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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116219
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/00 20060101AFI20230815BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230815BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230815BHJP
   B65H 29/20 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B65H43/00
G03G21/00 370
G03G21/00 512
G03G15/00 460
B65H29/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018901
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正志
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA17
2H072AA22
2H072AA29
2H072CA01
2H072JA02
2H270KA35
2H270KA42
2H270LA65
2H270LA76
2H270LA79
2H270LC02
2H270LC14
2H270LC17
2H270LD03
2H270LD09
2H270LD14
2H270LD15
2H270MC44
2H270MC61
2H270RB01
2H270RB03
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB05
3F048CC03
3F048CC04
3F048CC12
3F048DA09
3F048DB04
3F048DB07
3F048DB09
3F048DC12
3F048EB22
3F048EB29
3F049AA03
3F049DA12
3F049EA12
3F049LA01
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】搬送速度の変化による影響を抑制する。
【解決手段】シートに画像を形成する画像形成装置が、前記画像を前記シートに定着させる定着処理をし、かつ、前記シートの搬送方向における下流へ定着処理後の前記シートを第1搬送速度で搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部によって搬送される前記シートの搬送速度である前記第1搬送速度を計測する第1搬送速度検出部と、前記第1搬送部より下流に位置して前記第1搬送部から搬送される前記シートを更に下流へ第2搬送速度で搬送し、かつ、前記第1搬送速度、及び、前記第2搬送速度に基づいて搬送速度比を制御する第2搬送部と、前記第2搬送速度を計測する第2搬送速度検出部とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置であって、
前記画像を前記シートに定着させる定着処理をし、かつ、前記シートの搬送方向における下流へ定着処理後の前記シートを第1搬送速度で搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって搬送される前記シートの搬送速度である前記第1搬送速度を計測する第1搬送速度検出部と、
前記第1搬送部より下流に位置して前記第1搬送部から搬送される前記シートを更に下流へ第2搬送速度で搬送し、かつ、前記第1搬送速度、及び、前記第2搬送速度に基づいて搬送速度比を制御する第2搬送部と、
前記第2搬送速度を計測する第2搬送速度検出部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第1搬送速度検出部は、
前記搬送方向において前記第1搬送部と前記第2搬送部の間となる第1検出位置で前記第1搬送速度を計測し、
前記第2搬送速度検出部は、
前記搬送方向において前記第2搬送部より下流である第2検出位置で前記第2搬送速度を計測する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2搬送速度検出部は、
前記シートの先端箇所を検出し、かつ、前記第1搬送部が有する定着ローラによって搬送している状態を検出する位置に設置される
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2搬送部は、
前記第1搬送速度検出部、及び、前記第2搬送速度検出部の間に配置する複数の搬送ローラを用いて前記シートを搬送する
