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▶ 日本製粉株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119710
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】天ぷら衣用ミックス粉
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/157 20160101AFI20230822BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20230822BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L5/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022706
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】上垣外 雪絵
【テーマコード(参考)】
4B025
4B035
【Fターム(参考)】
4B025LB05
4B025LG04
4B025LG19
4B025LG32
4B025LG42
4B025LG54
4B025LK01
4B025LK07
4B025LP01
4B025LP08
4B025LP10
4B035LC03
4B035LE17
4B035LG02
4B035LG15
4B035LG33
4B035LG35
4B035LG42
4B035LK01
4B035LK05
4B035LK13
4B035LP07
4B035LP21
4B035LP27
4B035LP31
(57)【要約】
【課題】さくさくとした食感で花咲きが良い天ぷらの衣を得ることができる天ぷら衣用ミックス粉を提供すること。
【解決手段】穀粉及び澱粉の合計100質量部に対して、(A)粉末状大豆蛋白を0.3質量部以上5.0質量部以下、(B)炭酸カルシウムを0.1質量部以上4.0質量部以下、(C)HLB3~7の乳化剤を0.01質量部以上3.0質量部以下、含むことを特徴とする天ぷら衣用ミックス粉である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉及び澱粉の合計100質量部に対して、
(A)粉末状大豆蛋白を0.3質量部以上5.0質量部以下、
(B)炭酸カルシウムを0.1質量部以上4.0質量部以下、
(C)HLB3~7の乳化剤を0.01質量部以上3.0質量部以下
含むことを特徴とする天ぷら衣用ミックス粉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天ぷら衣用ミックス粉に関する。
【背景技術】
【0002】
天ぷらの衣に求められている特性としては様々なものがあるが、例えば、花咲きの良さや、さくさくとした食感を挙げることができ、これらを目的とした様々な試みが、なされている。
例えば、デュラム小麦粉及び湿熱処理小麦粉を含有することを特徴とする天ぷら衣用ミックスが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、穀粉および/または澱粉、ならびにポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンおよび有機酸モノグリセリドからなる群より選択される1種以上の乳化剤を含有し、かつ対粉100~200質量%に加水した場合の粘度が2~4.5Pa・sである、天ぷら衣用ミックスが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-52232号公報
【特許文献2】WO2016/010060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、さくさくとした食感で花咲きが良い天ぷらの衣を得ることができる天ぷら衣用ミックス粉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、穀粉及び澱粉の総量に対して特定の割合で、粉末状大豆蛋白、炭酸カルシウム、及び乳化剤を使用することで、さくさくとした食感で花咲きが良い天ぷらの衣を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、穀粉及び澱粉の合計100質量部に対して、(A)粉末状大豆蛋白を0.3質量部以上5.0質量部以下、(B)炭酸カルシウムを0.1質量部以上4.0質量部以下、(C)HLB3~7の乳化剤を0.01質量部以上3.0質量部以下、含むことを特徴とする天ぷら衣用ミックス粉である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の天ぷら衣用ミックス粉を使用することにより、さくさくとした食感で花咲きが良い天ぷらの衣を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の天ぷらとは小麦粉その他の穀粉や澱粉等に水等を加えバッターを調製し、魚介、畜肉、野菜等の素材を、このバッターで被覆してフライした食品をいう。
