(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118650
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】大豆蛋白組成物及び大豆蛋白含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23J 3/16 20060101AFI20230818BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20230818BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20230818BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20230818BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20230818BHJP
A23L 11/65 20210101ALI20230818BHJP
【FI】
A23J3/16
A23L2/00 J
A23L2/38 D
A23L2/66
A23L2/00 Q
A23L11/00 Z
A23L11/65
A23J3/16 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136377
(22)【出願日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2022021119
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022056300
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】柑本 雅司
(72)【発明者】
【氏名】植西 洋平
【テーマコード(参考)】
4B020
4B117
【Fターム(参考)】
4B020LB18
4B020LC01
4B020LC02
4B020LC04
4B020LG04
4B020LK01
4B020LK02
4B020LK03
4B020LK04
4B020LK05
4B020LK06
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4B020LP08
4B020LP11
4B020LP15
4B020LP20
4B117LC02
4B117LC03
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4B117LE01
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4B117LL01
4B117LL02
4B117LL03
4B117LL04
4B117LL06
4B117LP01
4B117LP03
(57)【要約】
【課題】 水と混合した場合に蛋白のダマができにくく、水と混合した場合に粘度が低い分散液が得られる大豆蛋白組成物、及び飲食時の口あたりがさらりとした低粘度の大豆蛋白含有飲料を提供すること。
【解決手段】 以下の(A)、(B)又は(C)の大豆蛋白組成物。
(A)分離大豆蛋白を90~98.5質量%、及び乳酸カルシウムを1.5~10質量%含有する大豆蛋白組成物。
(B)分離大豆蛋白を87.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化カルシウムを0.4~2.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
(C)分離大豆蛋白を88.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化マグネシウムを0.4~1.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)、(B)又は(C)の大豆蛋白組成物。
(A)分離大豆蛋白を90~98.5質量%、及び乳酸カルシウムを1.5~10質量%含有する大豆蛋白組成物。
(B)分離大豆蛋白を87.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化カルシウムを0.4~2.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
(C)分離大豆蛋白を88.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化マグネシウムを0.4~1.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
【請求項2】
前記(A)の分離大豆蛋白含量が94~96.5質量%、及び乳酸カルシウム含量が3.5~6質量%である、請求項1に記載の大豆蛋白組成物。
【請求項3】
前記(B)の分離大豆蛋白含量が96~98質量%、乳酸カルシウム含量が1~2質量%及び塩化カルシウム含量が1~2質量%である、請求項1に記載の大豆蛋白組成物。
【請求項4】