請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1搬送速度は、
前記シートの先端箇所を前記第1搬送速度検出部が検出してから、前記先端箇所を前記第2搬送速度検出部が検出するまでの第1時間と、前記第1検出位置、及び、前記第2検出位置の距離とに基づいて計算され、
前記第2搬送速度は、
前記シートの後端箇所を前記第1搬送速度検出部が検出できなくなってから、前記後端箇所を前記第2搬送速度検出部が検出できなくなるまでの第2時間と、前記距離とに基づいて計算される
請求項2乃至4のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2搬送部は、搬送ローラを有し、
前記シートの種別に基づき、前記搬送ローラの回転数を制御する
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2搬送部は、搬送ローラを有し、
メンテナンスによる状態変化に応じて、前記搬送ローラの回転数を制御する
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送する記録媒体に対して、電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置が知られている。そして、画像形成装置において、ローラ等の装置を用いて、記録媒体を搬送する技術が知られている。
【0003】
具体的には、画像形成装置は、記録媒体に形成した画像を記録媒体に定着させる定着装置を備える。そして、定着装置の前後には、記録媒体を検出するセンサが設置される。このセンサによる検出結果に基づき、定着装置における用紙搬送時間が計算される。そして、画像形成装置は、用紙搬送時間を用いて平均値、標準偏差、又は、最大遅れ時間を算出する。このような算出結果に基づき、画像形成装置は、時間的変化を推定する。このようにして、定着装置の故障を判断する技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、装置内において、記録媒体を搬送する速度(以下単に「搬送速度」という。なお、「線速」という場合もある。)が一定にならず、変動してしまう課題がある。そして、搬送速度が変化すると、画像形成する画像に異常が発生し、画質が低下する等の影響がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送速度の変化による影響を抑制する目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、シートに画像を形成する画像形成装置は、
前記画像を前記シートに定着させる定着処理をし、かつ、前記シートの搬送方向における下流へ定着処理後の前記シートを第1搬送速度で搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって搬送される前記シートの搬送速度である前記第1搬送速度を計測する第1搬送速度検出部と、
前記第1搬送部より下流に位置して前記第1搬送部から搬送される前記シートを更に下流へ第2搬送速度で搬送し、かつ、前記第1搬送速度、及び、前記第2搬送速度に基づいて搬送速度比を制御する第2搬送部と、
前記第2搬送速度を計測する第2搬送速度検出部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送速度の変化による影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の例を示す図である。
図2】画像形成装置の内部構造例を示す図である。
図3】搬送部、及び、搬送速度検出部の配置例を示す図である。
図4】複数の搬送ローラを用いて搬送する例を示す図である。
図5】全体処理例を示す図である。
図6】機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。また、以下の例では、シートを用紙とする例で説明する。
【0010】
[画像形成装置の全体構成例]
図1は、画像形成装置の例を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置(以下「ADF2」という。)と、ADF2以外の装置(以下「画像形成装置本体」という。)とで構成する装置である。そして、画像形成装置本体は、給紙装置3と、画像読取装置4と、画像形成器5と、操作装置6とを備える。また、画像形成器5の前側(図では、「前側F」に示す方向である。)には、前ドアを有するトナー補給装置7と、引き出しユニット8を備える。さらに、画像形成装置1は、左側面に排紙装置9を備える。なお、図では、前側Fは、画像形成装置1の手前側を意味する。また、後側Rは、奥側を意味する。
【0011】
図2は、画像形成装置の内部構造例を示す図である。
