(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115900
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】花穂整形方法、花穂整形装置、花穂整形装置の制御装置及び制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
A01G 3/037 20060101AFI20230814BHJP
A01G 3/02 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
A01G3/037
A01G3/02 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007386
(22)【出願日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2022017961
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲資
(72)【発明者】
【氏名】吉田 武史
(72)【発明者】
【氏名】太田 智彦
(57)【要約】
【課題】効率的に花穂を整形することができる花穂整形方法、花穂整形装置、花穂整形装置の制御装置及び制御方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】花穂を撮像した画像に基づいて、前記花穂を整形する花穂整形範囲を特定し、前記花穂整形範囲に応じて前記花穂の穂軸上に設定された第1位置及び第2位置を穂軸抑えにより保持し、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させて小穂を切断する、花穂整形方法である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
花穂を撮像した画像に基づいて、前記花穂を整形する花穂整形範囲を特定し、
前記花穂整形範囲に応じて前記花穂の穂軸上に設定された第1位置及び第2位置を穂軸抑えにより保持し、
前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させて小穂を切断する、
花穂整形方法。
【請求項2】
前記第1位置と前記第2位置の間で前記整形刃をスライド機構によりスライド移動させて前記小穂を切断する、
請求項1に記載の花穂整形方法。
【請求項3】
前記穂軸抑えにより前記第1位置及び前記第2位置を保持し、
前記穂軸抑えにより前記花穂の穂軸における前記第1位置と前記第2位置との間に引張力を付与して前記花穂を引き伸ばす、
請求項1または2に記載の花穂整形方法。
【請求項4】
前記穂軸抑えは、
前記第1位置を保持する第1クリップと、
前記花穂における前記第1位置よりも先端部側の前記第2位置を保持する第2クリップと、
前記第1クリップと前記第2クリップとを相対的に移動させて前記第1クリップと前記第2クリップの位置を調整する調整機構と、を備え、
前記穂軸に対するロール方向の位置及びピッチ方向の位置を調整された前記第1クリップ及び前記第2クリップにより、それぞれ前記第1位置及び前記第2位置を保持する、
請求項1に記載の花穂整形方法。
【請求項5】
前記ロール方向の位置を調整した後に、前記第2クリップにより前記第2位置を保持し、
続いて前記ピッチ方向の位置を調整する、
請求項4に記載の花穂整形方法。
【請求項6】
少なくとも前記第2クリップにより前記第2位置を把持可能となる位置に前記第2クリップの位置を調整し、
前記第2クリップにより前記第2位置を保持した後に、前記第1クリップにより前記第1位置を保持できるか否かを判定し、
前記第1位置を保持できないと判定した場合に、前記第2クリップの位置を前記花穂の先端部側に移動させて前記穂軸を引き伸ばす、
請求項5に記載の花穂整形方法。
【請求項7】
設定された前記第1位置を、前記第1クリップに設けられた第1センサにより検出する、
請求項4に記載の花穂整形方法。
【請求項8】
前記第1クリップまたは前記第2クリップのうち少なくともいずれかに設けられた第1撮像装置により花穂を撮像した画像に基づいて、花穂整形範囲を特定する、
請求項4に記載の花穂整形方法。
【請求項9】
第1撮像装置により花穂を撮像した画像に基づいて、花穂整形範囲を特定できない場合に、前記第1クリップと前記第2クリップの間に配置された第2撮像装置により花穂を撮像した画像に基づいて、花穂整形範囲を特定する、
請求項8に記載の花穂整形方法。
【請求項10】
前記第1クリップ及び前記第2クリップのうち少なくとも一方は、前記花穂を挟む一対の指部と、
前記花穂を前記指部の先端側から基端側に搬送する搬送部材と、
前記搬送部材により搬送された前記花穂を保持する保持部材と、を備え、
前記指部に導入した花穂を前記搬送部材により前記指部の先端側から基端側に搬送し、
搬送された前記花穂を前記保持部材により保持する、
請求項4に記載の花穂整形方法。
【請求項11】
前記一対の指部における先端部は、前記一対の指部の基端側から先端側に行くほど互いに離反する形状をなしており、
前記一対の指部の先端から前記花穂を前記一対の指部の間に導入する、
請求項10に記載の花穂整形方法。
【請求項12】
前記搬送部材は、前記一対の指部にそれぞれ設けられ、それぞれ前記一対の指部に沿って配置された一対のプーリベルトを備え、
前記前記一対のプーリベルトにより前記花穂を挟み込み、前記一対のプーリベルトを前記一対の指部の先端側から基端側に向けて回転させて前記花穂を搬送する、
請求項10に記載の花穂整形方法。
【請求項13】
前記保持部材による前記花穂の保持力を調整して、前記保持部材に前記花穂を保持させる、
請求項10に記載の花穂整形方法。
【請求項14】
花穂を撮像する撮像装置と、
花穂を撮像した画像に基づいて、前記花穂を整形する花穂整形範囲を特定する特定装置と、
花穂の穂軸上に設定される第1位置及び第2位置を保持する穂軸抑えと、
前記花穂における前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って移動して小穂を切断する整形刃と、を備える、
花穂整形装置。
【請求項15】
撮像装置により撮像された花穂の画像を取得する取得部と、
前記花穂の画像に基づいて、花穂整形範囲を特定し、穂軸抑えにより保持される第1位置及び第2位置を設定する算出部と、
花穂の穂軸上に設定される前記第1位置及び第2位置を前記穂軸抑えに保持させ、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させる駆動制御部と、を備える、
花穂整形装置の制御装置。
【請求項16】
コンピュータが、
撮像装置により撮像された花穂の画像を取得し、
前記花穂の画像に基づいて、花穂整形範囲を特定し、穂軸抑えにより保持される第1位置及び第2位置を設定し、
前記穂軸抑えに前記第1位置及び第2位置を保持させ、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させる、
花穂整形装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータに、
撮像装置により撮像された花穂の画像を取得させ、
前記花穂の画像に基づいて、花穂整形範囲を特定させ、穂軸抑えにより保持される第1位置及び第2位置を設定させ、
