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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119544
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】照明装置及びプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230821BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230821BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230821BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20230821BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230821BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 311
F21S2/00 340
F21V9/40 200
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100994
(22)【出願日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2022022257
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022087937
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇
(72)【発明者】
【氏名】高野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 果澄
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA06
2K203FA24
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA54
2K203GA12
2K203GA25
2K203GA32
2K203GA35
2K203GA36
2K203GA40
2K203HA08
2K203HA25
2K203HA28
2K203HA73
2K203HA82
2K203HA87
2K203HA92
2K203HB19
2K203HB22
2K203HB25
2K203MA04
2K203MA32
2K203MA35
(57)【要約】
【課題】プロジェクタ用の照明装置を小型化かつ高効率化する。
【解決手段】照明装置1において、合成用光学素子2は、二方向から入力される2つの光源LS1、LS2からの光線F1、F2の一方を反射させ、他方は透過させて、同一方向に変換された反射光と透過光とを光均一化要素3に入射させる。合成用光学素子2は、4面を持つプリズムで構成され、4面のうち1つの面2Aは反射光を生成する反射面であり、対向する2つの面2B、2Cは透過光を生成する透過面である。合成用光学素子2の反射面2Aと透過面2B、2Cに入射する2つの光源LS1、LS2からの光線F1、F2が、合成用光学素子2上で重ならないように構成される。合成用光学素子2は、光均一化要素3と別体で構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの光源と、
前記2つの光源から出力された2つの光線を合成する合成用光学素子と、
光均一化要素と、
を備え、
前記合成用光学素子は、二方向から入力される前記2つの光線の一方を反射させ、他方は透過させて、同一方向に変換された反射光と透過光とを前記光均一化要素に入射させ合成し、
前記合成用光学素子は、4面以上の多面を持つプリズムで構成され、前記多面のうち1つの面は前記反射光を生成する反射面であり、対向する2つの面は前記透過光を生成する透過面であり、
前記合成用光学素子は、前記光均一化要素と別体で構成され、
前記合成用光学素子の前記反射面と前記透過面に入射する前記光線が、前記合成用光学素子上で重ならないよう構成される、
照明装置。
【請求項2】
前記光均一化要素は、ロッドインテグレータによって構成される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光均一化要素は、ライトトンネルによって構成される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記2つの光源の一方は、光軸が前記光均一化要素への入射方向に対して90度となる位置に配置され、
前記2つの光源は、両者の光軸のなす角が90度となるように配置される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記2つの光源のうち少なくとも一方の光源は、励起光源と波長変換素子を備えている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記2つの光源のうち少なくとも一方の光源は、複数の光学素子を備えている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記合成用光学素子により合成される前記2つの光線のスペクトルが異なる、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記プリズムの入射面、出射面の少なくとも一方が拡散面である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記合成用光学素子と前記光均一化要素との間にカラーホイールが配置される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記2つの光源から出力された前記2つの光線の光軸方向である第1、第2方向と、前記光均一化要素を通過する前記光線の光軸方向である第3方向とが同一の平面上となるよう配置され、
前記第3方向と直交する直交面において、前記平面との交線に沿った水平軸と、前記水平軸と直交し、かつ、前記直交面に沿った垂直軸とを定め、前記水平軸と前記垂直軸とが前記直交面上における前記光均一化要素の断面形状の中心位置である第1中心で交差するよう定められるとき、
