(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114503
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】果実計測用シート及び果実計測方法
(51)【国際特許分類】
A01G 3/00 20060101AFI20230810BHJP
B07C 7/04 20060101ALI20230810BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20230810BHJP
G01B 3/34 20060101ALN20230810BHJP
B07C 5/06 20060101ALN20230810BHJP
【FI】
A01G3/00 Z
B07C7/04
A01G7/00 603
G01B3/34
B07C5/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016823
(22)【出願日】2022-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】西川 芙美恵
【テーマコード(参考)】
2F061
3F079
【Fターム(参考)】
2F061AA24
2F061BB06
2F061CC40
2F061FF04
2F061GG11
3F079AC21
3F079CB02
(57)【要約】
【課題】摘果対象の果実(大玉・小玉)を容易に判別し、非熟練の作業者であっても容易に摘果作業を行うことができる果実計測用シート及び果実計測方法を提供すること。
【解決手段】果実計測用シート1は、摘果対象の果実の判別に用いられる果実計測用シートであって、所定の直径の円20aがくり抜かれた小シート20と、円20aよりも直径が大きい円10aがくり抜かれた大シート10と、を備え、小シート20及び大シート10は、果実の計測時において、円20a及び円10aが互いに重ね合わされるように配置可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摘果対象の果実の判別に用いられる果実計測用シートであって、
所定の直径の第1の円がくり抜かれた第1のシートと、
前記第1の円よりも直径が大きい第2の円がくり抜かれた第2のシートと、を備え、
前記第1のシート及び前記第2のシートは、前記果実の計測時において、前記第1の円及び前記第2の円が互いに重ね合わされるように配置可能に構成されている、果実計測用シート。
【請求項2】
前記第1のシート及び前記第2のシートを貫通するように延びる固定部を更に備え、
前記第1のシート及び前記第2のシートは、前記固定部を回転軸として回転可能に構成されている、請求項1記載の果実計測用シート。
【請求項3】
前記第1の円の直径及び前記第2の円の直径とは異なる直径の第3の円がくり抜かれた一又は複数の第3のシートを更に備え、
前記第3のシートは、前記果実の計測時において、前記第3の円が、前記第1の円又は前記第2の円に重ね合わされるように配置可能に構成されている、請求項1又は2記載の果実計測用シート。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項記載の果実計測用シートを用いた果実計測方法であって、
前記第1のシート及び前記第2のシートについて、前記果実を通過させる方向において前記第1の円及び前記第2の円を互いに重ね合わせる第1工程と、
前記第1の円及び前記第2の円を重ね合わせた状態で、前記果実を通過させる方向において前記第1のシート及び前記第2のシートを前記果実に近づけ、前記第1の円及び前記第2の円のそれぞれについて前記果実が通過するか否かを検証する第2工程と、
前記第2工程において、前記果実が前記第1の円を通過した場合、又は、前記果実が前記第2の円を通過しなかった場合、該果実を摘果する第3工程と、を含む果実計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、果実計測用シート及び果実計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば柑橘等の果実の摘果においては、大きくなり過ぎた果実(大玉)や小さすぎる果実(小玉)を取り除く摘果作業が行われる。このような摘果作業は、熟練の作業者のみが実施可能な作業であると認識されており、作業者を十分に確保することができない場合がある。摘果作業の作業者が不足することにより、摘果できる面積が小さくなり、結果として摘果不足となって翌年の生産量が低下してしまう。このように、摘果作業者を十分に確保することができないことによって、果実の毎年の生産量の変動が大きくなるおそれがある。
【0003】
そこで、非熟練の作業者(例えば雇用労力)であっても適切に摘果を行うことができる方法が検討されている。例えば、雇用労力であっても摘果対象の果実の判断を容易に行うことができるように、大玉・小玉を判別することができる摘果補助具を用いることが考えられる(例えば特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1に記載された摘果補助具は、摘果する果実に合わせた所定の大きさのリングにゴム紐がついた構成とされている。当該摘果補助具が用いられる場合、ゴム紐に作業者の指がはめられ、リングに果実が入るか否かに応じて摘果作業が行われる。また、特許文献2に記載された摘果補助具は、枝の太さを測定するものである。当該摘果補助具が用いられる場合、枝の太さに応じて摘果作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平02-086676号公報
