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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118507
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】AM装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/53 20210101AFI20230818BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20230818BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230818BHJP
【FI】
B22F12/53
B22F10/25
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021490
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 弘行
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【課題】DEDノズルに均一に材料となる粉体を供給するための技術を提供する。
【解決手段】一実施形態によれば、造形物を製造するためのAM装置が提供され、かかるAM装置は、DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、前記AM装置はさらに、第1配管と、前記第1配管の端部から前記第1配管の内側の上流に向かって延びる分離壁と、前記第1配管の前記端部に連結されている複数の第2配管と、を有し、前記分離壁は前記第1配管の前記端部を複数の領域に区画し、前記複数の第2配管のそれぞれは、前記第1配管の複数の区画のそれぞれに連結されており、前記第2配管は、前記DEDノズルの前記粉体通路に連結されている。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形物を製造するためのAM装置であって、前記AM装置は、
DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、
前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、
前記AM装置はさらに、
第1配管と、
前記第1配管の端部から前記第1配管の内側の上流に向かって延びる分離壁と、
前記第1配管の前記端部に連結されている複数の第2配管と、を有し、
前記分離壁は前記第1配管の前記端部を複数の領域に区画し、前記複数の第2配管のそれぞれは、前記第1配管の複数の区画のそれぞれに連結されており、
前記第2配管は、前記DEDノズルの前記粉体通路に連結されている、
AM装置。
【請求項2】
請求項1に記載のAM装置であって、
前記第1配管の内側の直径をφとするとき、前記分離壁は、前記第1配管の前記端部から上流に向かう長さがφより大きい、
AM装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のAM装置であって、
前記第1配管の前記分離壁は、
前記第1の配管の内側を均等に複数の領域に区画する第1分離壁と、
前記第1分離壁により均等に区画された各領域をさらに複数の領域に区画する第2分離壁と、を有する、
AM装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のAM装置であって、
前記第1配管と前記第2配管とは、遷移部を介して連結され、
前記遷移部は、前記第1配管の前記分離壁に連結される遷移部分離壁を有し、前記遷移部は前記遷移部分離壁により複数の領域に区画され、前記複数の第2配管のそれぞれは、前記遷移部の複数の区画のそれぞれに連結されている、
AM装置。
【請求項5】
請求項4に記載のAM装置であって、
前記第1配管の内側の断面積をsとし、前記第1配管の前記端部における複数の区画の数をnとしたとき、前記分岐部の前記複数の区画の各断面積は、約s/nである、
AM装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のAM装置であって、
前記DEDノズルの前記粉体口から、粉体材料およびキャリアガスが10m/s以下の流速で排出されるように構成される、