前記(C)の分離大豆蛋白含量が96~97.5質量%、乳酸カルシウム含量が2~3質量%、及び塩化マグネシウム含量が0.5~1質量%ある、請求項1に記載の大豆蛋白組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の大豆蛋白組成物を含有する大豆蛋白粉末飲料。
【請求項6】
さらに、ビタミン類、糖類、高甘味度甘味料、増粘多糖類、デキストリン、食用油脂、ココアパウダー、食塩、着色料、香料、及び乳化剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項5に記載の大豆蛋白粉末飲料。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の大豆蛋白組成物、又は請求項5若しくは6に記載の大豆蛋白粉末飲料を含有する大豆蛋白含有飲料。
【請求項8】
さらに、ビタミン類、糖類、高甘味度甘味料、増粘多糖類、デキストリン、食用油脂、ココアパウダー、食塩、着色料、香料、及び乳化剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項7に記載の大豆蛋白含有飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆蛋白組成物及び大豆蛋白含有飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、蛋白質の摂取を目的として、水や牛乳に分散させて飲む大豆蛋白粉末飲料が販売されている。そして、大豆蛋白粉末飲料の蛋白原料には、大豆蛋白加水分解物がよく使用されている(特許文献1)。
一方で、加水分解をしていない分離大豆蛋白は、蛋白質の摂取の点からは、蛋白含量が高いのでメリットがあるが、水と混合して得られる分散液の粘度が高くなり、ゾル状の粘りが発生してしまうことがら、飲料用途にはほとんど使用されていなかった。
また、大豆蛋白加水分解物は、加水分解処理を必須とする製造により、水と混合しても分散液の粘度は高くならないが、価格が高いという欠点があり、飲料用として、加水分解処理を行わなくても、分散液の粘度が低い分離大豆蛋白の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、水と混合した場合に蛋白のダマができにくく、水と混合した場合に粘度が低い分散液が得られる大豆蛋白組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、飲食時の口あたりがさらりとした低粘度の大豆蛋白含有飲料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、分離大豆蛋白に乳酸カルシウム、乳酸カルシウム及び塩化カルシウム、又は乳酸カルシウム及び塩化マグネシウムを配合することにより、加水分解処理をしなくても、飲料の原料に適した大豆蛋白組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下に関するものである。
〔1〕以下の(A)、(B)又は(C)の大豆蛋白組成物。
(A)分離大豆蛋白を90~98.5質量%、及び乳酸カルシウムを1.5~10質量%含有する大豆蛋白組成物。
(B)分離大豆蛋白を87.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化カルシウムを0.4~2.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
(C)分離大豆蛋白を88.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化マグネシウムを0.4~1.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
〔2〕前記(A)の分離大豆蛋白含量が94~96.5質量%、及び乳酸カルシウム含量が3.5~6質量%である、〔1〕に記載の大豆蛋白組成物。
〔3〕前記(B)の分離大豆蛋白含量が96~98質量%、乳酸カルシウム含量が1~2質量%及び塩化カルシウム含量が1~2質量%である、〔1〕又は〔2〕に記載の大豆蛋白組成物。
〔4〕前記(C)の分離大豆蛋白含量が96~97.5質量%、乳酸カルシウム含量が2~3質量%、及び塩化マグネシウム含量が0.5~1質量%ある、〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の大豆蛋白組成物。
〔5〕〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の大豆蛋白組成物を含有する大豆蛋白粉末飲料。
〔6〕さらに、ビタミン類、糖類、高甘味度甘味料、増粘多糖類、デキストリン、食用油脂、ココアパウダー、食塩、着色料、香料、及び乳化剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する〔5〕に記載の大豆蛋白粉末飲料。
〔7〕〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の大豆蛋白組成物、又は〔5〕若しくは〔6〕に記載の大豆蛋白粉末飲料を含有する大豆蛋白含有飲料。
