(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119565
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】フルオロエーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 41/16 20060101AFI20230821BHJP
C07D 249/18 20060101ALI20230821BHJP
C07D 317/22 20060101ALI20230821BHJP
C07D 333/56 20060101ALI20230821BHJP
C07D 261/08 20060101ALI20230821BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230821BHJP
C07C 43/174 20060101ALI20230821BHJP
C07D 213/30 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
C07C41/16
C07D249/18 505
C07D317/22
C07D333/56
C07D261/08
C07D471/04 103H
C07C43/174
C07D213/30
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003833
(22)【出願日】2023-01-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2022022433
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022101972
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星谷 尚亨
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】内山 真伸
(72)【発明者】
【氏名】平野 圭一
【テーマコード(参考)】
4C055
4C065
4H006
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA13
4C055BB14
4C055CA15
4C055CB14
4C055DA01
4C055FA01
4C055FA32
4C055FA37
4C065AA01
4C065AA05
4C065BB04
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH04
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP09
4C065QQ05
4H006AA02
4H006AC43
4H006BA02
4H006BA37
4H006BB15
4H006BB21
4H006BC10
4H006BE61
4H006GN03
4H006GP01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】活性化されていない塩化物を原料とする、α-フルオロエーテルの製造方法の提供。
【解決手段】ヨウ化物の存在下、式(1)で表される化合物を式(2)で表される化合物と反応させる工程Aを含む、式(3)で表される化合物の製造方法である。
(式中、M
1はカチオンであり、R
1はアルキル基、アルコキシ基又はアリール基であり、R
2及びR
3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基であり、R
4はアルキル基、アルケニル基又は-L-R
41(式中、Lは、単結合、アルキレン、-(アルキレン)-O-、-CH=CH-、-C(=CH
2)-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は-C(=O)-O-(アルキレン)-であり、R
41はアリール基、ヘテロアリール基又は非芳香族複素環基である。)であり、R
2、R
3及びR
4のうち任意の2つはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(3):
【化1】
[式中、
R
1は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、
R
4は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、又は-L-R
41(式中、Lは、単結合、アルキレン、-(アルキレン)-O-、-CH=CH-、-C(=CH
2)-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は-C(=O)-O-(アルキレン)-であり、R
41は、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基である。)であり、
R
2、R
3、及びR
4のうち任意の2つは、それらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。]
で表される化合物の製造方法であって、
ヨウ化物の存在下、下記式(1):
【化2】
(式中、M
1はカチオンであり、R
1は前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2):
【化3】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は前記と同意義である。)
で表される化合物と反応させる工程Aを含む、製造方法。
【請求項2】
前記ヨウ化物が金属塩及びアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記金属塩がアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び第8族元素から第13族元素の金属塩からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ヨウ化物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、0.05~1.5モルの範囲内である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
R1が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基又は1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
M
1が、アルカリ金属カチオン、又は下記式(4):
【化4】
(式中、
R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
5、R
6、R
7、及びR
8のうち任意の2つは、それらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)
