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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118899
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】オーバレイ計測システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/47 20060101AFI20230818BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G01N21/47 A
G01N21/01 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110930
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2021521032の分割
【原出願日】2019-10-15
(31)【優先権主張番号】62/746,987
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/275,085
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴレリク ディミトリー
(57)【要約】
【課題】スキャトロメトリオーバレイ計測のための照明システムは、制限された輝度または照明角度もしくは波長の調整時間によって、オーバレイ測定の正確度またはスループットが制限される。
【解決手段】多極照明システム100は、ソースビーム104を生成するための照明源102と、少なくとも2つの方向に沿ってソースビーム104を回折するための1つ以上の音響光学偏向器と、回折された光の少なくともいくつかを1つ以上の音響光学偏向器から集光するための1つ以上の集光レンズと、1つ以上の音響光学偏向器のための1つ以上の駆動信号を生成するためのコントローラ110とを含む。駆動信号は、1つ以上の音響光学偏向器に、1つ以上の音響光学偏向器から回折され、1つ以上の集光レンズによって集光された光から形成される2つ以上の照明ビームの対称分布を生成させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバレイ計測システムであって、
ソースビームを生成するように構成される照明源と、
第1の方向に沿って光を回折するための1つ以上の音響光学偏向器と、
対物レンズであって、前記対物レンズが、回折された前記光の少なくともいくつかを2つ以上の照明ビームとして前記1つ以上の音響光学偏向器からサンプルに向ける、対物レンズと、
前記2つ以上の照明ビームに応答して前記サンプルから光をキャプチャして、測定信号を生成するように構成される、検出器と、
1つ以上の音響光学偏向および前記検出器に通信可能に連結されるコントローラであって、前記コントローラが、プログラム命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサを含み、前記プログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記1つ以上の音響光学偏向器のための1つ以上の駆動信号を生成させ、前記1つ以上の駆動信号が、前記1つ以上の音響光学偏向器に、前記1つ以上の音響光学偏向器から回折され、前記対物レンズによって集光された光から形成される前記2つ以上の照明ビームの前記サンプル上での対称分布を生成させ、前記2つ以上の照明ビームの波長分布および強度分布が、前記第1の方向に対して対称であり、
前記測定信号に基づいて前記サンプルの計測測定を判断させる、コントローラと、
を備えることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記サンプルが、2つ以上のサンプル層上のオーバレイされた回折格子を含み、前記測定信号が、瞳面信号を含み、前記1つ以上のプロセッサが、プログラム命令を実行するようにさらに構成され、前記プログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記測定信号に基づいて前記2つ以上のサンプル層間のオーバレイを判断させることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記1つ以上の駆動信号が、前記1つ以上の音響光学偏向器に前記2つ以上の照明ビームを同時に生成させることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項4】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記1つ以上の駆動信号が、前記1つ以上の音響光学偏向器に前記2つ以上の照明ビームを逐次的に生成させることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項5】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記2つ以上の照明ビームの強度が、前記第1の音響光学偏向器および前記第2の音響光学偏向器に対する前記1つ以上の駆動信号の強度または周波数のうちの少なくとも1つに基づいて選択可能であることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項6】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、
前記1つ以上の音響光学偏向器の少なくとも1つによって回折された少なくともいくつかの光を遮断するための1つ以上の開口をさらに備えることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項7】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記コントローラが、前記照明源に通信可能にさらに連結され、前記1つ以上のプロセッサが、プログラム命令を実行するようにさらに構成され、前記プログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記照明源に第1のスペクトルを有する前記ソースビームを生成させるための第1の照明駆動信号を生成させ、
前記第1のスペクトルに基づいて前記サンプル上に前記1つ以上の照明ビームの対称分布を提供するために、1つ以上の音響光学偏向器のための前記駆動信号を生成させ、
前記第1のスペクトルに基づいて前記サンプルの第1の計測測定を判断させ、
前記照明源に第2のスペクトルを有する前記ソースビームを生成させるための第2の照明駆動信号を生成させ、
前記第2のスペクトルに基づいて前記サンプル上に前記1つ以上の照明ビームの対称分布を提供するために、前記1つ以上の音響光学偏向器のための前記駆動信号を生成させ、
前記第2のスペクトルに基づいて前記サンプルの第2の計測測定を判断させる、
ことを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項8】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記1つ以上の音響光学偏向器の少なくとも1つが、光を対称に回折するためにラマンナス構成で方向付けられることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項9】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記1つ以上の音響光学偏向器の少なくとも1つが、ブラッグ構成で方向付けられることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項10】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記1つ以上の音響光学偏向器は、単一の音響光学偏向器を備えることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項11】
請求項1に記載のオーバレイ計測システムであって、前記1つ以上の音響光学偏向器は、直列に配置された2つ以上の音響光学偏向器を備えることを特徴とするオーバレイ計測システム。
【請求項12】
スキャトロメトリオーバレイ判断のための方法であって、
ソースビームを生成することと、
