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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118610
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】服薬支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20230818BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20230818BHJP
【FI】
A61J7/00 Z
A61J1/00 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021639
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】藤榮 博
(72)【発明者】
【氏名】林 宏尚
(72)【発明者】
【氏名】山中 学
(72)【発明者】
【氏名】新妻 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山矢 優
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN03
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、格納部内の薬剤パックの保持を確実に行うと共に、薬剤パックを格納部から取り出す際に、1薬剤パックずつスムーズに安定して取り出す装置を提供する。
【解決手段】薬剤パックを段積みで格納するカートリッジ10などの格納手段と、特定の薬剤パックを格納手段から取り出す取出し部50などの取出し手段と、取出し手段により取り出した薬剤パックを移送する移送部90などの移送手段と、移送手段により移送された薬剤パックを配置する配薬トレイ30などの配薬手段と、格納手段の下部に設けられ、取出し手段により取り出した薬剤パックを通過させるパック取出し開口部17などのパック取出し通過部と、を備えた服薬支援装置であって、薬剤パックを支持する支持部右12、支持部左13などの支持部をパック取出し通過部に複数有し、複数の支持部がパック取出し通過部に固定された固定部材であり、複数の支持部に形状の異なったものが含まれる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤パックを段積みで格納する格納手段と、
特定の前記薬剤パックを前記格納手段から取り出す取出し手段と、
前記取出し手段により取り出した前記薬剤パックを移送する移送手段と、
前記移送手段により移送された前記薬剤パックを配置する配薬手段と、
前記格納手段の下部に設けられ、前記取出し手段により取り出した前記薬剤パックを通過させるパック取出し通過部と、
を備えた服薬支援装置であって、
前記薬剤パックを支持する支持部を前記パック取出し通過部に複数有し、
複数の前記支持部が前記パック取出し通過部に固定された固定部材であり、複数の前記支持部に形状の異なったものが含まれる服薬支援装置。
【請求項2】
複数の前記支持部における前記薬剤パックの支持高さが異なっていることを特徴とする請求項1に記載の服薬支援装置。
【請求項3】
前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部を有し、
複数の前記支持部のうち、前記吸着部により吸着される前記薬剤パック側の高さが高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の服薬支援装置。
【請求項4】
複数の前記支持部がそれぞれ別体に構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の服薬支援装置。
【請求項5】
前記複数の前記支持部が一体に構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の服薬支援装置。
【請求項6】
複数の前記支持部における前記薬剤パックの支持長さが異なっていることを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載の服薬支援装置。
【請求項7】
前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部を有し、
前記吸着部により吸着される前記薬剤パック側の前記支持部の長さが、前記吸着部により吸着されない前記薬剤パック側の前記支持部の長さと比べて短いことを特徴とする請求項1~6の何れか1つに記載の服薬支援装置。
【請求項8】
前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部を有し、
前記吸着部により吸着される前記薬剤パックの吸着部側と反対側に、前記薬剤パックの規制長さを変えるパック規制長さ変更部材を前記格納手段内に有することを特徴とする請求項1~7の何れか1つに記載の服薬支援装置。
【請求項9】
前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部を有し、
前記格納手段内に格納された前記薬剤パックを自重で押さえることにより鉛直下方向に移動可能な押さえ部材を前記格納手段内に有することを特徴とする請求項1~8の何れか1つに記載の服薬支援装置。
【請求項10】
前記薬剤パックには、薬剤が一包化された薬剤一包化パックと、該薬剤一包化パックの複数が前記段積み方向に重ねられて結合された薬剤一包化パック結合体とが含まれることを特徴とする請求項1~9の何れか1つに記載の服薬支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服薬支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
服薬の手間を軽減することを目的として、薬剤が一包化された薬剤一包化パックを収納する格納部から吸着装置を用いてパックを取出した後、配薬トレイに受け渡し、この配薬トレイを本体出口に排出させて、服用者もしくは服用介助者に薬を渡す技術(服薬支援装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の発明は、本件発明とは確かに、格納部の下部にパック取出し口部が設けられている点で類似する。
しかしながら、特許文献1記載の発明では、パック取出し口部に設けられた回転可能なフラップ部の戻り動作により次のパックが挟まれたり、パック支持状態が不適正になってしまったりするという問題点があった。即ち、パック取出し後に次のパックの支持が不十分になり、格納部より飛び出したり、落下したりするという問題が生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易な構成で、格納部内の薬剤パックの保持を確実に行うとともに、薬剤パックを格納部から取り出す際に、1薬剤パックずつスムーズに安定して取り出すことのできる服薬支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、薬剤パックを段積みで格納する格納手段と、特定の前記薬剤パックを前記格納手段から取り出す取出し手段と、前記取出し手段により取り出した前記薬剤パックを移送する移送手段と、前記移送手段により移送された前記薬剤パックを配置する配薬手段と、前記格納手段の下部に設けられ、前記取出し手段により取り出した前記薬剤パックを通過させるパック取出し通過部と、を備えた服薬支援装置であって、前記薬剤パックを支持する支持部を前記パック取出し通過部に複数有し、前記複数の支持部が前記パック取出し通過部に固定された固定部材であり、前記複数の支持部に形状の異なったものが含まれる服薬支援装置にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易な構成で、格納手段内の薬剤パックの支持を確実に行うとともに、薬剤パックを格納手段から取り出す際に、1薬剤パックずつスムーズに安定して取り出すことのできる服薬支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る服薬支援装置全体の正面図、(b)は(a)の側面図である。