で表されるカチオンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
R2が水素原子である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
工程Aが、エーテル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒の存在下で実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フルオロエーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α位炭素がフッ素化されたフルオロエーテル(α-フルオロエーテル)は、冷媒、溶剤、医薬、農薬、機能性材料等として有用である。α-フルオロエーテルの製造方法は、フッ素含有化合物をエーテル化する方法と、炭化水素エーテルをフッ素化する方法とに大別される。前者の方法は、後者の方法と比べて、温和な反応条件を採用することができること、特殊な装置が不要であること、フッ素導入位置の制御が容易であること等の利点がある。前者の方法としては、例えば、パーフルオロアルコキシドを臭化物又はヨウ化物と反応させる方法(例えば、非特許文献1~3)、パーフルオロアルコキシドを、RCF2Clのような活性化された塩化物と反応させる方法(例えば、特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第110002968号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Fluorine Chem. 2010, 131, 200-207
【非特許文献2】Dalton Trans, 2015, 44, 19682
【非特許文献3】Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 2945
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1~3の方法は、反応性の高い臭化物又はヨウ化物を原料とする場合には高収率でα-フルオロエーテルが得られるが、反応性の低い塩化物を原料とする場合にはα-フルオロエーテルが得られないか、又は収率が極めて低い。他方、特許文献1の方法は、RCF2Clのような活性化された塩化物を原料とする場合には高収率でα-フルオロエーテルが得られる。PhCH2Cl(Ph:フェニル)のような比較的反応性が高いベンジル位の塩化物を原料とする場合にα-フルオロエーテルが低収率ながら得られると非特許文献1において報告されているが、より電子的に反応性が低い置換基をもたない塩化アルキル、立体的に反応の進行が不利な第2又は3級塩化アルキルなどを原料に用いた反応は、より困難となる。
【0006】
本開示は、活性化されていない塩化物を原料とする、α-フルオロエーテルの製造方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、次の態様を含む。
[項1]
下記式(3):
【化1】
[式中、
R
1は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、
R
4は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、又は-L-R
41(式中、Lは、単結合、アルキレン、-(アルキレン)-O-、-CH=CH-、-C(=CH
2)-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は-C(=O)-O-(アルキレン)-であり、R
41は、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基である。)であり、
R
2、R
3、及びR
4のうち任意の2つは、それらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。]
で表される化合物の製造方法であって、
ヨウ化物の存在下、下記式(1):
【化2】
(式中、M
1はカチオンであり、R
1は前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2):
【化3】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は前記と同意義である。)
で表される化合物と反応させる工程Aを含む、製造方法。
[項2]
前記ヨウ化物が金属塩及びアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも一種である、項1に記載の製造方法。
[項3]
前記金属塩がアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び第8族元素から第13族元素の金属塩からなる群より選択される少なくとも一種である、項2に記載の製造方法。
[項4]
前記ヨウ化物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、0.05~1.5モルの範囲内である、項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
[項5]
R
1が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基又は1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基である、項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
[項6]
M
1が、アルカリ金属カチオン、又は下記式(4):
【化4】
(式中、
R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
5、R
6、R
7、及びR
8のうち任意の2つは、それらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)
で表されるカチオンである、項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
[項7]
R
2が水素原子である、項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
[項8]
工程Aが、エーテル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒の存在下で実施される、項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、例えば、活性化されていない塩化物を原料とする、α-フルオロエーテルの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態又は全ての実装を記述することを意図するものではない。本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
【0010】
