(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119550
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】加熱調理用油脂組成物、加熱調理食品、加熱調理食品の油っぽさを低減する方法および加熱調理食品に香ばしさを付与する方法
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20230821BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20230821BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20230821BHJP
【FI】
A23D9/00 506
A23L35/00
A23L5/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132152
(22)【出願日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2022022143
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(72)【発明者】
【氏名】岡本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚二
(72)【発明者】
【氏名】井上 賀美
【テーマコード(参考)】
4B026
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B026DC01
4B026DG02
4B026DG04
4B026DG05
4B026DG06
4B026DH05
4B026DP03
4B026DP10
4B035LC01
4B035LE16
4B035LE17
4B035LG12
4B035LG32
4B035LP07
4B035LP43
4B036LC01
4B036LF13
4B036LH13
4B036LH30
4B036LP03
4B036LP17
(57)【要約】
【課題】 加熱調理された加熱調理食品の食味を改善することができる加熱調理用油脂組成物を提供する。
【解決手段】 大豆胚軸油を0.1質量%以上15質量%以下含有する加熱調理用油脂組成物にて加熱調理された加熱調理食品は油っぽさを低減することができ、さらに、大豆胚軸油を0.5質量%以上15質量%以下含有する加熱調理用油脂組成物にて加熱調理された加熱調理食品には香ばしさを付与することができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆胚軸油を0.1質量%以上15質量%以下含有する加熱調理用油脂組成物。
【請求項2】
大豆胚軸油以外の大豆油、菜種油、コーン油およびパーム分別油からなる群から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項3】
前記加熱調理用油脂組成物が、揚げ物用である、請求項1または2に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の加熱調理用油脂組成物にて、加熱調理された加熱調理食品。
【請求項5】
大豆胚軸油を0.1質量%以上15質量%以下含有する油脂組成物にて加熱調理されることを特徴とする、加熱調理食品の油っぽさを低減する方法。
【請求項6】
大豆胚軸油を0.5質量%以上15質量%以下含有する油脂組成物にて加熱調理されることを特徴とする、加熱調理食品に香ばしさを付与する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理用油脂組成物、加熱調理食品、加熱調理食品の油っぽさを低減する方法、加熱調理食品に香ばしさを付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆は、油糧原料として利用されている。大豆は約90質量%の子葉で、約8質量%の種皮、約2質量%の胚軸(胚芽ともいう)から構成されており、一般的に大豆油は、種皮を取り除いた大豆を搾油して得られたものである。
【0003】
大豆胚軸油は、大豆胚軸の割合を15質量%以上100質量%以下まで高めてから搾油して得られたものである。大豆胚軸油には、体内コレステロール低減化作用(特許文献1)やメタボリックシンドロームの抑制(特許文献2)といった健康効果や、可塑性油脂組成物の伸展性向上(特許文献3)といった効果が開示されている。
【0004】
菜種油、大豆油、コーン油などの食用油脂は加熱調理食品、特に天ぷら、フライなどの揚げ物に用いられている。これらの食用油脂を使用して調理した加熱調理食品では、油っぽさの低減など食味を改善するための取組が行われる。