図2】(a)は単一の薬剤一包化パックの一般的な形態を示す平面図、(b)は(a)の薬剤一包化パックをA矢視方向から見た側面図、(c)は薬剤一包化パック結合体を示す斜視図、(d)はパック連続体の一般的な形態を示す図である。
図3】配薬トレイの一構成例を示す外観斜視図である。
図4】(a)はカートリッジの縦断面図、(b)はカートリッジの下面図である。
図5図4(a)を拡大誇張して示すカートリッジの縦断面図である。
図6】引出し部に設けられた格納部の着脱機構を示す要部の平断面図である。
図7】引出し部に備えられている格納部の識別構成を説明する平面図である。
図8】(a)は取出し部の構成を示す正面図、(b)は(a)の平面図である。
図9】取出し部の動作推移を示す正面図である。
図10図9に続く取出し部の動作推移を示す正面図である。
図11】(a)は移送部の要部構成を示す正面図、(b)は(a)の側面図である。
図12】一実施形態に係る服薬支援装置の主な制御構成を示す制御ブロック図である。
図13図1の服薬支援装置の主な全体動作フローを説明する図である。
図14】一実施形態に係る取出し部の動作フローを説明するフローチャートである。
図15】(a)は変形例に係るカートリッジの縦断面図、(b)は(a)のカートリッジの下面図である。
図16】(a)は図15とは別の変形例に係るカートリッジの縦断面図、(b)は(a)のカートリッジの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態を詳細に説明する。各実施形態、各実施例等に亘り、同一の機能及び形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0009】
図1を参照して本発明の一実施形態に係る服薬支援装置全体の主要な構成を説明する。図1(a)は本発明の一実施形態に係る服薬支援装置全体の主要な構成を模式的に示す正面図、図1(b)は図1(a)の側面構成を模式的に示す側面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る服薬支援装置200は、格納部とも呼ばれるカートリッジ10と、配薬トレイ30と、取出し部50と、移送部90と、第1出入り口部41~第4出入り口部44と、を備えている。
図1において、服薬支援装置200の左右方向ないしは横方向(幅方向でもある)をX方向と、前後方向ないしは奥行方向をY方向と、上下方向ないしは縦方向(鉛直方向でもある)をZ方向とする。
【0010】
カートリッジ10は、薬剤パックとして後述するように含まれる、薬剤が一包化された薬剤一包化パック(以下、単に「パック」ともいう)を段積みで格納する格納手段としての機能を有する。カートリッジ10は、服薬支援装置200の装置本体としての本体フレー199内の最上部及び下部にそれぞれ複数配置されている。ここで、「段積みで格納する」とは、パックを略水平状態ないしは平積み状態で格納することを意味する。
【0011】
配薬トレイ30は、移送部90により移送された特定のパックを配置する配薬手段ないしは配薬台としての機能を有する。配薬トレイ30は、図1(a)に示すように、最上部及び下部のカートリッジ10に挟まれる状態で4個配置されている。以下、配薬トレイ30の設置部位(パックが配薬トレイ30に自動的に配薬されるべく受け渡される箇所を意味する)を配薬部29とする。
【0012】
取出し部50は、特定のパックをカートリッジ10から取り出す取出し手段としての機能を有する。
移送部90は、取出し部50によりカートリッジ10から取り出したパックを移送する移送手段としての機能を有する。
【0013】
第1出入り口部41及び第4出入り口部44は、カートリッジ10を本体フレーム199の内外に出入りさせる格納手段用出入口手段としての機能を有する。本体フレーム199内にカートリッジ10を挿入しセットするときは、第1出入り口部41、第4出入り口部44からそれぞれ行う。第1出入り口部41、第4出入り口部44の開閉ドアを開き、カートリッジ10がセットされている引出し部21を手前に引出し、カートリッジ10を着脱する。
【0014】
第2出入り口部42及び第3出入り口部43は、配薬トレイ30を本体フレーム199の内外に出入りさせる配薬手段用出入口手段としての機能を有する。第2出入り口部42、第3出入り口部43は、パックを配薬トレイ30に配置(以下、「セット」ないしは「挿入」ともいう)した直後に取り出せるように設けられている。
【0015】
服薬支援装置200では、図1(a)に示すように配薬トレイ30を4個配置しており、例えば、朝、昼、夕方、寝る前などの服薬タイミング毎の配薬トレイを設けている。
配薬トレイ用の第2出入り口部42、第3出入り口部43も配薬トレイ毎に設けているため、他の配薬トレイに配薬動作を行っているときでも別な配薬トレイを取り出すことも可能である。
【0016】
なお、図1に示したカートリッジ10の引出し部21は、4個の配薬トレイ30を挟んで上下2段の2箇所に設けているが、これに限らず、上側もしくは下側にまとめて設けてもよい。また、介護施設の人数によってはカートリッジ10の配置を3段の構成とすることで同様の効果を得られるようにしてもよい。
【0017】
図2を参照して本発明の対象とする薬剤パックの概要を説明する。図2(a)は単一の薬剤一包化パックの一般的な形態を示す平面図、図2(b)は図2(a)の薬剤一包化パックをA矢視方向から見た側面図、図2(c)は薬剤一包化パック結合体の斜視図、図2(d)はパック連続体の一般的な形態を示す図である。なお、図2(b)、図2(c)では、薬剤の図示を省略して幾分模式的に図示している。
【0018】
本発明に係る薬剤パックの形態には、単一の薬剤一包化パック2と、薬剤一包化パック2の複数(図2(c)では2つ)が段積み方向に重ねられて、例えばホチキス止めで結合された薬剤一包化パック結合体2A(以下、単に「パック結合体2A」とも称する)とが含まれる。図2図4図5等以外では、主としてパック2を代表して図示するが、パック結合体2Aも含まれることは勿論である。
図2(a)に示すように、1つの薬剤一包化パック2は、例えば樹脂フィルムで形成されていて、カプセルや錠剤などの薬剤3が小分けにされて袋詰めにされている。薬剤一包化パック2は、薬剤3を覆う袋部2aと、ハッチングを施して示す3辺が圧着ないしは溶着された圧着部4とをそれぞれ有する。袋部2a側の辺は通常2つ折りにされていて、その間に薬剤3が挟み込まれており、圧着部4は薬剤3が袋部2aから漏れるのを防止する漏れ防止部を形成する。1つの薬剤一包化パック2内の薬剤3は、通常、服薬者に対する1回ごとの服薬単位となっている。
【0019】
薬剤一包化パック2は、薬局等に設置された薬剤分包機によって作成(分包)される。分包に使用される分包紙(分包シート)は、ロール状の長尺シートで、折り目が入って重なった状態でロールされており、シートの間に服用する薬剤3が挟み込まれる。薬剤3の周囲の折り目以外の3辺は、圧着部4によって複数回の服用分が順次封止・小分けにされ、所要の回数分の連続シート状にされている。この連続シート状の薬剤一包化パックを「パック連続体」と称する。図2(d)に示すパック連続体1は、複数(同図に示す例では3回服用分)の薬剤一包化パック2が帯状に連なった状態のものである。パック連続体1は、通常、薬局等で使用者(実際に薬剤一包化パック内の薬剤を服用する者や、その服用を介助・支援する介助・支援者を含む他、種々の介護施設や医療施設等のスタッフ等(薬剤師、看護師や介護士、あるいは服薬支援者を含む概念である)に対して提供・販売されている一般的な形態である。説明の簡明化を図る観点から、以下の説明では1つのパックに同じ形態(カプセルや錠剤等)の薬剤を封入されているものを図示しているが、使用者の用途及び目的等に応じて1つのパックに封入されている薬剤が異なるものが用いられることがあることは無論である。
【0020】