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
【0011】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0012】
1.用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0013】
本明細書中、「含有する」は、「から本質的になる」及び「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0014】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0015】
本明細書中、「Cn-m」(ここで、n及びmは、それぞれ、正の整数であり、n<mである。)は、炭素数がn以上且つm以下であることを表す。
【0016】
本明細書中、「ハロゲン原子」の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を包含する。
【0017】
本明細書中、「炭化水素基」は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。「炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、及びこれら2以上の組合せ(例:アラルキル基)を包含する。
【0018】
本明細書中、「アルキル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルキル基を包含し、及びその具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基(例:n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(例:n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基を包含する。
【0019】
本明細書中、「アルケニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルケニル基を包含し、及びその具体例は、ビニル基、1-プロペン-1-イル基、2-プロペン-1-イル基、イソプロペニル基、2-ブテン-1-イル基、4-ペンテン-1-イル基、及び5-ヘキセン-1-イル基を包含する。
【0020】
本明細書中、「アルキニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルキニル基を包含し、及びその具体例は、エチニル基、1-プロピン-1-イル基、2-プロピン-1-イル基、4-ペンチン-1-イル基、及び5-ヘキシン-1-イル基を包含する。
【0021】
本明細書中、「シクロアルキル基」の例は、C3-10シクロアルキル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基を包含する。
【0022】
本明細書中、「シクロアルケニル基」の例は、C3-10シクロアルケニル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘプテニル基を包含する。
【0023】
本明細書中、「シクロアルカジエニル基」の例は、C4-10シクロアルカジエニル基を包含し、及びその具体例は、シクロブタジエニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、及びシクロヘプタジエニル基を包含する。
【0024】
本明細書中、「アリール基」は、単環性又は多環性(例:2環性、3環性、4環性)であることができる。「アリール基」の例は、C6-14アリール基を包含し、及びその具体例は、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、及び2-アンスリル基を包含する。
【0025】
本明細書中、「非芳香族複素環基」は、単環性又は多環性(例:2環性、3環性、4環性)であることができる。「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基であることができる。「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。「非芳香族複素環基」は、単環性非芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性非芳香族複素環基)、及び非芳香族縮合複素環基(例:5~18員の非芳香族縮合複素環基)を包含する。
【0026】
本明細書中、「非芳香族複素環基」の例は、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1-アジリジニル、2-アジリジニル)、アゼチジニル(例:1-アゼチジニル、2-アゼチジニル)、ピロリジニル(例:1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル)、テトラヒドロピリジニル(例:1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-イル)、アゼパニル(例:1-アゼパニル、2-アゼパニル、3-アゼパニル、4-アゼパニル)、アゾカニル(例:1-アゾカニル、2-アゾカニル、3-アゾカニル、4-アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4-ピペラジン-1-イル、1,4-ピペラジン-2-イル)、ジアゼピニル(例:1,4-ジアゼピン-1-イル、1,4-ジアゼピン-2-イル、1,4-ジアゼピン-5-イル、1,4-ジアゼピン-6-イル)、ジアゾカニル(例:1,4-ジアゾカン-1-イル、1,4-ジアゾカン-2-イル、1,4-ジアゾカン-5-イル、1,4-ジアゾカン-6-イル、1,5-ジアゾカン-1-イル、1,5-ジアゾカン-2-イル、1,5-ジアゾカン-3-イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロピラン-4-イル)、モルホリニル(例:4-モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4-チオモルホリニル)、ジオキソラニル(例:1,3-ジオキソラン-2-イル)、2-オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロキノリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-イル(例:ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)、テトラヒドロピロロ[2,3-c]ピリジル(例:4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6-イル)、及びテトラヒドロピリド[3,4-b]インドリル(例:2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イル)、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イル等を包含できる。