前記第1中心を座標中心とし、前記垂直軸と、前記第1中心から前記カラーホイールの中心位置C2を結ぶ直線とのなす角度をθ1とし、前記垂直軸と、前記第1中心から前記光均一化要素の前記直交面に沿った断面形状の長軸方向へ延びる直線とのなす角度をθ2とするとき、
前記光均一化要素と、前記カラーホイールとは、0≦θ2≦θ1が成立するように配置される、
請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記2つの光源のうち少なくとも一方の光源は、少なくとも1つの光プロファイル調整素子を備えている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記2つの光源は、発光素子と、波長変換素子とを備え、
前記2つの光源の一方において、前記発光素子から波長変換素子までの光軸の作る平面を「平面A」とし、
前記2つの光源の他方において、前記発光素子から波長変換素子までの光軸の作る平面を「平面B」とするとき、
前記2つの光源は、前記平面Aと前記平面Bとが交わらないように設置される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項13】
前記2つの光源は、前記光均一化要素の入り口での集光スポットのプロファイルに差があるように設置される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項14】
前記光均一化要素の入り口の形状が略矩形状であり、
前記光均一化要素の前記形状の縦横方向に対して、前記2つの光源の前記光均一化要素の入り口での集光スポットのプロファイルの縦横方向が傾くように、かつ、
前記プロファイルの中心位置が、前記光均一化要素の入り口の範囲内で、前記反射面に入射する光線の方向と平行な方向にずらして配置されるように、前記2つの光源が設置される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項15】
2つの光源と、
前記2つの光源から出力された2つの光線を合成する合成用光学素子と、
光均一化要素と、
を備え、
前記合成用光学素子は、二方向から入力される前記2つの光線の一方を反射させ、他方は前記合成用光学素子を介さずに通過させて、同一方向に変換された反射光とともに、前記光均一化要素に入射させ合成し、
前記合成用光学素子は、前記光均一化要素と別体で構成される、
照明装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の照明装置と、
投射レンズと、
を備えるプロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ用の照明装置として、2つの光源からの出力を合成することで、小型高輝度な照明装置を実現する技術が既に知られている。
【0003】
特許文献1には、小型高輝度な光源を実現する目的で、ロッドインテグレータの端面を特殊な形状にして2光源の光を合成する構成が開示されている。
特許文献2には、2つの光源を、ロッドインテグレータを中心として、ロッドインテグレータへの入射方向に対して直交する方向の両側に対向配置する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などの従来手法では、ロッドインテグレータに直接入射面を設ける方式のため、安価なライトトンネルを使用できずにコストが上がってしまうという問題がある。また、この方式では全反射を利用しているため、光線の入射角度に制約があり、光源の配置が制限される。また光源からの光線の広がり角度があるため、現実的な光源の配置では全反射できない光線が損失となり、効率が下がるという問題もある。
【0005】
また、特許文献2などの従来手法では、光源の配置が左右対称になってしまうことで大型化・配置上の弊害が生じ、発熱部である投射レンズ鏡筒と光源位置が近くなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、プロジェクタ用の照明装置を小型化かつ高効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る照明装置は、2つの光源と、前記2つの光源から出力された2つの光線を合成する合成用光学素子と、光均一化要素と、を備え、前記合成用光学素子は、二方向から入力される前記2つの光線の一方を反射させ、他方は透過させて、同一方向に変換された反射光と透過光とを前記光均一化要素に入射させ合成し、前記合成用光学素子は、4面以上の多面を持つプリズムで構成され、前記多面のうち1つの面は前記反射光を生成する反射面であり、対向する2つの面は前記透過光を生成する透過面であり、前記合成用光学素子は、前記光均一化要素と別体で構成され、前記合成用光学素子の前記反射面と前記透過面に入射する前記光線が、前記合成用光学素子上で重ならないよう構成される。
【発明の効果】
【0008】
プロジェクタ用の照明装置を小型化かつ高効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図
図2】別構造の2つの光源を有する構成の照明装置の第1の例を示す図
図3】別構造の2つの光源を有する構成の照明装置の第2の例を示す図
図4】実施形態に係る照明装置が適用されるプロジェクタの概略構成を示す模式図
図5】プロジェクタの配置の変形例を示す模式図
図6】照明装置の第1変形例を示す図
図7図6に示す照明装置における光均一化要素とカラーホイールとの配置の一例を示す模式図
図8】照明装置の第2変形例を示す図
図9】照明装置の第3変形例を示す図
図10】照明装置の第3変形例を示す図
図11】第3変形例における光均一化要素の入り口の集光スポットの一例
図12】第3変形例における合成用光学素子及び光均一化要素と、2つの光源の平面との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
なお、以下の説明において、X方向及びY方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は、典型的には水平方向である。X方向は、光均一化要素3への光線の入射方向及び光均一化要素3からの光線Lの出射方向である。Y方向は、光源LS1から出力される光線F1の光軸方向である。
【0012】