前記穂軸抑えに前記第1位置及び第2位置を保持させ、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させる制御を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花穂整形方法、花穂整形装置、花穂整形装置の制御装置及び制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブドウなどの作物を栽培するにあたり、良質の作物を得るために、花穂を整形する作業が重要となる。花穂を整形する作業には、例えば、花穂整形器を用いられている(例えば、特許文献1参照)。この花穂整形器は、例えば、作業者が手に取り付けて手動で操作することにより利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の作物は、例えば大規模生産園地で生産される。このため、例えば、作物を生産するために多くの作業者による作業を求められる。この問題に対して、例えば花穂整形器をロボット化して花穂の整形作業を効率化することが考えられる。しかし、従来の花穂整形器は、手動で操作されるものであるため、ロボット化の対象とすることは難しい。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、効率的に花穂を整形することができる花穂整形方法、花穂整形装置、花穂整形装置の制御装置及び制御方法、並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した花穂整形方法は、花穂を撮像した画像に基づいて、前記花穂を整形する花穂整形範囲を特定し、前記花穂整形範囲に応じて前記花穂の穂軸上に設定された第1位置及び第2位置を穂軸抑えにより保持し、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させて小穂を切断するものである。
【0007】
また前記第1位置と前記第2位置の間で前記整形刃をスライド機構によりスライド移動させて前記小穂を切断するものでもよい。
【0008】
また、前記穂軸抑えにより前記第1位置及び前記第2位置を保持し、前記穂軸抑えにより前記花穂の穂軸における前記第1位置と前記第2位置との間に引張力を付与して前記花穂を引き伸ばすものでもよい。
【0009】
また、前記穂軸抑えは、前記第1位置を保持する第1クリップと、前記花穂における前記第1位置よりも先端部側の前記第2位置を保持する第2クリップと、前記第1クリップと前記第2クリップとを相対的に移動させて前記第1クリップと前記第2クリップの位置を調整する調整機構と、を備え、前記穂軸に対するロール方向の位置及びピッチ方向の位置を調整された前記第1クリップ及び前記第2クリップにより、それぞれ前記第1位置及び前記第2位置を保持するものでもよい。
【0010】
また、前記ロール方向の位置を調整した後に、前記第2クリップにより前記第2位置を保持し、続いて前記ピッチ方向の位置を調整するものでもよい。
【0011】
また、少なくとも前記第2クリップにより前記第2位置を把持可能となる位置に前記第2クリップの位置を調整し、前記第2クリップにより前記第2位置を保持した後に、前記第1クリップにより前記第1位置を保持できるか否かを判定し、前記第1位置を保持できないと判定した場合に、前記第2クリップの位置を前記花穂の先端部側に移動させて前記穂軸を引き伸ばすものでもよい。
【0012】
また、設定された前記第1位置を、前記第1クリップに設けられた第1センサにより検出するものでもよい。
【0013】
また、前記第1クリップまたは前記第2クリップのうち少なくともいずれかに設けられた第1撮像装置により花穂を撮像した画像に基づいて、花穂整形範囲を特定するものでもよい。
【0014】
また、1撮像装置により花穂を撮像した画像に基づいて、花穂整形範囲を特定できない場合に、前記第1クリップと前記第2クリップの間に配置された第2撮像装置により花穂を撮像した画像に基づいて、花穂整形範囲を特定するものでもよい。
【0015】
また、前記第1クリップ及び前記第2クリップのうち少なくとも一方は、前記花穂を挟む一対の指部と、前記花穂を前記指部の先端側から基端側に搬送する搬送部材と、前記搬送部材により搬送された前記花穂を保持する保持部材と、を備え、前記指部に導入した花穂を前記搬送部材により前記指部の先端側から基端側に搬送し、搬送された前記花穂を前記保持部材により保持するものでもよい。
【0016】
また、前記一対の指部における先端部は、前記一対の指部の基端側から先端側に行くほど互いに離反する形状をなしており、前記一対の指部の先端から前記花穂を前記一対の指部の間に導入する、ものでもよい。
【0017】
また、前記搬送部材は、前記一対の指部にそれぞれ設けられ、それぞれ前記一対の指部に沿って配置された一対のプーリベルトを備え、前記前記一対のプーリベルトにより前記花穂を挟み込み、前記一対のプーリベルトを前記一対の指部の先端側から基端側に向けて回転させて前記花穂を搬送する、ものでもよい。
【0018】
また、前記保持部材による前記花穂の保持力を調整して、前記保持部材に前記花穂を保持させる、ものでもよい。
【0019】
上記課題を解決した花穂整形装置は、花穂を撮像する撮像装置と、花穂を撮像した画像に基づいて、前記花穂を整形する花穂整形範囲を特定する特定装置と、花穂の穂軸上に設定される第1位置及び第2位置を保持する穂軸抑えと、前記花穂における前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って移動して小穂を切断する整形刃と、を備えるものである。
【0020】
上記課題を解決した花穂整形装置の制御装置は、撮像装置により撮像された花穂の画像を取得する取得部と、前記花穂の画像に基づいて、花穂整形範囲を特定し、穂軸抑えにより保持される第1位置及び第2位置を設定する算出部と、前記穂軸抑えに前記第1位置及び第2位置を保持させ、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させる駆動制御部と、を備えるものである。
【0021】
上記課題を解決した花穂整形装置の制御方法は、コンピュータが、撮像装置により撮像された花穂の画像を取得し、前記花穂の画像に基づいて、花穂整形範囲を特定し、穂軸抑えにより保持される第1位置及び第2位置を設定し、前記穂軸抑えに前記第1位置及び第2位置を保持させ、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させるものである。
【0022】
上記課題を解決したプログラムは、コンピュータに、撮像装置により撮像された花穂の画像を取得させ、前記花穂の画像に基づいて、花穂整形範囲を特定させ、穂軸抑えにより保持される第1位置及び第2位置を設定させ、前記穂軸抑えに前記第1位置及び第2位置を保持させ、前記第1位置及び前記第2位置の間の前記穂軸に沿って整形刃を移動させる制御を実行させるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る花穂整形方法、花穂整形装置、花穂整形装置の制御装置及び制御方法、並びにプログラムによれば、効率的に花穂を整形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施形態の花穂整形ユニット1の一例を示す図である。
【
図2】花穂整形装置30の一例を示す斜視図である。
【
図3】第1クリップ40の一例を示す斜視図である。
【
図5】制御装置100を含む花穂整形ユニット1の構成の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態の花穂整形方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1位置Aと第2位置Bが特定された花穂Gと花穂整形装置30の外観の一例を示す図である。
【
図8】花穂Gに対する花穂整形装置30のロール方向の位置合わせの工程の一例を示す図である。
【
図9】第1爪部42及び第2爪部52における花穂Gを把持できる範囲を説明する図である。
【
図10】花穂Gに対する花穂整形装置30のピッチ方向の位置合わせの工程の一例を示す図である。
【
図11】花穂整形装置30により主穂G1を引き伸ばしてから小穂を切断する工程の一例を示す図である。
【
図12】第1クリップ40と主穂G1との相対的位置関係の複数の例を示す図である。
【
図13】第2の実施形態の花穂整形方法の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第2クリップ50により主穂G1を引き伸ばす工程の一例を示す図である。
【
図15】トリガセンサTを備える花穂整形装置30の一例を示す斜視図である。
【
図16】第1クリップ40と第2クリップ50の間に補助カメラCが配置された花穂整形装置30の一例を示す斜視図である。
【
図17】イメージベースド制御を実行する際の第2クリップカメラ92により撮像した画像のイメージの一例を示す図である。
【
