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特開2023-119439飲料、アルコール感付与及び/又は増強剤、及びアルコール感付与及び/又は増強方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119439
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】飲料、アルコール感付与及び/又は増強剤、及びアルコール感付与及び/又は増強方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20230821BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230821BHJP
   C12G 3/04 20190101ALI20230821BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/52
C12G3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022350
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】中村 冬馬
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 潤
【テーマコード(参考)】
4B115
4B117
【Fターム(参考)】
4B115LH11
4B117LC02
4B117LK06
4B117LK07
4B117LK09
4B117LL02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アルコール感が付与及び/又は増強された飲料、飲料にアルコール感を付与及び/又は増強するアルコール感付与及び/又は増強剤、及び飲料にアルコール感を付与及び/又は増強するアルコール感付与及び/又は増強方法を提供する。
【解決手段】3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸及び3,4-ジヒドロキシヒドロ桂皮酸からなる群から選択される1種以上の化合物を合計1~50mg/100mL含み、アルコール度数が2v/v%未満である飲料である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を合計1~50mg/100mL含み、
アルコール度数が2v/v%未満であることを特徴とする飲料。
【化1】
【化2】
【請求項2】
甘味料をさらに含有する請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
アルコール度数が2v/v%未満である飲料に用いられ、
(A)下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、
前記(A)成分が、前記飲料に合計1~50mg/100mLの濃度で配合されることを特徴とするアルコール感付与及び/又は増強剤。
【化3】
【化4】
【請求項4】
アルコール度数が2v/v%未満である飲料に、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を合計1~50mg/100mLの濃度で配合することを含むことを特徴とするアルコール感付与及び/又は増強方法。
【化5】
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、アルコール感付与及び/又は増強剤、及びアルコール感付与及び/又は増強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する意識の高まりやライフスタイルの多様化などを背景として、飲料中のアルコール濃度を低減した低アルコール飲料や実質的にアルコールを含まないノンアルコール飲料の需要が拡大している。さらに、これらの飲料について、アルコールの風味を持たせながらも、健康志向の観点から糖質、プリン体及び/またはカロリーなどを低減したり、また新たな顧客層を取り込むために果汁を配合したりなど、多種多様な飲料が市場に提供されている。しかし、これらの低アルコール飲料やノンアルコール飲料は、嗜好品としてアルコールを楽しむという観点からは、アルコール感が不足し、アルコールに起因する清涼感や、飲み応えに乏しい等という課題がある。
【0003】
上記課題に対して、これまでに、ラカンカ抽出物を配合することにより、アルコール感を付与又は増強する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記提案の技術では、飲料にアルコール感を十分に満足するレベルで付与及び/又は増強できているとはいえず、更なる改良が求められている。
【0005】
下記構造式(1)で表される化合物の名称は、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(英名:3-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)propionic acid)である。下記構造式(1)で表される化合物については、特定の成分を含有する培地にてある種の乳酸菌を培養すると、当該化合物が検出されることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【化1】