図1は、実施形態に係る照明装置1の一例を示す模式図である。照明装置1は、プロジェクタ50(図4参照)に内蔵され、プロジェクタ50の光源として利用される要素である。なお、本実施形態に係る「プロジェクタ」とは、ディスプレイ装置の一種であり、画像や映像を大型スクリーンなどに投影することにより表示する装置であり、DLPや液晶を使い、画像を拡大して投影する装置のことを指す。「プロジェクタ」は投影装置などの他の名称で呼ばれる場合がある。
【0013】
照明装置1は、2つの光源LS1、LS2と、合成用光学素子2と、光均一化要素3と、を備える。
【0014】
2つの光源LS1、LS2は、光線(蛍光F1、F2)を出力する。2つの光源LS1、LS2は、出力する光線F1、F2の光軸方向が異なる。図1の例ではそれぞれの光軸が直交するように各光源LS1、LS2が配置される。また、2つの光源LS1、LS2は、それぞれが出力する光線F1、F2が、共通の合成用光学素子2に入力されるよう配置される。
【0015】
光源LS1は、発光素子11と、光学素子12、13、14、16、18と、反射型光学素子15と、波長変換素子17とを有する。
【0016】
発光素子11は、LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)などの青色の光を発生させる光源である。発光素子11は、図1では3個が併設される構成が例示されているが、単体でもよく、また1次元もしくは2次元のアレイを構成していてもよい。
【0017】
光学素子12は、発光素子11が発生した光をコリメートするものであり、発光素子11と一体または別体で形成される。反射型光学素子15は単なるミラーで、ダイクロイックミラーのような波長特性を持つものでも、DOE(Diffractive Optical Element)のような回折光学素子でもよい。
【0018】
光学素子12、光学素子13、光学素子14、反射型光学素子15は、発光素子11が出力する光の光軸方向(図1の例ではX正方向)に沿ってこの順番で直列配置される。光学素子16は、反射型光学素子15の反射方向側(図1の例ではY負方向側)に配置される。波長変換素子17は、光学素子16のさらにY負方向側に配置される。
【0019】
光学素子13、14、反射型光学素子15,光学素子16は、集光光学系を構成しており、波長変換素子17上に光スポットを形成する。
【0020】
波長変換素子17は、蛍光体を用いて、光スポットに集光された青色光を、黄色もしくは黄緑色の蛍光に変換し、Y正方向側に放出する。したがって、発光素子11は、波長変換素子17に入力する励起光を出力するための励起光源である。また、光源LS1は、波長変換素子17により波長が変換された蛍光F1を出力する。
【0021】
光学素子18は、光学素子16のY正方向側に配置され、これにより、波長変換素子17、光学素子16、光学素子18は、波長変換素子17が放出する蛍光の光軸方向(図1の例ではY正方向)に沿ってこの順番で直列配置される。この構成により、波長変換素子17から放出された蛍光F1は、光学素子16と光学素子18で構成されるリレーレンズ系によって、合成用光学素子2に導かれる。
【0022】
なお、図1の例では、光源LS2の構造は光源LS1と同一であるので説明を省略する。光源LS2も、発光素子11から発生する青色の光を波長変換素子17によって黄色もしくは黄緑色の蛍光F2に変換して、合成用光学素子2に向けて出力する。
【0023】
このように、図1に示す2つの光源LS1、LS2は、励起光源(発光素子11)と波長変換素子17とを備えている。これにより、高輝度な照明装置1を実現できる。
【0024】
合成用光学素子2は、2つの光源LS1、LS2の光F1、F2を合成する要素である。本実施形態では、合成用光学素子2は4面以上の多面を持つプリズムである。プリズムの多面のうち1面は反射面2Aであり、対向する2つの面は透過面2B、2Cとなっている。
【0025】
合成用光学素子2は、光源LS1からの光F1を反射で、光源LS2からの光F2を透過で合成し、光均一化要素3へ導くことで、2つの光源LS1、LS2の光F1、F2を合成した照明装置を実現する。
【0026】
またプリズム2の透過面2B、2Cの少なくとも一方は拡散面でもよく、別途拡散板がプリズム2の前後に設置されてもよい。この構成により、光源LS2からの出力光F2による色、輝度のムラを解消することができる。
【0027】
光均一化要素3は、合成用光学素子2により合成された光F1、F2が入力されると、これらの光F1、F2の照度や強度分布を均質化した光Lを出力する。本実施形態では、光均一化要素3は、ミラーを4面貼り合わせたライトトンネルである。光均一化要素3に比較的安価なライトトンネルを適用することにより、照明装置1の低コスト化を図れる。 なお、光均一化要素3には、棒状のガラスであるロッドインテグレータを適用してもよい。これにより、高効率、高出力な照明装置を実現できる。また、光均一化要素3には、複数枚のフライアイレンズなど、他の要素を適用してもよい。
【0028】
なお、光均一化要素3にロッドインテグレータを適用する場合、ライトトンネルと比較して高効率かつ高出力な光Lを出力することが可能である。しかしながら、ロッドインテグレータでは内部で光の全反射を利用して均一化を施す仕組みのため、光均一化要素3への入射角度には、光均一化要素3に入射された光が全反射を起こすことができる範囲にする必要あるという制約がある。このため、光均一化要素3に対する光源LS1、LS2の配置も、この条件を満たすように制限を受ける。
【0029】
一方、光均一化要素3にライトトンネルを適用する場合、ロッドインテグレータのように全反射を利用する必要がなく、プリズム2の反射面2Aと透過面2B、2Cとで光線F1、F2を合成することができるため、特許文献1,2に記載の従来手法で問題であった全反射角度の制約を受けることが無く、光均一化要素3に対する2つの光源LS1、LS2の配置の自由度を向上でき、照明装置1の小型化を図ることができる。
【0030】
本実施形態では、合成用光学素子(プリズム)2は、光均一化要素3と別体で構成される。特許文献1、2などの従来手法では、光均一化要素3として比較的高価なロッドインテグレータが適用され、合成用光学素子2に対応する要素はロッドインテグレータと一体的に形成されているので、光均一化要素に比較的安価なライトトンネルなどの他の要素を適用するのが難しい。これに対して、本実施形態では、合成用光学素子2は、光均一化要素3と別体であるので、光均一化要素3にロッドインテグレータ以外の比較的低価格な要素を容易に適用できるなど、装置設計の自由度を向上でき、また、低コスト化を図ることもできる。
