(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117046
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】成膜装置及び成膜装置の処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20230816BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019519
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】波多野 達夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 秀俊
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA09
4K030BA37
4K030GA05
4K030KA02
4K030KA23
4K030KA30
5F045AA03
5F045AB06
5F045AC01
5F045AC02
5F045AC07
5F045AC13
5F045AC15
5F045AC17
5F045AD18
5F045BB15
5F045DP04
5F045DQ06
5F045EB03
5F045EB06
5F045EB10
5F045EC02
5F045EC05
5F045EK03
5F045EK21
5F045EM09
(57)【要約】
【課題】生成物の壁面への付着を抑制する成膜装置及び成膜装置の処理方法を提供する。
【解決手段】カーボン筒と、前記カーボン筒を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記カーボン筒の内部空間に配置され、基板を保持するホルダと、前記ホルダを回転させるホルダ回転駆動部と、前記カーボン筒を回転させる筒体回転駆動部と、を備える、成膜装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボン筒と、
前記カーボン筒を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
前記カーボン筒の内部空間に配置され、基板を保持するホルダと、
前記ホルダを回転させるホルダ回転駆動部と、
前記カーボン筒を回転させる筒体回転駆動部と、を備える、
成膜装置。
【請求項2】
前記ホルダが回転する回転軸と前記カーボン筒が回転する回転軸とは直交する、
請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記カーボン筒の内部空間を区画する仕切り板を備える、
請求項1または請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記カーボン筒の外周側に配置されるマグネットを備える、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記マグネットを前記カーボン筒の軸方向に駆動するマグネット駆動部を備える、
請求項4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記カーボン筒と誘導加熱コイルとの間に石英筒を更に備える、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
カーボン筒と、前記カーボン筒を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記カーボン筒の内部空間に配置され、基板を保持するホルダと、前記ホルダを回転させるホルダ回転駆動部と、前記カーボン筒を回転させる筒体回転駆動部と、を備える、成膜装置の処理方法であって、
前記カーボン筒の内部空間に処理ガスを供給して前記基板に成膜処理を施す際、前記カーボン筒を回転させる、成膜装置の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成膜装置及び成膜装置の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウエハを保持する回転ステージと、回転ステージをその内部空間に収容するよう構成されたサセプタと、内部空間において、回転ステージの外側から前記中心軸線に対して直交する方向に沿った処理ガスの流れを形成するよう構成されたガス供給機構と、サセプタを収容する容器と、を備える成膜装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、生成物の壁面への付着を抑制する成膜装置及び成膜装置の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る成膜装置は、カーボン筒と、前記カーボン筒を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記カーボン筒の内部空間に配置され、基板を保持するホルダと、前記ホルダを回転させるホルダ回転駆動部と、前記カーボン筒を回転させる筒体回転駆動部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、生成物の壁面への付着を抑制する成膜装置及び成膜装置の処理方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る成膜装置の特徴的な構成を示す斜視図の一例。
【
図2】一実施形態に係る成膜装置を軸方向に見た特徴的な構成を示す模式図の一例。
【
図3】一実施形態に係る成膜装置の断面模式図の一例。
【
図4】一実施形態に係る成膜装置の一部を部分拡大した断面模式図の一例。
【
図5】成膜プロセスにおける成膜装置の断面模式図の一例。
【
図6】クリーニングプロセスにおける成膜装置の断面模式図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