【0006】
前記構造式(1)で表される化合物は、ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害剤などの有効成分であり、ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害用飲食品などに配合できることが知られている非常に有用な成分である(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、前記構造式(1)で表される化合物が、飲料にアルコール感を付与及び/又は増強することができることは知られていない。
【0007】
下記構造式(2)で表される化合物の名称は、3,4-ジヒドロキシヒドロ桂皮酸(英名:3,4-Dihydroxyhydrocinnamic acid)である。
【化2】
【0008】
前記構造式(2)で表される化合物は、ブドウなどの植物に含まれる化合物であり、マウスにおけるDNMT1発現のダウンレギュレーション及びIL-6遺伝子のDNAメチル化の阻害を通じてIL-6産生を低下させることが知られている。
しかしながら、前記構造式(2)で表される化合物が、飲料にアルコール感を付与及び/又は増強することができることは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2021-040622号公報
【特許文献2】特開2014-003929号公報
【特許文献3】特開2020-055887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、アルコール感が付与及び/又は増強された飲料、飲料にアルコール感を付与及び/又は増強するアルコール感付与及び/又は増強剤、及び飲料にアルコール感を付与及び/又は増強するアルコール感付与及び/又は増強方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、飲料におけるアルコール感の付与及び/又は増強に関して、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物に優れた効果があることを知見した。
【化3】
【化4】
【0012】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を合計1~50mg/100mL含み、
アルコール度数が2v/v%未満であることを特徴とする飲料である。
【化5】
【化6】
<2> 甘味料をさらに含有する前記<1>に記載の飲料である。
<3> アルコール度数が2v/v%未満である飲料に用いられ、
(A)下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、
前記(A)成分が、前記飲料に合計1~50mg/100mLの濃度で配合されることを特徴とするアルコール感付与及び/又は増強剤である。
【化7】
【化8】
<4> アルコール度数が2v/v%未満である飲料に、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を合計1~50mg/100mLの濃度で配合することを含むことを特徴とするアルコール感付与及び/又は増強方法である。
【化9】
【化10】
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、アルコール感が付与及び/又は増強された飲料、飲料にアルコール感を付与及び/又は増強するアルコール感付与及び/又は増強剤、及び飲料にアルコール感を付与及び/又は増強するアルコール感付与及び/又は増強方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(飲料)
本発明の飲料は、アルコール度数が2v/v%(容量%)未満であり、構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物(以下、「(A)成分」と称することがある。)を少なくとも含み、必要に応じてさらにその他の成分を含む。
【0015】
<(A)成分>
前記(A)成分は、構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である。前記(A)成分は、構造式(1)で表される化合物を単独で用いてもよいし、構造式(2)で表される化合物を単独で用いてもよいし、これらを併用してもよい。
【0016】
-構造式(1)で表される化合物-
下記構造式(1)で表される化合物の名称は、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(英名:3-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)propionic acid)である(以下、「HMPA」と称することがある。)。
【化11】
【0017】
前記構造式(1)で表される化合物は、公知の化合物であり、市販品を使用してもよいし、公知の方法により製造したものを使用してもよい。
【0018】
-構造式(2)で表される化合物-
下記構造式(2)で表される化合物の名称は、3,4-ジヒドロキシヒドロ桂皮酸(英名:3,4-Dihydroxyhydrocinnamic acid)である。
【化12】
【0019】
前記構造式(2)で表される化合物は、公知の化合物であり、市販品を使用してもよいし、公知の方法により製造したものを使用してもよい。
【0020】
