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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117775
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20230817BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020521
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】林 伊吹
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA06
4K030FA03
4K030GA06
4K030JA03
4K030KA10
4K030KA37
4K030KA39
5F045AA06
5F045AB32
5F045AC07
5F045AC15
5F045AC16
5F045AE01
5F045AF01
5F045BB08
5F045BB15
5F045DP15
5F045DP27
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EB09
5F045EB10
5F045EE04
5F045EE14
5F045EF03
5F045EF05
5F045EF11
5F045EG02
5F045EK07
5F045EN04
5F045GB04
(57)【要約】
【課題】天井部材と基板との隙間を調整できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、真空容器と、前記真空容器の内部に設けられ、基板を載置する載置面を有する載置部と、前記載置部の上方に設けられる天井部材と、を備え、前記天井部材は、前記真空容器に固定される固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記載置面と対向する第1対向面を有する可動部材と、前記固定部材と前記可動部材との間に挟まれるスペーサと、前記固定部材と前記スペーサとの間に設けられる第1シール部材と、前記可動部材と前記スペーサとの間に設けられる第2シール部材と、前記可動部材を貫通して前記固定部材にねじ込まれる複数の調整ボルトと、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器の内部に設けられ、基板を載置する載置面を有する載置部と、
前記載置部の上方に設けられる天井部材と、
を備え、
前記天井部材は、
前記真空容器に固定される固定部材と、
前記固定部材に取り付けられ、前記載置面と対向する第1対向面を有する可動部材と、
前記固定部材と前記可動部材との間に挟まれるスペーサと、
前記固定部材と前記スペーサとの間に設けられる第1シール部材と、
前記可動部材と前記スペーサとの間に設けられる第2シール部材と、
前記固定部材を貫通して前記可動部材にねじ込まれる複数の調整ボルトと、
を有する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記可動部材は、
前記第1対向面を含む底面板と、
前記底面板の上方に設けられ、前記固定部材の上面と対向する第2対向面を有する天井板と、
を有し、
前記スペーサは、前記固定部材の前記上面と前記第2対向面との間に挟まれる、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記スペーサは、前記第1対向面と直交する方向に沿って複数設けられる、
請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記載置部は、回転可能に設けられ、周方向に沿って複数の前記基板を載置する回転テーブルを含み、
前記複数の調整ボルトは、前記回転テーブルの半径方向における異なる位置に設けられる2つ以上の調整ボルトを含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記天井部材は、前記真空容器の内部にガスを噴射するシャワーヘッドである、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記天井部材は、該天井部材の上方から前記載置面を視認可能な窓を有し、
前記窓の上方に設けられ、前記可動部材の高さ位置を計測するレーザ変位計を備える、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッドチルト調整機構により、基板処理装置のフェースプレートに隣接する基板台座モジュールの上面に対して、シャワーヘッドモジュールのフェースプレートのギャップ、傾き及び平坦化を調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-529126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、天井部材と基板との隙間を調整できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、真空容器と、前記真空容器の内部に設けられ、基板を載置する載置面を有する載置部と、前記載置部の上方に設けられる天井部材と、を備え、前記天井部材は、前記真空容器に固定される固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記載置面と対向する第1対向面を有する可動部材と、前記固定部材と前記可動部材との間に挟まれるスペーサと、前記固定部材と前記スペーサとの間に設けられる第1シール部材と、前記可動部材と前記スペーサとの間に設けられる第2シール部材と、前記固定部材を貫通して前記可動部材にねじ込まれる複数の調整ボルトと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、天井部材と基板との隙間を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る基板処理装置を示す概略断面図