【0031】
また、本実施形態では、2つの光源LS1、LS2からの光線の一方F1を反射光で、他方F2を透過光で光均一化要素3に入力させる。このため、2つの光線F1、F2の光軸のなす角度は少なくとも180度より小さくする必要があり、好ましくは90度である。これにより、特許文献2のように2つの光源を一直線上に対向配置して両方の光線の反射光を光均一化要素に入力する構成と比較して、2つの光源LS1、LS2の距離を接近させることができ、これにより照明装置1のスペースを縮小することが可能となるので、装置の小型化を図れる。
【0032】
また、本実施形態では、合成用光学素子2は、4面を持つプリズムで構成され、4面のうち1つの面2Aは反射光を生成する反射面であり、対向する2つの面2B、2Cは透過光を生成する透過面であり、合成用光学素子2の反射面2Aと透過面2B、2Cに入射する2つの光源LS1、LS2からの光線F1、F2が、合成用光学素子2上で重ならないように構成される。これにより、2つの光線F1、F2を共に損失なく合成して光均一化要素3に入力できるので、出力光Lを高効率化できる。したがって、本実施形態では、プロジェクタ用の照明装置1を小型化かつ高効率化することができる。
【0033】
また、本実施形態では、2つの光源のうち一方の光源LS1は、光線F1の光軸が光均一化要素3への入射方向(及び図1に示す光均一化要素3からの光Lの出射方向)に対して90度となる位置に配置される。また、2つの光源LS1、LS2は、両者が出力する光線F1、F2の光軸のなす角が90度となるように配置される。
【0034】
この構成により、図1に示すように、一方の光源LS2を光均一化要素3への入射方向側(X負方向側)に配置し、他方の光源LS1を入射方向に対して直角方向側(Y負方向側)に配置できる。これにより、例えば特許文献2のように2つの光源を一直線上に対向配置して両方の光線の反射光を光均一化要素に入力する構成と比較して、2つの光源LS1、LS2の距離を確実に接近させることができる。この結果、照明装置1の設置スペースを縮小することが可能となるので、照明装置1をより一層小型化できる。
【0035】
なお、ここで用いる「90度」とは、角度90度を含む所定範囲(例えば90度から数度程度増減する範囲)を意味する。角度90度の場合、光の広がり角度を保存する特性がある。本実施形態の「90度」とは、90度の場合と同等の特性を実現できる角度の範囲まで含む。
【0036】
なお、本実施形態は、一方の光源LS1から出力される光F1が合成用光学素子2により反射光として光均一化要素3に入力され、他方の光源LS2から出力される光F2が合成用光学素子2により透過光として光均一化要素3に入力される構成であればよく、2つの光源LS1、LS2のなす角度は90度以外でもよい。同様に、反射光として光均一化要素3に入力される光源LS1と光均一化要素3への入射方向とのなす角度も90度以外でもよい。ただし、図1に示すようにそれぞれのなす角度を90度とすると、合成用光学素子2のプリズムの形状の設計や、各光源LS1、LS2の配置を容易にできる。
【0037】
なお、図1の例では、2つの光源LS1、LS2の構造が同一である構成を例示したが、別構造の2つの光源を有する構成でもよい。図2は、別構造の2つの光源を有する構成の照明装置の第1の例1Aを示す図である。
【0038】
図2の例では、光源LS1の構造は図1の光源LS1と同一である。一方、光源LS2は、発光素子21と、光学素子22と、光学素子23とを有する。発光素子21及び光学素子22は、光源LS1の発光素子11及び光学素子12と同様の構成である。ただし、発光素子21は、LDやLEDなどの光を発生させる光源であるが、出力光の波長は、光源LS1に用いられる励起光源の発光素子11の波長よりも長いものとする。
【0039】
発光素子21は、合成用光学素子2の透過面2B、2Cと対向配置され、出力する光の光軸方向とX正方向となるよう配置される。また、発光素子21、光学素子22、光学素子23は、発光素子21が出力する光の光軸方向(図2の例ではX正方向)に沿ってこの順番で直列配置される。
【0040】
光学素子23は、発光素子21からの光線を合成用光学素子2へ導く集光光学系として機能する。
【0041】
このように、図2に示す照明装置1Aでは、光源LS2に波長変換素子17が設けられていない。このため、光源LS1から出力される光F1が、発光素子11から出力された青色光を、波長変換素子17により黄色もしくは黄緑色の蛍光に変換されたものであるのに対して、光源LS2から出力される光F2は、波長変換が施されず、発光素子21から出力された光のままとなる。
【0042】
すなわち、図2に示す照明装置1Aでは、合成する2つの光源LS1、LS2のスペクトルを異ならせることができる。スペクトルとは、光源の発光特性を波長に対する光の強度で表したものであり、各光源LS1、LS2から出力される光F1、F2のスペクトルが異なるということは、出力光F1、F2の波長(または色)が異なることを意味する。このように、合成用光学素子2により合成される2つの光源LS1、LS2からの出力光F1、F2のスペクトルが異なることにより、高演色な照明装置を実現できる。
【0043】
なお、図2に示す照明装置1Aは、2つの光源LS1、LS2の構造を入れ替えてもよい。すなわち、図2に示す構成とは逆に、光源LS1が励起光源21を備え、波長変換素子17を備えず、光源LS2が励起光源11と波長変換素子17とを備える構成としてもよい。
【0044】
図3は、別構造の2つの光源を有する構成の照明装置の第2の例1Bを示す図である。図3の例では、光源LS1の構造は図1図2の光源LS1と同一であり、単一の励起光源LD1(発光素子11、光学素子12)を有する。一方、光源LS2は、内部に2つの固体光源LD2、LD3を有する。
【0045】
固体光源LD2は、発光素子31と光学素子32とを有する。光源LS2は、光学素子33と反射型光学素子34とを有する。発光素子31、光学素子32、光学素子33は、図2の発光素子21と、光学素子22と、光学素子23と同様の構成であり、同様に配置される。反射型光学素子34は、例えばダイクロイックミラーであり、固体光源LD2から出力される光を透過して、固体光源LD3から出力される光を反射する。
【0046】
