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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115144
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】皮膚清拭用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20230810BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
A61K8/86
A61Q19/10
A61K8/34
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104835
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2018230146の分割
【原出願日】2018-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】八坂 武
(72)【発明者】
【氏名】泉津 敦子
(72)【発明者】
【氏名】大田 亜也加
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、エタノールを8重量%以上という高濃度で含み、皮膚を清拭した後にすっきり感を十分に感じられ、且つ清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減できる皮膚清拭用組成物を提供することである。
【解決手段】8~20重量%のエタノールと共にポリエチレングリコールを含む皮膚清拭用組成物は、化粧用コットン等の拭取具に含浸させて皮膚を清拭すると、すっきり感を十分に感じられ、且つスムーズな清拭操作を行うことが可能で清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール8~20重量%、及びポリエチレングリコールを含む、皮膚清拭用組成物(ただし、リン脂質類を含むもの、α-ヒドロキシ酸および/又はその塩を含むもの、塩化ジメチルジアリルアンモニウムを必須のモノマー成分として形成された重合体を含むもの、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを含むもの、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含むもの、及びHLB10~13であり、炭素数10~18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル又は炭素数10~18のアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルケニルエーテルを含むものを除く)。
【請求項2】
ポリエチレングリコールを0.1~15重量%含む、請求項1に記載の皮膚清拭用組成物。
【請求項3】
更に、プロピレングリコール及び/又はグリセリンを含む、請求項1又は2に記載の皮膚清拭用組成物。
【請求項4】
請求項1~3いずれかに記載の皮膚清拭用組成物が、拭取具に含浸されてなる皮膚清拭具。
【請求項5】
請求項1~3いずれかに記載の皮膚清拭用組成物を用いて皮膚の清拭を行う、皮膚清拭方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚を清拭した後にすっきり感(清涼感)を十分に感じられ、且つ清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減できる、皮膚清拭用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚上の皮脂や汚れを除去して皮膚を衛生的な状態にするスキンケア製品として、皮膚清拭用組成物が広く使用されている。皮膚清拭用組成物には、皮膚上の皮脂や汚れを除去する効果に加えて、その効果実感を得るために清拭時にすっきりとした使用感が得られることが求められている。エタノールは、優れた脱脂作用を有するため、皮脂や汚れの除去に有効であり、しかもすっきりとした使用感を付与することもできるので、皮膚清拭用組成物の配合成分として汎用されている。
【0003】
皮膚上の皮脂や汚れに対する除去効果、及び清拭時のすっきりとした使用感を向上させるには、皮膚清拭用組成物にエタノールを高濃度で配合することが有効になる。しかしながら、エタノールを8重量%以上も高濃度で含む皮膚清拭用組成物を用いて、化粧用コットン等の拭取具に含浸させて皮膚の清拭を行うと、肌へのひっかかりが生じて、スムーズな清拭操作ができず、更に肌へのひっかかりに起因する摩擦で刺激が生じるという欠点がある。従来、エタノールの配合量を低減又はエタノールを配合せずに使用感を高めた製剤として、特定構造のジエチレングリコールモノエーテル及び/又はトリエチレングリコールモノエーテルを含む皮膚外用組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このようにエタノールの濃度を低減させた製剤では、皮膚上の皮脂や汚れに対する除去効果や清拭時のすっきりとした使用感も低減するため、皮膚清拭用組成物として満足できる性能を有するものではない。
【0004】