図2】実施形態に係る基板処理装置の真空容器内の構成を示す概略斜視図
図3】実施形態に係る基板処理装置の真空容器内の構成を示す概略平面図
図4】実施形態に係る基板処理装置の別の概略断面図
図5】実施形態に係る基板処理装置の別の概略断面図
図6】実施形態に係るシャワーヘッドを示す概略斜視図
図7】実施形態に係るシャワーヘッドを示す概略平面図
図8】実施形態に係るシャワーヘッドを示す概略断面図
図9】実施形態に係るシャワーヘッドの底面板の下面の構成を示す図
図10】実施形態の変形例に係るシャワーヘッドを示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1図5を参照し、実施形態に係る基板処理装置について説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置を示す概略断面図である。図2及び図3は、実施形態に係る基板処理装置の真空容器1内の構造を説明するための図である。図2及び図3では、説明の便宜上、天板11の図示を省略する。
【0010】
実施形態に係る基板処理装置は、複数枚の基板Wに一括で成膜処理を行う装置として構成される。基板Wは、例えば半導体ウエハである。基板処理装置は、真空容器1と、回転テーブル2とを備える。
【0011】
真空容器1は、平面視において略円形状を有する。真空容器1は、基板Wを収容する。真空容器1は、基板Wに成膜処理等の処理を行う処理室として構成される。真空容器1は、天板11と、容器本体12とを備える。天板11は、回転テーブル2の上面と対向する位置に設けられる。天板11は、容器本体12から着脱可能に構成される。容器本体12の上面の周縁部には、環状を有するシール部材13が設けられる。シール部材13は、例えばOリングである。
【0012】
回転テーブル2は、真空容器1内に回転可能に設けられる。回転テーブル2は、真空容器1の中心に回転中心を有する。回転テーブル2は、中心部にて略円筒形状のコア部21に固定される。コア部21には、鉛直方向に伸びる回転軸22を介して駆動部23が接続される。駆動部23は、回転軸22及びコア部21を介して、回転テーブル2を鉛直軸回り、例えば時計回りに回転させる。
【0013】
回転軸22及び駆動部23は、ケース体20に収納される。ケース体20は、筒状を有する。ケース体20は、上部のフランジが真空容器1の底部14の下面に気密に取り付けられる。
【0014】
回転テーブル2の上面には、凹部24が形成される。凹部24は、平面視において円形状を有する。凹部24には、基板Wが載置される。凹部24は、回転方向に沿って、複数箇所、例えば5箇所に設けられる。凹部24は、基板Wの直径よりも僅かに大きい内径を有する。凹部24は、基板Wの厚さにほぼ等しいか、又は基板Wの厚さよりも大きい深さを有する。これにより、基板Wが凹部24に載置されると、基板Wの表面と、回転テーブル2の基板Wが載置されない領域の表面とが同じ高さになるか、基板Wの表面が回転テーブル2の表面よりも低くなる。凹部24の底面には、複数、例えば3つの貫通孔が設けられる。各貫通孔には、図示しない昇降ピンが挿通される。昇降ピンは、基板Wを下方から突き上げて昇降させる。
【0015】
回転テーブル2の上方には、シャワーヘッド100、処理ガスノズル31、32及び分離ガスノズル41、42が、図3の矢印Aで示される回転テーブル2の回転方向に互いに間隔をおいて配置される。図示の例では、後述の搬送口15から回転テーブル2の回転方向に、処理ガスノズル32、分離ガスノズル41、シャワーヘッド100、分離ガスノズル42、処理ガスノズル31がこの順番で配列する。処理ガスノズル32、分離ガスノズル41、シャワーヘッド100、分離ガスノズル42及び処理ガスノズル31は、それぞれ石英により形成される。
【0016】
シャワーヘッド100は、底面板121を有する。底面板121には、原料ガス供給部121d、軸側補助ガス供給部121e、外側補助ガス供給部121fが形成される。原料ガス供給部121d、軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fは、回転テーブル2の半径方向に沿って延在する。原料ガス供給部121d、軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fの各々の底面には、図示しない複数の吐出孔が形成され、回転テーブル2の半径方向に沿って原料ガス、軸側補助ガス及び外側補助ガスを供給する。原料ガス供給部121dは、基板Wの全体を覆うように回転テーブル2の半径方向に沿って半径全体に亘り延在する。軸側補助ガス供給部121eは、回転テーブル2の軸側の原料ガス供給部121dの1/3程度の領域のみに延在する。外側補助ガス供給部121fは、回転テーブル2の外側の原料ガス供給部121dの1/3程度の領域のみに延在する。
【0017】
ノズル31、32、41、42は、各ノズル31、32、41、42の基端部であるガス導入ポート31a、32a、41a、42aを容器本体12の外周面に固定することにより、真空容器1の外周面から真空容器1内に導入される。ノズル31、32、41、42は、容器本体12の半径方向に沿って回転テーブル2に対して水平に伸びるように取り付けられる。
【0018】
原料ガス供給部121d、軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fは、底面板121に設けられる。このため、シャワーヘッド100に導入される原料ガス、軸側補助ガス及び外側補助ガスは、原料ガス供給部121d、軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fを介して真空容器1内に噴射される。