発光素子31、光学素子32、反射型光学素子34、光学素子33は、発光素子31が出力する光の光軸方向(図2の例ではX正方向)に沿ってこの順番で直列配置される。
【0047】
固体光源LD3は、発光素子41と光学素子42とを有する。発光素子41は、反射型光学素子34のうち光学素子33側の面と対向配置され、出力する光の光軸方向とY負方向となるよう配置される。
【0048】
光源LS2は、固体光源LD2から出力された光が反射型光学素子34を透過して、また、固体光源LD3から出力された光が反射型光学素子34で合成用光学素子2に向かう方向に反射して、共に合成用光学素子2の透過面2Bに入射するよう構成される。
【0049】
このように、図3に示す照明装置1Bでは、光源LS2に波長変換素子17が設けられていない。このため、光源LS1から出力される光F1が、発光素子11から出力された青色光を、波長変換素子17により黄色もしくは黄緑色の蛍光に変換されたものであるのに対して、光源LS2から出力される光F2は、波長変換が施されず、発光素子31、41から出力された2種類の光のままとなる。
【0050】
すなわち、図3に示す照明装置1Bでも、合成する2つの光源LS1、LS2のスペクトルを異ならせることができるので、図2の照明装置1Aと同様に、高演色な照明装置を実現できる。
【0051】
さらに、図3の照明装置1Bでは、2つの光源のうち一方の光源LS2が複数(図3の例では2つ)の発光素子31、41を備える。これにより、これらの2つの発光素子31、41から出力される光のスペクトルも異ならせることができる。つまり、図3に示す照明装置1Bは、スペクトルの異なる3種類の光源LD1、LD2、LD3からの光を合成することができる。これにより、図1図2の構成よりも合成する光の種類を増やすことができ、照明装置の高演色性をさらに向上できる。
【0052】
なお、図3に示す照明装置1Bは、2つの光源LS1、LS2の構造を入れ替えてもよい。すなわち、図3に示す構成とは逆に、光源LS1が2つの固体光源LD2、LD3を備え、波長変換素子17を備えず、光源LS2が励起光源LD1と波長変換素子17とを備える構成としてもよい。
【0053】
また、2つの光源LS1、LS2の両方が、複数の固体光源LD2、LD3(発光素子31,41)を備える構成としてもよい。
【0054】
図2図3に示すように、2つの光源LS1、LS2のうちの一方のみ(図2図3の例では光源LS1)が、励起光源LD1(発光素子11)と波長変換素子17とを備える構成でも、図1の例と同様に高輝度な照明装置1を実現できる。
【0055】
図3の照明装置1Bでは、高演色性を実現するための構成として、励起光源LD1に青、固体光源LD2に赤、固体光源LD3に緑を設定することができる。なお、固体光源LD2とLD3の色は逆でもよい。この場合、光源LS1は黄色もしくは黄緑色の蛍光と青色の光を放出し、光源LS2は赤色と緑色の光を放出し、合成用光学素子2に入射後、光均一化要素3に導かれ、高演色な照明装置を実現する。
【0056】
また、安価で高輝度な光源を実現したい場合、図2の照明装置1Aの構成を用いて、光源LS1の発光素子11に青、光源LS2の発光素子21に発光素子11とは異なる青を設定すればよい。例えば、光源LS1の発光素子11は蛍光体の励起光源として効率の良い455nm付近の光源を使用し、光源LS2の発光素子21には青として鮮やかな465nm付近の光源を使用することができる。なお、光源LS1の発光素子11と光源LS2の発光素子21の構成は逆でもよい。
【0057】
また、安価でかつ色再現性の高い光源を実現したい場合、図2の照明装置1Aの構成を用いて、光源LS1の発光素子11に青、光源LS2の発光素子21に赤を設定すればよい。例えば、光源LS1の発光素子11は蛍光体の励起光源として効率の良い455nm付近の光源を使用し、光源LS2の発光素子21には赤色として640nm付近の光源を使用することができる。なお、光源LS1の発光素子11と光源LS2の発光素子21の構成は逆でもよい。
【0058】
同様に、安価でかつ色再現性の高い光源を実現したい場合、図3の照明装置1Bの構成を用いて、励起光源LD1に青、固体光源LD2に励起光源LD1とは異なる青、固体光源LD3に赤を設定すればよい。励起光源LD1は蛍光体の励起光源として効率の良い455nm付近の光源を使用し、固体光源LD2には青として鮮やかな465nm付近の光源を使用し、固体光源LD3には640nm付近の赤色光源を使用することができる。など、光源LS1と光源LS2の構成は逆でもよい。
【0059】
図4は、実施形態に係る照明装置が適用されるプロジェクタ50の概略構成を示す模式図である。プロジェクタ50は、図1に示した照明装置1の光照射方向の下流側に、照明光学系51と、投射レンズ52とを備える。
【0060】
照明光学系51には、照明装置1の光均一化要素3(ライトトンネル)から光線Lが入射されて、投射レンズ52に出力する。照明光学系51は内部にカラーホイール53や光変調器54などの各種要素を有する。カラーホイール53は、赤、青、緑、のフィルターを一体にした円盤であり、回転させながら照明装置1からの入射光Lを通すことで、入射光Lを赤・緑・青に時分割された光に変換する。光変調器54は、液晶やDMD(Digital Micromirror Device)などによって構成され、カラーホイール53を介した光線を空間的に変調する。
【0061】
なお、図4(及び後述の図5)では、照明光学系51の内部にカラーホイール53と光変調器54が図示されているが、あくまでこれらの要素が照明光学系51に内蔵されていることを示すものであり、これらの要素の配置は図4図5の例に限定されない。
【0062】
投射レンズ52は、照明光学系51の光変調器54によって変調された光線を投射像Pとして出力する。図4では、照明装置1から出力される光Lの光軸方向(X方向)に対して、投射レンズ52から投射像Pを出力する方向(Y方向)が直交する構成である。言い換えると、照明光学系51と投射レンズ52の配列方向(Y方向)に対して、照明装置1の出力光Lの光軸方向が直交するように照明装置1が配置される。この場合、照明装置1の出力光Lは直接照明光学系51に入力される。
【0063】
本実施形態では、図1図3を参照して説明したように、照明装置1において、2つの光源のうち一方の光源LS1は、光線F1の光軸が光均一化要素3への入射方向(及び図4に示す光均一化要素3からの光Lの出射方向)に対して90度となる位置に配置される。また、2つの光源LS1、LS2は、両者が出力する光線F1、F2の光軸のなす角が90度となるように配置される。
