(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118257
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備
(51)【国際特許分類】
C04B 7/44 20060101AFI20230818BHJP
F23G 5/50 20060101ALI20230818BHJP
F23K 1/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
C04B7/44
F23G5/50 R
F23K1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021111
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 知昭
(72)【発明者】
【氏名】山口 敦至
(72)【発明者】
【氏名】丸屋 英二
(72)【発明者】
【氏名】藤田 侑亮
(72)【発明者】
【氏名】中河 久典
【テーマコード(参考)】
3K062
4G112
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AC13
3K062AC17
3K062CB01
3K062DA36
4G112KA02
4G112KA03
(57)【要約】
【課題】燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いてもセメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカ製造用の燃料の分別装置を提供すること。
【解決手段】セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置100であって、廃棄物を含む燃料に電磁波を照射して電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つに関する情報を取得し、当該情報を用いて発熱量を予測する予測装置20と、発熱量の予測結果に基づいて、少なくとも、第1分別燃料と第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部40と、を有する、燃料の分別装置100を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントクリンカ製造用の燃料の分別方法であって、
廃棄物を含む前記燃料に電磁波を照射して、前記電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つに関する情報を取得し、当該情報を用いて発熱量を予測する予測工程と、
前記発熱量の予測結果に基づいて、前記燃料を、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法。
【請求項2】
前記予測工程では前記情報を用いて前記燃料の含有成分又は成分含有量を予測し、
前記分別工程ではその予測結果に基づいて前記燃料を分別する、請求項1に記載の燃料の分別方法。
【請求項3】
前記第1分別燃料は5000kcal/kg以上の発熱量を有する、請求項1又は2に記載の燃料の分別方法。
【請求項4】
前記情報に基づいて、分別された前記複数の分別燃料のうち、少なくとも一つの分別燃料の塩素含有量を予測する、請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項5】
前記予測工程では、前記情報に基づいて前記燃料に含まれるCFRPの有無又は含有量を予測し、
前記分別工程では、その予測結果に基づいて、前記燃料からCFRPを含む第3分別燃料を分別する、請求項1~4のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項6】
前記予測工程では、レーザー、赤外線及びX線からなる群より選ばれる少なくとも一つの光源と検出器とを備える光学識別装置を用いて、前記燃料のスペクトルを含む前記情報を取得する、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項7】
前記廃棄物は、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、金属、布、及び皮からなる群より選ばれる2つ以上を含んでおり、
前記予測工程では、前記燃料を搬送部で搬送しながら前記電磁波を照射する、請求項1~6のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項8】
前記予測工程の前に、前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕工程を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項9】
前記電磁波が照射される前記燃料の粒径が35mm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項10】
セメント原料を仮焼炉で仮焼してセメントキルンで焼成する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、
前記加熱工程では、請求項1~9のいずれか一項に記載の分別方法で分別された前記複数の分別燃料の少なくとも一つを用いて前記セメントキルン及び前記仮焼炉の少なくとも一方を加熱する、セメントクリンカの製造方法。
【請求項11】
前記加熱工程では、前記分別方法で分別された前記複数の分別燃料のそれぞれの発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節する、請求項10に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項12】
前記加熱工程では、前記第1分別燃料を前記セメントキルンの燃料とし、前記第2分別燃料を前記仮焼炉の燃料とする、請求項10又は11に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項13】
前記加熱工程において、前記仮焼炉で用いる燃料を前記第2分別燃料から前記第1分別燃料に変更する際に、前記第2分別燃料の供給量よりも前記第1分別燃料の供給量を少なくする、請求項10~12のいずれか一項に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項14】
前記第1分別燃料に含まれる塩素含有量の予測結果に応じて、塩素バイパス部のガス抽気量を調節する、請求項10~13のいずれか一項に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項15】
前記燃料を複数に分別した後、タンクに貯留される前記第1分別燃料の塩素含有量の予測結果が閾値を超えるときは、前記タンクに貯留される前記第1分別燃料を前記仮焼炉に供給する、請求項10~14のいずれか一項に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項16】
セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置であって、
廃棄物を含む前記燃料に電磁波を照射して前記電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つに関する情報を取得し、当該情報を用いて発熱量を予測する予測装置と、
前記発熱量の予測結果に基づいて、少なくとも、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置。
