(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114729
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】シート処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 39/042 20060101AFI20230810BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20230810BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B65H39/042
B65H41/00 B
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017209
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 晃
(72)【発明者】
【氏名】島田 才寛
【テーマコード(参考)】
3F050
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
3F050BB02
3F050BE03
3F050CE07
3F050LA15
3F050LB01
3F050LB08
3F108JA02
4F211AD08
4F211AG03
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SD19
4F211SJ13
4F211SJ15
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】二枚のシートが重ね合され、一端側が接合部として接合された重合シートのシート間に中シートを挿入するシート処理装置において、ジャム処理の作業性を改善すること。
【解決手段】二枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートのシート間に中シートを挿入する処理部(シート処理部10)と、処理部の上方に配置され、重合シートと中シートとの一方のシートを給紙する第一供給部(第一給紙トレイ20)と、処理部の上方に配置され、処理部を開放可能とする開閉部と、を有し、第一供給部は、処理部を開放するように移動可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚のシートが重ね合され、一端側が接合部として接合された重合シートのシート間に中シートを挿入する処理部と、
前記処理部の上方に配置され、前記重合シートと前記中シートとの一方のシートを供給する第一供給部と、
前記処理部の上方に配置され、前記処理部を開放可能とする開閉部と、を備え、
前記第一供給部は、前記処理部を開放するように移動可能とする
シート処理装置。
【請求項2】
前記処理部の下方に配置され、前記重合シートと前記中シートとの他方のシートを供給する第二供給部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記重合シートのシート間に前記中シートを挿入する挿入部と、
前記重合シートをラミネート定着させるラミネート定着部と、を有し、
前記第一供給部が移動すると、前記挿入部と前記ラミネート定着部との少なくとも一方が開放される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記重合シートを剥離したフィルムをガイドする剥離ガイド部材を、さらに備え、
前記剥離ガイド部材は、前記処理部を開放可能とする
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記第一供給部と、前記開閉部と、前記剥離ガイド部材との少なくとも一つは、回動可能に支持されている
ことを特徴とする請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記第一供給部と、前記開閉部と、前記剥離ガイド部材との少なくとも一つは、脱着可能に支持されている
ことを特徴とする請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記開閉部は、前記第一供給部と一体化されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記第一供給部は、自重による回動を抑制するストッパー部材を備える
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記第一供給部は、前記一方のシートの、給紙方向と平行する端部を規制する一対のサイドフェンスを有し、
前記サイドフェンスは、前記一方のシートの上方の少なくとも一部を囲むシート保持部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記第一供給部は、前記一方のシートの上方の少なくとも一部を囲むシート保持カバーを有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記保持カバーは、透明部材で形成されている
ことを特徴とする請求項10に記載のシート処理装置。