〔8〕さらに、ビタミン類、糖類、高甘味度甘味料、増粘多糖類、デキストリン、食用油脂、ココアパウダー、食塩、着色料、香料、及び乳化剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する〔7〕に記載の大豆蛋白含有飲料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水と混合した場合に蛋白のダマができにくく、水と混合した場合に粘度が低い分散液が得られる大豆蛋白組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、飲食時の口あたりがさらりとした低粘度の大豆蛋白含有飲料を提供することができる。
さらに、大豆蛋白の加水分解処理をしなくても良いので、大豆蛋白含有飲料の価格を安くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の大豆蛋白組成物は、以下の(A)、(B)又は(C)である。
(A)分離大豆蛋白を90~98.5質量%、及び乳酸カルシウムを1.5~10質量%含有する大豆蛋白組成物。
(B)分離大豆蛋白を87.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化カルシウムを0.4~2.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
(C)分離大豆蛋白を88.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化マグネシウムを0.4~1.5質量%含有する大豆蛋白組成物。
【0009】
まず、本発明に使用する分離大豆蛋白について説明をする。
本発明に使用する分離大豆蛋白は、通常製造されている方法で製造することができる。分離大豆蛋白の製造方法としては、例えば、脱脂大豆を中性から弱アルカリ性で水抽出後、おからを分離し、得られた抽出液を大豆蛋白の等電点付近の酸性に調整して沈殿物を生じさせることでホエー成分を分離し、沈殿物を溶解、中和後、乾燥することによって製造することができる。
このように、分離大豆蛋白は、脱脂大豆から製造することができるが、市販品を使用することもできる。分離大豆蛋白の市販品としては、例えば、日清オイリオグループ(株)
販売の商品「ソルピー6000H」、「ソルピー5000H」が挙げられる。
なお、市販の分離大豆蛋白中の蛋白含量は、通常、乾燥重量あたり90質量%以上である。
【0010】
次に、本発明に使用する乳酸カルシウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムについて説明をする。
本発明に使用する乳酸カルシウムは、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムは、市販品を使用することができる。
【0011】
次に、本発明の(A)の大豆蛋白組成物について説明をする。
本発明の(A)の大豆蛋白組成物は、分離大豆蛋白を90~98.5質量%、及び乳酸カルシウムを1.5~10質量%含有する大豆蛋白組成物である。
分離大豆蛋白の含量は、好ましくは90~98質量%であり、より好ましくは93~97質量%であり、さらにより好ましくは94~96.5質量%である。
乳酸カルシウムの含量は、好ましくは2~10質量%であり、より好ましくは3~7質量%であり、さらにより好ましくは3.5~6質量%である。
乳酸カルシウムの含量が、1.5質量%未満であると、大豆蛋白組成物を水と混合した場合に、より低い粘度の分散液を得ることができないからである。なお、後述するが、乳酸カルシウムの含量が、1.5質量%未満であっても、塩化カルシウムや塩化マグネシウムを併用することで、粘度が低い分散液を得ることができる。
また、乳酸カルシウムの含量が、10質量%より多くても、さらなる粘度低下の効果が期待できないからである。
ここで、「粘度が低い」とは、本発明の大豆蛋白組成物を水に分散させたときの分散液(以下、「大豆蛋白組成物の分散液」ともいう。)の粘度が、同量の分離大豆蛋白のみを水に分散させたときの分散液の粘度よりも低くなることを意味する。以下、同様とする。
また、本発明の大豆蛋白組成物を水に分散させた分散液の粘度は、音叉型振動式粘度計を用いて測定することができる。音叉型振動式粘度計として、例えば、(株)エー・アンド・デイ製の粘度計「SV-10」を挙げることができる。
大豆蛋白組成物の分散液は、時間が経過すると沈殿を生じてしまうため、大豆蛋白組成物の分散液の粘度の測定は、大豆蛋白組成物の分散液の製造において、大豆蛋白組成物の分散液をシェイカー等に入れて振り混ぜてから30分以内に行うのが好ましい。
また、均一な分散液の粘度を測定するために、粘度を測定する直前に、大豆蛋白組成物の分散液を撹拌棒で撹拌して大豆蛋白を分散させたものについて、粘度の測定開始から1分後の値を測定するのが好ましい。
【0012】
次に、本発明の(B)の大豆蛋白組成物について説明をする。
本発明の(B)の大豆蛋白組成物は、分離大豆蛋白を87.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化カルシウムを0.4~2.5質量%含有する大豆蛋白組成物である。
分離大豆蛋白の含量は、好ましくは91.5~98.6質量%であり、より好ましくは95~98.5質量%である、さらにより好ましくは96~98質量%である。
