グラフ面積に正規化し、正極活物質層の深さによる垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)を導出した。
【0218】
正極活物質層の垂直方向結着力は、正極活物質層の全体厚さに対して、正極活物質層表面から5%離隔された第1地点から電極集電体の表面から5%離隔された第2地点までの区間で測定されたデータを使用した。すなわち、正極活物質層表面近傍及び電極集電体表面近傍でのデータは、測定誤差を防止するために除外した。
【0219】
導出された正極活物質層の垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)データから下記数式1を使用して垂直方向結着力(FVR, Vertical Relative Force)変化率を計算した。結果の一部を下記表1に示した。
【0220】
[数式1]
垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)の変化率=[(垂直方向相対結着力の最大値-垂直方向相対結着力の最小値)/垂直方向相対結着力の最小値]×100
【0221】
【表1】
【0222】
表1に示されたように、実施例1の正極が含む正極活物質層の垂直方向相対結着力の変化率は、300%以下であった。
【0223】
したがって、正極活物質層が厚さ方向による位置に無関係に均一な結着力及び組成分布を有することを確認した。
【0224】
一方、比較例2の正極が含む正極活物質層の垂直方向結着力の変化率は、300%超過であった。
【0225】
したがって、正極活物質層の厚さ方向の位置によって顕著に変化される結着力及び組成分布を有することを確認した。
【0226】
評価例2:正極活物質層の水平方向結着力評価(II)
SAICAS (SAICAS EN-EX,Daipla Wintes,JAPAN)を使用し、実施例1ないし6及び比較例1ないし4で製造された正極が含む正極活物質層の結着特性を分析した。
【0227】
結着特性分析は、正極活物質層の両面間に正極集電体が配置される第1領域に対して遂行された。実施例1ないし6及び比較例1で製造された正極に対する結着特性分析は、貫通孔のない領域に対して遂行された。
【0228】
幅1mmのダイヤモンドブレードを使用してクリアランス角(clearance angle)10°、レーキ角(rake angle)20°、せん断角(shear angle)45°、水平速度(horizontal velocity) 4μm/s、及び垂直速度(vertical velocity)0.4μm/sの条件で定速分析を遂行して深さによる水平方向結着力(FH, Horizontal Force)を測定した。
【0229】
まず、第1領域が含む正極活物質層表面の第1位置から正極集電体表面まで1次定速分析を遂行し、正極集電体表面に沿ってブレードを水平移動させて正極活物質層を除去した。次いで、前記第1位置から10μm後進させた位置で、1次定速分析と同じ条件で2次定速分析を遂行した。2次定速分析で測定されたデータを使用した。
【0230】
正極活物質層全体厚さに対して、正極活物質層表面から10%離隔された第1地点での第1水平方向結着力(FH1, Horizontal Force)及び正極集電体の表面から10%離隔された第2地点での第2水平方向結着力(FH2, Horizontal Force)を測定した。
【0231】
水平方向結着力評価結果の一部を下記表2に示した。第1地点と第2地点の水平方向結着力の割合は、下記数式2によって定義される。
【0232】
[数式2]
第1地点と第2地点の水平方向結着力の割合(%)=[FH2/FH1]×100
【0233】
【表2】
【0234】
前記表2に示されたように、実施例1の正極活物質層は比較例2の正極活物質層に比べて水平方向結着力の割合が増加した。
【0235】
したがって、実施例1の正極活物質層が比較例2の正極活物質層に比べてさらに均一な結着力及び組成分布を有することを確認した。
【0236】
評価例3:延伸可能性評価
実施例6、及び比較例1ないし3で製造された正極に対して万能試験機(UniversalTest Machine)を使用して延伸可能性を評価した。
【0237】
正極の長手方向の両末端をそれぞれ固定させた後、正極の長手方向に正極長さの10%に該当する距離ほど延ばした後、最初長さに収縮して正極の延伸可能性を判断した。
【0238】
実施例6で製造された正極は、延伸及び収縮後に正極のクラックなどが発生していない。したがって、実施例6の正極は、延伸可能な正極であることを確認した。
【0239】
比較例1ないし3で製造された正極は、延伸過程で正極集電体のクラックが発生して正極にクラックが発生した。したがって、比較例1ないし3の正極は、延伸が不可能であった。
【0240】
評価例4:常温充放電特性評価
実施例1ないし6及び比較例1ないし4で製造されたリチウム電池を25℃、0.1C rateの電流、電圧4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電し、次いで、定電圧モードで4.4Vを保持しながら、0.05C rateの電流でカットオフ(cut-off)した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.1C rateの定電流で放電した(化成(formation)サイクル)。