【0019】
原料ガス供給部121dは、配管126d及び流量制御器127d等を介して、原料ガスの供給源128dに接続される。軸側補助ガス供給部121eは、配管126e及び流量制御器127e等を介して、軸側補助ガスの供給源128eに接続される。外側補助ガス供給部121fは、配管126f及び流量制御器127f等を介して、外側補助ガスの供給源128fに接続される。原料ガスは、例えば有機アミノシランガス等のシリコン含有ガスや、TiCl等のチタン含有ガスを含む。軸側補助ガス及び外側補助ガスは、例えばアルゴンガス等の希ガスや窒素ガス等の不活性ガスを含む。軸側補助ガス及び外側補助ガスは、例えば原料ガスと同じガスを含んでもよい。軸側補助ガス及び外側補助ガスは、用途及びプロセスに応じて、膜厚の調整等、面内均一性を高めるのに好ましいガスが適宜選択される。
【0020】
処理ガスノズル31は、配管31b及び流量制御器31c等を介して、反応ガスの供給源31dに接続される。反応ガスは、原料ガスと反応して反応生成物を生成するガスである。反応ガスは、例えばシリコン含有ガスに対してはオゾンガス等の酸素含有ガス、チタン含有ガスに対してはアンモニアガス等の窒素含有ガス等が該当する。
【0021】
処理ガスノズル32は、配管32b及び流量制御器32c等を介して、改質ガスの供給源32dに接続される。改質ガスは、生成した反応生成物の膜質を高めるため、プラズマを生成し得るガスであり、多くの場合、反応ガスと同様の性質を有するガスが用いられる。改質ガスは、例えばシリコン含有ガスに対しては酸素ガス、オゾンガス等の酸素含有ガス、チタン含有ガスに対してはアンモニアガス、窒素ガス等の窒素含有ガス等が用いられる。
【0022】
分離ガスノズル41、42は、いずれも不図示の配管及び流量制御バルブ等を介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続される。分離ガスとしては、ヘリウムガスやアルゴンガス等の希ガス、窒素ガス等の不活性ガスを利用できる。
【0023】
処理ガスノズル31、32には、回転テーブル2に向かって開口する複数の吐出孔33が、処理ガスノズル31、32の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列する。
【0024】
底面板121の下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス供給領域P1となる。処理ガスノズル31の下方領域は、原料ガス供給領域P1において基板Wに吸着した原料ガスと反応する反応ガスを供給し、反応生成物の分子層を生成する反応ガス供給領域P2となる。反応生成物の分子層は、成膜される膜を構成する。処理ガスノズル32の下方領域は、反応ガス供給領域P2において生成した反応生成物(膜)に改質ガスを供給し、膜を改質する改質領域P3となる。
【0025】
改質領域P3の上方には、プラズマ発生装置80が設けられる。プラズマ発生装置80は、処理ガスノズル32が吐出する改質ガスからプラズマを生成する。
【0026】
真空容器1内には、2つの凸状部4が設けられる。凸状部4は、分離ガスノズル41、42と共に分離領域Dを構成するため、回転テーブル2に向かって突出するように天板11の裏面に取り付けられる。凸状部4は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有する。凸状部4は、内円弧が後述する突出部5に連結し、外円弧が真空容器1の容器本体12の内周面に沿うように配置される。
【0027】
図4は、シャワーヘッド100の底面板121から処理ガスノズル31まで回転テーブル2の同心円に沿った真空容器1の断面を示している。図示のとおり、天板11の裏面に凸状部4が取り付けられる。このため、真空容器1内には、凸状部4の下面である平坦な低い天井面である第1天井面44と、第1天井面44の周方向両側に位置し、第1天井面44よりも高い天井面である第2天井面45とが存在する。第1天井面44は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有する。凸状部4には周方向中央において、半径方向に伸びるように形成された溝43が形成される。溝43には、分離ガスノズル42が収容される。もう一つの凸状部4にも同様に溝43が形成され、分離ガスノズル41が収容される。第2天井面45の下方の空間には、底面板121及び処理ガスノズル31がそれぞれ設けられる。処理ガスノズル31は、第2天井面45から離間した基板Wの近傍に設けられる。第2天井面45の下方の右側の空間48aには底面板121が設けられ、第2天井面45の下方の左側の空間48bには処理ガスノズル31が設けられる。
【0028】
凸状部4の溝43に収容される分離ガスノズル42には、回転テーブル2に向かって開口する複数の吐出孔42hが、分離ガスノズル42の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列する。凸状部4の溝43に収容される分離ガスノズル41にも、分離ガスノズル42と同様に、回転テーブル2に向かって開口する複数の吐出孔が、分離ガスノズル41の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列する。
【0029】