このような従来技術を背景として、エタノールを高濃度で含み、皮膚を清拭した後にすっきり感を十分に感じられ、且つ清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減できる皮膚清拭用組成物の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-50272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エタノールを8重量%以上という高濃度で含み、皮膚を清拭した後にすっきり感を十分に感じられ、且つ清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減できる皮膚清拭用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、8~20重量%のエタノールと共にポリエチレングリコールを含む皮膚清拭用組成物は、化粧用コットン等の拭取具に含浸させて皮膚を清拭すると、すっきり感を十分に感じられ、且つスムーズな清拭操作を行うことが可能で清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
項1. エタノール8~20重量%、及びポリエチレングリコールを含む、皮膚清拭用組成物。
項2. ポリエチレングリコールを0.1~15重量%含む、項1に記載の皮膚清拭用組成物。
項3. 更に、プロピレングリコール及び/又はグリセリンを含む、項1又は2に記載の皮膚清拭用組成物。
項4. 項1~3いずれかに記載の皮膚清拭用組成物が、拭取具に含浸されてなる皮膚清拭具。
項5. 項1~3いずれかに記載の皮膚清拭用組成物を用いて皮膚の清拭を行う、皮膚清拭方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚清拭用組成物は、皮膚を清拭した後にすっきり感(清涼感)を十分に実感させることができ、しかも清拭操作をスムーズに行って肌へのひっかかりを軽減することも可能になっているので、優れた使用感と効果実感を得ることができる。また、本発明の皮膚清拭用組成物の一実施態様は、清拭操作後に残存する皮膚清拭用組成物によるベタツキを十分抑制することもでき、使用感を更に向上させることができる。
【0010】
1.皮膚清拭用組成物
本発明の皮膚清拭用組成物は、エタノール8~20重量%、及びポリエチレングリコールを含むことを特徴とする。以下、本発明の皮膚清拭用組成物について詳述する。
【0011】
[含有成分]
本発明の皮膚清拭用組成物は、エタノールを8~20重量%含有する。このようにエタノールを高濃度で含有しているため、皮膚を清拭した後にすっきり感(清涼感)を十分に実感させることができる。また、本発明の皮膚清拭用組成物では、後述するポリエチレングリコールが含まれているため、エタノールを8~20重量%という高濃度で含んでいても、スムーズな清拭操作を行うことが可能になっており、清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減することができる。皮膚上の皮脂や汚れに対する除去効果、皮膚を清拭した後のすっきり感、及び清拭操作時の肌へのひっかかりの軽減効果をより一層好適に具備させるという観点から、本発明の皮膚清拭用組成物におけるエタノールの濃度として、好ましくは8~17重量%、更に好ましくは8~14重量%、特に好ましくは8~11重量%が挙げられる。
【0012】
本発明の皮膚清拭用組成物は、化粧用コットン等の拭取具に含浸させて皮膚を清拭する際に、スムーズな清拭操作を可能にして、清拭操作時の肌へのひっかかりを軽減させるために、ポリエチレングリコールを含む。
【0013】
本発明で使用されるポリエチレングリコールの平均分子量については、特に制限されず、例えば、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール9000、ポリエチレングリコール11000、ポリエチレングリコール12000、ポリエチレングリコール20000等を使用できる。これらのポリエチレングリコールの中でも、清拭操作時の肌へのひっかかりをより一層効果的に軽減させるという観点から、好ましくはポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール9000;更に好ましくはポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000;特に好ましくはポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000が挙げられる。
【0014】
本発明の皮膚清拭用組成物におけるポリエチレングリコールの濃度としては、例えば、0.1~15重量%が挙げられる。清拭操作時の肌へのひっかかりをより一層効果的に軽減させつつ、清拭後に皮膚上に残存する皮膚清拭用組成物によるベタツキを抑制するという観点から、本発明の皮膚清拭用組成物におけるポリエチレングリコールの濃度として、好ましくは0.3~10重量%、更に好ましくは0.4~4重量%、特に好ましくは0.6~3重量%が挙げられる。
【0015】
本発明の皮膚清拭用組成物には、更にプロピレングリコールが含まれていてもよい。プロピレングリコールが更に含まれている場合には、保湿性を付与することができる。本発明の皮膚清拭用組成物におけるプロピレングリコールの濃度については、特に制限されないが、例えば、0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、更に好ましくは1~10重量%が挙げられる。