<成膜装置1>
一実施形態に係る成膜装置1の一例について、
図1から
図4を用いて説明する。
図1は、一実施形態に係る成膜装置1の特徴的な構成を示す斜視図の一例である。
図2は、一実施形態に係る成膜装置1を軸方向に見た特徴的な構成を示す模式図の一例である。
図3は、一実施形態に係る成膜装置1の断面模式図の一例である。
図4は、一実施形態に係る成膜装置1の二点鎖線Aで示す一部を部分拡大した断面模式図の一例である。なお、成膜装置1は、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)装置であって、ウエハ(基板)WにSiC膜を成膜する成膜装置であるものとして説明する。
【0010】
容器10は、例えばSUS(ステンレス)で形成され、中心軸を水平とする円筒形状を有する。容器10の軸方向の一端の側壁には、ウエハWを搬入又は搬出するための搬入出口11が形成されている。搬入出口11は、ゲートバルブ12により開閉される。また、容器10の軸方向の他端の側には、排気路13が設けられている。排気路13には、排気装置(図示せず)が接続される。これにより、容器10内の圧力は所望の圧力に調整される。
【0011】
成膜装置1は、処理ガス供給部14及びクリーニングガス供給部15を備えている。
【0012】
処理ガス供給部14は、容器10内(
図2に示すカーボン筒21内の上側空間101)にサイドフロー方式で処理ガスを供給する。処理ガスは、ウエハWにSiC膜を成膜する際に用いられるガスであり、例えば、H
2、SiH
4、C
3H
8、C
2H
2、N
2、HCl、Ar、Ne、He等の混合ガスを用いることができる。
【0013】
クリーニングガス供給部15は、容器10内(
図2に示すカーボン筒21内の下側空間102)にサイドフロー方式でクリーニングガスを供給する。クリーニングガスは、カーボン筒21の内壁面に付着した生成物をクリーニングする際に用いられるガスであり、例えば、NF
3、ClF
3、F
2、HF、Cl
2等の混合ガスを用いることができる。
【0014】
また、成膜装置1は、カーボン筒21と、石英筒22と、誘導加熱コイル23と、筒体回転駆動部24と、を備える。カーボン筒21は、容器10と同様に、中心軸21Cを水平とする円筒形状を有する。カーボン筒21の径方向外側には、石英筒22が設けられる。石英筒22は、中心軸21Cを水平とする円筒形状を有する。石英筒22の径方向外側には、誘導加熱コイル23が設けられる。誘導加熱コイル23は、高周波電源(図示せず)に接続されている。高周波電源からの高周波電力が誘導加熱コイル23に供給されると、カーボン筒21が誘導加熱によって加熱される。
【0015】
筒体回転駆動部24は、中心軸21Cを回転軸として、カーボン筒21及び石英筒22を回転させる。筒体回転駆動部24は、支持部25と、磁性流体シール26と、DDモータ27と、支持部28と、磁性流体シール29と、を備える。
【0016】
支持部25は、カーボン筒21及び石英筒22の一端側を支持する。支持部25は、Al2O3等の断熱性を有する絶縁材料で形成される。
【0017】
磁性流体シール26は、ロータ26aとステータ26bと、磁性流体26cと、ベアリング26dとを有する。ロータ26aは、支持部25と固定される。また、ロータ26aは、ベアリング26dを介してステータ26bに回転自在に支持される。ステータ26bは、容器10と固定される。ロータ26aとステータ26bとの間には、磁性流体26cが設けられ、ロータ26aとステータ26bとの間をシールする。
【0018】
DD(ダイレクトドライブ)モータ27は、ロータ27aと、ステータ27bと、ベアリング27cとを有する。ロータ27aは、磁性流体シール26のロータ26aを介して、支持部25と固定される。また、ロータ27aは、ベアリング27cを介してステータ27bに回転自在に支持される。ステータ27bは、容器10と固定される。
【0019】
支持部28は、石英筒22の他端側を支持する。支持部28は、Al2O3等の断熱性を有する絶縁材料で形成される。これにより、石英筒22の他端側において、カーボン筒21と石英筒22との間の空間が開口している。
【0020】
磁性流体シール29は、ロータとステータとの間を磁性材料でシールするとともに、支持部28を回転自在に支持する。
【0021】
このような構成により、筒体回転駆動部24は、DDモータ27を駆動させることにより、回転自在に支持されたカーボン筒21及び石英筒22を一体として、回転させることができる。
【0022】
また、ステータ26bと容器10との間には、シール部材61が設けられる。また、ロータ26aと支持部25との間には、シール部材62が設けられる。また、支持部25と石英筒22との間には、シール部材63が設けられる。これにより、処理ガスまたはクリーニングガスが供給される石英筒22の内側の空間と、誘導加熱コイル23が配置される石英筒22の外側の空間とが隔離される。即ち、誘導加熱コイル23は、処理ガス及びクリーニングガスから保護される。
【0023】
カーボン筒21内部の空間は、仕切り板41によって上下に区画されている。カーボン筒21内部の上側の空間には、ウエハWを保持するホルダ31が配置される。ホルダ31は、ホルダ回転駆動部32を介してホルダ支持部33に支持される。ホルダ回転駆動部32は回転軸31Cでホルダ31を回転させる機能を有する。また、ホルダ31が回転する回転軸31Cとカーボン筒21が回転する回転軸(中心軸21C)とは直交するように配置される。
【0024】
仕切り板41は、例えば、カーボン等の導電性材料で形成される。また、仕切り板41は、高周波電源42と接続される。高周波電源42は、カーボン筒21内部の下側空間102(
図2参照)にプラズマを生成する際、仕切り板41に電力を供給する。
【0025】
成膜装置1は、マグネット51と、マグネット駆動部52と、を有する。
【0026】
マグネット51は、磁場を形成する。後述するプラズマ100(