【請求項17】
前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕部と、前記破砕部で破砕された前記燃料を搬送する搬送部と、を備え、
前記予測装置では、前記搬送部で前記燃料を搬送しながら前記電磁波を照射する、請求項16に記載の燃料の分別装置。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の分別装置と、当該分別装置で分別された前記複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、仮焼炉と、セメントキルンと、を備え、
前記複数のタンクにそれぞれ貯留される前記複数の分別燃料を、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方で燃料として使用する、セメントクリンカの製造設備。
【請求項19】
前記分別装置で分別された前記複数の分別燃料のそれぞれの発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節する、請求項18に記載のセメントクリンカの製造設備。
【請求項20】
前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第1分別燃料が前記セメントキルンへ供給され、前記第1分別燃料を供給する前記タンクとは異なる、前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第2分別燃料が前記仮焼炉へ供給される、請求項18又は19に記載のセメントクリンカの製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントクリンカの製造設備では、廃プラスチックを含む廃棄物を燃料として利用している。廃プラスチックを含む廃棄物には、プラスチック類、紙、及び木屑などの種々の成分が含まれる。また、プラスチック類としても多様な種類がある。これらの割合は、原料受け入れ設備において受け入れた廃棄物ごとに大きく異なるのが現状である。例えば高発熱量のプラスチックが多く含有されている廃棄物もあれば、低発熱量の紙及び木屑が多く含有されている廃棄物もある。
【0003】
このような廃プラスチックを含む廃棄物をセメントクリンカの製造設備で燃料として利用する方法として、特許文献1では、発熱量の異なる廃棄物の使用量を、特定の関係式を満たすように都度調整し、セメントクリンカの焼成温度の変動を抑制する技術が提案されている。
【0004】
一方、非特許文献1では、家電及び自動車など、複雑な組成を有する製品の廃棄物の選別精度を高めるため、種々のセンサー選別技術が挙げられている。物体情報の検出には、γ線からマイクロ波までの電磁波を用いて、赤外線吸収スペクトル、X線透過率、ラマンスペクトル等の種々の検出情報を取得し、これらの検出情報に基づいて物体を識別する方法が挙げられている。また、このような物体の識別は、ピークの高さ又は面積値等に基づいて閾値を設定すること、或いは、多変量解析又はニューラルネットワークといったデータ全域の類似性に基づいて行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】古屋仲茂樹,“資源リサイクリングにおけるセンサー選別技術の最近の傾向”,Journal of MMIJ,Vol.129,2013年,No.10,11,p.615-624
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セメントクリンカの製造設備は、今後も多量の廃棄物を処理することが求められる。一方で、これまでの処理方法では、使用する廃棄物の発熱量が変動した場合には、セメントクリンカ製造装置内の温度変動が生じ、運転調整の頻度が増加することが懸念される。
【0008】
そこで、本発明では、燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカの製造方法、及び、セメントクリンカの製造設備を提供する。また、燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いてもセメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカ製造用の燃料の分別方法、及び、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一つの側面において、セメントクリンカ製造用の燃料の分別方法であって、廃棄物を含む燃料に電磁波を照射して、電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つに関する情報を取得し、当該情報を用いて発熱量を予測する予測工程と、発熱量の予測結果に基づいて、燃料を、第1分別燃料と第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法を提供する。
【0010】
上記分別方法では、燃料に電磁波を照射して取得した情報を取得して発熱量を予測し、その予測結果に基づいて第1分別燃料と第2分別燃料とを含む複数の燃料に分別している。このため、セメントクリンカの製造に用いられる種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を、円滑に複数に分別することができる。そして、セメントクリンカを製造する際に、発熱量の予測結果に基づいて分別された複数の分別燃料のそれぞれの導入位置を別々にしたり、個別に導入量を調節したりすることができる。これによって、廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカを製造する際の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0011】
上記予測工程では上記情報を用いて燃料の含有成分又は成分含有量を予測し、上記分別工程ではその予測結果に基づいて燃料を分別することが好ましい。これによって、セメントクリンカの製造において、含有成分又は成分含有量を予測結果に応じて、複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択したり、個別に導入量を調節したりすることができる。したがって、廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカを製造する際の運転変動が一層抑制され、セメントクリンカの製造を一層安定的に継続することができる。
【0012】
第1分別燃料は5000kcal/kg以上の発熱量を有することが好ましい。このような第1分別燃料は、十分に高い発熱量を有することから、セメントキルンに導入しても、セメントキルンの温度低下を抑制することができる。したがって、微粉炭等の化石燃料の代替として好適に使用することができる。
【0013】
上記分別方法では、上記情報に基づいて、分別された複数の分別燃料のうち、少なくとも一つの分別燃料の塩素含有量を予測することが好ましい。第1分別燃料は第2分別燃料よりも発熱量が高いため、セメントキルンの燃料として好適に使用することができる。ここで、セメントキルンへの塩素の導入量が増加すると、キルン内においてコーティングの要因になり得る。このため、塩素含有量を予測しておけば、塩素含有量に応じて第1分別燃料のセメントキルンへの導入量を制限したり、セメントキルンへの導入を停止したりすることができる。また、第1分別燃料以外の分別燃料の塩素含有量を予測しておけば、セメントクリンカ製造装置に持ち込まれる合計の塩素量を予測することができる。予測結果に応じて塩素バイパス部に導入されるガス抽気量を調節すれば、セメントクリンカ製造装置におけるコーティングの生成を抑制することができる。したがって、セメントクリンカ製造装置の安定運転を長期間にわたって継続することができる。