薬剤一包化パック2は、図2に示す例では平面視で矩形状をなし、この例のように3辺を圧着して封止する包装方式は、一般には3方包装と呼ばれており、上市されている薬剤分包機の殆どがこの方式でパックを作製するものである。
【0021】
圧着部4は、大よそ10~15mm程度の帯状の幅を有しており、薬剤3が視認できる透明ないしは半透明のフィルム状の袋部2a部分と比べて剛性が高くなっている。パック連続体1を構成している複数の薬剤一包化パック2が上流側から下流側に連続して隣り合う薬剤一包化パック2の圧着部4の中央部には、ミシン目5が施された境界部2bが形成されている。手に不自由がない使用者等では、ミシン目5で手によって千切ったり、あるいはハサミや専用のカッターなどによりミシン目5付近で切断したりすることにより、1つの薬剤一包化パック2を得る。
【0022】
図2(c)に示すように、パック結合体2Aが用いられることもある。パック結合体2Aは、複数(図2cでは2個を示す)の薬剤一包化パック2における3辺の圧着部4のうちの中央部箇所をホチキス止めなどで締結したものである。
【0023】
図3を参照して配薬トレイについて説明する。図3は配薬トレイの一構成例を示す外観斜視図である。
図3に示すように、配薬トレイ30は、特定のパックを配置するための複数の仕切りとしての仕切り部材である仕切り壁31を有し、それぞれ4つの立設した仕切り壁31によって仕切られている。配薬トレイ30に形成されている20箇所の区画33は、X方向(行送り方向)に5列、Y方向(文字送り方向)に4行からなる行列の成分として表現できる。これにより、配薬トレイ30の20箇所の各区画33は、5列4行の行列の成分・番地で一義的に位置付けることができる。更に配薬トレイ30は、配置されたパック2を載置する底壁32を有する。このように、配薬トレイ30は、複数(4つ)の仕切り壁31及び共通の底壁32によって、特定の区画33に配置された特定のパック(図示せず)が他の区画33内のパック(図示せず)と混じり合ったり、底壁32から脱落したりしないように特定の区画33に確実に配置されるように構成されている。
【0024】
同図に示す配薬トレイ30は、各区画33内に着脱可能な小分けボックス34を用いる場合を示している。小分けボックス34は、例えば介護施設等の居住者であるAさんからTさんに亘る計20名分の昼食後に服用すべき薬剤が封入されたパック2を保持するものである。即ち、同図に示す配薬トレイ30は、複数の仕切りによって仕切られた所定(特定)の区画33に小分けボックス34を介して特定のパックを配置する場合に用いられる。配薬トレイ30に対するパック2を配置する動作は、後述のように小分けボックス34を用いない場合で簡単に説明する
【0025】
配薬トレイ30の各区画33には、服用するパックによって服薬者毎にセットないしは挿入位置が決まっている。換言すれば、配薬トレイ30内の複数の区画33は、同じ服薬タイミングにおいて複数の服薬者毎に割り振られていてもよい。また、特定の服薬者が特定の服薬タイミングで服薬しない場合には、特定の服薬タイミングで特定の服薬者にパックが配置されないようにしておくことも可能である。
【0026】
上記配薬トレイ30に限らず、配薬トレイ30の複数の区画33が各服薬者の服薬タイミング毎に割り振られる例であってもよい。具体的には、複数の区画33が、朝、昼、夕、寝る前に服用するパック2の服薬タイミング毎に、かつ服薬者毎に割り振られていてもよい。このような例の配薬トレイ30では、フロアや、複数の服薬者が居住する部屋単位で配薬トレイ30を管理し、その日(もしくは数日)分のパック2を配薬トレイ30に予め配薬することが可能となる。
【0027】
上記例によれば、各区画を、例えば朝、昼、夕、寝る前などの服薬タイミング毎に割り振ることにより、服薬者毎の服薬するタイミングを間違えないようにできる。上述した配薬トレイ30の構成例に限らず、服薬者と服薬するタイミングとの組み合わせで種々の例が考えられるが、本発明の開示範囲を超えるため上記説明に留める。
【0028】
図4を参照してカートリッジの一例について説明する。図4(a)はカートリッジの縦断面図、図4(b)は図4(a)のカートリッジの下面図である。なお、図4(a)の縦断面図では、図面の簡明化を図るため、カートリッジ10内に格納されているパック2の圧着部4の部分の図示を故意に省略してパック2を模式的に拡大誇張して示す。また、同様の趣旨から支持部(支持部右12、支持部左13等)の断面ハッチング表示も省略する。
【0029】
カートリッジ10は、ケース部11と、フタ部14と、パック取出し開口部17と、可動板16と、パック姿勢保持部15と、支持部としての支持部右12、支持部左13とから主に構成されている。
ケース部11は、複数のパック2やパック結合体2A(以下、パック2で代表して説明する)を格納する機能を有する。ケース部11は、例えば樹脂を用いて一体的もしくは別体的に形成されている。
フタ部14は、パック2の出し入れを可能にする機能を有する。
パック取出し開口部17は、ケース部11の下部ないし底部に形成されており、カートリッジ10内のパック2を取り出すための開口部であり、取出し部50(図1図7等参照)によりカートリッジ10から取り出されるパック2を通過させる機能を有する。
【0030】
可動板16は、パック2の倒れの防止、及びケース部11に格納可能な最大数のパック2のうちの1パック目が取り出された後に最下部のパック2をパック取出し開口部17付近に移動させる機能を有する。
パック姿勢保持部15は、パック2の姿勢を保持する機能を有する。
支持部右12及び支持部左13は、ケース部11内のパック2を支持ないし保持する機能も有する。
【0031】
本実施形態では、取出し部50によりカートリッジ10から取り出されるパック2の被取出し部が、カートリッジ10内の下部ないしは底部に有する。即ち、前記被取出し部は、カートリッジ10から取り出されるパック2を複数個所で支持する支持部ないし支持部材としての支持部右12及び支持部左13と、パック取出し開口部17とを有して構成されている。
【0032】
取出し部50でカートリッジ10からパック2を取り出しするときには、支持部右12及び支持部左13はパック2の通過を許容するように構成されている。一方、カートリッジ10からパック2を取り出ししないときには、ケース部11内に複数のパック2を格納保持しておくように支持部右12及び支持部左13はパック2の通過を規制するように構成されている。
【0033】
上述した通り、支持部右12及び支持部左13は、カートリッジ10内のパック2を支持ないし保持する支持部であると共に、取出し部50によるカートリッジ10からのパック2の取り出し動作が安定するようにそれぞれ不動状態で設けられている。
支持部右12及び支持部左13は、パック取出し開口部17の右底壁端部、左底壁端部の底壁内面11eにそれぞれ固定ないし固着した状態で設けられた固定部材である。
パック取出し開口部17は、パック2を取り出すために図4(b)に示す取出し部50の吸着パッド52を通過させる機能を有すると共に、取り出したパック2及び吸着パッド52を通過させる機能とを併せ持っている。即ち、パック取出し開口部17と、パック取出し開口部17を囲む状態で設けられた上記右底壁端部及び上記左底壁端部とは、本発明のパック取出し通過部としての機能を有する。
【0034】
図4(b)中のカートリッジ10において、当該カートリッジ10に格納されているパック2を、後述する図8に示すように吸着パッド52が吸着する位置(以下、「吸着パッド位置」ともいう)を円形状の二点鎖線で示している。
支持部右12と支持部左13は、カートリッジ10内のパック2がパック取出し開口部17から落下しないようにカートリッジ10内のパック2を支持している。そして、後述する取出し部50の動作で説明するように、カートリッジ10内の最下部のパック2を吸着パッド52にて吸着しながら取り出す際、支持部右12の両端近傍のY方向の2箇所の吸着パッド位置において、吸着パッド52にてパック2を吸着する位置関係となっている。カートリッジ10から最下部のパック2を吸着パッド52にて取り出す際、2つの吸着パッド52が支持部右12のY方向の両端近傍を通過してパック2を吸着し保持することとなる。
