IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 古河AS株式会社の特許一覧

特開2023-117696コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス
<>
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図1
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図2
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図3
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図4
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図5
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図6
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図7
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図8
  • 特開-コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117696
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】コルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、及び、コルゲート付ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230817BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20230817BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H02G3/04 068
H02G3/06
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020400
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】大口 修平
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB02
3H024AC03
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD10
5G357DD12
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】小径コルゲートチューブとの連結部分から導出されるワイヤーハーネスを保護できるコルゲートチューブ及びコルゲートチューブ連結体を提供すること。
【解決手段】周方向に沿う凸状の第一外周凸部21と、周方向に沿う凹状の第一外周凹部22とが軸方向Lに交互に配置された筒状の第一コルゲート20は、周方向の一部を軸方向Lに沿って分断する波形スリット23が設けられている。そして、波形スリット23を形成する周方向の端部である第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25に、他方に向けて突出するとともに、周方向に向けて折り返された第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251と、軸方向Lの端部よりも内側において周方向に向けて窪ませて形成された第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252が備えられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に沿う凸状の外周凸部と、前記周方向に沿う凹状の外周凹部とが軸方向に交互に配置された筒状のコルゲートチューブであり、
前記周方向の一部を前記軸方向に沿って分断するスリットが設けられ、
該スリットを形成する前記周方向の端部であるスリット形成部のうち少なくとも一方に、
他方に向けて突出するとともに、前記周方向に向けて折り返された周方向凸部、及び、前記軸方向の端部よりも内側において前記周方向に向けて窪ませて形成された周方向凹部の少なくとも一方が備えられた
コルゲートチューブ。
【請求項2】
前記スリット形成部は、前記軸方向に沿って複数の前記周方向凸部が配置された波状であり、
前記スリット形成部における、前記周方向凸部同士の間を前記周方向凹部とした
請求項1に記載のコルゲートチューブ。
【請求項3】
前記周方向凸部及び前記周方向凹部が直線を折り返して形成された
請求項2に記載のコルゲートチューブ。
【請求項4】
前記周方向凸部及び前記周方向凹部が曲線状で形成された
請求項2に記載のコルゲートチューブ。
【請求項5】
前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の一方を一方側スリット形成部とし、
前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の他方は、前記一方側スリット形成部おける前記周方向凸部及び前記周方向凹部に対応して、前記周方向凹部及び前記周方向凸部が備えられた他方側スリット形成部である
請求項2乃至請求項4のうちいずれかに記載のコルゲートチューブ。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のうちいずれかに記載のコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブより小径な小径コルゲートチューブとが備えられ、
前記コルゲートチューブの端部に、前記小径コルゲートチューブの端部が挿通され、
前記コルゲートチューブにおいて前記小径コルゲートチューブが挿通された側の端部が、前記スリットで分離された周方向の一部を径方向に重ね合わせて、前記小径コルゲートチューブの外周に沿って縮径された
コルゲートチューブ連結体。
【請求項7】
前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の一方を一方側スリット形成部とし、
前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の他方は、前記一方側スリット形成部おける前記周方向凸部及び前記周方向凹部に対応して、前記周方向凹部及び前記周方向凸部が備えられた他方側スリット形成部とし、
前記コルゲートチューブの径方向に重ね合わせて縮径した縮径部分における縮径開始点は、
前記一方側スリット形成部及び前記他方側スリット形成部の前記周方向凸部同士が軸方向に係止した
請求項6に記載のコルゲートチューブ連結体。
【請求項8】
前記コルゲートチューブの径方向に重ね合わせて縮径した縮径部分と、前記小径コルゲートチューブとを跨いでテープ巻き固定された
請求項6又は請求項7に記載のコルゲートチューブ連結体。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のうちのいずれかに記載のコルゲートチューブ連結体と、
