(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113938
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】コク味増強用組成物、コク味組成物、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20230808BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20230808BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20230808BHJP
A23L 23/00 20160101ALN20230808BHJP
A23L 17/00 20160101ALN20230808BHJP
A23L 7/10 20160101ALN20230808BHJP
A23L 11/70 20210101ALN20230808BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/10 C
A23L27/10 B
A23L19/00 A
A23L23/00
A23L17/00 A
A23L7/10 E
A23L11/70
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097527
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2018156209の分割
【原出願日】2018-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2018139043
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004189
【氏名又は名称】株式会社ニッスイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 努
(72)【発明者】
【氏名】土屋 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】竹村 裕二
(72)【発明者】
【氏名】杉山 公教
(57)【要約】
【課題】タンパク質に由来する旨味を有する食品のコク味を増強する方法を提供する。
【解決手段】マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスのいずれかの野菜エキスを有効成分とする、タンパク質エキスを含有する食品のコク味増強用組成物である。コク味増強用組成物とタンパク質含有素材のエキスを混合し、加熱することを特徴とするコク味組成物の製造方法である。コク味組成物を調味に用いることを特徴とする加工食品の製造方法である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスから選択される1種又は2種以上の野菜エキスを有効成分とする、タンパク質含有素材のエキスを含有する食品のコク味増強用組成物。
【請求項2】
マメ科の発芽野菜が、緑豆、大豆、黒大豆、ブラックマッペ、エンドウ豆、アルファルファ、フェヌグリークのいずれかの発芽野菜であり、アブラナ科の野菜が、チンゲンサイ、大根、ブロッコリー、ケール、小松菜、白菜、キャベツのいずれかである請求項1のコク味増強用組成物。
【請求項3】
野菜エキスが、野菜の搾汁液、野菜の水又はエタノールによる抽出物、又はそれらの乾燥物である請求項1又は2のコク味増強用組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかのコク味増強用組成物とタンパク質含有素材のエキスを混合し、加熱することを特徴とするコク味組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし3いずれかのコク味増強用組成物をタンパク質含有素材のエキスを含有する食品に、混合し、加熱することを特徴とする、コク味が増強した食品の製造方法。
【請求項6】
タンパク質含有素材のエキスが、畜産物のエキス、水産物のエキス、乳製品及び豆製品から選択される1種又は2種以上である請求項4又は5の方法。
【請求項7】
畜産物、又は水産物のエキスが、水又はエタノールによる抽出物、又はその乾燥物である請求項6の方法。
【請求項8】
乳製品が、牛乳、クリーム、ホエー、チーズ、ヨーグルト、バター、練乳、粉乳、カゼインのいずれかであり、豆製品が、豆乳、豆腐、味噌、もろみのいずれかである請求項6の方法。
【請求項9】
さらに、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、及び食塩から選択される1種又は2種以上を混合する請求項4ないし8いずれかの方法。