【0035】
図4(b)に示すように、支持部右12のY方向の両端付近2箇所に吸着パッド位置を配置することにより、吸着パッド52での吸着不能となる不具合発生の恐れも未然に回避して、取り出すことが可能となる。即ち、Y方向の両側のパック2が吸着パッド52で吸着されているため、パック2におけるフィルム製の袋部2aは突っ張った形となり変形に耐えることができる。これにより、カートリッジ10内のパック2の確実な支持ないしは保持と、パック2のスムーズな取り出しやすさとを両立させることが可能となる。
【0036】
パック姿勢保持部15は、適度な弾性を持つスポンジゴムで形成されている。可動板16は、例えば樹脂又は金属等で形成されている。パック姿勢保持部15及び可動板16は、ケース部11内に格納された複数のパック2の姿勢を正常に保持(図4(a)に明示したように、パック2の姿勢をZ方向に沿って整然と略水平状態に保持)するものでもある。
可動板16は、上記機能を発揮すべく、自らの自重によってケース部11内をZ方向下向きに下降することで、ケース部11内に残された少なくとも1つのパック2をパック取出し開口部17付近に確実に移動させるように設定されている。
図4(a)に示すように、ケース部11の側壁には、X方向に所定の幅でZ方向に延びた長溝11aが形成されている。可動板16の一側端部には、フランジ付きの軸16aが長溝11aから突出して設けられている。可動板16は、軸16aが長溝11aに沿ってZ方向に案内されることで、パック2の姿勢をZ方向に沿って保持することができる。図4ではカートリッジ10内のパック2は、略水平状態の段積みで、図において左側の薬剤封入部分が膨らんだ状態の姿勢(図示省略されている)で格納されているが、これらの状態は省略されている。後述する図5の方がパックの積載・格納状態としては実際により近い。
【0037】
ケース部11内へのパック2のセットは、支持部右12、支持部左13側のパック取出し開口部17から上に向かって順番に格納する。カートリッジ10内へパック2を補充するタイミングは、例えば介護施設などの服薬者(入居者)の診察タイミング(通常2週間)やカートリッジ10内のパック2が無くなったタイミングでよい。補充するときにパック2がカートリッジ10内に残っている場合は、残っているパック2の後ろから続けて補充する。
上述したカートリッジ10内へのパック2のセットやパック2の補充は、介護施設などのスタッフ等が行うものであるが、格納部がカートリッジ化されて自動で行うような構成ではこの限りではない。
【0038】
フタ部14は、カートリッジ10内に格納されているパック2の出し入れを介護施設などのスタッフ等が可能とすべく行うものであり、図4(a)に示すように、ケース部11のZ方向に渡り長くかつ所定の開口幅をもって形成されている。
【0039】
図4(a)に示すように、カートリッジ10内のパック2の種類としては、例えばAさんの朝飲む薬の14日分といったように飲むタイミング毎に分けている。したがってAさんが朝以外にも昼や夕方、寝る前に服薬する場合には、カートリッジ10は合計4個必要となる。
上記例に限らず、例えば服薬者(人)毎に設定された単一のカートリッジ10でもよく、カートリッジ10のパック取出し方向となるパック取出し開口部17から上に向かって順に1日目の朝→昼→夕方→寝る前→2日目の朝→昼→夕方・・・のようにしてもよい。
【0040】
上記背景技術で述べたように、特許文献1記載の技術が知られている。特許文献1では、その図8Aに示されているようなフラップ機構のフラップ部左12(回転軸12aと右底壁端部との間には所定範囲の付勢力を持つねじりコイルバネが装着されている)と、フラップ部右13(パック取出し開口部17の右底壁端部に設けられた図示しない回転軸を中心として揺動・開閉可能に設けられている)との組み合わせに係る技術が提案されている。しかしながら、特許文献1記載の技術では、カートリッジ(格納部)からパックを取り出す際に、上記課題に記載した問題のあることが試験を行った結果判明した。
【0041】
本発明の一実施形態では、上述した課題を解決すべく、取出し部50によるカートリッジ10からのパック2の取り出し動作が常に安定するように支持部右12及び支持部左13をケース部11のパック取出し開口部17の底壁内面11eに固定部材として固定した。
換言すれば、支持部右12及び支持部左13は、カートリッジ10の下部のパック取出し開口部11において、薬剤パック(パック2やパック結合体2A)の両端部を保持するための支持部右12と支持部左13が固定された状態で配置されている。
【0042】
パック2の吸着される側の端部支持部を支持部右12で、反対側の端部支持部を支持部左13で、カートリッジ10内に格納セットされたパック2がセット状態で落下しないように支えられている。
支持部右12及び支持部左13は、パック2を支持するパックの支持長さが異なっており、支持部右12の方が支持長さが短い構成としている。図9(c)を参照して後述するように、カートリッジ10内に格納されている一番下(最下部)のパック2が吸着パッド52で吸着されカートリッジ10から引き抜かれる際に、薬剤パックが弾性で撓み引き抜きやすい構成としている。
【0043】
このとき、支持部(支持部右12及び支持部左13)は固定式であるため、次のパック2の先端を確実に保持することができ、前のパック2につられて飛び出したり落下したりすることはない。また、支持部(支持部右12及び支持部左13)は揺動・回転しないため、戻り動作でのパック2の挟み込みや押し込みでの変形なども発生せず、安定した状態で保持されることとなる。
【0044】
図5を参照して、図4(a)のカートリッジに格納されている薬剤パックよりも更に拡大誇張したカートリッジについて説明する。図5の下面図は、図4(b)と同様であるため図示を省略している。
図5のカートリッジ10内に格納されている薬剤パック(パック2やパック結合体2A)では、図において右側の支持部右12側がシールされているため、図において左側の支持部左13側が薬剤で膨らんだ形状になっている。さらに、薬剤一包化パック結合体2Aのように図において右側をホチキス止め(図示せず)などでまとめられている場合(図2(c)参照)もあり、より図において左側が膨らんだ状態になる。
そのため、図5に示すように支持部右12側を支持部左13側よりも、薬剤パックの支持高さを高く、厚くすることで、カートリッジ10内での薬剤パックの保持姿勢が傾きにくく安定して吸引動作できるように構成されている。
【0045】
図6図7を参照して引出し部に設けられた格納部の着脱機構及び動作について説明する。図6は引出し部に設けられた格納部の着脱機構を示す要部の平断面図、図7は引出し部に備えられている格納部の識別構成を説明する模式的な平面図である。
図6に示すように、引出し部21は、複数のカートリッジ10を着脱可能に構成されている。引出し部21のケース部22の左右外側壁面には、スライドレール24がそれぞれ備わっており、各スライドレール24は本体フレーム199(図1参照)側に配設されている本体レール28と摺動可能になっている。これにより、引出し部21は、スライドレール24と本体レール28との係合を介して、本体フレーム199(図1参照)内から引き出して着脱を行うことができる。
【0046】
また、図6に示すように、引出し部21に対するカートリッジ10の着脱は、引出し部21のケース部22の内壁面に内側に向かって突出形成された一対の凸部23と、カートリッジ10のケース部11の外壁部に形成された一対の凹部11cとの係合・離脱、及びケース部22の内壁面とケース部11の外壁部に形成された4箇所の半球状突起11dとの係合・離脱を介して行われる。引出し部21の上記着脱構成により、複数のカートリッジ10の着脱動作を簡単かつ操作性よく行うことができる。
上述の例では、凹凸部の嵌め合い・係合を介して着脱可能にしているが、これに限らず、ケース部22の内壁面とケース部11の外壁面との隙間に弾性材を設けておくことや、磁力を用いた構成や、或いはスナップフィット構造でも上記と同様の効果を得ることができる。
