(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119577
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】底部電極ブリッジを含むメモリ装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/82 20060101AFI20230821BHJP
H10N 52/00 20230101ALI20230821BHJP
H10N 50/01 20230101ALI20230821BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20230821BHJP
H10N 50/20 20230101ALI20230821BHJP
H10B 61/00 20230101ALI20230821BHJP
【FI】
H01L29/82 Z
H10N52/00 Z
H10N50/01
H10N50/10
H10N50/20
H10B61/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016845
(22)【出願日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】63/268,076
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/747,757
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】宋明遠
(72)【発明者】
【氏名】李乾銘
(72)【発明者】
【氏名】鮑新宇
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA19
4M119BB01
4M119BB20
4M119CC05
4M119CC10
4M119DD09
4M119DD24
4M119DD25
4M119DD33
4M119EE02
4M119EE22
4M119EE29
4M119FF05
4M119FF13
4M119FF15
4M119FF17
5F092AA11
5F092AB07
5F092AC12
5F092AC26
5F092BB16
5F092BB22
5F092BB23
5F092BB33
5F092BB35
5F092BB36
5F092BB42
5F092BB43
5F092BB44
5F092BC03
5F092BC07
(57)【要約】
【課題】磁気メモリ装置及びその形成方法を提供する。
【解決手段】底部電極ブリッジと、底部電極ブリッジと重なり、底部電極ブリッジに物理的に結合されるスピン軌道トルク構造と、を含む磁気メモリ装置。一実施例において、メモリは、第1ビアに位置する第1電極と、第2ビアに位置する第2電極と、第1電極及び第2電極に物理的且つ電気的に結合され、第1電極及び第2電極と重なるスピン軌道トルク構造と、スピン軌道トルク構造に位置する磁気トンネル接合と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ビアに位置する第1電極と、
第2ビアに位置する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極に物理的且つ電気的に結合され、前記第1電極及び前記第2電極と重なるスピン軌道トルク構造と、
前記スピン軌道トルク構造に位置する磁気トンネル接合と、
を含むメモリ。
【請求項2】
前記スピン軌道トルク構造は、段差構造を有する請求項1に記載のメモリ。
【請求項3】
前記スピン軌道トルク構造は、平面視において、矩形状を有する第1側面を含み、且つ、前記スピン軌道トルク構造は、前記平面視において、円形状を有する第2側面を含む請求項2に記載のメモリ。
【請求項4】
前記磁気トンネル接合と前記スピン軌道トルク構造は、平面視において、円形状を有する請求項1に記載のメモリ。
【請求項5】
前記スピン軌道トルク構造は、平面視において、矩形状を有し、前記磁気トンネル接合は、前記平面視において、円形状を有する請求項1に記載のメモリ。
【請求項6】
前記第1電極の頂面の第1部分は、前記スピン軌道トルク構造に物理的に結合されるが、前記第1電極の前記頂面の第2部分は、前記スピン軌道トルク構造に接触しない請求項1に記載のメモリ。
【請求項7】
第1誘電体層に第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジを形成するステップと、
前記第1誘電体層、前記第1底部電極ブリッジ及び前記第2底部電極ブリッジにスピン軌道トルク構造を堆積させるステップと、
前記スピン軌道トルク構造に磁気トンネル接合スタックを堆積させるステップと、
前記磁気トンネル接合スタックに、第1方向において前記第1底部電極ブリッジ及び前記第2底部電極ブリッジの前記第1方向における第1距離より大きい第1幅を有するパターニングフォトレジストを形成するステップと、
前記パターニングフォトレジストをマスクとして用いて前記磁気トンネル接合スタックをパターニングすることで磁気トンネル接合を形成するステップと、
を備えるメモリ装置の製造方法。
【請求項8】
第2誘電体層に第1ビア及び第2ビアを形成するステップと、
前記第1ビア、前記第2ビア及び前記第2誘電体層に前記第1誘電体層を堆積させるステップと、
前記第1誘電体層をエッチングすることで前記第1ビア及び前記第2ビアを露出する複数の第1開口を形成するステップであって、前記第1ビア及び前記第2ビアにそれぞれ電気的に結合される前記第1底部電極ブリッジ及び前記第2底部電極ブリッジは前記複数の第1開口に形成されるステップと、
を更に備える請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
半導体基板に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層内に位置する第1底部電極と、
前記第1誘電体層内に位置する第2底部電極と、
前記第1底部電極及び前記第2底部電極に位置するスピン軌道トルク構造と、
前記スピン軌道トルク構造に位置し、前記半導体基板の主面に垂直な第1方向において前記第1底部電極及び前記第2底部電極と重なる磁気トンネル接合と、
を含むメモリ装置。
【請求項10】
前記スピン軌道トルク構造は、重金属材料と前記重金属材料と異なる第1材料とからなる複数の交互層を含む多層スタックを含み、前記第1材料を含む多層の総厚さと前記重金属材料を含む多層の総厚さとの比率は1:19~1:4の範囲内である請求項9に記載のメモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体メモリは、例えば、ラジオ、テレビ、携帯電話及びパーソナルコンピュータを含む電子アプリケーションの集積回路に用いられる。半導体メモリは、揮発性メモリと不揮発性メモリの2つの大カテゴリを含む。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(randomaccess memory;RAM)を含むが、ランダムアクセスメモリは、スタティックランダムアクセスメモリ(static randomaccess memory;SRAM)とダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic randomaccess memory;DRAM)の2つのサブカテゴリに更に分けられる。SRAM及びDRAMは、電源が切断される時に記憶された情報を失うため、何れも揮発性である。
【0002】
一方、不揮発性メモリは、その記憶されたデータを保存することができる。一つのタイプの不揮発性半導体メモリは、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random-access memory;MRAM)である。MRAM配列に複数のMRAMセルを配置することができ、各MRAMセルのそれぞれにも1ビットのデータが記憶される。各MRAMセルの各々は、磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)スタックを含んでよく、MTJスタックが薄い絶縁体で仕切られた2つの強磁性板を含む。1番目の強磁性板の磁極は固定されるが、2番目の強磁性板の磁極は自由である。2番目の強磁性板の極性を変えることで、MTJに論理「0」又は論理「1」を記憶することができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施例は、第1ビアに位置する第1電極と、第2ビアに位置する第2電極と、第1電極及び第2電極に物理的且つ電気的に結合され、第1電極及び第2電極と重なるスピン軌道トルク構造(spin-orbit torque;SOT)と、スピン軌道トルク構造に位置する磁気トンネル接合と、を含むメモリを提案することを目的としている。
【0004】
本開示の実施例は、第1誘電体層に第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジを形成するステップと、第1誘電体層、第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジにスピン軌道トルク構造を堆積させるステップと、スピン軌道トルク構造に磁気トンネル接合スタックを堆積させるステップと、磁気トンネル接合スタックに、第1方向において第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジの第1方向における第1距離より大きい第1幅を有するパターニングフォトレジストを形成するステップと、パターニングフォトレジストをマスクとして用いて磁気トンネル接合スタックをパターニングすることで磁気トンネル接合を形成するステップと、を備えるメモリ装置の製造方法を提案することを目的としている。
【0005】