前記コルゲートチューブ連結体の内部に挿通されたワイヤーハーネスとで構成された
コルゲート付ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、内部に挿通させた電線を保護するコルゲートチューブ、コルゲートチューブ連結体、コルゲート付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の内部に配索されるワイヤーハーネスを中空状の保護部材の内部に挿通させることで、ワイヤーハーネスが他部材と干渉することを防止することがあった。このような保護部材の一例として、周方向に沿う凸部と周方向に沿う凹部とが軸方向に沿って交互に配置された筒状のコルゲートチューブがある。
【0003】
近年、多種多様な電気機器類が車両に搭載されることから、車両におけるワイヤーハーネスの配索も複雑になっている。例えば、分岐などにより外径が変化するワイヤーハーネスをコルゲートチューブで保護する場合、細径のワイヤーハーネスを挿通させたコルゲートチューブ(以下、小径コルゲートチューブとする。)を太径のワイヤーハーネスを挿通させたコルゲートチューブの内部に挿入し、コルゲートチューブと小径コルゲートチューブの境界部分を跨いで固定テープを巻き回して固定することがあった(特許文献1参照)。これにより、コルゲートチューブ及び小径コルゲートチューブとの境界部分においてワイヤーハーネスが露出することを防止し、ワイヤーハーネスを保護できるとされている。
【0004】
しかしながら、コルゲートチューブと小径コルゲートチューブとは外径が異なるため、境界部分に固定テープをテープ巻きしたとしても隙間が生じてしまい、隙間を介して内部に異物が浸入するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-29052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑み、小径コルゲートチューブとの連結部分からの異物の侵入を抑制できるコルゲートチューブ及びコルゲートチューブ連結体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、周方向に沿う凸状の外周凸部と、前記周方向に沿う凹状の外周凹部とが軸方向に交互に配置された筒状のコルゲートチューブであり、前記周方向の一部を前記軸方向に沿って分断するスリットが設けられ、該スリットを形成する前記周方向の端部であるスリット形成部のうち少なくとも一方に、他方に向けて突出するとともに、前記周方向に向けて折り返された周方向凸部、及び、前記軸方向の端部よりも内側において前記周方向に向けて窪ませて形成された周方向凹部の少なくとも一方が備えられたことを特徴とする。
【0008】
前記周方向凸部は、前記スリット形成部を基点として、他方の前記スリット形成部に向けて突出するとともに、周方向の一方側に向けて折り返された凸状に形成されている。なお、前記周方向凸部の軸方向に沿った長さは、前記コルゲートチューブの軸方向に沿った長さに比べて十分に短くなるように構成されていることが好ましい。
【0009】
前記周方向凸部は、前記スリット形成部の他方に向けて突出する凸状の形状に限定はなく、例えば、矩形状や円弧状、三角形状の凸状などを含む。なお、前記周方向凸部は、他方側の前記スリット形成部と部分的に重なっていてもよい。
【0010】
また、前記周方向凸部は、軸方向に沿って一つだけ設けられている場合や、軸方向に沿って複数設けられている場合を含む。
さらにまた、前記周方向凸部が軸方向に沿って複数設けられている場合、前記周方向凸部は、軸方向に沿って連続して設けられている場合、又は、所定の間隔を隔てて設けられている場合を含む。この場合において、軸方向に沿って複数設けられたそれぞれの前記周方向凸部の形状は同一でも異なっていてもよい。なお、前記周方向凸部が所定の間隔を隔てて複数設けられている場合には、前記周方向凸部同士の間隔が一定又は不規則である場合を含む。
【0011】
同様に、前記周方向凹部は、前記スリット形成部を基点として、他方の前記スリット形成部と離間する方向に窪んだ凹状に形成されている。すなわち、前記周方向凹部の底部を基点として、スリット形成部が他方に向けて突出するように構成されている。
【0012】
前記周方向凹部は、前記スリット形成部の他方側から離間する方に向けた凹状の形状に限定はなく、例えば、他方の前記スリット形成部と離間する方向に、矩形状や円弧状、三角形状などの窪ませた凹状を含む。
【0013】
また、前記周方向凹部は、軸方向に沿って一つだけ設けられている場合や、軸方向に沿って複数設けられている場合を含む。
さらにまた、前記周方向凹部が軸方向に沿って複数設けられている場合、前記周方向凹部は、軸方向に沿って連続して設けられている場合、又は、所定の間隔を隔てて設けられている場合を含む。この場合において、軸方向に沿って複数設けられたそれぞれの前記周方向凹部の形状は同一でも異なっていてもよい。また、前記周方向凹部が所定の間隔を隔てて複数設けられている場合には、前記周方向凹部同士の間隔が一定又は不規則である場合を含む。
【0014】
また、前記周方向凸部における軸方向に沿った幅は、基端側に対して先端側が同一であることが好ましく、基端側に対して先端側が先細りしていることがより好ましい。同様に、前記周方向凹部は、基端側である溝底側に対して先端側が同一となることが好ましく、基端側である溝底側に対して先端側が幅広となることがより好ましい。
なお、前記周方向凸部及び前記周方向凹部は、少なくとも、前記スリット形成部における軸方向の端部周辺にあることが好ましい。
【0015】
この発明によると、他方のスリット形成部の径方向の内側又は径方向の外側に、周方向凹部の軸方向の両側部分あるいは周方向凸部を容易に配置できる。すなわち、周方向凹部の軸方向両側部分又は周方向凸部を介して、容易にスリット形成部の一方を他方の径方向の内側又は径方向の外側に案内できる。このため、スリット形成部の一方を径方向の内側に巻き込む又は径方向の外側に容易に巻き回すことができる。
【0016】
これにより、例えば、小径コルゲートチューブが挿通されたコルゲートチューブの端部を縮径し、小径コルゲートチューブとの境界部分の隙間を減少させることができる。したがって、コルゲートチューブと小径コルゲートチューブとの連結部分からの異物の侵入を抑制できる。
【0017】
また、コルゲートチューブの端部を縮径することで、小径コルゲートチューブの外径とコルゲートチューブの外径とを略同じ径とすることができるため、境界部分をテープ巻きする場合に、テープ巻き作業をより効率よく行うことができるとともに、コルゲートチューブと小径コルゲートチューブとの境界部分の隙間をより確実に減少させることができる。
【0018】
さらにまた、略同径でテープ巻きすることができるため、車両などにコルゲート連結体に挿通させたワイヤーハーネスを配索した場合にも、ワイヤーハーネスの湾曲などにより、連結部分が曲げられたとしてもコルゲートチューブと小径コルゲートチューブとの境界部分に隙間が生じることを防止できる。
【0019】
この発明の態様として、前記スリット形成部は、前記軸方向に沿って複数の前記周方向凸部が配置された波状であり、前記スリット形成部における、前記周方向凸部同士の間を前記周方向凹部としてもよい。