【請求項10】
請求項1ないし3いずれかのコク味増強用組成物の添加量が、固形分重量で、タンパク質含有素材のエキスの固形分量の0.01~100重量%である請求項4ないし9いずれかの方法。
【請求項11】
加熱温度が常圧下であれば80~100℃で、加熱時間が10分間以上、加圧下であれば100~150℃で、加熱時間が10分間以上である請求項4ないし10いずれかの方法。
【請求項12】
請求項4及び6ないし11いずれかの方法を用いて製造したコク味組成物を調味に用いることを特徴とする加工食品の製造方法。
【請求項13】
タンパク質含有素材のエキスの固形分に対して、マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスのいずれかの野菜エキスを固形分重量で、0.01~100重量%含有し、それらの加熱反応物を含有するコク味組成物。
【請求項14】
マメ科の発芽野菜が、緑豆、大豆、黒大豆、ブラックマッペ、エンドウ豆、アルファルファ、フェヌグリークのいずれかの発芽野菜であり、アブラナ科の野菜が、チンゲンサイ、大根、ブロッコリー、ケール、小松菜、白菜、キャベツ、カリフラワーのいずれかである請求項13のコク味組成物。
【請求項15】
野菜のエキスが、野菜の搾汁液、水又はエタノールによる抽出物、又はそれらの乾燥物である請求項13又は14のコク味組成物。
【請求項16】
タンパク質含有素材のエキスが、畜産物のエキス、水産物のエキス、乳製品及び豆製品から選択される1種又は2種以上である請求項13ないし15いずれかのコク味組成物。
【請求項17】
畜産物、又は水産物のエキスが、水又はエタノールによる抽出物、又はその乾燥物である請求項16のコク味組成物。
【請求項18】
乳製品が、牛乳、クリーム、ホエー、チーズ、ヨーグルト、バター、練乳、粉乳、カゼインのいずれかであり、豆製品が、豆乳、豆腐、味噌、もろみのいずれかである請求項16のコク味組成物。
【請求項19】
さらに、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、及び食塩から選択される1種又は2種以上を含有する請求項13ないし18いずれかのコク味組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の旨味を有する食品のコク味を増強する方法に関する。特にタンパク質含有素材のエキス、乳製品、豆製品などのコク味を増強する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品業界では、本物・本格志向の高まりや化学調味料を多用した単調な味に対する飽きから、「コク」・「深み」・「濃厚」といったキーワードが注目を集めている。食品の味の主要要素である塩味、甘味、酸味、苦味、旨味の五味以外に、最近注目されるのが、コク味である。コク味の定義は、基本五味の定義ほど明確にはされていないが、非特許文献1では、「味、香り、食感に関する多くの刺激[濃厚感(複雑さ、あつみ:complexity)]で生ずるものであるが、それらがある程度バランスよく与えられ、持続性(lastingness)や広がり(mouthfulness)があるときに感じられる味わい」と、特許文献1では、「ビーフブイヨンやかつお節だし汁などの天然素材の持つ呈味質であり、後味の伸びおよび深みを表現するものである」、特許文献2、3では、「厚み、ひろがり、持続性、まとまりなど基本味だけでなく、基本味の周辺の味をも増強した味」などと定義されている。
【0003】
特許文献1には、畜肉エキスにフラクトースを添加し、加熱を行うコク味の付与方法が開示されている。特許文献2、3には、糖ペプチドを有効成分とするコク味付与方法が開示されている。特許文献4には、白菜、タマネギ及びキャベツの成分を含有する野菜エキス組成物を用いた、動物エキス無しでコクがある調味料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-125805号公報
【特許文献2】国際公開第2004/096836号
【特許文献3】国際公開第2006/305903号
【特許文献4】特許第6244494号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】化学と生物、54(2)p102-108、2016、「食べ物の「こく」を科学する その現状と展望」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、例えば、チキンスープ、コンソメスープなどタンパク質に由来する旨味を有する食品のコク味を増強する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、食品のコク味に注目して研究する中、具材として用いた野菜のドリップの添加の有無により、スープのコク味に差があることを見出した。コク味に注目して各種野菜の効果を検討したところ、従来、スープストック製造に際して肉類と併用されるタマネギのような野菜のエキスではなく、具材として用いられることが多い葉物野菜やモヤシのエキスにコク味を増強させる効果があることを見出し、本願発明を完成させた。
