(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117833
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20230817BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20230817BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/00 F
F16B2/08 A
F16B2/08 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020607
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
(72)【発明者】
【氏名】石田 智也
【テーマコード(参考)】
3J022
4E352
5G361
【Fターム(参考)】
3J022DA02
3J022DA11
3J022DA13
3J022EB14
3J022EC14
3J022GB41
4E352AA09
4E352AA16
4E352BB02
4E352BB03
4E352BB05
4E352BB15
4E352CC02
4E352CC40
4E352DD01
4E352DR05
4E352DR17
4E352DR40
4E352GG20
5G361BA01
5G361BA06
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】接続箱本体10へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2を所望される配索経路に位置規制して、第2ワイヤーハーネスWH2の意図しない不具合を防止できる電気接続箱1を提供することを目的とする。
【解決手段】上下方向に沿って組付けられた下部筐体11及び上部筐体12からなる接続箱本体10と、第2ワイヤーハーネスWH2の一端に設けたハーネスコネクタHC2が接続される第2コネクタ4とを備えた電気接続箱1であって、第2ワイヤーハーネスWH2を接続箱本体10に固定するためのクランプ5と、接続箱本体10に一体的に設けられるともに、クランプ5が固定される被固定部14とを備え、被固定部14が、第2コネクタ4へ向けて配索される第2ワイヤーハーネスWH2の配索経路を、クランプ5との協働によって規制する構成であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って組付けられた第1筐体及び第2筐体からなる接続箱本体と、電線の一端に設けた電線側コネクタが接続される接続箱側コネクタとを備えた電気接続箱であって、
前記電線を前記接続箱本体に固定するための固定部材と、
前記接続箱本体に一体的に設けられるともに、前記固定部材が固定される被固定部とを備え、
前記被固定部が、
前記接続箱側コネクタへ向けて配索される前記電線の配索経路を、前記固定部材との協働によって規制する構成である
電気接続箱。
【請求項2】
前記被固定部に、所望される電線の配索方向、または前記所望される電線の配索方向に交差する方向に長い形状の開口で、前記固定部材の係止部が係止される貫通孔が設けられた
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記固定部材を、結束バンドとして、
前記被固定部に、所望される電線の配索方向に対して直交する方向に対向して形成されるとともに、前記結束バンドが挿通される一対の挿通孔が設けられた
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記被固定部が、
前記接続箱本体における前記所定方向の両端面の間に配置された
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電気接続箱。
【請求項5】
対向する一対の対向面部を有するとともに、前記接続箱本体の連続する三つの面を一体的に覆う断面凹形状のカバーが備えられた
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記被固定部が、
前記カバーの前記対向面部を挟んで前記接続箱本体に対向する本体部分と、
前記対向面部の端部を跨いで前記本体部分を前記接続箱本体に連結する連結部分とで構成された
請求項5に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記被固定部が、前記接続箱本体における前記カバーの前記対向面部と対向する部分に設けられ、
前記カバーの前記対向面部に、前記被固定部を露出させる開放部が設けられた
請求項5に記載の電気接続箱。
【請求項8】
前記カバーに、前記被固定部から前記接続箱側コネクタへ向けて配索される前記電線との干渉を防止する切欠き部が設けられた
請求項5から請求項7のいずれか1つに記載の電気接続箱。
【請求項9】
前記カバーが、少なくとも前記接続箱本体及び前記接続箱側コネクタを一体的に覆う形状に形成された
請求項5から請求項8のいずれか1つに記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車などの車両に搭載され、ヒューズなどの電子部品や電子制御回路を実装した回路基板を収容するリレーボックスやヒューズボックスのような電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、ヒューズなどの電子部品や電子制御回路を実装した回路基板を接続箱本体に収容した電気接続箱が、例えばエンジンルームなどに設けられている(特許文献1参照)。
このような電気接続箱は、例えばバッテリーと電装機器との間に配置され、バッテリーや電装機器に対して電線を介して接続されている。この際、電線は、例えばバッテリーと電気接続箱のとの間において、車体の固定箇所にクランプなどを用いて固定されている。
【0003】
ところで、昨今、車両の限られたスペースを有効に活用するために、車両の車体や車載部品に電気接続箱を近づけて配置したいというニーズがある。