【特許文献2】実用新案登録第3225797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に記載された摘果補助具を用いた摘果作業では、大玉・小玉のそれぞれに該当するか否かを同時に測定することができず、非熟練の作業者にとって容易な作業とは言えない。また、例えば特許文献2に記載された摘果補助具を用いた摘果作業では、枝の太さから摘果対象の果実が特定されるが、直接果実の大きさが測定される場合と比べて、高精度に摘果作業が行えない場合がある。その他の摘果補助具として摘果ノギスがあるが、摘果ノギスを用いた摘果作業では、果実にジョウを合わせてメモリを読む手間が発生するため、非熟練の作業者にとって容易な作業とは言えない。また、その他の摘果補助具として板状の部材に摘果する果実に合わせた複数の穴(摘果穴)が形成された部材があるが、このような部材を用いた摘果作業でも、大玉・小玉のそれぞれに該当するか否かを同時に測定することができず、非熟練の作業者にとって容易な作業とは言えない。
【0007】
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、摘果対象の果実(大玉・小玉)を容易に判別し、非熟練の作業者であっても容易に摘果作業を行うことができる果実計測用シート及び果実計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る果実計測用シートは、摘果対象の果実の判別に用いられる果実計測用シートであって、所定の直径の第1の円がくり抜かれた第1のシートと、第1の円よりも直径が大きい第2の円がくり抜かれた第2のシートと、を備え、第1のシート及び第2のシートは、果実の計測時において、第1の円及び第2の円が互いに重ね合わされるように配置可能に構成されている。
【0009】
本発明の一態様に係る果実計測用シートでは、果実の計測時において、第1の円、及び、該第1の円よりも直径が大きい第2の円が互いに重ね合わされるように、第1のシート及び第2のシートが配置可能とされている。このような果実計測用シートによれば、例えば第1の円の直径を小さすぎる果実(小玉)のサイズに設定すると共に、第2の円の直径を大きくなり過ぎた果実(大玉)のサイズに設定し、これらの円が重ね合わされた状態で、第1のシート及び第2のシートを果実に近づけることにより、摘果対象の果実であるか否か(大玉・小玉であるか)を迅速に判別することができる。すなわち、第1の円を通過した果実については小玉であり、また、第2の円を通過しなかった果実については大玉であると判別することができる。そして、果実の計測時において第1の円及び第2の円が互いに重ね合わされるように第1のシート及び第2のシートが配置されているため、上述した大玉・小玉の判別を瞬時に(ほぼ同時に)行うことができる。以上のように、本発明の一態様に係る果実計測用シートによれば、摘果対象の果実(大玉・小玉)を容易に判別し、非熟練の作業者であっても容易に摘果作業を行うことができる。
【0010】
上記果実計測用シートは、第1のシート及び第2のシートを貫通するように延びる固定部を更に備え、第1のシート及び第2のシートは、固定部を回転軸として回転可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、第1のシート及び第2のシートを回動させることによって、第1の円及び第2の円を容易に重ね合わせることができる。
【0011】
上記果実計測用シートは、第1の円の直径及び第2の円の直径とは異なる直径の第3の円がくり抜かれた一又は複数の第3のシートを更に備え、第3のシートは、果実の計測時において、第3の円が、第1の円又は第2の円に重ね合わされるように配置可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば第3のシート及び第1のシート(或いは第3のシート及び第2のシート)を用いて、上述した第1のシート及び第2のシートの組み合わせとは異なる大玉・小玉の設定で摘果作業を行うことができる。このように、第3のシートが設けられることにより、シートの組み合わせを変えながら、2パターン以上の大玉・小玉の設定で摘果作業を行うことが可能になる。
【0012】