AM装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、AM装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元物体を表現したコンピュータ上の三次元データから、三次元物体を直接的に造形する技術が知られている。たとえば、Additive Manufacturing(AM)(付加製造)法が知られている。一例として、デポジション方式のAM法としてダイレクトエナジーデポジション(DED)がある。DEDは、金属材料を局所的に供給しながら適当な熱源を用いて基材と共に溶融、凝固させることで造形を行う技術である。また、AM法の一例として、パウダーベッドフュージョン(PBF)がある。PBFは、二次元的に敷き詰められた金属紛体に対して、造形する部分に熱源であるレーザービームや電子ビームを照射して、金属紛体を溶融・凝固または焼結させることで三次元物体の各層を造形する。PBFでは、このような工程を繰り返すことで、所望の三次元物体を造形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-94623号公報
【特許文献2】特開2018-90376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DED方式においては、一般にDEDノズルから熱源となるレーザーまたは電子ビームとが所定の場所に供給される。また、DEDノズルかは、材料となる粉体がキャリアガスとともに所定の場所に供給される。DEDノズルには、材料となる粉体が通る粉体通路および粉体を出射するための粉体口が形成されている。材料となる粉体を所定の場所に均一に供給するために、DEDノズルに粉体通路および粉体口が複数形成されることがある。その場合、各粉体通路に均一の粉体を供給することが望ましい。本願は、DEDノズルに均一に材料となる粉体を供給するための技術を提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、造形物を製造するためのAM装置が提供され、かかるAM装置は、DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、前記AM装置はさらに、第1配管と、前記第1配管の端部から前記第1配管の内側の上流に向かって延びる分離壁と、前記第1配管の前記端部に連結されている複数の第2配管と、を有し、前記分離壁は前記第1配管の前記端部を複数の領域に区画し、前記複数の第2配管のそれぞれは、前記第1配管の複数の区画のそれぞれに連結されており、前記第2配管は、前記DEDノズルの前記粉体通路に連結されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態による、造形物を製造するためのAM装置を概略的に示す図である。
図2】一実施形態による、DEDノズルの断面を概略的に示す図である。
図3】一参考例による、粉体供給機構の配管を概略的に示す断面図である。
図4】一参考例による、粉体供給機構の配管を概略的に示す断面図である。
図5A】一実施形態による、一実施形態による粉体供給機構の配管を概略的に示す断面図である。
図5B図5Aに示される位置5Bで切り出した断面斜視図である。
図5C図5Aに示される位置5Cで切り出した断面斜視図である。
図5D図5Aに示される位置5Dで切り出した断面斜視図である。
図6A】一実施形態による、一実施形態による粉体供給機構の配管を概略的に示す断面図である。
図6B図6Aに示される位置6Bで切り出した断面斜視図である。
図6C図6Aに示される位置6Cで切り出した断面斜視図である。
図6D図6Aに示される位置6Dで切り出した断面斜視図である。
図7A】一実施形態による、一実施形態による粉体供給機構の配管を概略的に示す断面図である。
図7B図7Aに示される位置7Bで切り出した断面斜視図である。
図7C図7Aに示される位置7Cで切り出した断面斜視図である。
図7D図7Aに示される位置7Dで切り出した断面斜視図である。
図7E図7Aに示される位置7Eで切り出した断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明に係る造形物を製造するためのAM装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0008】
図1は、一実施形態による、造形物を製造するためのAM装置を概略的に示す図である。図1に示されるように、AM装置100は、ベースプレート102を備える。ベースプレート102上に造形物Mが造形されることになる。ベースプレート102は、造形物Mを支持することができる任意の材料から形成されるプレートとすることができる。一実施形態において、ベースプレート102は、XYステージ104の上に配置される。XYステージ104は、水平面内で直交する二方向(x方向、y方向)に移動可能なステージ104である。なお、XYステージ104は、高さ方向(z方向)に移動可能なリフト機構に連結されていてもよい。また、一実施形態においては、XYステージ104はなくてもよい。
【0009】
一実施形態において、図1に示されるように、AM装置100は、DEDヘッド200を備える。DEDヘッド200は、レーザー源202、材料粉体源204、およびガス源206に接続されている。DEDヘッド200は、DEDノズル250を有する。DEDノズル250は、レーザー源202、材料粉体源204、およびガス源206からのレーザー、材料粉体、およびガスを噴射するように構成される。
【0010】
