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特開2023-116463ニューラルネットワークベースの画像復元のための取得戦略
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116463
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークベースの画像復元のための取得戦略
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/00 20060101AFI20230815BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230815BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G06T5/00 705
G06T7/00 350C
H01J37/22 502G
H01J37/22 501Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023081457
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2020077019の分割
【原出願日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】16/405536
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マウリス ペーメン
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル ポトチェック
(72)【発明者】
【氏名】レムコ シェーンメイカーズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ニューラルネットワークベースの画像復元のための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】方法は、少なくとも、各々の各トレーニング画像が、試料の同じ場所の画像である複数のトレーニング画像ペアの各画像が、同じ取得パラメータを使用して試料の複数のトレーニング画像ペアを取得することと、複数のトレーニング画像ペアに基づいて、人工ニューラルネットワークを更新することと、更新された人工ニューラルネットワークを使用して複数の試料画像のノイズを除去することと、を含む。複数の試料画像は、複数のトレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じ取得パラメータを使用して取得される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子画像のノイズを除去するための方法であって、前記方法は、
試料の複数のトレーニング画像ペアを取得することであって、前記複数のトレーニング画像ペアの各々の各トレーニング画像が、前記試料の同じ場所の画像であり、前記複数のトレーニング画像ペアの各画像が、同じ取得パラメータを使用して取得される、取得することと、
前記複数のトレーニング画像ペアに基づいて、人工ニューラルネットワークを更新することと、
前記更新された人工ニューラルネットワークを使用して複数の試料画像のノイズを除去することと、を含み、
前記複数の試料画像は、前記複数のトレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じ取得パラメータを使用して取得される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、人工知能(AI)対応の画像復元に関し、具体的には、AI対応のノイズ低減およびスパース再構成に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのタイプの顕微鏡では、ノイズを取り除くかまたは低減することは困難であり、所望未満の結果をもたらす。さらに、ユーザが所望する画像のタイプにより、ノイズを管理することがなおさらに困難になる場合がある。例えば、荷電粒子顕微鏡法では、荷電粒子ビームのパラメータおよびその他の画像取得パラメータは、画像のノイズに影響し得るが、所望の視野と試料の相互作用への逆効果も有し得る。さらなる例のために、荷電粒子ビームのドウェル時間とノイズとの間の折り合いが存在する。具体的には、ドリフトなどの画像取得中に変化がないか、または変化が最小限であることを保証するために、短いドウェル時間が好ましい場合がある。短いドウェル時間はまた、迅速な画像取得をもたらし得る。しかしながら、不利な点は、短いドウェル時間からの画像は、ノイズを伴い、かつ/またはスパースな傾向があること、例えば、情報を欠いたピクセルを有することであり、これは、典型的には、エンドユーザには望ましくない。長いドウェル時間は、ノイズを低減し、例えば、信号対ノイズを増加させ、スパース性が低い画像を提供することができるが、ドウェル時間が長くなると、画像取得時間が増加する傾向があり、とりわけ、生体試料では、試料の損傷をさらにもたらす場合がある。長いドウェル時間は、典型的には、画像取得中のドリフトも招く。これらの折り合いおよび問題は、ノイズのある画像に影響し得るもののほんの一部である。
【0003】
エンドユーザは、典型的には、大きい視野および/または三次元体積を望み、これらは、長いドウェル時間が使用される場合にのみさらに増加する、長い取得時間(一部の例では、1か月のスケール)を必要とする。そのため、ノイズが低減された状態の高速取得時間が望ましい。取得時間は、スパース画像取得によりさらに低減され得る。この問題を解決するために何年にもわたって画像復元に関する様々な試みが行われてきたが、提供された解決策には、それらの独自の欠点、例えば、過度に平滑化された画像または事実上改善されていない画像などがある。そのため、ノイズのある画像の問題を解決するという要望が残っている。
【発明の概要】
【0004】
ニューラルネットワークベースの画像復元のための装置および方法が本明細書で開示される。画像復元は、画像のノイズを除去すること、画像のスパース再構成、およびそれらの組み合わせを含む。ニューラルネットワークベースのノイズ除去のための例示的な方法は、少なくとも、試料の複数のトレーニング画像ペアを取得することであって、複数のトレーニング画像ペアの各々の各トレーニング画像が、試料の同じ場所の画像であり、複数のトレーニング画像ペアの各画像が、同じ取得パラメータを使用して取得される、取得することと、複数のトレーニング画像ペアに基づいて、人工ニューラルネットワークを更新することと、更新された人工ニューラルネットワークを使用して複数の試料画像のノイズを除去することと、を含み、複数の試料画像は、複数のトレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じ取得パラメータを使用して取得される。
【0005】