【0016】
本発明の皮膚清拭用組成物には、更にグリセリンが含まれていてもよい。グリセリンが更に含まれている場合には、保湿性を付与することができる。本発明の皮膚清拭用組成物におけるグリセリンの濃度については、特に制限されないが、例えば、0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、更に好ましくは1~10重量%が挙げられる。
【0017】
また、本発明の皮膚清拭用組成物は、基剤として水を含むことが好ましい。本発明の皮膚清拭用組成物における水の含有量については、配合する成分以外の残部であればよいが、例えば、10~91.9重量%、好ましくは15~88重量%、更に好ましくは20~85重量%が挙げられる。
【0018】
本発明の皮膚清拭用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて通常の皮膚清拭用組成物において使用される薬理成分や添加剤等を含有していてもよい。
【0019】
本発明の皮膚清拭用組成物に配合可能な薬理成分としては、例えば、抗菌又は殺菌剤(イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、塩化リゾチーム、スルファジアジン、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等)、抗ヒスタミン剤(クロルフェニラミンマレイン酸塩等)、局所麻酔剤(プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、アラントイン、εアミノカプロン酸、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、清涼化剤(メントール、カンフル等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン等)等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの薬理成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0020】
本発明の皮膚清拭用組成物に配合可能な添加剤としては、例えば、エタノール以外の1価の低級アルコール(プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等)、前記以外の多価アルコール(エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、界面活性剤(非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤)、防腐剤(メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等)、着香剤(シトラール、1,8-シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、粘稠剤(ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、湿潤剤(dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D-ソルビトール液等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、DL-アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤等の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の含有量は、製剤形態等に応じて適宜設定することができる。
【0021】
[製剤形態]
本発明の皮膚清拭用組成物の形状については、特に制限されないが、皮膚の清拭に使用し易い形状、特に拭取具に含浸し易い形状であることが好ましく、具体的には、液状又は半固形状(ジェル状、軟膏状、ペースト状)であることが好ましい。
【0022】
本発明の皮膚清拭用組成物の製剤形態として、具体的には、液剤、乳液剤、ローション剤、ジェル剤、軟膏剤、クリーム剤等が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、好ましくは、液剤、乳液剤、ローション剤が挙げられる。
【0023】
[使用方法]
本発明の皮膚清拭用組成物は、スキンケアのために皮膚の清拭に使用される。本発明の皮膚清拭用組成物を用いて、皮膚を清拭する手法については、特に制限されないが、適量を拭取具に含浸させた状態にして、スキンケアが求められる皮膚を清拭することが好ましい。
【0024】
本発明の皮膚清拭用組成物を含浸させる拭取具については、肌の清拭に使用可能であるものであればよく、例えば、化粧用コットン、化粧用パフ、不織布シート、織布シート(ガーゼ等)、スポンジ等が挙げられる。これらの拭取具の構成素材については、特に制限されず、例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、合成樹脂等のいずれであってもよいが、清拭する際の使用感の観点から、好ましくは天然繊維、更に好ましくは綿が挙げられる。
【0025】
これらの拭取具の中でも、清拭する際の使用感の観点から、好ましくは化粧用コットン、不織布シート、更に好ましくは化粧用コットンが挙げられる。
【0026】