前記(A)成分の前記飲料における合計含有量としては、1~50mg/100mLであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記(A)成分として、2種の化合物を用いる場合の両者の使用量の比(質量比)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
飲料における前記構造式(1)で表される化合物の含有量の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、下記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。
-HPLC条件-
・ カラム : COSMOSIL 3PBr Packed Column(ナカライテスク株式会社製)
・ ガードカラム : COSMOSIL 3PBr Guard Cartridge(ナカライテスク株式会社製)
COSMOSIL Guard Cartridge Holder(ナカライテスク株式会社製)
COSMOSIL Column Connecting Tube(ナカライテクス株式会社製)
・ 移動相 : A)メタノール:水:ギ酸=500:500:1
B)メタノール
標準溶液分析時) 0-10min(100%A)
試料溶液分析時) 0-10min(100%A)、
10.01-24min(100%B)、
24.01-38min(100%A)
・ カラム温度 : 40℃
・ 注入量 : 10μL
・ 流速 : 1.0mL/min
・ 検出条件 : UV280nm
【0022】
また、飲料における前記構造式(2)で表される化合物の含有量の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、下記条件でHPLCにより測定することができる。
-HPLC条件-
・ カラム : WakosilII 5C18HG(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・ 移動相 : A)水:トリフルオロ酢酸=1000:1
B)アセトニトリル
0-12min(82%A)、
12-20min(82%A→75%A)、
20-35min(75%A→70%A)、
35-40min(70%A)、
40-50min(10%A)、
50-65min(82%A)
・ カラム温度 : 40℃
・ 注入量 : 10μL
・ 流速 : 0-40min(1.0mL/min)、
40-55min(1.4mL/min)、
55-65min(1.0mL/min)
・ 検出条件 : UV280nm
【0023】
<その他の成分>
前記飲料におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、飲料に用いることができる成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、甘味料、アミノ酸、酸味料、香料、ビタミン、ミネラル、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、品質安定剤、食物繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記飲料は、効果をより高めることができる点で、前記甘味料をさらに含むことが好ましい。
前記飲料におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
-甘味料-
前記甘味料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高甘味度甘味料、糖アルコールなどが挙げられる。
【0025】
本明細書において、高甘味度甘味料とは、蔗糖と比べて十倍から千倍の甘味度を有する人工又は天然の甘味料を意味する。
ここで、甘味度は、ショ糖の甘味を基準とした場合の甘味の程度を意味し、一般的には、パネルによる官能検査により、一定濃度のショ糖溶液(例えば、ショ糖10重量%溶液)と同じ甘味の強さを示す被験甘味料の濃度との比較により求めることができる。
高甘味度甘味料の甘味度は当業者に知られており、例えば「最新・ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参照することができる。例えば、ショ糖1重量%溶液の甘味度を1とした場合、アセスルファムカリウムの甘味度は約200であり、スクラロースの甘味度は約600である。
高甘味度甘味料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア(レバウディオサイド、ステビオサイド)、ソーマチン、サッカリン、サッカリンナトリウム、甘草、羅漢果、ネオテーム、マビンリン、ブラゼイン、モネリン、グリチルリチン、アリテーム、ネオテーム、チクロ、ズルチン、ネオヘスペリジンなどが挙げられる。これらの中でも、効果の顕著さの観点から、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビアが好ましい。
【0026】
前記糖アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、還元パラチノース(パラチニット)、マルチトール、イソマルチトール、マンニトール、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴、マルトテトライトール、マルトトリイトールなどが挙げられる。これらの中でも、効果の顕著さの観点から、エリスリトール、還元麦芽糖水飴、還元水飴が好ましい。
