(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114542
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】基板処理装置及び位置ずれ補正方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230810BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230810BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016892
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 民宏
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA04
4K030FA01
4K030GA02
4K030KA22
4K030KA26
4K030KA45
4K030LA15
5F004BB18
5F004BB28
5F004BD04
5F004CA05
5F004CB12
5F045DP03
5F045EB02
5F045EF05
5F045EM01
5F045GB05
5F045GB16
(57)【要約】
【課題】位置ずれを抑制する技術を提供すること。
【解決手段】取付プレートは、処理容器内の位置ずれを計測する基準となる所定の基準位置に対して、温度変化による膨張、収縮により処理容器が伸縮する伸縮方向に第1位置決め機構により位置決めして処理容器に取り付けられている。載置台は、基準位置に対して、第1位置決め機構の位置の反対側となる位置に第2位置決め機構により位置決めして取付プレートに取り付けられた支持機構を介して処理容器内に配置され、基板が載置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、
前記処理容器内の位置ずれを計測する基準となる所定の基準位置に対して、温度変化による膨張、収縮により前記処理容器が伸縮する伸縮方向に第1位置決め機構により位置決めして前記処理容器に取り付けられた取付プレートと、
前記基準位置に対して、前記第1位置決め機構の位置の反対側となる位置に第2位置決め機構により位置決めして前記取付プレートに取り付けられた支持機構を介して前記処理容器内に配置され、基板が載置される載置台と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記基準位置と、前記第1位置決め機構と、前記第2位置決め機構は、直線状に配置された
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基準位置は、前記処理容器内の中心位置である
請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理容器は、前記載置台の上部に基板処理に用いるガスを噴出するシャワープレートを備え、
前記基準位置は、前記シャワープレートの中心位置とする
請求項1~3の何れか1つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記取付プレートの温度を調整する温調機構をさらに有する
請求項1~4の何れか1つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記温調機構は、前記処理容器の前記基準位置と前記取付プレートの前記第2位置決め機構の位置の間の伸縮量が、前記処理容器の前記基準位置と前記第1位置決め機構の位置の間の伸縮量と同じとなるように前記取付プレートの温度を調整する
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理容器の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部による検出結果に基づき、前記温調機構の温度を制御する制御部と、
をさらに有する請求項5又は6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理容器は、底壁に開口が形成され、
前記取付プレートは、前記処理容器の底壁の外側に前記開口の周囲を囲むように、前記第1位置決め機構により位置決めして取り付けられ、
前記支持機構は、
前記開口を貫通し、前記載置台を支持する支持部材と、
前記第2位置決め機構により位置決めして前記取付プレートに取り付けられ、前記支持部材を昇降する昇降機構と、を備える
請求項1~7の何れか1つに記載の基板処理装置。
【請求項9】
処理容器と、
前記処理容器内の位置ずれを計測する基準となる所定の基準位置に対して、温度変化による膨張、収縮により前記処理容器が伸縮する伸縮方向に第1位置決め機構により位置決めして前記処理容器に取り付けられた取付部材と、
前記基準位置に対して、前記第1位置決め機構の位置の反対側となる位置に第2位置決め機構により位置決めして前記取付部材に取り付けられ構成部材と、
を有する基板処理装置。
【請求項10】
処理容器と、
前記処理容器内の位置ずれを計測する基準となる所定の基準位置に対して、温度変化による膨張、収縮により前記処理容器が伸縮する伸縮方向に第1位置決め機構により位置決めして前記処理容器に取り付けられた取付プレートと、