本発明の皮膚清拭用組成物の適用対象となる皮膚は、皮脂や汚れの除去が求められる皮膚部位であればよいが、例えば、顔、首、手、腕、足等が挙げられ、好ましくは顔である。
【0027】
2.皮膚清拭具
本発明の皮膚清拭具は、前記皮膚清拭用組成物が拭取具に含浸されていることを特徴とする。本発明の皮膚清拭具において、使用される皮膚清拭用組成物の組成や製剤形態、拭取具の種類や素材等については、前記「1.皮膚清拭用組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0028】
以下、本発明について実施例を挙げて、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されて解釈されるものではない。
【0029】
試験例1
表1~3に示す組成の皮膚清拭用組成物(皮膚清拭用化粧水)を調製し、皮膚を清拭した際の肌へのひっかかりの程度と、清拭後に皮膚上に残存する皮膚清拭用組成物によるベタツキの程度を以下の方法で評価した。
【0030】
化粧用コットン(綿100%、7cm×5cm、4枚重ね)に皮膚清拭用組成物4mlを含浸させて皮膚清拭具を調製した。得られた皮膚清拭具を用いて、下腕内側の肌に対して3~4回拭き取り操作を行った。拭き取り操作中の肌へのひっかかりの程度について、ひっかかりが全く気にならないを「0」、ひっかかりが大変気になるを「10」として、Visual Analogue Scale(以下、VAS)によるアンケートを実施することにより評点化した。また、拭き取り操作後の皮膚上に残存する皮膚清拭用組成物によるベタツキの程度について、べたつきが全く気にならないを「0」、べたつきが大変気になるを「10」として、VASによるアンケートを実施することにより評点化した。なお、本試験は、専門評価パネラー10名で行い、各項目の評点の平均値を算出し、以下の基準に従って判定した。
<拭き取り操作中の肌へのひっかかりの程度>
◎:評点の平均値が4点未満(ひっかかりが全く気にならない水準)
○:評点の平均値が4点以上6点未満(ひっかかりがほとんど気にならない水準)
△:評点の平均値が6点以上7点未満(ひっかかりがやや気になる水準)
×:評点の平均値が7点以上(ひっかかりが明らかに気になる水準)
<拭き取り操作後の皮膚上に残存する皮膚清拭用組成物によるべたつきの程度>
◎:評点の平均値が6点未満(べたつきが全く気にならない水準)
○:評点の平均値が6点以上8点未満(べたつきがほとんど気にならない水準)
×:評点の平均値が8点以上(べたつきが明らかに気になる水準)
【0031】
結果を表1~3に示す。エタノール8~17重量%を含む皮膚清拭用組成物において、ポリエチレングリコールが含まれていない場合には、拭き取り操作中の肌へのひっかかりがあり、スムーズな拭き取り操作がし難くなっていた(比較例1~4)。これに対して、エタノールが8~17重量%と高濃度であっても、ポリエチレングリコールを含む場合には、拭き取り操作中の肌へのひっかかりを軽減でき、しかも拭き取り操作後の皮膚上に残存する皮膚清拭用組成物によるベタツキも抑制できることが確認された(実施例1~43)。特に、エタノール8~17重量%と共に、ポリエチレングリコールが0.6~3重量%含まれている場合には、拭き取り操作中の肌へのひっかかりを格段効果的に軽減でき、しかも拭き取り操作後の皮膚上に残存する皮膚清拭用組成物によるべたつきは全く気にならない程度になっていた(実施例9~30)。なお、実施例1~43の皮膚清拭用組成物は、清拭した際にすっきりとした使用感(清涼感)が十分に感じられ、優れた使用感も有していた。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
試験例2
前記試験例1において、実施例1~43の皮膚清拭用組成物は、エタノールを8重量%以上含むため、優れた使用感があり、清拭した際にすっきりとした使用感(清涼感)が十分に感じられた。そこで、エタノール濃度が8重量%以下の皮膚清拭用組成物について、清拭した後のすっきり感を評価するために、以下の試験を行った。
【0036】
表4に示す比較例5の皮膚清拭用組成物(皮膚清拭用化粧水)を調製し、化粧用コットン(綿100%、7cm×5cm、4枚重ね)に当該皮膚清拭用組成物4mlを含浸させて皮膚清拭具を調製した。得られた皮膚清拭具を用いて、下腕内側の肌に対して3~4回拭き取り操作を行った。拭き取り操作後のすっきり感(清涼感)の程度について、
すっきり感(清涼感)を全く感じないを「0」、すっきり感(清涼感)を十分に感じるを「10」として、VASによるアンケートを実施することにより評点化した。なお、本試験は専門評価パネラー10名で行い、評点の平均値を算出し、以下の基準に従って判定した。また、参考のために、実施例17の皮膚清拭用組成物についても、同様の試験を行った。
<拭き取り操作後のすっきり感(清涼感)の程度>
◎:評点の平均値が8点以上(良好なすっきり感があり、使用感が卓越していると認められる水準)
○::評点の平均値が4点以上8点未満(すっきり感があり、使用感が良好と認められる水準)
×:評点の平均値が4点未満(すっきり感が少なく、使用感に劣る水準)
【0037】
結果を表4に示す。この結果、エタノール濃度6重量%である場合には、ポリエチレングリコールを含んでいても、清拭した際にすっきりとした使用感(清涼感)は不十分であった(比較例5)。即ち、本結果から、エタノールを8重量%以上含むことによって、皮膚の清拭後に優れたすっきり感(清涼感)を付与できることが確認された。
【0038】
【表4】