本開示の実施例は、半導体基板に位置する第1誘電体層と、第1誘電体層内に位置する第1底部電極及び第2底部電極と、第1底部電極及び第2底部電極に位置するスピン軌道トルク構造と、スピン軌道トルク構造に位置し、半導体基板の主面に垂直な第1方向において第1底部電極及び第2底部電極と重なる磁気トンネル接合と、を含む別のメモリ装置を提案することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の各態様は、図面と併せて、以下の詳細な説明に基づいて最適に理解されることができる。なお、業界の標準仕様によれば、種々の特徴が比例どおりに描かれていない。実際には、種々の特徴の寸法は、明確に説明するために、任意に増減することができる。
【
図1A】幾つかの実施例によるメモリ配列の回路図である。
【
図1B】幾つかの実施例によるメモリ配列の選定ユニットセルにおける書き込み経路を示す。
【
図1C】幾つかの実施例によるメモリ配列の選定ユニットセルにおける読み出し経路を示す。
【
図2】幾つかの実施例によるメモリ配列のユニットセルの模式的な3次元ビューである。
【
図3】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図4】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図5】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図6】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図7A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図7B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図7C】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図8A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図8B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図8C】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図9A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図9B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図9C】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図10A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図10B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図10C】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図11A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図11B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図11C】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図12A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図12B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図12C】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図13】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図14】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図15A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図15B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図16A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図16B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図17A】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図17B】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【
図18】幾つかの実施例による半導体装置を製造する途中段階の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の開示は、提供する目標の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施例又は例を提供する。以下、本開示を簡単化にするために、素子及び配置の特定の例について説明する。もちろん、これらは、単に例であり、本開示を限定することを意味しない。例えば、説明において、第1の特徴が第2の特徴の上方又はその上に形成されることは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触するようにした実施例を含んでもよく、追加特徴が第1の特徴と第2の特徴との間に形成されて第1の特徴と第2の特徴が直接接触しないようにした実施例を含んでもよい。また、本開示は、様々な例において数字及び/又は文字を繰り返して参照することができる。この繰り返しは簡単及び明確な目的のためであり、且つそれ自体が述べられた様々な実施例及び/又は構成の間の関係を示すために使用されない。
【0008】
また、図面に示された1つの素子又は特徴と他の(複数の)素子又は特徴との関係を容易に説明するために、本明細書において空間的に相対的な用語、例えば、「の下(beneath)」、「…の下方(below)」、「より低い(lower)」、「の上(above)」、「比較的高い(upper)」などを使用する可能性がある。これらの空間的に相対的な用語は、図面に描かれた方向以外、装置の使用時又は操作時の異なる方向を包含することを意図する。デバイスは、異なる方式で位置決めることが可能となるが(例えば、90度回転又は他の方向)、本明細書において使用される空間的に相対的な記述について同様に対応する解釈を持つこともできる。
【0009】
様々な実施例は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random-access memory、MRAM)装置を形成することに用いられる改良方法及びこの方法により形成されたMRAM装置を提供する。この方法は、底部電極(bottomelectrode)に底部電極ブリッジ(bottomelectrode bridge)を形成するステップと、底部電極ブリッジにスピン軌道トルク(spin-orbit torque、SOT)構造を形成するステップと、SOT構造に磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction、MTJ)薄膜スタックを形成するステップと、上記のMTJ薄膜スタック及びSOT構造をパターニングするステップと、を含む。底部電極ブリッジは、タングステン(W)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、これらの組み合わせ、又はこれらの多層、又はそのその他の類似するものなどの材料から形成される。底部電極ブリッジは、種々の材料から形成することができ、且つ、挙げられた材料から底部電極ブリッジを形成することで、底部電極とSOT構造との間のコンタクト抵抗(contact resistance)を改善させることができる。SOT構造とMTJ薄膜スタックをパターニングすることで、SOT構造とMTJ薄膜スタックは少なくとも部分的に底部電極ブリッジと重なる。SOT構造をパターニングすることができ、SOT構造の対向する側面は横方向に延伸して隣接する一対の底部電極ブリッジの側面を超えない。SOT構造は、底部電極ブリッジ上に直接形成され、底部電極ブリッジと物理的に接触する。底部電極ブリッジはSOT構造をパターニングするエッチングストップ層(etch stop layer)として用いられることで、SOT構造のオーバーエッチング(over-etching)を防止することができる。これは底層構造への損傷を低減し、SOT構造をパターニングするプロセスウィンドウ(process window)を改善し、装置の欠陥を減少し、且つ装置の歩留まりを向上させる。また、SOT構造を十分にエッチングすることができ、同時にMTJ薄膜スタックの下方の分流(shunting)を防止し、改善されたトンネル磁気抵抗(tunnel magneto resistance;TMR)効果を得て、且つ装置の性能を向上させる。
【0010】
図1Aは幾つかの実施例によるメモリ配列100を模式的に示す回路図である。
図1Bは、
図1Aのメモリ配列100の選定ユニットセル102における書き込み経路(write path)を示す。
図1Cは、
図1Aのメモリ配列100の選定ユニットセル102における読み出し経路(read path)を示す。
【0011】