ニューラルネットワークベースのノイズ除去を実装するための例示的な装置は、少なくとも、荷電粒子顕微鏡イメージングプラットフォームと、荷電粒子顕微鏡イメージングプラットフォームを制御するように少なくとも結合されたコントローラと、を含む。コントローラは、コードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体に結合され、コードは、コントローラによって実行されると、システムに、試料の複数のトレーニング画像ペアを取得することであって、複数のトレーニング画像ペアの各々の各トレーニング画像が、試料の同じ場所の画像であり、複数のトレーニング画像ペアの各画像が、同じ取得パラメータを使用して取得される、取得することと、複数のトレーニング画像ペアに基づいて人工ニューラルネットワークを更新することであって、人工ニューラルネットワークが、システムと共に含まれるか、またはシステムに結合される、更新することと、更新された人工ニューラルネットワークを使用して複数の試料画像のノイズを除去することと、を行わせ、複数の試料画像は、複数のトレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じ取得パラメータを使用して取得される。
【0006】
ニューラルベースの画像復元の別の実施形態は、スパース再構成向けを対象とする。スパース再構成の例示的な方法は、少なくとも、試料の複数のトレーニング画像ペアを取得することであって、複数のトレーニング画像ペアの各々の各トレーニング画像が、試料の同じ場所の画像であるが、異なる画像ピクセルを含み、複数のトレーニング画像ペアの各画像が、同じ取得パラメータを使用して取得される、取得することと、複数のトレーニング画像ペアに基づいて、人工ニューラルネットワークを更新することと、更新された人工ニューラルネットワークを使用して複数の試料画像の各々を再構成することと、を含み、複数の試料画像は、複数のトレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じ取得パラメータを使用して取得され、複数の試料画像の各画像は、スパース画像である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態による、荷電粒子顕微鏡システムの例である。
図2】本開示の一実施形態による、画像のノイズを除去するための例示的な方法である。
図3】本開示の一実施形態による、スパース画像を再構成するための例示的な方法である。
図4】本開示の一実施形態による、画像のノイズを除去することを示す例示的な画像シーケンスである。
図5】本開示の一実施形態による、スパース再構成を示す例示的な画像シーケンスである。
図6】本開示の一実施形態による、コンピューティングシステム600の例示的な機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。
【0009】
本発明の実施形態は、ニューラルネットワークベースの画像復元に関する。一実施例では、人工ニューラルネットワークは、ノイズ除去器になるように、小数のノイズのある画像でトレーニングされてもよく、次いで、ノイズ除去器を使用して、試料画像のより大きなデータセットのノイズを除去する。かかる実施例では、少数のノイズのある画像を取得するために使用される取得パラメータはまた、試料画像を取得するために使用され、これにより、両方の画像セットのノイズが同様であることを保証する。別の実施例では、人工ニューラルネットワークは、ノイズを除去する代わりに、スパース再構成を提供するように同様にトレーニングされ得る。スパース再構成の実施例では、トレーニング画像は、少なくともわずかに重複するスパース画像を含み、その結果、ネットワークは、スパース試料画像の大きなデータセットのスパース画像をどのように埋めるかを学習する。しかしながら、本明細書に記載される方法は、概して、広範囲の異なるAI強化または対応の画像復元技術に適用可能であり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【0010】
本出願および特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。加えて、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「結合された」という用語は、結合されたアイテム間の中間要素の存在を排除するものではない。加えて、以下の説明および特許請求の範囲では、「含む(including)」および「含む(comprising)」という用語は、自由に使用され、ひいては、「を含むが、これに限定されない(including, but not limited to)」を意味すると解釈されるべきである。「トレーニング画像ペア」または「トレーニングペア」という用語は、試料の同じ場所で、同じ取得パラメータを使用して取得された画像のペアを指す。本明細書で使用される場合、「取得パラメータ」という用語は、1つ以上の画像を取得するために使用される荷電粒子顕微鏡の設定を指し、少なくとも、ピクセルあたりのビームのドウェル時間、ビームのスポットサイズ、ビームのランディングエネルギーを含むが、取得された画像の数、または画像を取得する際に使用したグリッドサイズは含まない。概して、本明細書の説明の「取得パラメータ」は、主に、荷電粒子ビームと試料との相互作用の時間を含む大きさを制御するパラメータである。加えて、「スパーストレーニング画像ペア」または「スパーストレーニングペア」という用語は、試料上の同じ場所の画像のペアを指すが、同じ取得パラメータを使用して取得される、スキャンされたピクセルの異なるパターンを含有する。
【0011】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに相互の様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態の全ての新規性および非自明性を有する特徴および態様を対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様または特徴もしくはそれらの組み合わせに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つもしくは複数の特定の利点が存在する、または問題が解決されることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0012】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜的な提示のため、特定の順番で記載されているが、以下に記載される具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明方法が並び替えを包含することを理解されるものとする。例えば、順に記載される動作は、いくつかの場合では、並び替えまたは同時に実施されてもよい。さらに、単純化のために、添付の図面は、開示されたシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、および装置と共に使用され得る様々な方法を示さないことがある。加えて、説明は、開示された方法を説明するために、「製造する(produce)」および「提供する(provide)」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施に応じて、様々であり、当業者には容易に認識できる。
【0013】