【0005】
例えば、特許文献4には、パーム系部分水素添加油脂と、ヨウ素価26~46のパーム分別油硬質部と、パーム油とを特定の配合量で含有してなる油脂組成物が開示されている。そして、その油脂組成物を使用して調理したドーナツ、揚げパン、フライドポテト、フライドチキン等の食品は、油っぽさが低減されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2001/032032号
【特許文献2】国際公開第2018/012262号
【特許文献3】国際公開第2020/054437号
【特許文献4】特開2013-243958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3には特定量の大豆胚軸油を含む加熱調理用油脂組成物にて加熱調理された加熱調理食品の食味が改善することについて開示も示唆もされていない。
【0008】
また、特許文献4では、ドーナツ等の油っぽさを低減するために部分水素添加油脂を利用しているため、トランス脂肪酸等の健康面に悪影響を与える物質の混入の可能性も排除できないものがあった。
【0009】
そこで、本発明は加熱調理食品の食味が改善することができる加熱調理用油脂組成物を提供することを目的とする。具体的には加熱調理食品の油っぽさを低減させること、香ばしさを付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、大豆胚軸油を特定量含む加熱調理用油脂組成物にて加熱調理した加熱調理食品は油っぽさが低減させること、および香ばしさを付与できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
大豆胚軸油を0.1質量%以上15質量%以下含有する加熱調理用油脂組成物。
[2]
大豆胚軸油以外の大豆油、菜種油、コーン油およびパーム分別油からなる群から選ばれる1種または2種以上を含む、[1]に記載の加熱調理用油脂組成物。
[3]
前記加熱調理用油脂組成物が、揚げ物用である、[1]または[2]に記載の加熱調理用油脂組成物。
[4]
[1]乃至[3]いずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物にて、加熱調理された加熱調理食品。
[5]
大豆胚軸油を0.1質量%以上15質量%以下含有する油脂組成物にて加熱調理されることを特徴とする、加熱調理食品の油っぽさを低減する方法。
[6]
大豆胚軸油を0.5質量%以上15質量%以下含有する油脂組成物にて加熱調理されることを特徴とする、加熱調理食品に香ばしさを付与する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理された加熱調理食品の食味を改善することができる。より具体的には、加熱調理食品の油っぽさの低減、香ばしさの向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の加熱調理用油脂組成物、加熱調理用油脂組成物の製造方法及び加熱調理された加熱調理食品の、油っぽさを低減する方法、加熱調理食品に香ばしさを付与する方法の具体的な実施の形態を以下に説明する。
【0013】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、大豆胚軸油を0.1質量%以上15質量%以下含有する加熱調理用油脂組成物である。
【0014】
前記大豆胚軸油は、大豆種子中の胚軸の割合を高めた原料から抽出・精製される油脂である。胚軸の割合を高めた原料とは、15質量%以上100質量%以下の胚軸が含まれる原料を指し、30質量%以上100質量%以下含有する原料を用いることが好ましい。
【0015】
大豆種子から胚軸を選別し、そこから大豆胚軸油を抽出・精製する方法は、常法に基づく。その一例を以下に概説する。まず、大豆種子を例えば40℃以上80℃以下で加熱してから乾燥させる。次に、衝撃作用、せん断作用、圧縮・圧扁作用、及び摩擦作用の少なくとも一種の機能を有する汎用の粉砕装置を用いて、乾燥物を剥離、割砕、粗砕又は粉砕することにより、子葉、種皮及び胚軸を分離する。衝撃手段には、インパクトミル、ジョークラッシャー、スタンプミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、回転ミル、遊星ミル等;せん断手段には、カッターミル、石臼等;圧縮・圧扁手段には、ローラーミル、ロールクラッシャー、圧扁ロール、リングミル等;そして摩擦手段には、ストリームミル等が用いられる。
【0016】