しかしながら、車体や車載部品に電気接続箱を近づけて配置した場合、電気接続箱へ向かって配索される電線が、車体や車載部品と接触して意図しない不具合が生じるおそれがある。
【0004】
そこで、電線が固定される被固定部を電気接続箱の周辺部位に設けて、車体や車載部品との接触を避けるように電線の配索経路を規制することが考えられるが、この場合、電線の配索経路の規制に適した位置に、被固定部を設けられる周辺部品が存在しないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑み、接続箱本体へ向かう電線を所望される配索経路に位置規制して、電線の意図しない不具合を防止できる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、所定方向に沿って組付けられた第1筐体及び第2筐体からなる接続箱本体と、電線の一端に設けた電線側コネクタが接続される接続箱側コネクタとを備えた電気接続箱であって、前記電線を前記接続箱本体に固定するための固定部材と、前記接続箱本体に一体的に設けられるともに、前記固定部材が固定される被固定部とを備え、前記被固定部が、前記接続箱側コネクタへ向けて配索される前記電線の配索経路を、前記固定部材との協働によって規制する構成であることを特徴とする。
【0008】
上記接続箱側コネクタは、例えば電力や電気信号が入力される入力側のコネクタ、または電力や電気信号が出力される出力側のコネクタなどのことをいう。
上記固定部材とは、電線を保持するバンドを有するクランプ、結束バンド、あるいは粘着テープなどのことをいう。
上記被固定部とは、接続箱本体から延設された被固定部、または接続箱本体の端面で構成された被固定部などのことをいう。
【0009】
この発明によれば、電線が固定される被固定部を接続箱本体に設けたことにより、電気接続箱は、接続箱本体の近傍において、電線の位置規制を容易にすることができる。
このため、電気接続箱は、電線の配索経路の規制に適した位置に被固定部を設けられる周辺部品がない場合であっても、接続箱側コネクタへ向かう電線を位置規制することができる。
【0010】
さらに、被固定部が接続箱本体に一体的に設けられているため、電気接続箱は、接続箱本体の周辺部品に被固定部を設けた場合に比べて、所望される配索経路に対する電線の組付けバラツキを抑えることができる。
【0011】
これにより、電気接続箱は、接続箱側コネクタへ向かう電線を精度よく位置規制できるため、例えば電線が車体や車載部品に接触することを阻止できる。
よって、電気接続箱は、接続箱本体へ向かう電線を所望される配索経路に位置規制して、電線の意図しない不具合を防止することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記被固定部に、所望される電線の配索方向、または前記所望される電線の配索方向に交差する方向に長い形状の開口で、前記固定部材の係止部が係止される貫通孔が設けられてもよい。
上記貫通孔は、所望される電線の配索方向、または所望される電線の配索方向に交差する方向に長い略長楕円形状の開口、あるいは略矩形の開口などのことをいう。
【0013】
この構成によれば、被固定部の貫通孔に固定部材の係止部が係止されるため、電気接続箱は、例えば既存のクランプなどを、電線を被固定部に固定する固定部材として用いることができる。
【0014】
さらに、所望される電線の配索方向、または所望される電線の配索方向に交差する方向に長い貫通孔のため、電気接続箱は、例えば略円形状の貫通孔に比べて、係止された固定部材の回動を抑えることができる。
【0015】
このため、電気接続箱は、電線の配索方向を安定して維持することができる。
よって、電気接続箱は、接続箱本体へ向かう電線を所望される配索経路に確実に位置規制することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記固定部材を、結束バンドとして、前記被固定部に、所望される電線の配索方向に対して直交する方向に対向して形成されるとともに、前記結束バンドが挿通される一対の挿通孔が設けられてもよい。
【0017】
この構成によれば、電気接続箱は、接続箱本体へ向かう電線を簡素な構成で位置規制することができる。
さらに、一対の挿通孔によって結束バンドの回動を防止できるため、電気接続箱は、電線の配索方向を安定して維持することができる。
よって、電気接続箱は、接続箱本体へ向かう電線を所望される配索経路に確実に位置規制することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記被固定部が、前記接続箱本体における前記所定方向の両端面の間に配置されてもよい。
この構成によれば、電気接続箱は、被固定部が接続箱本体の両端面から突出することがないため、所定方向における電気接続箱の大きさを抑えることができる。これにより、電気接続箱は、レイアウトの自由度を向上でき、例えば車両の限られたスペースへの配置を容易にすることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、対向する一対の対向面部を有するとともに、前記接続箱本体の連続する三つの面を一体的に覆う断面凹形状のカバーが備えられてもよい。
上記カバーは、薄板材あるいはシート材を曲げて形成した断面凹形状のカバー、断面凹形状に成形されたカバーなどのことをいう。さらに上記カバーは、樹脂製または金属製の遮熱カバー、放熱カバー、防滴カバー、あるいは防塵カバーなどのことをいう。
【0020】
この構成によれば、電気接続箱は、水分、熱、あるいは砂塵などから接続箱本体を保護することができる。このため、電気接続箱は、水分、熱、あるいは砂塵などによって、接続箱本体に収容された電子部品や回路基板に意図しない不具合が生じることを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記被固定部が、前記カバーの前記対向面部を挟んで前記接続箱本体に対向する本体部分と、前記対向面部の端部を跨いで前記本体部分を前記接続箱本体に連結する連結部分とで構成されてもよい。