原料ガス供給部121dは、処理ガスノズル31の吐出孔33及び分離ガスノズル42の吐出孔42hとほぼ同じ高さに設けられる。外側補助ガス供給部121fは、原料ガス供給部121dよりも高い位置に設けられる。すなわち、底面板121は、低底面領域121bと高底面領域121cとを有し、原料ガス供給部121dは低底面領域121bに設けられ、外側補助ガス供給部121fは高底面領域121cに設けられる。なお、図4には示されていないが、軸側補助ガス供給部121eも、外側補助ガス供給部121fと同様、高底面領域121cに設けられる。軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fは、飽くまで補助であり、調整用であるので、原料ガス供給部121dから供給される原料ガスの流れを阻害するようだと、原料ガスの吸着の面内均一性を良好にするという役割を果たせない。すなわち、原料ガスの流れを阻害しない範囲での影響に留める必要があり、基板Wの表面への距離が原料ガス供給部121dよりも遠い方が好ましい。よって、原料ガス供給部121dと回転テーブル2との間隔d1よりも、軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fと回転テーブル2との間隔d2が広く設定してある。
【0030】
第1天井面44は、狭隘な空間である分離空間Hを回転テーブル2に対して形成する。分離ガスノズル42の吐出孔42hから分離ガスが供給されると、分離ガスは分離空間Hを通して空間48a及び空間48bへ向かって流れる。このとき、分離空間Hの容積は空間48a及び48bの容積よりも小さいため、分離ガスにより分離空間Hの圧力を空間48a及び48bの圧力に比べて高くできる。すなわち、空間48a及び48bの間に圧力の高い分離空間Hが形成される。また、分離空間Hから空間48a及び48bへ流れ出る分離ガスが、原料ガス供給領域P1からの原料ガス及び反応ガス供給領域P2からの反応ガスに対するカウンターフローとして働く。したがって、原料ガス供給領域P1からの原料ガスと、反応ガス供給領域P2からの反応ガスとが分離空間Hにより分離される。よって、真空容器1内において原料ガスと反応ガスとの混合が抑制される。
【0031】
天板11の下面には、回転テーブル2を固定するコア部21の外周を囲む突出部5が設けられる。突出部5は、凸状部4における回転中心側の部位と連続しており、その下面が第1天井面44と同じ高さに形成される。
【0032】
図5は、第1天井面44が設けられている領域を示す断面図である。図5に示されるように、扇型の凸状部4の周縁部には、回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲する屈曲部46が形成されている。屈曲部46は、凸状部4と同様に、分離領域Dの両側から原料ガス及び反応ガスが侵入することを抑制して、原料ガスと反応ガスとが混合することを抑制する。凸状部4は天板11に設けられ、天板11が容器本体12から取り外せるようになっていることから、屈曲部46の外周面と容器本体12との間には僅かに隙間がある。屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間、及び屈曲部46の外周面と容器本体12との隙間は、例えば回転テーブル2の上面に対する第1天井面44の高さと同様の寸法に設定されている。
【0033】
容器本体12の内周面は、分離領域Dにおいては、図4に示されるように屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成される。一方、容器本体12の内周面は、分離領域D以外の部位においては、図1に示されるように回転テーブル2の外端面と対向する部位から底部14に亘って外側に窪んでいる。以下、説明の便宜上、概ね矩形の断面形状を有する窪んだ部分を排気領域と記す。具体的には、原料ガス供給領域P1に連通する排気領域を第1排気領域E1と記し、反応ガス供給領域P2に連通する領域を第2排気領域E2と記す。
【0034】
第1排気領域E1及び第2排気領域E2の底部には、図1から図3に示されるように、それぞれ、第1排気口61及び第2排気口62が形成される。第1排気口61及び第2排気口62は、排気配管63を介して真空ポンプ64に接続される。排気配管63には、自動圧力制御機器(APC:Auto Pressure Controller)65が設けられる。
【0035】
回転テーブル2と真空容器1の底部14との間の空間には、ヒータユニット7が設けられる。ヒータユニット7は、回転テーブル2を介して回転テーブル2上の基板Wを加熱する。回転テーブル2の周縁付近の下方には、環状のカバー部材71が設けられる。カバー部材71は、回転テーブル2の上方空間から排気領域E1、E2に至るまでの雰囲気とヒータユニット7が置かれている雰囲気とを区画して回転テーブル2の下方領域へのガスの侵入を抑える。カバー部材71は、回転テーブル2の外縁部及び外縁部よりも外側を下方から臨むように設けられた内側部材71aと、内側部材71aと真空容器1の内周面との間に設けられた外側部材71bとを備える。外側部材71bは、分離領域Dにおいて凸状部4の外縁部に形成された屈曲部46の下方にて、屈曲部46と近接して設けられる。内側部材71aは、回転テーブル2の外縁部下方(及び外縁部よりも僅かに外側の部分の下方)において、ヒータユニット7を全周に亘って取り囲んでいる。
【0036】
ヒータユニット7が配置される空間よりも回転中心側の部位における底部14は、回転テーブル2の下面の中心部付近におけるコア部21に接近するように上方に突出して突出部12aをなしている。突出部12aとコア部21との間は狭い空間になっており、また底部14を貫通する回転軸22の貫通孔の内周面と回転軸22との隙間が狭くなっていて、これら狭い空間はケース体20に連通する。ケース体20には、アルゴンガス等のパージガスを狭い空間内に供給してパージするためのパージガス供給管72が設けられる。真空容器1の底部14には、ヒータユニット7の下方において周方向に所定の角度間隔で、ヒータユニット7の配置空間をパージするための複数のパージガス供給管73が設けられる。ヒータユニット7と回転テーブル2との間には、ヒータユニット7が設けられた領域へのガスの侵入を抑えるために、外側部材71bの内周面(内側部材71aの上面)から突出部12aの上端との間を周方向に亘って覆う蓋部材7aが設けられる。蓋部材7aは、例えば石英により形成される。
【0037】