【0014】
上記予測工程では、上記情報に基づいて燃料に含まれるCFRPの有無又は含有量を予測し、上記分別工程では、その予測結果に基づいて、燃料からCFRPを含む第3分別燃料を分別することが好ましい。CFRPが一度に大量にセメントクリンカ製造装置に燃料として導入されると、燃え残りが生じ、セメントクリンカ製造装置に備えられる電気集塵機の短絡が生じやすくなる。燃料からCFRPを含む第3分別燃料を分別すれば、第3分別燃料の導入量を調節することによって、CFRPが瞬間的に大量にセメントクリンカ製造装置に導入されることを抑制できる。これによって、廃棄物がCFRPを含んでいても、セメントクリンカの製造を十分安定的に継続することができる。
【0015】
上記予測工程では、レーザー、赤外線及びX線からなる群より選ばれる少なくとも一つの光源と検出器とを備える光学識別装置を用いて、燃料のスペクトルを含む上記情報を取得することが好ましい。これによって、燃料の発熱量を高い精度で予測することができる。このように高い精度で予測された予測結果に基づいて分別された複数の燃料を用いることによって、セメントクリンカの製造の際の運転変動がより一層抑制され、セメントクリンカの製造をより一層安定的に継続することができる。
【0016】
廃棄物は、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、金属、布、及び皮からなる群より選ばれる2つ以上を含んでおり、予測工程では、燃料を搬送部で搬送しながら電磁波を照射することが好ましい。上記予測工程では、電磁波を照射して得られる情報を用いて発熱量を予測している。このような方法であることから、廃棄物が種々の材質のものを含んでいて搬送部で搬送されていても、発熱量に応じて円滑に分別することができる。したがって、分別燃料及びセメントクリンカの生産性を十分に高くすることができる。
【0017】
上記分別方法は、予測工程の前に、廃棄物を破砕して燃料を得る破砕工程を有することが好ましい。また、電磁波が照射される燃料の粒径が35mm以下であることが好ましい。燃料に電磁波を照射して得られる情報は、廃棄物片の内部よりも表面に依存する傾向にある。このため、破砕した粒径の小さい廃棄物を含む燃料に電磁波を照射すれば、より高い精度の予測結果を得ることができる。このように高い精度で予測された予測結果に基づいて分別された複数の燃料を用いることによって、セメントクリンカの製造の際の運転変動が十分に抑制され、セメントクリンカの製造を一層安定的に継続することができる。
【0018】
本発明は、一つの側面において、セメント原料を仮焼炉で仮焼してセメントキルンで焼成する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、加熱工程では、上述のいずれかの分別方法で分別された複数の分別燃料の少なくとも一つを用いてセメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方を加熱する、セメントクリンカの製造方法を提供する。
【0019】
この製造方法では、上述の分別方法で分別された複数の分別燃料の少なくとも一つをセメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方に導入する。このため、例えば、複数の分別燃料のそれぞれの導入先を個別に選択したり、個別に導入量を調節したりすることができる。したがって、廃棄物の発熱量が変動しても、発熱量の予測結果に基づいて分別された分別燃料を用いることによってセメントクリンカ製造時の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0020】
上記加熱工程では、上述の分別方法で分別された複数の分別燃料のそれぞれの発熱量の予測結果に基づいて、複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節することが好ましい。これによって、発熱量が大きく異なる種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。また、廃棄物を燃料として一層有効活用することができる。
【0021】
上記加熱工程では、第1分別燃料を前記セメントキルンの燃料とし、第2分別燃料を仮焼炉の燃料とすることが好ましい。これによって、発熱量の高い第1分別燃料をセメントキルンの燃料として有効活用して、微粉炭等の化石燃料の消費量を低減することができる。
【0022】
上記加熱工程において、仮焼炉で用いる燃料を第2分別燃料から第1分別燃料に変更する際に、第2分別燃料の供給量よりも第1分別燃料の供給量を少なくすることが好ましい。これによって、仮焼炉に導入される燃料を第2分別燃料から第1分別燃料に変更する際の分別燃料による発熱量の変化を小さくして仮焼炉の運転変動を十分に抑制することができる。
【0023】
上記製造方法は、第1分別燃料に含まれる塩素含有量の予測結果に応じて、塩素バイパス部のガス抽気量を調節することが好ましい。これによって、例えば、塩素含有量の予測結果が例えば閾値よりも高くなりそうな場合は、塩素バイパス部のガス抽気量を調節して、セメントキルンにおけるコーティングの発生を十分に抑制することができる。これによって、第1分別燃料の供給量を十分に増やせるため、微粉炭等の化石燃料の消費量を低減し、廃棄物を燃料として有効活用することができる。
【0024】
燃料を複数に分別した後、タンクに貯留される第1分別燃料の塩素含有量の予測結果が閾値を超えるときは、タンクに貯留される第1分別燃料を仮焼炉に供給することが好ましい。これによって、セメントキルンにおけるコーティングの発生を十分に抑制することができる。また、塩素含有量の予測結果が閾値を超えない範囲で第1分別燃料をセメントキルンに導入することができる。このように、セメントキルンで第1分別燃料を燃料として有効活用しつつ、セメントキルンにおけるコーティングの発生を十分に抑制することができる。
【0025】
本発明は、一つの側面において、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置であって、廃棄物を含む燃料に電磁波を照射して電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つに関する情報を取得し、当該情報を用いて発熱量を予測する予測装置と、発熱量の予測結果に基づいて、少なくとも、第1分別燃料と第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置を提供する。
【0026】
上記分別装置は、燃料に電磁波を照射して取得した情報を取得し、当該情報を用いて発熱量を予測する予測装置と、その予測結果に基づいて燃料を複数に分別する分別部を備える。このため、セメントクリンカの製造において、種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を、発熱量の予測値に応じて円滑に分別することができる。このような分別燃料は、セメントクリンカを製造する際に、発熱量の予測結果に基づいてそれぞれの導入位置を別々にしたり、個別に導入量を調節したりすることができる。これによって、種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカを製造する際の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0027】