図18】変形例6の花穂整形装置230の一例を示す斜視図である。
【
図19】第1クリップ240の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る花穂整形方法、花穂整形装置、花穂整形装置の制御装置及び制御方法、並びにプログラムを、図面に参照して説明する。まず、第1の実施形態の花穂整形方法について説明する。
図1は、第1の実施形態の花穂整形ユニット1の一例を示す図である。第1の実施形態の花穂整形方法は、例えば、花穂整形ユニット1を用いて実行される。花穂整形ユニット1は、例えば、移動台車10と、6軸アーム20と、花穂整形装置30と、を備える。
【0026】
移動台車10は、例えば、台車を備えており、台車には、ブドウ農園内を走行する移動装置が設けられている。移動装置は、例えば無限軌道である。移動装置は、その他の装置でもよく、例えば、2輪、4輪などの複数の車輪を備える走行装置でもよいし、複数の脚部を備える歩行装置でもよい。
【0027】
移動台車10には、6軸アーム20が搭載されている。6軸アーム20は、第1アーム21と、第2アーム22と、第3アーム23と、を備える。第1アーム21は、一端が移動台車10に回転可能に接続され、他端が第2アーム22の一端に回転可能に接続されている。第2アーム22の一端は、第3アーム23の一端に回転可能に接続されている。第3アームの他端には、花穂整形装置30が回転可能に接続されている。
【0028】
花穂整形装置30は、6軸アーム20を介して移動台車10に取り付けられている。花穂整形装置30は、移動台車10により、例えばブドウ農園内を移動可能である。花穂整形装置30は、6軸アーム20により、例えばロール方向、ピッチ方向、ヨー方向を含む6軸回りの方向に姿勢を調整可能である。
【0029】
図2は、花穂整形装置30の一例を示す斜視図である。花穂整形装置30は、例えば、基台31と、クリップユニット32と、調整機構33と、花穂整形刃ユニット34と、スライドレール35と、を備える。基台31は、6軸アーム20における第3アーム23の他端に取り付けられている。基台31は、細長い直方体状をなす。以下の説明において、基台31が延在する方向をZ方向、Z方向に直交する基台31の幅方向をY方向、Z方向及びY方向の双方に直交する方向をX方向と定義する。
【0030】
クリップユニット32は、第1クリップ40及び第2クリップ50の2つのクリップを備える。クリップユニット32は、穂軸抑えの一例である。第1クリップ40及び第2クリップ50は、いずれも共通する構造をなす。以下、第1クリップ40及び第2クリップ50を代表して、第1クリップ40の構造を説明する。
図3は、第1クリップ40の一例を示す斜視図である。
【0031】
第1クリップ40は、例えば、第1ベース部材41と、第1爪部42と、第1爪開閉部43と、第1装着部44と、を備える。第1ベース部材41は、直方体状の部材である。第1ベース部材41におけるX方向を向いた面には、第1爪部42及び第1爪開閉部43が設けられている。第1爪部42と第1爪開閉部43は、Z方向に沿って並べられている。
【0032】
第1爪部42は、一対の指部42A,42Bを備えている。第1爪部42の一対の指部42A,42Bは、Y方向に沿って、互い近づく方向(閉鎖する方向)及び遠ざかる方向(開放する方向)に移動可能である。第1爪開閉部43は、指部42A,42Bを移動させることにより、第1爪部42を閉鎖したり開放したりする。第1爪部42が閉鎖することにより、第1クリップ40が花穂の一部、例えば主穂(主茎)を把持(保持)可能である。第1爪部42が開放することにより、第1クリップ40は、把持していた花穂を解放する。
【0033】
第1ベース部材41における底部に第1装着部44が形成されている。第1装着部44は、第1ベース部材41における第1爪部42が設けられた面と反対側の面に設けられている。
図2に示すように、第2クリップ50は、第1クリップ40と同様の第2ベース部材51と、第2爪部52と、第2爪開閉部53と、第2装着部54と、を備える。
【0034】
図4は、調整機構33の一例を示す斜視図である。調整機構33は、第1ピニオンギア61と、第2ピニオンギア62と、第3ピニオンギア63と、ラック歯64と、を備える。第1ピニオンギア61は、第1クリップ40における第1装着部44に装着されるピニオンギアである。第2ピニオンギア62は、第2クリップ50における第2装着部54に装着されるピニオンギアである。第3ピニオンギア63は、花穂整形刃ユニット34に装着されるピニオンギアである。ラック歯64は、基台31に形成されたスライドレール35(
図2)に設けられている。ラック歯64は、スライドレール35の内側でスライドレール35に沿って配置されている。
【0035】
第1ピニオンギア61、第2ピニオンギア62及び第3ピニオンギア63は、たとえば、いずれもラック歯64とかみ合っている。ラック歯64とかみ合う第1ピニオンギア61が回転すると第1ピニオンギア61がZ方向に沿って移動し、第1ピニオンギア61の移動と共に第1クリップ40が移動する。ラック歯64とかみ合う第2ピニオンギア62が回転すると第2ピニオンギア62がZ方向に沿って移動し、第2ピニオンギア62の移動と共に第2クリップ50が移動する。
【0036】
図2に示すように、花穂整形刃ユニット34は、例えば、整形刃71と、刃台72と、第3装着部73と、を備える。整形刃71は、刃台72の一面に取り付けられている。刃台72における整形刃71が取り付けられた上面と反対側の一面には、第3装着部73が設けられている。第3装着部73には、第3ピニオンギア63が取り付けられている。整形刃71は、例えば、花穂の穂軸となる主穂を囲む形状をなしている。
【0037】
ラック歯64とかみ合う第3ピニオンギア63が回転すると第3ピニオンギア63がZ方向に沿って移動し、第3ピニオンギア63の移動と共に刃台72及び整形刃71が主穂に沿って移動してスライド移動する。花穂整形刃ユニット34は、主穂から伸びる小穂を切断して除去する作業を行うとき以外には、例えば、第1クリップ40に接触して配置されている。花穂整形刃ユニット34は、主穂の小穂を切断して除去する作業を行うときには、第1クリップ40から離れて第2クリップ50の方向に移動する。調整機構33は、第1ピニオンギア61または第2ピニオンギア62のうち少なくとも一方が回転することにより、第1クリップ40と第2クリップ50とを相対的に移動させて第1クリップ40と第2クリップ50との間の位置を調整する。
【0038】
図5は、制御装置100を含む花穂整形ユニット1の構成の一例を示す図である。花穂整形ユニット1は、移動台車10、6軸アーム20、及び花穂整形装置30のほか、制御装置100を備える。制御装置100は、例えば、移動台車10の内部に収容されている。制御装置100は、移動台車10、6軸アーム20、及び花穂整形装置30から物理的に離れた位置に設けられていてもよい。制御装置100は、主穂上に花穂を整形する花穂整形範囲を特定する。制御装置100は、特定装置の一例である。
【0039】
クリップユニット32における第1クリップ40には、第1把持モータ81が設けられ、第2クリップ50には、第2把持モータ82が設けられている。調整機構33には、第1クリップ駆動モータ83、第2クリップ駆動モータ84、及び花穂整形刃ユニット駆動モータ85が設けられている。
【0040】
第1把持モータ81は、第1クリップ40における第1爪開閉部43を駆動して第1爪部42を開閉させる。第2把持モータ82は、第2クリップ50における第2爪開閉部53を駆動して第2爪部52を開閉させる。第1クリップ駆動モータ83は、第1ピニオンギア61を回転させて、第1クリップ40をスライドレール35に沿ってZ方向に移動させる。
【0041】
第2クリップ駆動モータ84は、第2ピニオンギア62を回転させて、第2クリップ50をスライドレール35に沿ってZ方向に移動させる。花穂整形刃ユニット駆動モータ85は、第3ピニオンギア63を回転させて刃台72及び整形刃71をスライドレール35に沿ってZ方向に移動させる。第3ピニオンギア63及びスライドレール35は、第1クリップ40と第2クリップ50の間で花穂整形刃ユニット34をスライド移動させる。第3ピニオンギア63及びスライドレール35は、スライド機構の一例である。