1つ以上の音響光学偏向器を用いて少なくとも第1の方向および前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って前記ソースビームを回折することと、
前記1つ以上の音響光学偏向器から回折された光の少なくともいくつかを2つ以上の照明ビームとしてサンプルに向けることと、
入射角が対称分布である前記2つ以上の照明ビームをサンプル上に提供するために、前記1つ以上の音響光学偏向器のための1つ以上の駆動信号を生成することであって、前記2つ以上の照明ビームの波長分布および強度分布が、前記第1の方向および前記第2の方向に対して対称である、生成することと、
前記照明ビームに応答して前記サンプルから光をキャプチャして測定信号を生成することと、
前記測定信号に基づいて前記サンプルの計測測定を判断することと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してスキャトロメトリオーバレイシステムに関し、より詳細にはスキャトロメトリオーバレイシステムにおける照明に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2018年10月17日に出願された「EFFICIENT ILLUMINATION SHAPING FOR SCATTEROMETRY OVERLAY」と題する、発明者アンドリューヒル(Andrew Hill)およびドミトリーゴレリック(Dmitry Gorelik)名義の米国仮特許出願第62/746,987号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
スキャトロメトリオーバレイ計測システムは、対象のサンプル層上に積層された格子構造を含むオーバレイ目標によって反対の回折次数の相対強度を比較することによって、サンプル層間のオーバレイ誤差を判断する。例えば、スキャトロメトリ計測システムは、選択された角度で1つ以上の照明ビームまたは照明ポールをサンプルに向けてもよい。格子構造から回折された光は、その後、解析のためにキャプチャされ得る。
【0004】
典型的には、格子構造によって正確な解析に適したはっきりした回折パターンを生成するために、狭帯域スペクトルを有する高ビーム品質を有する高出力照明ポール(例えば、高輝度照明)を用いてサンプルを照明することが望ましい。さらに、所定のオーバレイ目標構成について回折された光の集光を最適化するために、サンプル上の照明ポールの入射角および/または波長を調整することが望ましい場合がある。例えば、格子構造から回折された光の角度は、照明波長、入射照明角度、および格子構造のピッチを含む複数の要因に依存する。したがって、オーバレイ目標構成に基づいて照明角度および/または波長を調整することによって、解析のために反対の回折次数のキャプチャが容易にされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0091284号
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0136976号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スキャトロメトリオーバレイ計測のための照明システムは、典型的には、制限された輝度または照明角度もしくは波長の調整時間に悩まされており、それによって、オーバレイ測定の正確度またはスループットが制限されることがある。したがって、上記欠陥を取り除くためのシステムおよび方法を提供することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つ以上の例示的実施形態による、多極照明システムが開示される。1つの例示的実施形態において、システムは、ソースビームを生成するための照明源を含む。別の例示的実施形態において、システムは、少なくとも第1の方向および第1の方向とは異なる第2の方向に沿ってソースビームを回折するための1つ以上の音響光学偏向器を含む。別の例示的実施形態において、システムは、回折された光の少なくともいくつかを1つ以上の音響光学偏向器から集光するための1つ以上の集光レンズを含む。別の例示的実施形態において、システムは、1つ以上の音響光学偏向器に通信可能に連結されるコントローラを含む。別の例示的実施形態において、コントローラは、1つ以上の音響光学偏向器のための1つ以上の駆動信号を生成する。別の例示的実施形態において、1つ以上の駆動信号は、1つ以上の音響光学偏向器に、1つ以上の音響光学偏向器から回折され、1つ以上の集光レンズによって集光された光から形成される2つ以上の照明ビームの対称分布を生成させる。別の例示的実施形態において、2つ以上の照明ビームの波長分布および強度分布は、第1の方向および第2の方向によって形成される平面において対称である。
【0008】
本開示の1つ以上の例示的実施形態による、オーバレイ計測システムが開示される。1つの例示的実施形態において、システムは、ソースビームを生成するための照明源を含む。別の例示的実施形態において、システムは、第1の方向に沿って光を回折するための1つ以上の音響光学偏向器を含む。別の例示的実施形態において、システムは、対物レンズを含み、対物レンズは、回折された光の少なくともいくつかを2つ以上の照明ビームとして1つ以上の音響光学偏向器からサンプルに向ける。別の例示的実施形態において、システムは、2つ以上の照明ビームに応答してサンプルから光をキャプチャして、測定信号を生成するように構成される、検出器を含む。別の例示的実施形態において、システムは、第1の音響光学偏向器、第2の音響光学偏向器、および検出器に通信可能に連結されるコントローラを含む。別の例示的実施形態において、コントローラは、1つ以上の音響光学偏向器のための1つ以上の駆動信号を生成する。別の例示的実施形態において、1つ以上の駆動信号は、1つ以上の音響光学偏向器に、1つ以上の音響光学偏向器から回折され、対物レンズによって集光された光から形成される2つ以上の照明ビームのサンプル上の対称分布を生成させる。別の例示的実施形態において、2つ以上の照明ビームの波長分布および強度分布は、第1の方向に対して対称である。別の例示的実施形態において、コントローラは、測定信号に基づいてサンプルの計測測定を判断する。
【0009】
本開示の1つ以上の例示的実施形態による、スキャトロメトリオーバレイ判断のための方法が開示される。1つの例示的実施形態において、方法は、ソースビームを生成することを含む。別の例示的実施形態において、方法は、1つ以上の音響光学偏向器を用いて少なくとも第1の方向および第1の方向とは異なる第2の方向に沿ってソースビームを回折することを含む。別の例示的実施形態において、方法は、1つ以上の音響光学偏向器から回折された光の少なくともいくつかを2つ以上の照明ビームとしてサンプルに向けることを含む。別の例示的実施形態において、方法は、入射角が対称分布である2つ以上の照明ビームをサンプル上に提供するために、1つ以上の音響光学偏向器のための1つ以上の駆動信号を生成することを含む。別の例示的実施形態において、2つ以上の照明ビームの波長分布および強度分布は、第1の方向および第2の方向に対して対称である。別の例示的実施形態において、方法は、照明ビームに応答してサンプルから光をキャプチャして、測定信号を生成することを含む。別の例示的実施形態において、方法は、測定信号に基づいてサンプルの計測測定を判断することを含む。
【0010】
前述の概略説明および以下の詳細な説明の両方が、例示的および説明的であるに過ぎず、特許請求される発明を必ずしも限定するものではないと理解されるべきである。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、概略説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0011】
本開示の多数の利点は、添付図面を参照することにより、当業者によってよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示の1つ以上の実施形態による、波長可変多極照明システムの概念図である。
図1B】本開示の1つ以上の実施形態による、直交軸に沿ってビームを回折するために方向付けられる2つの波長可変回折格子を含む波長可変多極照明システムの概念図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、スキャトロメトリ計測システムの概念図である。
図3A】本開示の1つ以上の実施形態による、対物レンズを通してソースビームの少なくとも一部をサンプル上の第1の位置に向けるブラッグ構成で方向付けられる2つの波長可変回折格子を含む波長可変多極照明システムの概念図である。