【0027】
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、単環性芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性芳香族複素環基)、及び芳香族縮合複素環基(例:5~18員の芳香族縮合複素環基)を包含する。
【0028】
本明細書中、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、及びピラジニル等を包含する。
【0029】
本明細書中、「5~18員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル(例:1-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等を包含する。
【0030】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」において、炭化水素基に存在し得る-CH2-は、-O-、-S-、又は-NH-に置き換わっていてもよい。当該炭化水素基に置換し得る置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基を包含する。当該炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」において、アルキル基に存在し得る-CH2-は、-O-、-S-、又は-NH-に置き換わっていてもよい。当該アルキル基の置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリール基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルコキシ基)を包含する。当該アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」の例は、1個以上のハロゲン原子(例:フッ素原子)で置換されていてもよいアルキル基を包含する。1個以上のハロゲン原子で置換されているアルキル基を「ハロアルキル基」と表記し、例えば置換されているハロゲン原子がフッ素原子の場合に「フルオロアルキル基」と表記する場合がある。「ハロアルキル基」は、パーハロアルキル基であっても非パーハロアルキル基であってもよい。「ハロアルキル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のハロC1-12アルキル基を包含し、及びその具体例は、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基(例:パーフルオロn-プロピル、パーフルオロイソプロピル基)、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等の、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルキル基を包含する。上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」の例は、1個以上の置換基(例:ハロアルコキシ基)で置換されているハロアルキル基を包含し、及びその具体例は、CF3-O-CF2-、CF3-O-CF(CF3)-、CF3-O-CH2-CH2-、CF3-O-CH(CF3)-CH2-、CF3-O-CF2-CF2-、CF3-CF2-O-CF2-、CF3-CF2-O-CF2-CF2-、CF3-O-CF2-O-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CH2-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CF2-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-[CF(CF3)-CF2-O-]2-CF(CF3)-CF2-等の、1個以上の置換基で置換されているフルオロC1-12アルキル基を包含する。
【0033】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」において、置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルキル基、ハロアルコキシ基)を包含する。当該アリール基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
本明細書中、「アルコキシ基」は、RAO-(式中、RAはアルキル基である。)で表される基であることができる。「アルコキシ基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルコキシ基を包含し、及びその具体例はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(例:n-プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、及びヘキシルオキシ基を包含する。
【0035】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基」において、置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルキル基、ハロアルコキシ基)を包含する。当該アルコキシ基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基」の例は、1個以上のハロゲン原子(例:フッ素原子)で置換されていてもよいアルコキシ基、すなわち、ハロアルコキシ基を包含する。
【0037】
本明細書中、「ハロアルコキシ基」は、RBO-(式中、RBはハロアルキル基である。)で表される基であることができる。「ハロアルコキシ基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のハロC1-12アルコキシ基を包含し、及びその具体例はパーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基(例:パーフルオロn-プロポキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基)、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロペンチルオキシ基、及びパーフルオロヘキシルオキシ基等の、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルコキシ基を包含する。