上記分別装置は、廃棄物を破砕して燃料を得る破砕部と、破砕部で破砕された燃料を搬送する搬送部と、を備え、予測装置では、搬送部で燃料を搬送しながら電磁波を照射することが好ましい。燃料に電磁波を照射して得られる情報は、廃棄物片の内部よりも表面に依存する傾向にある。このため、情報取得部で破砕した粒径の小さい廃棄物を含む燃料に電磁波を照射すれば、より高い精度の情報を得ることができる。また、廃棄物を搬送しながら高い精度で上記情報が得られることから、燃料の分別を効率よく行うことができる。
【0028】
本発明は、一つの側面において、上述のいずれかの分別装置と、当該分別装置で分別された複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、仮焼炉と、セメントキルンと、を備え、複数のタンクにそれぞれ貯留される複数の分別燃料を、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方で燃料として使用する、セメントクリンカの製造設備を提供する。
【0029】
この製造設備では、上述の分別装置で分別された複数の分別燃料の少なくとも一つをセメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方で燃料として使用する。このため、例えば、複数の分別燃料のそれぞれの導入先を個別に選択したり、個別に供給量を調節したりすることができる。したがって、種々の成分を含む廃棄物を用いても、セメントクリンカ製造時の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0030】
上記セメントクリンカの製造設備は、分別装置で分別された複数の分別燃料のそれぞれの発熱量の予測結果に基づいて、複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節することが好ましい。これによって、発熱量が大きく異なる種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。また、廃棄物を燃料として一層有効活用することができる。
【0031】
上記セメントクリンカの製造設備では、複数のタンクの少なくとも一つから第1分別燃料がセメントキルンへ供給され、第1分別燃料を供給するタンクとは異なる、複数のタンクの少なくとも一つから第2分別燃料が仮焼炉へ供給されることが好ましい。このように、第1分別燃料と第2分別燃料を別々のタンクから供給することによって、それぞれの供給量を柔軟に調整することが可能となる。これによって、セメントクリンカの製造を一層安定的に継続することができる。
【発明の効果】
【0032】
燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカの製造方法、及び、セメントクリンカの製造設備を提供することができる。したがって、廃棄物を従来以上に燃料として有効利用することが可能となり、品質のばらつきが十分に低減されたセメントクリンカを低い製造コストで製造することができる。また、燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いてもセメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカ製造用の燃料の分別方法、及び、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】燃料の分別装置の一例を模式的に示す図である。
【
図2】燃料の分別方法における予測工程の一例を示すフローチャートである。
【
図3】予測装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】燃料の分別方法における分別工程の一例を示すフローチャートである。
【
図5】セメントクリンカの製造設備の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、場合により図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0035】
一実施形態に係るセメントクリンカ製造用の燃料の分別方法は、廃棄物を破砕して燃料を得る破砕工程と、燃料を搬送部で搬送しながら当該燃料に電磁波を照射して、電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つに関する情報を取得し、当該情報を用いて燃料の発熱量を予測する予測工程と、発熱量の予測値に基づいて、燃料を、第1分別燃料と第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する。
【0036】
燃料に用いられる廃棄物は、種々の成分が含まれる。具体的には、プラスチック類、紙、木屑、石、金属、及び布等が挙げられる。このうち、プラスチック類は比較的高い発熱量を有しており、その種類によっては5000kcal/kg以上の発熱量を有するものもある。例えば、プラスチック類のうち、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)は、9000~11000kcal/kgの発熱量を有する。ポリウレタン(PU)は、約7000kcal/kg、エポキシ樹脂は、約7500kcal/kg、フェノール樹脂は約8000kcal/kg、ポリエチレンテレフタレート(PET)は約5500kcal/kgの発熱量を有する。
【0037】
一方、5000kcal/kg未満のプラスチック類として、ポリ塩化ビニル(PVC)が4000~5000kcal/kgの発熱量を有し、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が約2500kcal/kgの発熱量を有する。プラスチック以外の廃棄物成分の発熱量は、通常は5000kcal/kg未満である。上記分別方法では、このように種々の廃棄物成分を含む燃料を複数に分別して、発熱量が互いに異なる複数の分別燃料を得ることができる。
【0038】
図1は、本実施形態の分別方法を実施するための分別装置の一例を示している。
図1の分別装置100は、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置であって、廃棄物を破砕して廃棄物を含む燃料を得る破砕部10と、廃棄物を含む燃料を搬送部で搬送しながら電磁波を照射して電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つに関する情報を取得し、当該情報を用いて発熱量を予測する予測装置20と、発熱量の予測結果に基づいて、少なくとも、第1分別燃料と第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部40と、を有する。なお、上記分別方法を、この分別装置を用いて行うことは必須ではなく、別の分別装置を用いて行ってもよい。また、上記分別装置は、上述の分別方法とは異なる分別方法で燃料を分別するように構成されていてもよい。
【0039】
破砕工程は、例えば破砕部10で行うことができる。破砕部10に備えられる破砕機としては、例えば、ミル、シュレッダー、クラッシャ等が挙げられる。破砕部10によって、粒径が例えば35mm以下の燃料を得る。このようなサイズに破砕された燃料に電磁波を照射することによって、予測装置20で十分に高い精度の予測結果を得ることができる。一層高精度の予測結果を得る観点から、燃料の粒径は30mm以下であってよく、25mm以下であってもよい。なお、燃料の粒径は、二次元の画像で描かれる燃料に外接する外接円の直径として求めることができる。破砕部10の上流には、粗破砕機、風力選別機、磁選機等を設置して、廃棄物原料から金属等を除去してもよい。破砕工程を行うことは必須ではなく、受け入れられた廃棄物をそのまま搬送部12で搬送して予測装置20による予測工程を行ってもよい。