乳酸カルシウムの含量は、好ましくは1~6質量%であり、より好ましくは1~3質量%であり、さらにより好ましくは1~2質量%である。
塩化カルシウムの含量は、好ましくは0.4~2.5質量%であり、より好ましく0.5~2質量%であり、さらにより好ましくは1~2質量%である。
乳酸カルシウムの含量が、0.8質量%未満、又は塩化カルシウムの含量が、0.4質量%未満であると、大豆蛋白組成物を水と混合した場合に、塩化カルシウムを併用しても、より低い粘度の分散液を得ることができないからである。
また、塩化カルシウムの含量が、2.5質量%より多いと、大豆蛋白組成物を水と混合して得られる分散液の風味に、エグミが出てきてしまうからである。
また、乳酸カルシウムの含量が10質量%より多くても、さらなる粘度低下の効果が期待できないからである。
また、大豆蛋白組成物含有飲料の粘度を考えると、乳酸カルシウムと塩化カルシウムを併用することで、乳酸カルシウム単独の場合よりも大豆蛋白組成物に配合する乳酸カルシウムの量を少なくすることができる。その結果、大豆蛋白組成物中の蛋白含量を高くすることができるので、乳酸カルシウムと塩化カルシウムを併用した大豆蛋白組成物を用いることで、大豆蛋白含量がさらに多い大豆蛋白粉末飲料、及び大豆蛋白含有飲料を製造することができる。
【0013】
次に、本発明の(C)の大豆蛋白組成物について説明をする。
本発明の(C)の大豆蛋白組成物は、分離大豆蛋白を88.5~98.8質量%、乳酸カルシウムを0.8~10質量%、及び塩化マグネシウムを0.3~1.5質量%含有する大豆蛋白組成物である。
分離大豆蛋白の含量は、好ましくは92.5~98.6質量%であり、より好ましくは95.5~98.5質量%である、さらにより好ましくは96~97.5質量%である。
乳酸カルシウムの含量は、好ましくは1~6質量%であり、より好ましくは1~3質量%であり、さらにより好ましくは2~3質量%である。
塩化マグネシウムの含量は、好ましくは0.4~1.5質量%であり、より好ましく0.5~1.5質量%であり、さらにより好ましくは0.5~1質量%である。
乳酸カルシウムの含量が、0.8質量%未満、又は塩化マグネシウムの含量が、0.3質量%未満であると、大豆蛋白組成物を水と混合した場合に、塩化マグネシウムを併用しても、より低い粘度の分散液を得ることができないからである。
また、塩化マグネシウムの含量が、1.5質量%より多いと、大豆蛋白組成物を水と混合して得られる分散液の風味に、エグミが出てきてしまうからである。
また、乳酸カルシウムの含量が10質量%より多くても、さらなる粘度低下の効果が期待できないからである。
また、大豆蛋白組成物含有飲料の粘度を考えると、乳酸カルシウムと塩化マグネシウムを併用することで、乳酸カルシウム単独の場合よりも大豆蛋白組成物に配合する乳酸カルシウムの量を少なくすることができる。その結果、大豆蛋白組成物中の蛋白含量を高くすることができるので、乳酸カルシウムと塩化マグネシウムを併用した大豆蛋白組成物を用いることで、大豆蛋白含量がさらに多い大豆蛋白粉末飲料、及び大豆蛋白含有飲料を製造することができる。
【0014】
本発明の大豆蛋白組成物には、さらに、乳化剤、香料、色素等の他の成分を配合することもできる。
【0015】
次に、本発明の大豆蛋白組成物の製造方法について説明をする。
本発明の(A)の大豆蛋白組成物の場合、上述した量の分離大豆蛋白と乳酸カルシウムを、混合することにより製造することができる。
混合は、袋に原料を入れて袋を振って混合してもよく、ナウターミキサー、V型混合機、リボンミキサー等の混合機を用いて混合しても良い。
本発明の(B)の大豆蛋白組成物の場合、上述した量の分離大豆蛋白と乳酸カルシウムと塩化カルシウムとを、混合することにより製造することができる。
混合は、袋に原料を入れて袋を振って混合してもよく、ナウターミキサー、V型混合機、リボンミキサー等の混合機を用いて混合しても良い。
本発明の(C)の大豆蛋白組成物の場合、上述した量の分離大豆蛋白と乳酸カルシウムと塩化マグネシウムとを、混合することにより製造することができる。
混合は、袋に原料を入れて袋を振って混合してもよく、ナウターミキサー、V型混合機、リボンミキサー等の混合機を用いて混合しても良い。
【0016】
本発明の大豆蛋白組成物は、そのまま飲料の原料、即ち、大豆蛋白粉末飲料として使用することができる。
大豆蛋白粉末飲料を用いた大豆蛋白含有飲料は、例えば、100~200mlの水又は牛乳を入れたシェイカーに、大豆蛋白粉末飲料である大豆蛋白組成物を、好ましくは5~30g、より好ましくは、5~20g、さらに好ましくは8~16g添加後、シェイカーの蓋をして数回振り混ぜることにより製造することができる。
【0017】
また、本発明の大豆蛋白組成物と各種食品素材とを混合することで、各種食品素材を含有する大豆蛋白粉末飲料を得ることができる。
各種食品素材として、ビタミン類、糖類、高甘味度甘味料、増粘多糖類、デキストリン、食用油脂、ココアパウダー、食塩、着色料、香料、乳化剤等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
大豆蛋白粉末飲料中の大豆蛋白組成物、及び各種食品素材の含量は、特に限定しないが、例えば、大豆蛋白組成物の含量は、好ましくは30~99質量%であり、より好ましくは40~90質量%であり、さらにより好ましくは45~85質量%である。
