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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119940
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】基板処理装置、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20230822BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230822BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230822BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 N
H01L21/31 B
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023083
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】林 伊吹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 靖
(72)【発明者】
【氏名】本間 学
(72)【発明者】
【氏名】田口 純之介
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030EA04
4K030EA11
4K030FA10
4K030GA06
4K030HA01
4K030KA45
5F045AA06
5F045AC15
5F045AC16
5F045DP15
5F045DP27
5F045DP28
5F045EB02
5F045EB10
5F045EE19
5F045EF03
5F045EF08
5F045EJ03
5F045EJ09
5F045EK07
5F045EM10
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA15
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA24
5F131EB67
5F131JA33
(57)【要約】
【課題】処理容器内に供給された処理ガスが、載置台の下面側に回り込むことを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、処理容器と、処理容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、回転テーブルの回転中心から離間した位置で回転テーブルと相対的に回転可能な載置台と、載置台に載置された基板に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、処理ガスが供給される処理領域に隣接する複数の領域に分離ガスを供給して、複数の分離領域を形成する分離ガス供給部と、処理容器の内部に連通する1以上の排気口を介してガスを排気するガス排気部と、を備える。排気口は、複数の分離領域の間の処理領域であって、かつ回転テーブルよりも鉛直方向上側に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が内部に搬送される処理容器と、
前記処理容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転中心から離間した位置で前記回転テーブルと相対的に回転可能であり、かつ前記基板を載置する載置台と、
前記回転テーブルの鉛直方向上側に設けられ、前記載置台に載置された前記基板に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理ガスが供給される処理領域に隣接する複数の領域に分離ガスを供給して、複数の分離領域を形成する分離ガス供給部と、
前記処理容器の内部に連通する1以上の排気口を有し、当該排気口を介してガスを排気するガス排気部と、を備え、
前記排気口は、複数の前記分離領域の間の前記処理領域であって、かつ前記回転テーブルよりも鉛直方向上側に配置される、
基板処理装置。
【請求項2】
1以上の前記排気口のうち少なくとも1つは、前記回転テーブルの外縁よりも外側に設けられる、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス排気部は、前記回転テーブルの外縁よりも外側で、前記処理容器の内周面に沿って周回する外側排気構造体を備え、
前記外側排気構造体は、前記回転テーブルよりも鉛直方向上側に配置される部材を備え、当該部材に前記回転テーブルの外縁よりも外側の前記排気口を有する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
1以上の前記排気口のうち少なくとも1つは、前記載置台よりも前記回転テーブルの回転中心側に設けられる、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理容器は、凹状の本体と、前記本体の鉛直方向上側を閉塞する天板と、を含み、
前記回転テーブルの回転中心側の前記排気口は、前記天板に設けられる、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理領域は、前記基板に付着する原料ガスを供給する原料ガス吸着領域である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理領域は、前記基板に付着した原料ガスと反応する反応ガスを供給する反応ガス供給領域である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理容器は、複数の前記分離領域により分離された2つの前記処理領域を有し、