【0020】
またこの発明は、上述のコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブより小径な小径コルゲートチューブとが備えられ、前記コルゲートチューブの端部に、前記小径コルゲートチューブの端部が挿通され、前記コルゲートチューブにおいて前記小径コルゲートチューブが挿通された側の端部が、前記スリットで分離された周方向の一部を径方向に重ね合わせて、前記小径コルゲートチューブの外周に沿って縮径されたコルゲートチューブ連結体である。
さらにまたこの発明は、上述のコルゲートチューブ連結体と、前記コルゲートチューブ連結体の内部に挿通されたワイヤーハーネスとで構成されたコルゲート付ワイヤーハーネスである。
【0021】
前記周方向凹部は、軸方向に沿って配置された前記周方向凸部と連続又は不連続である場合を含む。
前記小径コルゲートチューブは、単数又は複数の場合を含む。すなわち、前記コルゲートチューブの端部に、単数又は複数の前記小径コルゲートチューブが挿通されている場合を含む。
【0022】
この発明によると、複数の周方向凸部を他方のスリット形成部の径方向の内側又は径方向の外側に配置できるため、より確実にスリット形成部の一方を他方の径方向の内側に巻き込む又は径方向の外側に巻き回すことができる。このため、小径コルゲートチューブの端部が挿通されたコルゲートチューブの端部を、小径コルゲートチューブの外周に沿って容易かつ確実に縮径できる。したがって、コルゲートチューブと小径コルゲートチューブとの連結部分において、コルゲートチューブの端部から導出されるワイヤーハーネスを容易かつ確実に保護できる。
【0023】
また、軸方向に沿って複数の周方向凸部が配置された波状とすることで、縮径させる開始点において、他方のスリット形成部と周方向凸部とを軸方向に当接させることができる。このため、コルゲートチューブの端部を縮径させた場合に、開始点よりも縮径する側と反対側においてスリット形成部の一方が他方の内側又は外側に配置されることを抑制できる。したがって、縮径作業時に、小径コルゲートチューブ側と反対側が意図にせずに縮径されることを防止でき、コルゲートチューブの端部の縮径作業を効率よく行うことができる。
【0024】
さらに、例えば、軸方向における所定の位置において、小径コルゲートチューブを挿入する側にある周方向凸部を他方のスリット形成部の径方向の内側又は外側の片方側に配置するとともに、反対側にある周方向凸部を他方のスリット形成部のもう片方側に配置することで、所定の位置よりも小径コルゲートチューブ側のみを確実に縮径させることができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記周方向凸部及び前記周方向凹部が直線を折り返して形成されてもよい。
この発明によると、スリット形成部の一方側に設けられた周方向凸部及び前記周方向凹部が、スリット形成部の他方側の端部に突き当たることを抑制できるため、より容易に周方向凸部をスリット形成部の他方側の径方向の外側又は内側に案内することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記周方向凸部及び前記周方向凹部が曲線状で形成されてもよい。
この発明によると、縮径する過程において、スリット形成部の一方側に設けられた周方向凸部及び前記周方向凹部が、スリット形成部の他方側の端面に突き当たることを抑制できるため、より容易に周方向凸部をスリット形成部の他方側における径方向の外側又は内側に案内することができる。
【0027】
また、周方向凸部をスリット形成部の内側に案内し、小径コルゲートチューブを挿入した側の端部を縮径させたとしても、コルゲートチューブの内部を挿通するワイヤーハーネスが径方向の内側に配置された周方向凸部と干渉することを防止できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の一方を一方側スリット形成部とし、前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の他方は、前記一方側スリット形成部おける前記周方向凸部及び前記周方向凹部に対応して、前記周方向凹部及び前記周方向凸部が備えられた他方側スリット形成部であってもよい。
【0029】
この発明によると、一方側スリット形成部に設けられた周方向凸部を他方側スリット形成部の内側に、他方側スリット形成部に設けられた周方向凸部を一方側の外側に配置できるため、より容易かつ確実にコルゲートチューブの端部を縮径できる。したがって、コルゲートチューブを縮径する作業をより効率よく行うことができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の一方を一方側スリット形成部とし、前記スリットを形成する両側の前記スリット形成部の他方は、前記一方側スリット形成部おける前記周方向凸部及び前記周方向凹部に対応して、前記周方向凹部及び前記周方向凸部が備えられた他方側スリット形成部とし、前記コルゲートチューブの径方向に重ね合わせて縮径した縮径部分における縮径開始点は、前記一方側スリット形成部及び前記他方側スリット形成部の前記周方向凸部同士が軸方向に係止してもよい。
【0031】
この発明により、一方側スリット形成部に設けられた周方向凸部に対して他方側スリット形成部に設けられた周方向凹部が対応しているため、端部を縮径する場合に、一方側スリット形成部の周方向凸部が他方側スリット形成部と干渉することを抑制できるため、容易に縮径させることができる。
【0032】
また、一方側スリット形成部及び他方側スリット形成部に設けられた周方向凸部同士を係止させることができるため、縮径の開始点よりも小径コルゲートチューブを挿入した側と反対側において、スリット形成部の一方が他方の径方向の内側又は外側に巻き込まれることを抑制できる。したがって、開始点よりも反対側において、コルゲートチューブが意図せずに縮径することを防止できる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記コルゲートチューブの径方向に重ね合わせて縮径した縮径部分と、前記小径コルゲートチューブとを跨いでテープ巻き固定されてもよい。
この発明により、コルゲートチューブと小径コルゲートチューブとの相対位置を規制でき、コルゲートチューブと小径コルゲートチューブとが離脱することを防止できるとともに、より確実にコルゲートチューブと小径コルゲートチューブとの境界部分に隙間が生じることを防止できる。したがって、境界部分を挿通するワイヤーハーネスを確実に保護できる。
【発明の効果】
【0034】
この発明により、小径コルゲートチューブとの連結部分からの異物の侵入を抑制できるコルゲートチューブ及びコルゲートチューブ連結体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】コルゲートチューブ連結体の概略平面図。
図2】第一コルゲートの説明図。
図3】第二コルゲートの説明図。
図4】第一コルゲートと第二コルゲートの連結方法を説明する概略平面図。
図5】第一コルゲートと第二コルゲートの連結方法を説明する概略平面図。
図6】第一コルゲートと第二コルゲートの連結方法を説明する概略平面図。
図7】コルゲートチューブ連結体の概略端面図。