本発明の一態様に係る果実計測方法は、上記果実計測用シートを用いた果実計測方法であって、第1のシート及び第2のシートについて、果実を通過させる方向において第1の円及び第2の円を互いに重ね合わせる第1工程と、第1の円及び第2の円を重ね合わせた状態で、果実を通過させる方向において第1のシート及び第2のシートを果実に近づけ、第1の円及び第2の円のそれぞれについて果実が通過するか否かを検証する第2工程と、第2工程において、果実が第1の円を通過した場合、又は、果実が第2の円を通過しなかった場合、該果実を摘果する第3工程と、を含む。このような果実計測方法によれば、例えば第1の円の直径を小さすぎる果実(小玉)に合わせると共に、第2の円の直径を大きくなり過ぎた果実(大玉)に合わせておくことにより、摘果対象の果実であるか否か(大玉・小玉であるか)を迅速に判別することができる。すなわち、第1の円を通過した果実については小玉であり、また、第2の円を通過しなかった果実については大玉であると判別することができる。そして、果実の計測時において第1の円及び第2の円が互いに重ね合わされているため、上述した大玉・小玉の判別をほぼ同時に行うことができる。以上のように、本発明の一態様に係る果実計測方法によれば、摘果対象の果実(大玉・小玉)を容易に判別し、非熟練の作業者であっても容易に摘果作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係る果実計測用シート及び果実計測方法によれば、摘果対象の果実(大玉・小玉)を容易に判別し、非熟練の作業者であっても容易に摘果作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る果実計測用シートを模式的に示す図である。
【
図2】
図1の果実計測用シートを用いた果実計測方法を説明する図である。
【
図3】摘果する果実、及び、残す果実の判別について説明する図である。
【
図4】果実計測用シートを用いた果実計測方法の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る果実計測用シート1を模式的に示す図である。果実計測用シート1は、摘果対象の果実の判別に用いられる摘果補助具である。ここでの果実とは、例えば柑橘等の果実である。また、ここでの摘果とは、良質の果実のみを残すために、大きくなり過ぎた果実(大玉)及び小さすぎる果実(小玉)を摘むことをいう。果実計測用シート1は、摘果作業において大玉及び小玉の判別を行うための器具である。
【0017】
図1に示されるように、果実計測用シート1は、大シート10(第2のシート)と、小シート20(第1のシート)と、複数の第3の判別シート30,30,30(第3のシート)と、表面シート50と、固定部60と、を備えている。
【0018】
大シート10は、その中央部において所定の直径の円10a(第2の円)がくり抜かれた四角形状のシート状部材である。大シート10の円10aの直径は、後述する小シート20の円20aの直径よりも大きい。円10aの直径は、摘果したい大玉のサイズ(詳細には、大玉と判別される最小のサイズ)に応じて設定される。具体的には、円10aの直径は、大玉として摘果したい果実の赤道面における直径として想定される長さと同程度とされてもよい。これにより、円10aを通過しなかった果実について、大玉であると判別することが可能になる。円10aの直径は、例えば果実が柑橘である場合、40mm~80mm程度とされてもよい。
【0019】
小シート20は、その中央部において所定の直径の円20a(第1の円)がくり抜かれた四角形状のシート状部材である。小シート20の円20aの直径は、大シート10の円10aの直径よりも小さい。円20aの直径は、摘果したい小玉のサイズ(詳細には、小玉と判別される最大のサイズ)に応じて設定される。具体的には、円20aの直径は、小玉として摘果したい果実の赤道面における直径として想定される長さと同程度とされてもよい。これにより、円20aを通過した果実について、小玉であると判別することが可能になる。円20aの直径は、例えば果実が柑橘である場合、30mm~55mm程度とされてもよい。
【0020】
大シート10及び小シート20は、例えば可撓性素材により形成されている。また、大シート10及び小シート20は、その他の素材により形成されていてもよい。
【0021】
大シート10及び小シート20は、果実の計測時において、円10a及び円20aが互いに重ね合わされるように配置可能に構成されている。大シート10及び小シート20は、大シート10及び小シート20を貫通するように延びる固定部60(詳細は後述)を回転軸として回転可能に構成されており、それぞれ回転して位置合わせされることにより、円10a及び円20aが互いに重ね合わされる。
【0022】
第3の判別シート30は、上述した円10aの直径及び円20aの直径とは異なる直径の円(第3の円,不図示)がくり抜かれた四角形状のシート状部材である。本実施形態では、一例として、3つの第3の判別シート30,30,30が設けられている。これら3つの第3の判別シート30,30,30の円は、互いに異なる直径とされている。すなわち、果実計測用シート1では、互いに円の直径が異なるシート状部材として、大シート10と、小シート20と、3つの第3の判別シート30,30,30とが設けられている。
【0023】
第3の判別シート30は、果実の計測時において、円(第3の円,不図示)が、円10a又は円20aに重ね合わされるように配置可能に構成されている。また、第3の判別シート30は、果実の計測時において、円(第3の円,不図示)が、他の第3の判別シート30の円(第3の円,不図示)に重ね合わされるように配置可能に構成されている。各第3の判別シート30,30,30は、各第3の判別シート30,30,30を貫通するように延びる固定部60(詳細は後述)を回転軸として回転可能に構成されており、それぞれ回転して位置合わせされる。
【0024】