本発明は、下記(1)~(3)のタンパク質含有素材のエキスを含有する食品のコク味増強用組成物、(4)~(12)のコク味組成物の製造方法、コク味が増強した食品の製造方法、及びコク味組成物を調味に用いる加工食品の製造方法、又は、(13)~(19)のコク味組成物を要旨とする。
【0008】
(1)マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスから選択される1種又は2種以上の野菜エキスを有効成分とする、タンパク質含有素材のエキスを含有する食品のコク味増強用組成物。
(2)マメ科の発芽野菜が、緑豆、大豆、黒大豆、ブラックマッペ、エンドウ豆、アルファルファ、フェヌグリークのいずれかの発芽野菜であり、アブラナ科の野菜が、チンゲンサイ、大根、ブロッコリー、ケール、小松菜、白菜、キャベツのいずれかである(1)のコク味増強用組成物。
(3)野菜エキスが、野菜の搾汁液、野菜の水又はエタノールによる抽出物、又はそれらの乾燥物である(1)又は(2)のコク味増強用組成物。
【0009】
(4)(1)ないし(3)いずれかのコク味増強用組成物とタンパク質含有素材のエキスを混合し、加熱することを特徴とするコク味組成物の製造方法。
(5)(1)ないし(3)いずれかのコク味増強用組成物をタンパク質含有素材のエキスを含有する食品に、混合し、加熱することを特徴とする、コク味が増強した食品の製造方法。
(6)タンパク質含有素材のエキスが、畜産物のエキス、水産物のエキス、乳製品及び豆製品から選択される1種又は2種以上である(4)又は(5)の方法。
(7)畜産物、又は水産物のエキスが、水又はエタノールによる抽出物、又はその乾燥物である(6)の方法。
(8)乳製品が、牛乳、クリーム、ホエー、チーズ、ヨーグルト、バター、練乳、粉乳、カゼインのいずれかであり、豆製品が、豆乳、豆腐、味噌、もろみのいずれかである(6)の方法。
(9)さらに、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、及び食塩から選択される1種又は2種以上を混合する(4)ないし(8)いずれかの方法。
(10)(1)ないし(3)いずれかのコク味増強用組成物の添加量が、固形分重量で、タンパク質含有素材のエキスの固形分量の0.01~100重量%である(4)ないし(9)いずれかの方法。
(11)加熱温度が常圧下であれば80~100℃で、加熱時間が10分間以上、加圧下であれば100~150℃で、加熱時間が10分間以上である(4)ないし(10)いずれかの方法。
(12)(4)及び(6)ないし(11)いずれかの方法を用いて製造したコク味組成物を調味に用いることを特徴とする加工食品の製造方法。
【0010】
(13)タンパク質含有素材のエキスの固形分に対して、マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスのいずれかの野菜エキスを固形分重量で、0.01~100重量%含有し、それらの加熱反応物を含有するコク味組成物。
(14)マメ科の発芽野菜が、緑豆、大豆、黒大豆、ブラックマッペ、エンドウ豆、アルファルファ、フェヌグリークのいずれかの発芽野菜であり、アブラナ科の野菜が、チンゲンサイ、大根、ブロッコリー、ケール、小松菜、白菜、キャベツ、カリフラワーのいずれかである(13)のコク味組成物。
(15)野菜のエキスが、野菜の搾汁液、水又はエタノールによる抽出物、又はそれらの乾燥物である(13)又は(14)のコク味組成物。
(16)タンパク質含有素材のエキスが、畜産物のエキス、水産物のエキス、乳製品及び豆製品から選択される1種又は2種以上である(13)ないし(15)いずれかのコク味組成物。
(17)畜産物、又は水産物のエキスが、水又はエタノールによる抽出物、又はその乾燥物である(16)のコク味組成物。
(18)乳製品が、牛乳、クリーム、ホエー、チーズ、ヨーグルト、バター、練乳、粉乳、カゼインのいずれかであり、豆製品が、豆乳、豆腐、味噌、もろみのいずれかである(16)のコク味組成物。