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、対物レンズを通してソースビームの少なくとも一部をサンプル上の第2の位置に向けるブラッグ構成で方向付けられる2つの波長可変回折格子を含む波長可変多極照明システムの概念図である。
図3C】本開示の1つ以上の実施形態による、照明瞳内の任意の位置に照明ポールを配置するための波長可変多極照明システムの概念図である。
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、サンプル上のオーバレイ計測目標の上面図である。
図5A】本開示の1つ以上の実施形態による、垂直照明についての単一の中央に位置する照明ポールを含む照明瞳の上面図である。
図5B】本開示の1つ以上の実施形態による、図5Aの照明瞳に応じた図4のオーバレイ計測目標からの戻り光に関連する集光瞳の上面図である。
図6A】本開示の1つ以上の実施形態による、傾斜照明についての照明瞳の縁に沿って対称的に配置される2つの照明ポールを含む照明瞳の上面図である。
図6B】本開示の1つ以上の実施形態による、図6Aの照明瞳に応じた図4のオーバレイ計測目標からの戻り光に関連する集光瞳の上面図である。
図7A】本開示の1つ以上の実施形態による、垂直照明についての単一の中央に位置する照明ポールおよび焦点位置判断のための2つのオフセット照明ポールを含む照明瞳の上面図である。
図7B】本開示の1つ以上の実施形態による、図7Aの照明瞳に応じた図4のオーバレイ計測目標からの戻り光に関連する集光瞳の上面図である。
図8】高輝度の波長可変多極照明を生成するための方法において実行されるステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、添付図面に示される、開示される主題に対して詳細な参照が行われる。本開示は、ある実施形態およびその具体的特徴に関して、詳細に示され説明されている。本明細書で明らかにされる実施形態は、限定ではなく例示であると見なされる。形式上および詳細の様々な変更および変形が本開示の思想および範囲から逸脱することなく行われ得ることが、当業者には容易に明らかであるはずである。
【0014】
本開示の実施形態は、迅速に構成可能な照明プロファイルを有する高輝度照明を提供するためのシステムおよび方法を目的とする。
【0015】
スキャトロメトリオーバレイ計測システムは、典型的には、対象のサンプル層上に回折格子を含むサンプル上のオーバレイ計測目標に1つ以上の照明ビームを向け、反対の回折次数(例えば、+/-1次回折)の強度を比較することによって対象層間のレジストレーション誤差を判断すると、本明細書において認識される。オーバレイ目標からの回折角は、回折格子方程式によって特徴付けられ、照明波長、入射照明角度、オーバレイ目標の格子構造の周期に概して依存し得る。したがって、選択されたオーバレイ目標および選択された波長を有する照明源によって生成される反対の回折次数が、解析のためにシステムによって(例えば、集光瞳において)キャプチャされることを保証するために、様々な照明分布が用いられ得る。場合によっては、サンプル上に直角入射で入射する単一の照明ポールが、集光瞳内で反対の回折次数を生成するのに十分であることもある。しかしながら、これは、照明波長とオーバレイ目標の周期との全ての所望の組合せについて可能でない場合がある。場合によっては、サンプルは、斜角にある2つの対称な照明ポールで照明される。それに応じて、第1の回折次数(例えば、+1次回折)が、第1の照明ポールに関連してもよい、第2の回折次数(例えば、-1次回折)が、第2の照明ポールに関連してもよい。
【0016】
本開示の実施形態は、照明ポールが照明ソースビームの回折次数として形成される、2つ以上の照明ポールを提供する高輝度多極照明システムを生成することを目的とする。例えば、高輝度多極照明システムは、ソースビームを生成するための狭帯域照明源および1つ以上の波長可変回折格子(例えば、音響光学偏向器(AOD)など)を含み得る。この点について、波長可変回折格子は、任意の選択された数の回折次数にソースビームを分配してもよく、任意の選択された数の回折次数が、任意の数の選択された角度でサンプルを照明するのに適当な照明ポールを形成し得る。
【0017】
所定の計測測定に関連する測定時間は、照明源の輝度および検出器の感度、または連続的な測定間の照明角度および/もしくは波長に対する任意の調整に関連する切替速度を含むがこれらに限定されない、相互に関連のある要因に依存し得る。照明輝度は、概して、ソース品質の尺度であり、高輝度ソースが高出力および高ビーム品質の両方を提供し得るように、出力およびビーム品質の両方に関係する。したがって、照明源の輝度を増大させることは、所定の測定時間内の測定の信号対雑音比を増大させること、またはシステムスループットを増大させるために所定の信号対雑音比に対して必要な測定時間を減少させることのいずれかによって、システム性能を改善し得る。
【0018】
ソース照明ビームの回折次数から照明ポールを形成することが、照明源の出力を選択された回折次数に効率的に向けることにより高輝度照明ポールを提供し得ると、本明細書において認識される。追加的に、多くのレーザシステムに関連するガウスビームプロファイルは、典型的なアポダイズビームプロファイルに密接に一致し得る。照明ソースビームの回折次数から照明ポールを形成することが、所望の照明分布を生成するための開口および/またはアポダイザの必要性を減少させる、または除去する場合があり、それによって、ソースビームの一部を遮断することにより全体の輝度が低下し、回折効果をもたらすことにより照明ポールのビームプロファイルが劣化されることがあると、本明細書においてさらに認識される。例えば、開口に基づくビームフォーミングおよびビーム成形と比較して、アポダイゼーションが減少させ、または潜在的に除去し得るように、多くのレーザに関連するガウスプロファイルは、典型的なアポダイズビームプロファイルに密接に一致することがある。
【0019】
本開示の追加の実施形態は、照明分布の迅速な調整を提供するために、波長可変回折格子でソース照明ビームを分配することを目的とする。例えば、ソースビームは、1つ以上の音響光学偏向器を用いて分配されてもよいが必須ではない。この点について、異なる照明瞳の分布の間の切替時間は、波長可変回折格子の切替速度によって少なくとも一部管理され得る。波長可変回折格子の切替時間は、物理的なビームブロックまたは開口を調整することに関連する切替時間よりも実質的に高速であり得ると、本明細書において認識される。例えば、音響光学変調器の切替時間は、マイクロ秒以下のオーダであってもよい。しかしながら、音響光学偏向器の使用は、本明細書において例示のためにのみ与えられ、限定として解釈されるべきではないと理解されるべきである。むしろ、本明細書で説明されるシステムおよび方法は、任意の切替速度を有する任意の種類の波長可変回折格子を含み得る。
【0020】
本開示の追加実施形態は、直交する方向に照明ポールを生成することを目的とする。例えば、2つの直交する方向のそれぞれの1つ以上の照明ポールが、任意の向きのオーバレイ目標を特徴付けるのに適当であってもよい。
【0021】
本開示の追加実施形態は、関連する反対の回折次数の強度の比較を容易にするために、等しい強度を有する対称的な照明ポールを生成することを目的とする。例えば、ソースビームは、反対の回折次数が等しい強度を有するラマンナス構成において1つ以上の回折格子によって回折されてもよいが必須ではない。この点について、反対の回折次数は、2つの対称的な照明ポールを用いて同時にキャプチャされ得る。
【0022】
本開示の追加実施形態は、異なる入射角でサンプルを逐次的に照明するために、1つ以上の照明ポールを照明瞳内の選択された位置に逐次的に配置することを目的とする。例えば、ラマンナス構成の1つ以上の回折格子が、1つ以上の格子の周期を変更することによって照明瞳の異なる位置に回折次数を逐次的に配置するように構成されてもよい。別の例として、単一のソースビームが、ブラッグ構成の1つ以上の回折格子を用いて任意の位置に配置されてもよい。この点について、各格子に関連する単一の回折ビーム(例えば、1次回折ビーム)が、キャプチャされ、サンプルに向けられ得る。これに応じて、照明を照明源から単一の回折ビームに向けることによって、高輝度照明がもたらされ得ると、本明細書において認識される。さらに、回折角は、波長可変回折格子(例えば、音響光学偏向器など)の駆動周波数および/または変調振幅を調整することによって制御され得る。任意の残りの望ましくないビーム(例えば、0次ビーム)は遮断され得る。