【0042】
クリップユニット32における第1クリップ40には、第1クリップカメラ91が設けられている。第2クリップ50には、第2クリップカメラ92が設けられている。花穂整形刃ユニット34には、整形刃カメラ93が設けられている。第1クリップカメラ91は、例えば、第1ベース部材41の上面に設けられた第1爪部42の一対の指部42A,42Bの間に配置されている。第1クリップカメラ91は、例えば、整形の対象となる花穂を撮像する。
【0043】
第2クリップカメラ92は、例えば、第2ベース部材51の上面に設けられた第2爪部52の一対の指部52A,52Bの間に配置されている。第1クリップカメラ91及び第2クリップカメラ92により撮像される画像の画角は、例えば、それぞれ第1爪部42が及び第2爪部52が入り込む角度とされている。整形刃カメラ93は、例えば、花穂整形刃ユニット34の上面に配置されている。
【0044】
第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93は、例えば深度カメラ(深度計測センサ付きカメラ)であり、撮像対象、例えば主穂G1の深度を検出する。第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93は、いずれも同じ方向(
図2のX方向)を向いて配置されている。第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93は、第1撮像装置の一例である。第1撮像装置は、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93のうちの一部でもよい。
【0045】
制御装置100は、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93に電気的に接続されている。制御装置100は、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93により送信される画像を取得する。制御装置100は、移動台車10、6軸アーム20、第1把持モータ81、第2把持モータ82、第1クリップ駆動モータ83、第2クリップ駆動モータ84、及び花穂整形刃ユニット駆動モータ85に電気的に接続されている。制御装置100は、移動台車10、6軸アーム20、第1把持モータ81、第2把持モータ82、第1クリップ駆動モータ83、第2クリップ駆動モータ84、及び花穂整形刃ユニット駆動モータ85を駆動制御する。
【0046】
制御装置100は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)装置110と、記憶部120と、処理部130と、を備える。GNSS装置110は、例えば、GNSS衛星(例えばGPS(Global Positioning System)衛星)から到来する電波に基づいて自機の位置を測位する位置検出装置である。GNSS装置110は、例えば、自機の位置を緯度及び経度で測位する。GNSS装置110は、例えば移動台車10に搭載される。このため、GNSS装置110が測位した位置は移動台車10の位置となる。
【0047】
記憶部120は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)である。記憶部120は、その他の装置でもよい。記憶部120は、圃場マップ121を記憶する。圃場マップ121は、ブドウ圃場における花穂の位置(緯度及び経度)を示すマップである。
【0048】
処理部130は、例えば、取得部131と、画像処理部132と、算出部133と、駆動制御部134と、を備える。処理部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性記憶媒体)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされていてもよい。
【0049】
取得部131は、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93により送信される画像を取得する。GNSS装置110は、取得した移動台車10の位置を処理部130に出力する。取得部131は、GNSS装置110により出力された移動台車10の位置及び記憶部120に記憶された圃場マップ121を取得する。
【0050】
画像処理部132は、取得部131により取得された画像に画像処理を施し、花穂整形装置30の周囲における花穂を検出する。画像処理部132は、花穂を検出するために、例えば、パターンマッチングなどの手法を用いる。
【0051】
算出部133は、取得部により取得された移動台車10の位置と圃場マップ121に基づいて、花穂に対する移動台車の相対的位置を算出する。算出部133は、取得部131により取得された画像に基づいて、花穂と花穂整形装置30との相対的位置関係及び花穂整形範囲を算出する。算出部133は、算出した相対的位置関係に基づいて、6軸アーム20、花穂整形装置30における第1把持モータ81、第2把持モータ82、第1クリップ駆動モータ83、第2クリップ駆動モータ84、及び花穂整形刃ユニット駆動モータ85の各モータの駆動量を算出する。
【0052】
駆動制御部134は、算出部133により算出した6軸アーム20の駆動量に基づいて、6軸アーム20を駆動制御する。駆動制御部134は、算出部133により算出した花穂整形装置30における第1把持モータ81等の各モータの駆動量に基づいて、花穂整形装置30における各モータを駆動制御する。
【0053】
次に、第1の実施形態の花穂整形方法の手順について説明する。
図6は、第1の実施形態の花穂整形方法の一例を示すフローチャートである。まず、制御装置100は、GNSS装置110により検出された移動台車10の位置及び圃場マップ121により特定された整形対象となる花穂の位置に基づいて、算出部133において、花穂整形ユニット1が移動する花穂の近傍の位置を算出する。駆動制御部134は、算出部133により算出された位置に花穂整形ユニット1を移動させる(ステップS101)。
【0054】
続いて、制御装置100は、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93により花穂Gを撮像させる。第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93は、撮像した画像を制御装置100に送信する。制御装置100は、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93により送信される画像を取得部131により取得する(ステップS103)。
【0055】
続いて、制御装置100は、取得した画像に基づき、画像処理部132において画像処理して、算出部133において花穂の主穂上に花穂整形範囲を特定する(ステップS105)。花穂整形範囲を特定する際には、まず、算出部133は、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93により撮像され画像処理部132により画像処理された2つ以上の画像に基づいて、花穂の距離を特定する。
【0056】
続いて、算出部133は、画像処理部132により画像処理された画像を画像解析して副穂の位置を認識し、副穂の位置の上部における花穂整形範囲の上限位置に第1位置Aを設定する。ブドウの花穂整形範囲は、例えば、品種等によりあらかじめ定められており、算出部133は、主穂における先端部から数cmの位置を花穂整形範囲の端部とする。このため、算出部133は、花穂の先端から主穂の曲線を積分し、花穂整形範囲の下端位置に第2位置Bを設定する(ステップS107)。第1位置及び第2位置は、花穂整形性範囲の上限位置及び下限位置以外の位置でもよい。第1位置及び第2位置は、花穂整形性範囲の内側でもよいし、外側でもよい。
【0057】
図7は、第1位置Aと第2位置Bが特定された花穂Gと花穂整形装置30の外観の一例を示す図である。花穂Gの近傍には、移動した花穂整形装置30が配置されている。花穂Gには、主穂となる主穂G1と、主穂G1から延びる1本の副穂G2を含む複数の小穂G3がある。この例では、副穂G2が1本であるが、副穂G2は複数本ある場合もある。第1位置Aは、主穂G1の先端部から最も遠い位置にある副穂G2の上部に設定され、第2位置Bは、主穂G1の先端部から数cmの位置に設定される。