【請求項12】
前記保持カバーは、前記一方のシートを搬送する搬送ローラ近傍に、切り欠きが形成されている
ことを特徴とする請求項11に記載のシート処理装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシート処理装置を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一辺が接続した二枚のシートに、挟み込みたい中シートを挟み込み、熱と圧力を掛けることで二枚のシートが接着され、内側に入れた中シートを挟み込むラミネート処理という技術がある。例えば、特許文献1には、二枚のシートを剥離して中シートを挿入するシート処理の構成が開示されている。
しかし、二枚のシートや中シートがジャムした時に、装置の前方(側面)からジャム処理をしようとすると、非常に小さな空間に手を入れねばならず、作業性が悪いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、二枚のシートが重ね合され、一端側が接合部として接合された重合シートのシート間に中シートを挿入するシート処理装置において、ジャム処理の作業性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明のシート処理装置は、
二枚のシートが重ね合され、一端側が接合部として接合された重合シートのシート間に中シートを挿入する処理部と、
前記処理部の上方に配置され、前記重合シートと前記中シートとの一方のシートを供給する第一供給部と、
前記処理部の上方に配置され、前記処理部を開放可能とする開閉部と、を備え、
前記第一供給部は、前記処理部を開放するように移動可能とするものとする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、重合シートのシート間に中シートを挿入するシート処理装置において、ジャム処理の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の構成例を説明する図である。
【
図2】同シート処理装置がジャム処理を行うときの状態例を説明する図である。
【
図3】同シート処理装置の剥離ガイド板を説明する図である。
【
図4】実施形態2のシート処理装置の構成例を説明する図である。
【
図5】同シート処理装置が中紙挿入部のジャム処理を行うときの状態例を説明する図である。
【
図6】実施形態3のシート処理装置の構成例を説明する図である。
【
図7】第一給紙トレイを大きく回動させ、シートが略垂直になっている様子を説明する図である。
【
図8】実施形態4のシート処理装置の第一給紙トレイの一例を説明する平面図である。
【
図9】同シート処理装置の第一給紙トレイの一例を説明する側面図である。
【
図10】実施形態4のシート処理装置の第一給紙トレイの他の例を説明する平面図である。
【
図11】同シート処理装置の第一給紙トレイの他の例を説明する側面図である。
【
図12】シート保持カバーの形状例を説明する平面図である。
【
図13】シート保持カバーの形状例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0008】
本発明の実施形態に係るシート処理装置の一態様は、二枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートのシート間に中シートを挿入する処理部(シート処理部10)と、処理部の上方に配置され、重合シートと中シートとの一方のシートを給紙する第一供給部(第一給紙トレイ20)と、を有し、第一供給部は、処理部を開放するように移動可能とする。( )内は後述する
図1の構成を一例として対応付けている。
以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係るシート処理装置の構成例を説明する図である。
図2は、同シート処理装置がジャム処理を行うときの状態例を説明する図である。
シート処理装置100は、処理部としてのシート処理部10、第一供給部としての第一給紙トレイ20、第二供給部としての第二給紙トレイ30、開閉部としてのジャム処理カバー40と、剥離ガイド部材としての剥離ガイド板50と、排紙トレイ60と、を備える。
【0010】
シート処理部10は、二枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シート(ラミネートフィルム、パウチフィルム等)を剥離して中シート(用紙/写真等)を挿入する。シート処理部10のうち、巻付けローラ1やその周辺を中紙挿入部(「挿入部」とも称する)とし、定着ローラ5を中心とする構成をラミネート定着部とする。
中挿入部は、重合シートのシート間に中シートを挿入する。
ラミネート定着部は、重合シートをラミネート定着させる。
【0011】
第一給紙トレイ20は、重合シートと中シートとの一方のシートを供給する。
第二給紙トレイ30は、重合シートと中シートとの他方のシートを供給する。
以降の説明では、第一給紙トレイ20は重合シートを給紙し、第二給紙トレイ30は中シートを給紙するものとして説明するが、本発明のシート処理装置は、第一給紙トレイ20が重合シートの給紙を行い、第二給紙トレイ30が中シートの給紙を行う場合と、第一給紙トレイ20が中シートの給紙を行い、第二給紙トレイが重合シートの給紙を行う場合との双方において有効である。