【0023】
(例えば、波長可変回折格子を調整することに基づく)照明瞳の迅速な調整を提供することは、所定の時間に使用する照明ポールの数を減少させることにより、照明源の出力の効率的な使用をさらに容易にし得ると、本明細書において認識される。例えば、任意の方向に沿って方向付けられるサンプルの特徴の特徴付けを容易にするために、2つの直交する方向に沿って照明ポールを提供することが望ましい場合がある。したがって、2つの直交する軸外方向に沿って高輝度照明ポールでサンプルを逐次的に照明することは、2つの直交する軸外方向に沿って複数のより低輝度の照明ポールでサンプルを同時に照明することよりも高速および正確な測定を提供し得る(例えば、4極照明)。
【0024】
本開示の追加実施形態は、サンプルの自動焦点を容易にするために少なくとも1つの照明ポールを生成することを目的とする。集光瞳面内のサンプルから回折されたビームの位置は、サンプルの焦点位置(例えば、対物レンズの光軸に沿ったサンプルの位置など)に影響を受けやすい場合があると、本明細書において認識される。したがって、1つ以上の照明ポールは、測定前または測定中にサンプルの焦点位置の判断を容易にし得る。
【0025】
本開示の追加実施形態は、高輝度波長可変多極照明システムを含むスキャトロメトリ計測システムを目的とする。したがって、高輝度波長可変多極照明システムは、異なる条件でサンプルの迅速な逐次的測定を容易にし得る。例えば、そのようなスキャトロメトリ計測システムは、照明ポールの異なる分布を用いて逐次的測定を生成し得る。別の例として、そのようなスキャトロメトリ計測システムは、異なる波長(例えば、個別のスペクトル帯域について、スイープされたスペクトル帯域を超える、など)で逐次的測定を生成し得る。さらに、異なる波長を用いた逐次的測定は、照明ポールの同一または異なる分布を用いて生成され得る。
【0026】
ここで図1A図8を参照すると、高輝度波長可変多極照明システム100が、より詳細に開示される。
【0027】
図1Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、波長可変多極照明システム100の概念図である。1つの実施形態において、波長可変多極照明システム100は、ソースビーム104を生成するための照明源102、および少なくとも1つの照明ポール108を生成するための少なくとも1つの波長可変回折格子106を含む。この点について、照明ポール108は、ソースビーム104の回折次数から形成され得る。
【0028】
別の実施形態において、波長可変多極照明システム100は、コントローラ110を含む。別の実施形態において、コントローラ110は、メモリ媒体114上に維持されるプログラム命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサ112を含む。この点について、コントローラ110の1つ以上のプロセッサ112は、本開示全体を通して説明される様々なプロセスステップのいずれかを実行し得る。
【0029】
コントローラ110の1つ以上のプロセッサ112は、当技術分野において既知の任意の処理要素を含み得る。この意味で、1つ以上のプロセッサ112は、アルゴリズムおよび/または命令を実行するように構成される任意のマイクロプロセッサ型デバイスを含み得る。1つの実施形態において、1つ以上のプロセッサ112は、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、または本開示全体を通して説明される、波長可変多極照明システム100を動作させるように構成されるプログラムを実行するように構成される任意の他のコンピュータシステム(例えば、ネットワーク化コンピュータ)で構成され得る。「プロセッサ」という用語が、非一時的メモリ媒体114からプログラム命令を実行する、1つ以上の処理要素を有する任意のデバイスを包含するように広く定義され得ると、さらに認識される。さらに、本開示全体を通して説明されるステップは、単一コントローラ110、または代替的には複数のコントローラによって、実行され得る。追加的に、コントローラ110は、共通のハウジング内、または複数のハウジング内に収容された1つ以上のコントローラを含み得る。このように、任意のコントローラまたはコントローラの組合せは、波長可変多極照明システム100への統合に適当なモジュールとして、分離してパッケージ化されてもよい。
【0030】
メモリ媒体114は、関連する1つ以上のプロセッサ112によって実行可能なプログラム命令を記憶するのに適当な、当技術分野において既知の任意の記憶媒体を含み得る。例えば、メモリ媒体114は、非一時的メモリ媒体を含み得る。別の例として、メモリ媒体114は、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気または光学メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブなどを含み得るが、これらに限定されない。メモリ媒体114が、1つ以上のプロセッサ112を有する共通のコントローラハウジング内に収容され得ることに、さらに留意されたい。1つの実施形態において、メモリ媒体114は、1つ以上のプロセッサ112およびコントローラ110の物理的位置を基準としてリモートに位置してもよい。例えば、コントローラ110の1つ以上のプロセッサ112は、ネットワーク(例えば、インターネット、イントラネットなど)を通してアクセス可能なリモートメモリ(例えばサーバ)にアクセスし得る。したがって、上記の説明は、本発明に対する限定として解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0031】
別の実施形態において、コントローラ110は、構成情報を提供するために波長可変多極照明システム100の1つ以上の要素に通信可能に連結されている。例えば、コントローラ110は、サンプル上に入射する照明のスペクトルを(例えば、照明源への1つ以上の駆動信号を通して)制御するために、照明源102に通信可能に連結され得る。別の例として、コントローラ110は、1つ以上の照明ポール108の分布を(例えば、波長可変回折格子106への1つ以上の駆動信号を通して)調整するために、1つ以上の波長可変回折格子106に通信可能に連結され得る。別の実施形態において、コントローラ110は、検出器(図示せず)に通信可能に連結される。この点について、コントローラ110は、検出器から信号を受信し得る(例えば、集光瞳画像など)。さらに、コントローラ110は、検出器から受信した信号に基づいてサンプル層の相対レジストレーション誤差(例えばオーバレイ)を判断し得る。
【0032】
別の実施形態において、コントローラ110は、(例えば、波長可変多極照明システム100を組み込むシステムの検出器によって)逐次的計測測定を容易にするために、波長可変多極照明システム100内の要素の任意の組合せに対して逐次的駆動信号を生成し得る。例えば、コントローラ110は、照明ポールの異なる分布で逐次的測定を容易にするために、波長可変回折格子106に対する逐次的駆動信号を生成し得る。別の例として、コントローラ110は、異なる波長(例えば、個別のスペクトル帯域について、スイープされたスペクトル帯域を超える、など)を用いた逐次的測定を容易にするために波長可変回折格子106に逐次的駆動信号を生成し得る。さらに、異なる波長を用いた逐次的測定は、照明ポールの同一または異なる分布を用いて生成され得る。例えば、コントローラ110は、異なる波長を有する照明ポール108を生成するために照明源102に逐次的駆動信号を生成してもよく、また、逐次的測定のために照明ポールの一貫した空間分布をもたらしつつ、変化する波長を補償するように駆動周波数を調整するために波長可変回折格子106のための対応する駆動信号を生成してもよい。
【0033】
別の実施形態において、照明源102によって生成されるソースビーム104は、狭帯域幅を有する。この点について、サンプルによる(例えば、サンプル上のオーバレイ計測目標による)照明ポール108の回折パターンは、最小限の色度変動を有し得る。例えば、ソースビーム104のスペクトル幅は、約25nm未満であってもよいが、必須ではない。1つの事例において、ソースビーム104のスペクトル幅は、約10nm~約20nmの範囲内にある。別の事例において、ソースビーム104のスペクトル幅は、約5nm未満である。
【0034】