【0058】
第1位置A及び第2位置Bを設定したら、駆動制御部134は、6軸アーム20を駆動させて、第2クリップ50における第2爪部52からX方向に伸ばした直線上に第2位置Bが配置されるように花穂整形装置30を移動させる。このように花穂整形装置30を移動させることにより、花穂整形装置30をX方向に移動させることで、第2クリップ50によって主穂G1における第2位置Bを把持することができるようになる。
【0059】
第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93では、RGB画像等の深度情報以外の情報を取得できる。このため、例えば第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、または整形刃カメラ93を用いて、花穂Gに対してロール方向及びピッチ方向の制御を行い、主穂G1に対して第2クリップ50をアプローチさせる。主穂G1を把持できるか否かの判定は、例えば、圧力センサやレーザセンサを用いて実行してよい。
【0060】
続いて、算出部133は、花穂と花穂整形装置30との間におけるロール方向の位置合わせを行う(ステップS109)。
図8は、花穂Gに対する花穂整形装置30のロール方向の位置合わせの工程の一例を示す図である。ロール方向の位置合わせを行う際には、算出部133は、
図8の左図に示すように、第1位置Aと第2位置Bを通る第1直線L1と、花穂整形装置30の中心線(基台31のZ方向に沿った中心線)となる第2直線L2を設定する。この場合、第1直線L1と第2直線L2の交点が第2位置Bとなる。
【0061】
続いて、算出部133は、第1直線L1と第2直線L2の交点(第2位置B)を中心として第2直線L2を回転させて、第1直線L1と第2直線L2が重なるまでの第2直線L2の回転角度を算出する。ここで算出された角度をロール位置合わせの角度として設定する。駆動制御部134は、6軸アーム20を駆動させて、
図8の右図に示すように、設定されたロール位置合わせの角度分だけ花穂整形装置30を回転させることによりロール位置合わせを行う。
【0062】
花穂整形装置30を移動させた後にロール位置合わせを行うことにより、第1爪部42及び第2爪部52による花穂Gの把持を容易にすることができる。この点について、
図9を用いて説明する。
図9は、第1爪部42及び第2爪部52における花穂Gを把持できる範囲を説明する図である。ロール位置合わせが行われる前の花穂整形装置30は、第2クリップ50によって第2位置Bを把持しやすい位置に配置されている。
【0063】
この状態からロール位置合わせを行うことにより、基台31の表面におけるZ方向に沿った第3直線L3を含み、Y方向に直交する平面P内に、主穂G1上の第1位置A及び第2位置Bを通る第4直線L4を内包することができる。平面Pは、第2クリップ50を第2位置Bに合わせ、第2位置Bを中心としてピッチ方向に花穂整形装置30を回転させた際の第1クリップ40の把持可能範囲αに第1位置が含まれる。したがって、花穂Gと第1爪部42及び第2爪部52との位置合わせは、平面P上での問題に帰着されるので、あとは平面P内での2自由度で位置合わせができればよく、容易に位置合わせを行うことができる。例えば、基台31の表面に対する主穂G1の傾斜角度(第3直線L3と第4直線L4のなす角度)を算出し、算出した傾斜角度分だけ花穂整形装置30をピッチ方向に傾ければよい。
【0064】
ピッチ方向に位置合わせが済んだら、駆動制御部134は、花穂整形装置30が主穂G1に近づく方向に移動するように6軸アーム20を駆動させる。続いて、駆動制御部134は、花穂整形装置30における第2把持モータ82を駆動して、第2クリップ50の第2爪部52に主穂G1の第2位置Bを把持(保持)させる(ステップS111)。
【0065】
続いて、駆動制御部134は、花穂整形装置30が第2位置Bを中心として、ピッチ方向の位置合わせを行う(ステップS113)。
図10は、花穂Gに対する花穂整形装置30のピッチ方向の位置合わせの工程の一例を示す図である。花穂整形装置30は、ピッチ方向の位置合わせを行う際には、
図10の左図に示すように、花穂Gにおける第2位置Bを第2クリップ50により把持した状態とする。
【0066】
この状態から、駆動制御部134は、第2位置Bを通り、Y軸に沿った回転軸回りであって、第1クリップ40が第1位置Aに近づく方向に花穂整形装置30が回転するように、6軸アーム20を駆動させる。6軸アーム20が駆動して花穂整形装置30が回転して第1クリップ40が第1位置Aに近づく際に、第1クリップ40に設けられた第1クリップカメラ91は、第1位置Aを含む画像を撮像する。第1クリップカメラ91は、撮像した画像を制御装置100に送信する。
【0067】
制御装置100における算出部133は、第1クリップカメラ91により送信された画像に基づいて、送信された画像を画像解析する。算出部133は、画像解析の結果から第1位置Aを探索し、第1位置Aと第1クリップ40の位置関係を算出する。算出部133は、算出した位置関係に基づいて、第1クリップ40により主穂G1の第1位置Aを把持できる位置まで花穂整形装置30が回転したか否かを判定する。
図10の右図に示すように、第1クリップ40が主穂G1の第1位置を把持できる位置まで花穂整形装置30が回転したら、駆動制御部134は、花穂整形装置30の回転が終了するように6軸アーム20の駆動を停止させる。こうして、ピッチ方向の位置合わせが実行される。この例では、第2クリップ50が花穂Gの第2位置Bを把持した状態でピッチ位置合わせが行われる、ピッチ位置合わせは、第2クリップ50が花穂Gの第2位置Bを把持していない状態で行われてもよい。
【0068】
ピッチ方向の位置合わせが済んだら、駆動制御部134は、花穂整形装置30における第1把持モータ81を駆動して、第1爪部42を閉鎖させ、第1クリップ40の第1爪部42に主穂G1の第1位置Aを把持(保持)させる(ステップS115)。第1位置Aは、第1クリップ40により把持可能な位置に配置されているので、第1クリップ40の第1爪部42は、主穂G1の第1位置を容易に把持することができる。
【0069】
図11は、花穂整形装置30により主穂G1を引き伸ばしてから小穂を切断する工程の一例を示す図である。
図11の左図に示すように、第1クリップ40及び第2クリップ50は、主穂G1の第1位置A及び第2位置Bをそれぞれ把持する。続いて、駆動制御部134は、第1クリップ40及び第2クリップ50が、互いに遠ざかる方向に移動するように調整機構33に設けられた第1クリップ駆動モータ83及び第2クリップ駆動モータ84を駆動する。
【0070】
制御装置100は、第1クリップ40及び第2クリップ50を互いに遠ざかる方向に移動させることにより、主穂G1に引張力を付与して主穂G1を引き伸ばす(ステップS117)。引き伸ばされた主穂G1は、湾曲していても直線に近い形状に変形される。第1クリップ40及び第2クリップ50が移動している最中、花穂整形刃ユニット34は、例えば、第2クリップ50とともに移動する。
【0071】
主穂G1の引き伸ばしが済んだら、駆動制御部134は、調整機構33に設けられた花穂整形刃ユニット駆動モータ85を駆動し、
図11の右図に示すように、花穂整形刃ユニット34をスライドレール35に沿って第1位置Aと第2位置Bの間をスライド移動させる(ステップS119)。花穂整形刃ユニット34が第1位置Aと第2位置Bの間をスライド移動することにより、第1位置Aと第2位置Bの間における主穂G1から延びる副穂G2及び小穂G3を切断する。こうして、花穂整形装置30によって花穂Gを調整する作業が終了する。
【0072】
第1の実施形態の花穂整形ユニット1では、クリップユニット32における第1クリップ40と第2クリップ50によって主穂G1の第1位置A及び第2位置Bをそれぞれ把持し、花穂整形刃ユニット34が第1位置Aと第2位置Bの間をスライド移動させて副穂G2及び小穂G3を切断する。このため、効率的に花穂を整形することができる。
【0073】
