(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114763
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】電子機器、画像形成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230810BHJP
G01K 7/24 20060101ALI20230810BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20230810BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G01K7/24 M
G03G15/20 555
G03G21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017258
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】岡村 悠
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA35
2H033BA31
2H033CA02
2H033CA34
2H033CA57
2H270LA24
2H270LA98
2H270LA99
2H270LD05
2H270LD08
2H270NC23
2H270ND23
2H270NE01
2H270QB07
2H270RA15
2H270RB04
2H270RB09
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】装置のダウンタイムを低減できる電子機器、画像形成装置および制御方法を提供する。
【解決手段】MFP1に配置されたサーミスタR2と、所定電圧にプルアップするための抵抗R1とで分圧された電圧を検出する検出部111と、検出部111により検出された電圧に基づいて、少なくともサーミスタR2に接続された配線の状態を判断する判断部112と、判断部112の判断結果に応じて、MFP1の制御を切り替える制御部113と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に配置されたサーミスタと、所定電圧にプルアップするための第1抵抗とで分圧された電圧を検出する検出部と、
前記検出部により検出された電圧に基づいて、少なくとも前記サーミスタに接続された配線の状態を判断する判断部と、
前記判断部の判断結果に応じて、前記装置の制御を切り替える制御部と、
を備えた電子機器。
【請求項2】
前記サーミスタの上流側と前記第1抵抗とが、コネクタを介して接続され、
前記サーミスタの下流側と、接地された第2抵抗とが、前記コネクタを介して接続され、
前記判断部は、前記検出部により検出された電圧に基づいて、前記サーミスタに接続された配線の挟み込みの状態、および前記コネクタの接続状態を判断する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判断部は、前記検出部により、前記第1抵抗によりプルアップされた前記所定電圧を前記第1抵抗の抵抗値と前記サーミスタの抵抗値と前記第2抵抗の抵抗値との和で割った値と、該サーミスタの抵抗値と前記第2抵抗の抵抗値との和と、の積の値未満の電圧が検出された場合、前記サーミスタと前記第2抵抗との間の配線で挟み込みが発生していると判断し、
前記制御部は、
前記挟み込みに起因する抵抗と、前記第2抵抗との合成抵抗値を算出し、
前記検出部により検出される電圧と、算出した前記合成抵抗値とに基づいた温度検出動作に切り替える請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記サーミスタの抵抗値は、前記電子機器の起動時に、外気温度センサにより検出された温度が前記サーミスタにより検出された温度であると推定された場合に算出される抵抗値である請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記判断部は、前記検出部により前記電圧が0であることが検出された場合、前記サーミスタと前記第1抵抗との間の配線で挟み込みにより接地が発生していると判断し、
前記制御部は、前記装置の動作を停止させる請求項1~4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記判断部は、前記検出部によって、前記第1抵抗によりプルアップされた前記所定電圧が検出された場合、前記コネクタの抜け、または、前記サーミスタと前記コネクタとの間の配線で断線が発生していると判断し、
前記制御部は、前記装置の動作を停止させる請求項2~4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記判断部によって前記サーミスタと前記第2抵抗との間の配線で挟み込みが発生していると判断された場合、外部にその旨を通知する通知部を、さらに備えた請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項8】