【0047】
引出し部21は、図7に一例を示すように、着脱操作する際に手で把持する取っ手26の近傍に、複数のカートリッジ10の設置個所が分かるようなLED(発光ダイオード)25a~25hなどの案内表示部を備えている。これにより、対象とするカートリッジ10が引出し部21内のどこにあるかを一見して把握することができる。同図において、LED25aは引出し部21のA1(縦の列と横の行で一義的に決定される部位ないしは区画を表す)に対応して着脱されるカートリッジ10の有無を検出するものである。同様に、LED25bは引出し部21のA2の部位に対応して、LED25cは引出し部21のA3の部位に対応して、LED25dは引出し部21のA4の部位に対応して、LED25eは引出し部21のB1の部位に対応して、LED25fは引出し部21のB2の部位に対応して、LED25gは引出し部21のB3の部位に対応して、LED25hは引出し部21のB4の部位に対応して、それぞれ着脱されるカートリッジ10の有無を検出するものである。
なお、LED25a~25hなどの案内表示部ではカートリッジ10の着脱を行う作業者であるスタッフ等が間違える可能性があるため、例えばセンサやスイッチなどで電子的にカートリッジ10の有無を識別する方法でもよい。
【0048】
また、個々の格納部を識別できるように、番号やバーコード、QRコード(登録商標)、又は非接触ICタグなどを格納部に備えておき、誰の薬がどの格納部に入っているかをシステム側で記憶させておくとよい。そして、次に格納部を装着した引出し部を装置本体にセットした後に、装置本体側が個々の格納部を識別する。これにより、対象のパックを間違えずに装置がピックすることができる。
【0049】
図8図9を参照して取出し部の構成及び動作について説明する。図8(a)は取出し部の構成を示す正面図、図8(b)は図8(a)の平面図、図9は取出し部の動作推移を示す正面図である。
図8に示すように、取出し部50は、カートリッジ10からパック2を取り出し保持する吸着部51を備えている。吸着部51は、エア式の吸引ポンプ48(後述する図12のブロック図にのみ示す)を有し、吸引ポンプ48により負圧状態にしてパック2を吸着する。
吸引ポンプ48は、取出し部50に配設されていてもよいし、装置内の他の部位に配設されていても構わない。前記吸引ポンプが装置内に配設されている場合は、エアチューブなどの連通部材を介して前記吸引ポンプに接続する。
【0050】
吸着部51はまた、前記吸引ポンプに連通しパック2を吸着する吸着パッド52と、吸着パッド52に接続された吸着ダクト53とを有する。吸着パッド52は、カートリッジ10内のパック2を吸着して取り出す吸着手段ないしは吸着部材として機能する。
吸着パッド52の一端である図8(a)における上端は、上記したようにパック2を吸着すべく配設されている。吸着パッド52の他端である図8(a)における下端は、吸着ダクト53の一端である図8(a)における上端に取り付け固定されている。吸着ダクト53の他端である図8(a)における下端は、回動ベース部材54に取り付け固定されている。吸着パッド52及び吸着ダクト53は、Y方向に一対設けられている。
【0051】
取出し部50はまた、カートリッジ10から取り出したパック2の姿勢を略鉛直状態に姿勢変更する姿勢変更手段を有する。取出し部50における姿勢変更手段は、主要な構成部材として、回転軸55を介して固定部材57に連結された回動ベース部材54と、特有形状のガイド溝59aが形成されたガイド部材59と、ガイド部材59のガイド溝59aに常に嵌入して回動ベース部材54を案内するガイド軸56と、吸着部上下移動部とを挙げることができる。
回動ベース部材54は、回転軸55を介して固定部材57に連結されている。回動ベース部材54は、回動ベース部材54に固定された回転軸55の回りに所定角度の範囲で回動可能(即ち揺動可能)に設けられていてもよいし、固定部材57に固定された回転軸55の回りに揺動可能に設けられていてもよい。つまり、図8において、回転軸55の中心と後述するガイドロッド58の中心とをX方向に結ぶ距離は、固定部材57がガイドロッド58に沿って上下方向Zに移動する際に常に一定に保たれように設定されている。
【0052】
前記吸着部上下移動部は、固定部材57をZ方向に案内する、Y方向に一対設けられたガイドロッド58と、駆動プーリ60と従動プーリ61とに巻き掛けられた無端状のベルト62と、ギアやベルトなどの駆動伝達部材を介して駆動プーリ60に連結された吸着部上下移動モータ63とを有する。上下移動モータ63は、前記吸着部上下移動部の駆動手段ないしは駆動源である。
【0053】
固定部材57は、固定部材57の右端部に固設されたベルト掴み部62aでベルト62に結合され固定されている。
ガイドロッド58は、Z方向に延びてY方向に一対設けられ、それらの下端部は取出し部50に設けられた取り出しフレーム50aの底フレーム50bに固設されている。
固定部材57の右端部側には、ガイドロッド58に挿入される被ガイド穴57aが形成されている。
駆動プーリ60と従動プーリ61とは、それぞれ図示を省略したプーリ軸が取出しフレーム50a側の不動部材に回動可能に支持されている。吸着部上下移動モータ63は、取出し部50の取出しフレーム50a側の不動部材に固設されている。吸着部上下移動モータ63は、前記吸着部上下移動部の制御対象駆動部材である(後述の図12参照)。
【0054】
吸着部上下移動モータ63の作動による固定部材57の上下移動時には、固定部材57が各ガイドロッド58に沿ってZ方向に移動するため、固定部材57のXY平面の姿勢を略水平状態に一定にすることが可能となる。
なお、前記吸着部上下移動部は、上記したベルト駆動による上下往復運動機構に限らず、ラックアンドピニオンなどを用いた往復直線運動機構等であってもよい。
【0055】
ガイド部材59は、吸着部51のY方向の両側に回動ベース部材54を挟んで一対設けられ、その下端部が底フレーム50bに固設されている。
ガイド軸56は、回動ベース部材54のY方向の両端部に突出して設けられ、ガイド部材59のガイド溝59aに常に嵌入して回動ベース部材54を案内するよう設けられている。ガイド軸56は、図8(a)に示すように、回動ベース部材54の回転軸55のZ方向の下側に、回転軸55と一定の距離を持って設けられている。
【0056】
吸着部上下移動モータ63の作動による固定部材57のZ方向への移動時には、固定部材57のXY平面の姿勢を略水平状態に一定に保ちつつ、かつ、回動ベース部材54のガイド軸56が特有形状のガイド溝59aに沿ってZ方向に移動するため、吸着パッド52の姿勢を略90度回転することが可能となる(図8(a)には、吸着部51が略90度回転したときの様子を太い破線で示す)。
【0057】
ここで、略水平状態とは、水平状態を含む他、本発明の効果を奏する上で許容され得る、水平に対して所定の角度公差範囲内にあることを意味する。
特有形状のガイド溝59aは、ガイド軸56の案内によって、略水平状態の回動ベース部材54を介して図8(a)に実線で示すように吸着パッド52の姿勢を上向きに保持するように、Z方向に比較的長く延びて形成された第1のガイド溝部分と、この第1のガイド溝部分に連通し接続し、下側に行くに従い徐々に右側に緩く円弧を描くように形成され、回動ベース部材54及び吸着パッド52の姿勢を略90度回転させる第2のガイド溝部分とからなる。
【0058】
図9を参照して取出し部50の動作を説明する。なお、ここでは説明の簡明化を図って理解し易くするために、図1の移送部90による動作によって取出し部50が、図1における本体フレーム199の最上部に配置されている引出し部21のカートリッジ10と、その直下に配置されている配薬トレイ30との間に位置する状態にあるものとする。また、カートリッジ10としては、図4に示したものが用いられているものとする。