(19)さらに、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、及び食塩から選択される1種又は2種以上を含有する(13)ないし(18)いずれかのコク味組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコク味増強用組成物はタンパク質含有素材に添加し、加熱することにより、コク味を増強する効果を有する。本発明のコク味組成物は各種食品の調味に用いることにより、食品にコク味を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の加熱時間とコク味の関係を示す図である。
【
図2】実施例1の加熱120分のスープの配合率とコク味の関係を示す図である。
【
図3】実施例4の各野菜エキスのコク味を強化する効果を示す図である。棒グラフのカラムが黒色または灰色のものが本発明の野菜エキスであり、白色のものは比較例である。
【
図4】実施例5の加熱時間とコク味の関係を示す図である。
【
図5】実施例6のモヤシエキスの添加量とコク味の関係を示す図である。
【
図6】実施例7のチャーハンに添加したモヤシコク味組成物の効果を示す図である。
【
図7】実施例8の塩鮭に添加したモヤシコク味組成物の効果を示す図である。
【
図8】実施例9の塩サバに添加したモヤシコク味組成物の効果を示す図である。
【
図9】実施例10のホキエキスとモヤシエキスを含有するコク味組成物のホキスープにおける効果を示す図である。
【
図10】実施例11の牛乳とモヤシエキスを含有するコク味組成物のクリームスープにおける効果を示す図である。
【
図11】実施例12の豆乳とモヤシエキスを含有するコク味組成物の豆乳スープにおける効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスのいずれかの野菜エキスからなるタンパク質含有素材のコク味を増強するための組成物である。これらの野菜エキスをタンパク質含有素材に添加し加熱することにより、コク味が増強される。
【0014】
本発明において、「コク味」とは、「舌に残る持続性と厚みを感じる味」である。一般に、食品にコクがあるという場合、味の複雑さ、味の濃さ、粘度、脂肪含有量などさまざまな要素が関係する。それらを同じ条件に揃えて、本発明の組成物を用いると、添加の有無により、「舌に残る持続性と厚みを感じる味」に明確な差が生じる。
コク味は、現時点では、基礎味(塩味、甘味、酸味、苦味、旨味)のように明確に数値で測定できるパラメータではないが、食品の配合や製造方法により、明らかに違いが存在し、官能評価によりその違いを評価することができる。
【0015】
本発明において、「マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスのいずれかの野菜エキス」とは、これら野菜の搾汁液、水又はアルコールにより抽出したエキスである。これらは、液状でもペースト状でも乾燥粉末でも良い。
野菜は、生、冷凍品、乾燥品のいずれでも良い。例えば、生の野菜に対して、0.1~10倍量の水を加え、50~100℃で0.5~24時間加熱することにより、エキスが得られる。本発明において、エキスの添加量は、エキスに含まれる固形分の重量で表す。
野菜エキスは、野菜から単離して用いる方法に限られず、野菜そのものをコク味増強用組成物として、タンパク質含有素材に添加し、加熱する方法を採用することもできる。加熱することにより、野菜からエキスが放出され、野菜エキスを添加したのと同じ効果が得られる。必要に応じて、野菜エキスが放出された後の野菜粕をろ過するなどして除去することもできる。
【0016】
本発明において、「マメ科の発芽野菜」とは、一般にモヤシと言われる野菜である。豆類の種子を人為的に暗所で発芽させ、徒長させたものである。スプラウトと呼ばれることもある。緑豆、大豆、黒大豆、ブラックマッペ、エンドウ豆、アルファルファ、フェヌグリークなどが例示される。特に緑豆モヤシに強い効果が認められる。
【0017】
本発明において、「アブラナ科の野菜」とは、植物の分類でアブラナ目アブラナ科に分類される野菜である。具体的には、チンゲンサイ、大根、ブロッコリー、ケール、小松菜、白菜、キャベツ、カリフラワー、カブ、水菜、からし菜、ルッコラ、二十日大根、野沢菜などが例示される。これらの野菜の葉、茎、根などを用いる。
「マメ科の発芽野菜」、「アブラナ科の野菜」以外では、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスが本発明の野菜として用いることができる。
【0018】
野菜エキスとしては、市販されている各種野菜の可食性部分のエキスやその乾燥物を用いることができる。野菜の搾汁液をそのまま用いてもよい。野菜エキスは、野菜の可食部に対して水又は含水エタノール等を添加し、加熱することにより得ることができる。
【0019】
本発明において「タンパク質含有素材」とは、牛、豚、羊、ヤギ、馬、鶏、七面鳥などの畜産物、及び魚介類、甲殻類などの水産物の肉、内臓、骨、皮、卵などである。これらそのままでも、これらから抽出されたエキスでも良い。旨味がエキスとして水溶液中に抽出されているブイヨン、煮汁などの状態で用いると、本発明の効果がより鮮明に感じられる。