【0038】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基」の例は、1個以上の置換基(例:ハロアルコキシ基)で置換されているハロアルコキシ基を包含し、及びその具体例は、CF3-O-CF2-O-、CF3-O-CF2-CF2-CF2-O-、CF3-O-CH2-CF2-CF2-O-、CF3-CF2-O-CF2-CF2-O-、CF3-CF2-CF2-O-CH2-CF2-CF2-O-、CF3-CF2-CF2-O-CF2-CF2-CF2-O-、CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-O-、CF3-CF2-CF2-O-[CF(CF3)-CF2-O-]2-、及びCF3-CF2-CF2-O-[CF(CF3)-CF2-O-]3-等の、1個以上の置換基で置換されているフルオロC1-12アルコキシ基を包含する。
【0039】
本明細書中、「アルコキシカルボニル基」は、RC-C(=O)-(式中、RCはアルコキシ基である。)で表される基であることができる。「アルコキシカルボニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状の(C1-12アルコキシ)カルボニル基を包含し、及びその具体例はメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基(例:n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基)、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、及びヘキシルオキシカルボニル基を包含する。
【0040】
本明細書中、「アルキルカルボニルオキシ基」は、RD-C(=O)-O-(式中、RDはアルキル基である。)で表される基であることができる。「アルキルカルボニルオキシ基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状の(C1-12アルキル)カルボニルオキシ基を包含し、及びその具体例はメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基(例:n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基)、ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、及びヘキシルカルボニルオキシ基を包含する。
【0041】
本明細書中、「アルキレン」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-6アルキレンを包含し、及びその具体例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH(C2H5)-、及び-CH2-CH2-CH2-CH2-を包含する。
【0042】
2.α-フルオロエーテルの製造方法
本開示の一実施形態において、下記式(3):
【化5】
[式中、
R
1は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、
R
4は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、又は-L-R
41(式中、Lは、単結合、アルキレン、-(アルキレン)-O-、-CH=CH-、-C(=CH
2)-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は-C(=O)-O-(アルキレン)-であり、R
41は、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基である。)であり、
R
2、R
3、及びR
4のうち任意の2つは、それらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。]
で表される化合物の製造方法は、ヨウ化物の存在下、下記式(1):
【化6】
(式中、M
1はカチオンであり、R
1は前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2):
【化7】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は前記と同意義である。)
で表される化合物と反応させる工程Aを含む。
【0043】
[式(1)で表される化合物]
R1は、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有するアリール基であり、より好ましくは1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基又は1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基であり、更に好ましくはフルオロアルキル基又はフルオロアルコキシ基であり、更により好ましくはフルオロアルキル基であり、特に好ましくはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基等のフルオロC1-10アルキル基である。前記フルオロアルキル基(例:フルオロC1-10アルキル基)及び前記フルオロアルコキシ基(例:フルオロC1-10アルコキシ基)は、それぞれ、1個以上の置換基(例:ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、フルオロアルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリール基、及びこれらの組合せ)を有していてもよい。
【0044】
M
1で表されるカチオンの例は、1価の金属カチオン、及び下記式(4):
【化8】
(式中、
R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
R
5、R
6、R
7、及びR
8のうち任意の2つは、それらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)
で表されるカチオンを包含する。
【0045】
1価の金属カチオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビシウム、セシウム等のアルカリ金属カチオンが挙げられる。
【0046】
式(4)で表されるカチオンにおいて、R5、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましく、C1-4アルキル基等のアルキル基であることが特に好ましい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
R5、R6、R7、及びR8のうち任意の2つが、それらが結合する窒素原子と一緒になって形成される環の例は、5員又は6員の含窒素環を包含し、及びその具体例は、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンを包含する。
【0048】
式(1)で表される化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の反応により製造することができる。式(1)で表される化合物は、例えば、下記式(5a)又は(5b):
【化9】
(式中、R