【0027】
前記甘味料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記甘味料は、公知の化合物であり、市販品を使用してもよいし、公知の方法により製造したものを使用してもよい。なお、前記甘味料は、植物抽出物の態様のものを使用することもできる。
前記甘味料の前記飲料における合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記高甘味度甘味料の前記飲料における合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0001質量%(w/v)以上が好ましく、0.0005質量%(w/v)以上がより好ましく、0.001質量%(w/v)以上がさらに好ましい。また、当該含有量は、香味の観点から、5質量%(w/v)以下が好ましく、1質量%(w/v)以下がより好ましく、0.1質量%(w/v)以下がさらに好ましく、0.05質量%(w/v)以下が特に好ましい。
前記糖アルコールの前記飲料における合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%(w/v)以上が好ましく、0.01質量%(w/v)以上がより好ましく、0.1質量%(w/v)以上がさらに好ましい。また、当該含有量は、香味の観点から、5質量%(w/v)以下が好ましい。
【0028】
飲料中の甘味料の含有量の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して測定することができ、例えば、液体クロマトグラフィーなどにより測定することができる。
【0029】
<飲料>
前記飲料の種類としては、アルコール度数が2v/v%未満である飲料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノンアルコール飲料、低アルコール飲料などが挙げられる。前記飲料は、炭酸ガスを含む飲料であってもよいし、炭酸ガスを含まない飲料であってもよい。また、飲料には、ゼリー飲料も含まれる。前記飲料は、無色であってもよいし、有色であってもよく、また、透明であってもよいし、透明でなくてもよい。
【0030】
前記ノンアルコール飲料とは、実質的にアルコールを含まない飲料を意味する。具体的にはアルコール度数が0.00v/v%の飲料から、果物の天然果汁にごく微量に含まれるアルコール分とほぼ同じとされる0.05v/v%以下の飲料が含まれる。前記ノンアルコール飲料には、清涼飲料水、アルコールテイスト飲料が含まれる。
前記アルコールテイスト飲料とは、アルコールを含まないか又はアルコール含有量が極めて低い飲料であって、アルコール飲料に似せた風味または味を有する飲料をいう。前記アルコールテイスト飲料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビールテイスト飲料(ノンアルコールビール)、発泡酒テイスト飲料、酎ハイテイスト飲料、果実酒テイスト飲料、ワインテイスト飲料、日本酒テイスト飲料、焼酎テイスト飲料、カクテルテイスト飲料、ハイボールテイスト飲料などが挙げられる。
【0031】
本明細書において、前記低アルコール飲料とは、アルコール度数が0.05v/v%より多く2v/v%未満の飲料を意味する。前記低アルコール飲料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビール、果実酒、日本酒等の醸造酒;焼酎、ウイスキー、ブランディ等の蒸留酒;蒸留酒に糖類等の副原料を混合したリキュール等の混成酒;これらに果汁、フレーバー、炭酸ガス、飲用水、又は炭酸ガス入り飲用水などを加えたカクテル、フィズ、酎ハイ等のアルコール飲料、又はこれらのアルコール飲料に模して作られた飲料(例えば前述する「○○テイスト飲料」等)であって、アルコール度数が0.05v/v%より多く2v/v%未満のアルコール飲料)などが挙げられる。
【0032】
前記飲料の中でも、ビールテイスト飲料が好ましい。本明細書において、ビールテイスト飲料とは、通常にビールを製造した場合、すなわち、酵母等による発酵に基づいてビールを製造した場合に得られるビール特有の味わいや香りに類似した味わいや香り(ビ-ル様の風味)を有する飲料を意味する。ビールテイスト飲料のうち、低アルコール飲料には、炭素源、窒素源、及び水などを原料として酵母により発酵させた、ビールテイストのアルコール飲料が含まれる。前記ビールテイストのアルコール飲料には、ビール、発泡酒、原料として麦又は麦芽を使用しないビールテイスト発泡アルコール飲料(例えば、酒税法上、「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される醸造系新ジャンル飲料)及び原料として麦芽を使用するビールや発泡酒にアルコールを添加してなる飲料(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類されるリキュール系新ジャンル飲料)が含まれる。前記ビールテイスト飲料の中でも、実質的にアルコールを含まないビールテイストノンアルコール(ノンアルコールビール)が好ましい。ノンアルコールビールは、未発酵のため発酵に由来するアルコール成分を含まないか、又は発酵由来のアルコールを除去したノンアルコール飲料でありながら、ビール様の風味を有する飲料をいう。
【0033】