図8】コルゲートチューブ連結体の概略端面図。
図9】第一コルゲートの他の実施形態の概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施態を以下図面とともに説明する。
本実施形態のコルゲートチューブ付ワイヤーハーネス1は、長尺状のワイヤーハーネスWHの一部分を、第一コルゲート20と、第一コルゲート20と比べて内径が小さい第二コルゲート30とを連結するコルゲートチューブ連結体10の内部に挿通させた構造である。以下、コルゲートチューブ付ワイヤーハーネス1とコルゲートチューブ連結体10と第一コルゲート20について、図1乃至図8に基づいて説明する。
【0037】
図1はコルゲートチューブ付ワイヤーハーネス1の概略平面図を示し、図2及び図3は第一コルゲート20及び第二コルゲート30の構造を説明するための説明図を示す。詳述すると、図2(a)は第一コルゲート20の概略平面図を示し、図2(b)は第一コルゲート20の概略正面図を示し、図2(c)は図2(a)におけるα部の拡大概略平面図を示す。図3(a)は第二コルゲート30の概略平面図を示し、図3(b)は第二コルゲート30の概略正面図を示す。
【0038】
図4乃至図6は第一コルゲート20と第二コルゲート30とを連結する方法を説明する概略平面図を示す。
詳述すると、図4(a)は第一コルゲート20と第二コルゲート30とを連結する前の概略平面図を示し、図4(b)は第一コルゲート20に第二コルゲート30を挿入した状態の概略平面図を示す。
【0039】
図5(a)は第一コルゲート20の波形スリット23を形成する第一周方向凸部241と第二周方向凸部251とを係止した状態の概略平面図を示し、図5(b)は図5(a)におけるβ部の拡大概略平面図を示す。図6(a)は第一コルゲート20の先端部分を第二コルゲート30の内径と略等しくなるように縮径させた状態の概略平面図を示し、図6(b)は図6(a)におけるγ部の拡大概略平面図を示す。
【0040】
なお、図4乃至図6において、第一コルゲート20に挿入された第二コルゲート30の基端部分は点線で示し、便宜上透過させた状態で図示する。また、図5及び図6において、波形スリット23を形成する第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25のうち、径方向の内側に配置される第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25を点線で示し、便宜上透過させた状態で図示することで、径方向の内側における位置を明確にしている。
【0041】
図7(a)は図6(a)におけるA-A端面を簡略化した簡略端面図を示し、図7(b)は図6(a)におけるB-B端面を簡略化した簡略端面図を示し、図8(a)は図6(a)におけるC-C端面を簡略化した簡略端面図を示し、図8(b)は図6(a)におけるD-D端面を簡略化した簡略端面図を示す。
【0042】
ここで、図1中において、コルゲートチューブ連結体10の長手方向を軸方向Lとし、図1中の上方側を基端側Lb、下方側を先端側Lfとする。なお、図1中における方向は図2乃至図8にも適用する。
【0043】
また、基端側Lbから軸方向Lに沿って視た図を正面図とする。
【0044】
コルゲートチューブ付ワイヤーハーネス1は、図1に示すように、第一コルゲート20と第二コルゲート30とを連結したコルゲートチューブ連結体10の内部に、車両に配索されるワイヤーハーネスWHを挿通した構造である。これにより、ワイヤーハーネスWHをコルゲートチューブ連結体10で保護することができる。
【0045】
ワイヤーハーネスWHは、コルゲートチューブ連結体10の内部を挿通する第一ハーネスWH1と、コルゲートチューブ連結体10の基端側Lbを構成する第一コルゲート20の内部において、ジョイント端子(図示省略)を介して互いに連結された第二ハーネスWH2とで構成されている。すなわち、コルゲートチューブ連結体10における基端側Lbの端部からは第一ハーネスWH1よりも太径のワイヤーハーネスWHが導出され、コルゲートチューブ連結体10を構成する第一コルゲート20における先端側Lfの端部からはワイヤーハーネスWHよりも細径の第一ハーネスWH1が導出されている。
【0046】
なお、本実施形態において、第二ハーネスWH2は第一コルゲート20の内部でジョイント端子を介して連結する構造としているが、この構造に限定されず、例えば、ワイヤーハーネスWHを構成する第二ハーネスWH2が第一コルゲート20の中央部分から外部に導出していてもよい。
【0047】
コルゲートチューブ連結体10は、第一コルゲート20の先端側Lfに第二コルゲート30の基端側Lbを挿通するとともに、第一コルゲート20の先端側Lfの端部を第二コルゲート30の外径と略同じ内径となるように第一コルゲート20を縮径し、第一コルゲート20と第二コルゲート30とを連結した構造である。コルゲートチューブ連結体10における第一コルゲート20と第二コルゲート30との連結部分は、固定テープTを巻き回して固定している(図1参照)。
【0048】
第一コルゲート20は、内部に挿通空間を有する円筒状に形成された樹脂製のコルゲートチューブであり、図2に示すように、外周面を全周に亘って径方向の外側に突出させた第一外周凸部21と、外周面を全周に亘って径方向の内側に窪ませた第一外周凹部22とが軸方向Lに沿って交互に配置された、可撓性を有する蛇腹構造で構成されている。
【0049】
第一外周凸部21は、周方向に沿って凸状に構成されている。
第一外周凹部22は、周方向に沿って凹状に構成され、第一ハーネスWH1と第二ハーネスWH2を束ねたワイヤーハーネスWHよりもわずかに大きな内径を有している。なお、第一外周凸部21は第一外周凹部22よりも径方向の外側に向けて突出している。
【0050】
このように第一外周凸部21と第一外周凹部22とが軸方向Lに沿って交互に配置された第一コルゲート20には、外周面における一箇所を、基端側Lbの端部から先端側Lfの端部まで軸方向Lに沿って波形状に切断して形成された波形スリット23が設けられている。
【0051】
波形スリット23は、第一コルゲート20の外周面の一部を、板厚方向に沿って切断することにより形成されており、平面視において、振幅が一定であり、軸方向Lに沿って所定の周期を有する正弦曲線が連続して繰り返される正弦波形状をしている。
【0052】
この波形スリット23は、図2(a)及び図2(c)に示すように、波形スリット23の周方向の一方側(図2(a)中において左方側)の第一スリット形成部24と、波形スリット23の周方向の他方側(図2(a)中において右方側)の第二スリット形成部25とで形成されている。
【0053】
なお、図2(c)において、第一スリット形成部24と第二スリット形成部25の構成を明確にするため、便宜上第一スリット形成部24と第二スリット形成部25とを所定の間隔を隔てて図示しているが、実際には第一スリット形成部24と第二スリット形成部25との端面同士は当接している。
【0054】
第一スリット形成部24には、図2(a)に示すように、周方向の他方側(第二スリット形成部25側)に向けて突出するとともに、周方向に向けて折り返された第一周方向凸部241と、周方向の一方側に向けて窪ませた第一周方向凹部242とが軸方向Lに沿って交互に連続して備えられている。すなわち、連続する第一周方向凸部241と第一周方向凹部242は、所定の振幅を有する正弦曲線を形成している。