前記基準位置に対して、前記第1位置決め機構の位置の反対側となる位置に第2位置決め機構により位置決めして前記取付プレートに取り付けられた支持機構を介して前記処理容器内に配置され、基板が載置される載置台と、
前記処理容器の温度を検出する温度検出部と、
前記取付プレートの温度を調整する温調機構と、
を有する基板処理装置の位置ずれ補正方法であって、
前記温度検出部による前記処理容器の温度を検出する工程と、
前記温度検出部による検出結果に基づき、前記処理容器の前記基準位置と前記取付プレートの前記第2位置決め機構の位置の間の伸縮量が、前記処理容器の前記基準位置と前記第1位置決め機構の位置の間の伸縮量と同じとなるように前記温調機構により前記取付プレートの温度を調整する工程と、
を含む位置ずれ補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び位置ずれ補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、位置決め手法の一例として、フォーカスリングの裏面に窪み部を設け、載置台のフォーカスリングの対向面から突出する位置決めピンを窪み部に挿入することで、両部材の位置決めを行う手法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、位置ずれを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、処理容器と、取付プレートと、載置台とを有する。取付プレートは、処理容器内の位置ずれを計測する基準となる所定の基準位置に対して、温度変化による膨張、収縮により処理容器が伸縮する伸縮方向に第1位置決め機構により位置決めして処理容器に取り付けられている。載置台は、基準位置に対して、第1位置決め機構の位置の反対側となる位置に第2位置決め機構により位置決めして取付プレートに取り付けられた支持機構を介して処理容器内に配置され、基板が載置される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、位置ずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る取付プレート及び支持機構の取り付け位置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る基板処理装置の取付プレート及び支持機構の移動を説明する図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る基板処理装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る基板処理装置の取付プレート及び支持機構の移動を説明する図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る位置ずれ補正方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本願の開示する基板処理装置及び位置ずれ補正方法の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、開示する基板処理装置及び位置ずれ補正方法が限定されるものではない。
【0009】
ところで、基板を載置したチャンバ内を減圧して基板処理を実施する基板処理装置が知られている。基板処理装置は、基板を載置する載置台等の構成部材がチャンバ内に設けられるが、チャンバの温度変化による膨張、収縮等により構成部材に位置ずれが発生する場合がある。基板処理装置は、構成部材が位置ずれした場合、基板に対する基板処理の処理結果に偏りが発生する場合がある。
【0010】
そこで、位置ずれを抑制する技術が期待されている。
【0011】
[第1実施形態]
[基板処理装置の構成]
実施形態について説明する。最初に、第1実施形態に係る基板処理装置100について説明する。
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置100の概略構成の一例を示す図である。基板処理装置100は、基板に対して基板処理を実施する装置である。実施形態では、基板処理装置100をプラズマ処理装置とし、基板に対して、基板処理としてプラズマCVDやプラズマエッチング等のプラズマ処理を行う場合を例に説明する。
【0012】
基板処理装置100は、チャンバ1を有する。チャンバ1は、アルミニウム等の金属により構成され、略円筒状に形成されている。チャンバ1は、半導体ウェハ等の基板Wが載置される載置台2が内部に設けられている。チャンバ1は、載置台2の上部にシャワープレート3が設けられている。
【0013】
シャワープレート3は、載置台2に対向するように設けられている。シャワープレート3は、チャンバ1の天井を構成する天壁1aに固定されている。チャンバ1は、不図示の排気機構により排気されて内部が所定の減圧状態に減圧される。シャワープレート3は、不図示のガス供給部から基板処理に用いる各種のガスが供給され、供給されたガスをチャンバ1内に噴出する。載置台2及びシャワープレート3の何れか一方又は両方には、高周波電源から高周波電力が供給される。チャンバ1では、載置台2及びシャワープレート3の何れか一方又は両方に高周波電力が供給されることにより、内部に高周波電界が形成され、シャワープレート3から噴射されたガスがプラズマ化される。