照明源102は、狭帯域幅を有するソースビーム104を生成するのに適当な、当技術分野において既知の任意の種類の照明源を含み得る。例えば、照明源102は、狭帯域ソースビーム104を直接生成してもよい。別の例として、照明源102は、広帯域照明を生成する広帯域ソース、および狭帯域ソースビーム104を生成するための1つ以上のスペクトルフィルタを含み得る。さらに、ソースビーム104は、真空紫外線(VUV)、深紫外線(DUV)、紫外線(UV)、可視光線、または赤外線(IR)を含むがこれらに限定されない、1つ以上の選択された波長の光を含み得る。別の実施形態において、照明源102は、波長可変スペクトルを有するソースビーム104を生成するためのスペクトル波長可変照明源を含み得る。
【0035】
照明源102は、計測に適した範囲の波長を有するソースビーム104を提供するのに適当な、任意の種類の照明源を含み得る。1つの実施形態において、照明源102は、高いコヒーレンス度(例えば、空間的コヒーレンスおよび/または時間的コヒーレンス)を有するソースビーム104を提供するコヒーレント照明源である。例えば、照明源102は、狭帯域レーザ光源、広帯域レーザ光源、スーパーコンティニウムレーザ光源、白色光レーザ光源などを含み得るが、これらに限定されない。追加的に、ソースビーム104は、自由空間伝播、シングルモードファイバ(例えば、フォトニック結晶ファイバなど)、またはマルチモードファイバなどであるがこれらに限定されない任意の技術によって、照明源102から放出され得る。しかしながら、典型的にはモードの数が減少するにつれて、照明源102の輝度が改善することが、本明細書において認識される。
【0036】
1つの実施形態において、照明源102は、選択されたスペクトル範囲内の狭帯域ソースビーム104を生成するのに適当な波長可変光源を含む。例えば、照明源102は、波長可変狭帯域レーザなどであるがこれらに限定されない、波長可変狭帯域ソースビーム104を直接生成するように構成される、波長可変ソースを含み得る。別の例として、照明源102は、広帯域照明を生成するように構成される広帯域ソース、および波長可変狭帯域ソースビーム104を生成するための波長可変スペクトルフィルタを含み得る。
【0037】
照明源102は、さらに、任意の時間プロファイルを有するソースビーム104を生産し得る。例えば、照明源102は、連続ソースビーム104、パルスソースビーム104、または変調ソースビーム104を生産し得る。
【0038】
波長可変多極照明システム100は、任意の数の照明ポール108を任意の分布で生成するために、任意の数の波長可変回折格子106を含み得る。図1Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、直交軸に沿ってビームを回折するために方向付けられる2つの波長可変回折格子106を含む波長可変多極照明システム100の概念図である。1つの実施形態において、波長可変多極照明システム100は、第1の方向(例えばX方向)に沿って分布される1つ以上の回折次数にソースビーム104を回折するように方向付けられる第1の波長可変回折格子106a、および第1の方向に直交する第2の方向(例えばY方向)に沿って分布される1つ以上の回折次数にソースビーム104を回折するように方向付けられる第2の波長可変回折格子106bを含む。この点について、照明ポール108は、照明を任意の入射角でサンプル上に提供するために、照明瞳内の任意の選択された位置に向けられ得る。
【0039】
波長可変多極照明システム100は、ソースビーム104の回折を調節可能に制御するのに適当な、当技術分野において既知の任意の種類の波長可変回折格子106をさらに含み得る。1つの実施形態において、波長可変回折格子106は、ソースビーム104を(例えば、図1BのX-Y平面などにおいて)任意の選択された位置に回折し、配置し、および/またはスキャンするようにAODから形成される。例えば、音響光学偏向器は、固体媒体を通して伝播する超音波を生成するように構成されるトランスデューサと結合された固体媒体を含み得る。光(例えばソースビーム104など)が固体媒体との相互作用に基づいて回折されるように、屈折率などであるがこれに限定されない固体媒体のプロパティは、伝播している超音波によって修正され得る。さらに、超音波は、媒体において音速で固体媒体を通して伝播し、駆動信号の周波数および固体媒体内の音速に関連する波長を有し得る。したがって、トランスデューサの変調周波数および/または変調強度は、動的に生成される回折格子の物理特性およびAODの対応する分散プロパティ(例えば、分散)を修正するように(例えば、コントローラ110によって生成される駆動信号などにより)動的に調整され得る。
【0040】
AODから形成される波長可変回折格子106は、固体媒体に連結される任意の数のトランスデューサをさらに有し得る。1つの実施形態において、AODは、複数のトランスデューサを含んでもよく、それぞれが異なる周波数範囲において超音波および関連する格子パターンを生成するように構成される。この点について、AODは、単一トランスデューサの範囲外の周波数で駆動され得る。別の例として、AODは、複数のトランスデューサを含んでもよく、それぞれが異なる方向に沿って超音波を生成するように構成される。例えば、AODは、直交する方向に沿って超音波を生成するように構成される2つのトランスデューサを含み得る。この点について、単一のAODは、2次元パターンで分布される照明ポール108を生成し得る。
【0041】
波長可変多極照明システム100は、光を向け、焦点を合わせ、および/またはコリメートするための1つ以上の光学素子をさらに含み得る。例えば、波長可変多極照明システム100は、照明源102からソースビーム104を集光し、第1の波長可変回折格子106a上にソースビーム104を向けるための光学素子の第1のセット116を含み得る。さらに、光学素子の第1のセット116は、第1の波長可変回折格子106aにおいて所望のスポットサイズおよび焦点体積(例えば、相互作用長)をもたらすように選択され得る。別の例として、波長可変多極照明システム100は、第1の波長可変回折格子106aから1つ以上の回折ビームを集光し、回折ビームの少なくとも1つを第2の波長可変回折格子106bに向けるための光学素子の第2のセット118を含み得る。同様に、光学素子の第2のセット118は、第2の波長可変回折格子106bにおいて所望のスポットサイズおよび焦点体積(例えば、相互作用長)をもたらすように選択され得る。別の例として、波長可変多極照明システム100は、第2の波長可変回折格子106bから回折ビームの少なくともいくつかを照明ポール108として集光およびコリメートするためのコリメートレンズ120を含み得る。
【0042】
別の実施形態において、波長可変多極照明システム100は、不必要な回折ビーム(例えば、+/-2次回折、不必要な+/-1次回折、不必要な0次回折など)を遮断するための1つ以上の開口122を含む。例えば、図1Bに示されるように、開口122は、コリメートレンズ120の後に位置し得る。別の例として、図示されないが、開口122は、(例えば、照明分布において雑音につながり得る迷光を減少させるために)第2の波長可変回折格子106bの前の不必要な回折を遮断するために、第1の波長可変回折格子106aと第2の波長可変回折格子106bとの間に位置してもよい。1つの事例において、開口122は、光学素子の第2のセット118内に位置する。本明細書において前述したように、開口122が不必要であり得るように、所望の数および分布の照明ポール108が、1つ以上の波長可変回折格子106を用いて直接生成され得る場合があってもよい。しかしながら、1つ以上の開口122が、不必要な回折次数を遮断して所望の照明分布を達成するために使用されるときでさえ、本明細書で説明される波長可変多極照明システム100が、選択される位置に穴を有する開口122を充填することによって、照明ポール108を生成するよりも高い輝度(例えば、照明源102からの出力のより効率的な利用)を提供し得る場合があってもよいと、本明細書において認識される。
【0043】
別の実施形態において、波長可変多極照明システム100は、1つ以上の照明ポール108のビームプロファイルを調整するための1つ以上のアポダイザを含み得る。例えば、アポダイザは、オーバレイ計測目標の縁での照明ポール108の回折に関連する回折効果を軽減するために中心点に対して照明ポール108の強度を徐々に低下させ得る。さらに、アポダイザは、1つ以上の開口122に統合されてもよいが必須ではない。しかしながら、本明細書で前述したように、ソースビーム104の回折を通して生成される照明ポール108は、多くの照明源102によって生成されるソースビーム104のガウス分布に起因して、アポダイゼーションをほとんどまたは全く必要としなくてもよい場合があってもよい。