図9(a)に示すように、図1の移送部90による動作によって取出し部50がカートリッジ10の下側に移動して移動停止状態にある。この際、前記吸着部上下移動部の吸着部上下移動モータ63が停止されていて、吸着パッド52が取出し部上面位置(筐体状をなす取出し部50の取出しフレーム50aの上面位置を意味する)よりも下に位置している。その後、図9(b)に示すように、吸着部上下移動モータ63の作動により、吸着パッド52が上方向に移動し、支持部右12と支持部左13との間のパック取出し開口部17から進入してカートリッジ10の最下部に位置するパック2に接触すると同時にパック2を吸着する。その際には予め前記吸引ポンプが駆動されていて吸着動作が可能な状態にある。
【0059】
次いで、図9(c)に示すように、吸着部上下移動モータ63の逆転作動により、吸着パッド52にてパック2を吸着しながら吸着パッド52が下方向に移動し、カートリッジ10内からパック2の一端側としての先端側(吸着パッド52にて吸着している側を意味し、以下同じ)を引き出す。この際のカートリッジ10のパック取出し開口部17からパック2の先端側を引き出す動作は、パック2がいわば自由変形することによって何の問題を発生することなく行われる。
【0060】
次いで、図9(d)に示すように、移送部90(図1参照)の動作によって取出し部50を横方向であるX方向に移動してパック2の後端側をカートリッジ10から引き出しないしは取り出す。その直後、図9(e)~図9(f)に示すように吸着部上下移動モータ63の動作により、吸着パッド52に吸着保持されているパック2の略水平状態の姿勢を略90度回転させて、略水平状態に対して略垂直状態(以下、略鉛直状態ともいう)に変える。このときの回転運動は、回動ベース部材54に設けられた回転軸55がガイド部材59のガイド溝59aに沿って可動して移動するため、パック2の姿勢を略水平状態から略鉛直状態に変更することができる。この際の駆動源は単一の吸着部上下移動モータ63の一連の動作によって行うことができる。
【0061】
次いで、図10(g)に示すように、略鉛直状態の姿勢でパック2を保持した状態の吸着パッド52を備える取出し部50が移送部90によって、配薬トレイ30が設置されている設置箇所の略真上まで運ばれると、上記吸引ポンプの駆動を停止する。これにより、吸着パッド52によるパック2の吸着保持が解除され、パック2が配薬トレイ30の所定の位置である所定の区画33に差し込まれる(図10(h)参照)。
【0062】
上記動作を複数回行い、必要なパック2を配薬トレイ30の所定の区画33に差し込んだ後に、配薬トレイ30が第3出入り口部43から装置外に排出され、介護施設などのスタッフ等や服薬支援者が受け取る。
【0063】
上述したように、取出し部50は、カートリッジ10からパック2を取り出す過程において、パックの先端側をカートリッジ10の下側に取り出し、移送部90は、パック2の先端側がカートリッジ10の下側に取り出された状態で、パック2の後端側がカートリッジ10から取り出されるように取出し部50を移動する。
そして、移送部90による取出し部50の前記移動方向は、パック2の後端側が支持部左13との支持状態を解除されてパック取出し開口部17から引き出される横方向であるX方向に設定されている。
【0064】
上述した通り、一実施形態では、カートリッジ10からパック2を取り出す際に、取出し部50をカートリッジ10の下側に位置ないし配置させて、カートリッジ10の下方向からパック2が取り出される。このように、カートリッジ10の下側からパック2を取ることで次のパック2が下方向(パック取出し開口部17の方向)に、カートリッジ10内に残っているパック2及び可動板16の自重で自動的に移動するため、カートリッジ10内のパック2の残量に関わらず、取出し部50が簡易な構成で同一の動作をすることができる。
【0065】
図11を参照して移送部90の構成及び動作について説明する。図11(a)は移送部の要部構成を示す正面図、図11(b)は図11(a)の側面図である。
図1の服薬支援装置200の構成のように、各カートリッジ10は配薬トレイ30を挟んでZ方向の上下部の平面上に並んでおり、また、配薬トレイ30は最下部のカートリッジ10の上部にあるため、取出し部50はX方向、Y方向、Z方向の3方向に動くようにしている。このように、移送部90は、取出し部50によってカートリッジ10から取り出したパック2を配薬トレイ30に受け渡すべく移送するために、取出し部50をX方向、Y方向及びZ方向に移動させる構成を有する。
【0066】
取出し部50をX方向に移動させる構成はX方向移送部91、取出し部50をY方向に移動させる構成はY方向移送部101、取出し部50をZ方向に移動させる構成はZ方向移送部111であり、それぞれ類似の構成を有する。
【0067】
X方向移送部91は、取出し部50に取付けられたXアダプタ96と、Xアダプタ96を介して取出し部50をX方向に案内するXガイド部材97と、駆動プーリ92と従動プーリ93との間に巻き掛けられた無端ベルト94と、駆動プーリ92にギアやベルト等の駆動力伝達部材を介して連結されたX方向移送モータ95とを有する。
Xアダプタ96には、3個のローラ98(3個のうち2個は取出し部50に隠れていて見えない)がXガイド部材97を挟み付ける状態で転動可能に取付けられている。また、Xアダプタ96は、ベルト掴み部(図示せず)を介して無端ベルト94に結合され固定されている。
【0068】
X方向移送部91の上記構成により、X方向移送モータ95が駆動すると、前記駆動力伝達部材及び駆動プーリ92を介して無端ベルト94へと駆動力が伝達されて無端ベルト94が回転走行し、取出し部50はXアダプタ96と共にXガイド部材97に沿ってX方向に移動する。
【0069】
Y方向移送部101は、取出し部50に取付けられたYアダプタ106と、Yアダプタ106を介して取出し部50をY方向に案内するYガイド部材107と、駆動プーリ102と従動プーリ103との間に巻き掛けられた無端ベルト104と、駆動プーリ102にギアやベルト等の駆動力伝達部材を介して連結されたY方向移送モータ105とを有する。
Yアダプタ106には、3個のローラ108がYガイド部材107を挟み付ける状態で転動可能に取付けられている。また、Yアダプタ106は、ベルト掴み部104aを介して無端ベルト104に結合され固定されている。
【0070】
Y方向移送部101の上記構成により、Y方向移送モータ105が駆動すると、前記駆動力伝達部材及び駆動プーリ102を介して無端ベルト104へと駆動力が伝達されて無端ベルト104が回転走行し、取出し部50はYアダプタ106と共にYガイド部材107に沿ってY方向に移動する。
【0071】
Z方向移送部111は、Xガイド部材97のX方向の両端部に取付けられた一対のZアダプタ116と、Xガイド部材97及び一対のZアダプタ116を介して取出し部50をZ方向に案内する一対のZガイド部材117と、駆動プーリ112と従動プーリ113との間に巻き掛けられた無端ベルト114と、駆動プーリ112にギアやベルト等の駆動力伝達部材を介して連結されたZ方向移送モータ115とを有する。
Z方向移送部111では、駆動プーリ112、従動プーリ113及び無端ベルト114がX方向の両側にそれぞれ設けられているが、Z方向移送モータ115は一方の駆動プーリ112にのみ設けられている。
各Zアダプタ116には、3個のローラ118がZガイド部材117を挟み付ける状態で転動可能にそれぞれ取付けられている。また、各Zアダプタ116は、各ベルト掴み部114aを介して各無端ベルト114に結合され固定されている。
【0072】
Z方向移送部111の上記構成により、Z方向移送モータ115が駆動すると、前記駆動力伝達部材及び駆動プーリ112を介して無端ベルト114へと駆動力が伝達されて無端ベルト114が回転走行し、取出し部50はXガイド部材97及びZアダプタ116と共にZガイド部材117に沿ってZ方向に移動する。
【0073】
図11ではX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に取出し部50が移動するようにしているが、例えば取出し部50を挟んで上側にカートリッジ10、下側に配薬トレイ30を配置している構成の場合には、取出し部50はX方向、Y方向のみの移動でよいため、移動軸を1つ少なくすることができる。
【0074】