【0064】
この構成により、照明装置1を図4に示す配置でプロジェクタ50に適用した場合、2つの光源LS1、LS2を含む第1の発熱部と、投射レンズ52や光変調器54などを含む第2の発熱部とを物理的に離して配置することが可能となる。これにより、プロジェクタ50内で熱源の集中を防ぐことが可能となり、熱設計的に有利となる。
【0065】
一方、特許文献2に示す従来手法のように2つの光源が180度離れている構成を比較例として考える。図4に示す配置と同様に比較例の照明装置をプロジェクタに適用すると、一方の光源LS2が投射レンズ52と接近する配置になってしまう。このため、プロジェクタ50内で熱源の集中が生じ得る。
【0066】
なお、図4の例では図1に示した照明装置1が適用される構成を例示しているが、図2の照明装置1Aや図3の照明装置1Bを適用する構成でもよい。
【0067】
図5は、プロジェクタの配置の変形例50Aを示す模式図である。図5に示すように、照明装置1から出力される光Lの光軸方向(X方向)に対して、投射レンズ52から投射像Pを出力する方向を同一方向とする構成でもよい。言い換えると、照明光学系51と投射レンズ52の配列方向(X方向)に対して、照明装置1の出力光Lの光軸方向が同一方向となるように照明装置1が配置される。この場合、照明装置1の出力光Lは、例えばミラーなどの反射型光学素子55などを用いて方向が変換された後に照明光学系51に入力される。
【0068】
照明装置1を図5に示す配置でプロジェクタ50に適用した場合には、2つの光源LS1、LS2を含む第1の発熱部と、投射レンズ52や光変調器54などを含む第2の発熱部とを、図4に例示した配置よりも物理的にさらに離して配置することが可能となる。これにより、プロジェクタ50内で熱源の集中をより一層防ぐことが可能となり、熱設計的にさらに有利となる。
【0069】
なお、プロジェクタにおける照明装置、投射レンズ、照明光学系の配置は、図4図5の例に限られない。
【0070】
このように、図1図3に例示した照明装置1、1A、1Bをプロジェクタ50、50Aに適用することにより、照明装置と同様に、プロジェクタ50も小型化かつ高効率化することができる。
【0071】
図6は、照明装置の第1変形例1Cを示す図である。図6の概略は図1と同様である。また、図6以降では、X軸及びY軸の両方と直交する方向、すなわち図6の紙面奥行方向にZ軸を設け、Z軸に沿った方向をZ方向とする。
【0072】
図6に示すように、照明装置1C内にカラーホイール53を配置する構成でもよい。図6の例では、カラーホイール53は、合成用光学素子2と光均一化要素3との間に配置され、合成用光学素子2から出射された光が、回転するカラーホイール53を通過した後に、光均一化要素3に入射される。
【0073】
本実施形態では、合成用光学素子2と光均一化要素3とが一体的に構成される特許文献1,2と異なり、合成用光学素子2と光均一化要素3とが別体であるので、図6に示す第1変形例の照明装置1Cのように、合成用光学素子2と光均一化要素3との間にカラーホイール53を配置することも可能である。これにより、光均一化要素3に入力されるより前の段階でカラーホイール53による光の処理を行うことができるので、カラーホイール53によって発生するムラも光均一化要素3で均一化することが可能となる。この結果、プロジェクタ50の投射像Pのムラをより一層低減できる。
【0074】
なお、図6では、図1の照明装置1の構成を例示したが、図2図3の照明装置1A、1Bの構成において、合成用光学素子2と光均一化要素3との間にカラーホイール53を配置する構成でもよい。
【0075】
図7は、図6に示す照明装置1Cにおける光均一化要素3とカラーホイール53との配置の一例を示す模式図である。図7は、照明装置1CをX負方向側から視た図である。また、図7では、光均一化要素3としてライトトンネルを例示する。また、この例では、Y方向を水平方向とし、Y方向と平行な水平軸Hを定めている。同様に、X方向及びY方向と直交する方向(紙面上下方向)を垂直方向とし、この垂直方向と平行な垂直軸Vを定めている。
【0076】
図7に示すように、ライトトンネル3は、X方向視において略長方形状の外形を有する。上述の水平軸H及び垂直軸Vは、ライトトンネル3のこの長方形状の中心C1で交差するよう設定されている。ライトトンネル3の水平軸Hは、入射する2基の光源LS1、LS2の光軸が成す平面(XY平面)に対して平行な面であり、ライトトンネル3の垂直軸Vは、その水平軸Hに対して垂直に交わる面である。また、カラーホイール53は、X方向と平行な回転軸まわりに回転可能に設置され、図7ではこの回転軸の位置を中心位置C2として示す。
【0077】
上記の水平軸H及び垂直軸Vの定義は、次のように表現することもできる。2つの光源LS1、LS2から出力された2つの光線F1、F2の光軸方向である第1、第2方向と、ライトトンネル3を通過する光線Lの光軸方向である第3方向とが同一の平面上となるよう配置される。図6図7の例では、この平面はXY平面であり、第1方向はY方向であり、第2、第3方向はX方向である。そして、第3方向と直交する直交面(すなわち図7の紙面と同一平面)において、XY平面との交線に沿った水平軸Hと、この水平軸Hと直交し、かつ、直交面に沿った垂直軸Vとを定める。水平軸Hと垂直軸Vとは、直交面上におけるライトトンネル3の断面形状の中心位置C1(第1中心)で交差するよう定められる。
【0078】
ここで、ライトトンネル3の中心C1を座標中心とし、垂直軸Vと、中心C1からカラーホイール53の中心位置C2を結ぶ直線L1とのなす角度をθ1とする。また、ライトトンネル3の中心C1を座標中心とし、垂直軸Vと、ライトトンネル3の中心C1から長軸方向へ延びる直線L2とのなす角度をθ2とする。このとき、ライトトンネル3とカラーホイール53とを、0≦θ2≦θ1が成立するように配置することで、カラーホイール53による光利用効率の向上を図ることができる。
【0079】
図8は、照明装置の第2変形例1Dを示す図である。図8の概略は図6と同様である。図8に示すように、2つの光源LS1、LS2が、少なくとも1つの光プロファイル調整素子19を備える構成としてもよい。図8の例では、各光源LS1、LS2において、光学素子14と、反射型光学素子15との間に光プロファイル調整素子19が配置されている。この構成により、高効率な照明装置を実現できる。