【0044】
ここで図2を参照すると、波長可変多極照明システム100は、選択された照明分布をもたらすために任意の種類の外部システムに組み込まれ得る。図2は、本開示の1つ以上の実施形態による、スキャトロメトリ計測システム200の概念図である。1つの実施形態において、スキャトロメトリ計測システム200は、1つ以上の照明ポール108を波長可変多極照明システム100からサンプル204(サンプル204上のオーバレイ計測目標)に向けるための対物レンズ202、およびサンプル204からの戻り光208をキャプチャするための検出器206を含む。例えば、検出器206上の位置が、キャプチャされた光がサンプル204から発出する角度を表すように、検出器206は、瞳面に配置され得る。戻り光208の異なる回折次数は、したがって、検出器206上で空間的に分離され得る。この点について、コントローラ110は、サンプル層間のオーバレイ誤差を判断するために比較され得るオーバレイ計測目標によって生成される反対の回折次数(例えば、+/-1次回折)の強度を比較し得る。
【0045】
別の実施形態において、図2に示されるように、スキャトロメトリ計測システム200は、ビームスプリッタ210を含む。この点について、対物レンズ202は、照明ポール108をサンプル204に同時に向け、サンプル204からの戻り光208を受光し得る。
【0046】
スキャトロメトリ計測システム200は、スキャトロメトリ計測システム200内で光を向け、および/または調節するための追加光学素子を含み得る。例えば、スキャトロメトリ計測システム200は、対物レンズ202(例えば、対物レンズ202の後焦点面216)に照明瞳214を中継するための照明リレーレンズ212を含み得る。この点について、照明瞳214内の照明ポール108の位置は、サンプル204上の照明の入射角に対応し得る。別の例として、スキャトロメトリ計測システム200は、対物レンズ202(例えば、対物レンズ202の後焦点面216)に集光瞳220を中継するための集光リレーレンズ218を含み得る。この点について、本明細書で前述したように、検出器206上の位置は、戻り光208がサンプル204から発出する角度に対応し得る。さらなる例として、スキャトロメトリ計測システム200は、1つ以上の絞り(例えば、視野絞り、開口絞りなど)を含み得る。1つの事例において、図2に示されるように、スキャトロメトリ計測システム200は、(例えば、オーバレイ目標のサイズなどに対応する)サンプル204上の照明ポール108の空間範囲を制御するための照明視野絞り222を含み得る。別の事例において、図2にさらに示されるように、スキャトロメトリ計測システム200は、戻り光208が集光されるサンプル204上の空間範囲を制御するための集光視野絞り224を含み得る。
【0047】
波長可変多極照明システム100は、サンプル204を照明するのに適当な照明ポール108の任意の選択された分布を提供し得る。さらに、波長可変多極照明システム100は、照明ポール108の複数の分布および/または異なる波長の光を含む照明ポール108を逐次的に提供し得る。この点について、波長可変多極照明システム100は、異なる照明条件を用いた複数の測定の効率的なキャプチャを容易にし得る。
【0048】
波長可変多極照明システム100は、波長可変回折格子106の任意の構成を用いて選択された分布の照明ポール108を提供し得る。例えば、音響光学偏向器から形成される波長可変回折格子106は、駆動信号(例えば、駆動周波数など)および/または入射ビームを基準とするアライメントを調整することによって複数の動作モードで動作され得ると、本明細書において認識される。
【0049】
1つの実施形態において、少なくとも1つの波長可変回折格子106は、ラマンナス構成のAODとして構成される。ラマンナス構成のAODは、典型的には、広範囲の入射角から入射光ビームを受け取り、入射光ビームを複数の回折次数に分配し得ると、本明細書において認識される。さらに、反対の回折次数(例えば、+/-1次回折、+/-2次回折など)は、典型的には等しい強度を有してもよく、それは、スキャトロメトリオーバレイの適用に有益であり得る。この点について、ラマンナス構成のAODは、本明細書で前述したように、反対の回折次数の同時キャプチャのために反対の斜角でサンプルを照明するように構成される対称な照明ポール108を同時に提供するのに適当であり得るが、これに限定されない。
【0050】
例えば、図1Bに示されるように、第1の波長可変回折格子106aおよび第2の波長可変回折格子106bは、両方ともX-Y平面において照明ポール108の任意の選択された分布を生成するのに適当なラマンナス構成で構成される。例えば、第1の波長可変回折格子106aは、X方向に沿って分布される1つ以上の回折次数にソースビーム104を回折してもよく、回折次数の数および間隔は、第1の波長可変回折格子106aのための駆動周波数および/または変調振幅を調整することによって制御され得る。追加的に、第2の波長可変回折格子106bは、Y方向に沿って第1の波長可変回折格子106aからの回折次数(例えば、0次回折、+/-1次回折、+/-2次回折など)の少なくともいくつかを回折し得る。これに応じて、X-Y平面内で選択された分布の照明ポール108が生成され得る。さらに、本明細書で前述したように、開口122および/またはアポダイザは、不必要な回折次数を遮断するため、および/または求める回折次数を成形するために使用され得る。
【0051】
別の実施形態において、少なくとも1つの波長可変回折格子106は、ブラッグ構成のAODとして構成される。ブラッグ構成のAODは、典型的には、入射ビームの強度の少なくとも実質的な部分を単一の回折次数に向け得ると、本明細書において認識される。場合によっては、入射光の一部は、非回折0次ビームとして伝播してもよく、それは、開口によって遮断されてもよいが必須ではない。特に、ブラッグ角度の入射光またはブラッグ角度付近の入射光は、強め合う干渉に基づいて主に単一の回折次数に回折され得る。ブラッグ角度は、典型的には、(例えば、AODの駆動周波数に関する)入射光の波長および回折格子の周期の両方に依存する。さらに、ブラッグ条件に関連するAODの駆動周波数は、典型的には、ラマンナス構成に関連する駆動周波数よりも高い。
【0052】
入射ビームは、したがって、ソースビーム104の既知の波長についてブラッグ角度でAODを方向付けること、およびブラッグ条件に関連する駆動周波数前後の値の範囲内でAODの駆動周波数を調整することにより偏向角度を制御することによって、角度の範囲にわたって偏向され、配置され、および/またはスキャンされ得る。この点について、ブラッグ構成のAODは、本明細書で前述したように、回折信号の逐次的キャプチャのために選択された入射角に関連する1つ以上の照明ポール108を用いてサンプルを逐次的に照明するのに適当であり得るが、これに限定されない。例えば、ブラッグ構成のAODは、第1の斜角でサンプルを照明して第1の回折次数をキャプチャし、次いで、反対の斜角でサンプルを照明して反対の回折次数をキャプチャするために使用され得る。
【0053】
ここで、図3Aおよび図3Bを参照すると、単一軸(例えばY軸)に沿って選択された位置に入射光を配置するのに適当なブラッグ構成の波長可変回折格子106が、より詳細に示されている。図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、対物レンズ202を通してソースビーム104の少なくとも一部をサンプル204上の第1の位置に向けるブラッグ構成で方向付けられる2つの波長可変回折格子106を含む波長可変多極照明システム100の概念図である。図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、対物レンズ202を通してソースビーム104の少なくとも一部をサンプル204上の第2の位置に向けるブラッグ構成で方向付けられる2つの波長可変回折格子106を含む波長可変多極照明システム100の概念図である。図3Aおよび図3Bは、照明に関連するスキャトロメトリ計測システム200の一部に対応し得る。この点について、集光および検出に関連するスキャトロメトリ計測システム200の一部(例えば、ビームスプリッタ210、検出器206など)は、明確に示されていない。
【0054】