前記検出部は、前記装置の起動時に、前記サーミスタと前記第1抵抗とで分圧された電圧を検出する請求項1~7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記装置としての画像形成装置に配置された前記サーミスタと、
前記第1抵抗と、
請求項1~8のいずれか一項に記載の電子機器と、
を備えた画像形成装置。
【請求項10】
装置に配置されたサーミスタと、所定電圧にプルアップするための第1抵抗とで分圧された電圧を検出する検出ステップと、
検出した電圧に基づいて、少なくとも前記サーミスタに接続された配線の状態を判断する判断ステップと、
前記判断ステップでの判断結果に応じて、前記装置の制御を切り替える制御ステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、画像形成装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスの断線を検知するため、様々な技術が既に知られている。そのような断線を検知する技術として、検知対象の電線にパルス信号を送信し、送信波と反射波との時間差を測定することにより、ワイヤーハーネスの断線を検知する技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、異常の状態に依らず停止制御を実施するために一律にシステムをダウンさせてしまうため、ダウンタイムが長くなってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、装置のダウンタイムを低減できる電子機器、画像形成装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、装置に配置されたサーミスタと、所定電圧にプルアップするための第1抵抗とで分圧された電圧を検出する検出部と、前記検出部により検出された電圧に基づいて、少なくとも前記サーミスタに接続された配線の状態を判断する判断部と、前記判断部の判断結果に応じて、前記装置の制御を切り替える制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装置のダウンタイムを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るMFPの要部構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御ASICの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るMFPの異常検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る電子機器、画像形成装置および制御方法を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0009】
(MFPの要部構成)
図1は、実施形態に係るMFPの要部構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係るMPF(Multifunction Peripheral)1の要部構成について説明する。
【0010】
図1に示すように、MFP1は、画像形成装置(装置の一例)の一例であり、印刷ジョブ等に基づいて、画像形成を行い、印刷出力を行う複合機である。なお、複合機とは、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、およびファックス機能のうち少なくとも2つの機能を有する装置である。MFP1は、
図1に示すように、IOB10と、サーミスタR2と、を有する。なお、
図1には、装置の一例としてMFP1を示しているが、これに限定されるものではなく、装置としては、インクジェットプリンタ、電子黒板、会議端末装置、またはPC(Personal Computer)およびスマートフォン等の情報処理装置等も想定される。本実施形態では、装置としてMFP1を例に挙げて説明する。
【0011】
IOB10は、I/O制御を行う制御基板である。IOB10は、制御ASIC(Application Specific Integrated Circuit)11と、抵抗R1(第1抵抗)、抵抗R3(第2抵抗)と、を備えている。
【0012】
制御ASIC11は、IOB10の動作を制御する電子回路である。
【0013】
抵抗R1は、サーミスタR2の上流側を5[V]の電源電圧(所定電圧の一例)にプルアップするための抵抗(プルアップ抵抗)である。なお、抵抗R1によりプルアップされる電圧は、電源電圧の5[V]に限定されない。抵抗R1は、コネクタCNを介してサーミスタR2に接続される。抵抗R1とコネクタCNとの間の配線は、制御ASIC11に接続され、当該配線での電圧が、制御ASIC11内のADC(Analog to Digital Converter)によってデジタル値に変換されて検出電圧として検出される。例えば、電源電圧5[V]から接地までの経路で断線等がなければ、温度によって変化するサーミスタR2の抵抗値に応じて、5[V]から抵抗R1での電圧降下分を差し引いた電圧が、ADCによって検出される。一方、断線等により電源電圧5[V]から接地までの経路で電流が流れなければ電源電圧である5[V]が、ADCによって検出される。
【0014】