DEDヘッド200は任意のものとすることができ、たとえば公知のDEDヘッドを使用することができる。DEDヘッド200は、移動機構220に連結されており、移動可能に構成される。移動機構220は、任意のものとすることができ、たとえば、レールなどの特定の軸に沿ってDEDヘッド200を移動可能なものとしてもよく、あるいは、任意の位置および向きにDEDヘッド200を移動させることができるロボットから構成されてもよい。一実施形態として、移動機構220は、直交する3軸に沿ってDEDヘッド200を移動可能に構成することができる。
【0011】
一実施形態によるAM装置100は、図1に示されるように制御装置170を有する。制御装置170は、AM装置100の各種の動作機構、たとえば上述のDEDヘッド200や各種の動作機構などの動作を制御するように構成される。制御装置170は、一般的
なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0012】
図2は一実施形態によるDEDノズル250の断面を概略的に示す図である。図示の実施形態によるDEDノズル250は、全体として切頭円錐形状のDEDノズル本体259である。図示の実施形態によるDEDノズル250は、DEDノズル本体259の中心にレーザー251が通過する第1通路252を備える。第1通路252を通ったレーザーは、DEDノズル本体259のレーザー口252aから放出される。また、DEDノズル本体259は、第1通路252の外側に、材料粉体および材料粉体を輸送するためのキャリアガスが通過する第2通路254を備える。第2通路254を通った材料粉体は粉体口254aから放出される。さらに、DEDノズル本体259は、粉体通路254の外側に、シールドガスが通過するシールドガス通路256を備える。シールドガス通路256を通ったシールドガスは、ガス口256aから放出される。なお、一実施形態において、DEDノズル250は、シールドガス通路256およびガス口256aを備えなくてもよい。
【0013】
粉体通路254は、DEDノズル250から排出される材料粉体がレーザー251の集光点251aと実質的に同一の位置に収束するように構成される。なお、図2において材料粉体およびキャリアガスの流れは破線で示されている。キャリアガスは、たとえばアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスとすることができる。キャリアガスとして、空気より重いアルゴンガスを使用することがより望ましい。なお、キャリアガスに不活性ガスを用いることで、材料粉体が溶融して形成される溶融池を不活性ガスで覆うことで酸化を防止することができる。ただし、粉体口254aから放出されるキャリアガスの流れにより、その外側の空気が巻き込まれることがある。そこで、図2に示されるDEDノズル250は、粉体材料およびキャリアガスが排出される粉体通路254の外側に配置されたシールドガス通路256からシールドガスを低速で供給することで、周囲の空気が巻き込まれることを防止することができる。キャリアガスにより周囲の空気(特に酸素)が巻き込まれることを防止することで、造形時に金属酸化膜が生成されることを抑制でき、また、濡れ性の良い溶融池を形成することができる。図2において、シールドガスの流れは矢印で示されている。なお、シールドガスは、キャリアガスと同一の種類のガスとすることができる。
【0014】
一実施形態において、AM装置100装置は粉体供給機構300を備える。粉体供給機構300は、材料粉体源204からDEDノズル250の第2通路254に材料粉体を供給するように構成される。一実施形態において、DEDノズル250の第2通路254は円周方向に複数の領域に区画されている。その場合、第2通路254の複数の領域に均一に材料粉体を供給することが望ましい。また、一実施形態において、DEDノズル250の第2通路254を複数の領域に区画せずに、単一の第2通路254として形成してもよい。そのような単一の第2通路254に対して、粉体供給機構300は、第2通路254の円周方向における複数の位置から材料粉体を供給するように構成されてもよい。
【0015】
図3は、一参考例による粉体供給機構400の配管を示す断面図である。図3の例による配管は、材料粉体源204に連結される第1配管402と、DEDノズル250の第2通路254に連結される複数の第2配管450A、450Bと、第1配管402および第2配管450を連結するためのアダプタ470と、を備えている。図3に示されるように、アダプタ470は、内部に分岐路472を備えている。第1配管402を通る材料粉体は、アダプタ470を介して複数の第2配管450A、450Bに分配されてDEDノズル250に供給される。
【0016】
図4は、一参考例による粉体供給機構400の配管を示す断面図である。図4の例による配管は、材料粉体源204に連結される第1配管402と、DEDノズル250の第2通路254に連結される複数の第2配管450A、450Bと、を備えている。図4に示