ブラッグ構成のAODによる回折光に導入される角度分散が、偏向角度が変化するにつれて異なり得ると、本明細書において認識される。しかしながら、スキャトロメトリ計測では、オーバレイ目標によって生成される反対の回折次数の比較に基づくオーバレイ判断を容易にするために、照明瞳(例えば、図2のスキャトロメトリ計測システム200の照明瞳214など)内の全ての位置について一貫したビーム特性を提供することが、典型的には望ましい。1つの実施形態において、図3Aおよび図3Bに示されるように、波長可変多極照明システム100は、選択された軸に沿ってソースビーム104を偏向させるためにブラッグ構成において2つの波長可変回折格子106c~dを含み得る。例えば、波長可変多極照明システム100は、ソースビーム104を偏向させるためのブラッグ構成の分散波長可変回折格子106c、およびブラッグ構成の非分散波長可変回折格子106dに偏向ビームを中継するためのリレーレンズのセット302を含み得る。この点について、非分散波長可変回折格子106dは、分散波長可変回折格子106cによってもたらされる角度分散を軽減し得る。
【0055】
軸(例えば、図3Aおよび図3BのY軸)に沿った偏向ビームの位置は、2つの波長可変回折格子106c~dのいずれかの駆動周波数を調整することによって制御され得る。例えば、分散波長可変回折格子106cは、ブラッグ条件で一定の偏向をもたらすように構成されてもよく、非分散波長可変回折格子106dは、偏向ビーム(例えば照明ポール108)を配置するために用いられ得る。ブラッグ構成に関連する公称位置とは異なる位置に照明ポール108を位置させるように駆動周波数を修正することが、照明ポール108に残留角度分散をもたらし得ると、本明細書において認識される。しかしながら、スキャトロメトリオーバレイ計測のために半径方向に対称的な照明ポール108を提供することが望ましい場合があると、本明細書においてさらに認識される。1つの実施形態において、ブラッグ構成に関連する公称位置は、照明瞳214の中心にアラインされる。この点について、照明ポール108の角度分散は、スキャトロメトリオーバレイ計測測定に適当な照明瞳214内で半径方向に対称のままであり得る。
【0056】
追加的に、図3Aおよび図3Bは、単一方向(例えばY軸)に沿って選択された位置に照明ポール108を配置することを示していると理解されるべきである。図3Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、照明瞳214内の任意の位置に照明ポール108を配置するための波長可変多極照明システム100の概念図である。1つの実施形態において、波長可変多極照明システム100は、図3Aおよび図3Bに示されるように、Y方向に沿って1つ以上の照明ポール108を配置するための2つの波長可変回折格子106c~dに加えて、X方向に沿って1つ以上の照明ポール108を配置するための2つの波長可変回折格子106e~fを含む。この点について、2つの波長可変回折格子106e~fは、2つの波長可変回折格子106c~dと実質的に同じ方式で動作し得るが、X方向に沿って1つ以上の照明ポール108を配置するために回転される。例えば、波長可変多極照明システム100は、ソースビーム104を偏向させるためのブラッグ構成の分散波長可変回折格子106e、およびブラッグ構成の非分散波長可変回折格子106fに偏向ビームを中継するためのリレーレンズのセット304を含み得る。この点について、非分散波長可変回折格子106fは、分散波長可変回折格子106eによってもたらされる角度分散を軽減し得る。これに応じて、分散波長可変回折格子106eは、ブラッグ条件で一定の偏向をもたらすように構成されてもよく、非分散波長可変回折格子106fは、偏向ビーム(例えば照明ポール108)を配置するために用いられ得る。さらに、リレーレンズの追加セット306は、1つ以上の照明ポール108を波長可変回折格子106fから波長可変回折格子106cに向け得る。この点について、波長可変多極照明システム100は、照明瞳214内の任意の選択された位置に1つ以上の照明ポール108を配置する。
【0057】
ここで図4図7Bを参照すると、波長可変多極照明システム100は、サンプル204からの(例えば、サンプル204上のオーバレイ計測目標からの)任意の選択された回折次数の効率的な集光のために、高輝度を有する照明瞳214内の照明ポール108の変化する分布を提供し得る。
【0058】
図4は、本開示の1つ以上の実施形態による、サンプル204上のオーバレイ計測目標402の上面図である。1つの実施形態において、スキャトロメトリオーバレイ計測に適当なオーバレイ計測目標402は、サンプル204(例えば、格子対格子目標)の対象の複数の層上に方向付けられる格子構造404を含む。対象の層が、オーバレイ誤差無しに適切にアラインされるときに、格子構造404は、オーバラップしてもよいが必須ではない。図4において、最上層上の格子構造404のみが、明確化のために示されている。
【0059】
本明細書で前述したように、スキャトロメトリ計測は、典型的には、反対の回折次数(例えば、+/-1次回折)の強度の比較に基づいて、サンプル層間のレジストレーション誤差(例えば、オーバレイ誤差)を判断することを伴う。さらに、回折ビームがオーバレイ計測目標402から発出する角度は、照明ポール108の波長、照明ポール108の入射角、および格子構造404の周期406を含むがこれらに限定されない、複数の要因に依存し得る。これに応じて、波長可変多極照明システム100は、広範囲の照明条件に適当な照明ポール108の調節可能な分布を提供し得る。
【0060】
図5A図7Bは、照明瞳214内の照明ポール108の構成の非限定的な例、および波長可変多極照明システム100を同時にまたは逐次的に用いて提供され得る集光瞳220内の戻り光208の関連する回折次数を示す。さらに、図5A図7Bにおける照明瞳214内の照明ポール108の構成および集光瞳220内の戻り光208の関連する回折次数のいずれかが、任意の選択された波長に対して生成され得る。
【0061】
図5Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、垂直照明についての単一の中央に位置する照明ポール108aを含む照明瞳214の上面図である。図5Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、図5Aの照明瞳214に応じた図4のオーバレイ計測目標402からの戻り光208に関連する集光瞳220の上面図である。1つの実施形態において、照明ポール108aの波長、照明ポール108aの入射角、および格子構造404の周期406は、+1次回折502および反対の-1次回折504、ならび垂直照明に応じた集光瞳220内の任意の非回折0次光506の同時キャプチャを提供するために選択され得る。例えば、図5Aおよび図5Bに示される条件は、典型的には、比較的短い照明波長および/または比較的長い周期406の値に関連付けられ得る。
【0062】
図6Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、傾斜照明についての照明瞳214の縁に沿って対称的に配置される2つの照明ポール108b~cを含む照明瞳214の上面図である。図6Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、図6Aの照明瞳214に応じた図4のオーバレイ計測目標402からの戻り光208に関連する集光瞳220の上面図である。1つの実施形態において、照明ポール108の波長、照明ポール108の入射角、および格子構造404の周期406は、単一照明ポールからの反対の+1次回折および-1次回折のキャプチャに適当でない場合がある。例えば、図6Aおよび図6Bに示される条件は、典型的には、比較的長い照明波長および/または比較的短い周期406の値に関連付けられ得る。
【0063】
したがって、オーバレイ計測目標402の格子方向に沿って分布される2つの対称な照明ポール108b~cは、反対の回折次数をキャプチャするために用いられ得る。例えば、集光瞳220は、照明ポール108cに関連する0次回折606および+1次回折608と共に、照明ポール108bに関連する0次回折602および-1次回折604を含み得る。さらに、本明細書で説明されるように、波長可変多極照明システム100は、関連する回折次数の対応する同時または逐次的キャプチャのために、照明ポール108b~cを同時にまたは逐次的に提供し得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、波長可変多極照明システム100は、オーバレイ測定を判断するために加えて、および/またはその代わりに、サンプル204の焦点位置を判断するために、1つ以上の照明ポール108を提供し得る。例えば、傾斜照明に応じた集光瞳220内の戻り光208の位置が、焦点位置を示し得る。