重合シートと中シートとを区別しないときには、適宜「シート」と称する。また、「重合シート」を「フィルム」、「中シート」を「中紙」とも称する。
【0012】
ジャム処理カバー40は、シート処理部10を覆うカバーである。
剥離ガイド板50は、重合シートを剥離したフィルムをシート挿入部にガイドする。
【0013】
第一給紙トレイ20は回動支点21に支持されており、
図1、
図2で示すように、時計回りに回動して上方に持ち上げられる様になっている。
また、ジャム処理カバー40が別の回動支点41に支持され、第一給紙トレイ20と同じく時計回りに回動してシート処理部10の上方のスペースが開閉する様に構成されている。ユーザは第一給紙トレイ20を持ち上げ、次にジャム処理カバー40を持ち上げることで、シート処理部への広いアクセス経路を確保できる。
【0014】
図2の矢印Pは、中紙挿入部へのアクセス経路であり、巻付けローラ1とその周辺に発生したジャムや故障などのトラブルに対処することができる。このようにすると、機構が複雑なシート挿入部を開放できるので操作性がよくなる。
また、矢印Qは、ラミネート定着部へのアクセス経路であり、ラミネート定着部やその周辺において中紙が挿入された後のフィルムに発生したジャムや故障などのトラブルに対処することができる。このようにすると、異常時の処理が煩雑なラミネート定着部を開放できるので操作性がよくなる。
【0015】
上記の様に、開閉可能なジャム処理カバー40を備え、かつ、第一給紙トレイ20を移動可能な構成にすることで、従来はシート処理部10の前方の狭いスペースからアクセスしていた作業が上方の広いスペースから行え、ジャム処理やメンテナンスあるいは故障対応などを行うに当たり良好な作業性が得られる。例えば、重合シートまたは中シートがジャムした時に、装置の前方からジャム処理をしようとすると、フィルムを巻き付けて剥離するための巻付けローラ1や出口ローラ3にアクセスするには非常に小さな空間に手を入れねばならず、作業性が非常に悪かったという問題を解消できる。
【0016】
図1、
図2では第一給紙トレイ20とジャム処理カバー40が紙面に垂直な軸に沿って時計回りに回動する例を示したが、この例に限らず、どちらか一方または両方が反時計回りに回動したり、紙面に平行な軸で作業者から見て奥側にヒンジを備えたり、更には左右方向あるいは紙面垂直方向にスライド移動してジャム処理を行うような構成にしても構わない。
【0017】
図3は、同シート処理装置の剥離ガイド板を説明する図である。
剥離ガイド板50は、シート処理部10(シート処理部10の一部分)を開放可能に設けられる。詳細には、剥離ガイド板50は、回動支点51に支持されており、反時計回りに回動して矢印Pに示す様に、より広い中紙挿入部へのアクセス経路が確保されていることが表されている。そのため巻付けローラ1周辺の中紙挿入部の作業を更に容易にし、また出口ローラ3で起こったジャムも処理できる様になっており、更に作業性に優れたシート処理装置が提供できる。
【0018】
本実施形態では、第一給紙トレイ20とジャム処理カバー40と剥離ガイド板50とは、回動支点によって回動可能に支持されていることにより、簡単な構造で、第一給紙トレイ20の退避やジャム処理カバーの開閉を自然な動作として行うことが可能になっている。これにより、更なる低コストで優れたユーザビリティの構成を実現している。
【0019】
加えて、シート処理装置100は、シート処理部10の上方には第一給紙トレイ20を、下方には第二給紙トレイ30を配置して、装置を小型化し、省スペースな構成としている。これにより、設置面積を少なくすることができる。
例えば、フィルムか中紙のいずれか一方のシートの給紙トレイがシート処理機構の上部に設置されたシート処理装置において、他方のシートを装置の右から水平に供給するために第二給紙トレイを装置右側に設置すると、装置の全幅が非常に大きくなってしまう。
図1に示すように、シート処理装置100は、第一給紙トレイ20と同様のターン部を持つように、第二給紙トレイ30をシート処理部10の下部に設置することで全幅を小さく抑えることができる。
【0020】
実施形態2.
本実施形態では、実施形態1のジャム処理カバーを変形した一態様を説明する。
図4は、実施形態2のシート処理装置の構成例を説明する図である。
図5は、同シート処理装置が中紙挿入部のジャム処理を行うときの状態例を説明する図である。
図4、
図5に示すように、本実施形態のシート処理装置100Aは、ジャム処理カバー40Aが担う開閉部の機能を第一給紙トレイ20Aに設け、開閉部と第一給紙トレイとを一体化することにより、作業性を向上させることが可能となる。
【0021】
詳細には、シート処理装置100Aは、第一給紙トレイ20Aにジャム処理カバー40Aが一体に構成され、ジャム処理時に第一給紙トレイ20Aを持ち上げるだけでアクセス経路が確保される。そのため操作が二度手間にならずに済み、作業が容易である。また別々に装備するのに比べジャム処理カバー40の回動支点に用いるヒンジその他の部品の削減となりコストや重量を減らすことができる。
【0022】
実施形態3.