概して、荷電粒子画像は、例えば、様々な量のノイズを含む。様々な量のノイズは、主にプローブ荷電粒子ビームのドウェル時間に基づき得るが、他の要因もまたノイズに影響を与え得る。ドウェル時間に関しては、ドウェル時間が長いほど、含まれるノイズは少なくなり、例えば、信号対ノイズ比(SNR)が大きくなるが、ドウェル時間が短いほど、ノイズは大きくなり、例えば、SNRが低くなる。この折り合いは、ノイズの少ない画像を取得するのは簡単なようであるが、試料のタイプおよび望まれる画像の体積は、さらにドウェル時間の計算に影響する。例えば、柔らかく繊細な試料、例えば、生体試料は、長いドウェル時間によって損傷を受ける場合がある。生体試料は、典型的には、画像のコントラストが不足しているためにSNRの低下を受けることがあり、より長いドウェル時間が勧められる場合があることにも留意されたい。さらに、試料のより大きい面積または体積をイメージングするために必要な画像の数が、長いドウェル時間によって大幅に増加する場合がある。場合によっては、柔らかい試料の多数の画像が望まれる場合があり、これにより、柔らかい試料の追加のノイズに対応するためにドウェル時間が長くなる場合がある。かかるイメージングのワークフローは、1か月分の画像取得につながる場合がある。明らかに、これは望ましくないことであり、より迅速で、損傷が少ない傾向がある画像取得が望ましい。
【0014】
ノイズ問題に対する以前の解決策が利用可能であるが、結果は典型的には、望ましいものではない。かかる解決策としては、古典的なノイズ除去アルゴリズム、およびなおさらに最近の深層学習ベースの解決策を挙げることができる。古典的な手法は、典型的には、試料画像内の実際のノイズに関する単純化し過ぎた仮定に基づいており、画像の過剰な平滑化をもたらす。そのため、情報が失われる。深層学習の手法に関しては、主に異なるノイズでトレーニングするため、トレーニングデータは、典型的には、十分に具体的ではなく、人工的に歪んだクリーンな画像であり得る。加えて、これらの深層学習ベースのノイズ除去ネットワークは、ノイズのある画像でトレーニングされ、クリーンな画像に関連付けられるが、関連付けられたノイズのあるクリーンな画像は、ネットワークのノイズ除去能力に影響する異なる設定下で取得される。明らかに、より新しく、よりよい解決策が望まれている。
【0015】
上に開示される問題に対する1つの解決策としては、ノイズ除去が必要な試料画像と同様のノイズを含む、ノイズのある画像(トレーニング画像ペア)のみを使用して、事前トレーニングされたブラインドノイズ除去器、例えば、事前トレーニングされたブラインド人工ニューラルネットワークのトレーニングを更新することが挙げられる。例えば、事前トレーニングされたブラインドノイズ除去器は、ノイズのあるクリーンな画像を使用して軽くトレーニングされ得るが、更新は、システム特有のノイズを有する、ノイズのある画像ペアのみを使用することができ、これは、ノイズ除去器が、更新された後にクリーンな画像を提供することを助ける。加えて、試料画像の大きなデータセットは、トレーニング画像ペアを取得するために使用されるものと同じ取得パラメータ、例えば、荷電粒子顕微鏡システムの設定下で取得され得る。試料画像が取得された後、更新されたノイズ除去器を使用して試料画像のノイズを除去する。
【0016】
以前の解決策に対する本解決策のいくつかの利点は、トレーニング画像の小さなセットを使用することであり、これは、ノイズ除去器のノイズ除去能力を改善し、トレーニング時間を増加させる。例えば、ノイズ除去器の更新トレーニングには1時間もかからない。さらに、トレーニング画像ペアおよび試料画像の大きなデータセットの両方に短いドウェル時間を使用することにより、画像からデータまでの全体の時間が大幅に増加することがある。さらに、ノイズ除去は、試料画像の大きなデータセットでノイズ除去器が遭遇するであろう、システム特有のノイズを有する画像でのトレーニングにより、従来の深層学習ノイズ除去器よりもはるかに優れている場合がある。そのため、ノイズ除去された画像は、他の方法よりも高品質のものになる。
【0017】
前述のように、この技術を使用して、トレーニング画像ペアのわずかな変化のみでスパース画像を再構成することもできる。ノイズ除去器のトレーニング画像ペアは試料の同じ場所のものであるが、スパーストレーニング画像ペアは、いくつかの重複面積と、いくつかの非重複面積と、を有することができ、これは、スパース再構成ネットワーク、例えば、人工ニューラルネットワークが画像のスパースな(空白の)面積を埋めることを可能にするトレーニングを提供する。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態による荷電粒子顕微鏡システム100の例である。荷電粒子顕微鏡(CPM)システム100、または単にシステム100は、少なくとも、CPM環境102、ネットワーク104、1つ以上のサーバ106、および人工ニューラルネットワーク114を含む。CPMシステム100を使用して、様々なサイズおよび構造の試料を調査およびイメージングすることができる。一例として、CPMシステム100は、少なくとも部分的に、商業または研究の現場で実装され、現場で様々な試料をイメージングするために使用され得る。いくつかの実施形態では、CPMシステム100は、様々な場所にわたって分散され得る。例えば、CPM環境102が開発の場所に位置しても、ネットワーク104がローカル、地域、もしくは全国に分散されても、サーバ106がサーバファームに位置し、ネットワーク104を介してCPM環境100に結合されてもよい。CPMシステム100の組織化にかかわらず、システム100は、少なくとも、ノイズ除去および/またはスパース再構成などの様々な画像復元タスクを実施することに合わせて、1つ以上の人工ニューラルネットワーク(ANN)114を実装するために使用され得る[0024]。
CPM環境102は、任意のタイプの荷電粒子顕微鏡を含むが、本明細書に開示されるニューラルネットワークおよび画像復元技術の適用は、例示目的のみに使用される荷電粒子顕微鏡に限定されない。例示的なCPMには、ほんの数例を挙げると、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、集束イオンビーム(FIB)、および電子ビームとイオンビームの両方の機能を含むデュアルビーム(DB)システムが含まれる。CPM環境102を使用して、試料の電子またはイオン画像を得ることができ、これらのうちのいくつかは、試料の体積をイメージングするためなど、試料の連続したスライスの画像であり得る。体積イメージングは、スライスおよびビューとも称されることがあり、試料の表面をイメージンすることと、その表面を取り除くことと、新しく露出された表面をイメージングすることと、を含み、試料の所望の体積がイメージングされるまで繰り返される。CPM環境102は、単一のツールに含めることができる、あるいは別個のツールに配置され得る様々な態様を含み得る。例えば、CPM環境102は、イメージングプラットフォーム108、例えば、SEM、TEM、またはSTEM、試料調製プラットフォーム110、および1つ以上のコントローラ112を含んでもよい。当然のことながら、各プラットフォーム108および110も同様に、2つ以上の顕微鏡/試料調製ツールを含み得る。
【0019】