1は前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(6):
M
1F (6)
(式中、M
1は前記と同意義である。)
で表される化合物と反応させる工程Bを含む方法により製造することができる。
【0049】
工程Bにおいて、式(6)で表される化合物の使用量は、特に制限されないが、式(5a)又は(5b)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.5モル以上、0.8モル以上、又は1モル以上であってもよく、3モル以下、2.5モル以下、2モル以下、又は1.5モル以下であってもよく、0.5~1.5モルの範囲内であってもよい。
【0050】
工程Bは、溶媒の存在下で実施することが好ましい。当該溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒等が挙げられる。
【0051】
炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0052】
ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等が挙げられる。
【0053】
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0054】
ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
【0055】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0056】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0057】
スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0058】
これらの溶媒のうち、エーテル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。一実施形態において、当該溶媒は、エーテル系溶媒とニトリル系溶媒との混合溶媒であることが好ましい。当該混合溶媒において、エーテル系溶媒の体積(Y)に対するニトリル系溶媒の体積(X)の比(X/Y)は、例えば、0.1以上、0.5以上、1以上、1.5以上、2以上、又は2.5以上であってもよく、20以下、15以下、又は10以下であってもよく、1~10の範囲内であってもよい。
【0059】
当該溶媒の使用量は、特に制限されないが、式(1)で表される化合物1mmolに対して、例えば、1mL以上、1.5mL以上、又は2mL以上であってもよく、15mL以下又は10mL以下であってもよく、1~10mLの範囲内であってもよい。
【0060】
工程Bは、工程Aと同一又は異なる系で実施することができる。工程Bを工程Aと同一の系(ワンポット)で実施する場合、工程Bは、工程Aの溶媒と同じ溶媒、及び、工程Aで使用されるヨウ化物等の添加剤の存在下で実施することができる。
【0061】
工程Bの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。反応温度は、例えば室温であることができる。反応時間は、例えば10分~72時間の範囲内、好ましくは15分~48時間の範囲内である。
【0062】
[式(2)で表される化合物]
式(2)で表される化合物は、RCF2Clのような活性化された塩化物ではないが、後述のヨウ化物の存在下で、式(1)で表される化合物と反応させることにより、高収率で式(3)で表される化合物を製造することができる。
【0063】
R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基であることが好ましい。一実施形態において、R2及びR3の少なくとも一方(例えばR2)が水素原子であることが好ましい。当該実施形態において、R2及びR3の両方が水素原子であること、R2が水素原子であり且つR3がアルキル基であること、又はR2が水素原子であり且つR3がアリール基であることが好ましい。前記アルキル基としては、メチル基等のC1-4アルキル基が好ましく、前記アリール基としては、フェニル基等のC6-12アリール基が好ましい。
【0064】
R4は、置換基としてアルキルカルボニルオキシ基を有するアルキル基(-(アルキレン)-O-C(=O)-アルキル)、アルケニル基、又は-L-R41(式中、Lは、単結合、アルキレン、-(アルキレン)-O-、-CH=CH-、-C(=CH2)-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は-C(=O)-O-(アルキレン)-であり、R41は、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基である。)であることが好ましい。
【0065】
前記アルケニル基は、-C(CH3)=CH-を含有するアルケニル基であることが好ましく、CH3-[C(CH3)=CH-CH2-CH2]n-C(CH3)=CH-(式中、nは0、1、又は2である。)であることがより好ましい。
【0066】
Lが-(アルキレン)-O-である場合、右側(-O-)がR41に結合してもよく、左側(アルキレン)がR41に結合してもよい。また、Lが-C(=O)-O-である場合、右側(-O-)がR41に結合してもよく、左側(-C(=O)-)がR41に結合してもよい。さらに、Lが-C(=O)-O-(アルキレン)-である場合、右側(アルキレン)がR41に結合してもよく、左側(-C(=O)-)がR41に結合してもよい。Lは、単結合、C1-4アルキレン、-(C1-4アルキレン)-O-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は-C(=O)-O-(C1-4アルキレン)-であることが好ましく、単結合、C1-4アルキレン、-(C1-4アルキレン)-O-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、又は-C(=O)-O-(C1-4アルキレン)-であることがより好ましく、単結合、-CH2-CH2-、-CH2-O-、-CH2-CH2-O-、-CH2-CH2-CH2-O-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、又は-C(=O)-O-CH2-であることがさらに好ましい。
【0067】
R41が1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基である場合、好ましくは1個以上の置換基(例:ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ハロアルコキシアルキル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基)を有していてもよい5員又は6員の非芳香族複素環基(例:ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の窒素原子を含有する非芳香族複素環基)、又は1個以上の置換基(例:メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基)を有していてもよい、テトラヒドロピリド[3,4-b]インドリル又は1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イルである。