【0055】
第一周方向凸部241は、平面視において、軸方向Lに沿って一方側向かうに伴い、徐々に周方向の一方側に向けて傾斜するように突出し、頂点部分に近づくにつれて緩やかに湾曲し、頂点から軸方向Lに沿って一方側向かうに伴い、軸方向Lの他方側と対称となるように徐々に周方向の他方側に向けて傾斜している。
なお、第一周方向凸部241の軸方向L沿った幅(軸方向Lに沿った長さ)は、第一コルゲート20の軸方向Lに沿った長さに対して十分に短くなるように構成されている。
【0056】
第一周方向凹部242は、平面視において、軸方向Lに沿って一方側向かうに伴い、徐々に周方向の他方側に向けて傾斜するように窪み、溝底部分に近づくにつれて緩やかに湾曲し、溝底から軸方向Lに沿って一方側向かうに伴い、軸方向Lの他方側と対称となるように徐々に周方向の一方側に向けて傾斜している。
【0057】
このように構成された第一周方向凸部241と第一周方向凹部242とは、上述のように、軸方向Lに沿って連続して配置されている。すなわち、第一スリット形成部24は、平面視において、軸方向Lに沿って所定の振幅を繰り返す正弦波状に構成されている。
【0058】
第二スリット形成部25には、第一スリット形成部24と同様に、周方向の一方側(第一スリット形成部24側)に向けて突出するとともに、周方向に向けて折り返された第二周方向凸部251と、周方向の一方側に向けて窪ませた第二周方向凹部252とが交互に備えられている。すなわち、連続する第二周方向凸部251と第二周方向凹部252は、所定の振幅を有する正弦曲線を形成している。
【0059】
第二周方向凸部251は、周方向の他方側に向けて突出している点を除き、第一周方向凸部241と同形状をしている。同様に、第二周方向凹部252は、周方向の一方側に向けて窪んでいる点を除き、第一周方向凸部241と同形状をしている。
【0060】
このように構成された第二周方向凸部251と第二周方向凹部252とは、第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242と同様に、軸方向Lに沿って連続して配置されている。すなわち、第二スリット形成部25は、平面視において、軸方向Lに沿って所定の振幅を繰り返す正弦波状に構成されている。
【0061】
このように第一周方向凸部241と第一周方向凹部242とが備えられた第一スリット形成部24と、第二周方向凸部251と第二周方向凹部252が備えられた第二スリット形成部25は、意図的に変形させていない状態において、第一周方向凸部241に対して第二周方向凹部252が対応するように配置されており、第一周方向凹部242に対して第二周方向凸部251が対応するように配置されている(図2(a)及び図2(c)参照)。
【0062】
このため、第一スリット形成部24と第二スリット形成部25とが形成する波形スリット23は、振幅が一定であり、軸方向Lに沿って所定の周期を有する正弦曲線が連続して繰り返される正弦波形状となっている。
【0063】
なお、第一コルゲート20は外力を作用させない状態において、図2(b)に示すように、波形スリット23を形成する第一スリット形成部24の周方向端面である第一端面24aと、波形スリット23を形成する第二スリット形成部25の周方向端面である第二端面25aは互いに当接している。
【0064】
このように構成された第一コルゲート20は、軸方向Lに沿った波形スリット23を周方向に拡げることにより、波形スリット23を介して、第一コルゲート20の内部に形成された挿通空間に第一ハーネスWH1や第二ハーネスWH2を径方向の外側から挿入することができる。
【0065】
第二コルゲート30は、内部に挿通空間を有する円筒状に形成された樹脂製のコルゲートチューブであり、図3に示すように、外周面を全周に亘って径外側に突出させた第二大径部31と、外周面を全周に亘って径内側に窪ませた第二小径部32とが軸方向Lに沿って交互に配置された、可撓性を有する蛇腹構造で構成されている。
【0066】
第二大径部31は、第一外周凹部22の内径のおよそ半分程度の外径を有している。また、第二大径部31に対して径方向の内側に向けて窪ませた第二小径部32は、第一ハーネスWH1よりもわずかに大きな内径を有している。すなわち、第二コルゲート30は、内部に第一ハーネスWH1を挿通できるとともに、第一コルゲート20の内部に挿通可能に構成されている。
【0067】
このように、第二大径部31と第二小径部32とが軸方向Lに沿って交互に配置された第二コルゲート30には、外周面における一箇所を、基端側Lbの端部から先端側Lfの端部まで軸方向Lに沿って直線状に切断して形成された直線スリット33が設けられている。
【0068】
直線スリット33は、第二コルゲート30における外周面を板厚方向に貫通するように形成されている。すなわち、第二コルゲート30は、軸方向Lに沿って形成された直線スリット33を周方向に拡げることができるため、直線スリット33を介して、第二コルゲート30の内部に形成された挿通空間に第一ハーネスWH1を挿入することができる。
【0069】
なお、第二コルゲート30は外力を作用させない状態において、図3(b)に示すように、直線スリット33を形成する第二コルゲート30の周方向端面であるスリット端面30a同士は互いに当接している。
【0070】
次に、このように構成された第一コルゲート20と第二コルゲート30とを連結する方法について、図4乃至図8に基づいて簡単に説明する。
まず、ワイヤーハーネスWHにおける基端側Lbにおいて、波形スリット23を周方向に開けて、ワイヤーハーネスWH(第一ハーネスWH1及び第二ハーネスWH2)に第一コルゲート20を装着する。また、ワイヤーハーネスWHにおける先端側Lfにおいて、より詳しくは接続された第二ハーネスWH2のジョイント端子よりも先端側Lfにおいて、直線スリット33を周方向に開けて、第一ハーネスWH1に第二コルゲート30を装着する(図4(a)参照)。
なお、ワイヤーハーネスWHに第一コルゲート20及び第二コルゲート30を装着する順番は特に限定はなく、同時に装着してもよいし、第二コルゲート30を先に装着してもよい。
【0071】
次に、接続された第二ハーネスWH2のジョイント端子が内部に配置された第一コルゲート20に対して、第二コルゲート30を第一ハーネスWH1に沿って基端側Lbに移動させて、第二コルゲート30の基端側Lbを第一コルゲート20に挿入する(図4(b)参照)。
【0072】
そして、第二コルゲート30を先端側Lfに挿通させた第一コルゲート20における所望の位置において、図5(b)に示すように、第一周方向凸部241(第一周方向凸部241aとする。)を第二周方向凹部252(第二周方向凹部252aとする。)の径方向外側に配置するとともに、第一周方向凸部241aの軸方向Lの両外側に隣接する第一周方向凹部242(それぞれ第一周方向凹部242a、第一周方向凹部242bとする。)の径方向外側に、第二周方向凸部251(それぞれ第二周方向凸部251a、第二周方向凸部251bとする。)を配置する。
【0073】
このように、第二周方向凹部252aの径方向外側に第一周方向凸部241aを配置するとともに、第一周方向凸部241aの軸方向Lの両端に隣接する第一周方向凹部242a及び第一周方向凹部242bに対して、第二周方向凸部251a及び第二周方向凸部251bを径方向外側に配置することで、軸方向Lに沿って第二周方向凸部251a及び第二周方向凸部251bを第一周方向凸部241aに係止することができる。