図12を参照して服薬支援装置200の制御構成を説明する。図12は、一実施形態に係る服薬支援装置の主な制御構成を示す制御ブロック図である。
図12に示すように、服薬支援装置200は、服薬支援装置200の各部等の動作制御を行う、制御手段としての制御部150として機能するCPU(中央処理装置)を備えている。CPUには、記憶部及びタイマー部等が内蔵されている。CPUは、後述するセンサを含む各種の入力をもとにプログラムに沿ったタイミングでスタッフ等への報知や装置の動作のための指示を出す。
【0075】
CPUは、演算及び制御機能を備えている他、タイマー(計時)機能を備えていてもよい。記憶部152は、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(随時読み書き可能なメモリ)や外部メモリ等が含まれる。ROMには、上記CPUが読み出し可能なプログラム(例えば後述する制御フローチャートなどのプログラム)や各種データ等が予め記憶されている。上記データとしては、例えば服薬者毎に割り振られた配薬トレイ30の区画33とパック2との関係データ、服薬タイミング毎に割り振られた配薬トレイ30の区画33とパック2との関係データ、服薬の順番毎に割り振られた配薬トレイ30の区画33とパック2との関係データ等が挙げられる。
【0076】
CPUの入出力ポートには、ユーザインターフェースとしてタッチパネル151が電気的に接続されている。タッチパネル151は、これに限らず、例えば入力部と表示部が別体でキーボードとLED表示部といった組合せでも構わない。
【0077】
CPUの入力ポートには、装置内に収納されている配薬トレイ30の種類や、配薬トレイ30の有無を検出する配薬トレイ検出センサ153、カートリッジ10の有無を検出する格納部検出センサ157が電気的に接続されている。
CPUの入力ポートにはまた、取出し部50におけるX方向移送部91のホームポジション(以下、「HP」と略記する)を検出する移送部HPセンサ99、取出し部50におけるY方向移送部101のHPを検出する移送部HPセンサ109、取出し部50におけるZ方向移送部111のHPを検出する移送部HPセンサ119が電気的に接続されている。
CPUの入力ポートにはまた、取出し部50における吸着部51(特には吸着パッド52)のHPを検出する吸着部HPセンサ158が電気的に接続されている。
【0078】
CPUの出力ポートには、引出し部21のLED25a~25h、吸引ポンプ48、吸着部上下移動モータ63、X方向移送部91のX方向移送モータ95、Y方向移送部101のY方向移送モータ105、Z方向移送部の111のZ方向移送モータ115が電気的に接続されている。
CPUの出力ポートに報知部を電気的に接続してもよい。この報知部は、LED等の光、音声を含む音や振動によって、上記装置・各部がどのような状態にあるのかを報知したりするものである。スタッフ等が装置から離れていても服薬タイミングなどを知らせるためのスピーカやライト等を備えている。
【0079】
タッチパネル151からの入力情報、各種センサからの各種信号がCPUに入力されると、CPUからは、次の指令信号が出力される。即ち、CPUからは、タッチパネル151の表示装置(上記報知部を含む)の音声装置や光装置、LED25a~25h、吸引ポンプ48、吸着部上下移動モータ63、X方向移送モータ95、Y方向移送モータ105、Z方向移送モータ115を制御するための指示である指令信号が出力される。
CPUは、後述する説明や制御フローチャートに示されている制御動作を実行させる機能を有する。
【0080】
図13を参照して服薬支援装置の主な全体動作フローを説明する。この動作は制御部150のCPUの制御指令の下に実行される。
図13(a1)~図13(a6)に示すように、図9(a)~図9(f)を参照して説明した通りの詳細動作が行われる。図13(a6)に示す動作状態は、カートリッジ10から取り出したパック2を吸着し保持している吸着パッド52の姿勢を略90度回転させた状態を示している。図13(b)に示すように、取り出したパック2は図13(a6)と同様の姿勢状態で取出し部50の吸着パッド52に保持されている。
そして、図13(b)に示すように、パック2を保持した状態の吸着パッド52を備える取出し部50が移送部90によって、配薬トレイ30が設置されている配薬部29まで太い破線で示すルート上を移送される。取出し部50が配薬部29の配薬トレイ30の略真上に運ばれると、吸引ポンプ48の駆動を停止する。これにより、吸着パッド52によるパック2の吸着保持が解除され、パック2が配薬トレイ30の所定の区画33に差し込まれる。
【0081】
上記動作を複数回行い、必要なパック2を配薬トレイ30の所定の区画33に差し込んだ後に、図13(c)に示すように、配薬トレイ30が例えば第2出入り口部42から装置外に排出され、介護施設などのスタッフ等や服薬支援者が受け取る。
【0082】
図14を参照して図13の全体動作フローにおける取出し部の動作フローを補足する。図14は取出し部の動作フローを示すフローチャートである。
図14のステップS10において、配薬すべきパック2を格納している対象のカートリッジ10のNoを確認すると共に、パック2が受け渡される対象の配薬トレイ30の位置を確認しておく。
次いで、対象のカートリッジ10まで取出し部50を移送部90の移送動作によって移動する(ステップS11)。次いで、吸引ポンプ48を駆動しながら、吸着部上下移動モータ63を駆動することによって吸着部51を上方向に移動する(ステップS12~ステップS13)。吸着パッド52によってカートリッジ10内の最下部のパック2が吸着保持される一定時間後に、吸着部上下移動モータ63を逆転駆動することによって吸着部51を下方向に移動する(ステップS14)。この後、取出し部50をX方向に移動させて、カートリッジ10からパック2を完全に取り出し、吸着部上下移動モータ63をさらに逆転駆動させて吸着部51を下方向に移動させることにより、吸着部51を略90度回転し、パック2の姿勢を略平行状態から略鉛直状態に変更にする(ステップS15~ステップS16)。
【0083】
次いで、移送部90の移送動作によって対象の配薬トレイ30の位置まで取出し部50を移動する。取出し部50が対象の配薬トレイ30の位置まで移動したとき、吸引ポンプ48を停止し、吸着パッド52からパック2を離間する(ステップS17~ステップS18)。そして、配薬するパック2が他にないか否かがチェックされ、配薬するパック2が他にないときには一連の動作フローを終了する(ステップS19)。
一方、ステップS19において、配薬するパック2が他にあるときにはステップS10に戻って、上記同様の動作が繰り返される。
【0084】
上記一実施形態では、パック2の略水平状態から略鉛直状態への姿勢変更のタイミングを、取り出されるパック2がカートリッジ10の外に取り出される直後としていた。
かかる構成及び動作により、取出し手段の横方向にスペースの余裕が無い場合に、横方向の幅を小さくした小型な装置を提供することができる。
また、カートリッジ10からパック2を取り出す際に、取出し部50をカートリッジ10の下側に位置させて、カートリッジ10の下方向からパック2が取り出される。このように、カートリッジ10の下側からパック2を取ることで次のパック2が下方向(パック取出し開口部17の方向)に、カートリッジ10内に残っているパック2及び可動板16の自重で自動的に移動するため、カートリッジ10内のパック2の残量に関わらず、取出し部50が簡易な構成で同一の動作をすることができる。
【0085】
上記一実施形態によれば、簡易な構成で、格納手段内の薬剤パックの保持を確実に行うとともに、薬剤パックを格納手段から取り出す際に、1薬剤パックずつスムーズに安定して取り出すことが可能な服薬支援装置を提供することができる。
より具体的には、薬剤パックを格納手段内に保持することが可能であるとともに、取り出しやすさと落ちにくさを両立することが可能であって、取出し手段により取り出す次の薬剤パックの落下や支持姿勢が崩れることを防ぐことが可能な服薬支援装置を提供することができる、という基本的な効果を奏する。
【0086】