また、各種食品素材の含量は、好ましくは1~70質量%であり、より好ましくは10~60質量%であり、さらにより好ましくは15~55質量%である。
【0018】
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、パントテン酸、葉酸、ナイアシン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
糖類としては、砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、ソルビトール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK等が挙
げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0019】
増粘多糖類としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、寒天、プルラン、ジェランガム、カラギーナン、グアーガム、タマリンドシードガム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
食用油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、パーム油、豚脂、牛脂、魚油や、これらの油脂の水添油や、これらの油脂の1種又は2種以上をエステル交換した油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0020】
各種食品素材を含有する大豆蛋白粉末飲料は、大豆蛋白組成物と各種食品素材の1種又は2種以上を混合することにより製造することができる。
混合は、袋に原料を入れて袋を振って混合してもよく、ナウターミキサー、V型混合機、リボンミキサー等の混合機を用いて混合しても良い。
各種食品素材を含有する大豆蛋白粉末飲料は、水や牛乳と混合することにより、各種食品素材を含有する大豆蛋白含有飲料とすることができる。
各種食品素材を含有する大豆蛋白粉末飲料を用いた大豆蛋白含有飲料は、例えば、100~200mlの水又は牛乳を入れたシェイカーに、大豆蛋白粉末飲料を、好ましくは5~30g、より好ましくは、5~20g、さらに好ましくは8~16g添加後、シェイカーの蓋をして数回振り混ぜることにより製造することができる。
【0021】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例0022】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
・大豆蛋白組成物の製造(乳酸カルシム配合、実施例1~6、比較例1、2)
表1及び表2に示す配合で、大豆蛋白組成物を製造した。
具体的には、ビニール袋に分離大豆蛋白及び乳酸カルシウムを入れ、1分間ビニール袋を振って混合することにより、大豆蛋白組成物を製造した(比較例2、原料仕込合計量:100g)。
同様の方法で、実施例1~6の大豆蛋白組成物を製造した。
また、各種効果を比較するために、乳酸カルシウムを添加していないものを比較例1とした。
なお、本実施例では、分離大豆蛋白は、日清オイリオグループ(株)販売の商品「ソルピー6000H」(蛋白含量:93質量%)を使用した。
分離大豆蛋白の蛋白含量は、大豆蛋白試料の全窒素分を、ケルダール法により定量し、大豆蛋白試料に対する百分率で表し、これに6.25を乗じて粗蛋白の含量とする方法で導出した。この方法は、JAS(社団法人日本農林規格協会)による植物性たん白の日本農林規格における植物たん白質含有率の測定法に準じたものである。
【0024】
・大豆蛋白含有飲料の製造(飲料実施例1~6、及び飲料比較例1、2)
実施例1~6、及び比較例1、2の大豆蛋白組成物と水を用いて、大豆蛋白含有飲料を製造した。
具体的には、イオン交換水184gを入れた500mlシェイカーに、大豆蛋白組成物16gを入れた後、シェイカーの蓋をして上下に10回振り混ぜ(上下の振り幅40~50cm)、大豆蛋白含有飲料を製造した。
【0025】
・大豆蛋白含有飲料の粘度
得られた大豆蛋白含有飲料の20℃での粘度を、音叉型振動式粘度計((株)エー・アンド・デイ製、装置名「SV-10」)を用いて測定した。粘度の測定は、上述した大豆蛋白含有飲料の製造において、シェイカーを振り混ぜてから30分以内に、20℃の恒温室で行った。
大豆蛋白分散液を均一にするために、粘度を測定する直前に、大豆蛋白含有飲料をスパチュラで撹拌して大豆蛋白を分散させた。そして、粘度の測定開始から1分後の値を測定サンプルの粘度の値(mPa・s)とした。
また、測定した大豆蛋白含有飲料の粘度について、表3に記載した基準で評価した。測定結果及び評価結果を表5及び表6に示す。
・大豆蛋白含有飲料のpH
大豆蛋白含有飲料の粘度を測定した後、溶液のpHをpHメーターで測定した。測定結果を表5及び表6に示す。
【0026】
・大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性
シェイカーの蓋をして上下に10回振り混ぜて(上下の振り幅40~50cm)製造した直後の大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性を目視で確認し、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表5及び表6に示す。