【0012】
制御装置150は、画像形成装置1が行う処理を制御する装置である。例えば、制御装置150は、Central Processing Unit(CPU)等の演算装置、制御装置、及び、メモリ等の記憶装置等で構成する。以下、制御装置150は、速度を計測するセンサから搬送速度をフィードバックして搬送速度を制御する例で説明する。ただし、制御装置150は、他の制御も行ってよい。
【0013】
画像形成装置本体は、上部に並べて配置する各色トナーで作像を行う4つの形成器101Y、101M、101C、及び、101Kを備える。以下、各々の形成器101Y、101M、101C、及び、101Kが、構成と動作は実質的に同一であるため、色を示す符号(Y、M、C、K)を省略して「形成器101」として説明する。なお、各色の感光体ドラム102Y、102M、102C、及び、102Kも同様に省略して説明する。
【0014】
形成器101は、像担持体としての感光体ドラム102と、感光体ドラム102の周囲に配置する帯電器103、現像装置104、及び、クリーニング装置105を有する。また、形成器101は、感光体ドラム102の上方に露光装置107を有する。
【0015】
画像形成装置本体は、形成器101の下方に配置され、かつ、複数の支持ローラに掛け回された中間転写ベルト108を備える。そして、中間転写ベルト108は、支持ローラの一つが回転駆動すると、「矢印A」で示す方向に駆動する。
【0016】
画像形成装置本体は、中間転写ベルト108を挟んで感光体ドラム102に対向する位置に一次転写手段としての転写ローラ106を備える。
【0017】
画像形成装置本体は、下部にタンデム給紙トレイ114a、及び、給紙トレイ114bを有する給紙装置3を備える。この例では、給紙装置3は、用紙Sを給紙する。
【0018】
画像形成装置本体は、中間転写ベルト108に接し、二次転写を行う二次転写ローラ109を備える。
【0019】
画像形成装置本体は、二次転写で画像が転写された用紙Sに画像を定着させる定着装置を備える。なお、定着装置は、例えば、定着ローラ113等を有する。
【0020】
画像形成装置本体は、定着ローラ113によって画像が定着された用紙Sを積載するシート積載装置としての排紙装置9を備える。
【0021】
形成器101においては、感光体ドラム102が図では反時計回りに回転する。また、感光体ドラム102の表面は、帯電器103によって所定の極性に均一に帯電する。
【0022】
次に、帯電した感光体ドラム102の表面に対し、露光装置107は、光変調したレーザビームを発する。レーザビームは、感光体ドラム102上に静電潜像を形成する。
【0023】
静電潜像は、現像装置104から付与されるトナーによって現像されてトナー像として可視化される。次に、形成器101で形成されたイエロー、シアン、マゼンタ、及び、黒(Y、M、C、K)の各色トナー像は、中間転写ベルト108上に、順次重ね合わされて転写される。
【0024】
一方、給紙装置3から給送された用紙Sは、レジストローラ111に向けて(図では「矢印B」に示す方向である。)搬送される。
【0025】
次に、レジストローラ111に突き当てられて一旦停止された用紙Sは、中間転写ベルト108上のトナー像とのタイミングを取ってレジストローラ111から搬送される。このように搬送された用紙Sは、二次転写ローラ109と中間転写ベルト108が接する二次転写部に送り込まれる。
【0026】
二次転写ローラ109には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加される。次に、二次転写ローラ109は、中間転写ベルト108上の重ねトナー像、すなわち、フルカラー画像を用紙S上に転写する。
【0027】
トナー像転写後の用紙Sは、搬送ベルト112により、定着ローラ113へ搬送される。
【0028】
定着ローラ113は、熱と圧力により、トナー像を用紙Sに定着する定着処理を行う。
【0029】
トナー像が定着した後、用紙Sは、排紙口を経て排紙装置9に排紙される。
【0030】
なお、画像形成装置1は、上記の構成に限られない。例えば、画像形成装置1は、上記に説明した以外の装置を内部、又は、外部に備えてもよい。
【0031】
[搬送部、及び、搬送速度検出部の配置例]
図3は、搬送部、及び、搬送速度検出部の配置例を示す図である。以下、説明のために簡略にした搬送部、及び、搬送速度検出部の配置例で説明する。したがって、図3は、搬送部、及び、搬送速度検出部の具体例となる装置のみを示すが、画像形成装置1は、図示する以外の装置を備えてもよい。
【0032】
図3に示す例では、第1搬送部は、定着ローラ113である。また、定着ローラ113は、図示する構成では、搬送方向200において、最も上流に位置する。
【0033】