抵抗R3は、サーミスタR2の下流側を接地するための抵抗である。抵抗R3は、コネクタCNを介してサーミスタR2に接続される。
【0015】
サーミスタR2は、温度により抵抗値が変わる部材である。したがって、制御ASIC11は、サーミスタR2の抵抗値を直接的または間接的(例えばサーミスタR2を含む部品の電圧を検出する場合等)に検出することによって、サーミスタR2が配置された環境温度を検出することができる。また、MFP1の場合、サーミスタR2により、例えばトナーを定着させる定着ユニットのヒータ温度、または、作像ユニットの温度等を検出する。
【0016】
なお、本発明に係る電子機器は、制御ASIC11と捉えることもでき、制御ASIC11を備えるIOB10と捉えることもでき、さらに、IOB10を搭載したMFP1と捉えることもできる。
【0017】
ここで、
図1に示すように、コネクタCNからIOB10外のサーミスタR2へ接続される配線は、MFP1内に配置された各部品によって挟み込みを受けると、当該配線の被膜が破断して当該部品に接触した状態、または当該部品を介して接地された状態等になる場合がある。具体的には、サーミスタR2の上流側の配線の箇所A、または、サーミスタR2の下流側の配線の箇所Bの少なくともいずれかで挟み込みが発生する場合がある。したがって、箇所Aでの挟み込み、箇所Bでの挟み込み、またはコネクタCNの抜けにより、制御ASIC11で検出される検出電圧が変化する。本実施形態に係る制御ASIC11は、この検出電圧の変化に応じて、動作を変更する。当該動作の変更については、以下で詳述する。
【0018】
(制御ASICの機能ブロックの構成)
図2は、実施形態に係る制御ASICの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、本実施形態に係る制御ASIC11の機能ブロックの構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、制御ASIC11は、検出部111と、判断部112と、制御部113と、通知部114と、を有する。
【0020】
検出部111は、抵抗R1とコネクタCNとを接続する配線の電圧(すなわち、抵抗R1の下流側の電圧)の電圧を検出する機能部である。すなわち、検出部111は、サーミスタR2と、プルアップするための抵抗R1とで分圧された電圧を検出する。上述のようにサーミスタR2は、温度によって抵抗値が変化するため、検出部111による電圧の検出については、MFP1の起動時、すなわちMFP1の内部温度(サーミスタR2の配置環境の温度)≒MFP1の外気温度となるタイミングにおいて行い、外気温度センサにより検出された温度をサーミスタR2により検出された温度と推定し、推定された温度から算出される当該サーミスタR2の抵抗値を用いて、後述の判断部112による判断処理が実行される。検出部111は、制御ASIC11が有する上述のADCによって実現される。
【0021】
判断部112は、検出部111により検出された電圧(検出電圧)により、発生している現象を判断する。具体的には、判断部112は、箇所Aにおける挟み込みの発生、箇所Bにおける挟み込みの発生、またはコネクタCNの抜けの発生の有無(コネクタCNの接続状態)等を判断する。
【0022】
例えば、判断部112は、検出部111による検出温度が0[V]の場合、箇所Aで挟み込みにより接地が発生している(すなわち、抵抗R1のみで5[V]の電圧降下が発生している)と判断する。箇所Aで接地が発生する態様としては、箇所Aの配線において周囲部品による挟み込みにより被膜が破れ、配線内の金属線が当該周囲部品に接触して接地が起こる等が考えられる。
【0023】
また、判断部112は、検出部111による検出電圧が5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]未満である場合、箇所Bで挟み込みが発生していると判断する。ここで、「R2」は、上述のように、推定されたサーミスタR2の抵抗値である。箇所Bで挟み込みが発生した場合、箇所Bの配線において周囲部品による挟み込みにより被膜が破れ、配線内の金属線が当該周囲部品に接触することにより当該周囲部品を介して接地が起こる等が考えられる。したがって、箇所Bでの挟み込みが起きた周囲部品に起因する抵抗と、抵抗R3とで合成抵抗が形成され、正常な検出電圧である5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)よりも小さくなる。
【0024】
また、判断部112は、検出部111による検出電圧が5[V]である場合、コネクタCNの抜け(コネクタ抜け)、または、箇所Aもしくは箇所Bで挟み込みにより断線が発生している(すなわち、抵抗R1には電流が流れず電圧降下が発生しない)と判断する。
【0025】
また、判断部112は、検出部111による検出電圧が5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]である場合、箇所Aおよび箇所Bでの挟み込みによる不具合、およびコネクタCNの抜けが発生していないと判断する。
【0026】
制御部113は、判断部112による判断結果に応じて、MFP1の動作を変更する機能部である。
【0027】