【0027】
・大豆蛋白含有飲料の官能評価
大豆蛋白含有飲料の飲食時の口あたり及び風味(エグミ)について、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表5及び表6に示す。
・大豆蛋白含有飲料の総合評価
大豆蛋白含有飲料について、粘度の値、大豆蛋白の分散性、及び官能評価の結果に基づいて、表3に記載した基準で総合評価をした。総合評価結果を表5及び表6に示す。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
表4及び表5の結果からわかるように、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウムを2質量%以上配合した大豆蛋白組成物を使用することで、大豆蛋白含有飲料の粘度が、著しく低下し、ダマが見られなくなり、官能評価(飲食時の口当たり、風味)も良好になることがわかった(飲料実施例1~6)。さらに、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウムを4質量%以上配合した大豆蛋白組成物を使用することで、大豆蛋白含有飲料の飲食時の口当たりがさらに良くなることがわかった(飲料実施例3~6)。
【0034】
・大豆蛋白組成物の製造(他のカルシウム塩、マグネシウム塩配合、比較例3~16)
表6~8に示す配合で、大豆蛋白組成物を製造した。
大豆蛋白組成物の製造は、乳酸カルシウムの代わりに、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、又は塩化マグネシウムを用いて、上述した実施例1の大豆蛋白組成物と同様の方法で製造した。
【0035】
・大豆蛋白含有飲料の製造(飲料比較例3~16)
上述した飲料実施例1と同様の方法で、大豆蛋白含有飲料を製造した。
・大豆蛋白含有飲料の粘度
上述した飲料実施例1と同じ方法で、大豆蛋白含有飲料の粘度を測定した。また、測定した大豆蛋白含有飲料の粘度について、表3に記載した基準で評価した。測定結果及び評価結果を表9~表11に示す。
・大豆蛋白含有飲料のpH
大豆蛋白含有飲料の粘度を測定した後、溶液のpHをpHメーターで測定した。測定結果を表9~表11に示す。
【0036】
・大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性
シェイカーの蓋をして上下に10回振り混ぜて(上下の振り幅40~50cm)製造した直後の大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性を目視で確認し、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表9~表11に示す。
【0037】
・大豆蛋白含有飲料の官能評価
大豆蛋白含有飲料の飲食時の口あたり及び風味(エグミ)について、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表9~表11に示す。
・大豆蛋白含有飲料の総合評価
大豆蛋白含有飲料について、粘度の値、大豆蛋白の分散性、及び官能評価の結果に基づいて、表3に記載した基準で総合評価をした。総合評価結果を表9~表11に示す。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
表6及び表9の結果から、大豆蛋白粉末飲料として塩化カルシウムを0.5質量%配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例3)は、飲食時の口当たりの改善が見られず、塩化カルシウムを1.0質量%以上配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例4~7)は、風味(エグミ)が悪化することがわかった。
また、表7及び表10の結果から、大豆蛋白粉末飲料として水酸化カルシウムを0.4~1.7質量%配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例8~11)は、いずれも著しく粘度が高く、ダマが見られることが分かった。
また、表8及び表11の結果から、大豆蛋白粉末飲料として炭酸カルシウムを1.0~10.0質量%配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例12~14)は、いずれも粘度が高く、飲食時の口当たりに改善が見られないことがわかった。
また、表8及び表11の結果から、大豆蛋白粉末飲料として塩化マグネシウムを1.0~5.0質量%配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例15、16)は、いずれも風味(エグミ)が悪化することがわかった。
【0045】
・大豆蛋白組成物の製造(乳酸カルシウム及び塩化カルシウム配合、実施例7~15、比較例17~19)
表12~14に示す配合で、大豆蛋白組成物を製造した。
具体的には、ビニール袋に分離大豆蛋白、乳酸カルシウム及び塩化カルシウムを入れ、1分間ビニール袋を振って混合することにより、大豆蛋白組成物を製造した(実施例7、原料仕込合計量:100g)。