第2搬送部は、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203である。なお、第2搬送部は、3つ以外の搬送ローラを用いてもよい。すなわち、第2搬送部は、2つ以下、又は、4つ以上の複数の搬送ローラを用いる構成でもよい。
【0034】
第1搬送ローラ201は、定着ローラ113より搬送方向200において下流に位置する。図3に示す例は、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203の順に下流へ配置する例である。すなわち、本実施形態において、第1搬送部としての定着ローラ113によって、用紙Sは、トナー像が定着する。定着後、用紙Sは、その搬送方向において、第1搬送部よりも搬送方向の下流に位置する第2搬送部によって、更に下流へ搬送される。
【0035】
最初に、用紙Sは、画像形成器5等により、画像形成処理が行われる。画像形成処理が完了した後、用紙Sは、定着ローラ113へ搬送される。
【0036】
定着ローラ113は、用紙Sに対して定着処理を行う。具体的には、定着処理は、加熱した定着ローラ113のニップに用紙Sを通過させ、熱と圧力によってトナー像を用紙Sの面に定着させる処理である。ゆえに、定着ローラ113は、ヒータ等の加熱装置を有する。
【0037】
定着ローラ113は、定着処理において、用紙Sを把持しながら回転して、図3に示すように搬送方向200の下流へと用紙Sを搬送する。以下、定着ローラ113が搬送方向200において下流へ用紙Sを搬送する搬送速度を「第1搬送速度V1」という。第1搬送速度V1は、以下のように計測される。
【0038】
第1搬送速度V1を計測するため、図3に示すように、第1搬送速度検出部、及び、第2搬送速度検出部が配置される。以下、第1搬送速度検出部が第1センサ204、かつ、第2搬送速度検出部が第2センサ205である例で説明する。
【0039】
第1センサ204は、定着ローラ113と第1搬送ローラ201の間、すなわち、搬送方向200において、定着ローラ113より下流に位置し、かつ、第1搬送ローラ201より上流の位置に配置する。以下、第1センサ204が設置される位置を「第1検出位置」という。第1検出位置は、図3において第1センサ204を設置する位置である。
【0040】
第2センサ205は、第2搬送ローラ202より下流の位置に配置する。以下、第2センサ205が設置される位置を「第2検出位置」という。第2検出位置は、図3において第2センサ205を設置する位置である。
【0041】
第1センサ204、及び、第2センサ205は、例えば、光センサ等である。したがって、第1センサ204、及び、第2センサ205は、検出範囲内に用紙Sが存在するか否かを光の反射で検出する反射型センサである。
【0042】
なお、第1搬送速度検出部、及び、第2搬送速度検出部は、シートの搬送速度が計測できるのであれば、センサの種類を問わない。また、第1搬送速度検出部、及び、第2搬送速度検出部は、同一のセンサでなくともよい。さらに、第1搬送速度検出部、及び、第2搬送速度検出部は、演算装置、及び、規則装置等を有し、演算を行ってシートの搬送速度を計測してもよい。
【0043】
以下、第1検出位置、及び、第2検出位置の距離を「距離L」という。すなわち、第2センサ205は、第1センサ204より下流に距離L離れた位置に配置する。
【0044】
第1搬送速度V1は、搬送方向における用紙Sの先端箇所(以下単に「先端箇所」という。)が第1検出位置で第1センサ204によって検出されてから、当該先端箇所が第2検出位置で第2センサ205によって検出されるまでの時間(以下「第1時間」という。)と、距離Lとに基づいて計測される。すなわち、第1搬送速度V1は、用紙Sの先端箇所が第1センサ204から第2センサ205の間を移動する速度に相当する。
【0045】
以下、第1センサ204が先端箇所を第1検出位置で検出するタイミングを「第1タイミングT1」という。一方で、第2センサ205が先端箇所を第2検出位置で検出するタイミングを「第2タイミングT2」という。
【0046】
先端箇所は、用紙Sのうち、搬送されている状態において、最も下流にある端部であり、例えば、「先端から0.5~1ミリメートル程度」である。
【0047】
具体的には、第1搬送速度V1は、下記(1)式を計算して計測される。
【0048】
第1搬送速度V1 = 距離L / 第1時間
= 距離L / (第2タイミングT2-第1タイミングT1)
(1)
【0049】
上記(1)式が示すように、第1搬送速度V1は、距離Lを定着ローラ113による搬送でかかる時間で除算して計測される。なお、第1搬送速度V1は、上記(1)式で計算する以外の方法で計測されてもよい。例えば、第1搬送速度V1は、先端箇所以外の箇所で第1時間を特定して計算されてもよい。
【0050】
用紙Sは、第1搬送速度V1で下流に搬送されると、以下のように処理される。
【0051】