【0080】
なお、2つの光源LS1、LS2のうち一方に光プロファイル調整素子19を備える構成としてもよい。また、光プロファイル調整素子19の位置は図8の例に限られず、各光源LS1、LS2内の光路上の他の位置に配置する構成としてもよい。また、光プロファイル調整素子19は、各光源LS1、LS2内に複数設けてもよい。また、図4の例と同様に、照明装置1Dは、カラーホイール53を照明光学系51の内部に設ける構成でもよい。
【0081】
図9図10は、照明装置の第3変形例1Eを示す図である。図9は、照明装置1EをZ正方向側から視たXY平面視の構成を示す。図10は、図9に示す照明装置1EをX負方向側から視た図である。図9に示す照明装置1EのXY平面視の構成は、図8に示した照明装置1Dと同様である。
【0082】
図10に示すように、光源LS1において、発光素子11から波長変換素子17までの光軸の作る平面を「平面A」とする。ここで、平面Aは、図9図10に示すように、光学素子13の略中心軸(光軸A1)と、光軸A1が反射型光学素子15で折り曲げられた光軸A2とを両方含む平面に相当する。また、上述の光源LS1から光均一化要素3に入力される光線F1も、平面Aに沿って配置される。また、図10に示すように、平面AはXY平面と平行である。
【0083】
同様に、図10に示すように、光源LS2において、発光素子11から波長変換素子17までの光軸の作る平面を「平面B」とする。ここで、平面Bは、図9図10に示すように、光学素子13の略中心軸(光軸B1)と、光軸B1が反射型光学素子15で折り曲げられた光軸B2とを両方含む平面に相当する。上述の光源LS2から光均一化要素3に入力される光線F2も、平面Bに沿って配置される。また、図10に示すように、平面BはXY平面と平行である。
【0084】
そして、図10に示すように、第3変形例の照明装置1Eでは、これらの平面Aと平面Bとが交わらないことを特徴とする。言い換えると、平面Aと平面BとがZ方向に等距離を取るように平行配置されるように、光源LS1と光源LS2とが設置される。これにより、光均一化要素3の長軸方向に対して高効率にカップリングさせることができる。
【0085】
図11は、第3変形例における光均一化要素3の入り口の集光スポットの一例である。図11には、光均一化要素3の入り口における、2つの光源モジュールLS1、LS2の集光スポットのプロファイルP1、P2の一例が図示されている。合成用光学素子2にて反射されて反射光を光均一化要素3に入力する反射側の光源LS1では、集光位置が合成用光学素子2に相対的に近い。一方、合成用光学素子2にて反射せずに光を光均一化要素3に入力する直進側の光源LS2では、集光位置が光均一化要素3の入り口に相対的に近い。このため、2つの光源LS1、LS2では、光均一化要素3の入り口での集光スポットのプロファイルP1、P2に差があることを特徴とする。言い換えると、2つの光源LS1、LS2は、光均一化要素3の入り口での集光スポットのプロファイルP1、P2に差があるように設置される。図11に示すように、合成用光学素子2の反射面2Aで反射される光源LS1の集光スポットのプロファイルP1のほうが相対的に大きく、合成用光学素子2の反射面2Aを介さない光源LS2の集光スポットのプロファイルP2のほうが相対的に小さい。これによって合成時の損失を最小限に抑えることができる。
【0086】
また、光均一化要素3の縦方向(図11の例では入り口の長方形状の長辺方向)(あるいは横方向(図11の例では短辺方向))に対して、2つの光源モジュールLS1、LS2の集光スポットのプロファイルP1、P2の縦横方向を傾けることが特徴である。図11の例では、光均一化要素3は、その入り口の形状が、図7に示した例と同様にX方向視において略長方形状であり、長軸方向及び短軸方向がY方向に対して傾斜するよう配置されている。また、図10を参照して説明したように第3変形例の照明装置1Eでは、光源LS1の光軸A1、A2を含む平面Aと、光源LS2の光軸B1、B2を含む平面Bは、XY平面と平行である。このため、図11の例では、2つの光源モジュールLS1、LS2の集光スポットのプロファイルP1、P2の縦横方向を光均一化要素3の縦方向及び横方向に対して傾けることができている。
【0087】
さらに、図11に示すように、2つの光源モジュールLS1、LS2のそれぞれの集光スポットのプロファイルP1、P2の中心位置が、光均一化要素3の入り口の範囲内で、水平方向(図11の例ではY方向)にずらして配置されている。なお、この水平方向とは、反射面2Aに入射する光線F1の方向と平行な方向、とも表現できる。このような構成にすることにより、光均一化要素3内での内部反射が多少なりとも増えるため均一化に寄与し、投射画面(投射像P)内での照明均一化をより高めることができる。
【0088】
図12は、第3変形例における合成用光学素子2及び光均一化要素3と、2つの光源LS1、LS2の平面A、Bとの関係を示す図である。図12では、第3変形例の照明装置1Eのうち関連要素のみがY負方向側から視て図示されている。
【0089】
合成用光学素子2は、反射面2Aを1面以上持つ光学素子であり、図12では三角柱の形状で構成されている。図12では、照明装置1Eのうち、2つの光源モジュールLS1、LS2からの照明光を合成して一つの照明光とする光合成部の様子を示す。光合成部には、合成用光学素子2が図12に示すように光均一化要素3の中心軸C1(図7も参照)を定めた時に、その中心軸C1を挟んで図10で定義した平面Aと平面Bが位置する。
【0090】
このような合成用光学素子2の配置にしたときに、合成用光学素子2は、二方向から入力される2つの光線の一方F1を反射させる。一方、2つの光線の他方F2については、合成用光学素子2のZ正方向側の側面2DよりZ正方向側の位置にて、合成用光学素子2を介さずに通過させ、反射光F1とともに、光均一化要素3に入射させ合成させている。ここで、合成用光学素子2は、光均一化要素3と別体で構成されている。この構成により、直進方向の合成光の損失を低減させることができる。
【0091】
また、図12などに示した第3変形例の構成では、2つの光源LS1、LS2に対して合成用光学素子2の入射面の数は、少なくとも反射面2Aの一面であればよく、光源数に対して少なくでき、合成用光学素子2の形状を簡素化できる。また、合成用光学素子2は、光均一化要素3と別体で構成されているので、合成用光学素子2と光均一化要素3との間にカラーホイール53を入れることが可能となり、光量ムラを低減することができる。