【0022】
この構成によれば、被固定部がカバーを跨ぐ形状に形成されるため、電気接続箱は、カバーに切り欠きを設けることなく、被固定部をカバーの外部に容易に露出させることができる。このため、電気接続箱は、被固定部及び電線を一体的に覆うカバーに比べて、カバーの小型化を図ることができる。
【0023】
さらに、被固定部への電線の固定がカバーによって阻害されないため、電気接続箱は、電線の組付け性を損なうことなく、接続箱本体へ向かう電線を所望される配索経路に位置規制することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記被固定部が、前記接続箱本体における前記カバーの前記対向面部と対向する部分に設けられ、前記カバーの前記対向面部に、前記被固定部を露出させる開放部が設けられてもよい。
【0025】
この構成によれば、カバーの開放部により、電気接続箱は、被固定部をカバーの外部に容易に露出させることができる。このため、電気接続箱は、被固定部及び電線を一体的に覆うカバーに比べて、カバーの小型化を図ることができる。
【0026】
さらに、被固定部への電線の固定がカバーによって阻害されないため、電気接続箱は、電線の組付け性を損なうことなく、接続箱本体へ向かう電線を所望される配索経路に位置規制することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記カバーに、前記被固定部から前記接続箱側コネクタへ向けて配索される前記電線との干渉を防止する切欠き部が設けられてもよい。
この構成によれば、被固定部と切欠き部との協働により、電気接続箱は、接続箱側コネクタと被固定部との間における電線の配策経路を、カバーと干渉することなく接続箱本体に沿うように位置規制することができる。これにより、電気接続箱は、接続箱本体へ向かう電線の配策経路をコンパクトにすることができる。
【0028】
さらに、接続箱側コネクタと被固定部との間において、カバーが電線の一部を覆うため、電気接続箱は、接続箱側コネクタと被固定部との間における電線の一部が、例えば車体や車載部品に接触することを確実に防止できる。
よって、電気接続箱は、限られたスペースへの電線の配策を容易にするとともに、電線の意図しない不具合をより防止することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記カバーが、少なくとも前記接続箱本体及び前記接続箱側コネクタを一体的に覆う形状に形成されてもよい。
この構成によれば、電気接続箱は、接続箱本体だけでなく、接続箱側コネクタの近傍をカバーによって保護することができる。このため、電気接続箱は、例えば水滴などの付着によって、電線と接続箱側コネクタとの電気的接続に意図しない不具合が生じることを防止できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、接続箱本体へ向かう電線を所望される配索経路に位置規制して、電線の意図しない不具合を防止できる電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ワイヤーハーネスが接続された電気接続箱の外観を示す外観斜視図。
【
図2】搭載状態の電気接続箱の概略を側面視で説明する説明図。
【
図3】前方上方視における電気接続箱の分解状態を示す分解斜視図。
【
図4】後方下方視における電気接続箱の分解状態を示す分解斜視図。
【
図6】カバーを取り外した状態における電気接続箱の外観を示す側面図。
【
図8】実施例2における電気接続箱の外観を示す外観斜視図。
【
図9】搭載状態の電気接続箱の概略を側面視で説明する説明図。
【
図10】前方上方視における電気接続箱の分解状態を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0033】
実施例1の電気接続箱1は、例えば自動車などの車両に搭載され、ヒューズなどの電子部品や電子制御回路を実装した回路基板を収容している。このような電気接続箱1について、
図1から
図7を用いて説明する。
【0034】
なお、
図1はワイヤーハーネスが接続された電気接続箱1の外観を示す外観斜視図であり、
図1(a)は前方上方視での電気接続箱1の外観斜視図を示し、
図1(b)は後方下方視での電気接続箱1の外観斜視図を示している。
【0035】
さらに、
図2は搭載状態の電気接続箱1の概略を側面視で説明する説明図を示し、
図3は前方上方視における電気接続箱1の分解斜視図を示し、
図4は後方下方視における電気接続箱1の分解斜視図を示している。
【0036】
加えて、
図5は
図2中のA-A矢視断面図を示し、
図6はカバーを取り外した状態における電気接続箱1の側面図を示し、
図7は電気接続箱1の要部を説明する説明図であり、
図7(a)は
図6中のB-B矢視断面図を示し、
図7(b)は
図6中のC-C矢視断面図を示している。
【0037】
さらにまた、図示を明確にするため、
図5中において第2ワイヤーハーネスWH2及びクランプ5の図示を省略するとともに、
図7中において第2ワイヤーハーネスWH2の図示を省略している。
【0038】
また、
図1(a)中の上側を電気接続箱1の上方向、
図1(a)中の下側を電気接続箱1の下方向として、図中の矢印Xは電気接続箱1の前後方向(以降、前後方向Xと呼ぶ)を示し、矢印Yは前後方向Xに平面視直交する電気接続箱1の幅方向(以降、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
さらに、前後方向Xにおいて、
図1(a)中の右側から左側へ向かう方向を前方とし、
図1(a)中の左側から右側へ向かう方向を後方として説明する。
【0039】
まず、実施例1の電気接続箱1は、
図1に示すように、第1ワイヤーハーネスWH1と第2ワイヤーハーネスWH2との間に配置され、第1ワイヤーハーネスWH1と第2ワイヤーハーネスWH2とを電気的に接続している。
【0040】
さらに、電気接続箱1は、
図2に示すように、例えば車両の車載部品P1の前面に、後述する第2コネクタ4が対向するとともに、後端が車載部品P1に近接するように配置されている。