具体的には、畜産物では、ポークエキス、ビーフエキス、チキンエキス、魚類では、カツオエキス、グチエキス、ハモエキス、ホキエキス、タイエキス、甲殻類では、エビエキス、カニエキス、貝類では、ホタテエキス、アサリエキス、頭足類ではイカエキス、タコエキスなどが例示される。白湯スープのようにエキスに油脂や乳化物を添加したものを用いることもできる。
また、その他のタンパク質含有素材としては、牛乳、生クリーム、チーズ等の乳製品、又は、豆乳、味噌、もろみなどの豆製品などが例示される。
【0020】
タンパク質含有素材の処理方法は、それぞれのタンパク質含有素材に含まれる旨味成分が遊離されるような処理がされているのが好ましい。具体的には、加熱処理されたものであり、好ましくは、水分を添加し加熱処理されたものである。
【0021】
本発明のコク味増強用組成物は、タンパク質含有素材に添加し、加熱することにより効果が発揮される。
タンパク質含有素材のエキスに対して用いる場合、タンパク質含有素材のエキスの固形分に対して、野菜のエキスを固形分重量で、0.01~100重量%、0.01~50重量%、0.01~20重量%、0.05~20重量%、好ましくは、0.01~10重量%、0.05~10重量%、0.1~10重量%、さらに好ましくは0.1~5重量%添加することができる。
添加後、常圧下であれば80~100℃で、10分以上、20分以上、30分以上、45分以上、60分以上、あるいは、120分以上加熱する。こげないようにすれば、上限は特にないが、必要以上に長く加熱する必要はないので、150分、180分、240分程度でよい。加圧下であれば100~150℃で、10分以上、20分以上、30分以上、45分以上、60分以上、あるいは、120分以上加熱する。上限は特にないが、必要以上に長く加熱する必要はないので、150分、180分、240分程度でよい。
【0022】
コク味増強用組成物とタンパク質含有素材のエキスを混合し、加熱することにより製造されたコク味組成物は、そのままスープのベースとして用いることができる。各種加工食品の調味液として用いることもできる。
乳製品や豆製品の場合も、クリームシチュー、クリームコロッケ、味噌汁など、乳製品、豆製品を用いる食品の原料として用いることができる。
【0023】
本発明の「畜産物、又は水産物のエキス、乳製品又は豆製品の固形分に対して、マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスのいずれかの野菜エキスを固形分重量で、0.01~100重量%含有し、それらの加熱反応物を含有するコク味組成物」は、従来の動物性エキスに植物性エキスが添加されているだけなので、動物性エキスが用いられるあらゆる食品に動物性エキスと同様に用いることができる。
【0024】
本発明は、コク味を増強する野菜エキスを用いることを特徴とする、コク味が増強された食品の製造方法である。
本発明において食品とは、肉類、魚介類、乳製品、豆乳などの素材と、本発明の野菜エキスを混合、加熱した組成物自体、あるいはそれを含有する調味液で調味した食品である。具体的には、スープや各種惣菜類であって、揚げ物、焼き物、炒め物など、調味液による味や風味が重要な要素となる食品である。
【0025】
本発明は、コク味組成物を調味に用いることを特徴とする加工食品の製造方法である。本発明において加工食品とは、調味液を用いて、大量生産される調理食品である。調味液に本発明のコク味組成物を添加するだけで、コク味を付与することができる。
【0026】
本発明において、調味液とは、食品の味付けに用いる味や香りを付けるための材料を混合した液である。具体的には、食品素材の下ごしらえに用いる漬け込み用調味液、加熱調理時に添加して用いる味付け用タレ、加熱調理後の食品素材に掛けるタレなど、タレ用調味液類、和え物に用いる調味液など、生や加熱後の食品に添加して味や香りを付与する液状の混合物である。一般に合わせ調味液と呼ばれる。食品を大量生産する場合、調味料類は事前に混合して、合わせ調味液として用いられることが多い。
調味液には、塩味、甘味、旨味、苦味、酸味などの味を付与する調味料や素材のほか、コク味やまろやかさを付与する添加物、粘度のような物性に影響する増粘剤などの添加物、さらに香りや風味を与える香辛料、香味野菜など、目的の食品によって、あらゆる調味料、食品素材が用いられる。本発明により、タンパク質含有素材と野菜エキスが混合、加熱された後は、いずれの成分を添加してもかまわない。
【0027】