飲料中のアルコール含有量(v/v%)は、国税庁所定分析法(昭和36年1月11日国税庁訓令第1号,改正平19国税庁訓令第6号)に記載される方法に従って測定することができる。具体的には、ショ糖などの糖類を添加したものと添加していないもののそれぞれについて、以下の方法で測定することができる。
【0034】
-ショ糖等の糖類を添加していない飲料の場合-
試料100~150mLを、メスフラスコを用いて15℃において正確に採取する。これを300~500mL容のフラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として直火蒸留を行い、採取量の70%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。
【0035】
-ショ糖等の糖類を添加した試料の場合-
水蒸気蒸留法によって分析サンプルを調製する。すなわち、メスフラスコを用いて試料100~150mLを15℃において正確に採取する。これを500mL容二連フラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として水蒸気蒸留を行い、採取量の98%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。
【0036】
以上のようにして調製した分析サンプルの15℃における密度を振動式密度計で測定し、前記国税庁所定分析法の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)および比重(15/15℃)換算表」を用いて換算することにより、アルコール度数を求めることができる。なお、飲料中のアルコールの含有量が国税庁所定分析法で定量できない程度の極めて少量である場合は、ガスクロマトグラフィーを用いて分析することができる。
【0037】
前記飲料は、発泡性飲料であってもよい。前記発泡性飲料は、アルコール感(軽快感、清涼感)とガスの発泡感とがあいまって爽快感を楽しむことができる点で、好ましい。本明細書において、前記発泡性飲料は、20℃におけるガス圧が0.05MPa以上である飲料をいい、アルコール発酵により生じた炭酸ガスを含む飲料、及び人為的に炭酸ガスを封入した飲料のいずれもが含まれる。前記発泡性飲料には、好ましくはビールテイスト飲料が含まれる。
【0038】
前記発泡性飲料における炭酸ガス圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃での測定において、0.05~0.4MPaが好ましく、0.13~0.35MPaがより好ましい。
なお、20℃におけるガス圧が0.05MPa未満である飲料を非発泡性飲料という。
【0039】
炭酸ガス圧は、例えば、国税庁所定分析法にて定められたビールのガス圧分析法に従って測定することができる。具体的には、王冠、スクリューキャップ、コルク栓など、穿孔圧力計が使用できる容器に入った検体について、検体を時々振りながら20℃の水槽に浸けて30分間保った後、穿孔圧力計を取り付け、針を突き刺し軽く振って圧力を読むことにより測定することができる。
【0040】
飲料に炭酸ガスを含有させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させる方法、ツーヘンハーゲン社のカーボネーターなどのミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合する方法、二酸化炭素が充満したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させる方法、飲料と炭酸水とを混合する方法などが挙げられる。これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節することができる。
【0041】
前記飲料中の可溶性固形分濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.01~35%とすることができる。本明細書において、可溶性固形分濃度は、糖度計や屈折計などを用いて得られるBrix(ブリックス)値に相当する。前記ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である(単位:「°Bx」、「%」、又は「度」)。
【0042】
前記飲料は、アルコール感が付与及び/又は増強された飲料である。したがって、アルコール感を期待して摂取する飲料として、常温で長期保存でき、即時飲用可能な形態(RTD:Ready To Drink)とするのが、ユーザーの観点の簡便性から優れている。
【0043】
前記飲料は、加熱殺菌処理を経て得られる容器詰め飲料であってもよい。
前記容器の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)製容器、ポリエチレン製容器、ポリプロピレン製容器等のプラスチック製容器;ガラス製容器;金属製容器;紙製容器などが挙げられる。
前記容器の容量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100mL~2Lなどが挙げられる。
【0044】
本発明の飲料の製造方法としては、特に制限はなく、公知の飲料の製造方法を適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分、及び必要に応じて前記その他の成分を飲料の製造過程で配合し、製造する方法が挙げられる。また、本発明の飲料は、公知の方法により製造した飲料に、前記(A)成分、及び必要に応じて前記その他の成分を添加して製造することもできる。