2つの前記処理領域は、前記基板に付着する原料ガスを供給する原料ガス吸着領域、および前記原料ガスと反応する反応ガスを供給する反応ガス供給領域である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記処理容器は、複数の前記分離領域により分離された2つの前記処理領域を有し、
2つの前記処理領域のうちの一方は、前記回転テーブルよりも鉛直方向上側に前記排気口を配置し、2つの前記処理領域のうちの他方は、前記回転テーブルよりも鉛直方向下側に前記排気口を配置している、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記回転テーブルと前記処理容器の間のテーブル下方空間に不活性ガスを導入可能な不活性ガス供給部を備え、
前記排気口は、前記処理ガスと共に前記不活性ガスを排気する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
処理容器の内部に設けられた回転テーブルに基板を搬送する工程と、
前記回転テーブルを回転しつつ、前記回転テーブルの回転中心から離間した位置に設けられた前記基板を載置する載置台を、前記回転テーブルと相対的に回転させる工程と、
前記回転テーブルの鉛直方向上側から前記載置台に載置された前記基板に処理ガスを供給する工程と、
前記処理ガスが供給される処理領域に隣接する複数の領域に分離ガスを供給して、複数の分離領域を形成する工程と、
前記処理容器の内部に連通する1以上の排気口を介してガスを排気する工程と、を有し、
前記ガスを排気する工程では、複数の前記分離領域の間の前記処理領域であって、かつ前記回転テーブルよりも鉛直方向上側に設けられた前記排気口から前記ガスを排気する、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理容器内で回転可能な回転テーブルと、回転テーブルに設けられると共に当該回転テーブルに対して相対的に回転(自転)可能な複数の載置台と、を備えた基板処理装置が開示されている。例えば、基板処理装置は、複数種類の処理ガスを処理容器内に供給しつつ回転テーブルおよび載置台を回転することで、各載置台に載置された基板に膜を成膜する。
【0003】
また、特許文献1に開示の基板処理装置は、複数種類の処理ガスの間に分離ガスを供給する分離ガス供給部と、処理容器内から各処理ガスおよび分離ガスを排出するガス排気部と、を備える。分離ガスは、第1の処理ガスと第2の処理ガスを分離することで、処理容器内における第1の処理ガスと第2の処理ガスの混合を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021‐111758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、処理容器内に供給された処理ガスが、載置台の下面側に回り込むことを抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板が内部に搬送される処理容器と、前記処理容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルの回転中心から離間した位置で前記回転テーブルと相対的に回転可能であり、かつ前記基板を載置する載置台と、前記回転テーブルの鉛直方向上側に設けられ、前記載置台に載置された前記基板に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、前記処理ガスが供給される処理領域に隣接する複数の領域に分離ガスを供給して、複数の分離領域を形成する分離ガス供給部と、前記処理容器の内部に連通する1以上の排気口を有し、当該排気口を介してガスを排気するガス排気部と、を備え、前記排気口は、複数の前記分離領域の間の前記処理領域であって、かつ前記回転テーブルよりも鉛直方向上側に配置される、基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、処理容器内に供給された処理ガスが、載置台の下面側に回り込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る成膜装置の構成例を示す縦断面図である。
図2図1の成膜装置の処理容器内の構成を示す平面図である。
図3図1の成膜装置の回転テーブルおよび載置台の構成を示す斜視図である。
図4】基板処理方法の処理フローを示すフローチャートである。
図5】ガス排気部によるガスの排気動作を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〔基板処理装置〕
図1図3を参照して、基板処理装置の一例である、基板Wに膜を形成する成膜装置1について説明する。図1は、一実施形態に係る成膜装置1の構成例を示す縦断面図である。図2は、図1の成膜装置1の処理容器11内の構成を示す平面図である。なお、図2においては、説明の便宜上、天板の図示を省略している。図3は、図1の成膜装置1の回転テーブル21および載置台211の構成を示す斜視図である。
【0011】
成膜装置1は、処理部10、回転駆動装置20および制御部90を備える。
【0012】
処理部10は、基板Wに膜を形成する成膜処理を実行する。処理部10は、処理容器11、ガス導入部12、ガス排気部13、搬送口14、加熱部15および冷却部16を有する。
【0013】
処理容器11は、内部の空間を減圧可能な真空容器である。処理容器11は、ほぼ円形の平面形状を有する扁平な筐体に形成され、複数の基板Wを内部の空間に収容することができる。基板Wは、例えば、半導体ウエハであってよい。処理容器11は、本体111、天板112、側壁体113および底板114を含む(図1)。本体111は、円筒形状を有する。天板112は、本体111の上面に着脱可能に配置される。本体111と天板112とは、シール部115によって気密に密着する。側壁体113は、円筒形状を有し、本体111の下面に気密に連結される。底板114は、側壁体113の底面に気密に連結される。
【0014】