【0014】
載置台2は、上面が基板Wよりも大きい直径を有する円板状に形成されている。載置台2は、上面に載置された基板Wを支持する。載置台2は、支持機構20により昇降可能に支持されており、支持機構20を介してチャンバ1内に配置されている。支持機構20は、支持部材21と、プレート22と、昇降機構23とを備える。
【0015】
チャンバ1は、底壁1bに開口1cが形成されている。支持部材21は、載置台2の底面中央からチャンバ1の底壁1bの開口1cを貫通してチャンバ1の下方に延びている。支持部材21の下端は、プレート22に固定されている。プレート22は、昇降機構23に固定されている。
【0016】
昇降機構23は、支持部材21及びプレート22を介して載置台2を支持する。載置台2は、支持機構20を介してチャンバ1内に配置される。昇降機構23は、支持部材21及びプレート22を昇降する。昇降機構23による支持部材21及びプレート22の昇降により、載置台2は、チャンバ1の上方の基板処理を実施する処理位置と、下方の基板Wの搬送が可能な搬送位置との間で昇降する。チャンバ1の底面とプレート22との間には、支持部材21の周囲を囲むようにベローズ26が設けられている。ベローズ26は、載置台2の昇降動作にともなって伸縮する。ベローズ26は、チャンバ1内の雰囲気を外気と区画し、載置台2が昇降した場合でもチャンバ1内を減圧状態に維持する。
【0017】
チャンバ1には、第1位置決め機構により位置決めして取付プレート30が取り付けられている。例えば、チャンバ1の底壁1bには、位置決めピン51により位置決めして取付プレート30が取り付けられている。取付プレート30には、第2位置決め機構により位置決めして支持機構20が取り付けられている。例えば、取付プレート30には、位置決めピン52により位置決めして支持機構20が取り付けられている。なお、取付プレート30は取付部材の一例であり、位置決めピン51は第1位置決め機構の一例であり、位置決めピン52は第2位置決め機構の一例である。
【0018】
ところで、基板処理装置100は、チャンバ1の温度変化による膨張、収縮等により構成部材に位置ずれが発生する場合がある。例えば、基板処理装置100は、チャンバ1の温度変化による膨張、収縮により載置台2に位置ずれが発生する。基板処理装置100は、載置台2が位置ずれした場合、基板Wに対する基板処理の処理結果に偏りが発生する場合がある。
【0019】
そこで、本実施形態に係る基板処理装置100は、チャンバ1内の位置ずれを計測する基準となる所定の基準位置に対して、温度変化による膨張、収縮によりチャンバ1が伸縮する伸縮方向に位置決めピン51により位置決めして取付プレート30を取り付けている。
【0020】
基準位置は、チャンバ1内に取り付けられた構成部材の位置ずれを計測する基準となる位置である。本実施形態では、基準位置を線BLにより示している。基準位置BLは、鉛直方向に沿ったチャンバ1内の中心位置である。基板処理装置100では、基板Wに対する基板処理の面内の均一性、対称性を高めるため、載置台2の中心がチャンバ1内の中心に合うように配置される。例えば、基準位置BLは、シャワープレート3の中心位置である。載置台2は、載置台2の中心がシャワープレート3の中心と合うよう配置される。
【0021】
また、本実施形態に係る基板処理装置100は、基準位置BLに対して、位置決めピン51の位置の反対側となる位置に位置決めピン52により位置決めして取付プレート30に支持機構20が取り付けている。載置台2は、取付プレート30に取り付けられた支持機構20を介してチャンバ1内に配置される。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る取付プレート30及び支持機構20の取り付け位置の一例を示す図である。
図2には、チャンバ1の底壁1bを下側から見た図が示されている。チャンバ1の底壁1bには、開口1cが形成されている。開口1cは、基準位置BLを中心とした円形に形成されている。
図2には、開口1cの中心に基準位置BLが示されている。
【0023】
取付プレート30は、チャンバ1の底壁1bの開口1cの周囲を囲むように、取り付けられている。本実施形態では、取付プレート30は、チャンバ1の底壁1bの開口1cよりも大きい円形の開口30aが形成されている。取付プレート30は、開口30a内に開口1cが位置するように、取り付けられている。
【0024】
取付プレート30は、位置決めピン51により、チャンバ1の底壁1bに位置決めされており、開口1cの周囲の複数箇所で取付ボルトによりチャンバ1の底壁1bに取り付けられている。
図2には、開口1cの上側に位置決めピン51の配置位置が示され、開口1cの周囲に、取付プレート30を取り付ける取付ボルトの配置位置31が示されている。
【0025】
支持機構20は、基準位置BLに対して、位置決めピン51の位置の反対側となる位置に位置決めピン52により位置決めして取付プレート30に、取り付けられている。本実施形態では、支持機構20の昇降機構23が、基準位置BLに対して、位置決めピン51の位置の反対側となる位置に、位置決めピン52により、取付プレート30に位置決めされており、複数箇所で取付ボルトにより取付プレート30に取り付けられている。