図1Aにおいて、メモリ配列100は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magneto resistiverandom-access memory;MRAM)配列である。メモリ配列100は、列(rows)と行(columns)に沿って配列された複数のユニットセル(unit cells)102を含む。各列(row)中のユニットセル102は、方向Xに沿って配置されてもよいが、各行(column)中のユニットセル102は、方向Yに沿って配置されてもよい。幾つかの実施例において、ユニットセル102の各行(column)は、一対の書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLに結合され、ユニットセル102の各列(row)は、ビット線BL及び一対のソース線SLに結合される。各ユニットセル102は、書き込みワード線WWLの一方と読み出しワード線RWLの一方との間、及び、ビット線BLの一方とソース線SLの一方との間に定義されてもよい。また、書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLは、方向Yに沿って延伸してもよく、ビット線BL及びソース線SLは、方向Xに沿って延伸してもよい。
【0012】
各ユニットセル102は、磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)108及びスピン軌道トルク(spin-orbit torque;SOT)構造106を含む。MTJ108は、記憶素子として機能し、SOT構造106は、MTJ108の磁気の方向(magnetization orientation)と抵抗を切り替えることに用いられる。MTJ108内の強磁性層(ferromagnetic layers)の磁気の方向は、MTJ108の抵抗を決定する。MTJ108は、磁気の方向が平行状態にあるときに、低抵抗状態を有する。MTJ108は、磁気の方向が逆平行(anti-parallel)状態にあるときに、高抵抗状態を有する。MTJ108内の強磁性層の磁気の方向を変えることで、MTJ108をプログラムして相補的な論理状態(例えば、高抵抗状態を示す論理ハイ状態と低抵抗状態を示す論理ロー状態)を記憶することができる。
【0013】
スピンホール(spin Hall)効果によってMTJ108をプログラムすることができる。各MTJ108は、スピン軌道トルク(SOT)構造106上に形成される。プログラムの動作期間中、SOT構造106の面内(in-plane)を流す充電電流は、スピンホール効果により垂直スピン電流(perpendicular spin current)に変換される。その後、垂直スピン電流がMTJ108内の強磁性層に流入し、スピン軌道トルク(SOT)により強磁性層の磁気の方向を切り替える。従って、メモリ配列100は、スピン軌道トルクMRAM(spin-orbit torque MRAM;SOT-MRAM)配列と言われてもよい。このようにして、MTJ108の磁気の方向(例えば、MTJ108の抵抗)を変えることができ、MTJ108にビットデータをプログラムすることができる。読み出しの動作期間中には、MTJ108の抵抗状態を検知することができるとともに、MTJ108に記憶されたビットデータを読み出すことができる。
【0014】
図1Aに示すように、各ユニットセル102は、更に、書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTを含む。各ユニットセル102内の書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTは、SOT構造106に結合される。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTはMTJ108の反対側のSOT構造106の複数の部分に結合することができ、これにより、MTJ108は、書き込みトランジスタWTと読み出しトランジスタRTとの間の書き込み電流経路(例えば、上記の面内(in-plane)を流す充電電流)上に立設(stands on)される。従って、書き込み電流によってMTJ108をプログラムすることができる。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTは、三端子(three-terminal)デバイスであってもよい。各書き込みトランジスタWTのゲート端は、書き込みワード線WWLの一方に結合することができ、且つ各読み出しトランジスタRTのゲート端は、読み出しワード線RWLの一方に結合することができる。各ユニットセル102内の書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTは、第1ソース/ドレイン端を介してSOT構造106に結合され、第2ソース/ドレイン端を介してソース線SLの一方に結合される。各ユニットセル102内の書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTは、ソース線SLの両者に結合されることができる。各MTJ108の一端は、下層のSOT構造106に結合され、各MTJ108の他端は、ビット線BLの一方に結合される。
【0015】
書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLを介して書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTの切り替えを制御することに用いられるワード線駆動回路WDは、書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLに結合される。電流源回路CSは、ソース線SLに結合される。電流源回路CSは、MTJ108をプログラムすることに用いられる書き込み電流(例えば、上記の面内(in-plane)を流す充電電流)と、MTJ108の抵抗状態を検知することに用いられる読み出し電流とを供給するように配置される。電流源回路CSは、ワード線駆動回路WDと組み合わせて使用される。ビット線駆動回路BDはビット線BLに結合される。ビット線駆動回路BDは、MTJ108を流す読み出し電流を検知して、MTJ108の抵抗状態を認識することに用いられる。
【0016】
図1A及び
図1Bを参照して、プログラムの動作期間中、選定ユニットセル102の書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTがともにオンにされ、書き込みトランジスタWT、読み出しトランジスタRT、及び書き込みトランジスタWTと読み出しトランジスタRTとの間のSOT構造106に書き込み電流WP(例えば、上記の面内(in-plane)を流す充電電流)が流れる。スピン軌道(spin-orbit)相互作用の結果、SOT構造106を流す書き込み電流WPにより、MTJ108にスピン軌道トルク(spin-orbit torque;SOT)が発生し、MTJ108がプログラムされる。対応する書き込みワード線WWL及び対応する読み出しワード線RWLを設置することにより書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTをオンにし、且つ、対応する2本のソース線SL間の電圧差を設定することにより書き込み電流WPを提供する。ビット線BLはフローティング(floating)であってもよい。
【0017】
図1A及び
図1Cを参照して、読み出しの動作期間中、選定ユニットセル102の読み出しトランジスタRTがオンにされるが、選定ユニットセル102の書き込みトランジスタWTがオフにされる。読み出しトランジスタRTとビット線BLとの間に結合されるMTJ108を読み出し電流RPが流れるように、ビット線BLと読み出しトランジスタRTに結合されるソース線SLとの間に電圧差を設定することができる。MTJ108内の強磁性層が平行な磁気の方向(例えば、MTJ108が低抵抗状態にあることを示す)を有するか否か、又は逆平行な磁気の方向(例えば、MTJ108が高抵抗状態にあることを示す)を有するか否かによって、MTJ108は異なる抵抗を有することができる。この可変抵抗は、読み出し電流RPの値やMTJ108の電圧降下の値に影響を与える。従って、MTJ108に記憶されたビットデータ(例えば、抵抗状態)を読み出すことができる。書き込みトランジスタWTに結合されるソース線SLは、フローティング(floating)であってもよい。
【0018】
図2は、
図1Aのユニットセル102の一方を模式的に示す3次元ビューである。
図2において、ユニットセル102の書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTは、装置ウェハのフロントエンドライン(front-end-of-line;FEOL)構造FEに形成される。書き込みトランジスタWTのゲート端は、基板200上の書き込みワード線WWLによって供給することができる。同様に、読み出しトランジスタRTのゲート端は、基板200上の読み出しワード線RWLによって供給することができる。書き込みワード線WWLと読み出しワード線RWLとは、互いに横方向に離間してもよく、且つ方向Yに沿って延伸してもよい。書き込みトランジスタWTのソース端及びドレイン端(個別に図示せず)は、書き込みワード線WWLの対向する両側に位置し、読み出しトランジスタRTのソース端及びドレイン端(個別に図示せず)は、読み出しワード線RWLの対向する両側に位置する。
【0019】