ガス導入部12は、処理ガス供給部12aである原料ガスノズル121および反応ガスノズル122と、分離ガス供給部12bである分離ガスノズル123、124と、を含む(図2)。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、後述する回転テーブル21の上方において、処理容器11の周方向(図2の矢印Aで示される方向)に沿って互いに間隔をあけて配置される。図示例では、搬送口14から時計回り(回転テーブル21の回転方向)に、分離ガスノズル123、原料ガスノズル121、分離ガスノズル124および反応ガスノズル122が、この順に配置される。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124の各々は、各種のガスを導入するためのガス導入ポート121p、122p、123p、124p(図2)を基端部に有する。ガス導入ポート121p、122p、123p、124pは、本体111の側壁に固定され、本体111の外部に突出している。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、本体111の側壁から処理容器11内に挿入され、本体111の半径方向内側に延出している。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、例えば石英により形成されて、回転テーブル21に対して平行に配置されている。
【0015】
原料ガスノズル121は、配管および流量制御器等(図示せず)を介して、原料ガスの供給源(図示せず)に接続される。原料ガスとしては、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスを利用できる。原料ガスノズル121には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が設けられる。複数の吐出孔は、原料ガスノズル121の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。原料ガスノズル121の下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス吸着領域P1となる。
【0016】
反応ガスノズル122は、配管および流量制御器等(図示せず)を介して、反応ガスの供給源(図示せず)に接続される。反応ガスとしては、例えば酸化ガス、窒化ガスを利用できる。反応ガスノズル122には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が設けられる。複数の吐出孔は、反応ガスノズル122の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。反応ガスノズル122の下方領域は、原料ガス吸着領域P1において基板Wに吸着された原料ガスを酸化又は窒化させる反応ガス供給領域P2となる。本実施形態において、基板Wを処理する処理ガスは、以上の原料ガスおよび反応ガスが該当する。
【0017】
分離ガスノズル123、124は、いずれも配管および流量制御器等(図示せず)を介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続される。分離ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)ガス、窒素(N)ガス等の不活性ガスを利用できる。分離ガスノズル123、124には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が設けられる。複数の吐出口は、分離ガスノズル123、124の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。
【0018】
また、図2に示すように、処理容器11内には2つの凸状部17が設けられる。凸状部17は、分離ガスノズル123、124と共に分離領域Dを構成するため、回転テーブル21に向かって突出するように天板112の裏面に取り付けられる。各凸状部17は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有し、内円弧が突出部18に連結し、外円弧が処理容器11の側壁に沿うように配置される。
【0019】
ガス排気部13は、処理容器11内に供給された処理ガスおよび分離ガスを、処理容器11の外部に排出する。このガス排気部13の構成については、後に詳述する。
【0020】
搬送口14は、本体111の側壁に設けられる(図2)。搬送口14では、処理容器11内の回転テーブル21と、処理容器11の外部の搬送アーム14aとの間で基板Wの受け渡しが行われる。搬送口14は、ゲートバルブ(図示せず)により開閉される。
【0021】
加熱部15は、固定軸151、ヒータ支持部152およびヒータ153を含む(図1)。固定軸151は、処理容器11の中心を中心軸とする円柱形状を有する。固定軸151は、後記の回転駆動装置20の回転軸23の内側で、処理容器11の底板114を貫通して設けられる。ヒータ支持部152は、固定軸151の上部に固定され、円板形状を有する。ヒータ支持部152は、上面においてヒータ153を支持する。ヒータ153は、ヒータ支持部152の上面に加えて、本体111に設けられてもよい。ヒータ153は、電源(図示せず)から電力が供給されることにより発熱し、基板Wを加熱する。
【0022】
冷却部16は、流体流路161a~164a、チラーユニット161b~164b、入口配管161c~164cおよび出口配管161d~164dを含む。流体流路161a~164aは、それぞれ本体111、天板112、底板114およびヒータ支持部152の内部に形成される。チラーユニット161b~164bは、温調流体を出力する。チラーユニット161b~164bから出力された温調流体は、入口配管161c~164c、流体流路161a~164aおよび出口配管161d~164dをこの順に流れ、循環する。これにより、本体111、天板112、底板114およびヒータ支持部152の温度が調整される。温調流体としては、例えば、水またはガルデン(登録商標)等のフッ素系流体を利用できる。
【0023】