真空容器1の天板11の中心部には、分離ガス供給管51が接続される。分離ガス供給管51は、天板11とコア部21との間の空間52に、アルゴンガス等の分離ガスを供給する。空間52に供給された分離ガスは、突出部5と回転テーブル2との狭い隙間50を介して回転テーブル2のウエハ載置領域側の表面に沿って周縁に向けて吐出される。隙間50は分離ガスにより空間48a及び空間48bよりも高い圧力に維持され得る。したがって、隙間50により、原料ガス供給領域P1に供給される原料ガスと反応ガス供給領域P2に供給される反応ガスとが、中心領域Cを通って混合することが抑制される。すなわち、隙間50(又は中心領域C)は、分離空間H(又は分離領域D)と同様に機能する。
【0038】
このように、回転テーブル2の軸側には、分離ガス供給管51から分離ガスが供給され、パージガス供給管72からパージガスが供給される。
【0039】
真空容器1の側壁には、搬送アーム10と回転テーブル2との間において基板Wの受け渡しを行うための搬送口15が形成される。搬送口15は、図示しないゲートバルブにより気密に開閉自在に構成される。回転テーブル2の凹部24に載置される基板Wは、搬送口15に対向する位置において搬送アーム10との間で受け渡される。
【0040】
基板処理装置は、制御部90を備える。制御部90は、例えばコンピュータであり、装置全体の動作を制御する。制御部90のメモリ内には、基板に対する処理を基板処理装置に実施させるプログラムが格納される。プログラムは、装置の各種動作を実行するようにステップ群が組まれており、記録媒体92に記憶される。プログラムは、所定の読み取り装置により記憶部91へ読み込まれ、制御部90内にインストールされる。記録媒体92は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクである。
【0041】
〔シャワーヘッド〕
図6図9を参照し、実施形態に係る基板処理装置が備えるシャワーヘッド100について説明する。図6は、実施形態に係るシャワーヘッド100を示す概略斜視図である。図7は、実施形態に係るシャワーヘッド100を示す概略平面図である。図8は、実施形態に係るシャワーヘッド100を示す概略断面図であり、図7のVIII-VIII線矢視断面図である。図9は、実施形態に係るシャワーヘッド100の底面板121の下面の構成を示す図である。
【0042】
シャワーヘッド100は、固定部材110と、可動部材120と、調整機構130とを有する。
【0043】
固定部材110は、鉛直方向からの平面視において、中心領域Cの側を中心とする略扇形を有する。固定部材110は、天板11に形成される開口11hに気密に取り付けられる。開口11hは、鉛直方向からの平面視において、中心領域Cの側を中心とする略扇形に開口する。固定部材110は、開口110hを有する。開口110hは、略円筒形状を有する。開口110hは、鉛直方向からの平面視において、回転テーブル2の半径方向及び周方向の略中心に位置する。固定部材110は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。
【0044】
固定部材110には、2つの窓111、112が設けられる。窓111は、回転テーブル2の回転方向の下流側において、回転テーブル2の半径方向の外側に設けられる。窓112は、回転テーブル2の回転方向の下流側において、回転テーブル2の半径方向の内側に設けられる。窓111、112には、例えば石英ガラスが設けられ、真空容器1の外部から内部にある回転テーブル2の載置面を視認可能に構成される。
【0045】
窓111の上方には、レーザ変位計171が設けられる。すなわち、レーザ変位計171は、回転テーブル2の半径方向の外側に設けられる。レーザ変位計171は、窓111を介して、回転テーブル2の半径方向の外側において、回転テーブル2の上面、基板Wの上面、後述する底面板121の上面等の高さ位置を計測する。
【0046】
窓112の上方には、レーザ変位計172が設けられる。すなわち、レーザ変位計172は、回転テーブル2の半径方向の内側に設けられる。レーザ変位計172は、窓112を介して、回転テーブル2の半径方向の内側において、回転テーブル2の上面、基板Wの上面、後述する底面板121の上面等の高さ位置を計測する。
【0047】
レーザ変位計171、172は、計測値を制御部90に送信する。制御部90は、レーザ変位計171、172の計測値に基づいて、回転テーブル2の外側における載置面と後述する対向面121aとの間の第1距離と、回転テーブル2の内側における載置面と対向面121aとの間の第2距離とを算出する。制御部90は、第1距離及び第2距離に基づいて、回転テーブル2の半径方向における、載置面に対する底面板121の傾きを算出する。レーザ変位計171、172は、例えば二次元レーザ変位計である。
【0048】
窓の数は、2つに限定されない。例えば、回転テーブル2の回転方向の下流側において、回転テーブル2の半径方向の中央に窓が設けられてもよい。すなわち、窓111と窓112との間に窓が設けられてもよい。この場合、回転テーブル2の半径方向の3箇所で載置面に対する底面板121の傾きを算出できるので、傾きの測定精度が向上する。また、回転テーブル2の回転方向の上流側に窓が設けられてもよい。この場合、回転テーブル2の回転方向における、載置面に対する対向面121aの傾きを算出できる。
【0049】
可動部材120は、底面板121と、天井板122と、接続部123とを有する。底面板121、天井板122及び接続部123は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。底面板121、天井板122及び接続部123は、図示の例では別体で形成されているが、一体で形成されてもよい。
【0050】