図4は、複数の搬送ローラを用いて搬送する例を示す図である。図3と比較すると、図4に示す状態は、図3より用紙Sが下流で搬送されている点が異なる。以下、図3と同様の説明は省略する。また、図4では、用紙Sは、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203を用いて搬送されている点が図3と異なる。なお、第2搬送速度検出部は、図4に示すような状態を検出する位置に配置されるのが望ましい。図4は、定着ローラ113が用紙Sを把持しておらず、第1搬送ローラ201等に把持されて搬送されている状態である。このように、第2搬送速度検出部は、定着ローラ113による搬送が完了した後の状態において、搬送速度を検出する位置に配置する。
【0052】
定着ローラ113より下では、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203は、図4に示すように搬送方向200において、更に下流へ用紙Sを搬送する。以下、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203が搬送方向200において更に下流へ用紙Sを搬送する搬送速度を「第2搬送速度V2」という。第2搬送速度V2は、以下のように計測される。
【0053】
第2搬送速度V2は、用紙Sの後端箇所(以下単に「後端箇所」という。)が第1検出位置で第1センサ204では検出できなくなってから、後端箇所が第2検出位置で第2センサ205によって検出できなくなるまでの時間(以下「第2時間」という。)と、距離Lとに基づいて計測される。すなわち、第2搬送速度V2は、用紙Sの後端箇所が第1センサ204から第2センサ205の間を移動する速度に相当する。
【0054】
以下、第1センサ204が後端箇所を第1検出位置で検出できなくなったタイミングを「第3タイミングT3」という。一方で、第2センサ205が後端箇所を第2検出位置で検出できなくなったタイミングを「第4タイミングT4」という。
【0055】
後端箇所は、用紙Sのうち、搬送されている状態において、最も上流にある端部であり、例えば、「先端から0.5~1ミリメートル程度」である。
【0056】
具体的には、第2搬送速度V2は、下記(2)式を計算して計測される。
【0057】
第2搬送速度V2 = 距離L / 第2時間
= 距離L / (第4タイミングT4-第3タイミングT3)
(2)
【0058】
上記(2)式が示すように、第2搬送速度V2は、距離Lを第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203による搬送でかかる時間で除算して計測される。なお、第2搬送速度V2は、上記(2)式で計算する以外の方法で計測されてもよい。例えば、第2搬送速度V2は、後端箇所以外の箇所で第2時間を特定して計算されてもよい。
【0059】
定着ローラ113と、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203等の搬送ローラでは、経時による搬送速度の変化が異なる場合が多い。そのため、定着処理の後における定着ローラ113による第1搬送速度V1と、定着ローラ113より下流における第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203による第2搬送速度V2の相対的な関係は、経時により、適正な関係(初期値は最適な関係に設定される。)から徐々に外れる場合が多い。
【0060】
また、第1搬送速度V1、及び、第2搬送速度V2は、シートの種別(例えば、搬送方向の長さ、厚み、並びに、非コート紙、コート紙、若しくは、合成紙のどれかである等である。)によって最適な値が異なる。したがって、画像形成装置1は、シートの種別ごとに、第1搬送速度V1、及び、第2搬送速度V2が計測されて別々に制御するのが望ましい。
【0061】
[全体処理例]
図5は、全体処理例を示す図である。
【0062】
ステップS0501では、画像形成装置1は、給紙を行う。具体的には、画像形成装置1は、画像形成を行う対象となる用紙Sの搬送を開始する。したがって、画像形成装置1は、給紙の開始に基づき、各種の画像形成に関する処理を開始する。
【0063】
ステップS0502では、画像形成装置1は、画像形成を行う。ステップS0502では、画像形成装置1は、ステップS0501で給紙されてレジストを通過した用紙Sに対して画像形成を行う。
【0064】
ステップS0503では、画像形成装置1は、定着ローラ113の駆動を開始する。
【0065】
ステップS0504では、画像形成装置1は、定着処理を行う。
【0066】
したがって、画像形成装置1は、ステップS0503、及び、ステップS0504により、定着処理を行った後、図3が示すように、用紙Sを定着ローラ113で搬送する。
【0067】
ステップS0505では、画像形成装置1は、搬送ローラの駆動を開始する。