本実施形態では、実施形態1の第一給紙トレイ等がシート処理部を開放する機能を変形した一態様を説明する。
図6は、実施形態3のシート処理装置の構成例を説明する図である。
シート処理装置100Bは、第一給紙トレイ20B、ジャム処理カバー40Bおよび剥離ガイド板50Bが脱着可能になっている。この様な構成を取ることにより、簡単な構造と少ない部品点数でジャム処理時に開口部を広く取れて、アクセスがしやすくなり、更に良好なジャム処理性が得られる。
【0023】
図6では、第一給紙トレイ20B、ジャム処理カバー40Bおよび剥離ガイド板50Bの三つを脱着可能とした例を説明したが、これらのうち少なくとも一つが脱着可能であり、他を回動支点で回動可能とするようにしてもよい。シート処理装置は、例えば、
図1に示す回動支点21で回動可能な第一給紙トレイ20と、
図6に示す脱着可能なジャム処理カバー40Bおよび剥離ガイド板50Bとを有する構成としてもよい。
なお、本実施形態では、実施形態1のシート処理装置100を用いて説明したが、実施形態2のシート処理装置100Aが有する第一給紙トレイ20Aと剥離ガイド板50Aとの一つまたは両方を脱着可能にすることもできる。第一給紙トレイ20Aを脱着可能とすることにより、開閉部の機能も脱着可能となる。
【0024】
実施形態4.
本実施形態では、第一給紙トレイ20、20Aに載せるシートを規制する手段等について説明する。まず、
図7を参照して、シートの脱落等について説明する。
図7は
図5の状態よりも第一給紙トレイ20Aを大きく回動させ、シートが略垂直になっている様子を説明する図である。
図7では、第一給紙トレイ20Aの幅方向中央付近の断面を表している。幅方向は給紙方向に直交する方向とする。
図7では、
図5に示す第一給紙トレイ20Aを用いているが、
図1、
図6等の第一給紙トレイ20、20Bも同様である。
【0025】
第一給紙トレイ20Aはシート24の給紙方向と平行なシート端部をガイドし、給紙方向に平行するシート端部を規制する(いわゆる横レジストを規制する)一対のサイドフェンスを備えている。
図7では、シート24の後方にサイドフェンス23aが第一給紙トレイ20Aに設置されているがシート平面を規制していないので、シート後端が矢印Rに示した様に垂れて給紙不良を起こしたり、著しくは第一給紙トレイ20Aから脱落して落下し、ユーザに損害を与えてしまう恐れがある。
【0026】
更に
図7のみならず
図2、
図3、
図5の場合においてもジャム処理時に回動する第一給紙トレイ20、20A、20Bを中途で停止させるために手で押さえておく必要があり、片手が塞がってしまうことによる作業性の低下が懸念される。
【0027】
図8は、実施形態4のシート処理装置の第一給紙トレイの一例を説明する図であり、
図7に示す矢視Aから見た様子を示す。
図9は、同シート処理装置の第一給紙トレイの一例を説明する図であり、
図7に示す矢視Bから見た様子を示す。
図8に示す矢視Bも
図7と同じ方向を示している。
図8、
図9では、シート処理装置100Cの第一給紙トレイ20A付近を示し、他を省略している。
【0028】
第一給紙トレイ20Aに備わる一対のサイドフェンス23a、23bは、それぞれ
図8、
図9で二つの矢印Sに示した様に移動し、
図8、
図9に示す左右対称の動きをする様に図示しないギヤ列によって連結されている。
【0029】
本実施形態において、シート処理装置100Cは、サイドフェンス23a、23bにシート平面を押さえるシート保持部25が形成されている。
図8、
図9では、一対のサイドフェンス23a、23bを、シート処理装置100Cの前面から見て、奥側をサイドフェンス23a、手前側をサイドフェンス23bとして示す。
シート保持部25は、例えば、シート24の上方を取り囲むように設けられ、シート24の上方の少なくとも一部分を囲むとよく、給紙方向と平行するシート端部を囲むことが好ましい。
このようにすると、
図7の様にシート24の後端が垂れ下がり、更にシート24が第一給紙トレイ20Aから脱落することを防止できる。これにより、第一給紙トレイ20Aの回動範囲をより大きく取ることが可能になり、ジャム処理を更に容易にすることができる。
【0030】