【0040】
予測工程は、例えば予測装置20で行うことができる。予測装置20は、燃料を搬送部12で搬送しながら、この燃料に電磁波を照射する光源22と、電磁波を照射することによって得られる情報を検出する検出器24と、当該情報を処理して燃料の発熱量の予測値を導出し、当該予測値に応じて制御信号を出力する情報処理部25とを有する。このような装置構成を有する予測装置20では、一例として
図2に示すフローチャートに沿って予測値を導出する。この例では、燃料に電磁波を照射し(S1)、電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つの情報の取得し(S2)、当該情報を処理して含有成分、成分含有量及び発熱量を予測する(S3,S4,S5)。この場合、情報から含有成分及び成分含有量を予測し、その予測結果から発熱量を予測してよい。これによって、十分に高い精度で発熱量を予測することができる。「情報を用いて発熱量を予測する」とは、上記情報から発熱量を直接予測することのみならず、上述のように、上記情報から含有成分及び成分含有量等の他の情報又は値を予測し、その予測結果を介して発熱量を予測することも含む。
【0041】
予測装置20のハードウェア構成の一例は、
図3に示すように回路70を備える。回路70は、少なくとも一つのプロセッサ72、メモリ74、ストレージ76、及び入出力ポート78を有する。ストレージ76には、各機能を実現するためのコンピュータソフトウェアが記録されていてもよい。情報処理部25は、プロセッサ72及びメモリ74等のハードウェア上に、このようなコンピュータソフトウェアを読み込ませることによって、プロセッサ72の制御の下で入出力ポート78及び入出力デバイス82が動作するように構成されてよい。ストレージ76は、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であってよい。
【0042】
メモリ74は、ストレージ76からロードされたプログラム、及びプロセッサ72の演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ72は、メモリ74と協働し、例えば、情報取得部80で取得された情報を用いて燃料11の含有成分、成分含有量、及び発熱量を予測するプログラムを実行する。入出力ポート78は、プロセッサ72からの指令に応じ、制御部30及び入出力デバイス82等の間で電気信号の入出力を行う。プログラムを実行して得られた予測結果は制御部30に出力される。予測装置20は、通常のコンピュータシステムとして構成することができる。
【0043】
予測装置20は、機会学習装置から予測モデルが入力されてもよいし、予測装置自体が機械学習を行って予測モデルを作成してもよい。機械学習の手法としてはニューラルネットワーク、線形回帰、及び決定木等が挙げられる。このうち、精度の高い予測を行う観点から、ニューラルネットワークが好ましい。機械学習を用いる場合は、種々の燃料11の電磁波の吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つの情報と、発熱量(又は成分含有量)との組み合わせである学習データを用いて学習させればよい。
【0044】
予測モデル(プログラム)は機械学習によって作成されたものに限定されず、例えば、統計的方法によって作成されたものであってもよい。統計的方法の例としては、多変量解析等が挙げられる。機械学習又は統計的方法によって作成された予測モデル(プログラム)を実行し、例えば、検出器24で取得されたスペクトルのパターンとデータベースに保存されているスペクトルのパターンとを、データ全域の類似性に基づいて解析する。このようにして、燃料11の含有成分、成分含有量及び発熱量を予測することができる。
【0045】
予測装置20でおける予測方法は、上述の方法に限定されない。例えば、検出器24で取得されたスペクトル等の情報の中から成分の種類を特徴づける単独又は複数のピークに着目し、閾値を用いて、燃料11の含有成分、成分含有量及び発熱量を予測してもよい。例えば、電磁波を照射してもスペクトルが全く得られない場合は、発熱量の予測値は閾値(例えば5000kcal/kg)未満と判定して分別してもよい。材質が紙及び木屑と特定された場合も、発熱量の予測値は閾値(例えば5000kcal/kg)未満と判定してもよい。すなわち、発熱量の予測は、必ずしも具体的な数値として予測される必要はなく、予測結果は、「閾値以上」又は「閾値未満」であってもよい。閾値は、複数あってもよい。
【0046】
予測装置20の光源22から照射される電磁波としては、例えば、γ線、X線、紫外線、赤外線、マイクロ波など、種々の波長域のものを用いることができる。これらのうちの一種を用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、プラスチックの発熱量を精度よく予測する観点から、赤外線が好ましく、近赤外線がより好ましい。本明細書における赤外線は、近赤外線、中赤外線及び遠赤外線を含む。
【0047】
燃料11に含まれる成分のうちCFRPを高い精度で検出する観点から、レーザーとレーザー以外の電磁波とを併用してもよい。検出器24で取得される情報(信号)としては、スペクトル等の波形データであってよい。このような波形データは、電磁波による吸収、散乱及び透過のいずれの物理現象に基づくものであってもよい。波形データの具体例としては、例えば、赤外線吸収スペクトル、X線透過率、ラマン散乱スペクトル等が挙げられる。
【0048】
情報処理部25では、検出器24で取得される、電磁波の放出、吸収、散乱及び透過からなる群より選ばれる少なくとも一つの情報と、ストレージ76に予め格納されているデータベースの情報とを照合して解析を行って、燃料11の含有成分を判別し、含有成分、成分含有量、及び発熱量を予測する。このとき、成分含有量の予測値(予測結果)から発熱量の予測値(予測結果)を導出してもよいし、成分含有量の予測値を導出せずに、発熱量の予測値を導出してもよい。燃料11の含有成分の全てを予測せずに、一部の含有成分の有無、及び/又はその成分含有量を予測すればよい。
【0049】
含有成分の予測(S3)は、検出器24により得られたスペクトルの波形等の情報を、ストレージ76に格納されているデータベース内の情報と照合することによって行ってもよい。燃料11の含有成分は、プラスチック(CFRPを除く)、CFRP、及びその他の3つに判別されてもよい。
【0050】
成分含有量の予測(S4)及び発熱量の予測(S5)は、検出器24で取得される、測定範囲内の各含有成分のカウント数、又は各含有成分に対応するスペクトル強度等の情報と、ストレージ76に格納されているデータベースに含まれるカウント数、又はスペクトル強度のデータとを用いることによって行ってもよい。種別ごとのプラスチックの含有量の予測値が得られれば、それぞれのプラスチックに固有の発熱量を乗じて、発熱量の予測値を導出することができる。また、塩素を含むプラスチックの含有量の予測値と当該プラスチックに固有の塩素濃度とを乗じて、燃料11の塩素含有量を予測することもできる。同様にして燃料11のCFRP含有量を予測することもできる。このような含有成分の予測(S3)、成分含有量の予測(S4)及び発熱量の予測(S5)は、上述の予測モデル(プログラム)を用いて行ってもよい。
【0051】