また、第1の実施形態の花穂整形ユニット1では、移動台車10を走行させて6軸アーム20を花穂Gの近傍まで移動させるとともに、6軸アーム20を用いて花穂整形装置30のロール方向及びピッチ方向の位置調整等を行っている。このため、第1の実施形態の花穂整形ユニット1では、作業員等が作業を行うことなく、自動的に第1の実施形態の花穂整形方法を実行することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の花穂整形方法について説明する。第2の実施形態の花穂整形方法に用いられる花穂整形ユニット1のハード構成は、第1の実施形態と共通であり、制御装置100における制御が異なる。第2の実施形態の花穂整形方法は、第1クリップ40で第1位置Aを把持する工程で第1の実施形態と主に異なる。以下、第1の実施形態との相違点を中心として、第2の実施形態の花穂整形方法について説明する。
【0075】
図12は、第1クリップ40と主穂G1との相対的位置関係の複数の例を示す図である。第2クリップ50で第2位置Bを把持した後、ピッチ方向の位置合わせを行った後、第1クリップ40で第1位置Aを把持するにあたり、例えば、
図12の上図に示すように、第1クリップ40の第1爪部42における一対の指部42A,42Bの間を主穂G1が縦断するときには、第1クリップ40により主穂G1上の第1位置Aを把持可能である。
【0076】
その一方で、
図12の左下図に示すように、第1クリップ40の第1爪部42における一対の指部42A,42Bの間を主穂G1が横断するときには、第1爪部42と主穂G1は、第1爪部42を閉鎖しても主穂G1を把持することができない。また、
図12の右下図に示すように、主穂G1が第1爪部42の間に進入してはいるが、第1爪部42を縦断も横断もしていないことがある。この場合には、第1爪部42を閉鎖すると、閉鎖する第1爪部42に主穂G1が押し出されてしまう。その結果、第1爪部42は、主穂G1を把持できない。第2の実施形態では、このような場合にも対処するようにしている。
【0077】
主穂G1が一対の指部42A,42Bを縦断するか横断するか進入するが縦断も横断もしないかは、例えば、一対の指部42A,42Bを結んだ2本の判定直線L11,L12を主穂G1が通過する回数に応じて判定される。この判定は、例えば、制御装置100における処理部130の算出部133において、第1クリップカメラ91により撮像された主穂G1及び指部42A,42Bを含む画像に基づいて行われる。
【0078】
例えば、主穂G1が判定直線L11,L12をそれぞれ奇数回かつ同数回通過する場合には、算出部133は、主穂G1が一対の指部42A,42Bを縦断すると判定する。また、主穂G1が判定直線L11,L12のいずれをも通過しない場合には、算出部133は、主穂G1が一対の指部42A,42Bを横断すると判定する。主穂G1が判定直線L11,L12の一方または両方をそれぞれ偶数回通過する場合には、算出部133は、主穂G1が一対の指部42A,42Bを縦断も横断もしないと判定する。
【0079】
図13は、第2の実施形態の花穂整形方法の一例を示すフローチャートである。第2の実施形態の花穂整形方法は、花穂整形ユニット1を移動させる工程(ステップS101)から、ピッチ方向に位置合わせを行う工程(ステップS113)まで、第1の実施形態の花穂整形方法と同一の工程が行われる。
【0080】
ピッチ方向の位置合わせが行われた後、算出部133は、第1クリップカメラ91により撮像された画像に基づいて、第1クリップ40により主穂G1を把持可能であるか否かを判定する(ステップS201)。算出部133は、主穂G1が一対の指部42A,42Bを縦断するか横断するか進入するが縦断も横断もしないかを判定し、主穂G1が一対の指部42A,42Bを縦断する場合に、第1クリップ40により主穂G1を把持可能であると判定する。算出部133は、主穂G1が一対の指部42A,42Bを横断しまたは進入するが縦断も横断もしない場合に、第1クリップ40により主穂G1を把持可能でないと判定する。
【0081】
第1クリップ40により主穂G1を把持可能であると判定した場合、算出部133は、処理をステップS115に進めて、第1の実施形態と同様の処理を実行する(ステップS115)。第1クリップ40により主穂G1を把持可能でないと算出部133が判定した場合、駆動制御部134は、第2クリップ50の位置を主穂G1の先端部側に移動させて主穂G1を引き伸ばして主穂G1を変形させる(ステップS203)。
【0082】
図14は、第2クリップ50により主穂G1を引き伸ばす工程の一例を示す図である。例えば、
図14の左図に示すように、主穂G1が一対の指部42A,42Bを横断しており、第1クリップ40により主穂G1を把持可能でない状態とする。このとき、主穂G1の先端側を把持する第2クリップ50が主穂G1を引き伸ばすことにより、通常、
図14の右図に示すように、一対の指部42A,42Bを横断する主穂G1が、一対の指部42A,42Bを縦断する形になりやすくなる。
【0083】
続いて、算出部133は、主穂G1が引き伸ばされた後に第1クリップカメラ91及び第2クリップカメラ92により撮像された画像に基づいて、ピッチ方向及びロール方向の位置合わせが必要であるか否かを判定する(ステップS205)。位置合わせが必要であると算出部133が判定した場合、駆動制御部134は、ステップS109またはステップS113の処理と同様の処理により、位置合わせを行い(ステップS207)、処理をステップS201に戻す。位置合わせが必要でないと判定した場合、算出部133は、そのまま処理をステップS201に戻す。
【0084】
第2の実施形態の花穂整形方法は、上記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第2の実施形態の花穂生成方法では、第2クリップ50により第2位置Bを把持した後、第1クリップ40により第1位置Aを把持できない場合に、花穂G(主穂G1)を変形させている。このため、第1クリップ40により花穂Gをより確実に保持することができる。
【0085】
(変形例1)
上記の各実施形態では、第1クリップ40が第1位置Aに到達すると、第1爪部42を閉鎖させて第1クリップ40に第1位置Aを把持させる。これに対して、例えば、第1爪部42の閉鎖を開始するタイミングを計るためのセンサ(以下、トリガセンサ)を第1クリップ40に設け、トリガセンサの検出結果に基づいて、第1爪部42の閉鎖を開始させてもよい。トリガセンサTは、第1センサの一例である。
【0086】
図15は、トリガセンサTを備える花穂整形装置30の一例を示す斜視図である。変形例1の花穂整形装置30は、基台31、クリップユニット32(第1クリップ40,第2クリップ50)、調整機構33、及び花穂整形刃ユニット34のほか、トリガセンサTを備える。トリガセンサTは、例えばカメラであり、例えば花穂Gを撮像し、撮像した画像を制御装置100に送信する。トリガセンサTは、例えば基台31に設けられる。トリガセンサTは、基台31以外の位置、例えば第1クリップ40に設けられてもよい。トリガセンサTは、第1クリップカメラ91が兼用してもよい。トリガセンサTは、カメラ以外のセンサ、例えば、光学センサ(レーザセンサや光センサ)、圧力センサなどでもよい。
【0087】
制御装置100は、トリガセンサTにより撮像された画像を取得部131により取得し、取得部131により取得された画像を画像処理部132において画像解析する。算出部133は、画像処理部132による画像解析の結果に基づいて、第1クリップ40が第1位置Aを把持可能な状態となっているか否かを判定する。第1クリップ40が第1位置Aを把持可能な状態となっていると算出部133が判定した時点で、駆動制御部134は、第1把持モータ81を駆動して第1爪部42を閉鎖させ、第1クリップ40に第1位置Aを保持させる。
【0088】
変形例1の花穂整形装置30では、トリガセンサTによる検出結果に基づいて、第1クリップ40により第1位置Aを把持する作業を開始する。このため、適切なタイミングで第1位置Aを把持する作業を開始することができるので、第1クリップ40により第1位置Aを確実に把持することができる。変形例1において、トリガセンサTは、第1クリップ40に設けられるが、トリガセンサTは、第2クリップ50や花穂整形刃ユニット34に設けられてもよい。