【0068】
R41が1個以上の置換基を有していてもよいアリール基又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である場合、
好ましくはハロゲン原子(例:臭素原子)、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ハロアルコキシアルキル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、及びニトロ基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基で置換されていてもよいC6-12アリール基(例:フェニル基)又は前記置換基で置換されていてもよい5~12員ヘテロアリール基(例:ベンゼン環と5員単環性芳香族複素環との縮合環基)であり、
より好ましくはハロゲン原子(例:臭素原子)、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルコキシC1-6アルキル基、シアノ基、(C1-6アルコキシ)カルボニル基、及びニトロ基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基で置換されていてもよいC6-10アリール基(例:フェニル基)又は前記置換基で置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール基(例:ベンゼン環と5員単環性芳香族複素環との縮合環基)であり、
更に好ましくはハロゲン原子(例:臭素原子)、C1-4アルキル基、ハロC1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ハロC1-4アルコキシ基、ハロC1-4アルコキシC1-4アルキル基、シアノ基、(C1-4アルコキシ)カルボニル基、及びニトロ基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基で置換されていてもよいフェニル基、前記置換基で置換されていてもよい5員又は6員単環性芳香族複素環基(例:ピリジン、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール)、又は前記置換基で置換されていてもよい、ベンゼン環と5員単環性芳香族複素環(例:フラン、チオフェン、ピロール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾ―ル、トリアゾール)との縮合環基である。置換基の置換位置は、特に限定されず、フェニル基の場合、例えば2位、3位、4位、5位、及び/又は6位である。
一実施形態において、R41は、1個以上のCl-C(R1)(R2)-基(例:モノクロロメチル基)が置換されたフェニル基であり、例えば、4-モノクロロメチルフェニル基、3,5-ジ(モノクロロメチル)フェニル基などであり得る。当該実施形態では、複数の塩素原子のそれぞれをR1-CF2-O-に変換し得る。
【0069】
一実施形態において、R2が水素原子であり、R3及びR4が、それらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していることが好ましい。当該環としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、1,4-シクロヘキサジエン、インダン、インデン、テトラリン、フルオレン、アントラセン等が挙げられる。
【0070】
式(2)で表される化合物の使用量は、特に制限されないが、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.1モル以上、0.2モル以上、又は0.3モル以上であってもよく、3モル以下、2モル以下、又は1モル以下であってもよく、0.1~1モルの範囲内であってもよい。
【0071】
[ヨウ化物]
ヨウ化物を用いることにより、式(1)で表される化合物と反応させる原料として、式(2)で表される化合物を用いて、式(3)で表される化合物を高収率で製造することができる。
【0072】
ヨウ化物の例は、金属塩及びアンモニウム塩を包含する。
【0073】
前記金属塩としては、特に制限されないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び第8族元素から第13族元素の金属塩からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0074】
前記アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビシウム塩、セシウム塩等が挙げられる。
【0075】
前記アルカリ土類金属塩としては、例えば、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
【0076】
前記第8族元素から第13族元素の金属塩としては、例えば、鉄塩、コバルト塩、ロジウム塩、パラジウム塩、ニッケル塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
【0077】
一実施形態において、前記金属塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び第8族元素から第12族元素の金属塩からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0078】
前記アンモニウム塩としては、例えば、式(4)で表されるカチオンを有する塩(例:テトラアルキルアンモニウム塩)等が挙げられる。
【0079】
ヨウ化物の使用量は、特に制限されないが、触媒量であることが好ましい。具体的には、ヨウ化物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、0.5モル以下であることが好ましく、0.4モル以下であることがより好ましく、0.3モル以下であることが更に好ましく、0.2モル以下であることが特に好ましい。ヨウ化物の使用量は、例えば、式(1)で表される化合物1モルに対して、0.0001モル以上、0.0005モル以上、又は0.001モル以上であってもよく、0.0001~0.5モルの範囲内、0.0005~0.3モルの範囲内、又は0.001~0.2モルの範囲内であってもよい。ヨウ化物の使用量は、反応速度と使用量の削減の観点から、式(2)で表される化合物1モルに対して、2モル以下であることが好ましく、1.5モル以下であることがより好ましく、1.2モル以下であることがさらに好ましく、1モル以下、0.5モル以下、0.4モル以下、0.3モル以下、0.2モル以下、0.1モル以下、又は0.05モル以下であってもよい。また、ヨウ化物の使用量は、例えば、式(2)で表される化合物1モルに対して、0.01モル以上、0.05モル以上、0.1モル以上、0.15モル以上、又は0.2モル以上であってもよく、0.05~1.5モルの範囲内、又は0.05~1.2モルの範囲内であってもよい。