【0074】
このように、軸方向Lに沿って第二周方向凸部251a及び第二周方向凸部251bを第一周方向凸部241aに係止した状態において、第一周方向凸部241aよりも先端側Lfの第一周方向凸部241を第一コルゲート20における第二スリット形成部25よりも周方向の他方側の外周面に配置するとともに、第二周方向凸部251aよりも先端側Lfの第二周方向凸部251を第一コルゲート20における第二スリット形成部25よりも周方向の他方側の内周面に配置する。
【0075】
ここで、第一周方向凸部241は周方向の他方側に、第二周方向凸部251が周方向の一方側に突出しているため、第二スリット形成部25を径方向の内側に向けて押圧しつつ、第二スリット形成部25を第一スリット形成部24の径方向の内側へ滑り込ませた際に、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251が第二端面25aや第一端面24aに引っ掛かることを防止できる。
【0076】
これにより、第一周方向凸部241aよりも先端側Lfにおいて、第一周方向凸部241が第二スリット形成部25の径方向の外側に、第二周方向凸部251を第一スリット形成部24の径方向の内側に容易に配置できる。したがって、第一周方向凸部241aと第二周方向凸部251aとの係止箇所を縮径開始点Pとして、第一スリット形成部24の先端側Lfが第二コルゲート30の外径と略同じ内径となるように、第一スリット形成部24の先端側Lfを絞って縮径することができる(図6(b)参照)。
【0077】
このように第一スリット形成部24の先端側Lfを第一スリット形成部24の先端側Lfが第二コルゲート30の外径と略同じ内径となるように縮径させることで、第一コルゲート20と第二コルゲート30との間に隙間が形成されることを抑制しながら、第一コルゲート20と第二コルゲート30とを連結できる。そして、第一コルゲート20と第二コルゲート30との連結部分を固定テープTで巻き回すことで、第一コルゲート20と第二コルゲート30とを確実に連結することができる(図1参照)。
【0078】
このように第一コルゲート20と第二コルゲート30とを連結したコルゲートチューブ連結体10では、図7及び図8に示すように、第二周方向凹部252bよりも基端側Lbにおいて、第一端面24aと第二端面25aとが当接している(図7(a)参照)。
【0079】
一方で、第一コルゲート20が縮径する縮径開始点Pでは、図7(b)に示すように、第一周方向凸部241aが第二周方向凹部252aの径方向外側に配置されている。また、第一周方向凸部241aの先端側Lfに隣接する第一周方向凹部242aの径方向外側には第二周方向凸部251aが配置されている(図8(a)参照)。
【0080】
そして、第一コルゲート20における先端側Lfの端部では、第一コルゲート20の径方向の内側において、第二スリット形成部25が周方向の一方側に入り込むとともに、第一コルゲート20の径方向の外側において、第一スリット形成部24が周方向の他方側に配置されている。すなわち、第一コルゲート20が部分的に重複されていることとなり、第二コルゲート30の外径と略等しくなるように縮径されている(図8(b)参照)。
【0081】
これにより、内径の異なる第一コルゲート20と第二コルゲート30とが連結されたコルゲートチューブ連結体10にワイヤーハーネスWHを挿通させることができ、ワイヤーハーネスWHをコルゲートチューブ連結体10で確実に保護できる。
【0082】
このように、周方向に沿う凸状の第一外周凸部21と、周方向に沿う凹状の第一外周凹部22とが軸方向Lに交互に配置された筒状の第一コルゲート20は、周方向の一部を軸方向Lに沿って分断する波形スリット23が設けられている。そして、波形スリット23を形成する周方向の端部である第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25に、他方に向けて突出するとともに、周方向に向けて折り返された第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251と、軸方向Lの端部よりも内側において周方向に向けて窪ませて形成された第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252が備えられている。
【0083】
また、コルゲートチューブ連結体10は、第一コルゲート20と、第一コルゲート20より小径な第二コルゲート30とが備えられ、第一コルゲート20における先端側Lfの端部に、第二コルゲート30の基端側Lbの端部が挿通され、第一コルゲート20における先端側Lfにおいて、波形スリット23で分離された周方向の一部を径方向に重ね合わせて、挿通された先端側Lfの外周に沿って縮径されている。
なお、コルゲートチューブ付ワイヤーハーネス1は、コルゲートチューブ連結体10と、コルゲートチューブ連結体10の内部に挿通されたワイヤーハーネスWHとで構成されている。
【0084】
これにより、第一スリット形成部24における径方向の内側及び第二スリット形成部25における径方向の外側に、第二周方向凸部251及び第一周方向凸部241を容易に配置できる。すなわち、第二周方向凸部251又は第一周方向凸部241を介して、容易に第二スリット形成部25を第一スリット形成部24の内周に、第一スリット形成部24を第二スリット形成部25の外周に案内できる。このため、第一コルゲート20における波形スリット23よりも周方向の他方側において、容易に第一スリット形成部24を径方向の外側に巻き回すことができ、第一コルゲート20における波形スリット23よりも周方向の一方側において、容易に第二スリット形成部25を径方向の内側に巻き込むことができる。
【0085】
これにより、第二コルゲート30が挿通された第一コルゲート20の先端側Lfの端部を縮径することができ、第一コルゲート20と第二コルゲート30との境界部分の隙間を減少させることができる。したがって、第二コルゲート30との連結部分から異物が侵入することを抑制できる。
【0086】
また、第一コルゲート20の端部を縮径することで、第二コルゲート30の外径と第一コルゲート20の外径とを略同じ径とすることができるため、境界部分をテープ巻きする場合に、テープ巻き作業をより効率よく行うことができるとともに、第一コルゲート20と第二コルゲート30との境界部分の隙間をより確実に減少させることができる。
【0087】
さらにまた、略同径でテープ巻きすることができるため、車両などにコルゲート連結体に挿通させたワイヤーハーネスWHを配索した場合にも、ワイヤーハーネスWHの湾曲などにより、連結部分が曲げられたとしても第一コルゲート20と第二コルゲート30との境界部分に隙間が生じることを防止できる。
【0088】
また、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25は、軸方向Lに沿って複数の第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251が配置された波状であり、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25における、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251同士の間を第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252としている。