また、第一給紙トレイ20Aは、回動支点として、自重による回動を抑制するストッパー部材を用いるとよい。本実施形態のシート処理装置100Cは、ストッパー部材の一例として、回動軸22を中心に回動する回動用に左右二箇所に備わっているヒンジをトルクヒンジ21Cとしている。トルクヒンジ21Cの作用によって第一給紙トレイ20Aの自重による落下方向の回動が暫時抑制され、適切な所定の角度で一時停止できる。そのためジャム処理を行うに当たって第一給紙トレイ20Aを常に手で保持せずとも済み、両手でジャム処理を行うことができる様になる。また第一給紙トレイ20Aが自重によって勢いよく落下した時に手を挟まれるといった事故を防止する効果も得られる。
【0031】
なお、回動支点は、本実施形態の様にトルクヒンジ21Cを設けた構成に限らず、第一給紙トレイ20Aの回動を一時的に抑制して所定の姿勢で停止させる機構、例えば折り曲げレバー要素やマグネットの吸着力を用いた構成でも同様の効果を得ることができる。
【0032】
次に、シートの脱落等を防止する他の例について説明する。
図10は、実施形態4のシート処理装置の第一給紙トレイの他の例を説明する図であり、
図7に示す矢視Aから見た様子を示す。
図11は、同シート処理装置の第一給紙トレイの他の例を説明する図であり、
図7に示す矢視Bから見た様子を示す。
図10に示す矢視Bも
図7と同じ方向を示している。
図10、
図11では、シート処理装置100Dの第一給紙トレイ20A付近を示し、他を省略している。
【0033】
シート処理装置100Dは、シート保持カバー27を第一給紙トレイ20Aに設けている。
シート保持カバー27の断面形状は
図11に表す様にコの字形であって一対のサイドフェンス23a、23b、およびシート24の全てを取り囲む様に配置されており、第一給紙トレイ20Aが
図7の様に垂直近傍になった状態でもシート端部が垂れ下がること、シート24が落下することを防止することができる。
また、シート保持カバー27は、透明または半透明の材料で形成することが好ましい。このようにすると、シートセット時に目視によってシート24の全体位置が把握でき、セット作業を容易に行える様になり、作業性を向上させる効果が得られる。
【0034】
また、シート保持カバー27は、第一給紙トレイ20Aに設置してシート24の垂れ下がりを効果的に防止することができるが、コストなどの関係で透明、または半透明にできないときなどは、シート先端側が隠れてしまい、シートセット時の差込み加減が分かり辛く、セット性を阻害する恐れがある。このような場合には、シート保持カバー27の形状等を工夫してシート24をセットしやすくするとよい。
【0035】
図12は、シート保持カバーの形状例を説明する平面図である。
図13は、シート保持カバーの形状例を説明する断面図である。
図12は第一給紙トレイ20Aの平面図を、
図13はシート処理装置正面から見た第一給紙トレイの幅方向中央付近の断面を示したものである。
図12、
図13では、シート処理装置100Eの第一給紙トレイ20A付近を示し、他を省略している。
【0036】
図12において、シート保持カバー27Eの図中下方の辺に凹形の切欠部28が設けられている。このことでシート24の先端付近と、シート先端をグリップする給紙ローラ9を直接目視することが可能になっている。そのため、シート保持カバー27Eに囲まれていてもシート先端近傍の位置関係が把握でき、セット時の差込み加減を確認しつつ、容易にシート24がセットできる。
【0037】
本実施形態では、
図8から
図13において、実施形態2のシート処理装置100Aが有する第一給紙トレイ20Aを用いて説明したが、実施形態1のシート処理装置100の第一給紙トレイ20、実施形態3のシート処理装置100Bの第一給紙トレイ20Bにも同様に適用可能である。
【0038】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。また、二以上の実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
100、100A~100E シート処理装置
10 シート処理部(処理部)
20、20A、20B 第一給紙トレイ(第一供給部)
21 回動支点
21C トルクヒンジ
22 回動軸
23a、23b サイドフェンス
24 シート
25 シート保持部
27、27E シート保持カバー
28 切欠部
30 第二給紙トレイ(第二供給部)
40、40A、40B ジャム処理カバー(開閉部)
50、50B 剥離ガイド板(剥離ガイド板部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】