書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTがプレーナー型(planar-type)トランジスタである実施例において、書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLは、基板200の平面の表面に位置する。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース端及びドレイン端は、基板200内に形成されたドーピング領域又はエピタキシャル構造(個別に図示せず)であってもよい。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTがフィン型(fin-type)トランジスタ(例えば、FinFETs)である実施例において、書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLは、基板200上のフィン構造に位置する。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース端及びドレイン端は、書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLの対向する両側のフィン構造に形成することができるエピタキシャル構造(個別に図示せず)であってもよい。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTがナノ構造(例えば、ナノシート、ナノワイヤ、ゲートオールアラウンド(gate-all-around)など)電界効果トランジスタ(nanostructure field effect transistors、NSFETs)である実施例において、基板200上のナノ構造のスタックは、書き込みワード線WWL又は読み出しワード線RWLによって被覆される。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース端及びドレイン端は、書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLの対向する両側のナノ構造のスタックに接する(例えば横方向に接する)ように形成することができるエピタキシャル構造(個別に図示せず)であってもよい。コンタクトプラグ(contact plugs)202は、書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース/ドレイン端に位置してもよい。コンタクトプラグ202は、ソース/ドレイン端に電気的に結合されるとともに、ソース/ドレイン端とその上に被覆される導電素子との間の接続を提供する。
【0020】
幾つかの実施例において、ダミーワード線DWLは、書き込みワード線WWLと読み出しワード線RWLとの間に形成される。ダミーワード線DWL、書き込みワード線WWL及び読み出しワード線RWLは、同じ方向、例えば方向Yに沿って延伸してもよい。書き込みトランジスタWTと読み出しトランジスタRTとの間に形成されるダミートランジスタDTのゲート端は、ダミーワード線DWLに結合されてもよい。ダミートランジスタDTは、書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTと同様又は類似の構成とすることができる。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTは、それぞれ、それらのソース/ドレイン端の一方をダミートランジスタDTと共有することができる。幾つかの実施例において、ダミーワード線DWLはゲート電圧を受けることに用いられ、これはダミートランジスタDTのオフ状態を確保することができる。これにより、書き込みトランジスタWTと読み出しトランジスタRTとの干渉を低減する。従って、ダミーワード線DWLを含むダミートランジスタDTは、分離トランジスタと言われてもよい。
【0021】
ソース線SL、SOT構造106、MTJ108は、ビット線BLと共に、フロントエンドライン(FEOL)構造FE上に形成されるバックエンドライン(back-end-of-line、BEOL)構造BE内に形成することができる。幾つかの実施例において、書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTに結合されるソース線SLは、バックエンドライン(BEOL)構造BEにおける底部金属化層の複数の部分であり、ソース線SLは、方向Xに沿って延伸してもよい。ソース線SLは、コンタクトプラグ202を介して書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース/ドレイン端に結合される。書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース/ドレイン端のうちの他方は、着陸パッド(landing pads)204に結合され、バックエンドライン(BEOL)構造BEの底部金属化層内に形成されてもよい。着陸パッド204は、コンタクトプラグ202を介して書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース/ドレイン端に結合することができる。
【0022】
SOT構造106とMTJ108は底部金属化層に形成することができる。SOT構造106は、底部ビア206を介して底部電極ブリッジ14と共に底部金属化層における着陸パッド204に結合することができる。底部ビア206は、底部電極と言われてもよい。
図2に示すように、SOT構造106は少なくとも部分的に底部電極ブリッジ14の上方に延伸してもよく、且つ底部電極ブリッジ14に物理的且つ電気的に結合することができる。SOT構造106に対してオーバーエッチングを行うことによる装置の欠陥を防止するとともに、底部ビア206とSOT構造106との間のコンタクト抵抗を改善させ、装置の欠陥を低減させ、装置の性能を向上させるように、底部電極ブリッジ14を含んでもよい。SOT構造106は、底部電極ブリッジ14、底部ビア206、着陸パッド204及びコンタクトプラグ202を介して書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTのソース/ドレイン端に結合することができる。MTJ108は、底部ビア206間のSOT構造106上に形成される。MTJ108は、底部ビア206を流す書き込み電流の経路に位置する。ビット線BLは、MTJ108上の金属化層内に形成されてもよく、方向Xに沿って延伸してもよい。幾つかの実施例において、ビット線BLはトップビア208を介してMTJ108に電気的に接続される。
【0023】
【0024】
図3において、書き込みトランジスタWT、読み出しトランジスタRT及びダミートランジスタDTは、基板200上に形成される。以上に
図1A~
図1C及び
図2を参照して説明したように、各ユニットセル102は、書き込みトランジスタWTの一方及び読み出しトランジスタRTの一方を含むことができる。トランジスタがプレーナ型トランジスタである実施例において、書き込みトランジスタWTは、基板200の平面の表面上に形成された書き込みワード線WWLと、基板200内に形成されたソース/ドレイン領域700とを含む。読み出しトランジスタRTは、基板200の平坦な表面上に形成された読み出しワード線RWLと、基板200内に形成されたソース/ドレイン領域700とを含む。書き込みワード線WWLと読み出しワード線RWLはゲート誘電体層702を介して基板200から隔てられる。幾つかの実施例において、ダミートランジスタDTは、書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTと共に形成される。ダミーワード線DWLは、書き込みトランジスタWTと隣接する読み出しトランジスタRTとの間に形成されるとともに、ゲート誘電体層702を介して基板200から隔てることができる。
【0025】
書き込みトランジスタWT、読み出しトランジスタRT及びダミートランジスタDTは、プレーナ型トランジスタとして説明された。しかしながら、幾つかの実施例において、書き込みトランジスタWT、読み出しトランジスタRT及びダミートランジスタDTは、
図2を参照して説明したFinFETs、NSFETsなどであってもよく、且つ、書き込みトランジスタWT、読み出しトランジスタRT及びダミートランジスタDTにおける素子の構成は、対応して修正可能である。
【0026】
基板200は半導体基板であってもよく、例えばドープされたシリコン、又はドープされていないシリコン、又は絶縁層上の半導体(silicon on insulator、SOI)基板の能動層であってもよい。半導体基板は、ゲルマニウムなどの他の半導体材料、炭化珪素、ガリウム砒素、ガリウムリン、窒化ガリウム、リン化インジウム、砒化インジウム及び/又はアンチモン化インジウムを含む化合物半導体、シリコンゲルマニウム(SiGe)、GaAsP、AlInAs、AlGaAs、GaInAs、GaInP及び/又はGaInAsPを含む合金半導体、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。他の基板、例えば多層基板又は傾斜基板を使用してもよい。
【0027】
図4において、誘電体層704及びコンタクトプラグ202は、書き込みトランジスタWT、読み出しトランジスタRT及びダミートランジスタDT上に形成される。誘電体層704は、書き込みトランジスタWT、読み出しトランジスタRT及びダミートランジスタDTを覆うことができる。コンタクトプラグ202は、誘電体層704を貫通するとともに、ソース/ドレイン領域700に物理的且つ電気的に結合することができる。幾つかの実施例において、誘電体層704及びコンタクトプラグ202は、ダマシン(damascene)プロセス(例えば、シングルダマシンプロセス)により形成される。
【0028】
幾つかの実施例において、誘電体層704は適切な誘電体材料で形成され、上記の適切な誘電体材料は、例えば、窒化物(例えば窒化シリコン)、酸化物(例えば酸化シリコン)、SiOC、SiOCN、SiCN、リンケイ酸塩ガラス(phosphosilicate glass;PSG)、ホウ素ケイ酸塩ガラス(borosilicate glass;BSG)、ホウ素ドープリンケイガラス(boron-doped phosphosilicate glass、BPSG)、又はその他の類似するもの、又はこれらの組み合わせを含む。幾つかの実施例において、誘電体層704は低k誘電体材料であってもよく、例えば約3.0より低い誘電率(k値)を有する誘電体材料である。幾つかの実施例において、コンタクトプラグ202は、アルミニウム、コバルト、銅、銅合金、タングステン、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、これらの合金、又はその他の類似するもの、又はこれらの組み合わせのうちの1つ又は複数から製造される。コンタクトプラグ202は、ビアの側面を囲むバリア層及び/又は接着材層を含むことができ、上記のバリア層及び/又は接着材層は、例えば、1層又は複数層のチタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、窒化タングステン、ルテニウム、ロジウム、白金、その他の貴金属、その他の高融点金属(refractory metal)、これらの窒化物、これらの組み合わせ、又はその他の類似するものから形成される。