同様の方法で、実施例8~15、及び比較例17~19の大豆蛋白組成物を製造した。
また、参考として、表12には、上述した比較例1、2の配合、表13には、上述した実施例1の配合、表14には、上述した実施例2の配合を記載した。
【0046】
・大豆蛋白含有飲料の製造(飲料実施例7~15、飲料比較例17~19)
上述した飲料実施例1と同様の方法で、大豆蛋白含有飲料を製造した。
・大豆蛋白含有飲料の粘度
上述した飲料実施例1と同じ方法で、大豆蛋白含有飲料の粘度を測定した。また、測定した大豆蛋白含有飲料の粘度について、表3に記載した基準で評価した。測定結果及び評価結果を表15~表17に示す。
・大豆蛋白含有飲料のpH
大豆蛋白含有飲料の粘度を測定した後、溶液のpHをpHメーターで測定した。測定結果を表15~表17に示す。
【0047】
・大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性
シェイカーの蓋をして上下に10回振り混ぜて(上下の振り幅40~50cm)製造した直後の大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性を目視で確認し、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表15~表17に示す。
【0048】
・大豆蛋白含有飲料の官能評価
大豆蛋白含有飲料の飲食時の口あたり及び風味(エグミ)について、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表15~表17に示す。
・大豆蛋白含有飲料の総合評価
大豆蛋白含有飲料について、粘度の値、大豆蛋白の分散性、及び官能評価の結果に基づいて、表3に記載した基準で総合評価をした。総合評価結果を表15~表17に示す。
また、参考として、表15には、上述した飲料比較例1、2の評価結果、表16には、上述した実施例1の評価結果、表17には、上述した実施例2の評価結果を記載した。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
表12及び表15の結果から、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウム1質量%及び塩化カルシウムを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例7~9、飲料比較例17)は、乳酸カルシウム1%のみを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例2)よりも、さらに粘度が低下した。しかし、塩化カルシウムを3.0質量%配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例17)は、風味(エグミ)が悪化することがわかった。
また、表13及び表16の結果から、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウムを2.0質量%及び塩化カルシウムを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例10~12、飲料比較例18)は、乳酸カルシウム2%のみを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例1)よりも、さらに粘度が低下した。しかし、塩化カルシウムを3.0質量配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例18)は、分散性が低下し、風味(エグミ)が悪化することがわかった。
また、表14及び表17の結果から、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウムを3.0質量%及び塩化カルシウムを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例13~15、飲料比較例19)は、乳酸カルシウム3%のみを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例2)よりも、さらに粘度が低下した。しかし、塩化カルシウムを3.0質量配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例19)は、分散性が低下し、風味(エグミ)が悪化することがわかった。
また、飲料の粘度に着目すると、表16の飲料実施例11、表17の飲料実施例13の粘度は、表5の飲料実施例3の粘度とほぼ同じで、表15の飲料実施例9、表16の飲料実施例12、表17の14、15の粘度は、表5の飲料実施例4の粘度とほぼ同じである。
このことから、得られる飲料の粘度を考えると、乳酸カルシウムと塩化カルシウムを併用することで、乳酸カルシウム単独の場合よりも大豆蛋白組成物に配合する乳酸カルシウムの量を少なくすることができる。その結果、大豆蛋白組成物中の蛋白含量を高くすることができるので、乳酸カルシウムと塩化カルシウムを併用した大豆蛋白組成物を用いることで、大豆蛋白含量がさらに多い大豆蛋白粉末飲料、及び大豆蛋白含有飲料を製造することができる。