【0041】
ここで、上述した第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2について詳述する。第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2は、例えば車両の電源と電気機器とを電気的に接続する複数の電線(図示省略)を束ねて構成している。
【0042】
さらに、第1ワイヤーハーネスWH1の一端には、電気接続箱1に接続するためのハーネスコネクタHC1が設けられている。同様に、第2ワイヤーハーネスWH2の一端には、電気接続箱1に接続するためのハーネスコネクタHC2が設けられている。
【0043】
この第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2は、それぞれ所望される配策経路に沿って配策され、その先端が電気接続箱1に接続されている。
具体的には、第1ワイヤーハーネスWH1は、
図1(a)及び
図2に示すように、電気接続箱1の前方において、前方から後方へ向けて略直線的に配策され、その先端がハーネスコネクタHC1を介して電気接続箱1に接続されている。
【0044】
一方、第2ワイヤーハーネスWH2は、
図1(b)及び
図2に示すように、電気接続箱1に対して幅方向Yの一方側に隣接して、前方から後方へ向けて略直線的に配策されたのち、電気接続箱1の下方を通って電気接続箱1の後方へ回り込むように後方下方へ向けて配索されている。
さらに、第2ワイヤーハーネスWH2は、
図2に示すように、車載部品P1を避けるように、電気接続箱1の後方で前方へ向けて曲げ返され、曲げ返された先端がハーネスコネクタHC2を介して電気接続箱1に接続されている。
【0045】
次に、実施例1の電気接続箱1について説明する。電気接続箱1は、
図3から
図5に示すように、内部中空の略箱状の接続箱本体10と、接続箱本体10の内部に収容保持された回路基板2と、ハーネスコネクタHC1を介して第1ワイヤーハーネスWH1が接続される第1コネクタ3とを備えている。
【0046】
さらに、電気接続箱1は、ハーネスコネクタHC2を介して第2ワイヤーハーネスWH2が接続される第2コネクタ4と、第2ワイヤーハーネスWH2を接続箱本体10に固定するためのクランプ5と、接続箱本体10を覆う断面凹形状のカバー6とを備えている。
【0047】
具体的には、接続箱本体10は、
図3から
図5に示すように、例えば車両の所定箇所に固定される下部筐体11と、上方から下方へ向けて下部筐体11に組付けられる上部筐体12とで、内部中空の略箱状に構成されている。
さらに、接続箱本体10は、下部筐体11から幅方向Yへ突出した3つの締結部13と、第2ワイヤーハーネスWH2を保持するクランプ5が固定される1つの被固定部14とを備えている。
【0048】
詳述すると、下部筐体11は、
図3から
図5に示すように、接続箱本体10の底面となる底面部111と、底面部111の縁端から上方へ向けて立設した前壁部112、後壁部113、及び一対の側壁部114とで、上方が開口した略ボックス状に形成されている。
【0049】
下部筐体11の底面部111は、
図5に示すように、上下方向に厚みを有する略板状に形成されている。この底面部111には、
図5に示すように、回路基板2が締結固定される略円柱状のボス部115が上方へ向けて複数立設されている。
【0050】
また、下部筐体11の前壁部112は、前壁部112が底面部111の前端から上方へ向けて立設された略平板状であって、後述する上部筐体12の前壁部122とで接続箱本体10の前面を構成している。
なお、前壁部112には、第1コネクタ3の下部が嵌合する嵌合部(図示省略)が、上端から下方へ向けて切り欠かれて形成されている。
【0051】
また、下部筐体11の後壁部113は、底面部111の後端から上方へ向けて立設された略平板状であって、後述する上部筐体12の後壁部123とで接続箱本体10の後面を構成している。
なお、後壁部113には、第2コネクタ4の下部が嵌合する嵌合部(図示省略)が、上端から下方へ向けて切り欠かれて形成されている。
【0052】
また、下部筐体11の一対の側壁部114は、
図5に示すように、幅方向Yにおける底面部111の両端からそれぞれ上方へ向けて立設された略平板状であって、後述する上部筐体12の一対の側壁部124とで接続箱本体10の側面を構成している。
さらに、側壁部114における外側面の上端には、
図3及び
図6に示すように、上部筐体12が係止される係止爪116が、前後方向Xの略中央に突設されている。
【0053】
また、接続箱本体10の上部筐体12は、
図3から
図5に示すように、接続箱本体10の上面となる上面部121と、上面部121の縁端から下方へ向けて垂設した前壁部122、後壁部123、及び一対の側壁部124とで、下方が開口した略ボックス状に形成されている。
【0054】
上部筐体12の上面部121は、
図5に示すように、下部筐体11の底面部111に略同じ大きさで、上下方向に厚みを有する略平板状に形成されている。
また、上部筐体12の前壁部122は、上面部121の前端から下方へ向けて垂設された略平板状に形成されている。この前壁部122には、第1コネクタ3の上部が嵌合する嵌合部(図示省略)が、下端から上方へ向けて切り欠かれて形成されている。
【0055】
また、上部筐体12の後壁部123は、上面部121の後端から下方へ向けて垂設された略平板状に形成されている。この後壁部123には、第2コネクタ4の上部が嵌合する嵌合部(図示省略)が、下端から上方へ向けて切り欠かれて形成されている。
【0056】
また、上部筐体12の一対の側壁部124は、
図5に示すように、幅方向Yにおける上面部121の両端からそれぞれ下方へ向けて垂設されている。この側壁部124における外側面の下端には、
図3及び
図6に示すように、前後方向Xの略中央において、下部筐体11の係止爪116に係止される係止部125が下方へ向けて形成されている。
【0057】
また、接続箱本体10の3つの締結部13は、下部筐体11の側壁部114の下端から幅方向Yへ突出した平面視略矩形の板状に形成されている。この締結部13には、