【0029】
図5において、誘電体層706、ソース線SL及び着陸パッド204は、誘電体層704及びコンタクトプラグ202上に形成される。誘電体層706は、ソース線SL及び着陸パッド204を横方向に囲むことができる。ソース線SL及び着陸パッド204は、コンタクトプラグ202に物理的且つ電気的に結合することができる。一対のソース線SLと着陸パッド204は、コンタクトプラグ202を介して各書き込みトランジスタWTのソース/ドレイン領域700に結合することができる。同様に、一対のソース線SLと着陸パッド204は、コンタクトプラグ202を介して各読み出しトランジスタRTのソース/ドレイン領域700に結合することができる。幾つかの実施例において、誘電体層706、ソース線SL及び着陸パッド204は、ダマシンプロセス(例えば、シングルダマシンプロセス)により形成される。誘電体層706は、誘電体層704と類似又は同じ材料で形成することができ、ソース線SL及び着陸パッド204は、コンタクトプラグ202と類似又は同じ材料で形成することができる。
【0030】
図6において、誘電体層708及び底部ビア206は、誘電体層706、ソース線SL及び着陸パッド204上に形成される。底部ビア206は、誘電体層708を貫通するとともに、着陸パッド204に物理的且つ電気的に結合することができる。従って、各書き込みトランジスタWTの第1ソース/ドレイン領域700はソース線SLに接続され、且つ各書き込みトランジスタWTの第2ソース/ドレイン領域700は着陸パッド204及びコンタクトプラグ202を介して底部ビア206に結合される。同様に、各読み出しトランジスタRTの第1ソース/ドレイン領域700はソース線SLに結合され、且つ各読み出しトランジスタRTの第2ソース/ドレイン領域700は着陸パッド204及びコンタクトプラグ202を介して底部ビア206に結合される。幾つかの実施例において、誘電体層708及び底部ビア206は、ダマシンプロセス(例えば、シングルダマシンプロセス)により形成される。誘電体層708は、誘電体層704と類似又は同じ材料で形成することができ、底部ビア206は、コンタクトプラグ202と類似又は同じ材料で形成することができる。
【0031】
図7A~
図7Cにおいて、誘電体層716は、誘電体層708及び底部ビア206上に形成される。
図7Bは、
図7Aの領域711の細部を示すビューである。
図7Cは、
図7Aの領域711を示す上面図である。誘電体層716は、誘電体層704と類似又は同じ材料で形成することができる。誘電体層716は許容可能な堆積プロセスを用いて形成することができ、例えばスピンコーティング(spin coating)、物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)、他の類似するプロセス、又はこれらの組み合わせである。誘電体層716をパターニングすることで、底部ビア206及び誘電体層708の複数の部分を露出させる開口715を形成することができる。続いて、開口715内に底部電極ブリッジを形成することができる。適切なフォトリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスにより誘電体層716をパターニングすることができる。例えば、誘電体層716上にフォトレジスト構造(個別に図示せず)を形成するとともに、それをパターニングすることができる。パターニングされたフォトレジスト構造をエッチングマスクとして用いることで誘電体層716をエッチングして開口715を形成することができる。適切なエッチングプロセスにより誘電体層716をエッチングすることができ、上記の適切なエッチングプロセスは、例えば、ウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセスである。その後、例えば、許容可能なアッシング(ashing)プロセスによりパターニングされたフォトレジスト構造を除去することができる。
【0032】
隣接する書き込みトランジスタWTと読み出しトランジスタRTとの間に横方向に保持した誘電体層716の複数の部分は、約20ナノメートル~約200ナノメートルの範囲の幅W1を有することができる。誘電体層716をエッチングすることで、書き込みトランジスタWTと読み出しトランジスタRTとの間の誘電体層716の複数の残りの部分は、後に開口715内に形成される底部電極ブリッジが互いに分離することを確保する所定の幅を有し、且つ、その後に底部電極ブリッジ上に形成されるSOT構造は、長すぎることなく底部電極ブリッジに延伸している。
【0033】
図8A~
図8Cにおいて、底部電極ブリッジ層13は、誘電体層708、誘電体層716及び底部ビア206上に形成されるとともに、開口715を充填する。底部電極ブリッジ層13は適切な材料で形成されてもよく、上記の適切な材料としては、例えば、タングステン(W)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、これらの組み合わせ、又はこれらの多層、又はその他の類似するものが挙げられる。底部電極ブリッジ層13は適切なプロセスを用いて堆積することができ、上記の適切なプロセスは、例えば、CVD、PVD、原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)、めっき、又は他の類似するプロセスである。底部電極ブリッジ層13は、後に形成されるSOT構造の材料に対してエッチング耐性の高い導電材料で形成することができ、これにより、底部電極ブリッジ層13はエッチングストップ層として機能することができる。
【0034】
図9A~
図9Cにおいて、底部電極ブリッジ層13に対して平坦化プロセス、例えばCMPを行い、底部電極ブリッジ14を形成する。平坦化プロセスの後、プロセスの変更において、誘電体層716と底部電極ブリッジ14の天面は互いに面一であってもよい。従って、底部電極ブリッジ14を介して誘電体層716の天面が露出する。
【0035】
図10A~
図10Cにおいて、多層薄膜スタック15は、底部電極ブリッジ14及び誘電体層716上に形成される。多層薄膜スタック15は、SOT構造16、フリー層18、バリア層20、参照層22、ピン留め層(pinned layer)24、頂部電極層26及びパターニングフォトレジスト28を含む。
図10A~
図10Cで説明した多層薄膜スタック15の多層は代表的な例であり、SOT MRAMデバイスは異なる層、異なる材料、異なる配置、異なる組成又は異なるサイズで形成することができ、その変化は本開示の範囲内であると考えられる。堆積される材料に応じて、1種又は複数種の適切な堆積技術を用いて、多層薄膜スタック15の多層を堆積させることができる。上記の堆積技術としては、例えば、CVD、PVD、ALD、スパッタリング、めっき、又はその他の類似するプロセス、又はこれらの組み合わせのような技術が挙げられる。
【0036】
SOT構造16は、誘電体層716及び底部電極ブリッジ14上に堆積することができる。幾つかの実施例において、SOT構造16は誘電体層716に物理的に接触し、且つSOT構造16は底部電極ブリッジ14に物理的且つ電気的に結合される。SOT構造16は、後に完成するユニットセル102において、スピン偏極電流(spin-polarized current)の発生器として機能する。電流をSOT構造16に流すことで、横方向にスピン偏極電流が発生し、このスピン偏極電流は、その上に被覆されたフリー層18の磁気トルク(magnetic moment)を制御することに用いられる。
【0037】
幾つかの実施例において、SOT構造16は重金属又は金属合金で形成され、重金属又は金属合金は、例えば、タングステン(W)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、これらの多層、これらの合金、これらの組み合わせ、又はその他の類似するものである。SOT構造16の厚さは、約3ナノメートル~約20ナノメートルの範囲内であってもよい。幾つかの実施例において、SOT構造16は複数のサブ層(sub-layers)で形成することができる。例えば、SOT構造16は、複数の重金属層と、複数の重金属層の間に散在する複数のダスティング層(dusting layers)とを含むことができる。ダスティング層は、絶縁材料又は非絶縁材料を含んでもよく、且つ、コバルト(Co)、コバルト鉄(CoFe)、コバルト鉄ホウ素(CoFeB)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、マグネシウム(Mg)、マグネシウム酸化物(MgO)、酸化鉄(FeOx)、酸化コバルト(CoOx)、酸化タンタル(TaOx)、これらの組み合わせ、合金又は複合体、又はそのその他の類似するものを含んでもよい。幾つかの実施例において、SOT構造16の最上層と最下層は重金属層を含んでもよい。SOT構造16は任意の数の層、例えば4つの重金属層と3つのダスティング層を含むことができる。ただし、数がより多いか又はより少ない重金属層及びダスティング層を提供することができる。SOT構造16におけるダスティング層の総厚さと重金属層の総厚さとの比率は、約1:19~約1:4の範囲内であってもよい。幾つかの実施例において、SOT構造16の多層の厚さは、SOT構造16の組成及び/又は他の特性に対して最適化することができる。
【0038】