図2では、開口1cの下側に位置決めピン52の配置位置が示され、昇降機構23を取り付ける取付ボルトの配置位置24が示されている。基準位置BLと、位置決めピン51の位置と、位置決めピン52の位置は、直線状(平面視で直線上)に並んで配置されている。位置決めピン51、52は、周囲に隙間が無い状態となっている。配置位置31および配置位置24の取付ボルトは、周囲に若干の隙間を有する状態となっている。
【0026】
ところで、基板処理装置100は、基板処理に適した温度までチャンバ1が昇温され温調されるため、チャンバ1が膨張する。また、チャンバ1内で基板処理を実施した場合、基板処理により生じる熱による温度変化によりチャンバ1が膨張、収縮する場合がある。例えば、基板処理装置100は、チャンバ1内でプラズマCVDやプラズマエッチング等のプラズマ処理を実施した場合、プラズマからの入熱によりチャンバ1が膨張する。これにより、取付プレート30や昇降機構23の位置が移動する。
【0027】
図3は、第1実施形態に係る基板処理装置100の取付プレート30及び支持機構20の移動を説明する図である。チャンバ1の膨張により、底壁1bは、伸長する。例えば、チャンバ1の底壁1bは、基準位置BLに対して、
図3の左右に伸長する。これにより、チャンバ1の底壁1bの位置決めピン51は、左側に移動する。取付プレート30は、取付ボルトにより底壁1bを抑えられているものの、若干移動可能である。取付プレート30は、位置決めピン51により底壁1bに位置決めされていることから、左側に引かれて全体的に左側に移動する。
【0028】
取付プレート30は、底壁1bからの伝熱により膨張し、伸長する。例えば、
図3に示すように、取付プレート30は、位置決めピン51により底壁1bに位置決めされているため、膨張により主に右側に伸長する。これにより、取付プレート30の位置決めピン52は、基準位置BLに対して右側に移動する。支持機構20は、位置決めピン52により取付プレート30に位置決めされていることから、右側に引かれて全体的に右側に移動する。
【0029】
支持機構20に支持された載置台2は、チャンバ1の底壁1bの膨張に伴い、基準位置BLに対して左側へ位置ずれするものの、取付プレート30の膨張により底壁1bに対して右側へ移動する。これにより、基準位置BLに対する載置台2の左側への位置ずれが減少する。このように、実施形態に係る基板処理装置100は、基準位置BLに対する載置台2の位置ずれを抑制できる。この結果、基板処理装置100は、基板Wに対する基板処理の処理結果に偏りが発生することを抑制できる。
【0030】
ここで、比較例を説明する。
図4は、比較例に係る基板処理装置100の概略構成の一例を示す図である。比較例に係る基板処理装置100では、基準位置BLに対して位置決めピン51及び位置決めピン52を同一方向に設けた場合を示している。
図4では、基準位置BLに対して位置決めピン51及び位置決めピン52が右側に設けられている。
【0031】
図5は、比較例に係る基板処理装置100の取付プレート30及び支持機構20の移動を説明する図である。チャンバ1の膨張により、底壁1bは、伸長する。例えば、チャンバ1の底壁1bは、基準位置BLに対して、
図5の左右に伸長する。これにより、チャンバ1の底壁1bの位置決めピン51は、基準位置BLに対して右側に移動する。取付プレート30は、位置決めピン51により底壁1bに位置決めされていることから、全体的に右側に移動する。取付プレート30は、位置決めピン51により底壁1bに位置決めされているため、底壁1bからの伝熱による膨張により、右側に伸長する。支持機構20は、位置決めピン52により取付プレート30に位置決めされていることから、全体的に右側に移動する。この結果、
図4及び
図5に示した比較例の構成では、基準位置BLに対する載置台2の位置ずれが大きくなってしまう。
【0032】
一方、
図1~
図3に示した第1実施形態に係る基板処理装置100は、基準位置BLに対して位置決めピン51と位置決めピン52を反対側に設けたことで、基準位置BLに対する載置台2の位置ずれを抑制できる。
【0033】
以上のように、第1実施形態に係る基板処理装置100は、チャンバ1(処理容器)と、取付プレート30と、載置台2とを有する。取付プレート30は、チャンバ1内の位置ずれを計測する基準となる所定の基準位置BLに対して、温度変化による膨張、収縮によりチャンバ1が伸縮する伸縮方向に設けられた位置決めピン51(第1位置決め機構)により位置決めしてチャンバ1に取り付けられている。載置台2は、基準位置BLに対して、位置決めピン51の位置の反対側となる位置に位置決めピン52(第2位置決め機構)により位置決めして取付プレート30に取り付けられた支持機構20を介してチャンバ1内に配置され、基板Wが載置される。これにより、実施形態に係る基板処理装置100は、載置台2の位置ずれを抑制できる。
【0034】
また、第1実施形態に係る基板処理装置100は、基準位置BLと、位置決めピン51と、位置決めピン52が直線状(平面視で直線上)に配置されている。これにより、実施形態に係る基板処理装置100は、載置台2の位置ずれを抑制できる。
【0035】