底面板121は、固定部材110の下面よりも下方に、固定部材110の下面に対して隙間を空けて設けられる。底面板121は、鉛直方向からの平面視において、中心領域Cの側を中心とする略扇形を有する。底面板121は、回転テーブル2の上面(載置面)と対向する対向面121aを有する。対向面121aは、低底面領域121bと、高底面領域121cとを含む(図9参照)。低底面領域121bには、原料ガス供給部121dが設けられる。高底面領域121cには、軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fが設けられる。低底面領域121bは、回転テーブル2の回転方向の上流側に設けられる。原料ガス供給部121d、軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fは、扇形の左右対称の中心よりも回転テーブル2の回転方向の上流側に設けられる。軸側補助ガス供給部121e及び外側補助ガス供給部121fは、原料ガス供給部121dの近傍に設けられ、原料ガス供給部121dから供給される原料ガスの濃度調整を行うことが可能な位置に設けられる。低底面領域121bにおける原料ガス供給部121dよりも上流側には、クリーニングガス供給部121gが設けられる。クリーニングガス供給部121gは、真空容器1内をクリーニングする際にクリーニングガスを供給する。クリーニングガス供給部121gは、設けられなくてもよい。
【0051】
天井板122は、固定部材110の上面よりも上方に、固定部材110の上面に対して隙間を空けて設けられる。天井板122は、底面板121と平行に設けられる。天井板122は、鉛直方向からの平面視において、開口110hよりも大きくかつ固定部材110の外形よりも小さい形状を有する。天井板122は、固定部材110の上面と対向する対向面122aを有する。
【0052】
接続部123は、略円筒形状を有する。接続部123は、開口110hの内径よりも僅かに小さい外径を有する。接続部123は、開口110hに挿通される。接続部123は、底面板121と天井板122とを接続する。
【0053】
調整機構130は、スペーサ131aと、シール部材132a、132bと、調整ボルト133a~133cと、固定ボルト134a~134dとを有する。
【0054】
スペーサ131aは、固定部材110の上面と天井板122の対向面122aとの間に挟まれる。スペーサ131aは、開口110hの内径よりも大きい内径を有する円環板状を有し、接続部123の周囲に設けられる。スペーサ131aは、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。
【0055】
シール部材132aは、固定部材110の上面とスペーサ131aの下面との間に設けられる。シール部材132aは、固定部材110とスペーサ131aとの隙間をシールする。シール部材132aは、例えば弾性を有する樹脂部品により形成される。シール部材132aは、例えばOリングである。
【0056】
シール部材132bは、天井板122の対向面122aとスペーサ131aの上面との間に設けられる。シール部材132bは、天井板122とスペーサ131aとの隙間をシールする。シール部材132bは、例えばシール部材132aと同じ部品により形成される。
【0057】
調整ボルト133a~133cは、天井板122の上方から天井板122を貫通して固定部材110にねじ込まれる。調整ボルト133aは、回転テーブル2の半径方向において接続部123よりも中心領域Cに近い位置に設けられる。調整ボルト133b、133cは、回転テーブル2の半径方向において接続部123よりも中心領域Cから離れた位置に設けられる。調整ボルト133bと調整ボルト133cとは、回転テーブル2の中心からの距離が等しい位置に設けられる。調整ボルト133bは、調整ボルト133cよりも回転テーブル2の回転方向の上流側に設けられる。なお、調整ボルトの数は3つに限定されず、例えば2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0058】
調整ボルト133a~133cは、少なくとも1つのねじ込み量を調整することにより、シール部材132a、132bの潰し率を変化させ、固定部材110に対する可動部材120の上下位置及び傾きを調整するように構成される。調整ボルト133a~133cのねじ込み量は、シール部材132a、132bの潰し率が真空破壊に繋がらない範囲内に設定される。調整ボルト133a~133cのねじ込み量は、例えばシール部材132a、132bの潰し率が10%以上25%以下の範囲内となるように設定される。
【0059】
例えば、全ての調整ボルト133a~133cを締め付けると、固定部材110に対して可動部材120が下方に移動する。これにより、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの隙間が狭くなる。一方、全ての調整ボルト133a~133cを緩めると、固定部材110に対して可動部材120が上方に移動する。これにより、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの隙間が広くなる。このように、全ての調整ボルト133a~133cを締め付ける又は緩めることにより、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの隙間を調整できる。
【0060】
例えば、調整ボルト133b、133cを固定した状態で調整ボルト133aを締め付けると、固定部材110に対して可動部材120の内側が下方に移動する。これにより、可動部材120の内側において、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの間の距離が狭くなる。調整ボルト133aを締め付ける際、調整ボルト133b、133cを緩めてもよい。一方、調整ボルト133aを固定した状態で調整ボルト133b、133cを締め付けると、固定部材110に対して可動部材120の外側が下方に移動する。これにより、可動部材120の外側において、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの間の距離が狭くなる。調整ボルト133b、133cを締め付ける際、調整ボルト133aを緩めてもよい。このように、調整ボルト133a~133cの1つ以上を締め付ける又は緩めることにより、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの隙間のばらつきを調整できる。