【0089】
これにより、第一コルゲート20における波形スリット23よりも周方向の他方側において、複数の第一周方向凸部241を第一コルゲート20の径方向の外側に、第一コルゲート20における波形スリット23よりも周方向の一方側において、第二周方向凸部251を第一コルゲート20の径方向の内側に配置できるため、第一コルゲート20における波形スリット23よりも周方向の他方側において、より確実に第一スリット形成部24を第一コルゲート20における径方向の外側に巻き回すことができるとともに、第一コルゲート20における波形スリット23よりも周方向の一方側において、第二スリット形成部25を第一コルゲート20の径方向の内側に巻き込むことができる。このため、第二コルゲート30の端部が挿通された第一コルゲート20の端部を、第二コルゲート30の外周に沿って容易かつ確実に縮径できる。したがって、第一コルゲート20と第二コルゲート30との連結部分において、第一コルゲート20の端部から導出される第一ハーネスWH1を容易かつ確実に保護できる。
【0090】
また、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25を、軸方向Lに沿って複数の第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251が配置された波状とすることで、縮径させる開始点である縮径開始点Pにおいて、第一スリット形成部24を構成する第一周方向凸部241及び第二スリット形成部25を構成する第二周方向凸部251とをそれぞれ軸方向Lに沿って当接させることができる。このため、第一コルゲート20の端部を縮径させた場合に、縮径開始点Pよりも縮径する側と反対側において第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251が他方の径方向の内側及び外側に配置されることを抑制できる。したがって、第一コルゲート20における基端側Lbが意図にせずに縮径されることを防止できるため、第一コルゲート20の端部の縮径作業を効率よく行うことができる。
【0091】
さらに、軸方向Lにおける所定の位置(縮径開始点P)において、第一周方向凸部241aを第二周方向凹部252aの径方向の外側に配置し、第二コルゲート30を挿入する側にある第二周方向凸部251aを第一周方向凹部242aの径方向の内側に配置するとともに、第二周方向凸部251bを第一周方向凹部242bの片方側に配置することで、所定の位置(縮径開始点P)よりも第二コルゲート30側のみを確実に縮径させることができる。
【0092】
さらにまた、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251及び第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252が曲線状で形成されていることにより、第一コルゲート20の先端側Lfを縮径する過程において、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251が第二周方向凹部252及び第一周方向凹部242の端面に突き当たることを防止できるため、より容易に第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251を径方向の外側及び内側に案内できる。
【0093】
また、第一コルゲート20における波形スリット23よりも周方向の一方側において、第二周方向凸部251を第一コルゲート20の径方向の内側に案内し、先端側Lfの端部を縮径させたとしても、第一コルゲート20の内部を挿通する第一ハーネスWH1が、第一コルゲート20における径方向の内側に配置された第二周方向凸部251と干渉することを防止できる。
【0094】
また、第二スリット形成部25は、第一スリット形成部24おける第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242に対応して、第二周方向凹部252及び第二周方向凸部251が配置されていることにより、第二スリット形成部25に設けられた第二周方向凸部251を第一スリット形成部24の内側に、第一スリット形成部24に設けられた第一周方向凸部241を第二スリット形成部25の外側に配置でき、より容易かつ確実に第一コルゲート20の端部を縮径できる。したがって、第一コルゲート20を縮径する作業をより効率よく行うことができる。
【0095】
また、第一コルゲート20の径方向に重ね合わせて縮径した縮径部分における縮径開始点Pは、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251が軸方向Lに沿って係止していることにより、縮径開始点Pよりも第二コルゲート30を挿入した側と反対側において、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25の一方が他方の径方向の内側又は外側に巻き込まれることを抑制できる。したがって、開始点よりも反対側において、第一コルゲート20が意図せずに縮径することを防止できる。
【0096】
また、第一コルゲート20の径方向に重ね合わせて縮径した縮径部分と、第二コルゲート30とを跨いでテープ巻き固定されていることにより、第一コルゲート20と第二コルゲート30との相対位置を規制できる。このため、第一コルゲート20と第二コルゲート30とが離脱することを防止できるとともに、より確実に第一コルゲート20と第二コルゲート30との境界部分に隙間が生じることを防止できる。したがって、境界部分を挿通するワイヤーハーネスWHを確実に保護できる。
【0097】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
外周凸部は、第一外周凸部21に対応し、同様に
外周凹部は、第一外周凹部22に対応し、
軸方向は、軸方向Lに対応し、
コルゲートチューブは、第一コルゲート20に対応し、
スリットは、波形スリット23に対応し、
スリット形成部は、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25に対応し、
周方向凸部は、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251に対応し、
周方向凹部は、第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252に対応し、
一方側スリット形成部は、第一スリット形成部24に対応し、
他方側スリット形成部は、第二スリット形成部25に対応し、
小径コルゲートチューブは、第二コルゲート30に対応し、
コルゲートチューブ連結体は、コルゲートチューブ連結体10に対応し、
縮径開始点は、縮径開始点Pに対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネスWHに対応し、