図4に示すように、車両の所定箇所に固定するためのボルトBが挿通される挿通孔13aが、上下方向に貫通して開口形成されている。
【0058】
具体的には、3つの締結部13は、
図4に示すように、下部筐体11の一方の側壁部114(以降、第1側壁部114Aと呼ぶ)に、前後方向Xに所定間隔を隔てて設けた2つの締結部13と、下部筐体11の他方の側壁部114(以降、第2側壁部114Bと呼ぶ)における前部に設けた1つの締結部13とで構成されている。
【0059】
また、接続箱本体10の被固定部14は、
図3及び
図4に示すように、下部筐体11の第2側壁部114Bに設けた締結部13の後方において、第2側壁部114Bの下端から幅方向Yへ向けて形成されている。
この被固定部14は、第2コネクタ4へ向けて配索される第2ワイヤーハーネスWH2の配索経路を、クランプ5との協働によって規制している。
【0060】
詳述すると、被固定部14は、
図5に示すように、幅方向Yに所定間隔を隔てて第2側壁部114Bに対向する本体部分141と、本体部分141の下端を幅方向Yに沿って第2側壁部114Bの下端に連結する連結部分142と、本体部分141と連結部分142とに跨って立設された一対の補強壁部143で構成されている。
【0061】
被固定部14の本体部分141は、
図5及び
図6に示すように、幅方向Yに厚みを有する略平板状であって、後述するカバー6の対向面部62を挟んで、下部筐体11の第2側壁部114Bに対向配置されている。
【0062】
この本体部分141は、
図6に示すように、上下方向の長さが下部筐体11よりも長く、かつ接続箱本体10よりも短い形状に形成されている。
なお、本体部分141は、
図6に示すように、側面視において、その下端が下部筐体11の下端に略一致するように配置されている。
【0063】
さらに、本体部分141には、
図3及び
図6に示すように、クランプ5が係止される貫通孔14aが、幅方向Yに貫通して開口形成されている。
より詳しくは、貫通孔14aは、
図6に示すように、側面視略長楕円形状の開口であって、略長楕円形状の長軸方向が、前方から後方下方へ向けて配索される第2ワイヤーハーネスWH2の配策方向に略平行となるように開口形成されている。
【0064】
また、被固定部14の連結部分142は、
図5に示すように、上下方向に厚みを有する板状に形成されている。
また、被固定部14の一対の補強壁部143は、
図3及び
図4に示すように、前後方向Xに厚みを有する板状であって、一方の補強壁部143が、本体部分141の前端と連結部分142の前端とに跨るように形成され、他方の補強壁部143が、本体部分141の後端と連結部分142の後端とに跨るように形成されている。
【0065】
また、電気接続箱1の回路基板2は、図示を省略したヒューズなどの電子部品や電子制御回路が実装されている。この回路基板2は、
図5に示すように、厚み方向を上下方向として、接続箱本体10の内部に収容され、下部筐体11のボス部115にビスSを用いて締結固定されている。
【0066】
また、電気接続箱1の第1コネクタ3は、
図3に示すように、一端が回路基板2の前端近傍に固定され、他端が接続箱本体10の前面よりも前方に露出した状態で、下部筐体11及び上部筐体12に挟持されている。この第1コネクタ3は、詳細な図示を省略するが、回路基板2に接続される複数の端子と、複数の端子を一体的に覆うコネクタハウジングとで構成されている。
【0067】
また、電気接続箱1の第2コネクタ4は、
図4に示すように、一端が回路基板2の後端近傍に固定され、他端が接続箱本体10の後面よりも後方に露出した状態で、下部筐体11及び上部筐体12に挟持されている。この第2コネクタ4は、詳細な図示を省略するが、回路基板2に接続される複数の端子と、複数の端子を一体的に覆うコネクタハウジングとで構成されている。
【0068】
また、電気接続箱1のクランプ5は、
図2及び
図7に示すように、接続箱本体10の貫通孔14aに係止される係止部51と、第2ワイヤーハーネスWH2を保持するクランプ体52とで構成されている。
【0069】
より詳しくは、クランプ5の係止部51は、
図7に示すように、接続箱本体10の貫通孔14aに略同じ大きさの略長楕円形状の柱状体であって、貫通孔14aに係止される爪部分51aが、略長楕円形状の長軸方向に対向して形成されている。
【0070】
一方、クランプ5のクランプ体52は、係止部51の短軸方向へ向けて延びる略帯状のバンド部52aと、第2ワイヤーハーネスWH2に巻き回したバンド部52aの先端が係止されるロック部52bとを備えている。
【0071】
このような構成のため、クランプ5は、接続箱本体10の貫通孔14aに係止された状態において、幅方向Yを中心とする係止部51の回動が貫通孔14aによって規制される。
【0072】
さらに、接続箱本体10の貫通孔14aに係止された状態において、クランプ5のバンド部52aが、貫通孔14aの短軸方向へ向けて延びることになる。このため、バンド部52aが第2ワイヤーハーネスWH2を保持した状態において、クランプ5は、第2ワイヤーハーネスWH2の配策方向を、貫通孔14aの長軸方向に沿った方向に規制している。
【0073】
また、電気接続箱1のカバー6は、
図1及び
図5に示すように、接続箱本体10を保護するカバーであって、薄板状の樹脂シートを折り曲げて、接続箱本体10の連続する三つの面と、第1コネクタ3及び第2コネクタ4とを一体的に覆う断面凹形状に形成されている。
このカバー6は、接続箱本体10に対して上方から被せるように組付けられ、接続箱本体10とともに車両の所定箇所にボルトBを用いて固定されている。
【0074】
具体的には、カバー6は、
図4及び
図5に示すように、接続箱本体10の上面に載置される載置面部61と、幅方向Yで対向する一対の対向面部62とで、下方が開口した断面凹形状に形成されている。
加えて、カバー6には、対向面部62の下端から幅方向Yへ突出した3つの突出片部63が一体形成されている。
【0075】
さらに詳述すると、カバー6の載置面部61は、