【0056】
・大豆蛋白組成物の製造(乳酸カルシウム及び塩化マグネシウム配合、実施例16~21、比較例20~25)
表18~20に示す配合で、大豆蛋白組成物を製造した。
具体的には、ビニール袋に分離大豆蛋白、乳酸カルシウム及び塩化マグネシウムを入れ、1分間ビニール袋を振って混合することにより、大豆蛋白組成物を製造した(実施例16、原料仕込合計量:100g)。
同様の方法で、実施例17~21、及び比較例20~25の大豆蛋白組成物を製造した。
また、参考として、表18には、上述した比較例1、2の配合、表19には、上述した実施例1の配合、表20には、上述した実施例2の配合を記載した。
【0057】
・大豆蛋白含有飲料の製造(飲料実施例16~21、飲料比較例20~25)
上述した飲料実施例1と同様の方法で、大豆蛋白含有飲料を製造した。
・大豆蛋白含有飲料の粘度
上述した飲料実施例1と同じ方法で、大豆蛋白含有飲料の粘度を測定した。また、測定した大豆蛋白含有飲料の粘度について、表3に記載した基準で評価した。測定結果及び評価結果を表21~表23に示す。
・大豆蛋白含有飲料のpH
大豆蛋白含有飲料の粘度を測定した後、溶液のpHをpHメーターで測定した。測定結果を表21~表23に示す。
【0058】
・大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性
シェイカーの蓋をして上下に10回振り混ぜて(上下の振り幅40~50cm)製造した直後の大豆蛋白含有飲料中の大豆蛋白の分散性を目視で確認し、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表21~表23に示す。
【0059】
・大豆蛋白含有飲料の官能評価
大豆蛋白含有飲料の飲食時の口あたり及び風味(エグミ)について、表3に記載した基準で評価をした。評価結果を表21~表23に示す。
・大豆蛋白含有飲料の総合評価
大豆蛋白含有飲料について、粘度の値、大豆蛋白の分散性、及び官能評価の結果に基づいて、表3に記載した基準で総合評価をした。総合評価結果を表21~表23に示す。
また、参考として、表21には、上述した飲料比較例1、2の評価結果、表22には、上述した実施例1の評価結果、表23には、上述した実施例2の評価結果を記載した。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
表18及び表21の結果から、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウムを1.0質量%及び塩化マグネシウムを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例16、17、飲料比較例20、21)は、乳酸カルシウムを1.0質量%のみを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例2)よりも、さらに粘度が低下した。しかし、塩化マグネシウムを2.0質量%以上配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例20、21)は、風味(エグミ)が悪化することがわかった。
また、表19及び表22の結果から、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウムを2.0質量%及び塩化マグネシウムを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例18、19、飲料比較例22、23)は、乳酸カルシウムを2.0質量%のみを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例1)よりも、さらに粘度が低下した。しかし、塩化マグネシウムを2.0質量%以上配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例22、23)は、風味(エグミ)が悪化することがわかった。
また、表20及び表23の結果から、大豆蛋白粉末飲料として乳酸カルシウムを3.0質量%及び塩化マグネシウムを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例20、21、飲料比較例24、25)は、乳酸カルシウムを3.0質量%のみを配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料実施例2)よりも、さらに粘度が低下した。しかし、塩化マグネシウムを2.0質量%以上配合した大豆蛋白組成物を使用した大豆蛋白含有飲料(飲料比較例24、25)は、風味(エグミ)が悪化することがわかった。
また、飲料の粘度に着目すると、表21の飲料実施例20、21の粘度は、表5の飲料実施例3とほぼ同じである。
このことから、得られる飲料の粘度を考えると、乳酸カルシウムと塩化マグネシウムを併用することで、乳酸カルシウム単独の場合よりも大豆蛋白組成物に配合する乳酸カルシウムの量を少なくすることができる。その結果、大豆蛋白組成物中の蛋白含量を高くすることができるので、乳酸カルシウムと塩化マグネシウムを併用した大豆蛋白組成物を用いることで、大豆蛋白含量がさらに多い大豆蛋白粉末飲料、及び大豆蛋白含有飲料を製造することができる。