具体的には、制御部113は、判断部112によって箇所Aで挟み込みにより接地が発生していると判断された場合、サーミスタR2による温度検出が不能と判断し、MFP1の動作を停止させる。
【0028】
また、制御部113は、判断部112によって箇所Bで挟み込みが発生していると判断された場合、サーミスタR2による温度検出は継続可能とし、以下の式(1)によって箇所Bでの挟み込みが起きた周囲部品に起因する抵抗と、抵抗R3との合成抵抗値を算出する。
【0029】
合成抵抗値={ADC検出値×(R1+R2)-(5V×R2)}/(5V-ADC検出値) ・・・(1)
【0030】
式(1)において、ADC検出値とは、検出部111により検出された検出電圧の値である。そして、制御部113は、算出した合成抵抗値で抵抗R3の抵抗値を置換した、変換テーブルを用いた温度検出動作に切り替える。ここで、変換テーブルとは、例えば、サーミスタR2の抵抗値と、サーミスタR2の配置環境の温度とを対応付けるテーブルである。
【0031】
例えば、箇所Aおよび箇所Bでの挟み込みによる不具合、およびコネクタCNの抜けが発生していない場合、検出部111による検出電圧は、5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]と一致することから、サーミスタR2の抵抗値が求まる。そして、変換テーブルにおいて、サーミスタR2の抵抗値に対応する温度を、サーミスタR2の配置環境の温度として求めることができる。
【0032】
一方、箇所Bで挟み込みが発生している場合、検出部111による検出電圧は、5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]のうち抵抗R3の抵抗値を合成抵抗値に置換した5/(R1+R2+合成抵抗値)×(R2+合成抵抗値)[V]と一致することから、サーミスタR2の抵抗値が求まる。そして、変換テーブルにおいて、サーミスタR2の抵抗値に対応する温度を、サーミスタR2の配置環境の温度として求めることができる。
【0033】
また、制御部113は、判断部112によってコネクタCNの抜け(コネクタ抜け)、または、箇所Aもしくは箇所Bで挟み込みにより断線が発生していると判断された場合、サーミスタR2による温度検出が不能と判断し、MFP1の動作を停止させる。
【0034】
また、制御部113は、判断部112によって挟み込み箇所Aおよび箇所Bでの挟み込みによる不具合、およびコネクタCNの抜けが発生していないと判断された場合、通常動作として抵抗R1、サーミスタR2および抵抗R3に基づいて、変換テーブルを用いた温度検出動作の制御を行う。
【0035】
通知部114は、判断部112により箇所Bで挟み込みが発生していると判断された場合、制御部113の制御に従って、外部のサービスマン等に通知する機能部である。通知部114は、例えば、MFP1のネットワークI/Fを介して異常の状態を示す情報を含むメールによる通知を行わせてもよく、MFP1の異常ランプの点灯等により異常を伝える等の動作を行うものとしてもよい。なお、通知部114は、制御部113によって、判断部112による判断に基づいてMFP1の動作が停止された場合にも、その旨を外部に通知するものとしてもよい。
【0036】
なお、判断部112、制御部113および通知部114は、制御ASIC11により実現されることに限定されるものではなく、IOB10またはMFP1に搭載されたCPU(Central Processing Unit)等でプログラムが実行されることによって実現されるものとしてもよい。
【0037】
(MFPの異常検知処理)
図3は、実施形態に係るMFPの異常検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3を参照しながら、本実施形態に係るMFP1の異常検知処理について説明する。
【0038】
<ステップS11>
MFP1が起動した場合(ステップS11:Yes)、ステップS12へ移行し、MFP1が起動していない場合(ステップS11:No)、起動するまで待機する。
【0039】
<ステップS12>
検出部111は、ADCの機能により抵抗R1とコネクタCNとを接続する配線の電圧(すなわち、抵抗R1の下流側の電圧)の電圧を検出する。そして、ステップS13へ移行する。
【0040】
<ステップS13>
判断部112は、検出部111による検出温度が0[V]であるか否かを判断する。検出部111による検出温度が0[V]の場合(ステップS13:Yes)、ステップS16へ移行し、0[V]でない場合(ステップS13:No)、ステップS14へ移行する。
【0041】
<ステップS14>
判断部112は、検出部111による検出電圧が5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]未満であるか否かを判断する。ここで、「R2」は、上述のように、推定されたサーミスタR2の抵抗値である。検出部111による検出電圧が5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]未満である場合(ステップS14:Yes)、ステップS17へ移行し、5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]未満でない場合(ステップS14:No)、ステップS15へ移行する。