図5に示すように、上下方向に厚みを有する平面視略矩形の平板状に形成されている。この載置面部61は、
図2及び
図5に示すように、第1コネクタ3の先端から第2コネクタ4の前端に至る前後方向Xの長さよりも長い前後方向Xの長さと、接続箱本体10の幅方向Yの長さよりも僅かに長い幅方向Yの長さとを有する形状に形成されている。
【0076】
また、カバー6の一対の対向面部62は、
図2及び
図5に示すように、載置面部61における幅方向Yの両端から下方へ向けて垂設された側面視略矩形の平板状に形成されている。この対向面部62は、
図5に示すように、接続箱本体10の上面から被固定部14の連結部分142に至る上下方向の長さよりも僅かに短い上下方向の長さに形成されている。
【0077】
また、カバー6の突出片部63は、
図4及び
図5に示すように、接続箱本体10の締結部13の上面に重なり合うように、対向面部62の下端から幅方向Yへ突設されている。この突出片部63には、締結部13の挿通孔13aに連通して、ボルトBが挿通される挿通孔(符号省略)が開口形成されている。
このような構成により、実施例1の電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH2の位置規制と、接続箱本体10の保護とを実現している。
【0078】
以上のように、実施例1の電気接続箱1は、上下方向に沿って組付けられた下部筐体11及び上部筐体12からなる接続箱本体10と、第2ワイヤーハーネスWH2の一端に設けたハーネスコネクタHC2が接続される第2コネクタ4とを備えたものである。
【0079】
さらに、電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH2を接続箱本体10に固定するためのクランプ5と、接続箱本体10に一体的に設けられるともに、クランプ5が固定される被固定部14とを備えたものである。
そして、被固定部14が、第2コネクタ4へ向けて配索される第2ワイヤーハーネスWH2の配索経路を、クランプ5との協働によって規制する構成である。
【0080】
この構成によれば、第2ワイヤーハーネスWH2が固定される被固定部14を接続箱本体10に設けたことにより、電気接続箱1は、接続箱本体10の近傍において、第2ワイヤーハーネスWH2の位置規制を容易にすることができる。
【0081】
このため、電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH2の配索経路の規制に適した位置に被固定部を設けられる周辺部品がない場合であっても、第2コネクタ4へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2を位置規制することができる。
【0082】
さらに、被固定部14が接続箱本体10に一体的に設けられているため、電気接続箱1は、接続箱本体10の周辺部品に被固定部を設けた場合に比べて、所望される配索経路に対する第2ワイヤーハーネスWH2の組付けバラツキを抑えることができる。
【0083】
これにより、電気接続箱1は、第2コネクタ4へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2を精度よく位置規制できるため、例えば第2ワイヤーハーネスWH2が車体や車載部品に接触することを阻止できる。
よって、電気接続箱1は、接続箱本体10へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2を所望される配索経路に位置規制して、第2ワイヤーハーネスWH2の意図しない不具合を防止することができる。
【0084】
また、被固定部14は、所望される第2ワイヤーハーネスWH2の配索方向に長い形状の開口で、クランプ5の係止部51が係止される貫通孔14aが設けられたものである。
この構成によれば、被固定部14の貫通孔14aにクランプ5の係止部51が係止されるため、電気接続箱1は、例えば既存のクランプ5を、第2ワイヤーハーネスWH2を被固定部14に固定する固定部材として用いることができる。
【0085】
さらに、所望される第2ワイヤーハーネスWH2の配索方向に長い貫通孔14aのため、電気接続箱1は、例えば略円形状の貫通孔に比べて、係止されたクランプ5の回動を抑えることができる。
【0086】
このため、電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH2の配索方向を安定して維持することができる。
よって、電気接続箱1は、接続箱本体10へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2を所望される配索経路に確実に位置規制することができる。
【0087】
また、被固定部14が、接続箱本体10の上面と接続箱本体10の底面との間に配置されたものである。
この構成によれば、電気接続箱1は、被固定部14が接続箱本体10の上面及び底面から突出することがないため、上下方向における電気接続箱1の大きさを抑えることができる。これにより、電気接続箱1は、レイアウトの自由度を向上でき、例えば車両の限られたスペースへの配置を容易にすることができる。
【0088】
また、電気接続箱1は、対向する一対の対向面部62を有するとともに、接続箱本体10の連続する三つの面を一体的に覆う断面凹形状のカバー6が備えられたものである。
この構成によれば、電気接続箱1は、水分などから接続箱本体10を保護することができる。このため、電気接続箱1は、水分などによって、接続箱本体10に収容された電子部品や回路基板2に意図しない不具合が生じることを防止できる。
【0089】
また、被固定部14が、カバー6の対向面部62を挟んで接続箱本体10に対向する本体部分141と、対向面部62の下端を跨いで本体部分141を接続箱本体10に連結する連結部分142とで構成されたものである。
【0090】
この構成によれば、被固定部14がカバー6を跨ぐ形状に形成されるため、電気接続箱1は、カバー6に切り欠きを設けることなく、被固定部14をカバー6の外部に容易に露出させることができる。このため、電気接続箱1は、被固定部14及び第2ワイヤーハーネスWH2を一体的に覆うカバーに比べて、カバー6の小型化を図ることができる。