【0061】
また、調整ボルト133bと調整ボルト133cの締付を同程度にするために、ダイヤルゲージを配置してもよい。
【0062】
固定ボルト134a~134dは、天井板122の上方から天井板122を貫通して固定部材110にねじ込まれる。固定ボルト134a、134bは、回転テーブル2の半径方向において接続部123よりも中心領域Cに近い位置に設けられる。固定ボルト134c、134dは、回転テーブル2の半径方向において接続部123よりも中心領域Cから離れた位置に設けられる。固定ボルト134a、134bは、回転テーブル2の中心からの距離が等しい位置に設けられる。固定ボルト134aは、固定ボルト134bよりも回転テーブル2の回転方向の上流側に設けられる。固定ボルト134c、134dは、回転テーブル2の中心からの距離が等しい位置に設けられる。固定ボルト134cは、固定ボルト134dよりも回転テーブル2の回転方向の上流側に設けられる。固定ボルト134a~134dは、調整ボルト133a~133cの緩めすぎによる、真空破壊防止のために設けられる。なお、固定ボルトの数は4つに限定されず、例えば2つ又は3つであってもよく、5つ以上であってもよい。また、固定ボルトを設けなくてもよい。
【0063】
以上に説明したシャワーヘッド100は、固定部材110と天井板122との間に挟まれるスペーサ131a及びシール部材132a、132bと、天井板122を貫通して固定部材110にねじ込まれる調整ボルト133a~133cとを有する。これにより、調整ボルト133a~133cを締め付ける又は緩めることにより、シール部材132a、132bの潰し率を変化させ、固定部材110に対する可動部材120の上下位置及び傾きを調整できる。このため、真空容器1内を減圧雰囲気や昇温雰囲気に維持した状態で、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの隙間を調整できる。その結果、隙間を調整する作業に要する時間を短縮できる。
【0064】
また、シャワーヘッド100によれば、真空容器1内の気密性を確保するために、ベローズに代えてスペーサ131a及びシール部材132a、132bが用いられる。これにより、調整機構130の構造がシンプルとなり、基板処理装置において基板Wに膜を堆積させる処理を行う際、調整機構130に反応生成物が堆積しにくい。このため、反応生成物の剥離に伴うパーティクルの発生を抑制できる。
【0065】
図10を参照し、実施形態に係る基板処理装置が備えるシャワーヘッド100の変形例について説明する。図10は、実施形態の変形例に係るシャワーヘッド100Aを示す概略断面図である。
【0066】
シャワーヘッド100Aは、対向面121aと直交する方向に沿って2つのスペーサ131a、131bが積層される点で、シャワーヘッド100と異なる。なお、その他の構成については、シャワーヘッド100と実質的に同じ構成であってよい。以下、シャワーヘッド100と異なる構成を中心に説明する。
【0067】
シャワーヘッド100Aは、固定部材110と、可動部材120と、調整機構130Aとを有する。
【0068】
調整機構130Aは、スペーサ131a、131bと、シール部材132a~132cと、調整ボルト133a~133cと、固定ボルト134a~134dとを有する。
【0069】
スペーサ131a、131bは、固定部材110の上面と天井板122の対向面122aとの間に挟まれる。スペーサ131a、131bは、開口110hの内径よりも大きい内径を有する円環板状を有し、接続部123の周囲に設けられる。スペーサ131a、131bは、固定部材110の側からこの順に積層される。スペーサ131a、131bは、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。
【0070】
シール部材132aは、固定部材110の上面とスペーサ131aの下面との間に設けられる。シール部材132aは、固定部材110とスペーサ131aとの隙間をシールする。シール部材132aは、例えば弾性を有する樹脂部品により形成される。シール部材132aは、例えばOリングである。
【0071】
シール部材132bは、スペーサ131aの上面とスペーサ131bの下面との間に設けられる。シール部材132bは、スペーサ131aとスペーサ131bとの隙間をシールする。シール部材132bは、例えばシール部材132aと同じ部品により形成される。
【0072】
シール部材132cは、天井板122の対向面122aとスペーサ131bの上面との間に設けられる。シール部材132cは、天井板122とスペーサ131bとの隙間をシールする。シール部材132cは、例えばシール部材132aと同じ部品により形成される。
【0073】
以上に説明したシャワーヘッド100Aは、固定部材110と天井板122との間に挟まれるスペーサ131a、131b及びシール部材132a~132cと、天井板122を貫通して固定部材110にねじ込まれる調整ボルト133a~133cとを有する。これにより、調整ボルト133a~133cを締め付ける又は緩めることにより、シール部材132a~132cの潰し率を変化させ、固定部材110に対する可動部材120の上下位置及び傾きを調整できる。このため、真空容器1内を減圧雰囲気や昇温雰囲気に維持した状態で、回転テーブル2の上面と底面板121の対向面121aとの隙間を調整できる。その結果、隙間を調整する作業に要する時間を短縮できる。