前記各種成分の配合順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、本発明の飲料の製造においては、前記各種成分の含有量を調整する工程を含んでもよい。
【0045】
また、例えば、ビールテイスト飲料は、麦原料と水と必要に応じて各種添加剤を混合して麦原料を糖化し、糖化液を濾過して得られた麦汁に、必要に応じて、ホップの添加、煮沸、冷却等を行って発酵前液を得る仕込工程、発酵前液にビール酵母を添加して発酵させる発酵工程を経ることで製造することができる。また、発酵工程後の発酵後工程として、発酵工程で得られた発酵後液に対して濾過、加熱(殺菌)、アルコールの添加、カーボネーション等を行ってもよい。
【0046】
ビールテイスト飲料のうち、ノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法は、上記製造工程において発酵工程を含まなくてもよい。また、上記発酵工程において、発酵期間を短くしてアルコールの生成を抑制してもよく、また上記発酵工程で得られた発酵後液を蒸留又は希釈することによりアルコールを除去又は低減させてもよい。さらに、ノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法は、上記仕込工程で得られた発酵前液(麦汁)又は実質的にアルコールを含有しない発酵後液に対して、濾過、加熱(殺菌)、カーボネーション等を行う工程を含んでもよい。
【0047】
また、本発明の飲料は、必要に応じて殺菌等の工程を経て、容器詰め飲料とすることができる。例えば、飲料を容器に充填した後に加熱殺菌等を行う方法や、飲料を殺菌してから無菌環境下で容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。前記加熱殺菌処理は、食品衛生法に定められた殺菌条件で行うことができる。殺菌機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チューブ式殺菌機、プレート式殺菌機、FP(Flash Pastrization)プレート式殺菌機、UHT(Ultra High Temperature)殺菌装置などを用いることができる。加熱温度や処理時間としては、特に制限はなく、飲料の種類によって適宜選択して行うことができ、通常、60~150℃で1秒間~30分間加熱する。
【0048】
本発明の飲料は、アルコール感が付与及び/又は増強されており、アルコールを実質上含まないノンアルコール飲料については、アルコールを添加又は増量せずに、飲用者にアルコール含有飲料を飲んでいるかのよう飲み心地を与えることができる。また、アルコール度数が2v/v%未満の低アルコール飲料については、アルコールを増量せずに、飲用者に、より高濃度のアルコール飲料を飲んでいるかのような飲み心地を付与することができる。
【0049】
(アルコール感付与及び/又は増強剤)
本発明のアルコール感付与及び/又は増強剤は、アルコール度数が2v/v%未満である飲料に用いられるものであって、(A)構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を少なくとも含み、必要に応じてさらにその他の成分を含む。
【0050】
本発明のアルコール感付与及び/又は増強剤は、飲料にアルコール感を付与及び/又は増強するものである。本明細書において、アルコール感とは、飲料を口に含んで嚥下(飲用)する際に感じる感覚のうち、通常アルコール含有飲料を飲用する際にアルコールに起因して感じられる感覚のことをいう。具体的には口腔内での軽快感及び/又は口腔内から鼻腔に抜ける揮発感に起因して感じられる清涼感を意味する。
【0051】
本明細書において、アルコール感の付与とは、アルコールを含有しない飲料に、上記した軽快感及び/又は清涼感を付与することをいう。その結果、アルコールを含有しない飲料の飲用者に、当該飲料にアルコールが含まれていないにもかかわらずアルコールが含まれているかのような飲み心地を与えることができる。
【0052】
本明細書において、アルコール感の増強とは、アルコールを含有しない飲料に付与した上記した軽快感及び/又は清涼感をさらに増強させることを意味する。また、アルコール感の増強には、アルコールを2v/v%未満で含む飲料について、アルコールに起因して感じる口腔内での軽快感及び/又は口腔から鼻腔に抜ける清涼感を増加させて、当該飲料のアルコール濃度が増加したように感じさせることも含まれる。その結果、飲用者に、表示よりも高いアルコール度数のアルコール飲料を飲用しているかの飲み心地を与えることができる。
【0053】
なお、本明細書において、アルコールとは、エタノールを意味する。
【0054】
<(A)成分>
前記(A)成分は、構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である。前記(A)成分は、構造式(1)で表される化合物を単独で用いてもよいし、構造式(2)で表される化合物を単独で用いてもよいし、これらを併用してもよい。
【0055】
-構造式(1)で表される化合物-
前記構造式(1)で表される化合物は、上記した(飲料)の項目に記載の構造式(1)で表される化合物と同様である。
【0056】