イメージングプラットフォーム108は、試料の画像を取得するために使用され、試料のいくつかは、試料調製プラットフォーム110によって調製されていることがあるが、必須ではない。画像は、試料に荷電粒子のそれぞれのビームを照射する電子および/またはイオン源を使用して取得される。例えば、イオンおよび/または電子ビームカラムは、イオンおよび/または電子のそれぞれのビームを提供する。いくつかの実施例では、荷電粒子ビームイメージングは、例えば、ビームをラスタすることなどによって、試料を横切って移動したスキャンされたビームによって取得されるが、他の実施例では、荷電粒子ビームはスキャンされない。次いで、例えば、後方散乱、二次、または透過電子が検出され、それに基づいてグレースケール画像が形成される。画像は、試料の材料に応じたグレースケールのコントラストを含み、グレースケールにおける変化は、材料の種類または結晶の配向における変化を示す。イメージングプラットフォーム108は、内部制御(図示せず)、コントローラ112、またはそれらの組み合わせによって制御され得る。
【0020】
試料調製プラットフォーム110は、イメージングプラットフォーム108によって画像化される試料のいくつかを形成する。当然のことながら、画像化された試料は、他のツール(図示せず)によって形成されてもよい。試料調製110は、例えば、イオンミリング、イオン誘導エッチング、またはそれらの組み合わせなどにより、より大きな試料からの薄い試料の調製および薄い試料の取り除きを支援するためにFIBを使用するDBシステム、およびイメージング用の試料を処理するための他の処理であり得る。他の処理としては、平坦化ミル/エッチング、基準生成、断面形成、トップダウンラメラ調製などを挙げることができるが、これらに限定されない。試料調製プラットフォーム110は、試料調製処理を監視することを可能にする電子ビームイメージングコンポーネントも含み得るが、電子ビームイメージングコンポーネントは必要ではない。いくつかの実施形態において、試料調製プラットフォーム110は、イメージングプラットフォーム108のために試料を調製するために使用される他の物理的調製態様-レーザ、切断ツール、樹脂封止ツール、低温ツールなど-を含み得る。試料調製プラットフォーム110は、内部制御(図示せず)、コントローラ112、またはそれらの組み合わせによって制御され得る。
【0021】
ネットワーク104は、CPM環境102とサーバ106との間で信号を送信するための任意のタイプのネットワークであり得る。例えば、ネットワーク104は、ローカルエリアネットワーク、ラージエリアネットワーク、またはインターネット、電話バックボーン、それらの組み合わせなどの分散ネットワークであってもよい。
【0022】
サーバ106は、様々なアルゴリズム、ニューラルネットワーク、および分析スイートについてのコードを実行することができる、仮想および/または物理の1つ以上のコンピューティングプラットフォームを含み得る。図示していないが、CPM環境102のユーザが、データの検索、ソフトウェアコードの更新、データについての分析タスクの実施などのためにサーバ106にアクセスしてもよく、アクセスはユーザのローカルコンピューティング環境(図示せず)からネットワーク104を通じたものである。いくつかの実施形態では、ユーザは、サーバ106に記憶された画像データにアクセスし、ユーザのローカルコンピューティング環境から(サーバ106またはCPM環境102で実行され得る)ANN114を使用して、画像復元、例えば、ノイズ除去および/またはスパース再構成を実装する。
【0023】
ノイズ除去の実施形態の動作において、イメージングプラットフォーム108は、所望の取得パラメータを使用して画像を取得するように設定される。取得パラメータは、少なくとも、荷電粒子ビームのエネルギー、ビームのスポットサイズ、およびドウェル時間を決定し得る。例示的なドウェル時間は、0.3μ秒~3.0μ秒であり得る。ドウェル時間は、荷電粒子ビームが取得された画像の各ピクセルで試料に衝突する時間を決定し、ドウェル時間が短いと、システムのドリフト、ビームの損傷、および試料の荷電状態が低減され、いくつかの利点が挙げられる。本明細書で使用される場合、「ピクセル」とは、取得された画像の視認可能な面積内の場所を指すことがあり、ビームをピクセル間で移動させて、視認可能な面積内の画像を取得することができる。視認可能な面積は、所望の視野に基づいて調整可能であり得る。取得パラメータが設定されると、試料の少数のトレーニング画像ペアが取得される。各トレーニング画像ペアは、試料上の同じ場所の少なくとも2つの画像を含み、これらは、スポット画像またはスポットトレーニングペアと呼ばれることもある。同じ場所の2つ以上のスポットトレーニング画像を取得すると、荷電粒子特有のシステムノイズに関する情報が提供される。いくつかの実施形態では、トレーニング画像ペアの数は、合計100~1000個、例えば、200~2000個の画像であり得る。取得されるトレーニング画像ペアの数は、ANN114を事前トレーニングする際のノイズがトレーニング画像ペアのシステム特有のノイズにどれだけ近いかに基づいて調整され得る。ノイズが近い場合は、必要なトレーニング画像ペアが少なくなる可能性があり、その逆も同様である。
【0024】
少数のトレーニング画像ペアが取得された後、事前トレーニングされたANN114は、トレーニング画像ペアにおけるシステム特有のノイズにANN114を微調整するように更新され得る。ANN114の更新は、短いドウェル時間のためにノイズのある画像になるトレーニング画像ペアのみを使用することができる。さらに、トレーニング画像ペアは、人工ニューラルネットワークのトレーニングで通常行われているようにはラベル付けされない。加えて、関連付けられたクリーンな画像は、ANN114のトレーニング更新時には使用されない。したがって、ANN114は、システムのノイズを学習するために各トレーニング画像ペアのバックプロパゲーションを使用し得る。このトレーニング技術は、ノイズの統計的な性質を利用するノイズ対ノイズトレーニングと称され得る。ノイズの統計的な性質は、多くのノイズソースの平均がゼロであるというスタンスに基づいている。そのため、同じ場所にある複数の画像を平均すると、ノイズを抑制し、クリアな画像を見せることができる。さらに、少数のトレーニング画像ペアでトレーニングすると、システム特有のノイズとの良好な一致につながる高速収束により、高速トレーニングが可能になる。
【0025】
ANN114のトレーニングの更新前、更新後、または更新と並行して、同じ取得パラメータを使用して、試料画像の大きなデータセットを取得することができる。この大きなデータセットは、ノイズを除去する必要があるテラバイトのデータ(例えば、10,000以上の画像)をもたらすことがある。同じ高速のドウェル時間を使用しているため、すべての試料画像を取得する時間は、従来の大きなスケールのデータセットの取得よりもはるかに短い場合がある。試料画像の取得後、ANN114を更新すると、試料画像のノイズを除去することができる。このノイズ除去ステップは、システム100またはサーバ106で実施することができ、いつでもユーザが開始することができる。
【0026】
上記の例示的な動作をノイズ除去環境で論じたが、スパース再構成技術は、上述のようにスパーストレーニング画像ペアに変更を加えて同様に実装することができる。トレーニング画像間の違いを除いて、(集合的に画像復元と称され得る)ノイズ除去およびスパース画像再構成の処理は、同じではないにしても、類似している。スパース再構成に関して、スパース画像、例えば、欠けているデータを含む画像は、例えば、欠けているデータが、トレーニングされた人工ニューラルネットワークによって埋められて完成され得る。
【0027】