【0042】
<ステップS15>
判断部112は、検出部111による検出温度が5[V]であるか否かを判断する。検出部111による検出電圧が5[V]である場合(ステップS15:Yes)、ステップS18へ移行し、5[V]でない場合(ステップS15:No)、異常はないものとして異常検知処理を終了する。ここで、検知電圧が5[V]でない場合とは、具体的には、検出電圧として正常な5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]である場合である。
【0043】
<ステップS16>
判断部112は、検出部111による検出温度が0[V]の場合、挟み込み箇所Aで挟み込みにより接地が発生している(すなわち、抵抗R1のみで5[V]の電圧降下が発生している)と判断する。そして、制御部113は、判断部112によって挟み込み箇所Aで挟み込みにより接地が発生していると判断された場合、サーミスタR2による温度検出が不能と判断し、MFP1の動作を停止させる。そして、異常検知処理を終了する。
【0044】
<ステップS17>
判断部112は、検出部111による検出電圧が5/(R1+R2+R3)×(R2+R3)[V]未満である場合、箇所Bで挟み込みが発生していると判断する。そして、制御部113は、判断部112によって箇所Bで挟み込みが発生していると判断された場合、サーミスタR2による温度検出は継続可能とし、上述の式(1)によって箇所Bでの挟み込みが起きた周囲部品に起因する抵抗と、抵抗R3との合成抵抗値を算出する。そして、制御部113は、検出部111により検出される検出電圧と、算出した合成抵抗値とに基づいた温度検出動作に切り替える。具体的には、制御部113は、算出した合成抵抗値で抵抗R3の抵抗値を置換した、変換テーブルを用いた温度検出動作に切り替える。さらに、通知部114は、判断部112により箇所Bで挟み込みが発生していると判断された場合、制御部113の制御に従って、外部のサービスマン等に通知する。そして、異常検知処理を終了する。
【0045】
<ステップS18>
判断部112は、検出部111による検出電圧が5[V]である場合、コネクタCNの抜け(コネクタ抜け)、または、箇所Aもしくは箇所Bで挟み込みにより断線が発生している(すなわち、抵抗R1には電流が流れず電圧降下が発生しない)と判断する。そして、制御部113は、判断部112によってコネクタCNの抜け(コネクタ抜け)、または、箇所Aもしくは箇所Bで挟み込みにより断線が発生していると判断された場合、サーミスタR2による温度検出が不能と判断し、MFP1の動作を停止させる。そして、異常検知処理を終了する。
【0046】
以上のステップS11~S18の流れによって、異常検知処理が実行される。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るMFP1では、検出部111は、MFP1に配置されたサーミスタR2と、所定電圧にプルアップするための抵抗R1とで分圧された電圧を検出し、判断部112は、検出部111により検出された電圧に基づいて、少なくともサーミスタR2に接続された配線の状態を判断し、制御部113は、判断部112の判断結果に応じて、MFP1の制御を切り替えるものとしている。このように、サーミスタR2に接続された配線の状態に不具合が発生したとしても、当該状態の判断結果に応じて、MFP1の制御を切り替えるものとしており、例えば、当該サーミスタR2による温度検出が可能である場合には、MFP1の動作を継続させるものとしている。よって、装置としてのMFP1のダウンタイムを低減することができる。
【0048】
また、判断部112は、検出部111により、抵抗R1によりプルアップされた電源電圧を抵抗R1の抵抗値とサーミスタR2の抵抗値と抵抗R3の抵抗値との和で割った値と、サーミスタR2の抵抗値と抵抗R3の抵抗値との和と、の積の値未満の電圧が検出された場合、サーミスタR2と抵抗R3との間の配線で挟み込みが発生していると判断し、制御部113は、挟み込みに起因する抵抗と、抵抗R3との合成抵抗値を算出し、検出部111により検出される検知電圧と、算出した合成抵抗値とに基づいた温度検出動作に切り替えるものとしている。このように、サーミスタR2に接続された配線の状態に不具合が発生したとしても、当該サーミスタR2による温度検出が可能である場合には、MFP1を停止せずに、MFP1の動作を継続させるものとしている。よって、装置としてのMFP1のダウンタイムを低減することができる。
【0049】
また、通知部114は、検出部111によってサーミスタR2と抵抗R3との間の配線で挟み込みが発生していると判断された場合、外部にその旨を通知するものとしている。これによって、当該挟み込みが発生したことの通知を外部のサービスマンが受けることによって、修理時間を短縮することができ、結果的にMFP1のダウンタイムを低減することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 MFP
10 IOB
11 制御ASIC
111 検出部
112 判断部
113 制御部
114 通知部
CN コネクタ
R1、R3 抵抗
R2 サーミスタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】