次に、分離された種皮、子葉及び胚軸の混合物を、振動篩、回転篩、風力分級機等の分離手段にかけて、混合物から種皮及び子葉を除去することにより胚軸画分を得る。例えば、前記混合物を7メッシュの篩にかけて得られる篩下画分から、10メッシュ篩下14メッシュ篩上の画分を胚軸画分として分取する。
【0017】
前記胚軸画分を、例えば40℃以上100℃以下の温度で数秒間~60分間加熱後、圧扁してフレークとし、このフレークをn-ヘキサン等の有機溶媒と接触させて、粗原油を得る。さらに、粗原油を常法による脱ガム、脱酸、脱色及び脱臭のいずれか一つ以上、好ましくは脱ガム、脱酸、脱色、脱臭の工程にかけて大豆胚軸油を得る。前記大豆胚軸油は、市販されているものでもよい。
【0018】
加熱調理食品の油っぽさを低減させる観点から、本発明の加熱調理用油脂組成物は、前記大豆胚軸油を0.1質量%以上15質量%以下含有し、0.5質量%以上15質量%以下含有することが好ましく、0.72質量%以上14.4質量%以下含有することがより好ましい。
また、加熱調理食品に香ばしさを付与する観点から、本発明の加熱調理用油脂組成物は、前記大豆胚軸油を0.5質量%以上15質量%以下含有することが好ましく、0.7質量%以上15質量%以下含有することがより好ましく、1.5質量%以上15質量%以下含有することがさらに好ましく、2.16質量%以上14.4質量%以下含有することがさらにより好ましい。さらに、上記範囲にあると、本発明の加熱調理用油脂組成物を揚げ物用として用いた場合、揚げ物のサクミを向上させることができる。
【0019】
本発明の加熱調理用油脂組成物は大豆胚軸油以外の食用油脂を含有する。大豆胚軸油以外の食用油脂は、食用として用いられている油脂であれば特に限定されない。前記食用油脂に用いられる原料油脂としては、たとえば、大豆胚軸油以外の大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、アマニ油、エゴマ油等の植物油脂、魚油、豚脂、牛脂、乳脂等の動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及びこれらに、エステル交換、水素添加、分別からなる群から選ばれる1または2以上の加工がなされた加工油脂等が挙げられる。前記植物油脂は、オレイン酸含量を高めたハイオレイン酸品種の油糧原料由来の油脂、例えばハイオレイン酸大豆油、ハイオレイン酸菜種油、ハイオレイン酸ヒマワリ油、ハイオレイン酸サフラワー油等であってもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これら原料油脂のうち、大豆胚軸油以外の大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、パーム油、パーム油の加工油脂からなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましく、大豆胚軸油以外の大豆油、菜種油、コーン油、パーム分別油からなる群から選択される1種または2種以上を含むことがより好ましく、大豆胚軸油以外の大豆油、菜種油、コーン油、パームオレインからなる群から選択される1種または2種以上を含むことがよりさらに好ましく、大豆胚軸油以外の大豆油、菜種油、コーン油、パームオレインからなる群から選択される1種または2種以上であることがさらにより好ましく、菜種油であることが殊更好ましい。
【0020】
本発明の加熱調理用油脂組成物中の大豆胚軸油を含めた食用油脂の含有量は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、98質量%以上100質量%以下がさらにより好ましく、99質量%以上100質量%以下が殊更好ましい。
【0021】
20℃で流動状である油脂で加熱調理した加熱調理食品は、油っぽさを感じやすいため、本発明は、食用油脂が20℃で流動状である場合に効果がより顕著に発現するので好適である。2種以上の原料油脂を混合して用いる場合、原料油脂単独で20℃で固形状であっても、混合した食用油脂自体が20℃で流動状であれば、好適に用いることができる。
【0022】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、通常、食用油脂に用いられる成分を含有することができる。前記成分としては、特に限定されないが、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物等の抗酸化剤;カロテン等の着色料;香料;シリコーン;レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸脂肪酸グリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤等が挙げられる。