される参考例においては、複数の第2配管450A、450Bは、図3のようなアダプタ470を介さずに、直接的に第1配管402に連結されている。
【0017】
図3、4に示される参考例による粉体供給機構400においては、第1配管402から複数の第2配管450に分配される分岐部の箇所で、配管の断面積が急激に変化する。具体的には、第1配管402から分岐部分において断面積が大きくなり、分岐部分から各第2配管450A、450Bに至ると断面積が小さくなる。分岐部においてこのような断面積の変化があると、配管を流れるキャリアガスに不安定な渦が発生することがあり、複数の第2配管450A、450Bに均等に材料粉体を分配できないことがある。
【0018】
また、図3に示される参考例のように、分岐部を備えるアダプタ470を使用する場合、アダプタ470の一部に材料粉体が堆積することがある。アダプタ470に堆積した材料粉体は、偶発的にいずれかの第2配管450A、450Bに流れ落ちることがある。そのような場合にも、複数の第2配管450A、450Bに均等に材料粉体を分配できないことがある。特に、低速で材料粉体をDEDノズル250に供給する場合、アダプタ470に材料粉体が堆積しやすい。一般的に、DED方式においては、DEDノズル250から放出される粉体材料およびキャリアガスの流れが30m/sから40m/sになるように設計されることが多い。キャリアガスの流れが30m/sから40m/sくらいであれば、粉体材料がアダプタ470に堆積するリスクは小さい。しかし、造形領域に粉体材料が存在する条件下においてDED方式で造形する場合などには、造形領域に存在する粉体材料が吹き飛ばされないような低速でDEDノズル250に粉体材料およびキャリアガスを供給することがある。たとえば、DED方式においても、DEDノズル250から放出される粉体材料およびキャリアガスの流れが10m/s以下、または5m/s以下のような低速となるように設計することがあり得る。そのよう条件下でも、DEDノズル250に安定して材料粉体を供給できることが望ましい。
【0019】
図5Aは、一実施形態による粉体供給機構300の配管を示す断面図である。図5Aに示される粉体供給機構300は、材料粉体源204に連結される第1配管302と、DEDノズル250の第2通路254に連結される複数の第2配管350A、350Bと、を備えている。
【0020】
図5Aに示される第1配管302は、下流側の端部304から第1配管302の内側の上流に向かって延びる分離壁306を備える。図5Bは、図5Aに示される位置5Bで切り出した断面斜視図である。図5Cは、図5Aに示される位置5Cで切り出した断面斜視図である。図5Dは、図5Aに示される位置5Dで切り出した断面斜視図である。図示されるように、分離壁306は、第1配管302の端部304の内側流路を管路302A、302Bに二等分するように形成されている。他の実施形態として、分離壁306は、第1配管302の端部304の内側流路を三等分、四等分など任意の領域に区画するように構成されてもよい。
【0021】
図5Aに示される位置5Cにおいては、分離壁306により分割された管路302A、302Bは、それぞれ半円形の断面の流路となっている。図示の実施形態において、分離壁306により分割された管路302A、302Bは、位置5Cから第1配管302の端部304に向かって徐々に円形の断面となるように形成されている。図示のように、分離壁306により分割された管路302A、302Bは、第1配管302の端部304で、それぞれ第2配管350A、350Bに連結されている。
【0022】
図5A~5Dに示される実施形態において、第1配管302の分離壁306によって分割された複数の管路302A、302Bの断面積の合計は、分割される前の管路の断面積とほぼ等しい。分割前の第1配管302の管路の断面積をsとし、第1配管302を分離
壁306によりn等分に分割する場合、各流路の断面積は約s/nとなる。したがって、分離壁306の厚さは薄い方が望ましい。
【0023】
上述のように、第1配管302内において、複数の流路に分割する際に、管路の断面積の変化がほとんどない。そのため、第1配管302を流れるキャリアガスに不安定な渦が発生することを抑制することができる。そのため、第1配管302内をキャリアガスとともに流れる粉体材料を安定して複数の流路に均等に分配することができる。
【0024】
図6Aは、一実施形態による粉体供給機構300の配管を示す断面図である。図6Aに示される粉体供給機構300は、材料粉体源204に連結される第1配管302と、DEDノズル250の第2通路254に連結される4つの第2配管350A、350B、350C、350Dと、を備えている。ただし、図6Aには、第2配管350Dは示されていない。
【0025】
図6Aに示される第1配管302は、下流側の端部304から第1配管302の内側の上流に向かって延びる分離壁306を備える。図6Bは、図6Aに示される位置6Bで切り出した断面斜視図である。図6Cは、図6Aに示される位置6Cで切り出した断面斜視図である。図示されるように、分離壁306は、第1配管302の端部304の内側流路を管路302A、302B、302C、302Dに四等分するように形成されている。他の実施形態として、分離壁306は、第1配管302の端部304の内側流路を二等分、三等分など任意の領域に区画するように構成されてもよい。