【0074】
また、シャワーヘッド100Aによれば、真空容器1内の気密性を確保するために、ベローズに代えてスペーサ131a、131b及びシール部材132a~132cが用いられる。これにより、調整機構130Aの構造がシンプルとなり、基板処理装置において基板Wに膜を堆積させる処理を行う際、調整機構130Aに反応生成物が堆積しにくい。このため、反応生成物の剥離に伴うパーティクルの発生を抑制できる。
【0075】
特に、シャワーヘッド100Aによれば、固定部材110と天井板122との間に3つのシール部材132a~132cが設けられるので、固定部材110に対する可動部材120の上下位置及び傾きの調整範囲を拡大できる。
【0076】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、回転テーブル2とシャワーヘッド100との隙間を調整する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、回転テーブル2と、凸状部4等の別の天井部材との隙間を調整してもよい。この場合、別の天井部材が、固定部材と、可動部材と、調整機構とを有するように構成すればよい。
【0078】
上記の実施形態では、基板処理装置として、回転テーブルの周方向に沿って複数の基板が載置され、回転テーブルの回転により基板Wを公転させる装置を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、基板処理装置は、回転テーブル2の周方向に沿って基板を載置する複数の載置部が設けられ、回転テーブル2の回転により基板Wを公転させながら、回転テーブル2に対して載置部を回転させることで基板Wを自転させる装置であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 真空容器
2 回転テーブル
24 凹部
100、100A シャワーヘッド
110 固定部材
120 可動部材
121a 対向面
130、130A 調整機構
131a、131b スペーサ
132a~132c シール部材
133a~133c 調整ボルト
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器の内部に設けられ、基板を載置する載置面を有する載置部と、
前記載置部の上方に設けられる天井部材と、
を備え、
前記天井部材は、
前記真空容器に固定される固定部材と、
前記固定部材に取り付けられ、前記載置面と対向する第1対向面を有する可動部材と、
前記固定部材と前記可動部材との間に挟まれるスペーサと、
前記固定部材と前記スペーサとの間に設けられる第1シール部材と、
前記可動部材と前記スペーサとの間に設けられる第2シール部材と、
前記可動部材を貫通して前記固定部材にねじ込まれる複数の調整ボルトと、
を有する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記可動部材は、
前記第1対向面を含む底面板と、
前記底面板の上方に設けられ、前記固定部材の上面と対向する第2対向面を有する天井板と、
を有し、
前記スペーサは、前記固定部材の前記上面と前記第2対向面との間に挟まれる、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記スペーサは、前記第1対向面と直交する方向に沿って複数設けられる、
請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記載置部は、回転可能に設けられ、周方向に沿って複数の前記基板を載置する回転テーブルを含み、
前記複数の調整ボルトは、前記回転テーブルの半径方向における異なる位置に設けられる2つ以上の調整ボルトを含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記天井部材は、前記真空容器の内部にガスを噴射するシャワーヘッドである、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記天井部材は、該天井部材の上方から前記載置面を視認可能な窓を有し、
前記窓の上方に設けられ、前記可動部材の高さ位置を計測するレーザ変位計を備える、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、真空容器と、前記真空容器の内部に設けられ、基板を載置する載置面を有する載置部と、前記載置部の上方に設けられる天井部材と、を備え、前記天井部材は、前記真空容器に固定される固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記載置面と対向する第1対向面を有する可動部材と、前記固定部材と前記可動部材との間に挟まれるスペーサと、前記固定部材と前記スペーサとの間に設けられる第1シール部材と、前記可動部材と前記スペーサとの間に設けられる第2シール部材と、前記可動部材を貫通して前記固定部材にねじ込まれる複数の調整ボルトと、を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
容器本体12の内周面は、分離領域Dにおいては、図に示されるように屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成される。一方、容器本体12の内周面は、分離領域D以外の部位においては、図1に示されるように回転テーブル2の外端面と対向する部位から底部14に亘って外側に窪んでいる。以下、説明の便宜上、概ね矩形の断面形状を有する窪んだ部分を排気領域と記す。具体的には、原料ガス供給領域P1に連通する排気領域を第1排気領域E1と記し、反応ガス供給領域P2及び改質領域P3に連通する領域を第2排気領域E2と記す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3