【0089】
(変形例2)
上記の各実施形態では、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93により撮像された画像に基づいて、花穂整形範囲を特定するが、他のカメラで撮像された画像に基づいて花穂整形範囲を特定してもよい。他のカメラは、例えば、第1クリップ40と第2クリップ50の間に配置された補助カメラでもよい。補助カメラは、第2撮像装置の一例である。
【0090】
図16は、第1クリップ40と第2クリップ50の間に補助カメラCが配置された花穂整形装置30の一例を示す斜視図である。花穂整形装置30の基台31における第1クリップ40と第2クリップ50の間には、基台31から側方に張り出した補助カメラCが設けられている。補助カメラCは、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93と同じ方向(
図2のX方向)を向いて配置されている。
【0091】
制御装置100は、補助カメラCに花穂の画像を撮像させて、撮像された画像を取得してもよい。制御装置100は、例えば、第1クリップカメラ91、第2クリップカメラ92、及び整形刃カメラ93により主穂G1をうまく撮像できない場合、例えば、第1位置A及び第2位置Bを特定できる程度まで撮像できない場合に、補助カメラCに花穂の画像を撮像させもよい。
【0092】
変形例2の花穂整形装置30では、補助カメラCによって主穂G1を含む花穂Gを撮像することにより、複数の方向から花穂Gを撮像して花穂整形範囲を特定することができる。このため、花穂Gを多様な位置から撮像した画像に基づいて花穂整形範囲を特定できるので、第1位置A及び第2位置Bを精度よく設定することができる。
【0093】
(変形例3)
上記の各実施形態では、ピッチ方向の位置合わせを実行した後、第2クリップ50が主穂G1における第2位置Bを把持する際に、第2クリップカメラ92により撮像した画像を画像解析して第2位置Bを探索する。これに対して、第2位置Bは、イメージベースド制御を実行して探索してもよい。
【0094】
図17は、イメージベースド制御を実行する際の第2クリップカメラ92により撮像した画像のイメージの一例を示す図である。イメージベースド制御を実行する際には、算出部133は、第2クリップ50により主穂G1を把持する際の第2クリップ50と第2クリップカメラ92(
図5)の位置合わせを行う。続いて、第2クリップ50における指部52A,52Bを繋いだ直線L5と第2位置Bが一致するように第2クリップ50を制御する。こうして、イメージベースド制御が実行される。
【0095】
(変形例4)
上記の各実施形態では、第2クリップ50により花穂Gの先端部に近い側から主穂G1を把持した後、第1クリップ40により花穂Gの付け根に近い位置を把持する。これに対して、第1クリップ40により花穂Gの付け根に近い位置を把持した後、第2クリップ50により花穂Gの先端部に近い側から主穂G1を把持してもよい。
【0096】
あるいは、第1位置A及び第2位置Bを設定した後、第1位置A及び第2位置Bのうち、花穂整形装置30に近い側の位置を判定し、近い側の位置を把持する第1クリップ40または第2クリップ50により、第1位置Aまたは第2位置Bを把持させるようにしてもよい。上記の実施形態では、第1クリップ40及び第2クリップ50で把持することにより花穂Gを保持するが、他の態様で花穂Gを保持してもよい。例えば、花穂Gを挟持してもよいし、真空吸着や磁力を利用して花穂Gを固定することにより花穂Gを保持してもよい。
【0097】
(変形例5)
上記の各実施形態では、制御装置100により移動台車10や6軸アーム20を制御して花穂整形装置30を花穂Gの近傍まで移動させるが、花穂整形装置30は、他の態様で移動させてもよい。例えば、作業員が人力では花穂整形装置30を搬送して花穂Gの近傍まで移動させてもよい。また、ロール方向及びピッチ方向の位置合わせは、6軸アーム20が実行するが、ロール方向及びピッチ方向の位置合わせについても、作業員などの他の手段により実行してもよい。
【0098】
(変形例6)
次に、変形例6について説明する。変形例6の花穂整形ユニットは、上記第1の実施形態と比較して、花穂整形装置の構成が主に異なり、特に、クリップユニット及び花穂整形刃ユニットの構成が主に異なる。第1の実施形態との相違点を中心として、変形例6について説明する。
図18は、変形例6の花穂整形装置230の一例を示す斜視図である。
【0099】
花穂整形装置230は、例えば、クリップユニット232と、花穂整形刃ユニット233と、を備える。クリップユニット232及び花穂整形刃ユニット233は、第1の実施形態と同様の基台に設置されている。クリップユニット232は、第1クリップ240と、第2クリップ250とを備える。第1クリップ240及び第2クリップ250は、いずれも共通する構造をなす。以下、第1クリップ240及び第2クリップ250を代表して、第1クリップ240の構造を説明する。
図19は、第1クリップ240の一例を示す側面図である。
【0100】
第1クリップ240は、例えば、第1ベース部材241と、第1爪部242と、を備える。第1爪部242には、第1の実施形態と同様の第1爪開閉部が設けられている。第1爪部242は、第1ベース部材241に設けられている。第1爪部242は、一対の指部242A,242Bを備えている。一対の指部242A,242Bは、第1の実施形態の指部42A,42Bと同様に、互いに近づく方向(閉鎖する方向)及び遠ざかる方向(開放する方向)に移動可能であり、花穂を挟む部材である。
【0101】
一対の指部242A,242Bにおける先端部は、一対の指部242A,242Bの基端側から先端側に行くほど互いに離反する形状をなしている。このため、一対の指部242A,242Bの先端部は、基端部よりも広く開放されている。一対の指部242A,242Bは、先端部の間から花穂を一対の指部242A,242Bの間に導入する。
【0102】
一対の指部242A,242Bには、それぞれ近接センサ243A,243B、搬送部材244A,244B、保持部材245A,245B、及び力覚センサ246A,246Bが設けられている。近接センサ243A,243Bは、一対の指部242A,242Bに近接した物体、特に、花穂を検出する。
【0103】
搬送部材244A,244Bは、いずれもプーリ及びプーリベルトを備えている。プーリベルトは、一対のプーリに巻き回されており、一対のプーリの間を回転する。プーリベルトは、一対の指部242A,242Bが互いに向き合う側の面に露出しており、プーリベルトにおける露出面は、プーリにより一対の指部242A,242Bの先端側から基端側に移動する。
【0104】
一対の搬送部材244A,244Bは、互いのプーリベルトで物体、特に花穂を挟み込んで一対の指部242A,242Bの先端側から基端側に搬送可能とされている。一対の搬送部材244A,244B間の距離は、一対の指部242A,242Bの位置により調整可能である。このため、花穂の太さ(径)に合わせて、一対の搬送部材244A,244Bにより花穂を挟み込む力を調整することができる。プーリベルトの露出面は、緩衝性を備えており、花穂を挟み込む際に花穂にかかる力を緩衝性により軽減している。
【0105】
一対の保持部材245A,245Bは、一対の指部242A,242B内において、一対の搬送部材244A,244Bにおける一対の搬送部材244A,244Bの基端側に隣接する位置に設けられている。一対の搬送部材244A,244Bにより搬送された花穂は、一対の保持部材245A,245Bが設けられた位置に到達する。一対の保持部材245A,245Bは、一対の搬送部材244A,244Bにより搬送された花穂を保持する。
【0106】
力覚センサ246A,246Bは、それぞれ保持部材245A,245Bにおける背面側に配置されている。ここでの背面側とは、保持部材245A,245Bにより花穂を保持する面から見た背面に位置する側である。力覚センサ246A,246Bは、保持部材245A,245Bにより花穂を保持する際の保持力を検出する。
【0107】