また、基準位置BLは、チャンバ1内の鉛直方向に沿った中心位置である。これにより、実施形態に係る基板処理装置100は、チャンバ1内の中心位置に対する載置台2の位置ずれを抑制できる。この結果、実施形態に係る基板処理装置100は、基板Wに対する基板処理の処理結果に偏りが発生することを抑制できる。
【0036】
また、チャンバ1は、載置台2の上部に基板処理に用いるガスを噴出するシャワープレート3を備える。基準位置BLは、シャワープレート3の中心位置とする。これにより、実施形態に係る基板処理装置100は、シャワープレート3の中心位置に対する載置台2の位置ずれを抑制できる。この結果、実施形態に係る基板処理装置100は、基板Wに対する基板処理の処理結果に偏りが発生することを抑制できる。
【0037】
また、チャンバ1は、底壁1bに開口1cが形成されている。取付プレート30は、チャンバ1の底壁1bの外側に開口1cの周囲を囲むように、位置決めピン51により位置決めして取り付けられている。支持機構20は、支持部材21と、昇降機構23とを備える。支持部材21は、開口1cを貫通し、載置台2を支持する。昇降機構23は、位置決めピン52により位置決めして取付プレート30に取り付けられ、支持部材21を昇降する。これにより、実施形態に係る基板処理装置100は、載置台2を昇降可能としつつ、載置台2の位置ずれを抑制できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る基板処理装置100の概略構成の一例を示す図である。第2実施形態に係る基板処理装置100は、
図1に示した第1実施形態に係る基板処理装置100と一部同様の構成であるため、同一部分に同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について主に説明する。
【0039】
基板処理装置100は、取付プレート30の温度を調整する温調機構をさらに設けている。例えば、取付プレート30には、ヒータ60が設けられている。ヒータ60は、不図示のヒータ電源から給電されて発熱する。基板処理装置100は、ヒータ60により加熱されることにより、取付プレート30の温度調整が可能とされている。なお、基板処理装置100は、取付プレート30の内部に流路を形成し、温度制御された温調媒体を流路に通流させることにより、取付プレート30の温度調整を可能としてもよい。
【0040】
また、基板処理装置100は、チャンバ1の温度を検出する温度検出部をさらに設けている。例えば、チャンバ1の底壁1bには、温度センサ61が設けられている。温度センサ61は、検出した温度の情報を制御部7に出力する。
【0041】
基板処理装置100は、制御部7を有する。制御部7は、コンピュータ等の情報処理装置である。制御部7は、基板処理装置100の各部を制御する。制御部7の具体的な構成及び機能は特に限定されない。制御部7は、例えば、主制御部、入力装置、出力装置、表示装置、および、記憶部を有する。主制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサである。記憶部は、例えば、ハードディスク、光ディスク、半導体メモリ素子等の任意の記憶装置である。記憶部には、基板処理装置100を制御するためのプログラムや、プログラムで用いられるデータが記憶されている。主制御部は、記憶部に記憶されているプログラムやデータを読み出し、プログラムの処理に従い、基板処理装置100により所定の処理が行われるように制御する。制御部7は、基板処理装置100の各構成部を制御する。例えば、制御部7は、ヒータ電源からヒータ60に給電する電力を制御することにより、取付プレート30の温度調整が可能とされている。制御部7は、基板処理装置100の各構成部を制御することで、後述する位置ずれ補正方法の処理を実行する。
【0042】
基板処理装置100は、基準位置BLに対する載置台2の位置ずれが小さくなるように、ヒータ60により、取付プレート30の温度を制御して、取付プレート30の伸縮を制御する。例えば、基板処理装置100は、基準位置BLと取付プレート30の位置決めピン52の位置の間の伸縮量が、チャンバ1の底壁1bの基準位置BLと位置決めピン51の位置の間の伸縮量と同じとなるように、ヒータ60により、取付プレート30の温度を調整する。
【0043】
例えば、制御部7は、温度センサ61により検出されるチャンバ1の底壁1bの温度に応じて、ヒータ電源からヒータ60に給電する電力を制御することにより、取付プレート30の温度を制御する。例えば、制御部7は、チャンバ1の底壁1bの温度ごとに、取付プレート30の設定温度をテーブルデータなどの対応情報として記憶部に記憶する。設定温度は、チャンバ1の底壁1bの温度ごとに、基準位置BLに対する載置台2の位置ずれが許容値以下となる取付プレート30の温度である。例えば、設定温度は、基準位置BLと取付プレート30の位置決めピン52の位置の間の伸縮量が、チャンバ1の底壁1bの基準位置BLと位置決めピン51の位置の間の伸縮量と同じとなる取付プレート30の温度とする。制御部7は、記憶部に記憶された対応情報から、温度センサ61により検出されるチャンバ1の底壁1bの温度に対応した設定温度を求める。制御部7は、取付プレート30の温度を、求めた設定温度に調整する。
【0044】
[位置ずれ補正方法]
次に、実施形態に係る位置ずれ補正方法の処理の流れについて説明する。