【0091】
さらに、被固定部14への第2ワイヤーハーネスWH2の固定がカバー6によって阻害されないため、電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH2の組付け性を損なうことなく、接続箱本体10へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2を所望される配索経路に位置規制することができる。
【0092】
また、カバー6が、少なくとも接続箱本体10及び第2コネクタ4を一体的に覆う形状に形成されたものである。
この構成によれば、電気接続箱1は、接続箱本体10だけでなく、第2コネクタ4の近傍をカバー6によって保護することができる。このため、電気接続箱1は、例えば水滴などの付着によって、第2ワイヤーハーネスWH2と第2コネクタ4との電気的接続に意図しない不具合が生じることを防止できる。
ここで、上述した第1ワイヤーハーネスWH3及び第2ワイヤーハーネスWH4について詳述する。第1ワイヤーハーネスWH3及び第2ワイヤーハーネスWH4は、例えば車両の電源と電気機器とを電気的に接続する複数の電線(図示省略)を束ねて構成している。
さらに、第1ワイヤーハーネスWH3の一端には、電気接続箱1に接続するためのハーネスコネクタHC3が設けられている。同様に、第2ワイヤーハーネスWH4の一端には、電気接続箱1に接続するためのハーネスコネクタHC4が設けられている。
さらに、電気接続箱1は、ハーネスコネクタHC4を介して第2ワイヤーハーネスWH4が接続される第2コネクタ8と、第2ワイヤーハーネスWH4を接続箱本体20に固定するためのクランプ5と、接続箱本体20を覆う断面凹形状のカバー9とを備えている。
この上部筐体21は、上面部211が実施例1の下部筐体11の底面部111に略同じ形状に形成され、前壁部212が実施例1の下部筐体11の後壁部113に略同じ形状に形成されている。
さらに、上部筐体21は、後壁部が実施例1の下部筐体11の前壁部112に略同じ形状に形成され、側壁部213が実施例1の下部筐体11の側壁部114に略同じ形状に形成されている。
この下部筐体22は、底面部221が実施例1の上部筐体12の上面部121に略同じ形状に形成され、前壁部222が実施例1の上部筐体12の後壁部123に略同じ形状に形成されている。
さらに、下部筐体22は、後壁部が実施例1の上部筐体12の前壁部122に略同じ形状に形成され、側壁部213が実施例1の上部筐体12の側壁部124に略同じ形状に形成されている。
また、電気接続箱1の第1コネクタ7は、一端が回路基板2の後端近傍に固定され、他端が接続箱本体20の後面よりも後方に露出した状態で、上部筐体21及び下部筐体22に挟持されている。この第1コネクタ7は、実施例1の第1コネクタ3と同様に、回路基板2に接続される複数の端子と、複数の端子を一体的に覆うコネクタハウジングとで構成されている。
また、電気接続箱1の第2コネクタ8は、一端が回路基板2の前端近傍に固定され、他端が接続箱本体20の前面よりも前方に露出した状態で、上部筐体21及び下部筐体22に挟持されている。この第2コネクタ8は、実施例1の第2コネクタ4と同様に、回路基板2に接続される複数の端子と、複数の端子を一体的に覆うコネクタハウジングとで構成されている。
具体的には、開放部92aは、被固定部24の本体部分241に略同じ前後方向Xの位置において、対向面部92の下端から上端に至る範囲を側面視略矩形に切り欠いて形成されている。
なお、開放部92aは、被固定部24に略同じ前後方向Xの長さで切り欠かれている。
一方、切欠き部92bは、第2コネクタ8へ向かう第2ワイヤーハーネスWH4に重なり合う部分を除去するように、対向面部92の前端から後方へ向けて側面視略矩形に切り欠いて形成している。
なお、突出片部93は、樹脂シートを薄板状に展開した展開状態における対向面部92に一体的に形成され、展開形状の対向面部92を折り曲げる際、対向面部92に設けた切り込みに沿って切断された部分で構成されている。
このような構成により、実施例2の電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH4の位置規制と、接続箱本体20の保護とを実現している。
以上のように、実施例2の電気接続箱1は、上下方向に沿って組付けられた下部筐体22及び上部筐体21からなる接続箱本体20と、第2ワイヤーハーネスWH4の一端に設けたハーネスコネクタHC4が接続される第2コネクタ8とを備えたものである。
さらに、電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH4を接続箱本体20に固定するためのクランプ5と、接続箱本体20に一体的に設けられるともに、クランプ5が固定される被固定部24とを備えたものである。
そして、被固定部24が、第2コネクタ8へ向けて配索される第2ワイヤーハーネスWH4の配索経路を、クランプ5との協働によって規制する構成である。
この構成によれば、電気接続箱1は、上述の実施例1と同様に、接続箱本体20へ向かう第2ワイヤーハーネスWH4を所望される配索経路に位置規制して、第2ワイヤーハーネスWH4の意図しない不具合を防止することができる。
さらに、実施例2の電気接続箱1は、被固定部24が、接続箱本体20におけるカバー9の対向面部92と対向する部分に設けられたものである。さらに、電気接続箱1は、カバー9の対向面部92に、被固定部24を露出させる開放部92aが設けられたものである。
この構成によれば、カバー9の開放部92aにより、電気接続箱1は、被固定部24をカバー9の外部に容易に露出させることができる。このため、電気接続箱1は、被固定部24及び第2ワイヤーハーネスWH4を一体的に覆うカバーに比べて、カバー9の小型化を図ることができる。
さらに、被固定部24への第2ワイヤーハーネスWH4の固定がカバー9によって阻害されないため、電気接続箱1は、第2ワイヤーハーネスWH4の組付け性を損なうことなく、接続箱本体20へ向かう第2ワイヤーハーネスWH4を所望される配索経路に位置規制することができる。