図6参照)を生成する際、電子がマグネット51の磁場に捕獲され、低パワーでプラズマを維持することができる。また、マグネット51を設けることにより、プラズマ100を生成する領域を制御することができる。
【0027】
マグネット駆動部52は、カーボン筒21と石英筒22との間の空間にマグネット51を挿入(後述する
図6参照)し、カーボン筒21と石英筒22との間の空間からマグネット51を退避(後述する
図5参照)することができる。
【0028】
制御部60は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、成膜装置1の動作を制御する。制御部60は、成膜装置1の内部に設けられていてもよく、外部に設けられていてもよい。制御部60が成膜装置1の外部に設けられている場合、制御部60は、有線又は無線等の通信手段によって、成膜装置1を制御できる。
【0029】
<成膜プロセス>
次に、成膜プロセスにおける成膜装置1の一例について、
図5を用いて説明する。
図5は、成膜プロセスにおける成膜装置1の断面模式図の一例である。
【0030】
成膜プロセスにおいて、容器10内は、排気路13と接続する排気装置(図示せず)によって排気され、所定の真空雰囲気に減圧されている。また、ホルダ31は、ウエハWを保持している。また、マグネット51は、カーボン筒21と石英筒22との間から退避している。
【0031】
制御部60は、加熱用の高周波電源(図示せず)を制御して、誘導加熱コイル23に高周波電力を供給する。これにより、カーボン筒21が誘導加熱によって加熱される。また、カーボン筒21内に設けられた、ホルダ31に保持されるウエハWが所望の温度(例えば1500℃)に加熱される。
【0032】
制御部60は、処理ガス供給部14を制御して、処理ガスを容器10内に供給する。これにより、ウエハWにSiC膜が成膜される。また、カーボン筒21の内周面に生成物が付着する。
【0033】
ここで、カーボン筒21内は、仕切り板41によって上下に区画され、処理ガス供給部14は、ホルダ31が設けられる上側の空間に処理ガスを供給する。これにより、カーボン筒21内の下側の空間において、カーボン筒21の内周面に生成物が付着することを抑制することができる。
【0034】
また、成膜プロセスにおいて、制御部60は、筒体回転駆動部24(DDモータ27)を制御して、カーボン筒21及び石英筒22を回転させる。これにより、カーボン筒21の内周面に付着する生成物を周方向に分散させることができる。また、カーボン筒21の内周面から剥離した生成物がウエハWに付着することを防止することができる。
【0035】
なお、制御部60は、成膜プロセスにおいて、カーボン筒21及び石英筒22を回転させるものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、間欠的にカーボン筒21及び石英筒22を回転させる構成であってもよい。例えば、ウエハWの成膜処理が終了する毎にカーボン筒21及び石英筒22を所定角度回転させる構成であってもよい。この構成においても、カーボン筒21の内周面に付着する生成物を周方向に分散させることができる。また、カーボン筒21の内周面から剥離した生成物がウエハWに付着することを防止することができる。
【0036】
また、成膜プロセスにおいて、マグネット51をカーボン筒21から遠ざけて、退避させることができる。これにより、マグネット51がカーボン筒21によって加熱され熱消磁することを防止することができる。
【0037】
<クリーニングプロセス>
次に、クリーニングプロセスにおける成膜装置1の一例について、
図6を用いて説明する。
図6は、クリーニングプロセスにおける成膜装置1の断面模式図の一例である。
【0038】
クリーニングプロセスにおいて、容器10内は、排気路13と接続する排気装置(図示せず)によって排気され、所定の真空雰囲気に減圧されている。また、ホルダ31は、ウエハWを保持していない。また、マグネット51は、カーボン筒21と石英筒22との間に配置される。
【0039】
制御部60は、クリーニングガス供給部15を制御して、クリーニングガスを容器10内に供給する。また、制御部60は、プラズマ生成用の高周波電源42を制御して、仕切り板41に高周波電力を供給する。これにより、カーボン筒21内の下側の空間にクリーニングガスのプラズマ100が生成される。クリーニングガスのプラズマ100により、カーボン筒21の内壁面に付着した生成物が除去される。
【0040】
また、制御部60は、筒体回転駆動部24(DDモータ27)を制御して、カーボン筒21を回転させることにより、カーボン筒21の内壁面を周方向にクリーニングすることができる。また、制御部60は、マグネット駆動部52を制御して、マグネット51をカーボン筒21の軸方向に移動させることにより、プラズマ100の生成位置を軸方向に移動させることができる。これにより、カーボン筒21の内壁面全体を好適にクリーニングすることができる。
【0041】
なお、成膜装置1の動作の一例として、成膜プロセス及びクリーニングプロセスを例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、成膜プロセスと同時にクリーニングプロセスを行ってもよい。
【0042】
以上、成膜装置1について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0043】
W ウエハ
1 成膜装置
10 容器
11 搬入出口
12 ゲートバルブ
13 排気路
14 処理ガス供給部
15 クリーニングガス供給部
21 カーボン筒
21C 中心軸
22 石英筒
23 誘導加熱コイル
24 筒体回転駆動部
25 支持部
26 磁性流体シール
27 DDモータ
28 支持部
29 磁性流体シール
31 ホルダ
31C 回転軸
32 ホルダ回転駆動部
33 ホルダ支持部
41 仕切り板
42 高周波電源
51 マグネット
52 マグネット駆動部
60 制御部
100 プラズマ