【0068】
したがって、画像形成装置1は、ステップS0505により、定着ローラ113より下流では、図4に示すように、用紙Sを搬送ローラで搬送する。
【0069】
ステップS0506では、画像形成装置1は、第1タイミングT1を計測する。
【0070】
ステップS0507では、画像形成装置1は、第2タイミングT2を計測する。
【0071】
ステップS0508では、画像形成装置1は、第1搬送速度V1を計測する。
【0072】
ステップS0506、及び、ステップS0507で第1タイミングT1、及び、第2タイミングT2が計測されると、画像形成装置1は、ステップS0508で上記(1)式を計算して第1搬送速度V1を計測する。
【0073】
ステップS0509では、画像形成装置1は、第3タイミングT3を計測する。
【0074】
ステップS0510では、画像形成装置1は、第4タイミングT4を計測する。
【0075】
ステップS0511では、画像形成装置1は、第2搬送速度V2を計測する。
【0076】
ステップS0509、及び、ステップS0510で第3タイミングT3、及び、第4タイミングT4が計測されると、画像形成装置1は、ステップS0511で上記(2)式を計算して第2搬送速度V2を計測する。
【0077】
ステップS0512では、画像形成装置1は、搬送速度比等を計算する。
【0078】
ステップS0513では、画像形成装置1は、搬送速度を制御する。
【0079】
第1搬送速度V1、及び、第2搬送速度V2の比(以下「搬送速度比」という。)は、例えば、「V2/V1」の計算で求まる値である。以下、搬送速度比は、最適な値を初期値で設定されるとする。なお、最適な搬送速度比は、初期値以外に設定されてもよい。
【0080】
したがって、画像形成装置1は、搬送速度比が初期値と同じになるように制御する。具体的には、画像形成装置1は、第2搬送速度V2を変更する。
【0081】
変更後の第2搬送速度V2を「変更後速度V5」とすると、変更後速度V5は、下記(3)式で計算する。
【0082】
変更後速度V5 = 第2搬送速度最適値V20 × 第1搬送速度V1 / 第1搬送速度最適値V10 (3)
【0083】
上記(3)式において、「第1搬送速度最適値V10」は、第1搬送速度V1の初期値である。また、「第2搬送速度最適値V20」は、第2搬送速度V2の初期値である。
【0084】
次に、ステップS0508、及び、ステップS0511により計測される第1搬送速度V1、及び、第2搬送速度V2に基づき、画像形成装置1は、搬送速度比「V2/V1」を計算する。この計算により、現状の搬送速度比が求まる。
【0085】
ステップS0513では、画像形成装置1は、搬送ローラの回転数を変更して、搬送速度を制御する。なお、画像形成装置1は、定着ローラ113の回転数を変更して搬送速度を制御してもよい。以下、変更する前の搬送ローラの回転数を「変更前回転数R1」、変更した後の搬送ローラの回転数を「変更後回転数R2」とすると、変更後回転数R2は、下記(4)式の通り計算されて設定される。
【0086】
変更後回転数R2 = R1 × 変更後速度V5 / 第2搬送速度V2 (4)
【0087】
以上のように制御すると、画像形成装置1は、搬送速度比を初期値に近づけて、最適化させることができる。
【0088】
なお、全体処理は、図示する以外のステップが含まれてもよい。また、各ステップは、図示する以外の順序、並列、分散、又は、冗長して実行されてもよい。
【0089】
[機能構成例]
図6は、機能構成例を示す図である。画像形成装置1は、第1搬送部601、第1搬送速度検出部602、第2搬送部603、及び、第2搬送速度検出部604を備える。
【0090】
第1搬送部601は、定着処理、かつ、搬送方向200における下流へ定着処理後の用紙Sを第1搬送速度V1で搬送する第1搬送手順を行う。例えば、第1搬送部601は、定着ローラ113等で実現する。
【0091】
第1搬送速度検出部602は、第1搬送速度V1を計測する第1搬送速度検出手順を行う。例えば、第1搬送速度検出部602は、第1センサ204等で実現する。
【0092】
第2搬送部603は、第1搬送部601より下流に位置する。そして、第2搬送部603は、第1搬送部601から搬送される用紙Sを更に下流へ第2搬送速度V2で搬送する。さらに、第2搬送部603は、第1搬送速度V1、及び、第2搬送速度V2に基づいて、搬送速度比を制御する第2搬送手順を行う。例えば、第2搬送部603は、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、及び、第3搬送ローラ203等で実現する。
【0093】
第2搬送速度検出部604は、第2搬送速度V2を計測する第2搬送速度検出手順を行う。例えば、第2搬送速度検出部604は、第2センサ205等で実現する。
【0094】