コルゲート付ワイヤーハーネスは、コルゲートチューブ付ワイヤーハーネス1に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0098】
例えば、本実施形態において、波形スリット23を形成する第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25のそれぞれに、第一周方向凸部241及ぶ第一周方向凹部242、第二周方向凸部251及び第二周方向凹部252を設けて、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25の形状を波形状としているが、この形状に限定されない。
【0099】
例えば、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251の形状を周方向の相手側に突出する矩形形状や三角形状の周方向凸部とし、第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252の形状を周方向の相手側から離間する方向に矩形形状や三角形状の周方向凹部としてもよい。
なお、第一スリット形成部24に備えられた第一周方向凸部241及び第二スリット形成部25に備えられた第二周方向凸部251は、周方向の他方側に向かうに伴い先細りする形状であることが好ましい。
【0100】
このように、第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251及び第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252が直線を折り返して形成されていることにより、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25に設けられた第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251、第一周方向凹部242及び第二周方向凹部252が、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25の他方側の端部に突き当たることを抑制できるため、より容易に第一周方向凸部241及び第二周方向凸部251を第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25の他方側の径方向の外側又は内側に案内することができる。
【0101】
また、例えば、本実施形態において、波形スリット23を形成する第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25のそれぞれが波形状で形成されているが、必ずしも第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25の双方を波形状にする必要はなく、図9に示すように、第一スリット形成部24にのみ第一周方向凸部241と第一周方向凹部242を設け、第二スリット形成部25を直線状に形成してもよい。
ここで、図9は第一コルゲート20の他の実施形態における概略平面図を示す。なお、図9において、本実施形態と同じ構成については同じ付番を付し、その説明を省略する。
【0102】
ここで、図9(a)に示す第一コルゲート20では、第一周方向凸部241が直線状の第二スリット形成部25の径方向の外側に重なり、第一周方向凹部242の溝底と対応する位置に第二スリット形成部25が配置されるように構成されている。
なお、波形状に形成されるのは、第一スリット形成部24に限定されず、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25の少なくとも一方に設けてもよい。
【0103】
さらにまた、本実施形態では、第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242の双方で第一スリット形成部24を形成しているが、図9(b)に示すように、第一スリット形成部24に第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242の一方のみが備わっていてもよい。具体的には、図9(b)に示す実施形態における第一コルゲート20には直線状の波形スリット23が形成されており、波形スリット23を形成する第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25のうちの第一スリット形成部24に、第二スリット形成部25に向けて突出する第一周方向凸部241が複数、不連続で突出している。
【0104】
ここで、図9に示す実施形態において、第一周方向凸部241は、直線状に形成された第二スリット形成部25に対して部分的に重なるように構成されているが、第一周方向凸部241が第二スリット形成部25に対して重ならないように構成されていてもよい。
【0105】
また、本実施形態において、第一スリット形成部24及び第二スリット形成部25は、それぞれ複数の第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242、第二周方向凸部251及び第二周方向凹部252が連続して備えられているが、必ずしも連続している必要はなく、また、複数である必要もない。また、複数の第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242、第二周方向凸部251及び第二周方向凹部252が備えられている場合において、第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242、第二周方向凸部251及び第二周方向凹部252の形状が異なっていてもよい。
【0106】
さらにまた、第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242、第二周方向凸部251及び第二周方向凹部252が複数備えられている場合において、第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242、第二周方向凸部251及び第二周方向凹部252の間隔は、本実施形態のように規則的であってもよいし、不規則であってもよい。
【0107】
なお、第一周方向凸部241及び第一周方向凹部242の少なくとも一方、又は第二周方向凸部251及び第二周方向凹部252の少なくとも一方が単数である場合には、第二コルゲート30を挿入する側に設けてあることが好ましい。
【0108】
さらにまた、本実施形態において、第一コルゲート20の先端側Lfには一つの第二コルゲート30が挿入されているが、複数の第二コルゲート30が挿入されていても構わない。
【符号の説明】
【0109】
1 コルゲートチューブ付ワイヤーハーネス
10 コルゲートチューブ連結体
20 第一コルゲート
21 第一外周凸部
22 第一外周凹部
23 波形スリット
24 第一スリット形成部
25 第二スリット形成部
30 第二コルゲート
241 第一周方向凸部
242 第一周方向凹部
251 第二周方向凸部
252 第二周方向凹部
L 軸方向
P 縮径開始点
WH ワイヤーハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9