光源22から照射される電磁波として赤外線を用いる場合は、以下のようにして燃料11の含有成分及び発熱量を予測するための情報を取得することができる。燃料11を構成している分子(例えば、C-H、O-H)は、様々な運動をしており、運動している分子に赤外線を当てると運動状態に合わせて特定の波長の光のみが吸収される。すなわち、決まった分子構造を持つある物質(例えば、ポリエチレン)に赤外線を照射した際に吸収される波長は、物質固有の決まった値となる。このため、燃料11から反射された光を検出し、波長ごとの光強度を求めることで光吸収スペクトル(波長分布)を得ることができる。例えば、燃料11がポリエチレンを含む場合、波長1200nm、1400nm、1725nm、1775nm、及び1850nm付近に特徴的なピークをもつ吸収スペクトルが得られる。
【0052】
光源22と検出器24は、含有成分、成分含有量及び発熱量の予測に用いられる情報を取得する情報取得部80(光学識別装置)を構成する。情報取得部80は、例えば、近赤外領域の波長(750~2500nm)を有する光を放出する光源22と、ハイパースペクトルカメラ(例えば、RESONON社製)を備える検出器24とを用いて、情報として、ベルトコンベア等の搬送部12で搬送されるプラスチックを含む燃料11の近赤外吸収スペクトルを取得する。取得したスペクトルからプラスチックの種別(成分)を予測し、スペクトル強度から成分含有量を予測する。燃料11には、多種多様なプラスチックが含まれ得る。このため、予め種々のプラスチック、紙、木屑、石、ガラス、布及び皮等のスペクトルを取得してスペクトルのデータベースを構築し、ストレージ76に格納しておいてもよい。これによって、測定されたスペクトルとストレージ76に格納されているスペクトルのパターンを比較し、類似性に基づいてパターン認識を行うことができる。このような手法で、情報処理部25において、含有成分を予測し、燃料11の成分含有量及び発熱量を予測してよい。上述の機械学習又は統計的方法によって、含有成分、成分含有量及び発熱量を予測する予測モデルを構築し、情報処理部25で、この予測モデルを用いて、含有成分、成分含有量及び発熱量を予測してもよい。
【0053】
情報取得部80は、例えば、光源22としてレーザーを用い、情報としてラマン散乱スペクトルを取得してもよい。情報処理部25は、この情報から、含有成分量及び発熱量の予測値を導出してもよい。特定波長のレーザー光を燃料11に照射すると、散乱光が観測される。ラマン散乱光は、燃料11に入射するレーザー光(入射光)の波長とは異なる波長の光として観測される。入射光と散乱光の波長差をラマンシフトといい、シフト幅は燃料11に含まれる分子の基準振動に依存する。そのため、赤外光を光源とした場合と同様に、情報取得部80は、情報として、燃料11の材質に応じたラマン散乱スペクトルを取得することができる。
【0054】
情報取得部80は、例えば、光源22として波長約500~800nm(532nm、785nmなど)の波長の光を照射可能な高出力半導体レーザーを、検出器24としてマルチチャンネル分光器を用いてもよい。これによって、情報として燃料11のラマン散乱スペクトルを取得してもよい。この場合も、スペクトルパターンから燃料11の材質を判別(同定)し、スペクトル強度より成分含有量及び発熱量の予測値を導出することができる。導出方法は、赤外光を光源とした場合と同様であってよい。
【0055】
情報取得部80では、例えば、光源22から照射される電磁波としてX線を用い、透過X線分析を行ってもよい。燃料11に特定強度のX線を照射し、燃料11を透過したX線の強度を測定すると、X線が燃料11に吸収された分だけ透過X線の強度は弱くなる。X線の吸収量は、燃料11に含まれる元素や物質の密度によって異なる。元素番号が大きい元素が含まれるほどX線の吸収量は大きくなる。この性質を利用し、燃料11の含有成分を判別し、成分含有量及び発熱量を予測するための情報を得ることができる。
【0056】
光源22としては、例えば、タングステンターゲットのX線管を用いることができる。検出器24としては、X線センサーを用いることができる。含有成分の判別及び予測値の導出は、赤外光を光源とした場合と同様にして行うことができる。
【0057】
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の有無は、CFRPを構成する特有のプラスチック、又はCFRP中のカーボンファイバーの有無によって判定してもよい。CFRPを構成する特有のプラスチックとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びポリエステル樹脂等が挙げられる。カーボンファイバーは、500~800nmのレーザーを照射すると、1350cm-1及び1600cm-1付近にピークを有する。このようなピークが検出される燃料11は、CFRPを含有すると判別してよい。
【0058】
予測装置20は、含有成分、成分含有量及び発熱量の予測結果(予測値)を、制御部30に出力する。制御部30は、予測装置20からの入力値に基づいて、
図1のダンパー41,42,43を操作する制御信号を出力する。制御部30は、情報処理部25と同様に、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、及び入出力ポート等を有していてよい。制御部30は、制御信号を導出し、当該制御信号を出力できる構成を有していればよい。なお、予測装置20と制御部30を、別々のハードウェアとして構成することは必須ではなく、これらを一つのハードウェアとして構成してもよい。
【0059】
分別工程は、分別部40で行うことができる。分別部40は、搬送部12に接続されたダンパー41,42,43と、第1分別燃料を貯留するタンク51と、第2分別燃料を貯留するタンク52と、第3分別燃料を貯留するタンク53とを備える。この例では、燃料11を、3つに分別している。なお、分別される分別燃料の数は特に限定されず、燃料11を発熱量の予測値に応じて2つに分別してもよいし、4つ以上に分別してもよい。
【0060】
タンク51に貯留される第1分別燃料は、例えば、発熱量の予測値が5000kcal/kg以上の燃料である。第2分別燃料は、例えば、発熱量の予測値が5000kcal/kg未満の燃料である。第1分別燃料と第2分別燃料の発熱量の予測値の閾値は5000kcal/kgに限定されない。ただし、閾値を5000kcal/kgとすることによって、セメントキルンに導入される燃料を十分に多くすることができる。これによって、廃棄物を燃料として有効活用して、セメントキルンの燃料に用いられる微粉炭等の化石燃料の消費量を低減することができる。
【0061】
タンク53に貯留される第3分別燃料は、CFRPを含む。なお、第1分別燃料と第2分別燃料は、少量のCFRPを含んでもよい。この場合、第3分別燃料のCFRPの含有量は、第1分別燃料及び第2分別燃料のCFRPの含有量よりも高い。CFRPは燃え難いため、一度に大量にセメントクリンカ製造装置に導入すると燃え残りが発生する。
図1のように他の分別燃料よりもCFRPの含有量が高い燃料を、第3分別燃料として分別することによって、CFRPをセメントキルンに少量ずつ供給してCFRPの燃え残りを抑制することができる。これによってセメントクリンカの製造設備に備えられる電気集塵機の運転を安定的に継続することができる。
【0062】
分別工程の一例では、
図4に示されるフローチャートに沿って、分別部40で燃料を3つに分別する。分別を開始する前は、ダンパー41,42,43が閉止されている(S11)。この状態で、含有成分の予測(S3)の結果に基づいて、燃料がCFRPを含むか否かを判定する。CFRPを含むと判定された場合には、ダンパー43を開放し(S13)、第3分別燃料としてタンク53に導入する(S14)。一方、CFRPを含まないと判定された場合には、発熱量の予測(S5)の結果(予測値)が閾値(5000kcal/kg)以上であるか否かを判定する(S15)。