【0241】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃で0.5C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.5C rateの定電流で放電し、そのようなサイクルを100thサイクルまで同じ条件で繰り返した(100回反復)。
【0242】
全ての充放電サイクルにおいて1つの充電/放電サイクル後、10分間の停止時間を置いた。常温充放電実験結果の一部を下記表3に示した。100thサイクルでの容量維持率は、下記数式1によって定義される。
【0243】
[数式1]
容量維持率[%]=[100thサイクルでの放電容量/1stサイクルでの放電容量]×100
【0244】
【表3】
【0245】
表3に示されたように、実施例1ないし6のリチウム電池は、比較例1ないし3のリチウム電池に比べて常温寿命特性が向上した。
【0246】
具体的に、貫通孔を含む正極を採用した実施例1ないし6のリチウム電池は、貫通孔を含まない比較例2、3のリチウム電池に比べて常温寿命特性が向上した。
【0247】
バリ(burr)のない貫通孔を含む乾式正極を採用した実施例1ないし6のリチウム電池は、バリ(burr)が存在する貫通孔を含む湿式正極を採用した比較例1のリチウム電池に比べて常温寿命特性が向上した。
【0248】
評価例5:常温高率特性評価
実施例1ないし6及び比較例1ないし4で製造されたリチウム電池を25℃で0.1C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電し、次いで、定電圧モードで4.4Vを保持しながら、0.05C rateの電流でカットオフ(cut-off)した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.1C rateの定電流で放電した(化成(formation)サイクル)。
【0249】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃で0.2C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.2C rateの定電流で放電した(1stサイクル)。
【0250】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃で0.2C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.33C rateの定電流で放電した(2ndサイクル)。
【0251】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃で0.2C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.5C rateの定電流で放電した(3rdサイクル)。
【0252】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃で0.2C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで1.0C rateの定電流で放電した(4thサイクル)。
【0253】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃で0.2C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで2.0C rateの定電流で放電した(5thサイクル)。
【0254】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃で0.2C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで3.0C rateの定電流で放電した(6thサイクル)。
【0255】
全ての充放電サイクルにおいて1つの充電/放電サイクル後、10分間の停止時間を置いた。常温充放電実験結果の一部を下記表4に示した。高率特性は、下記数式2によって定義される。
【0256】
[数式2]
高率特性[%]=[5thサイクルでの放電容量/1stサイクルでの放電容量]×100
【0257】
【表4】
【0258】
表4に示されたように、実施例1ないし6のリチウム電池は、比較例1ないし3のリチウム電池に比べて高率特性が向上した。
【0259】
具体的に、貫通孔を含む正極を採用した実施例1ないし6のリチウム電池は、貫通孔を含まない比較例2、3のリチウム電池に比べて高率特性が向上した。
【0260】
バリ(burr)のない貫通孔を含む乾式正極を採用した実施例1ないし6のリチウム電池は、バリ(burr)が存在する貫通孔を含む湿式正極を採用した比較例1のリチウム電池に比べて高率特性が向上した。
【符号の説明】
【0261】
1、1000 リチウム電池
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 電池ケース
6 キャップアセンブリ
7 電池構造体
8 電極タブ
100、100a、100b 電極活物質層
200 電極集電体
250、250a、250b 中間層
300 電極
300a 正極
300b 負極
400 電解質
500 電極組立体
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11
図12
図13
図14
図15