本発明で使用する穀粉や澱粉は、従来から天ぷらに使用されている穀粉や澱粉が使用でき特に限定はない。
例えば、小麦粉として薄力粉、中力粉、強力粉や、これらを熱処理したものを挙げることができる。
また、小麦粉以外の穀粉として、そば粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、トウモロコシ粉、オーツ粉末等を挙げることができる。
また、澱粉として、例えば、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、さつまいも澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、さご澱粉、くず澱粉等を挙げることができる。
これらの澱粉は未加工の生澱粉でも、リン酸架橋、アセチル化などのエステル化やヒドロキシプロピル化などのエーテル化、湿熱処理、温水処理、油脂加工、α化等の加工した澱粉でもよい。
これらの穀粉や澱粉は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0008】
本発明では、粉末状大豆蛋白を穀粉及び澱粉の合計100質量部に対して、0.3質量部以上5.0質量部以下使用する。
使用できる粉末状大豆蛋白は、従来からフライ食品の衣に使用されている粉末状大豆蛋白が使用でき特に限定はない。
例えば、粉末状濃縮大豆蛋白や分離大豆蛋白を挙げることができる。
粉末状大豆蛋白の使用量が0.3質量部未満では、効果が十分に得られず、5.0質量部を超えると食感がかたくなり好ましくない。
【0009】
本発明では、炭酸カルシウムを穀粉及び澱粉の合計100質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下使用する。
使用できる炭酸カルシウムは、天然由来の重質炭酸カルシウムや人工的に調製した軽質炭酸カルシウムのいずれも使用でき特に限定はない。
炭酸カルシウムは、熱分解するため膨張剤として使用されることが多いが、本発明では、炭酸カルシウムを使用することで食感と外観の改良を行っている。
重質炭酸カルシウムは一般的に粒度が粗いので食感の点で好ましく使用できる。
炭酸カルシウムの使用量が0.1質量部未満では、効果が十分に得られず、4.0質量部を超えると花咲きが少なくなり好ましくない。
【0010】
本発明では、HLB3以上7以下の乳化剤を穀粉及び澱粉の合計100質量部に対して、0.01質量部以上3.0質量部以下使用する。
乳化剤の種類は、HLBが3以上7以下であれば、従来からフライ食品の衣に使用されている種類の乳化剤が使用でき、例えば、グリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステル等が使用できる。
乳化剤の使用量が0.01質量部未満では、効果が十分に得られず、3.0質量部を超えると十分な花咲きが得られないため好ましくない。
また、フライ時に衣が散りやすくなるため作業性も劣る傾向がある。
【0011】
天ぷら衣用ミックス粉は、前記穀粉及び澱粉、粉末状大豆蛋白、炭酸カルシウム、乳化剤以外に、従来から、天ぷら衣用ミックス粉に使用されている原料が使用でき特に限定はない。
例えば、膨張剤、卵黄、卵白、色素、食物繊維、粉末油脂、香料、ビタミン類、ミネラル類を挙げることができる。
また、使用方法も、従来の天ぷら衣用ミックス粉の使用方法と同様でよく特に限定はない。
【実施例0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~8、比較例1~6、参考例1]
薄力小麦粉100質量部に対して表1に示す量の粉末状大豆蛋白、重質炭酸カルシウム、HLB5のショ糖ステアリン酸エステル、及びベーキングパウダー1.0質量部をよく混合して、天ぷら衣用ミックス粉を得た。
表中、配合量の単位は質量部である。
得られた天ぷら衣用ミックス粉100質量部に水を150質量部加え、ホイッパーで撹拌し、天ぷら衣用バッターを調製した。
小麦粉で打ち粉をした、のばし海老(平均重量15g)を、得られた天ぷら衣用バッターにくぐらせ被覆し、170℃に予熱したサラダ油で2分間フライして海老の天ぷらを得た。
粗熱をとり、以下の評価基準で10名のパネラーにより衣の食感(歯切れ)と外観の評価を行った。
<食感>
5点 非常にサクサクして、非常に良い
4点 サクサクして、良い
3点 普通
2点 あまりサクサクとせず、悪い
1点 サクサクとせず、非常に悪い
<外観>
5点 尖った花咲きがとても多く、見た目が華やかで、非常に良い
4点 尖った花咲きが多く、良い
3点 普通
2点 花咲が少なく、悪い
1点 花咲きがなく、非常に悪い
得られた結果を表2、表3に示す。
食感と外観の両方とも3.5点以上であるものを合格とした。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
比較例2、比較例6は、食感は優れていたが外観が劣るため不合格となった。
比較例4は、外観は優れていたが、食感が劣り不合格となった。