【0065】
図7Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、垂直照明についての単一の中央に位置する照明ポール108aおよび焦点位置判断のための2つのオフセット照明ポール108d~eを含む照明瞳214の上面図である。図7Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、図7Aの照明瞳214に応じた図4のオーバレイ計測目標402からの戻り光208に関連する集光瞳220の上面図である。1つの実施形態において、+1次回折502および反対の-1次回折504は、図5Aおよび図5Bに示されるように、集光瞳220においてキャプチャされ得る。別の実施形態において、集光瞳220は、第2の自動焦点照明ポール108eに関連する非回折0次光706および-1次回折708と共に、第1の自動焦点照明ポール108dに関連する非回折0次光702および+1次回折704を含み得る。これに応じて、図7Aの照明瞳214内の照明ポール108a、d~eの分布は、オーバレイ測定およびサンプルの焦点位置の両方の判断を容易にし得る。
【0066】
図4図7Bは、例示のためにのみ与えられ、限定として解釈されるべきではないと理解されるべきである。例えば、任意の照明ポール108a~eが、同時に、または逐次的に提供され得る。例えば、複数の照明ポール108を用いた同時照明は、ラマンナス構造のAODから形成される1つ以上の波長可変回折格子106を含む波長可変多極照明システム100を備えてもよいが、これに限定されない。同様に、複数の照明ポール108を用いた逐次照明は、ブラッグ構造のAODから形成される1つ以上の波長可変回折格子106を含む波長可変多極照明システム100を備えてもよいが、これに限定されない。さらに、波長可変多極照明システム100は、ラマンナス構造およびブラッグ構造の任意の組合せのAODから形成される複数の波長可変回折格子106を含んでもよい。
【0067】
別の例として、図5A図7Bは、X方向に沿って格子構造404で方向付けられる図4の単一オーバレイ計測目標402に基づく照明瞳214および対応する集光瞳220の例を示す。波長可変多極照明システム100は、任意の方向(例えば図4のY方向)に沿って方向付けられるオーバレイ計測目標を含み得ると、本明細書において認識される。この点について、照明瞳214内の光の分布は、任意の方向に沿って対応して回転され得る。さらに、本明細書で前述したように、波長可変多極照明システム100は、異なる方向に沿って周期性をもって方向付けられる、図4に示されるものなどであるがこれに限定されない、複数の格子構造を含み得る。この点について、波長可変多極照明システム100は、照明瞳214内の任意の選択された位置に照明ポール108を提供し得る。
【0068】
図4のオーバレイ計測目標402は、例示のためにのみ与えられ、波長可変多極照明システム100または波長可変多極照明システム100を組み込む計測システム(例えば、図2のスキャトロメトリ計測システム200など)を限定するものではないと、さらに理解されるべきである。むしろ、波長可変多極照明システム100は、任意の特定の種類のオーバレイ計測目標での使用に限定されない。
【0069】
追加的に、いくつかの実施形態において、波長可変多極照明システム100は、オーバレイ計測目標の複数の方向付けに適当な照明ポール108の分布を提供し得る。例えば、波長可変多極照明システム100は、直交する波長可変回折格子106に駆動周波数を適用して照明ポール108と同時に+/-1次回折を生成することによって、4極照明を提供し得る。別の例として、波長可変多極照明システム100は、直交する波長可変回折格子106に駆動周波数を適用して、直交する波長可変回折格子106の配置方向間の対角線に沿って分布される2つの回折次数(例えば2つの1次回折ビーム)を向けることによって、回転された双極照明を提供し得る。
【0070】
図8は、高輝度波長可変多極照明を生成するための方法800において実行されるステップを示すフロー図である。出願人は、波長可変多極照明システム100の文脈において本明細書で前述した実施形態および有効な技術が、方法800に拡張するように解釈されるべきであるということに言及している。しかしながら、方法800は、波長可変多極照明システム100のアーキテクチャに限定されないことにさらに留意されたい。
【0071】
1つの実施形態において、方法800は、ソースビームを生成するステップ802を含む。例えば、ソースビームは、スキャトロメトリオーバレイ計測に適当な狭帯域幅を含み得る。
【0072】
別の実施形態において、方法800は、第1の方向に沿って光を回折するための第1の音響光学偏向器および第1の方向とは異なる第2の方向に沿って光を回折するための第2の音響光学偏向器を用いて、ソースビームを1つ以上の回折ビームに回折するステップ804を含む。この点について、回折ビームは、任意の2次元パターンで分布され得る。さらに、第1の音響光学偏向器および第2の音響光学偏向器は、複数の回折次数を同時に生成するためのラマンナス構成、または入射光を回折し、配置し、および/もしくはスキャンするためのブラッグ構成などであるがこれらに限定されない、当技術分野において既知の任意の種類の動作モードで構成され得る。
【0073】
別の実施形態において、方法800は、1つ以上の回折ビームの少なくともいくつかを集光して1つ以上の照明ビームを提供するステップ806を含む。例えば、回折ビームの1つ以上が、開口によって遮断され得る。
【0074】
別の実施形態において、方法800は、第1の音響光学偏向器および第2の音響光学偏向器のための駆動信号を生成して、入射角が対称分布である1つ以上の照明ビームをサンプル上に提供するステップ808を含む。例えば、駆動信号は、サンプル上の照明の入射角に対応し得る、照明瞳内の照明ポールの分布を制御するための1つ以上のコントローラによって生成され得る。
【0075】
別の実施形態において、方法800は、照明ビームに応答してサンプルから光(例えば戻り光)をキャプチャして、測定信号を生成するステップ810を含む。例えば、サンプル上のオーバレイ目標は、格子対格子構成で対象の複数の層上に格子構造を含み得る。したがって、集光瞳に置かれる検出器は、オーバレイ目標によって回折される照明ポールから照明をキャプチャし得る(例えば戻り光)。
【0076】
別の実施形態において、方法800は、測定信号に基づいてサンプルの計測測定を判断するステップ812を含む。例えば、オーバレイは、戻り光の反対の回折次数(例えば+/-1次回折など)の強度を比較することによって判断され得る。
【0077】
本明細書で説明される主題は、時には、他のコンポーネント内に含まれる、または他のコンポーネントと接続される、異なるコンポーネントを示す。そのような図示されるアーキテクチャが単なる例示であり、実際には同一機能性を実現する多くの他のアーキテクチャが実施され得ると理解されるべきである。概念的な意味において、所望の機能性が実現されるように、同一機能性を実現するためのコンポーネントの任意の構成が、効果的に「関連する」。したがって、アーキテクチャまたは中間コンポーネントにかかわらず、所望の機能性が実現されるように、特定の機能性を実現するために結合される本明細書における任意の2つのコンポーネントが、互いに「関連付けられる」と見られ得る。同様に、そのように関連する任意の2つのコンポーネントは、また、所望の機能性を実現するために互いに「接続される」かまたは「連結される」と見られ得る。そのように関連することが可能な任意の2つのコンポーネントもまた、所望の機能性を実現するために互いに「連結可能」であると見られ得る。連結可能な特定の例は、物理的に対話可能な、および/もしくは物理的に対話するコンポーネント、ならびに/または無線で対話可能な、および/もしくは無線で対話するコンポーネント、ならびに/または論理的に対話可能な、および/もしくは論理的に対話するコンポーネントを含むが、これらに限定されない。
【0078】
本開示およびその付随する利点の多くが、前述の説明によって理解されると信じられる。開示された主題から逸脱することなく、またはその具体的利点の全てを犠牲にすることなく、コンポーネントの形式、構造、および構成において、様々な変更が行われ得ることは明らかである。説明された形式は、単なる説明的であるに過ぎず、そのような変更を包含し含むことが、以下の特許請求の範囲の意図することである。さらに、本発明が添付の特許請求の範囲によって定義されると理解されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8