【0026】
図6Aに示される実施形態において、第1配管302および複数の第2配管350A、350B、350C、350Dは、遷移部330を介して連結されている。図6Aに示されるように、第1配管302の下流側の端部304が、遷移部330の上流側の端部332に連結され、第2配管350A、350B、350C、350Dの上流側端部352A、352B、352C、352Dが、遷移部330の下流側の端部334A、334B、334C、334Dに連結されている。図示のように、遷移部330は、第1配管302の分離壁306に連結される遷移部分離壁336を備える。換言すれば、第1配管302の分離壁306は、遷移部330まで延長されており、遷移部330に延長された分離壁306を遷移部分離壁336と称している。図6Dは、図6Aに示される位置6Dで切り出した断面斜視図である。図示のように、遷移部330は、遷移部分離壁336により、流路330A、330B、330C、330Dの4つの流路に区画されており、各流路330A、330B、330C、330Dがそれぞれ第2配管350A、350B、350C、350Dに連結されている。
【0027】
図6A~6Dに示される実施形態において、第1配管302は、分離壁306によって、4つの扇形の断面の管路302A、302B、302C、302Dに分割されている。図示の実施形態においては、第1配管302の端部304に至るまで同一の扇方の断面の管路302A、302B、302C、302Dが続いている。図示の実施形態において、遷移部330は上流側の端部332では、各管路330A、330B、330C、330Dの断面は扇形であるが、下流側の端部334A、334B、334C、334Dに向かって、断面が円形に近づくように変形している。
【0028】
図6A~6Dに示される実施形態において、第1配管302の内側で分離壁306によって分割された複数の管路の断面積の合計は、分割される前の管路の断面積とほぼ等しい。分割前の第1配管302の管路の断面積をsとし、第1配管302を分離壁306によりn等分に分割する場合、各流路の断面積は約s/nとなる。したがって、分離壁306の厚さは薄い方が望ましい。
【0029】
図6A~6Dに示される実施形態においては、遷移部330のところで流路の断面積が変化している。しかし、第1配管302の端部304よりも上流の位置で、分離壁306により既に流路が複数に分割されているので、材料粉体の分配は第1配管302の分離壁306により既になされている。そのため、遷移部330のところでの流路の断面積の変化によるキャリアガスの流れの乱れによって材料粉体の分配が不均一になることを抑制することができる。
【0030】
図7Aは、一実施形態による粉体供給機構300の配管を示す断面図である。図7Aに示される粉体供給機構300は、材料粉体源204に連結される第1配管302と、DEDノズル250の第2通路254に連結される4つの第2配管350A、350B、350C、350Dと、を備えている。
【0031】
図7Aに示される第1配管302は、下流側の端部304から第1配管302の内側の上流に向かって延びる分離壁306を備える。図7Bは、図7Aに示される位置7Bで切り出した断面斜視図である。図7Cは、図7Aに示される位置7Cで切り出した断面斜視図である。図7Dは、図7Aに示される位置7Dで切り出した断面斜視図である。
【0032】
図7A、7Cに示されるように、第1配管302の分離壁306は、分離壁306の最も上流側の端部である位置7Cで、第1配管302の流路を二等分している。そして、図7A図7Dで示されるように、分離壁306の中間位置である位置7Dのところで二分割された流路をさらにそれぞれ二等分している。図示されるように、本実施形態においては、第1配管302は、端部304のところでは、4つの管路302A、302B、302C、302Dに分割されている。他の実施形態として、第1配管302の分離壁306は、上流側で流路を任意にn分割し、中間位置でさらに流路を任意にm分割して、第1配管302の端部304において流路を計n×mに区画するように形成してもよい。なお、n、mは2以上の自然数である。
【0033】
図7Aに示される実施形態において、第1配管302および複数の第2配管350A、350B、350C、350Dは、遷移部330を介して連結されている。図7Eは、図7Aに示される位置7Eで切り出した断面斜視図である。遷移部330の構成に関しては図6A図6Dの実施形態と同様なので説明を省略する。
【0034】
図7A~7Eに示される実施形態において、第1配管302の内側で分離壁306によって分割された複数の管路の断面積の合計は、分割される前の管路の断面積とほぼ等しい。分割前の第1配管302の管路の断面積をsとし、第1配管302を端部304において分離壁306によりn等分に分割する場合、各流路の断面積は約s/nとなる。したがって、分離壁306の厚さは薄い方が望ましい。