例えば、摘果対象の果実における大玉及び小玉に合わせて、大シート10及び小シート20が用意されている場合には、円10a及び円20aが互いに重ね合わされるように大シート10及び小シート20が配置されることにより、摘果対象の果実の大玉及び小玉を判別することができる(詳細は後述)。また、例えば、上記とは異なる摘果対象の果実について、大玉を大シート10で判別し小玉をいずれかの第3の判別シート30で判別する場合には、円10a及び円(第3の円,不図示)が互いに重ね合わされるように大シート10及び第3の判別シート30が配置されることにより、摘果対象の果実の大玉及び小玉を判別することができる。また、例えば、上記とは異なる摘果対象の果実について、大玉を第3の判別シート30で判別し小玉を小シート20で判別する場合には、円(第3の円,不図示)及び円20aが互いに重ね合わされるように第3の判別シート30及び小シート20が配置されることにより、摘果対象の果実の大玉及び小玉を判別することができる。さらに、例えば、上記とは異なる摘果対象の果実について、大玉を第3の判別シート30で判別し小玉を別の第3の判別シート30で判別する場合には、互いに直径が異なる円(第3の円,不図示)同士が互いに重ね合わされるように第3の判別シート30,30が配置されることにより、摘果対象の果実の大玉及び小玉を判別することができる。このように、複数(ここでは3つ)の第3の判別シート30,30,30が設けられていることにより、複数のバリエーションの大玉及び小玉を判別することができる。
【0025】
表面シート50は、大シート10、小シート20、及び第3の判別シート30よりも表面側に設けられたシートである。表面シート50は、材質及び形状が大シート10等と同じであってもよい。果実計測用シート1においては、表面側から、表面シート50、小シート20、各第3の判別シート30,30,30、大シート10の順で配置されていてもよい。
【0026】
固定部60は、表面シート50、小シート20、各第3の判別シート30,30,30、及び大シート10の一端部(隅部)を貫通するように延びる部材である。固定部60は、各シートの回転軸として機能する。
【0027】
図2は、
図1の果実計測用シート1を用いた果実計測方法を説明する図である。
図2には、摘果対象であるか否かを判別する果実として、1つの果実100が示されている。いま、果実100の大玉及び小玉に合わせて、大シート10及び小シート20が用意されているとする。
【0028】
この場合、
図2に示されるように、まず、大シート10及び小シート20について、果実100を通過させる方向において円10a及び円20aが互いに重ね合わされる(第1工程)。つづいて、円10a及び円20aを重ね合わせた状態で、果実100を通過させる方向において大シート10及び小シート20を果実100に近づけ、円10a及び円20aのそれぞれについて果実100が通過するか否かが検証される(第2工程)。そして、第2工程において、果実100が円20aを通過した場合、又は、果実100が円10aを通過しなかった場合、該果実100を摘果対象であると判別し、該果実100を摘果する(第3工程)。
【0029】
図3は、摘果する果実、及び、残す果実の判別について説明する図である。
図3(a)及び
図3(b)は、摘果する果実100であると判別される例を示している。
図3(c)は、残す果実100であると判別される例を示している。
【0030】
図3(a)に示される例では、大シート10の円10aを果実100が通過できていない。この場合、作業者は、果実100が大玉であると判別することができ、該果実100を摘果する。
【0031】
図3(b)に示される例では、小シート20の円20aを果実100が通過できている。この場合、作業者は、果実100が小玉であると判別することができ、該果実100を摘果する。
【0032】
図3(c)に示される例では、大シート10の円10aを果実100が通過できており、且つ、小シート20の円20aを果実100が通過できていない。この場合、作業者は、果実100が大玉よりも小さく小玉よりも大きい、すなわちちょうどよいサイズであると判別することができ、該果実100を摘果せずに残す。
【0033】
図3(a)~
図3(c)に示されるように、本実施形態に係る果実計測用シート1を用いた果実計測方法では、果実100の計測時において、円10a及び円20aが互いに重ね合わされているため、大玉・小玉の判別を瞬時(ほぼ同時)に行うことができる。
【0034】
図4は、果実計測用シート1を用いた果実計測方法の工程を示すフローチャートである。
図4に示されるように、本果実計測方法では、果実計測用シート1を準備した上で、測定する果実(すなわち、摘果対象であるか判別される果実)が選択される(ステップS1)。
【0035】
つづいて、大シート10の円10a及び小シート20の円20aが、互いに重ね合わされた状態で、大シート10及び小シート20がステップS1において選択された果実に近づけられる(ステップS2)。
【0036】
そして、大シート10の円10a(穴)を果実が通過できるか(ステップS3)、及び、小シート20の円20a(穴))を果実が通過できないか(ステップS4)がそれぞれ検証される。なお、ステップS3及びステップS4は、いずれが先に実施されてもよい。
【0037】