本発明の調味料を用いた加工食品とは、例えばラーメンスープ、ちゃんぽんスープ、パスタソース、うどんつゆ、そばつゆ、そうめんつゆ等の麺類のスープやつゆ、ソース、ドレッシング、味噌、マヨネーズ、トマトケチャップ、麺つゆ等の調味料、鍋物のつゆ、コンソメスープ、クリームスープ、お吸い物、味噌汁、ポタージュスープ等のスープ類、おにぎり、ピラフ、チャーハン、混ぜご飯、雑炊、お茶漬け等の米飯調理品、ちくわ、かまぼこ等の水産練り製品、鮭フレーク、辛子明太子、塩たらこ、焼魚、干物、塩辛、魚肉ソーセージ、煮魚、佃煮、缶詰等の水産加工食品、ハンバーグ、ソーセージ、ハム、肉団子等の畜産加工品、豆腐、厚揚げ、湯葉、豆乳スープ等の大豆加工食品、春巻き、シュウマイ、コロッケ、フライ、餃子、カレー、照り焼き、炒め物、煮物、揚げ物等の調理食品等が挙げられる。
また、それら食品は、調理後、常温で保存されるもの、冷蔵保存又は冷凍保存されるものであってもよい。本発明以外のコク味調味料、コク味付与剤を併用してもよい。
【0028】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例0029】
[実施例1]
(野菜ドリップのコク味増強効果)
標準的な麺類のスープとして、ポークエキス、チキンエキス、ほたてエキスなどのタンパク質含有素材のエキスを含有するちゃんぽん用濃縮スープ(表1)を用いて、野菜ドリップのコク味に対する影響を試験した。
表2に記載の野菜等を120℃で10分間炒めた。野菜から出てきたドリップを本実施例の野菜ドリップとして用いた。野菜ドリップのBrixは6%、塩分は0.49%であった。Brixはポケット糖度計(APAL-1、株式会社アタゴ製)、塩濃度はポケット塩分計(APAL-ES1、株式会社アタゴ製)により測定した。
表1のちゃんぽんの濃縮スープ40g、水300g、野菜ドリップ15gを混合、密封し、沸騰水中100℃で、0、10、30、60、120分加熱したサンプルを調製した。
【0030】
調製したサンプルを2倍希釈して、官能評価の評価液(Brix3%、塩分0.8%)とした。
味覚専門パネルによるマグニチュード推定法を用いた官能評価によりコク味の強さを評価した。コク味を「舌に残る持続性と厚みを感じる味」と定義し、評価者で認識を統一した。最もコク味が弱いと評価された評価液を0、最もコク味が強いと評価された評価液を1とし、残りの評価液をそれらに対する相対値で評価した。
【0031】
スープと野菜ドリップの加熱時間とコク味の関係を
図1に示した。コク味は加熱時間が長いほど強いと評価され、加熱時間に対するコク味の増加は30分まで急速に伸び、以降徐々に緩やかになった。さらに、加熱0分と加熱120分の混合加熱スープを混合した評価液について、同様に官能評価で評価した。加熱120分のスープの配合率とコク味の関係を
図2に示した。コク味は加熱120分のスープの配合率に比例して強いと評価された。
以上の結果から、スープと野菜ドリップの混合加熱によって生成し、濃度依存的にコク味を強める「コク味成分」が存在することが示唆された。それは、100℃で10分以上、加熱することにより得られる。
【0032】
【0033】
【0034】
[実施例2]
(タンパク質含有素材のエキスと野菜ドリップの比率)
タンパク質含有素材のエキスと野菜ドリップを表3の3通りの比率で混合し、沸騰水中100℃で60分加熱して、コク味組成物のサンプルを調製した。冷却後、表1の組成になるように、それぞれにポークエキス、チキンエキス以外の原材料を添加し濃縮スープを調製した。濃縮スープ40gに水300gを加え、スープとし、それぞれ2倍希釈して評価液とし、コク味の強さを3段階(○:コク味が強い、△:ややコク味が強い、×:どちらともいえない)で評価した。
評価結果を表3に示す。タンパク質含有素材のエキスに対する野菜ドリップの添加量は固形分比率で1.7重量%が最もコク味を増強するものであった。
【0035】
【0036】
[実施例3]
(タンパク質含有素材のエキスを含有する食品の種類)
本発明のコク味増強効果が、異なる種類のタンパク質含有素材のエキスを含有する食品でも得られることを確認した。表4に示した各種タンパク質含有素材のエキスを用い、表5の配合で原材料を混合した後、沸騰水中100℃で60分加熱し、冷却し、それぞれのコク味組成物を調製した。それぞれのコク味組成物を表1の濃縮スープに固形分として1重量%添加し、その40gに水300gを加え、スープを調製した。それぞれのスープを2倍希釈したものを評価液としてコク味の強さを3段階(○:コク味が強い、△:ややコク味が強い、×:どちらともいえない)で官能評価した。評価液を調製する際にエキス固形分、塩分が揃うように調整した。
結果を表4に示した。いずれのタンパク質含有素材のエキスも、強度に差はあるが野菜ドリップと混合し加熱することにより、コク味が増強することが確認された。
【0037】
【0038】
【0039】
[実施例4]
(各種野菜の効果比較)