【0023】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、前記大豆胚軸油と大豆胚軸油以外の食用油脂とを混合する工程により、製造され得る。さらに、前記大豆胚軸油と大豆胚軸油以外の食用油脂との混合油脂に、食用油脂に用いられる前記成分とを混合する工程を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、揚げ物用、炒め用、焼き用、ノンフライ揚げ物様食品用などの加熱調理用に用いることができる。なかでも、例えば、天ぷら、フライドポテト、ハッシュドポテト、コロッケ、唐揚げ、フライドチキン、とんかつ、魚フライ、アメリカンドッグ、チキンナゲット、揚げ豆腐、ドーナッツ、揚げパン、揚げ米菓、スナック菓子、インスタントラーメン等の揚げ物用として好適に使用され得る。特に、コロッケのようにパン粉を使用する加熱調理用食品に好適に使用され得る。前記揚げ物には、少ない食用油脂での揚げ調理であるシャロ―フライにより得られる揚げ物も含まれる。その加熱調理食品を製造する態様に特に制限はなく、本発明による加熱調理用油脂組成物を使用して、それぞれの加熱調理食品の種類に応じて、その加熱調理食品に適した方法にて、適宜所望の加熱調理食品を製造すればよい。すなわち、本発明による加熱調理用油脂組成物を用いて、所定の加熱調理食品の調理用材料に、その温度を、典型的には150℃以上210℃以下、より典型的には160℃以上200℃以下とした状態で揚げる等の加熱調理を行なえばよい。
【0025】
以上説明したように、本発明は、前記大豆胚軸油を特定量含む油脂組成物を加熱調理に使用して得られた加熱調理食品の油っぽさを低減させる効果がある。なお、本発明において、「油っぽさ」とは、一般に消費者や当業者に理解される用語の意味と異なるところはなく、より具体的には、加熱調理食品を食べたときに口の中に残る油のべたつきや食べたときに感じる油臭さ、食べた後にいつまでも口の中に油を感じる後残りを意味するものである。
【0026】
また、本発明は、前記大豆胚軸油を特定量含む油脂組成物を加熱調理に使用して得られた加熱調理食品に香ばしさを付与する効果がある。なお、本発明において、「香ばしさ」とは、一般に消費者や当業者に理解される用語の意味と異なるところはなく、より具体的には、加熱調理食品を食べたときに感じられる好ましいほんのり焦げたような香りを意味するものである。
【実施例0027】
以下、本発明を具体的な実験に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0028】
まず、本実施例で用いた食用油脂を以下に挙げる。
【0029】
(食用油脂)
大豆胚軸油(下記の製造方法1で調製したもの)
菜種油:J-キャノーラ油、株式会社J-オイルミルズ製
コーン油:J-コーン油、株式会社J-オイルミルズ製
パームオレイン:ヨウ素価67、社内調製品
大豆油:J-大豆白絞油、株式会社J-オイルミルズ製
なお、上記食用油脂はいずれも20℃で流動状である。
【0030】
(製造方法1)
大豆種子を80℃、45分間加熱し、粗砕機で1/2未満の大きさに粉砕することにより、子葉、種皮及び胚軸の混合物を得た。得られた混合物を、風力分級機にかけて種皮を除き、子葉及び胚軸混合物を得た。得られた子葉及び胚軸混合物を、篩分機を用いて、7メッシュ篩上画分を取り除き、さらに10メッシュ篩下14メッシュ篩上の画分を分取することで、胚軸画分(大豆胚軸40質量%)を得た。上記胚軸画分を60℃に加温して、圧扁機でフレークにし、n-ヘキサンで油分を抽出してミセラを得た。得られたミセラから減圧下、60~80℃で残留するn-ヘキサンを除去して粗原油を得た。粗原油を常法により、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理を行って、大豆胚軸油を得た。
【0031】
(加熱調理用油脂組成物の調製1)(対照例1、実施例1~6、比較例1~6)
表1および表2に記載の配合に従い、加熱調理用油脂組成物を調製した。
【0032】
【0033】
【0034】
(コロッケの調製1)
加熱調理用油脂組成物を片手鍋に1kg入れて、180℃に加熱した。加熱した加熱調理油脂組成物に冷凍コロッケ(Newポテトコロッケ60、味の素冷凍食品株式会社製)を入れて5分油調した後、油切りして、コロッケを得た。
【0035】
(コロッケの評価1)
調製したコロッケを専門パネラー4名が食し、油っぽさおよび香ばしさについて下記基準にて評価した。専門パネラー4名の評点の平均値を評価値とした。各評価値は表1および表2に示した。さらに、専門パネラーがコロッケを食した際の食感を評価した。
【0036】
(油っぽさの評価基準)