ANN114に提供される画像が、イメージングプラットフォーム108によって取得されるものとして説明されるが、他の実施形態においては、画像が、異なるイメージングプラットフォームによって提供され、ネットワーク104を介してANN114に提供されてもよい。例えば、トレーニング画像ペアおよび試料画像の両方がネットワークを介してサーバ106に提供されてもよく、次いで、ANN114の更新が試料画像のノイズを除去する前にトレーニング画像ペアを使用して実施されてもよい。トレーニング画像および試料画像を取得するために使用される取得パラメータである限り、イメージングに使用される荷電粒子システムは、ANN114と一緒に収容される必要はない。
【0028】
1つ以上の実施形態では、深層学習システムとも称され得るANN114は、機械学習コンピューティングシステムである。ANN114は、人工ニューロンと呼ばれる接続されたユニットまたはノードのコレクションを含む。各接続は、ある人工ニューロンから別のニューロンに信号を送信する。人工ニューロンは、層に集約されてもよい。異なる層は、入力に対して異なる種類の変換を実施してもよい。
【0029】
1つのタイプのANN114は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。CNNは、従来、3つのカラーチャネルにおけるピクセル強度を含む3つの2次元配列で構成されるカラー画像など、複数の配列の形式で到来するデータを処理するように設計されている。CNNの例示的なアーキテクチャは、一連の段階として構成される。最初の数段階は、畳み込み層とプーリング層の2つのタイプの層で構成され得る。畳み込み層は、入力に畳み込み演算を適用し、結果を次の層に渡す。畳み込みは、視覚刺激に対する個々のニューロンの応答をエミュレートする。プーリング層は、ある層のニューロンクラスターの出力を次の層の単一のニューロンに結合する。例えば、最大プーリングでは、前の層のニューロンのクラスターのそれぞれからの最大値を使用する。1つ以上の実施形態では、ANN114は、画像のノイズ除去および/また画像のスパース再構成などによって、画像を再構成するように構成されたCNNである。
【0030】
図2は、本開示の一実施形態による、画像のノイズを除去するための例示的な方法200である。方法200は、一部は荷電粒子顕微鏡システムによって、さらに一部は荷電粒子顕微鏡システムからデータを受信することができる1つ以上の処理コアによって実装され得る。システム100である例示的な荷電粒子顕微鏡システム。当然ながら、他の荷電粒子顕微鏡システムを使用することもできる。概して、方法200は、少数のトレーニング画像ペアに基づいて、ANN114などのANNを再トレーニングまたは更新し、次いで、再トレーニング/更新されたANNを使用して、試料画像の大きなデータセットをノイズ除去することができる。
【0031】
方法200は、処理ブロック201で開始することができ、これは、画像取得パラメータを設定することを含む。例えば、電子ビームのドウェル時間、電子ビームのランディングエネルギー、ビームのスポットサイズなどのような画像取得パラメータ。いくつかの実施形態では、ドウェル時間は、画像の品質に影響を与える最大の要因であり得、方法200で使用するために取得されたすべての画像で同じであるべきである。例えば、短い(例えば、0.3μ秒の)ドウェル時間は、画像取得中に発生するドリフトを限定するか低減するのを助け、画像取得処理をさらに高速化する。ドリフトを限定することで、根本的な画像信号、例えば、ノイズのない画像を、同じ場所の画像でも同じに維持するのを助け、画像取得処理の速度が増加すると、データの取得が速くなり、繊細な試料の場合は、試料の損傷がさらに限定される場合がある。
【0032】
処理ブロック201の後に、トレーニング画像ペアを取得することを含む処理ブロック205が続くことがある。トレーニング画像ペアは、試料の同じスポットの画像のペアである場合があり、各画像ペアの各画像は、異なるノイズを有するであろう。取得されるトレーニング画像ペアの数は、とりわけ、後で取得される試料画像の数に比べて比較的少ない場合があるが、取得される数は、ノイズ除去モデル、例えば、ANNを事前トレーニングするために使用される画像ノイズの類似性の影響も受ける場合がある。
【0033】
方法200は、事前トレーニングされたノイズ除去器を提供することを含む処理ブロック203をさらに含む。このブロックの性能は、処理ブロック201および205と平行して、当該ブロックの前、または当該ブロックの後に実施され得る。事前トレーニングされたノイズ除去器モデルは、画像のノイズを除去するようにトレーニングされたANN114などの事前トレーニングされたANNである。概して、事前トレーニングは、任意のノイズのある画像を使用して行うことができ、処理ブロック205の同じ試料タイプの画像のものである必要はなく、さらに同じタイプのノイズを有する必要もない。しかしながら、ノイズに関して、トレーニング画像が処理ブロック205で取得されたものにより類似しているほど、ノイズ除去器の再トレーニングまたは更新がより迅速になる可能性がある。
【0034】
処理ブロック203の後に、トレーニング画像ペアを使用してノイズ除去器を更新することを含む、処理ブロック207が続くことがある。ノイズ除去器、すなわち、ANN114は、試料画像に含まれるであろうノイズと同様のノイズを有する画像を使用して更新される。試料画像のノイズと同様のノイズを有する画像でノイズ除去器を更新することにより、ノイズ除去は、見返りとして、クリーンな画像、例えば、ノイズが低減された画像をより確実に提供する。さらに、各トレーニング画像ペアは同じスポットのものであり、ノイズのためにのみ異なるため、ノイズ除去器は、ノイズを学習し、画像の残部に影響を与えることなく、ノイズをより取り除くことができる。
【0035】
方法200は、試料画像の大きなデータセットを取得することを含む、処理ブロック209をさらに含む。試料画像は、試料画像が同様のノイズを含むことを保証するために、トレーニング画像ペアを取得するために使用されるものと同じ取得パラメータを使用して取得されるべきである。処理ブロック209は、処理ブロック203~207の前、後、または当該ブロックに並行してなど、処理ブロック201が実施された後の任意の時間に実施され得る。試料画像の大きなデータセットは、トレーニング画像ペアを得るために使用されたものと同じ試料のものであるが、試料のはるかに大きい面積または体積を網羅するであろう。概して、試料画像の数は、トレーニング画像ペアの数よりも実質的に多くなる。例えば、試料画像の数は、容易に1万画像を超える可能性があり、テラバイトのデータをもたらす。
【0036】
処理ブロック209および207の後に、更新されたノイズ検出器を使用して試料画像をノイズ除去することを含む、処理ブロック211が続くことがある。ノイズ除去器、例えば、ANNを使用した試料画像のノイズ除去が、荷電粒子顕微鏡に結合されたANNによって試料画像が得られるときに行われてもよいし、画像のノイズ除去が、試料画像およびANNにアクセスするように結合されたユーザのデスクトップコンピュータで実施されてもよい。
【0037】
図3は、本開示の一実施形態による、スパース画像再構成のための例示的な方法300である。方法300は、システム100などの荷電粒子顕微鏡システムによって、または荷電粒子顕微鏡システムから画像を受信するように結合された1つ以上のコンピューティング環境によって実装され得る。概して、方法300は、スパース画像を再構成して完全な画像を提供することができる。例えば、情報を有する10~20%のピクセルを含む画像は、試料の情報を有するピクセルの100%を完全に提供するように再構成され得る。