【0092】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0093】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 2つの光源と、
前記2つの光源から出力された2つの光線を合成する合成用光学素子と、
光均一化要素と、
を備え、
前記合成用光学素子は、二方向から入力される前記2つの光線の一方を反射させ、他方は透過させて、同一方向に変換された反射光と透過光とを前記光均一化要素に入射させ合成し、
前記合成用光学素子は、4面以上の多面を持つプリズムで構成され、前記多面のうち1つの面は前記反射光を生成する反射面であり、対向する2つの面は前記透過光を生成する透過面であり、
前記合成用光学素子は、前記光均一化要素と別体で構成され、
前記合成用光学素子の前記反射面と前記透過面に入射する前記光線が、前記合成用光学素子上で重ならないよう構成される、
照明装置。
<2> 前記光均一化要素は、ロッドインテグレータによって構成される、
前記<1>記載の照明装置。
<3> 前記光均一化要素は、ライトトンネルによって構成される、
前記<1>に記載の照明装置。
<4> 前記2つの光源の一方は、光軸が前記光均一化要素への入射方向に対して90度となる位置に配置され、
前記2つの光源は、両者の光軸のなす角が90度となるように配置される、
前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の照明装置。
<5> 前記2つの光源のうち少なくとも一方の光源は、励起光源と波長変換素子を備えている、
前記<1>~<4>のいずれか一項に記載の照明装置。
<6> 前記2つの光源のうち少なくとも一方の光源は、複数の光学素子を備えている、
前記<1>~<5>のいずれか一項に記載の照明装置。
<7> 前記合成用光学素子により合成される前記2つの光線のスペクトルが異なる、
前記<1>~<6>のいずれか一項に記載の照明装置。
<8> 前記プリズムの入射面、出射面の少なくとも一方が拡散面である、
前記<1>~<7>のいずれか一項に記載の照明装置。
<9> 前記合成用光学素子と前記光均一化要素との間にカラーホイールが配置される、
前記<1>~<8>のいずれか一項に記載の照明装置。
<10> 前記2つの光源から出力された2つの光線の光軸方向である第1、第2方向と、前記光均一化要素を通過する光線の光軸方向である第3方向とが同一の平面上となるよう配置され、
前記第3方向と直交する直交面において、前記平面との交線に沿った水平軸と、前記水平軸と直交し、かつ、前記直交面に沿った垂直軸とを定め、前記水平軸と前記垂直軸とが前記直交面上における前記光均一化要素の断面形状の中心位置である第1中心で交差するよう定められるとき、
前記第1中心を座標中心とし、前記垂直軸と、前記第1中心から前記カラーホイールの中心位置C2を結ぶ直線とのなす角度をθ1とし、前記垂直軸と、前記第1中心から前記光均一化要素の前記直交面に沿った断面形状の長軸方向へ延びる直線とのなす角度をθ2とするとき、
前記光均一化要素と、前記カラーホイールとは、0≦θ2≦θ1が成立するように配置される、
前記<9>に記載の照明装置。
<11> 前記2つの光源のうち少なくとも一方の光源は、少なくとも1つの光プロファイル調整素子を備えている、
前記<1>~<10>のいずれか一項に記載の照明装置。
<12> 前記2つの光源は、光学素子と、波長変換素子とを備え、
前記2つの光源の一方において、前記発光素子から波長変換素子までの光軸の作る平面を「平面A」とし、
前記2つの光源の他方において、前記発光素子から波長変換素子までの光軸の作る平面を「平面B」とするとき、
前記2つの光源は、前記平面Aと前記平面Bとが交わらないように設置される、
前記<1>~<11>のいずれか一項に記載の照明装置。
<13> 前記2つの光源は、前記光均一化要素の入り口での集光スポットのプロファイルに差があるように設置される、
前記<1>~<12>のいずれか一項に記載の照明装置。
<14> 前記光均一化要素の入り口の形状が略矩形状であり、
前記光均一化要素の前記形状の縦横方向に対して、前記2つの光源の前記光均一化要素の入り口での集光スポットのプロファイルの縦横方向が傾くように、かつ、
前記プロファイルの中心位置が、前記光均一化要素の入り口の範囲内で、前記反射面に入射する光線の方向と平行な方向にずらして配置されるように、前記2つの光源が設置される、
前記<1>~<13>のいずれか一項に記載の照明装置。
<15> 2つの光源と、
前記2つの光源から出力された2つの光線を合成する合成用光学素子と、
光均一化要素と、
を備え、
前記合成用光学素子は、二方向から入力される前記2つの光線の一方を反射させ、他方は前記合成用光学素子を介さずに通過させて、同一方向に変換された反射光とともに、前記光均一化要素に入射させ合成し、
前記合成用光学素子は、前記光均一化要素と別体で構成される、
照明装置。
<16>
前記<1>~<15>のいずれか一項に記載の照明装置と、
投射レンズと、
を備えるプロジェクタ。
【符号の説明】
【0094】
1、1A、1B、1C、1D、1E 照明装置
2 合成用光学素子
2A 反射面
2B、2C 透過面
3 光均一化要素
11 発光素子(励起光源)
17 波長変換素子
19 光プロファイル調整素子
50 プロジェクタ
52 投射レンズ
53 カラーホイール
LS1、LS2 光源
LD1 励起光源
F1、F2 光線
H 水平軸
V 垂直軸
C1 光均一化要素の中心位置
C2 カラーホイールの中心位置
L1 垂直軸と、光均一化要素の中心位置からカラーホイールの中心位置を結ぶ直線
L2 垂直軸と、光均一化要素の中心位置から光均一化要素の直交面に沿った断面形状の長軸方向へ延びる直線
θ1 垂直軸Vと直線L1とのなす角度
θ2 垂直軸Vと直線L2とのなす角度
A、B 平面
P1、P2 光均一化要素の入り口における、2つの光源モジュールLS1、LS2の集光スポットのプロファイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2000-075407号公報
【特許文献2】特許6283932号公報
図1
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