実施例1で確認された野菜ドリップの効果が何によるものであるのかを確認するために、各種野菜のエキスのコク味に対する効果を比較した。用いた野菜エキスを表6に示した。各野菜エキスは、Brixを7.6%、塩分1.3%に調整して用いた。
表6に示した各種野菜エキスを用い、表7に示す配合で原材料を混合した後、沸騰水中100℃で60分加熱し、冷却後、表1の組成になるように、それぞれにポークエキス以外の原材料を添加し濃縮スープとした。濃縮スープ40gに水300gを加え、スープを調製し、それぞれ2倍希釈したものを評価液としてコク味の強さを官能評価した。
【0040】
【0041】
【0042】
官能評価は、実施例1で製造した加熱時間60分の野菜ドリップを用いたスープをコントロールとし、各野菜エキスのサンプル7種類ずつを、コク味の強い順に順位を付ける方法で行った。正規化順位法により、距離尺度、及び有意差があると言える距離尺度の差の最小値(l.s.d.)を算出した。コントロールに対する距離尺度÷l.s.d.×100をコク味の評価値(%)とした。
【0043】
結果は、各野菜のエキスのコク味を強化する効果を実施例1の野菜ドリップをコントロールとして、
図3に示した。従来、スープストックやラーメンスープなどを調製するときによく用いられるタマネギ、ニンジン、セロリ、ネギ、ニンニクなどと比較して、具材としては用いられるが、淡白な野菜であって、旨味やコクが強いという印象のない、モヤシ、チンゲンサイ、大根、ブロッコリー、ケールが野菜ドリップよりもさらに強いコク味増強効果を示した。これらの結果は、マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスの野菜エキスは、タンパク質含有素材のエキスと混合して加熱処理することにより、タマネギ、ニンジン等に劣らないコク味を増強する効果があることを示すものである。
【0044】
[実施例5]
(モヤシのコク味増強効果(1))
実施例4において、もっとも効果が強かったモヤシエキスの効果を、麺類のスープを製造する際に、よく用いられる野菜の混合エキス(ネギ、タマネギ、ニンニク、ショウガ:固形分比率=4:4:1:1)と比較した。ネギ、ニンニク、ショウガについては表6記載のエキス、タマネギはオニオンエキスIM(井村屋フーズ製)を使用した。モヤシエキスと野菜混合エキスは固形分が2重量%となるように配合した。
表8の配合で、タンパク質エキスと野菜エキスを混合し、沸騰水中100℃で加熱して、コク味組成物のサンプルを調製した。ネガティブコントロール(N.Cont.)は、野菜エキスを加えず、タンパク質含有素材のエキスのみを100℃で60分加熱して用いた。冷却後、表1の組成になるように、それぞれにポークエキス以外のスープの原材料を添加し濃縮スープとした。濃縮スープ40gに水300gを加え、スープとし、それぞれ2倍希釈して評価液として、コク味の強さを官能評価した。
【0045】
【0046】
実施例1と同様に、マグニチュード推定法によりコク味の強さを官能評価した。コク味を「舌に残る持続性と厚みを感じる味」と定義し、最もコク味が弱いと評価された評価液を0、最もコク味が強いと評価された評価液を1とし、残りの評価液をそれらに対する相対値で評価した。
結果を
図4に示す。モヤシエキスのコク味増強作用は、ネギ、タマネギ、ニンニク、ショウガの野菜混合エキスと比べて、非常に高いものであった。また、モヤシエキスも実施例1の野菜ドリップと同様に、加熱時間が長いほど、コク味増強作用が強くなることが確認された。
【0047】
[実施例6]
(モヤシのコク味増強効果(2))
表9に示すように、モヤシエキスの添加量を0.5%、1%、2%、4%とした以外は、実施例5と同様にモヤシエキスのコク味増強効果を確認した。いずれも加熱時間は60分とした。
【0048】
【0049】
実施例5と同様の方法で、官能評価した。
結果を
図5に示す。モヤシエキスのコク味増強作用は、0.5~4%の範囲で、添加量に依存して高い効果が得られた。
【0050】
[実施例7]
(チャーハンにおけるコク味増強効果)
野菜エキスとしてもやしエキスを用いて、実施例4の表7の配合で原材料を混合した後、沸騰水中100℃で60分加熱し、もやしコク味組成物を調製した。表10に示した配合で原材料を炒めチャーハンを作製した。もやしコク味組成物を添加しない炒飯を比較例とした。なお比較例は実施例と塩分が等しくなるよう加塩調整した。
分析型パネル(n=10)による官能評価に供した結果を
図6に示す。それぞれの指標について、5段階(-2:弱い、-1:やや弱い、0:どちらともいえない、1:やや強い、2:強い)で絶対評価を行った。
もやしコク味組成物を添加することにより、明確にコク味が強まり、総合評価(総合的なおいしさ)も向上することが示された。
【0051】
【0052】
[実施例8]
(水産加工品におけるコク味増強効果(1)塩鮭)