【0038】
加えて、方法300は、方法200で論じられるように、画像のノイズを除去するために用いられる同様の技術を使用して、ANN114などのANNによって実装され得る。スパース再構成では、方法200のものと同様のトレーニングされたANNを使用し、方法200および300で使用されるトレーニングされた画像ペアの間にはわずかな違いしかない。
【0039】
方法300は、試料のスパース再構成トレーニング画像ペアを取得することを含む、処理ブロック301で開始し得る。スパース再構成トレーニング画像ペアは、試料の重複するスポットの画像のペアであるが、完全に同じスポットのものではない。各ペアは重複面積と非重複面積とを有するべきであり、その結果、ANNは、画像からスパースなまたは存在しない面積を埋めるようにトレーニングされる。例えば、トレーニングペアのうちの一方の画像はピクセル1、3、および5のデータを含むことができ、トレーニングペアのうちの他方の画像はピクセル2、4、および5のデータを含むことができる。代替的または追加的に、トレーニング画像ペアは、試料上の同じスポットのものであるが、トレーニングペアの各写真は、ピクセルの重複がないように、そのスポットの画像とは異なるピクセルの混合を使用し/含む。方法200のように、スパーストレーニング画像ペアの数は、とりわけ、試料画像の数と比較して、少なくてもよい。
【0040】
処理ブロック301の後に、スパーストレーニング画像ペアを使用して人工ニューラルネットワーク更新することを含む、処理ブロック303が続くことがある。トレーニングペアは、スパース再構成のために更新されように、事前トレーニングされたANNに提供されるであろう。事前トレーニングされたANNは、画像を再構成するように部分的にトレーニングされてもよく、例えば、スパース画像および関連付けられた完全な画像を使用してトレーニングされてもよい。
【0041】
処理ブロック303の後に、試料のスパース試料画像の大きなデータセットを取得することを含む、処理ブロック305が続くことがある。スパース画像は、トレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じパラメータを使用して取得され得る。処理ブロックは、処理ブロック303の後に実施されるように示されているが、他の実施形態では、処理ブロック305を処理ブロック303の前またはそれと並行して実施することができる。
【0042】
処理ブロック305の後に、更新された人工ニューラルネットワークを使用して試料画像を再構成することを含む、処理ブロック307が続くことがある。更新されたANNは、欠けているデータを決定し、それを関連付けられた出力画像と共に含めることによって、スパース画像を再構成する。
【0043】
図4は、本開示の一実施形態による、画像のノイズ除去を示す例示的な画像シーケンス400である。画像シーケンス400は、更新されたノイズ除去器によって提供される、トレーニング画像ペアおよび関連付けられたノイズ除去された画像を含む。画像402および404は、試料の同じ場所の例示的なノイズのある画像、例えば、トレーニング画像ペアであり、方法200の処理ブロック207などにおいて、ノイズ除去器を更新する際に使用される。画像406は、更新されたノイズ除去器によってノイズ除去された同じ場所のノイズ除去された画像の例である。例示的な画像406は一部の面積ではぼやけているが、全体的な画像は、画像402および404に示されるノイズよりもはるかに少ないノイズを含む。
【0044】
図5は、本開示の一実施形態による、スパース再構成を示す例示的な画像シーケンス500である。画像502は、試料のスパース画像であり、試料画像の大きなデータセットおよび/またはトレーニング画像ペアのうちの1つの画像の一部であり得る。対照的に、画像504は、方法300の処理ブロック307などによって、トレーニングされたANNによって提供される再構成画像である。
【0045】
一実施形態によれば、本明細書に記載される技術は、1つ以上の専用のコンピューティングデバイスによって実装される。専用のコンピューティングデバイスは、技術を実施するために、ハードワイヤードであるか、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはネットワーク処理ユニット(NPU)などのデジタル電子デバイスを含む場合があり、技術を実行するために、永続的にプログラムされているか、ファームウェア、メモリ、他のストレージ、または組み合わせのプログラム命令に従って技術を実行するようにプログラムされている1つ以上の汎用ハードウェアプロセッサまたはグラフィック処理ユニット(GPU)を含む場合がある。このような専用のコンピューティングデバイスは、カスタムハードワイヤードロジック、ASIC、FPGA、またはNPUとカスタムプログラミングを組み合わせて、技術を実現することもできる。専用のコンピューティングデバイスは、デスクトップコンピューターシステム、ポータブルコンピューターシステム、携帯用デバイス、ネットワークデバイス、または技術を実装するためのハードワイヤードおよび/またはプログラムロジックを組み込む他のデバイスとすることができる。
【0046】
例えば、図6は、本発明の一実施形態が実装され得るコンピュータシステム600を示すブロック図である。コンピューティングシステム600は、コントローラ112、イメージングプラットフォーム108、試料調製プラットフォーム110、および/またはサーバ106などの、CPM環境102に含まれるコンピューティングハードウェアの一例であり得る。加えて、コンピュータシステム600を使用して、ANN114などの、本明細書に開示される1つ以上のニューラルネットワークを実装することができる。コンピュータシステム600は、少なくとも、情報を通信するためのバス640または他の通信機構と、情報を処理するためにバス640と結合されたハードウェアプロセッサ642とを含む。ハードウェアプロセッサ642は、例えば、汎用マイクロプロセッサであり得る。コンピューティングシステム600を使用して、方法200および300などの、本明細書に開示される方法および技術を実装することができる。
【0047】
コンピュータシステム600はまた、プロセッサ642によって実行される情報および命令を記憶するためにバス640に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスなどのメインメモリ644を含む。メインメモリ644は、プロセッサ642によって実行される命令の実行中、一時的変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。そのような命令は、プロセッサ642にアクセス可能な非一時的記憶媒体に記憶されると、コンピュータシステム600を、命令で指定された動作を実施するようにカスタマイズされた専用マシンにする。
【0048】
コンピュータシステム600は、静的情報およびプロセッサ642に対する命令を記憶するために、バス640に結合された読み取り専用メモリ(ROM)646または他の静的記憶デバイスをさらに含む。磁気ディスクまたは光学ディスクなどの記憶デバイス648が提供され、情報および命令を記憶するためにバス640に結合されている。