フリー層18は、SOT構造16上に堆積することができる。フリー層18は、ユニットセル102における状態保持層(state-keeping layer)として、その磁気状態がユニットセル102の状態を決定する。例えば、フリー層18の磁気トルクは、制御可能であり(例えば、SOT構造16を流す電流を制御する)、このような方式でフリー層18の磁気トルクを制御することで、ユニットセル102の抵抗を高抵抗状態又は低抵抗状態にすることができる。ユニットセル102が高抵抗状態にあるか低抵抗状態にあるかは、フリー層18と参照層22のスピン偏極の相対的な配向(relative orientations)に依存する。フリー層18は1種又は複数種の強磁性体材料から形成されてもよく、上記の1種又は複数種の強磁性体材料は、例えば、1層又は複数層のCoFe、NiFe、CoFeB、CoFeBW、Ru、これらの合金、又はそのその他の類似するもの、又はこれらの組み合わせである。フリー層18は、多層の異なる材料、例えば2層のCoFeBの間の1層のRuを含むことができる。幾つかの実施例において、フリー層18の材料は結晶材料を含み、この結晶材料は、特定の結晶配向(crystalline orientation)、例えば(100)配向を有するように堆積される。フリー層18の適切な厚さは、フリー層18の成分やフリー層18の磁気により決定することができる。
【0039】
バリア層20はフリー層18上に堆積することができる。幾つかの実施例において、バリア層20は1種又は複数種の材料で形成され、上記の1種又は複数種の材料は、例えばMgO、AlO、AlN、又はその他の類似するもの、又はこれらの組み合わせである。幾つかの実施例において、バリア層20の材料は結晶材料を含み、この結晶材料は、特定の結晶配向(例えば(100)配向)を有するように堆積される。バリア層20の材料は、フリー層18と同じ結晶配向を有するように堆積することができる。バリア層20の厚さを制御することで、MTJ108の抵抗(RMTJ)を制御することができる。例えば、バリア層20が厚いと、MTJ108の抵抗を高くすることができる。バリア層20は、電子がバリア層20をトンネルできるように十分に薄くすることができる。
【0040】
参照層22はバリア層20上に堆積することができる。参照層22は強磁性体材料から形成されてもよく、上記の強磁性体材料は、例えば、1層又は複数層のCoFe、NiFe、CoFeB、CoFeBW、これらの合金、又はそのその他の類似するもの、又はこれらの組み合わせである。幾つかの実施例において、参照層22の材料は、特定の結晶配向、例えば(100)配向を有するように堆積される結晶材料を含む。参照層22の材料は、バリア層20と同じ結晶配向を有するように堆積することができる。参照層22の適切な厚さは、参照層22の成分や参照層22の磁気により決定することができる。
【0041】
参照層22とフリー層18の磁気の配向(magnetic orientations)によって、MTJ108の抵抗が変化し、且つ、この現象は得られたMRAMセルにデータを記憶することに用いられる。参照層22は、固定極性とされた永久磁石であってもよく、電界の印加によりフリー層18の磁気極性を変化させることができる。フリー層18の極性と参照層22の極性とが一致しているとき、MRAMセルは低抵抗状態にある。フリー層18の極性と参照層22の極性とが逆の場合、MRAMセルは高抵抗状態にある。
【0042】
ピン留め層24は、参照層22上に堆積することができる。ピン留め層24は、参照層22と交換結合(exchange coupling)することで参照層22の磁気の方向をピン留め(pin)するように配置されてもよい。幾つかの実施例において、ピン留め層24は、反強磁性(anti-ferromagnetic)材料により形成される。反強磁性体は、例えば、IrMn、PtMn、NixMn1-x(0.1<x<0.5)を含んでもよい。
【0043】
幾つかの実施例において、合成反強磁性体(synthetic anti-ferromagnets、SAF)構造(個別に図示せず)は参照層22の上に設けられる。このような実施例において、SAF構造は、ピン留め層24と参照層22との間に位置してもよい。SAF構造は、参照層22における磁気の方向のピン留めを強化することができ、かつ、SAF構造は、非磁気のスペーサ(non-magnetic spacer)層によって分離された反強磁性(anti-ferromagnetic)層を含んでもよい。反強磁性層は、コバルト/白金(Co/Pt)多層、コバルト/パラジウム(Co/Pd)多層、そのその他の類似するものを含んでもよいが、スペーサ層は、ルテニウム層又はその他の類似するものを含んでもよい。幾つかの実施例において、多層薄膜スタック15は、参照層22に磁気の方向をピン留めするためのSAF構造を含み、且つ、ピン留め層24は省略される。
【0044】
頂部電極層26は、ピン留め層24上に設けられてもよい。頂部電極層26は、MTJ108の頂部に結合される導電パターンとの電気的接続を提供することに用いられることができる。幾つかの実施例において、頂部電極層26は、ハードマスク層として機能することができる。頂部電極層26は任意の適切な材料で形成されることができ、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、タングステン、又はその他の類似するもの、又はこれらの組み合わせである。
【0045】
パターニングフォトレジスト28は頂部電極層26に堆積することができる。パターニングフォトレジスト28は、多層薄膜スタック15の多層をエッチングすることに用いられるマスクとして機能し、MTJ108を形成する。スピンコーティング又は他の類似するプロセスにより頂部電極層26上にフォトレジスト層(個別に図示せず)を堆積させることができる。パターニングエネルギー源(例えば、パターニング光源)にフォトレジスト層を露光し、現像することで、フォトレジスト層をパターニングしてフォトレジスト層の露光部分又は未露光部分を除去し、これにより、パターニングフォトレジスト28を形成することができる。
図10Cに示すように、パターニングフォトレジスト28は上面図において円形(例えば楕円形)を有することができる。しかしながら、幾つかの実施例において、パターニングフォトレジスト28は矩形又は他の形状を有することができる。パターニングフォトレジスト28は、約20ナノメートル~約30ナノメートルの範囲内の幅W
2を有することができる。パターニングフォトレジスト28の幅は、隣接する一対の底部電極ブリッジ14の間に設けられた誘電体層716の一部の幅より大きくてもよい。その後のエッチングでは、すなわち、MTJ108の形成と同時にSOT構造16をエッチングし、SOT構造16が少なくとも部分的に底部電極ブリッジ14と重なることを確保するために、パターニングフォトレジスト28に所定の幅を設ける。従って、SOT構造16をエッチングする期間中、底部電極ブリッジ14はエッチングストッパとして機能し、且つ、下層構造への損傷が防止される。
【0046】
図11A~
図11Cにおいて、頂部電極層26、ピン留め層24、参照層22、バリア層20、フリー層18及びSOT構造16はパターニングされ、且つパターニングフォトレジスト28が除去される。パターニングフォトレジスト28は、下層の多層をパターニングするように、マスクとして用いられる。頂部電極層26をパターニングして頂部電極27を形成する。頂部電極27、ピン留め層24、参照層22、バリア層20及びフリー層18の組み合わせは、それぞれのMTJ108を形成する。1又は複数のエッチングプロセス(例えば異方性エッチングプロセス)は、MTJ108をパターニングすることに用いることができる。幾つかの実施例において、エッチングプロセスは、反応性イオンエッチング(reactive ion etching;RIE)、中性ビームエッチング(neutral beam etching;NBE)、又は他の類似するプロセス、又はこれらの組み合わせを含むことができる。MTJ108をエッチングした後、例えばフォトレジスト除去(stripping)プロセス又はアッシング(ashing)プロセスによりパターニングフォトレジスト28を除去することができる。
図11Cに示すように、頂部電極27は上面図において円形(例えば楕円形)を有することができる。しかしながら、幾つかの実施例において、頂部電極27は矩形又は他の形状を有することができる。MTJ108の多層は、基板200から離れる方向に向かって徐々に細くなるテーパー状の側面を有してもよい。SOT構造16は、基板200から離れる方向に向かって徐々に細くなり、MTJ108のテーパ状の側面と連続するテーパ状の側面を有してもよい。
【0047】
図11A~
図11Cは、SOT構造16の一部がエッチングされ貫通されたことを示しているが、以下で詳細に後述するように、SOT構造16はMTJ108の形成後に比較的エッチングされずに残るか、MTJ108の形成期間中にエッチングされ貫通されてもよい。SOT構造16をエッチングして貫通する実施例において、底部電極ブリッジ14は、SOT構造16をエッチングするエッチングストップ層として機能する。これは、下層構造のオーバーエッチングを防止し、且つ誘電体層716の損傷を防止し、SOT構造16のプロセスウィンドウ(process window)を増加させ、MTJ108の下方における分流(shunting)電流を防止し、装置の欠陥を減少させ、且つ装置の性能を向上させる。
【0048】
図12A~
図12Cにおいて、SOT構造16をパターニングしてSOT構造106を形成する。適切なフォトリソグラフィ及びエッチング技術によりSOT構造16をパターニングすることができる。
図12Cに示すように、SOT構造106は上面図において矩形状を有することができる。しかしながら、幾つかの実施例において、SOT構造106は円形又は他の形状を有することができる。MTJ108を形成する際のSOT構造16のエッチングにより、SOT構造106は段差構造を有することができる。SOT構造106の頂部は平面視において円形状を有することができるが、SOT構造106の下部は平面視において矩形状を有することができる。
図12A~