実施例7のもやしコク味組成物を用いて、塩鮭を作製した。もやしコク味組成物を添加しない塩鮭を比較例とした。なお比較例は実施例と塩分が等しくなるよう加塩調整した。表11に示す配合で作製した調味液に秋鮭切身を5℃で18時間浸漬した後、焼成した。
実施例7と同様の官能評価に供した結果を
図7に示す。もやしコク味組成物を添加することにより、明確にコク味が強まり、総合評価も向上することが示された。
【0053】
【0054】
[実施例9]
(水産加工品におけるコク味増強効果(2)塩サバ)
マサバの切身を実施例8と同様の方法で浸漬、焼成し、塩さばを作製した。
実施例7と同様の官能評価に供した結果を
図8に示す。もやしコク味組成物を添加することにより、明確にコク味が強まり、総合評価も向上することが示された。
【0055】
[実施例10]
(魚類エキスにおけるモヤシのコク味増強効果)
ホキ身肉に対して2倍量の水を加え、100℃で1時間加熱することにより回収したエキスを減圧濃縮に供し、Brix16%、塩分2%のホキエキスを得た。このホキエキスとその他の原材料を表12の配合で混合した後、沸騰水中100℃で0分、5分、30分、60分加熱し、各々の加熱時間のホキコク味組成物を作製した。ホキコク味組成物、食塩、顆粒野菜ブイヨン(ムソー(株)製)を表13の配合で混合後、80℃まで加熱し、ホキスープを作製した。
分析型パネル(n=4)による官能評価に供した。評価は、マグニチュード推定法によりコク味の強さを官能評価した。コク味を「舌に残る持続性と厚みを感じる味」と定義し、評価者で認識を統一した。最もコク味が弱いと評価されたスープを0、最もコク味が強いと評価されたスープを1とし、残りのスープをそれらに対する相対値で評価した。結果を
図9に示す。ホキエキスともやしの加熱時間に比例してコク味が強まることが示された。
【0056】
【0057】
【0058】
[実施例11]
(乳製品におけるモヤシのコク味増強効果)
牛乳(Brix13%、塩分0.2%)とその他の原材料を表14の配合で混合した後、沸騰水中100℃で0分、5分、30分、60分加熱し、各々の加熱時間の牛乳コク味組成物を作製した。牛乳コク味組成物、バター、薄力粉、顆粒コンソメ(味の素(株)製)を表15の配合で混合後、80℃まで加熱し、クリームスープを作製した。
分析型パネル(n=4)による官能評価に供した結果を
図10に示す。評価方法は、実施例10と同じである。牛乳ともやしの加熱時間に比例してコク味が強まることが示された。
【0059】
【0060】
【0061】
[実施例12]
(豆製品におけるモヤシのコク味増強効果)
豆乳(Brix13%、塩分0.2%)とその他の原材料を表16の配合で混合した後、沸騰水中100℃で0分、5分、30分、60分加熱し、各々の加熱時間の豆乳コク味組成物を作製した。豆乳コク味組成物、顆粒鶏がらスープ(味の素(株)製)、食塩を表17の配合で混合後、80℃まで加熱し、豆乳スープを作製した。
分析型パネル(n=4)による官能評価に供した結果を
図11に示す。評価方法は、実施例10と同じである。豆乳ともやしの加熱時間に比例してコク味が強まることが示された。
【0062】
【0063】
【0064】
[実施例13]
(発芽野菜のコク味増強効果)
緑豆もやし、大豆もやし、豆苗(エンドウ豆)、かいわれ大根、ブロッコリースプラウトの5種の生の発芽野菜を細断した後、野菜重量に対して0.2倍量の水を加え、常圧下100℃で30分加熱し、各々の発芽野菜エキスを得た。回収した緑豆もやしエキス(Brix3.9%、塩分0.1%)、大豆もやしエキス(Brix5.1%、塩分0.2%)、豆苗エキス(Brix4.0%、塩分0.2%)、かいわれ大根エキス(Brix3.7%、塩分0.3%)、ブロッコリースプラウトエキス(Brix2.6%、塩分0.3%)、及び実施例1の野菜ドリップを表18の配合で混合した後、沸騰水中100℃で60分加熱し、各々の野菜コク味組成物を作製した。冷却後、表1の組成になるように、それぞれにポークエキス以外の原材料を添加し濃縮スープとした。濃縮スープ40gに水300gを加え、スープを調製した。それぞれ2倍希釈して評価液を調製してコク味の強さを4段階(◎:とてもコク味が強い、○:コク味が強い、△:ややコク味が強い、×:どちらともいえない)で評価した。結果を表18に示す。すべての野菜において、加熱前と比較し、加熱後にコク味が強まる効果が確認された。また、緑豆もやし、大豆もやし、かいわれ大根のコク味組成物には野菜ドリップと同等以上の効果が確認され、中でも緑豆もやしの効果が最も高かった。
【0065】
マメ科の発芽野菜、アブラナ科の野菜、ピーマン、ホウレンソウ、及びレタスから選択される1種又は2種以上の野菜エキスを有効成分とする、タンパク質含有素材のエキスを含有する食品のコク味増強用組成物。