【0049】
コンピュータシステム600は、コンピュータユーザに情報を表示するために、陰極線管(CRT)などのディスプレイ650にバス640を介して結合され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス652が、プロセッサ642に情報およびコマンド選択を通信するためにバス640に結合されている。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ642に通信し、ディスプレイ650上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御654である。この入力デバイスは一般的に、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする、二つの軸、すなわち、第1の軸(例えば「x」)および第2の軸(例えば「y」)における二方向の自由度を有する。
【0050】
コンピュータシステム600は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASICもしくはFPGA、ファームウェア、および/またはコンピュータシステムと組み合わせてコンピュータシステム600を専用マシンにするかもしくはそのようにプログラムするプログラムロジックを使用して、本明細書に記載の技術を実装してもよい。一実施形態によれば、本明細書の技術は、メインメモリ644に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ642に応答して、コンピュータシステム600によって実施される。そのような命令は、記憶デバイス648などの別の記憶媒体からメインメモリ644に読み込まれてもよい。メインメモリ644に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ642は、本明細書に記載される処理ステップを実施する。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用してもよい。
【0051】
本明細書で使用される「記憶媒体(storage media)」という用語は、機械を特定の方法で動作させるデータおよび/または命令を記憶する任意の非一時的媒体を指す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス648のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ644のような動的メモリを含む。記憶媒体の一般的な形式は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、または他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の光学データ記憶媒体、物理穴のパターンを持つ媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、NVRAM、他のメモリチップ若しくはカートリッジ、連想メモリ(CAM)、および三値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0052】
記憶媒体は、伝送媒体とは異なるが、伝送媒体と組み合わせて使用してもよい。伝送媒体は、記憶媒体間の情報の転送に関与する。例えば、伝送媒体には、バス640を含むワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバが含まれる。伝送媒体は、電波および赤外線データ通信中に生成されるものなど、音響波または光波の形を取ることもできる。
【0053】
様々な形態の媒体が、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行のためにプロセッサ642に搬送するのに関与してもよい。例えば、命令は、最初は遠隔コンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリにロードして、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信することができる。コンピュータシステム600に対してローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信して、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器が、赤外線信号内で搬送されているデータを受信することができ、適切な回路が、データをバス640上に置くことができる。バス640は、データをメインメモリ644に搬送し、プロセッサ642は、そこから命令を取り出し実行する。メインメモリ644によって受信される命令は任意選択的に、プロセッサ642による実行の前または後のいずれかに、記憶デバイス648に記憶されてもよい。
【0054】
コンピュータシステム600は、バス640に結合された通信インターフェース656も含む。通信インターフェース656は、ローカルネットワーク660に接続されたネットワークリンク658に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース656は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、または対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するモデムであり得る。別の例として、通信インターフェース656は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクの実装であってもよい。そのような実装では、通信インターフェース656は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを運ぶ電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0055】
ネットワークリンク658は通常、1つ以上のネットワークを介して他のデータデバイスへのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク658は、ローカルネットワーク660を介して、ホストコンピュータ662またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)664によって運用されるデータ機器への接続を提供することができる。また、ISP664は、現在一般的に「インターネット」666と称される世界的なパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク660およびインターネット666は両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を使用する。コンピュータシステム600との間でデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号ならびにネットワークリンク658上の信号および通信インターフェース656を通る信号は、伝送媒体の例示的な形態である。
【0056】