図12Cに示すように、各SOT構造106の側面は横方向に一対の底部電極ブリッジ14の側面に設けられてもよい。従って、SOT構造16をエッチングする期間中、底部電極ブリッジ14はエッチングストッパとして機能する。これは、下層構造のオーバーエッチングを防止し、且つ誘電体層716の損傷を防止し、SOT構造16のプロセスウィンドウ(process window)を増加させ、良好なTMRを確保して、SOT構造16をエッチングすることができ、MTJ108の下方における分流(shunting)電流を防止し、装置の欠陥を減少させ、且つ装置の性能を向上させる。幾つかの実施例において、SOT構造106の側面は底部電極ブリッジ14の側面と横方向に整列することができる。
【0049】
図13において、
図12A~
図12Cの構造上に誘電体層718が形成され、誘電体層718にトップビア208が形成される。説明の便宜上、MTJ108とSOT構造106は
図13以降では簡略化される。誘電体層718はMTJ108、SOT構造106、底部電極ブリッジ14及び誘電体層716に堆積することができる。誘電体層718は誘電体層704と類似又は同じ材料で形成することができ、誘電体層718の形成は、許容可能な堆積プロセス、例えばスピンコーティング、PVD、CVD、又は他の類似するプロセス、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
【0050】
MTJ108を露出する開口(個別に図示せず)を形成するように、誘電体層718をパターニングすることによってトップビア208を形成することができる。適切なフォトリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスにより誘電体層718をパターニングすることができる。例えば、誘電体層718上にフォトレジスト構造(個別に図示せず)を形成するとともに、それをパターニングすることができる。パターニングされたフォトレジスト構造をエッチングマスクとして用いることで誘電体層718をエッチングして開口を形成することができる。誘電体層718のエッチングは適切なエッチングプロセス、例えば、ウェットエッチング又はドライエッチングを用いることができる。その後、例えば、許容可能なアッシングプロセスによりパターニングされたフォトレジスト構造を除去することができる。拡散バリア層、接着(adhesion)層等のライナー(liner)(個別に図示せず)は導電材料と共に開口に形成される。ライナーは、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、又はその他の類似するものを含むことができる。導電材料は、銅、銅合金、銀、金、タングステン、ルテニウム、コバルト、アルミニウム、ニッケル又はその他の類似するものであってもよい。CMP等の平坦化プロセスを行うことで誘電体層718の表面より上方から余分な材料を除去してもよい。ライナーの残りの部分は導電材料と共に、開口においてトップビア208を形成する。トップビア208はMTJ108に物理的且つ電気的に結合することができる。誘電体層718はSOT構造106、MTJ108及びトップビア208を横方向に囲むことができる。
【0051】
図14において、誘電体層720及びビット線BLは誘電体層718及びトップビア208上に形成される。誘電体層720は、ビット線BLを横方向に囲むことができる。ビット線BLは、トップビア208に物理的且つ電気的に結合することができる。幾つかの実施例において、誘電体層720及びビット線BLを形成することに用いられる方法は、ダマシンプロセス(例えば、シングルダマシンプロセス)を含む。幾つかの実施例において、誘電体層718、誘電体層720、トップビア208及びビット線BLは、デュアルダマシンプロセスにより形成される。
【0052】
図14において、更に、ユニットセル102が形成される。各ユニットセル102は、ビット線BL、MTJ108、SOT構造106、2つの底部電極ブリッジ14、2つの底部ビア206、2本のソース線SL、書き込みワード線WWL、読み出しワード線RWL、書き込みトランジスタWT及び読み出しトランジスタRTを含む。底部電極ブリッジ14は、SOT構造106と底部ビア206との間のコンタクト抵抗を低減することができる。底部電極ブリッジ14は、SOT構造106のパターニング期間中にエッチングストップ層として機能し、これは、下層(例えば、誘電体層716及び誘電体層708)へのダメージを防止し、SOT構造106をパターニングするためのプロセスウィンドウ(process window)を強化し、良好なTMRを確保し、装置の欠陥を低減し、装置の性能を向上させ、歩留まりを向上させる。
【0053】
SOT構造106及びMTJ108は、BEOL構造BEの底部から開始する第1金属化層と第2金属化層との間に形成されているものとして説明したが、SOT構造106及びMTJ108は、BEOL構造BEにおいて上下に隣接する他の金属化層の間に形成されてもよく、SOT構造106及びMTJ108をルーティングする(routing)ようにBEOL構造BEにより多くの導電特徴(conductive features)を形成してもよい。BEOLプロセスを更に実行して半導体装置を形成することができる。パッケージングされた半導体装置を形成するように、半導体装置に対してパッケージングプロセスを行うことができる。
【0054】
図15A及び
図15Bは、MTJ108をパターニングすることに用いられるエッチングプロセスの期間中、SOT構造16をエッチングして貫通することでSOT構造106を形成する実施例を示す。SOT構造16をエッチングして貫通するとともにSOT構造106を形成することに用いられるエッチングプロセスは、SOT構造16がより長時間エッチングされることを除き、
図11A~
図11Cにおいて以上に検討したプロセスと同じ又は類似してよい。MTJ108の多層は、基板200から離れる方向に向かって徐々に細くなるテーパー状の側面を有してもよい。SOT構造106は、基板200から離れる方向に向かって徐々に細くなり、MTJ108のテーパ状の側面と連続するテーパ状の側面を含んでもよい。
【0055】
図15A及び
図15Bに示すように、SOT構造106は、底部電極ブリッジ14と少なくとも部分的に重なる。SOT構造106の対向する側面は、それぞれ、下層の底部電極ブリッジ14の対向する側面の間に横方向に位置してもよい。底部電極ブリッジ14は、SOT構造16をエッチングすることに用いられるエッチングストップ層として機能し、SOT構造106を形成する。これは、下層構造(例えば誘電体層716及び誘電体層708)のオーバーエッチングを防止し、下層構造へのダメージを防止し、SOT構造16のプロセスウィンドウ(process window)を増加させ、装置の欠陥を減少させ、且つ装置の歩留まりを向上させる。また、底部電極ブリッジに少なくとも部分的に延伸しているSOT構造106を形成することで、MTJ108の下方の分流電流を防止し、TMRを改善し、装置の性能を改善する。SOT構造106は、底部ビア206の間に設けられて底部ビア206と重ならなくてもよい。
図15Bに示すように、SOT構造106は上面図において円形(例えば楕円形)を有することができる。しかしながら、幾つかの実施例において、SOT構造106及びMTJ108は矩形又は他の形状を有することができる。
【0056】
図16A及び
図16Bは、MTJ108をパターニングすることに用いられるエッチングプロセスでSOT構造16が基本的にエッチングされない実施例を示す。
図12A~
図12Cにおいて以上に検討したのと同じ又は類似するプロセスでSOT構造16をエッチングすることができる。SOT構造106は、段差状の輪郭ではなく、平坦な天面を有することができる。
図16A及び
図16Bの実施例において、SOT構造16はMTJ108をパターニングすることに用いられるエッチングストップ層として機能するが、底部電極ブリッジ14はSOT構造106をパターニングすることに用いられるエッチングストップ層として機能する。
【0057】
図16A及び
図16Bに示すように、SOT構造106は、底部電極ブリッジ14と少なくとも部分的に重なる。SOT構造106の対向する側面は、それぞれ、下層の底部電極ブリッジ14の対向する側面の間に横方向に位置してもよい。SOT構造106のパターニング期間中、底部電極ブリッジ14をエッチングストッパ層として利用することで、下層構造(例えば誘電体層716及び誘電体層708)のオーバーエッチングを防止し、下層構造へのダメージを防止し、SOT構造106のプロセスウィンドウ(process window)を増加させ、装置の欠陥を減少させ、且つ装置の歩留まりを向上させることができる。また、底部電極ブリッジ上に少なくとも部分的に延伸していたSOT構造106を形成することで、MTJ108の下方の分流電流を防止し、TMRを改善し、装置の性能を向上させることができる。
図16Bに示すように、SOT構造106は上面図において矩形状を有することができる。しかしながら、幾つかの実施例において、SOT構造106は円形又は他の形状を有することができる。
【0058】
図17A及び