そして、ステップS3において大シート10の円10aを果実が通過できないと判定された場合、及び、ステップS4において小シート20の円20aを果実が通過できると判定された場合には、当該果実が摘果される(ステップS5)。なお、大シート10の円10aを果実が通過できないと判定された場合には該果実が大玉であると判別され、小シート20の円20aを果実が通過できると判定された場合には該果実が小玉であると判別される。
【0038】
一方で、ステップS3において大シート10の円10aを果実が通過できると判定された場合、及び、ステップS4において小シート20の円20aを果実が通過できないと判定された場合には、当該果実が摘果されずに残される(ステップS6)。なお、この場合の果実は、ちょうどよいサイズであると判別されている。以上が、果実計測用シート1を用いた果実計測方法の工程である。
【0039】
次に、本実施形態に係る果実計測用シート1、及び、果実計測用シート1を用いた果実計測方法の作用効果を説明する。
【0040】
本実施形態に係る果実計測用シート1は、摘果対象の果実の判別に用いられる果実計測用シートであって、所定の直径の円20aがくり抜かれた小シート20と、円20aよりも直径が大きい円10aがくり抜かれた大シート10と、を備え、小シート20及び大シート10は、果実の計測時において、円20a及び円10aが互いに重ね合わされるように配置可能に構成されている。
【0041】
本実施形態に係る果実計測用シート1では、果実の計測時において、円20a、及び、該円20aよりも直径が大きい円10aが互いに重ね合わされるように、小シート20及び大シート10が配置可能とされている。このような果実計測用シート1によれば、例えば円20aの直径を小さすぎる果実(小玉)に合わせると共に、円10aの直径を大きくなり過ぎた果実(大玉)に合わせ、これらの円が重ね合わされた状態で、小シート20及び大シート10を果実に近づけることにより、摘果対象の果実であるか否か(大玉・小玉であるか)を迅速に判別することができる。すなわち、円20aを通過した果実については小玉であり、また、円10aを通過しなかった果実については大玉であると判別することができる。そして、果実の計測時において円20a及び円10aが互いに重ね合わされるように小シート20及び大シート10が配置されているため、上述した大玉・小玉の判別を瞬時に(ほぼ同時に)行うことができる。以上のように、本実施形態に係る果実計測用シート1によれば、摘果対象の果実(大玉・小玉)を容易に判別し、非熟練の作業者であっても容易に摘果作業を行うことができる。
【0042】
上記果実計測用シート1は、小シート20及び大シート10を貫通するように延びる固定部60を更に備え、小シート20及び大シート10は、固定部60を回転軸として回転可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、小シート20及び大シート10を回動させることによって、円20a及び円10aを容易に重ね合わせることができる。
【0043】
上記果実計測用シート1は、円20aの直径及び円10aの直径とは異なる直径の第3の円がくり抜かれた複数の第3の判別シート30,30,30を更に備え、第3の判別シート30は、果実の計測時において、第3の円が、円20a又は円10aに重ね合わされるように配置可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば第3の判別シート30及び小シート20(或いは第3の判別シート30及び大シート10)を用いて、上述した小シート20及び大シート10の組み合わせとは異なる大玉・小玉の設定で摘果作業を行うことができる。このように、第3の判別シート30が設けられることにより、シートの組み合わせを変えながら、2パターン以上の大玉・小玉の設定で摘果作業を行うことが可能になる。
【0044】
本実施形態に係る果実計測方法は、上記果実計測用シート1を用いた果実計測方法であって、小シート20及び大シート10について、果実を通過させる方向において円20a及び円10aを互いに重ね合わせる第1工程と、円20a及び円10aを重ね合わせた状態で、果実を通過させる方向において小シート20及び大シート10を果実に近づけ、円20a及び円10aのそれぞれについて果実が通過するか否かを検証する第2工程と、第2工程において、果実が円20aを通過した場合、又は、果実が円10aを通過しなかった場合、該果実を摘果する第3工程と、を含む。このような果実計測方法によれば、例えば円20aの直径を小さすぎる果実(小玉)に合わせると共に、円10aの直径を大きくなり過ぎた果実(大玉)に合わせておくことにより、摘果対象の果実であるか否か(大玉・小玉であるか)を迅速に判別することができる。すなわち、円20aを通過した果実については小玉であり、また、円10aを通過しなかった果実については大玉であると判別することができる。そして、果実の計測時において円20a及び円10aが互いに重ね合わされているため、上述した大玉・小玉の判別を瞬時に(ほぼ同時に)行うことができる。以上のように、本実施形態に係る果実計測方法によれば、摘果対象の果実(大玉・小玉)を容易に判別し、非熟練の作業者であっても容易に摘果作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1…果実計測用シート、10…大シート(第2のシート)、10a…円(第2の円)、20…小シート、20a…円(第1の円)、30…第3の判別シート(第3のシート)、60…固定部、100…果実。