コンピュータシステム600は、ネットワーク(複数可)、ネットワークリンク658、および通信インターフェース656を介して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ668は、インターネット666、ISP664、ローカルネットワーク660、および通信インターフェース656を介して、アプリケーションプログラムのために要求されたコードを送信し得る。
【0057】
受信されたコードは、受信されたときにプロセッサ642によって実行されてもよく、かつ/または後で実行するために記憶デバイス648もしくは他の不揮発性記憶デバイスに記憶されてもよい。
【0058】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低(lowest)」、「最良(best)」、「最小(minimum)」などと称される。そのような記載は、多くの使用された機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも優れている(better)、小さい(smaller)、または他の点で望ましい(otherwise preferable)必要はないことが理解されよう。加えて、選択された値は、数値的または他の近似的手段によって得られてもよく、単に理論的に正しい/値に対する近似値であってもよい。
【0059】
[付記1]
荷電粒子画像のノイズを除去するための方法であって、前記方法は、
試料の複数のトレーニング画像ペアを取得することであって、前記複数のトレーニング画像ペアの各々の各トレーニング画像が、前記試料の同じ場所の画像であり、前記複数のトレーニング画像ペアの各画像が、同じ取得パラメータを使用して取得される、取得することと、
前記複数のトレーニング画像ペアに基づいて、人工ニューラルネットワークを更新することと、
前記更新された人工ニューラルネットワークを使用して複数の試料画像のノイズを除去することと、を含み、
前記複数の試料画像は、前記複数のトレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じ取得パラメータを使用して取得される、方法。
[付記2]
前記複数のトレーニング画像ペアの各画像のノイズが、前記トレーニング画像ペアを取得するために使用される荷電粒子顕微鏡に特有のノイズである、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記取得パラメータが、前記トレーニング画像ペアを取得するために使用される前記荷電粒子顕微鏡に特有の前記ノイズに影響する、付記2に記載の方法。
[付記4]
前記取得パラメータが、少なくとも荷電粒子ビームのドウェル時間を含む、付記3に記載の方法。
[付記5]
前記複数のトレーニング画像ペアの各画像のノイズが、前記複数の試料画像の各画像のノイズと同様である、付記1に記載の方法。
[付記6]
前記複数のトレーニング画像ペアに基づいて人工ニューラルネットワークを更新することが、前記複数のトレーニング画像ペアおよび前記複数の試料画像を取得するために使用される荷電粒子顕微鏡に特有のノイズに基づいて前記人工ニューラルネットワークを更新することを含む、付記1に記載の方法。
[付記7]
前記複数の試料画像を取得することをさらに含み、前記試料画像が、前記複数のトレーニング画像ペアが網羅するよりも広い前記試料の面積を網羅する、付記1に記載の方法。
[付記8]
事前トレーニングされた人工ニューラルネットワークを提供することをさらに含み、前記事前トレーニングされた人工ニューラルネットワークが、前記複数のトレーニングペアまたは前記複数の試料画像のいずれかのものと同様のノイズを有する画像ではトレーニングされない、付記1に記載の方法。
[付記9]
前記複数のトレーニング画像ペアの画像の数が、前記複数の試料画像の画像の数より少ない、付記1に記載の方法。
[付記10]
前記複数のトレーニング画像ペアが、前記試料上の異なる場所のスポット画像を含む、付記1に記載の方法。
[付記11]
システムであって、
荷電粒子顕微鏡イメージングプラットフォームと、
前記荷電粒子顕微鏡イメージングプラットフォームを制御するように少なくとも結合されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、コードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体に結合され、前記コードが、前記コントローラによって実行されると、前記システムに、
試料の複数のトレーニング画像ペアを取得することであって、前記複数のトレーニング画像ペアの各々の各トレーニング画像が、試料の同じ場所の画像であり、前記複数のトレーニング画像ペアの各画像が、同じ取得パラメータを使用して取得される、取得することと、
前記複数のトレーニング画像ペアに基づいて人工ニューラルネットワークを更新することであって、前記人工ニューラルネットワークが、前記システムと共に含まれるか、または前記システムに結合される、更新することと、
前記更新された人工ニューラルネットワークを使用して複数の試料画像のノイズを除去することと、を行わせ、
前記複数の試料画像が、前記複数のトレーニング画像ペアを取得するために使用されるのと同じ取得パラメータを使用して取得される、システム。
[付記12]
前記複数のトレーニング画像ペアの各画像のノイズが、前記トレーニング画像ペアを取得するために使用される荷電粒子顕微鏡に特有のノイズである、付記11に記載のシステム。
[付記13]
前記取得パラメータが、前記トレーニング画像ペアを取得するために使用される前記荷電粒子顕微鏡に特有の前記ノイズに影響する、付記12に記載のシステム。
[付記14]
前記取得パラメータが、少なくとも荷電粒子ビームのドウェル時間を含む、付記13に記載のシステム。
[付記15]
前記複数のトレーニング画像ペアの各画像のノイズが、前記複数の試料画像の各画像のノイズと同様である、付記11に記載のシステム。
[付記16]
前記複数のトレーニング画像ペアに基づいて人工ニューラルネットワークを更新することが、前記複数のトレーニング画像ペアおよび前記複数の試料画像を取得するために使用される荷電粒子顕微鏡に特有のノイズに基づいて前記人工ニューラルネットワークを更新することを含む、付記11に記載のシステム。
[付記17]
前記コンピュータ可読媒体が、コードであって、前記コードが、前記コントローラによって実行されると、前記システムに、前記複数の試料画像を取得させ、前記試料画像が、前記複数のトレーニング画像ペアが網羅するよりも広い前記試料の面積を網羅する、コードをさらに含む、付記11に記載のシステム。
[付記18]
前記コンピュータ可読媒体が、コードであって、前記コードが、前記コントローラによって実行されると、前記システムに、事前トレーニングされた人工ニューラルネットワークを提供させ、前記事前トレーニングされた人工ニューラルネットワークが、前記複数のトレーニングペアまたは前記複数の試料画像のいずれかのものと同様のノイズを有する画像ではトレーニングされない、コードをさらに含む、付記11に記載のシステム。
[付記19]
前記複数のトレーニング画像ペアの画像の数が、前記複数の試料画像の画像の数より少ない、付記11に記載のシステム。
[付記20]
前記複数のトレーニング画像ペアが、前記試料上の異なる場所のスポット画像を含む、付記11に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】