【0080】
[溶媒]
工程Aは、溶媒の存在下で実施することが好ましい。当該溶媒としては、工程Bと同様の溶媒が挙げられ、好ましくは、エーテル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である。一実施形態において、当該溶媒は、エーテル系溶媒とニトリル系溶媒との混合溶媒であることが好ましく、混合比は工程Bに記載した混合比と同じであるものが好ましい。
【0081】
[反応温度及び反応時間]
工程Aの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。反応は、室温又は加熱下で実施することができ、反応温度は、例えば、25℃以上、30℃以上、35℃以上、又は40℃以上であってもよく、100℃以下、95℃、又は90℃以下であってもよく、40~90℃の範囲内であってもよい。反応時間は、例えば、1~75時間、好ましくは1~48時間の範囲内、さらに好ましくは3~24時間の範囲内である。
【0082】
[任意工程]
式(3)で表される化合物の製造方法は、工程Aに加えて、任意の工程、例えば、ろ過、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、洗浄等の精製工程を含むことができる。
【実施例0083】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0084】
アルゴン雰囲気下で、10mL容の耐圧容器にフッ化カリウム 58mg、ヨウ化セシウム 26mg、テトラグライム 0.25mL、アセトニトリル 1mLを加えた。当該容器にパーフルオロヘキサノイルフルオライド 316mgを加え、30分攪拌した。当該容器に4-ブロモベンジルクロリド 103mgを加え、当該容器を45℃で24時間攪拌した。得られた反応混合物に水 5mLを加え、ジエチルエーテル抽出後、硫酸マグネシウムで乾燥した。反応溶液をろ過濃縮後、内部標準物質の1,4-ビストリフルオロメチルベンゼンを加え、1H NMRで解析したところ、表1の式(3-1)に示されるフルオロエーテルが76%の収率で生成した。溶媒としてトリグライムを用いて同様に操作したところ、同様にフルオロエーテルが生成した。
【0085】
ヨウ化セシウム 13mgを用いて同様に操作し、48時間攪拌することにより、表1の式(3-1)に示される化合物が、83%の収率で生成した。
【0086】
4-ブロモベンジルクロリドの代わりに対応する基質を用いて、同様に操作(パーフルオロヘキサノイルフルオライド及びフッ化カリウムの各々を基質1モルに対し、2モル、3モル、又は4モルの割合で用いて、45℃、75℃、又は90℃で攪拌)することにより、表1の式(3-2)~(3-27)に示されるフルオロエーテルを得た。
また、パーフルオロヘキサノイルフルオライドの代わりにパーフルオロブタノイルクロリドを基質1モルに対して2モルの割合で用いて、同様に操作(フッ化カリウムを基質1モルに対し、4モルの割合で使用)することにより、表1の式(3-28)に示されるフルオロエーテルを得た。
【0087】
【0088】
表1中のモル比は、基質1モルに対するパーフルオロヘキサノイルフルオライド、パーフルオロブタノイルクロリド、及びフッ化カリウムの用いるモル比を表している。
【0089】
また、表1中、Meはメチル、Etはエチル、Bnはベンジルを意味する。
【0090】
4-ブロモベンジルクロリドの代わりに、3-クロロシクロヘキセンを用いて、同様に操作することにより、式(3-29)のフルオロエーテルを得た。
【化10】
【0091】
4-ブロモベンジルクロリドの代わりに、2,4’-ジクロロアセトフェノンを用いて、同様に操作することにより、式(3-30)のフルオロエーテルを得た。
【化11】
【0092】
4-ブロモベンジルクロリドの代わりに対応する基質を用いて、上記と同様に操作することにより、表2の式(3-31)~(3-34)に示されるフルオロエーテルを得た。
【0093】
【0094】
表2中のモル比は、基質1モルに対するパーフルオロヘキサノイルフルオライド、及びフッ化カリウムの用いるモル比を表している。
【0095】
4-ブロモベンジルクロリドの代わりに、酢酸4-クロロブチルを用いて、同様に操作することで、式(3-35)のフルオロエーテルを得た。
【化12】
【0096】
4-ブロモベンジルクロリドの代わりに、2-(3-クロロプロピル)-1、3―ジオキソランを用いて、同様に操作することで、式(3-36)のフルオロエーテルを得た。
【化13】
【0097】
ヨウ化セシウムの代わりに、ヨウ化ルビジウムを用いて、同様に操作することで、表1及び表2の式(3-1)、(3-9)、(3-18)、(3-25)、(3-32)、(3-33)のフルオロエーテルを収率71%、62%、41%、43%、30%、35%の収率でそれぞれを得た。
【0098】
パーフルオロヘキサノイルフルオライドの代わりにパーフルオロオクタノイルクロリドを基質1モルに対して2モルの割合で用いて、同様に操作し、90℃で攪拌することにより、式(3-37)に示されるフルオロエーテルを58%の収率で得た。
【化14】
【0099】
パーフルオロヘキサノイルフルオライドの代わりに対応する酸フルオライドを用いて同様に操作(酸フルオライド及びフッ化カリウムのそれぞれを4-ブロモベンジルクロライドに対して2モルの割合で用いて、45℃で攪拌)することにより、表3の式(3-37)~(3-39)に示されるフルオロエーテルを得た。
【0100】
【0101】
パーフルオロヘキサノイルフルオライドの代わりにジフルオロ(フルオロホルミル)酢酸メチルを用いて同様に操作(酸フルオライド及びフッ化カリウムのそれぞれを4-ブロモベンジルクロライドに対して2モルの割合で用いて、75℃で攪拌)し、得られた化合物を、テトラヒドロフラン中、水素化ジイソブチルアルミニウムで処理することにより、式(3-40)の化合物を収率41%(4-ブロモベンジルクロライド基準)で得た。
【化15】
【0102】
パーフルオロヘキサノイルフルオライドの代わりに2,2-ジフルオロ-2-ヨードアセチルフルオリドを用いて同様に操作(酸フルオライド及びフッ化カリウムのそれぞれを4-ブロモベンジルクロリドに対して2モルの割合で用いて、室温、又は45℃で攪拌)することで、式(3-41)のフルオロエーテルを得た。
【化16】
【0103】
パーフルオロヘキサノイルフルオライドの代わりに2,2-ジフルオロ-2-ヨードアセチルフルオリドを用いて同様に操作(酸フルオライド及びフッ化カリウムのそれぞれをゲラニルクロリドに対して2モルの割合で用いて、室温で攪拌)することで、式(3-41)の化合物を単離収率62%で得た。
【化17】
【0104】
ジエチル亜鉛を1-ヨード安息香酸メチルと式(3-42)の化合物それぞれに対し、1.5モル当量用いて、10モルパーセントのヨウ化銅存在下、N、N’-ジメチルプロピレン尿素中、90℃で攪拌することで、式(3-43)の化合物を単離収率32%で得た。
【化18】