図17Bは、デュアルダマシンプロセスにより誘電体層708内に底部電極107を形成する実施例を示す。この実施例において、誘電体層716が省略され、個別の底部電極ブリッジ14と底部ビア206は底部電極107に置き換えられる。第1開口(個別に図示せず)を形成するように、誘電体層708をパターニングすることによって底部電極を形成することができる。適切なフォトリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスにより誘電体層708をパターニングすることができる。例えば、誘電体層708上に第1フォトレジスト構造(個別に図示せず)を形成するとともに、それをパターニングすることができる。第1パターニングフォトレジスト構造をエッチングマスクとして用いることで誘電体層708をエッチングして第1開口を形成することができる。誘電体層708のエッチングは適切なエッチングプロセス、例えば、ウェットエッチング又はドライエッチングを用いることができる。続いて、例えば、許容可能なアッシングプロセスによりパターニングされたフォトレジスト構造を除去することができる。その後、第2パターニングフォトレジストを用いてこのパターニングプロセスを繰り返して第1開口を延伸し且つ第2開口(個別に図示せず)を形成する。その後、第1開口及び第2開口に底部電極107を堆積させる。底部電極107の形成は、適切な材料、例えばタングステン(W)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、これらの組み合わせ、又はこれらの多層、又はその他の類似するものを用いることができる。CVD、PVD、ALD、めっき、又は他の類似するプロセスのような適切なプロセスを用いて底部電極107を堆積させることができる。SOT構造106の材料に対してエッチング耐性の高い導電材料で底部電極107を形成することができ、これは底部電極107をエッチングストップ層として機能させることができる。デュアルダマシンプロセスにより底部電極107を形成することで、ユニットセル102を形成するための材料及びプロセスステップが減少され、コストが削減されるとともに、ユニットセル102の厚さが薄くなる。
【0059】
誘電体層708の、隣接する底部電極107間に横方向に保留した複数の部分は、約20ナノメートル~約200ナノメートルの範囲内である幅W1を有することができる。底部電極107間の誘電体層708の残り部分が所定の幅を有し、底部電極107同士が隔てられることを確保するように、誘電体層708をエッチングし、且つ、その後、底部電極107上に形成されたSOT構造106が、長すぎることなく底部電極107に延伸する。
【0060】
図18は、
図10A~
図10C、
図11A~
図11C、
図12A~
図12C及び
図13~
図14で検討したのと同じ又は類似するプロセスを実行してSOT構造106、MTJ108、トップビア208、ビット線BL、SOT構造106、MTJ108及びトップビア208を横方向に囲む誘電体層718、及びビット線BLを横方向に囲む誘電体層720を形成した後の
図17A及び
図17Bの実施例について説明する。以上に説明したように、デュアルダマシンプロセスにより底部電極107を形成することで、ユニットセル102を形成するための材料及びプロセスが減少され、コスト化が削減され、そしてユニットセル102の厚さが薄くなり、同時に底部電極ブリッジ14を含むことによる効果と同じ又は類似する効果を依然として提供する。
【0061】
実施例によれば、優位性を実現することができる。例えば、底部電極ブリッジ14は複数種の材料で形成することができ、且つ底部ビア206とSOT構造106とのコンタクト抵抗を低減することができる。底部電極ブリッジ14は、MTJ108及びSOT構造106をパターニングする期間中にエッチングストッパとして機能することができるとともに、下層構造へのダメージを防止することができる。SOT構造106をパターニングすることで少なくとも部分的に底部電極ブリッジ14に沿って延伸し、SOT構造106と底部電極ブリッジ14との間のコンタクト抵抗を更に低減し、MTJ108の下方の分流(shunting)を低減し、且つTMRを改善することができる。このようにすると、装置の欠陥を低減することができ、装置の歩留まりを向上させることができるとともに、装置の性能を向上させることができる。
【0062】
一実施例によれば、第1ビアに位置する第1電極と、第2ビアに位置する第2電極と、第1電極及び第2電極に物理的且つ電気的に結合され、第1電極及び第2電極と重なるスピン軌道トルク構造(spin-orbittorque、SOT)と、スピン軌道トルク構造に位置する磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)と、を含むメモリである。一実施例において、スピン軌道トルク構造は、段差構造を有する。一実施例において、スピン軌道トルク構造は、平面視において、矩形状を有する複数の第1側面を含み、スピン軌道トルク構造は、平面視において、円形状を有する複数の第2側面を含む。一実施例において、磁気トンネル接合は、平面視において、スピン軌道トルク構造と共に円形状を有する。一実施例において、スピン軌道トルク構造は、平面視において、矩形状を有し、磁気トンネル接合は、平面視において、円形状を有する。一実施例において、第1電極の頂面の第1部分はスピン軌道トルク構造に物理的に結合され、第1電極の頂面の第2部分はスピン軌道トルク構造に接触しない。一実施例において、第1電極は第1方向において第2電極と第1距離だけ隔て、且つ、磁気トンネル接合は第1方向において第1距離より大きい第1幅を有する。一実施例において、第1距離は20ナノメートル以上であり、且つ、第1幅は30ナノメートル以下である。一実施例において、スピン軌道トルク構造は、重金属材料と重金属材料と異なる第一材料からなる複数の交互層を含む多層スタックを含む。一実施例において、重金属材料は、タングステン、白金又はタンタルを含み、第1材料は、コバルト、コバルト鉄、コバルト鉄ホウ素、タンタル、ルテニウム、マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化コバルト又は酸化タンタルを含む。
【0063】
他の実施例によれば、第1誘電体層に第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジを形成するステップと、第1誘電体層、第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジにスピン軌道トルク構造を堆積させるステップと、スピン軌道トルク構造に磁気トンネル接合スタックを堆積させるステップと、磁気トンネル接合スタックに、第1方向において第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジの第1方向における第1距離より大きい第1幅を有するパターニングフォトレジストを形成するステップと、パターニングフォトレジストをマスクとして用いて磁気トンネル接合スタックをパターニングすることで磁気トンネル接合を形成するステップと、を含む方法である。一実施例において、上記方法は、第2誘電体層に第1ビア及び第2ビアを形成するステップと、第1ビア、第2ビア及び第2誘電体層に第1誘電体層を堆積させるステップと、第1誘電体層をエッチングすることで第1ビア及び第2ビアを露出する複数の第1開口を形成するステップであって、第1ビア及び第2ビアにそれぞれ電気的に結合される第1底部電極ブリッジ及び第2底部電極ブリッジは前記複数の第1開口に形成されるステップと、を更に含む。一実施例において、磁気トンネル接合スタックをパターニングすることによってスピン軌道トルク構造を部分的にエッチングし、スピン軌道トルク構造は磁気トンネル接合スタックをパターニングした後に段差構造を有するようになる。一実施例において、磁気トンネル接合スタックをパターニングすることによってスピン軌道トルク構造をエッチングし、スピン軌道トルク構造は磁気トンネル接合スタックをパターニングした後に磁気トンネル接合スタックと連続する複数の側壁を有する。
【0064】
更に他の実施例によれば、半導体基板に位置する第1誘電体層と、第1誘電体層内に位置する第1底部電極及び第2底部電極と、第1底部電極及び第2底部電極に位置するスピン軌道トルク構造と、スピン軌道トルク構造に位置し、半導体基板の主面に垂直な第1方向において第1底部電極及び第2底部電極と重なる磁気トンネル接合と、を含むメモリ装置である。一実施例において、第1底部電極及び第2底部電極は、タングステン、白金、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン又はアルミニウムを含む。一実施例において、スピン軌道トルク構造は、重金属材料と重金属材料と異なる第1材料とからなる複数の交互層を含む多層スタックを含み、第1材料を含む多層の総厚さと重金属材料を含む多層の総厚さとの比率は1:19から1:4の範囲内である。一実施例において、スピン軌道トルク構造は、4層の重金属材料及び3層の第1材料を含む。一実施例において、スピン軌道トルク構造は、第1底部電極及び第2底部電極に物理的且つ電気的に結合される。一実施例において、第1底部電極は、半導体基板の主面に平行な第2方向において第2底部電極と20ナノメートルより大きい第1距離で隔てられ、且つ、磁気トンネル接合は第2方向において30ナノメートルより小さい第1幅を有する。
【0065】
以上で複数の実施例の特徴を概括したので、当業者が本開示の態様をよりよく理解することができる。当業者であれば、本開示を基礎として他のプロセス及び構造を容易に設計又は修正することができることによって、本明細書で紹介されたこれら実施例と同じ目的及び/又は同じ利点を達成することを理解すべきである。当業者は、このような等価構造は本開示の精神及び範囲から逸脱せず、且つこのような等価構造は本開示の精神及び範囲から逸脱せずに様々な変更、置換、及び代替を行うことができることを認識すべきである。
【符号の説明】
【0066】
13 底部電極ブリッジ層
14 底部電極ブリッジ
15 多層薄膜スタック
16,106 スピン軌道トルク(SOT)構造
18 フリー層
20 バリア層
22 参照層
24 ピン留め層
26 頂部電極層
27 頂部電極
28 パターニングフォトレジスト
100 メモリ配列
102 ユニットセル
107 底部電極
108 磁気トンネル接合(MTJ)
200 基板
202 コンタクトプラグ
204 着陸パッド
206 底部ビア
208 トップビア
700 ソース/ドレイン領域
702 ゲート誘電体層
704、706、708、716、718、720 誘電体層
711 領域
715 開口
BD ビット線駆動回路
BE バックエンドライン(BEOL)構造
BL ビット線
CS 電流源回路
DT ダミートランジスタ
DWL ダミーワード線
FE フロントエンドライン(FEOL)構造
RP 読み出し電流
RT 読み出しトランジスタ
RWL 読み出しワード線
SL ソース線
WD ワード線駆動回路
WP 書き込み電流
WT 書き込みトランジスタ
WWL 書き込みワード線
W1、W2 幅
X、Y 方向