前記構造式(1)で表される化合物の前記アルコール感付与及び/又は増強剤における含有量としては、特に制限はなく、使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0057】
-構造式(2)で表される化合物-
前記構造式(2)で表される化合物は、上記した(飲料)の項目に記載の構造式(2)で表される化合物と同様である。
【0058】
前記構造式(2)で表される化合物の前記アルコール感付与及び/又は増強剤における含有量としては、特に制限はなく、使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0059】
<その他の成分>
前記アルコール感付与及び/又は増強剤におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、水、飲食品に用いられる成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の中でも、効果をより高めることができる点で、前記甘味料をさらに含むことが好ましい。前記甘味料は、上記した(飲料)の項目に記載の甘味料と同様である。
前記アルコール感付与及び/又は増強剤におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0060】
<態様>
前記アルコール感付与及び/又は増強剤は、前記(A)成分と、必要に応じて前記その他の成分とを同一の包材に含む態様であってもよいし、前記各成分を別々の包材に入れ、使用時に併用する態様であってもよい。
前記アルコール感付与及び/又は増強剤の形態としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、粉末、顆粒等の固体、水などの溶媒に溶解させた液体などが挙げられる。
【0061】
<使用>
前記アルコール感付与及び/又は増強剤の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、製造した飲料に添加する方法、飲料の製造過程で添加する方法などが挙げられる。これらは、1種単独の方法で行ってもよいし、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
【0062】
前記アルコール感付与及び/又は増強剤における各種成分の飲料への配合順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記アルコール感付与及び/又は増強剤における各種成分は、1回でまとめて添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよい。
【0063】
前記アルコール感付与及び/又は増強剤の使用量としては、特に制限はなく、前記(A)成分や、必要に応じて用いる前記その他の成分の使用量などを考慮して、適宜選択することができる。
【0064】
前記(A)成分の使用量としては、前記飲料に合計1~50mg/100mLの濃度で配合される限り、特に制限はなく、対象とする飲料の種類に応じて適宜選択することができる。
前記(A)成分として、2種の化合物を用いる場合の両者の使用量の比(質量比)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0065】
前記甘味料の使用量としては、特に制限はなく、対象とする飲料の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(飲料)の項目に記載の甘味料の飲料における合計含有量と同様とすることができる。
前記甘味料として、2種以上の甘味料を用いる場合の各甘味料の使用量の比(質量比)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0066】
前記アルコール感付与及び/又は増強剤は、単独で使用してもよいし、他のアルコール感付与及び/又は増強剤と組み合わせて使用してもよい。
【0067】
<飲料>
前記飲料としては、アルコール度数が2v/v%未満である飲料である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(飲料)の項目に記載のものと同様のものなどが挙げられる。
【0068】
(アルコール感付与及び/又は増強方法)
本発明のアルコール感付与及び/又は増強方法は、配合工程を少なくとも含み、必要に応じてさらにその他の工程を含む。
本発明アルコール感付与及び/又は増強方法は、飲料にアルコール感を付与及び/又は増強する方法である。
【0069】
<配合工程>
前記配合工程は、アルコール度数が2v/v%未満である飲料に、構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を合計1~50mg/100mLの濃度で配合する工程である。
前記配合工程は、効果をより高めることができる点で、甘味料をさらに配合することが好ましい。
【0070】
-構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物-
前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物は、構造式(1)で表される化合物を単独で用いてもよいし、構造式(2)で表される化合物を単独で用いてもよいし、これらを併用してもよい。
【0071】
前記構造式(1)で表される化合物は、上記した(飲料)の項目に記載の構造式(1)で表される化合物と同様である。
【0072】