【0063】
発熱量の予測値が5000kcal/kg以上である場合は、ダンパー41を開放し(S16)、第1分別燃料としてタンク51に導入する(S17)。発熱量の予測値が5000kcal/kg未満である場合は、ダンパー42を開放し(S18)、第2分別燃料としてタンク52に導入する(S19)。このようにして、燃料が、含有成分の予測結果及び発熱量の予測結果に応じて3つの分別燃料に分別される。このような複数の分別燃料は、一旦タンク51,52,53に貯留された後、セメントクリンカ製造装置で燃料として用いることができる。その際、複数の分別燃料をそれぞれ別々の場所に導入したり、個別に導入量を調節したりすることができる。したがって、セメントクリンカ製造装置の安定運転を継続しながら、廃棄物を燃料として有効利用して、化石燃料の使用量を低減することができる。
【0064】
予測装置20で塩素含有量を予測しておけば、分別後の第1分別燃料、第2分別燃料及び第3分別燃料の塩素含有量も予測することができる。第1分別燃料の塩素含有量の予測結果に応じて、セメントクリンカ製造装置における塩素バイパス部のガス抽気量を調節してもよい。これによって、セメントキルンにおけるコーティングの発生を抑制しつつ、ガス抽気量を過大にすることによる燃費の低下を十分に抑制することができる。
【0065】
図4の例では、CFRPの有無によって第3分別燃料とそれ以外の分別燃料に分別したがこれに限定されない。例えば、成分含有量の予測(S3)の際にCFRPの含有量を予測しておき、その予測結果が閾値以上であった場合はタンク53に分別し、閾値未満であった場合は発熱量に応じてタンク51又はタンク52に分別するようにしてもよい。
【0066】
図1に示すようにタンク51,52,53には、それぞれ導出路51a,52a,53aが接続されている。一旦タンク51,52,53に貯留された第1分別燃料,第2分別燃料,第3分別燃料は、導出路51a,52a,53aを流通して下流のセメントクリンカ製造装置まで搬送されてよい。搬送は、ベルトコンベア又はガス(空気)圧送によって行ってもよいし、重力落下によって行ってもよい。分別装置100と、セメントクリンカ製造装置とが別々の場所にある場合は、タンクから導出された各分別燃料を、セメントクリンカ製造装置の設置場所にあるタンクまでトラックを用いて運搬してもよい。なお、分別された全ての分別燃料をセメントクリンカ製造装置の燃料として用いなくてもよい。複数の分別燃料のうちの一種類、又は各分別燃料の一部を、他の用途に用いてもよい。
【0067】
一実施形態に係るセメントクリンカの製造方法は、セメント原料を仮焼炉で仮焼してセメントキルンで焼成する加熱工程を有し、加熱工程では、上述の分別方法で複数に分別された廃棄物を含む分別燃料(第1分別燃料、第2分別燃料及び第3分別燃料)の少なくとも一つを用いて、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方を加熱する。
【0068】
図5のセメントクリンカの製造設備300を用いて、上述のセメントクリンカの製造方法を行ってもよい。ただし、上記製造方法を、このセメントクリンカの製造設備を用いて行うことは必須ではなく、別のセメントクリンカの製造設備を用いて行ってもよい。また、上記セメントクリンカの製造設備は、上述のセメントクリンカの製造方法とは別の製造方法でセメントクリンカを製造するように構成されていてもよい。
【0069】
図5のセメントクリンカの製造設備300は、燃料の分別装置100と、セメントクリンカ製造装置200とを備える。セメントクリンカ製造装置200は、セメント原料が導入される導入口201と、導入口201から導入されたセメント原料を予熱する4つのサイクロンC1,C2,C3,C4(プレヒータ)と、セメント原料を仮焼する仮焼炉230と、予熱及び仮焼されたセメント原料を焼成してセメントクリンカを生成するセメントキルン240と、セメントキルン240で生成したセメントクリンカを冷却し、冷却されたセメントクリンカを導出するクリンカクーラ250とを備える。
【0070】
導入口201は、サイクロンC1とサイクロンC2との接続部に設けられている。導入口101から導入されるセメント原料は、例えば、焼却灰、石炭灰、石灰石、鉄源、スラグ及び廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。導入口201から導入されたセメント原料は、サイクロンC1、サイクロンC2、サイクロンC3、ライジングダクト234、仮焼炉230、サイクロンC4を流通しながら加熱され、セメントキルン240の窯尻242に導入される。
【0071】
セメントキルン240の窯尻242と仮焼炉230はライジングダクト234で接続されている。ライジングダクト234には、ライジングダクト234内のキルン排ガスを抽気する抽気管236が接続されている。抽気管236の下流には、クーラー及びバグフィルタ等を有する塩素バイパス部237が設置されており、抽気管236で抽気された抽気ガス(キルン排ガス)に含まれるダストが回収されるようになっている。塩素バイパス部237でダストが除去された後のガスは、クリンカクーラ250と仮焼炉230と接続する循環ガスライン252に導入され、仮焼炉230に導入される。塩素バイパス部237を有することによって、セメントクリンカ製造装置200内から、塩素系化合物及びアルカリ等の揮発分を低減することができる。なお、変形例では、抽気管236は窯尻242に接続されていてもよいし、ライジングダクト234と窯尻242の境界部分に接続されていてもよい。
【0072】
セメントキルン240内の温度は、例えば、1400℃~1500℃である。セメントキルン240の一端に設けられたバーナ244には、タンク51から第1分別燃料と、化石燃料が供給される。化石燃料としては微粉炭、重油等を用いることができる。本実施形態では廃棄物を含む第1分別燃料が高い発熱量を有することから、化石燃料に対する第1分別燃料の割合を十分に高くすることができる。したがって、化石燃料の使用量を低減することができる。また、分別前の廃棄物に比べて第1分別燃料は発熱量の変動が小さい。このため、十分な量の第1分別燃料を燃料として用いつつ、セメントクリンカ製造装置200の安定運転を継続することができる。セメントクリンカ製造装置200の運転を一層安定化させる観点から、第1分別燃料の発熱量(実測値)は、5000kcal/kg以上であることが好ましい。これによって、得られるセメントクリンカの品質のばらつきを十分に低減することができる。なお、本明細書における発熱量は、低位発熱量である。
【0073】
セメントキルン240の運転制御は、セメントキルン240を回転させる際のトルク又は回転モータの消費電力を測定する測定部M、化石燃料の供給量を調節する調節部222、及び、測定部Mの測定値に基づいて調節部222を調節するための制御信号を出力する制御部224によって行ってもよい。このとき、第1分別燃料は、セメントキルン240の運転制御が可能な範囲で最大限の量をバーナ244に導入してよい。この場合、測定部Mの測定値が目標範囲になるように化石燃料の供給量を調節すればよい。これによって、第1分別燃料を有効活用しつつ、セメントキルン240の安定運転を継続することができる。ただし、変形例では、バーナ244への第1分別燃料の導入量は、第1分別燃料の発熱量の予測結果、及び/又は、セメントキルン240の運転状況に応じて流量調節部51Vによって調節してもよい。また、第1分別燃料と化石燃料は、それぞれ異なるバーナに導入されてもよい。