図15を参照してカートリッジの変形例について説明する。図15(a)は変形例に係るカートリッジの縦断面図、図15(b)は図15(a)のカートリッジの下面図である。
図4図5に示したカートリッジ10では、支持部右12や支持部左13、及びケース部11がそれぞれ別体に構成されている場合で説明したが、図15に示すように支持部右12、支持部左13及びケース部11が一体に構成されたものであってもよい。ケース部11は、適宜の樹脂を用いて射出成型機などによって成形することにより、図4に示した支持部右12と支持部左13と共に一体に形成されている。
図15に示す変形例によれば、カートリッジをより簡易に構成することができる。
【0087】
図16を参照して図15とは別のカートリッジの変形例について説明する。図16(a)は図15とは別のカートリッジの変形例に係るカートリッジの縦断面図、図16(b)は図16(a)のカートリッジの下面図である。図16(b)ではパック2やパック結合体2A(以下、代表してパック2の場合で説明する)のパックサイズを明確にすべく圧着部4についても図示している。
パック2のパックサイズ(図16におけるX方向の長さ)が図4に示したものと異なる場合、カートリッジ10内でのパック2の格納位置が安定せずに、パック2の吸着パッド52(図8参照)による吸着位置がばらついてしまう。
【0088】
そこで、同図に示すように、カートリッジ10内でのパック2の吸着パッド52による吸着側と反対側にパック規制長さ変更部材18を備えることで、パック2のサイズによらず吸着パッド52の吸着位置を一定にすることができる。パック規制長さ変更部材18は、ケース11の内壁に対して着脱自在に設け、用いるパックサイズが変更されるときにのみ交換すればよい。
図16に示す変形例によれば、カートリッジ内でのパックの支持位置を常に吸着部の吸着位置に揃った状態にすることが可能である。
【0089】
上記一実施形態等には、実質的に以下の態様及び効果が記載されていたと言える。
即ち、第1の態様は、薬剤パックを段積みで格納するカートリッジ10などの格納手段と、特定の前記薬剤パックを前記格納手段から取り出す取出し部50などの取出し手段と、前記取出し手段により取り出した前記薬剤パックを移送する移送部90などの移送手段と、前記移送手段により移送された前記薬剤パックを配置する配薬トレイ30などの配薬手段と、前記格納手段の下部に設けられ、前記取出し手段により取り出した前記薬剤パックを通過させるパック取出し開口部17などのパック取出し通過部と、を備えた服薬支援装置であって、前記薬剤パックを支持する支持部右12、支持部左13などの支持部を前記パック取出し通過部に複数有し、前記複数の支持部が前記パック取出し通過部に固定された固定部材であり、前記複数の支持部に形状の異なったものが含まれる服薬支援装置である。
【0090】
かかる構成により、第1の態様によれば、簡易な構成で、格納手段内の薬剤パックの保持を確実に行うとともに、薬剤パックを格納手段から取り出す際に、1薬剤パックずつスムーズに安定して取り出すことが可能な服薬支援装置を提供することができる。
より具体的には、薬剤パックを格納手段内に保持することが可能であるとともに、取り出しやすさと落ちにくさを両立することが可能であって、取出し手段により取り出す次の薬剤パックの落下や支持姿勢が崩れることを防ぐことが可能な服薬支援装置を提供することができる。
【0091】
第2の態様は、第1の態様において、前記複数の支持部における前記薬剤パックの支持高さが異なっている。
かかる構成により、第2の態様によれば、厚さの不均一な薬剤パックを安定して支持することができる。
【0092】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部51などの吸着部を有し、前記複数の支持部のうち、前記吸着部により吸着される前記薬剤パック側の高さが高い。
かかる構成により、第3の態様によれば、例えばパック結合体としてホチキス止めしている厚さが薄い薬剤パック側を高くすることで、格納手段内での薬剤パックの支持姿勢を安定化させることができることで、吸着ミスを防ぐことができる。
【0093】
第4の態様は、第1~第3の何れか1つの態様において、複数の前記支持部がそれぞれ別体に構成されている。
【0094】
第5の態様は、第1~第3の何れか1つの態様において、複数の前記支持部が一体に構成されている。
かかる構成により、第5の態様によれば、支持部を簡易に構成することができる。
【0095】
第6の態様は、第1~第5の何れか1つの態様において、複数の支持部における前記薬剤パックの支持長さが異なっている。
かかる構成により、第6の態様によれば、薬剤パックを取り出す際にスムーズに取り出すことができる。
【0096】
第7の態様は、第1~第6の何れか1つの態様において、前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部を有し、前記吸着部により吸着される前記薬剤パック側の前記支持部の長さが、前記吸着部により吸着されない前記薬剤パック側の前記支持部の長さと比べて短い。
かかる構成により、第7の態様によれば、薬剤パックを吸着して取り出す際にスムーズに引き抜くことができる。
【0097】
第8の態様は、第1~第7の何れか1つの態様において、前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部を有し、前記吸着部により吸着される前記薬剤パックの吸着部側と反対側に、前記薬剤パックの規制長さを変えるパック規制長さ変更部材を前記格納手段内に有する。
かかる構成により、第8の態様によれば、格納手段内での薬剤パックの支持位置を、常に吸着側端面に揃った状態にすることが可能となる。
【0098】
第9の態様は、第1~第8の何れか1つの態様において、前記取出し手段は、前記薬剤パックを吸着して取り出す吸着部を有し、前記格納手段内に格納された前記薬剤パックを自重で押さえることにより鉛直下方向に移動可能な押さえ部材を前記格納手段内に有する。
かかる構成により、第9の態様によれば、格納手段内の薬剤パックがスムーズに最下部の吸着位置まで移動して格納手段内での保持姿勢を安定化させることで、吸着ミスを防ぐことが可能となる。
第10の態様は、第1~第9の何れか1つの態様において、前記薬剤パックには、薬剤が一包化された薬剤一包化パックと、該薬剤一包化パックの複数が前記段積み方向に重ねられて結合された薬剤一包化パック結合体とが含まれる。
かかる構成により、第10の態様によれば、服薬者や服薬支援者の要望に基づいて多種形態の薬剤を提供することができる。
【0099】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施形態や実施例、或いは変形例等に記載した技術事項を適宜組み合わせたものであってもよい。
【0100】
本発明の実施の形態に適宜記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0101】
2 薬剤一包化パック(薬剤パックの一例)
2A 薬剤一包化パック結合体(薬剤パックの一例)
3 薬剤
5 ミシン目
10 格納部、カートリッジ(格納手段の一例)
12 支持部右(支持部、支持部材の一例)
13 支持部左(支持部、支持部材の一例)
17 パック取出し開口部(パック取出し通過部の一例)
18 パック規制長さ変更部材
21 引出し部
29 配薬部
30 配薬トレイ(配薬手段、配薬台の一例)
50 取出し部(取出し手段の一例)
51 吸着部
52 吸着パッド(吸着手段、吸着部材の一例)
90 移送部(移送手段の一例)
150 制御部
200 服薬支援装置
X 左右・横方向
Y 前後・奥行方向
Z 上下・鉛直方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2021-185976号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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