【0035】
図7A~7Eに示される実施形態において、遷移部330のところで流路の断面積が変化している。しかし、第1配管302の端部304よりも上流の位置で、分離壁306により既に流路が複数に分割されているので、材料粉体の分配は第1配管302の分離壁306により既になされている。そのため、遷移部330のところでの流路の断面積の変化によるキャリアガスの流れの乱れによって材料粉体の分配が不均一になることを抑制することができる。図7A~7Eに示される実施形態においては、図6A~6Dに示される実施形態とは異なり、分離壁306の上流側端部および中間位置の二段階で流路を分割している。一度に多くの流路に分割する場合に比べて、材料粉体が衝突する分離壁306の端部の面積が小さくなり、材料粉体の分配のばらつきをさらに小さくすることができる。
【0036】
上述のいずれの実施形態においても、第1配管302の分離壁306は、第1配管302の直径をφとしたとき、第1配管302の下流側の端部304から上流に向かう長さが
φ以上となるように構成されることが望ましい。
【0037】
一実施形態において、上述のような分離壁306を備える第1配管302、第2配管350、および遷移部330は、AM装置に供給する材料粉体と同種の材料から形成することができる。たとえば、第1配管302、第2配管350、および遷移部330は、金属材料や樹脂材料から形成することができる。一実施形態として、第1配管302、第2配管350、および遷移部330はSUSから形成することができる。また、一実施形態において、分離壁306を備える第1配管302、第2配管350、および遷移部330は、帯電を防止するように導電性の材料から形成されることが望ましい。たとえば、これらの部材は、導電性を付与した樹脂材料や金属材料から形成することができる。また、これらの材料はAM装置において、電気的に接地された状態で使用されることが望ましい。
【0038】
一実施形態として、第1配管302、第2配管350、および遷移部330は、公知のAM法により形成される。第1配管302、第2配管350、および遷移部330をAM法により製造することで、各配管の連結部分や、遷移部の形状変化を滑らかに造形することができる。
【0039】
上述の実施形態から少なくとも以下の技術的思想が把握される。
[形態1]形態1によれば、造形物を製造するためのAM装置が提供され、前記AM装置は、DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、前記AM装置はさらに、第1配管と、前記第1配管の端部から前記第1配管の内側の上流に向かって延びる分離壁と、前記第1配管の前記端部に連結されている複数の第2配管と、を有し、前記分離壁は前記第1配管の前記端部を複数の領域に区画し、前記複数の第2配管のそれぞれは、前記第1配管の複数の区画のそれぞれに連結されており、前記第2配管は、前記DEDノズルの前記粉体通路に連結されている。
【0040】
[形態2]形態2によれば、形態1によるAM装置において、前記第1配管の内側の直径をφとするとき、前記分離壁は、前記第1配管の前記端部から上流に向かう長さがφより大きい。
【0041】
[形態3]形態3によれば、形態1または2によるAM装置において、前記第1配管の前記分離壁は、前記第1の配管の内側を均等に複数の領域に区画する第1分離壁と、前記第1分離壁により均等に区画された各領域をさらに複数の領域に区画する第2分離壁と、を有する。
【0042】
[形態4]形態4によれば、形態1から形態3のいずれか1つの形態によるAM装置において、前記第1配管と前記第2配管とは、遷移部を介して連結され、前記遷移部は、前記第1配管の前記分離壁に連結される遷移部分離壁を有し、前記遷移部は前記遷移部分離壁により複数の領域に区画され、前記複数の第2配管のそれぞれは、前記遷移部の複数の区画のそれぞれに連結されている。
【0043】
[形態5]形態5によれば、形態4によるAM装置において、前記第1配管の内側の断面積をsとし、前記第1配管の前記端部における複数の区画の数をnとしたとき、前記分岐部の前記複数の区画の各断面積は、約s/nである。
【0044】
[形態6]形態6によれば、形態1から形態5のいずれか1つの形態によるAM装置において、前記DEDノズルの前記粉体口から、粉体材料およびキャリアガスが10m/s以下の流速で排出されるように構成される。
【符号の説明】
【0045】
100…AM装置
200…ヘッド
202…レーザー源
204…材料粉体源
206…ガス源
250…ノズル
252…第1通路
254…第2通路
300…粉体供給機構
302…第1配管
304…端部
306…分離壁
330…遷移部
332…端部
336…遷移部分離壁
350…第2配管
M…造形物
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E