【0074】
仮焼炉230内の温度は、例えば、850℃~900℃である。仮焼炉230には、タンク52から廃棄物を含む第2分別燃料と、化石燃料が供給される。化石燃料としては微粉炭、重油等を用いることができる。仮焼炉230はセメントキルンよりも低温であることから、第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料を導入しても、仮焼炉230の温度を十分安定的に維持することができる。
【0075】
仮焼炉230の運転制御は、仮焼炉230の温度を測定する測定部T、化石燃料の供給量を調節する調節部231、及び、測定部Tの測定値に基づいて調節部231を調節するための制御信号を出力する制御部232によって行ってもよい。このとき、第2分別燃料は、仮焼炉230の運転制御が可能な範囲で最大限の量を仮焼炉230に導入してよい。そして、測定部Tの測定値が目標範囲を維持するように化石燃料の供給量を調節する。これによって、第2分別燃料も仮焼炉230の燃料として有効活用しつつ、仮焼炉230の安定運転を継続することができる。ただし、変形例では、仮焼炉230への第2分別燃料の導入量は、第2分別燃料の発熱量の予測結果、及び/又は、仮焼炉230の運転状況に応じて流量調節部52Vによって調節してもよい。第2分別燃料と化石燃料は、それぞれ仮焼炉230に取り付けられたバーナに導入されて、仮焼炉230内で燃焼されてもよい。
【0076】
流量調節部51V,52Vを制御することで、第1分別燃料と第2分別燃料とを一定の流量比率で、セメントクリンカ製造装置200に導入してもよい。これによって、セメントクリンカ製造装置200の運転を十分に安定化することができる。
【0077】
廃棄物(CFRP)を含む第3分別燃料は、一例では、タンク53から定量で導出して、バーナ244に導入してセメントキルン240内で燃焼することができる。
図5の例では、タンク53から導出された第3分別燃料は、第1分別燃料と合流し、バーナ244に導入される。第3分別燃料の導入量は、流量調節部53Vによって調節されてよい。これによって、第3分別燃料のバーナ244への導入量の経時的な変動が小さくなり、CFRP(カーボンファイバー)の燃え残りが生じることが抑制される。これによって、サイクロンC1の上方から排出される排ガスに含まれる固形分を集塵する電気集塵機の短絡の発生を抑制することができる。変形例では、第3分別燃料と第1分別燃料は、互いに異なるバーナに導入されてもよい。
【0078】
流量調節部51V,52V,53Vは、それぞれ、バルブ及びその開度を制御する制御部(不図示)で構成されていてよい。例えば、ロードセル及びインパクトライン流量計等で供給量を測定し、フィードバック制御で各分別燃料の流量を調節してもよい。流量調節部51V,52V,53Vは、第1分別燃料、第2分別燃料及び第3分別燃料の流量を調節可能な構成であれば特に限定されない。
【0079】
第1分別燃料の導入先は、セメントクリンカ製造装置200の運転状況、及び、第1分別燃料及び第2分別燃料の在庫バランスに応じて、バーナ244から仮焼炉230(又は仮焼炉230に取り付けられたバーナ)に切り替えてもよい。例えば、第1分別燃料の塩素含有量の予測値が閾値(例えば1.5質量%)よりも高い場合には、第1分別燃料の導入先を、バーナ244から仮焼炉230(又は仮焼炉230に取り付けられたバーナ)に切り替えてもよい。これによって、セメントキルン240内の塩素濃度が高くなってコーティングが発生することを抑制できる。第1分別燃料の導入先の切り替えは、例えば制御部30からの制御信号に基づいて三方弁51Tを操作して行うことができる。制御部30は、予測装置20による塩素濃度の予測値に基づいて、三方弁51Tを操作する制御信号を出力する。
【0080】
第1分別燃料の塩素含有量の予測結果に応じて、塩素バイパス部237のガス抽気量を調節してもよい。これによって、ガス抽気量を、セメントキルン240のコーティングの発生が抑制できる範囲に調節することができる。したがって、塩素バイパス部237が過剰にキルン排ガスを抽気することが抑制され、セメントクリンカ製造装置200の燃料使用量を低減することができる。
【0081】
各分別燃料の塩素含有量の予測結果と、セメントクリンカ製造装置200に導入される各分別燃料の流量とから、燃料はセメントクリンカ製造装置200に持ち込む塩素の合計量を導出してもよい。この合計量が閾値(例えば10kg/h)以上となる場合は、塩素バイパス部237のガスの抽気量を増やしてもよい。これによって、セメントキルン240を循環する塩素量を低減し、サイクロンC1、サイクロンC2、サイクロンC3、ライジングダクト234、仮焼炉230、サイクロンC4におけるコーティングの生成を抑制できる。また、ガスの抽気量を増やすだけで対応できない場合は、分別燃料の供給量を減らして、化石燃料の供給量を増やせばよい。
【0082】
仮焼炉230で用いる燃料を、第2分別燃料から第1分別燃料に変更する際、第2分別燃料の導入量よりも少ない導入量で第1分別燃料を仮焼炉230に導入することが好ましい。第1分別燃料の方が第2分別燃料よりも発熱量が大きいため、このように調整することによって、仮焼炉230の温度変動を十分に抑制することができる。
【0083】
本実施形態のセメントクリンカの製造方法及びセメントクリンカの製造設備によれば、種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を発熱量の予測結果に基づいて分別し、分別して得られる分別燃料を用いていることから、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。また、セメントクリンカ製造装置の運転状態に応じて、各分別燃料の導入先を変更したり、導入量を調節したりして、柔軟な運転調整が可能となる。これによって、セメントクリンカの品質のばらつきも十分に低減することができる。さらに、化石燃料の消費量を低減し、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0084】
以上、本開示の幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、
図5のセメントクリンカの製造設備の例では分別装置100を備えているが、これに限定されない。例えば、燃料を2つ又は4つ以上の分別燃料に分別する分別装置を備えていてもよい。燃料の分別装置の説明内容は燃料の分別方法にも適用され、燃料の分別方法の説明内容は燃料の分別装置にも適用される。セメントクリンカの製造設備の説明内容はセメントクリンカの製造方法にも適用され、セメントクリンカの製造方法の説明内容はセメントクリンカの製造設備にも適用される。
【符号の説明】
【0085】
10…破砕部、11…燃料、12…搬送部、20…予測装置、22…光源、24…検出器、25…情報処理部、30,224,232…制御部、40…分別部、41,42,43…ダンパー、51,52,53…タンク、51T…三方弁、51V,52V,53V…流量調節部、51a,52a,53a…導出路、70…回路、72…プロセッサ、74…メモリ、76…ストレージ、78…入出力ポート、80…情報取得部、82…入出力デバイス、100…分別装置、101…導入口、200…セメントクリンカ製造装置、201…導入口、222…調節部、230…仮焼炉、231…調節部、234…ライジングダクト、236…抽気管、237…塩素バイパス部、240…セメントキルン、242…窯尻、244…バーナ、250…クリンカクーラ、252…循環ガスライン、300…セメントクリンカの製造設備、C1,C2,C3,C4…サイクロン。