前記構造式(2)で表される化合物は、上記した(飲料)の項目に記載の構造式(2)で表される化合物と同様である。
【0073】
前記飲料に、前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を配合する方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、上記した本発明のアルコール感付与及び/又は増強剤の<使用>の項目に記載した方法と同様にして行うことができ、使用量も同様とすることができる。
【0074】
-甘味料-
前記甘味料は、上記した(飲料)の項目に記載の甘味料と同様である。
前記飲料に、前記甘味料を配合する方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、上記した本発明のアルコール感付与及び/又は増強剤の<使用>の項目に記載した方法と同様にして行うことができ、使用量も同様とすることができる。
【0075】
<飲料>
前記飲料としては、アルコール度数が2v/v%未満である飲料である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(飲料)の項目に記載のものと同様のものなどが挙げられる。
【0076】
本発明のアルコール感付与及び/又は増強剤並びにアルコール感付与及び/又は増強方法によれば、アルコール度数が2v/v%未満である飲料にアルコール感を付与及び/又は増強することができる。
【実施例0077】
以下、試験例を説明するが、本発明は、これらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0078】
(試験例1:構造式(1)で表される化合物によるアルコール感の付与増強)
下記の市販飲料に、下記の表1-1~1-3の配合量となるように、前記構造式(1)で表される化合物(東京化成工業株式会社製)を添加し、飲料を調製した。
<市販飲料>
[試験例1-1~1-6]
・ ビールテイスト飲料
原材料 : 麦芽(外国製造)、ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、ビタミンC、苦味料、甘味料(アセスルファムK)
アルコール度 : 0.00%
可溶性固形分濃度 : 0.12%
[試験例1-7~1-12]
・ ノンアルコール飲料A
原材料 : レモン果汁、食物繊維、果実パウダー/炭酸、酸味料、香料、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)
アルコール度 : 0.00%
可溶性固形分濃度 : 1.1%
[試験例1-13~1-18]
・ ノンアルコール飲料B
原材料 : 果糖ぶどう糖液糖、梅果汁(南高梅)、梅エキス(梅、砂糖)、梅酢/酸味料、香料、カラメル色素
アルコール度 : 0.00%
可溶性固形分濃度 : 30.8%
【0079】
<評価>
調製した飲料について、アルコール感の官能評価を行った。具体的には、十分に訓練を受けた3名の専門パネリストにより、下記の評価基準で評価した。なお、評価温度は室温とした。
-評価基準-
5点 : アルコール感が強い。
4点 : アルコール感をやや感じる。
3点 : アルコール感を感じる。
2点 : アルコール感をわずかに感じる。
1点 : アルコール感を感じない。
【0080】
結果を下記の表1-1~1-3に示す。なお、評価の点数は、3名の専門パネリストによる評価の平均点である。
【0081】
【表1-1】
【0082】
【表1-2】
【0083】
【表1-3】
【0084】
表1-1~1-3に示したように、ビールテイスト飲料やノンアルコール飲料に構造式(1)で表される化合物を1~50mg/100mL配合することで、アルコール感が強くなることが分かった。
【0085】
(試験例2:構造式(2)で表される化合物によるアルコール感の付与増強)
下記の市販飲料に、下記の表2-1~2-3の配合量となるように、前記構造式(2)で表される化合物(東京化成工業株式会社製)を添加し、飲料を調製した。
<市販飲料>
[試験例2-1~2-6]
・ ビールテイスト飲料
原材料 : 麦芽(外国製造)、ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、ビタミンC、苦味料、甘味料(アセスルファムK)
アルコール度 : 0.00%
可溶性固形分濃度 : 0.12%
[試験例2-7~2-12]
・ ノンアルコール飲料A
原材料 : レモン果汁、食物繊維、果実パウダー/炭酸、酸味料、香料、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)
アルコール度 : 0.00%
可溶性固形分濃度 : 1.1%
[試験例2-13~2-18]
・ ノンアルコール飲料B
原材料 : 果糖ぶどう糖液糖、梅果汁(南高梅)、梅エキス(梅、砂糖)、梅酢/酸味料、香料、カラメル色素
アルコール度 : 0.00%
可溶性固形分濃度 : 30.8%
【0086】
<評価>
調製した飲料について、試験例1と同様にして、アルコール感の官能評価を行った。結果を下記の表2-1~2-3に示す。なお、評価の点数は、3名の専門パネリストによる評価の平均点である。
【0087】
【表2-1】
【0088】
【表2-2】
【0089】
【表2-3】
【0090】
表2-1~2-3に示したように、ビールテイスト飲料やノンアルコール飲料に構造式(2)で表される化合物を1~50mg/100mL配合することで、アルコール感が強くなることが分かった。