図7は、第2実施形態に係る位置ずれ補正方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図7は、位置ずれ補正方法を実施する流れの一例を示している。
【0045】
制御部7は、温度センサ61によるチャンバ1の底壁1bの温度を検出する(ステップS10)。
【0046】
制御部7は、温度センサ61により検出されるチャンバ1の底壁1bの温度に応じて、ヒータ電源からヒータ60に給電する電力を制御することにより、取付プレート30の温度を制御する(ステップS11)。例えば、制御部7は、温度センサ61による検出結果に基づき、取付プレート30の温度を制御する。例えば、制御部7は、記憶部に記憶された対応情報から、温度センサ61により検出されるチャンバ1の底壁1bの温度に対応した設定温度を求める。制御部7は、取付プレート30の温度を、求めた設定温度に調整する。
【0047】
これにより、第2実施形態に係る基板処理装置100は、基準位置BLに対する載置台2の位置ずれを抑制できる。
【0048】
なお、制御部7は、温度センサ61により検出したチャンバ1の底壁1bの温度に応じて、取付プレート30の温度を制御する場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。基板処理の際のチャンバ1の底壁1bの温度が一定範囲に収まる場合、一定範囲において基準位置BLに対する載置台2の位置ずれが許容値となる取付プレート30の設定温度を制御部7に設定してもよい。例えば、設定温度は、基準位置BLと取付プレート30の位置決めピン52の位置の間の伸縮量が、チャンバ1の底壁1bの基準位置BLと位置決めピン51の位置の間の伸縮量と同じとなる取付プレート30の温度とする。制御部7は、基板処理の際、取付プレート30の温度を、設定された設定温度に調整するようにしてもよい。
【0049】
以上のように、第2実施形態に係る基板処理装置100は、取付プレート30の温度を調整するヒータ60(温調機構)をさらに有する。ヒータ60は、基準位置BLと取付プレート30の位置決めピン52の位置の間の伸縮量が、チャンバ1の基準位置BLと位置決めピン51の位置の間の伸縮量と同じとなるように取付プレート30の温度を調整する。これにより、実施形態に係る基板処理装置100は、載置台2の位置ずれを抑制できる。
【0050】
また、第2実施形態に係る基板処理装置100は、チャンバ1の温度を検出する温度センサ61(温度検出部)と、温度センサ61による検出結果に基づき、ヒータ60の温度を制御する制御部7とをさらに有する。これにより、実施形態に係る基板処理装置100は、取付プレート30の温度を調整することで取付プレート30の伸縮を制御できるため、載置台2の位置ずれを抑制できる。
【0051】
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上述した実施形態は、多様な形態で具現され得る。また、上述した実施形態は、請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0052】
例えば、上記の実施形態では、基準位置BLに対する載置台2の位置ずれを抑制する場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。開示の技術は、チャンバ1に取り付ける各種の構成部材の位置ずれの抑制に適用してもよい。
【0053】
また、上記の実施形態では、支持機構20に昇降機構23により、載置台2を昇降可能とした場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。支持機構20は、載置台2を昇降せずに、載置台2を支持するのみの構成であってもよい。
【0054】
また、上記の実施形態では、本開示の基板処理装置100は、チャンバを1つ有するシングルチャンバータイプのプラズマ処理装置とした場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。本開示の基板処理装置100は、チャンバを複数有するマルチチャンバタイプのプラズマ処理装置であってもよい。また、また、本開示の基板処理装置100は、2以上のチャンバに2枚以上の基板を搬入して同時に基板処理を実施するタイプのプラズマ処理装置であってもよい。
【0055】
また、上記の実施形態では、基板処理をプラズマCVDやプラズマエッチング等のプラズマ処理とした場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。基板処理は、基板に対する何れの処理でもよい。
【0056】
また、上記の実施形態では、基板Wを半導体ウェハとした場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。基板は、何れの基板でもよい。
【0057】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 チャンバ
1a 天壁
1b 底壁
1c 開口
2 載置台
3 シャワープレート
7 制御部
20 支持機構
21 支持部材
22 プレート
23 昇降機構
24 配置位置
26 ベローズ
30 取付プレート
30a 開口
31 配置位置
51 位置決めピン
52 位置決めピン
60 ヒータ
61 温度センサ
100 基板処理装置
BL 基準位置
W 基板