花穂整形刃ユニット233は、例えば、ベース部材261と、第1切断刃262と、第2切断刃263とを備える。第1切断刃262及び第2切断刃263は、ベース部材261に設けられている。第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先は、いずれも断面略半円形とされている。第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先が近接することにより第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先による断面略円形状が形成される。
【0108】
第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先の位置は、第1クリップ240における第1爪部材の保持部材245A,245Bに対応する位置とされている。第1切断刃262及び第2切断刃263は、互いに近づく方向(閉鎖する方向)及び遠ざかる方向(開放する方向)に移動可能であり、刃先により花穂を挟み込む部材である。
【0109】
このため、保持部材245A,245Bに保持された花穂は、第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先によって容易に挟み込むことができるようになる。第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先によって花穂を挟み込んだ状態で花穂整形刃ユニット233をスライドさせることにより、花穂が長手方向にしごかれて小穂等が切断される。
【0110】
次に、変形例6の花穂整形装置230において、花穂を整形する手順について説明する。変形例6の花穂整形装置230では、花穂の第1位置を第1クリップ240で保持し、続いて、第2位置を第2クリップ250で保持する。続いて、第1クリップ240及び第2クリップ250で花穂を保持した後、第1クリップ240と第2クリップ250を互いに遠ざかる方向に移動させて、主穂に引張力を付与して主穂を引き伸ばす。この手順は、上記第1の実施形態と同様である。その後、引き伸ばされた花穂を花穂整形刃ユニット233でしごいて小穂を切断することにより、花穂を整形する。以下に、花穂を第1クリップ240で保持する手順及び花穂の小穂を花穂整形刃ユニット233で切断する手順について説明する。
【0111】
まず、第1クリップ240により花穂を保持する手順を説明する。花穂整形装置230は、第1クリップ240により花穂を保持(把持)する際に、第1クリップ240先端側を花穂に向けて第1クリップ240を移動させる。第1クリップ240の先端側は、基端側よりも開放しており、第1クリップ240の先端側は、基端側よりも広く、基端側は先端側よりも狭い。
【0112】
第1クリップ240の先端側に花穂が導入されると、近接センサ243A,243Bが花穂を検出する。近接センサ243A,243Bが花穂を検出すると、搬送部材244A,244Bにおけるプーリが回転し、プーリの回転によりプーリベルトが回転させられる。プーリベルトは、自らの回転によって、一対の指部242A,242Bにおける内側に露出した部位が先端側から後端側に移動する。
【0113】
第1クリップ240に導入された花穂は、搬送部材244A,244Bにより保持部材245A,245Bの位置まで搬送される。保持部材245A,245Bは、搬送された花穂を保持する。搬送部材244A,244Bでは、花穂の搬送が終了したときにプーリ及びプーリベルトの回転が停止される。
【0114】
保持部材245A,245Bにより花穂を保持する際に、力覚センサ246A,246Bは、保持部材245A,245Bにより花穂を保持する際の保持力を検出する。力覚センサにより検出された保持力が大きすぎ、例えば所定の閾値を超える場合には、花穂整形装置230は、保持部材245A,245Bを互いに引き離す方向に移動させて、花穂の保持力を弱めるように調整する。こうして、保持部材245A,245Bは、花穂を適切な保持力で保持する。
【0115】
続いて、第2クリップ250により花穂の第2位置を保持するが、第2クリップ250により花穂を保持する手順は、第1クリップ240により花穂を保持する手順と同様である。このとき、花穂整形刃ユニット233における第1切断刃262及び第2切断刃263は、互いに離反した位置に配置されている。さらに、花穂は、第1クリップ240及び第2クリップ250により引き伸ばされている。このため、花穂は、どの位置においても第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先に対応して位置している。
【0116】
続いて、花穂の小穂を花穂整形刃ユニット233で切断する手順について説明する。第1クリップ240及び第2クリップ250により花穂が保持された状態で、花穂整形刃ユニット233は、第1切断刃262及び第2切断刃263を互いに近づく方向に移動させる。このとき、第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先は、花穂に対応する位置に配置されているので、第1切断刃262及び第2切断刃263を互いに近づく方向に移動させることで、第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先によって花穂が挟み込まれる。このため、第1切断刃262及び第2切断刃263は、花穂を容易に挟み込むことができる。
【0117】
第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先により花穂を挟み込んだ後は、ベース部材261を花穂が延在する方向に移動させて、第1切断刃262及び第2切断刃263の刃先で花穂をしごいて小穂を切断する。小穂の切断の状況に応じて、ベース部材261を複数回移動させてもよい。
【0118】
変形例6の花穂整形装置230では、第1クリップ240及び第2クリップ250における先端部が基端部よりも広いので、花穂を第1クリップ240及び第2クリップ250の内側に容易に導入することができる。クリップ140及び第2クリップ250の基端側は、先端側よりも狭いので、花穂の位置(Y方向の位置)を花穂整形刃ユニット233における第1切断刃262及び第2切断刃263に対応する位置に調整することができる。
【0119】
また、第1クリップ240では、近接センサ243A,243Bが設けられているので、花穂の導入を確実に検出することができる。さらに、第1クリップ240に導入された花穂は、搬送部材244A,244Bにより搬送されるので、花穂を保持位置まで確実に搬送することができる。
【0120】
第1クリップ240の保持位置では、花穂は、保持部材245A,245Bにより保持される。花穂を保持する際の保持力は、力覚センサ246A,246Bにより検出され、力覚センサ246A,246Bの検出結果に基づいて、花穂を保持する際の保持力が調整される。このため、花穂を適切な保持力で保持することができる。
【符号の説明】
【0121】
1…花穂整形ユニット
10…移動台車
20…軸アーム
21…第1アーム
22…第2アーム
23…第3アーム
30…花穂整形装置
31…基台
32…クリップユニット
33…調整機構
34…花穂整形刃ユニット
35…スライドレール
40…第1クリップ
41…第1ベース部材
42…第1爪部
42A,52A…指部
42B,52B…指部
43…第1爪開閉部
44…第1装着部
50…第2クリップ
51…第2ベース部材
52…第2爪部
53…第2爪開閉部
54…第2装着部
61…第1ピニオンギア
62…第2ピニオンギア
63…第3ピニオンギア
64…ラック歯
71…整形刃
72…刃台
73…第3装着部
81…第1把持モータ
82…第2把持モータ
83…第1クリップ駆動モータ
84…第2クリップ駆動モータ
85…花穂整形刃ユニット駆動モータ
91…第1クリップカメラ
92…第2クリップカメラ
93…整形刃カメラ
100…制御装置
110…GNSS装置
120…記憶部
121…圃場マップ
130…処理部
131…取得部
132…画像処理部
133…算出部
134…駆動制御部
A…第1位置
B…第2位置
C…補助カメラ
G…花穂
G1…主穂
G2…副穂
G3…小穂
L1…第1直線
L2…第2直線
L3…第3直線
L4…第4直線
L5…直線
L11…判定直線
L12…判定直線
P…平面