また、電気接続箱1は、カバー9に、被固定部24から第2コネクタ8へ向けて配索される第2ワイヤーハーネスWH4との干渉を防止する切欠き部92bが設けられたものである。
この構成によれば、被固定部24と切欠き部92bとの協働により、電気接続箱1は、第2コネクタ8と被固定部24との間における第2ワイヤーハーネスWH4の配策経路を、カバー9と干渉することなく接続箱本体20に沿うように位置規制することができる。これにより、電気接続箱1は、接続箱本体20へ向かう第2ワイヤーハーネスWH4の配策経路をコンパクトにすることができる。
さらに、第2コネクタ8と被固定部24との間において、カバー9が第2ワイヤーハーネスWH4の一部を覆うため、電気接続箱1は、第2コネクタ8と被固定部24との間における第2ワイヤーハーネスWH4の一部が、例えば車体や車載部品に接触することを確実に防止できる。
よって、電気接続箱1は、限られたスペースへの第2ワイヤーハーネスWH4の配策を容易にするとともに、第2ワイヤーハーネスWH4の意図しない不具合をより防止することができる。
具体的には、例えば上述した実施形態において、第2ワイヤーハーネスWH2,WH4がクランプ5によって固定される電気接続箱1としたが、これに限定せず、少なくとも1本の電線がクランプ5によって固定される電気接続箱1であってもよい。
また、接続箱本体10,20の内部に回路基板2が収容保持された構成としたが、これに限定せず、第1コネクタと第2コネクタとを電気的に接続する部品であれば、例えばバスバーなどが収容保持された接続箱本体であってもよい。
また、接続箱本体10,20を覆うカバーは、接続箱本体へ向けて放射される熱を遮断する遮熱カバー、接続箱本体の熱を放熱する放熱カバー、接続箱本体への水滴の付着を防止する防滴カバー、あるいは接続箱本体を粉塵から保護する防塵カバーなどであってもよい。
また、カバー6,9が、接続箱本体10,20の上面に載置される載置面部61,91を備えた構成としたが、これに限定せず、カバーは、載置面部に替えて、接続箱本体の上面に対して僅かに離間した位置で、接続箱本体の上面を覆う天面部を備えた構成であってもよい。
また、カバー6,9を接続箱本体10,20の上面及び側面を覆う構成としたが、これに限定せず、接続箱本体10,20の連続する三つの面を覆うカバーであれば、接続箱本体10,20の上面、側面、及び底面を覆うカバー、接続箱本体の上面、前面、底面を覆うカバーなどであってもよい。
また、カバー6,9を、接続箱本体10,20とともに車両の所定箇所にボルトBによって固定される構成としたが、これに限定せず、カバー6,9は、接続箱本体10,20に係止によって固定される、あるいは粘着テープによって固定される構成であってもよい。
また、略平坦な外面を有する接続箱本体10,20を用いて説明したが、接続箱本体は、適宜の形状であってもよい。例えば、接続箱本体10,20の上面が、上方へ突出した段付き部分を有する形状であってもよい。この場合、カバーは、段付き部分を覆う凸部分を載置面部に有する形状、あるいは段付き部分を外部に露出させる開口を載置面部に設けた形状とする。
また、実施例2において、接続箱本体20から延設された被固定部24としたが、これに限定せず、接続箱本体20の側面で構成された被固定部であってもよい。この際、接続箱本体20の側面にクランプ5が係止される貫通孔を開口形成する。
このような構成の場合であっても、電気接続箱1は、カバー9の開放部を介して、被固定部を外部に露出させることができる。
また、被固定部14,24の貫通孔14a,24aを、長軸方向が第2コネクタ4,8へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2,WH4の配策方向に略平行な側面視略長楕円形状に形成したが、これに限定せず、第2コネクタへ向かう第2ワイヤーハーネスの配策方向に長い適宜の形状に形成してもよい。
例えば被固定部14,24の貫通孔は、第2コネクタへ向かう第2ワイヤーハーネスの配策方向に長い側面視略矩形の開口であってもよい。この場合、クランプ5の係止部を、貫通孔の開口形状に応じて、第2ワイヤーハーネスの配策方向に長い形状に形成する。
また、被固定部14,24の貫通孔は、第2ワイヤーハーネスの配策方向に交差する方向に長い形状の開口であってもよい。例えば被固定部の貫通孔は、長軸方向が第2ワイヤーハーネスの配策方向に直交する方向に略平行な側面視略長楕円形状に形成してもよい。この場合、クランプの係止部は、第2ワイヤーハーネスの配策方向に直交する方向に長い略長楕円形状の柱状体に形成する。
この構成によれば、電気接続箱は、上述した実施例1及び実施例2と同様に、略円形状の貫通孔に比べてクランプの回動を抑えられるため、第2ワイヤーハーネスの配索方向を安定して維持することができる。これにより、電気接続箱は、接続箱本体へ向かう第2ワイヤーハーネスを所望される配索経路に確実に位置規制することができる。
また、クランプ5の係止部51を、長軸方向に爪部分51aを有する形状としたが、これに限定せず、クランプ5の係止部は、短軸方向に爪部分を有する形状であってもよい。
また、電気接続箱1の被固定部は、上述した実施例1及び実施例2に限定せず、固定部材との協働によって、第2ワイヤーハーネスの配策経路を規制可能であれば、適宜の構成であってもよい。
例えば実施例1において、第2ワイヤーハーネスWH2を被固定部14に固定する部材として結束バンドを用い、被固定部14には、結束バンドが挿通される一対の挿通孔を形成してもよい。この場合、一対の挿通孔は、第2コネクタ4へ向かう第2ワイヤーハーネスWH2の配策方向に対して直交する方向に対向して開口する。
あるいは、被固定部を、所望される第2ワイヤーハーネスの配策方向に沿って延びる形状に形成し、粘着テープを固定部材として用いて第2ワイヤーハーネスを固定する構成であってもよい。
この構成の場合、所望される第2ワイヤーハーネスの配策方向に対して略直交する方向に粘着テープが巻着されるため、電気接続箱は、接続箱本体へ向かう第2ワイヤーハーネスを簡素な構成で位置規制することができる。