電子写真方式の画像形成装置1では、紙種への対応、及び、高画質化が急速に進展している。一方で、定着から排紙の間において、相対的な搬送速度の関係が最適値からズレると、様々な異常画像が発生する。そこで、画像形成装置1は、定着から排紙の間において、相対的な搬送速度を最適化する。
【0095】
例えば、用紙についてのデータベースに種別ごとの搬送速度の設定値を保存し、画像形成装置1が設定値を利用する構成等がある。この構成では、ユーザは、新規に種別を登録、及び、搬送速度を設定する操作を行う。また、演算装置で計算する搬送速度に基づき、画像形成装置1が基準値に調整し直す方法等も考えられる。
【0096】
しかし、定着ローラ113と排紙ローラの搬送速度の変化率は、経時で変化する。そのため、既存の設定値のままで画像形成を行うと、経時変化により異常画像が発生する可能性がある。
【0097】
そこで、上記に説明するような構成により、画像形成装置1は、まず、第1搬送速度V1、及び、第2搬送速度V2を検出する。このような構成であると、画像形成装置1は、第1搬送速度V1、及び、第2搬送速度V2に基づき、搬送速度比等が計算でき、各種ローラに経時変化等が起きても、最適な搬送速度になっているか否かが判断できる。そして、最適値からズレが生じていると判断する場合には、画像形成装置1は、搬送速度比等が最適になるように、搬送速度を制御した上で搬送を行う。このような構成であると、搬送速度比を一定にし、搬送速度の変化による影響を抑制できる。
【0098】
[変形例]
画像形成装置1は、経時変化以外の状態変化(以下単に「状態変化」という。)に応じて搬送ローラの回転数を制御してもよい。
【0099】
状態変化は、例えば、各種ローラの清掃、又は、各種ローラの交換等のメンテナンスが行われた場合等の変化である。
【0100】
メンテナンスが行われると、各種ローラは、経時変化が起きる前の状態、すなわち、経時劣化が少ない状態になる。このような状態変化が起きた場合には、搬送ローラの回転数等は、経時劣化に応じて調整された値より初期値の方が最適である場合が多い。
【0101】
画像形成装置1は、例えば、部品の交換、又は、センサ等でメンテナンスが行われたのを検出する。このような検出結果に基づき、画像形成装置1は、搬送ローラの回転数等のパラメータを初期化するのが望ましい。このようにすると、画像形成装置1は、メンテナンスがあった後等でも、メンテナンスに基づく搬送速度の変化による影響を抑制できる。
【0102】
[その他の実施形態]
実施形態は、上記に説明した構成に限られない。例えば、第1搬送部601は、複数の装置で構成してもよい。具体的には、定着処理を行う装置と搬送を行う装置が別々であり、第1搬送部601は、定着処理を行う装置と搬送を行う装置の組み合わせで実現してもよい。
【0103】
同様に、第2搬送部603も、複数の装置で構成してもよい。具体的には、制御を行う装置と搬送を行う装置が別々であり、第2搬送部603は、制御を行う装置と搬送を行う装置の組み合わせで実現してもよい。
【0104】
シートは、用紙以外のコート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等の記録媒体でもよい。
【0105】
すなわち、記録媒体の素材は、インク滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。
【0106】
具体的には、記録媒体は、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。
【0107】
このように、記録媒体の材質は、液滴が付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。
【0108】
制御方法は、例えば、プログラムに基づいて実現されてもよい。具体的には、プログラムに基づいて演算装置、記憶装置、及び、制御装置等の装置が、協働して動作して制御方法を実行する。なお、プログラムは、コンピュータが読取可能な記憶媒体に記憶されて頒布、又は、電気通信回線を通じて頒布されてもよい。
【0109】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1 :画像形成装置
113 :定着ローラ
200 :搬送方向
201 :第1搬送ローラ
202 :第2搬送ローラ
203 :第3搬送ローラ
204 :第1センサ
205 :第2センサ
601 :第1搬送部
602 :第1搬送速度検出部
603 :第2搬送部
604 :第2搬送速度検出部
S :用紙
V1 :第1搬送速度
V2 :第2搬送速度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特開2011-17948号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6