0:対照よりも油っぽく感じる
1:対照と同じ油っぽく感じる
2:対照よりもあまり油っぽく感じない
3:対照よりも油っぽく感じない
4:対照よりもかなり油っぽく感じない
【0037】
(香ばしさの評価基準)
0:対照よりも香ばしく感じない
1:対照と同じ香ばしさを感じる
2:対照よりもやや香ばしく感じる
3:対照よりも香ばしく感じる
4:対照よりもかなり香ばしく感じる
【0038】
表1および表2に示した通り、加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケの油っぽさの低減に関しては、大豆胚軸油を0.14質量%~14.4質量%添加した加熱調理用油脂組成物が、対照の菜種油よりも顕著に効果が確認された(実施例1~6)。なかでも、大豆胚軸油を0.72質量%~14.4質量%添加した加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケは、特に効果が確認された(実施例2~6)。
加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケの香ばしさの付与に関しては、大豆胚軸油を0.72質量%~14.4質量%添加した加熱調理用油脂組成物が、対照の菜種油よりも顕著に効果が確認された(実施例2~6)。なかでも、大豆胚軸油を2.16質量%~14.4質量%添加した加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケは、特に効果が確認された(実施例3~6)。
大豆胚軸油を0.72質量%~14.4質量%添加した加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケは、対照の菜種油で油調されたコロッケよりもサクミが向上することが確認でき、大豆胚軸油を7.2質量%~14.4質量%添加した加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケでは特に顕著であった(実施例5~6)。
一方、大豆油を0.72質量%~7.2質量%添加した加熱調理油脂組成物で油調したコロッケは、菜種油で油調したコロッケと比較して、油っぽさの低減、香ばしさの向上ともあまり改善しなかった(比較例4~6)。
【0039】
(加熱調理用油脂組成物の調製2)(対照例2、実施例7、比較例7)
表3に記載の配合に従い、加熱調理用油脂組成物を調製した。
【0040】
【0041】
(コロッケの調製2)
表3に記載の加熱調理用油脂組成物を用いて「コロッケの調製1」と同じ方法でコロッケを調製した。
【0042】
(コロッケの評価2)
「コロッケの評価1」と同じ方法でコロッケを評価した。結果を表3に示した。
【0043】
表3に示した通り、コーン油に大豆胚軸油を添加した加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケ(実施例7)は、コーン油のみを用いた場合(対照例2)とコーン油に大豆油を添加した場合(比較例7)よりも油っぽさの低減、香ばしさの向上の効果が確認された。さらにサクミが向上することも確認された。
【0044】
(加熱調理用油脂組成物の調製3)(対照例3、実施例8、比較例8)
表4に記載の配合に従い、加熱調理用油脂組成物を調製した。
【0045】
【0046】
(コロッケの調製3)
表4に記載の加熱調理用油脂組成物を用いて「コロッケの調製1」と同じ方法でコロッケを調製した。
【0047】
(コロッケの評価3)
「コロッケの評価1」と同じ方法でコロッケを評価した。結果を表4に示した。
【0048】
表4に示した通り、パームオレインに大豆胚軸油を添加した加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケ(実施例8)は、パームオレインのみを用いた場合(対照例3)とパームオレインに大豆油を添加した場合(比較例8)よりも油っぽさの低減、香ばしさの向上の効果が確認された。さらにサクミが向上することも確認された。
【0049】
(加熱調理用油脂組成物の調製4)(対照例4、実施例9)
表5に記載の配合に従い、加熱調理用油脂組成物を調製した。
【0050】
【0051】
(コロッケの調製3)
表5に記載の加熱調理用油脂組成物を用いて「コロッケの調製1」と同じ方法でコロッケを調製した。
【0052】
(コロッケの評価3)
「コロッケの評価1」と同じ方法でコロッケを評価した。結果を表5に示した。
【0053】
表5に示した通り、大豆油に大豆胚軸油を添加した加熱調理用油脂組成物で油調されたコロッケ(実施例9)は、大豆油のみを用いた場合(対照例4)よりも油っぽさの低減、香ばしさの向上の効果が確認された。さらにサクミが向上することも確認された。