回転駆動装置20は、回転テーブル21、収容ボックス22、回転軸23、公転用モータ24および外筒25を有する。
【0024】
回転テーブル21は、処理容器11内に設けられ、処理容器11の中心に回転中心を有する。回転テーブル21は、例えば円板形状を有し、石英により形成される。回転テーブル21の上面には、回転方向(周方向)に沿って複数(例えば5つ)の載置台211が設けられる。回転テーブル21は、接続部214を介して収容ボックス22に連結されている(図3)。
【0025】
各載置台211は、基板Wよりも僅かに大きい円板形状を有し、例えば石英により形成される。各載置台211には、基板Wが載置される。各載置台211は、自転軸212を介して自転用モータ213に接続され、回転テーブル21に対して相対回転可能に構成される(図1)。
【0026】
自転軸212は、載置台211の下面と、収容ボックス22内に収容される自転用モータ213とを接続し、自転用モータ213の動力を載置台211に伝達する。自転軸212は、収容ボックス22の天井部222および回転テーブル21を貫通している。収容ボックス22の天井部222の貫通部近傍には、シール部263が設けられ、収容ボックス22内の気密状態が維持される。シール部263は、例えば磁性流体シールを含む。
【0027】
自転用モータ213は、自転軸212を介して載置台211を回転させることで、載置台211の中心回りに基板Wを自転させる回転源である。自転用モータ213は、例えばサーボモータを適用することが好ましい。
【0028】
接続部214は、回転テーブル21の下面と収容ボックス22の上面とを接続する(図3)。接続部214は、回転テーブル21の周方向に沿って複数設けられる。
【0029】
収容ボックス22は、処理容器11内の回転テーブル21の下方に設けられる。収容ボックス22は、接続部214を介して回転テーブル21に接続され、回転テーブル21と一体で回転する。収容ボックス22は、昇降機構(図示せず)により処理容器11内で昇降可能に構成されてもよい。収容ボックス22は、本体部221および天井部222を有する。
【0030】
本体部221は、縦断面視で凹状に形成され(図1)、回転テーブル21の回転方向に沿ってリング状に形成される。天井部222は、本体部221の開口を覆うように、本体部221の上面に設けられる。これにより、本体部221および天井部222は、処理容器11内から隔離された回転収容部223を形成する。
【0031】
回転収容部223は、縦断面視で矩形状に形成され、回転テーブル21の回転方向に沿ってリング状を呈している。回転収容部223は、自転用モータ213を収容する。本体部221には、回転収容部223と成膜装置1の外部とを連通させる連通路224が形成される。これにより、回転収容部223に成膜装置1の外部から大気が導入され、回転収容部223内が冷却されると共に、大気圧に維持される。この回転収容部223を回転可能に配置するために、処理容器11は、側壁体113、底板114および加熱部15により囲った回転源収容空間19を有する。
【0032】
回転軸23は、収容ボックス22の下部に固定される。回転軸23は、処理容器11の底板114を貫通して設けられる。回転軸23は、公転用モータ24の動力を回転テーブル21および収容ボックス22に伝達し、回転テーブル21および収容ボックス22を一体に回転させる。固定軸151の外壁と回転駆動装置20の回転軸23の内壁との間には、シール部154が設けられる。これにより、回転軸23は、処理容器11内の気密状態を維持しながら、固定軸151に対して回転する。シール部154は、例えば磁性流体シールを含む。
【0033】
処理容器11の底板114の中心側下面部には、回転駆動装置20の外筒25が連結されている。外筒25は、処理容器11の固定軸151と共に、処理容器11を支持する。回転軸23と外筒25との間には、シール部116が設けられ、処理容器11内の気密状態が維持される。シール部116は、例えば磁性流体シールを含む。
【0034】
そして、ガス導入部12は、回転軸23と外筒25の間の軸空間に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部27を備える。不活性ガス供給部27は、処理容器11の外部にガス供給装置27aを有し、制御部90の制御下に不活性ガスを軸空間に供給する。軸空間は、回転源収容空間19に連通しており、軸空間に供給された不活性ガスは回転源収容空間19に流入する。
【0035】
また、回転軸23の内部には、通路231が形成される。通路231は、収容ボックス22の連通路224と接続され、収容ボックス22内に大気を導入するための流体流路として機能する。また、通路231は、収容ボックス22内に自転用モータ213を駆動させるための電力線および信号線を導入するための配線ダクトとしても機能する。通路231は、例えば自転用モータ213と同じ数だけ設けられる。
【0036】
制御部90は、成膜装置1の各部を制御する。制御部90は、例えば、図示しないプロセッサ、メモリ、入出力インタフェースを有するコンピュータを適用し得る。また、成膜装置1の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、メモリに記憶されている。メモリは、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0037】
〔ガス排気部13の構成〕
次に、成膜装置1のガス排気部13の構成について図1図2を参照しながら詳述していく。ガス排気部13は、処理容器11の内部の空間からガスを排気するため、原料ガス吸着領域P1および反応ガス供給領域P2において、載置台211に載置された基板Wよりも上方に、複数の排気口131a、131b、137aを配置している。これにより、原料ガス吸着領域P1および反応ガス供給領域P2では、載置台211の下面側にガスが流れ込むことを抑制する。その一方で、ガス排気部13は、複数の分離領域Dにおいて、供給された分離ガスが載置台211の下面側に流れることを許容する。
【0038】
具体的には、ガス排気部13は、回転テーブル21の半径方向外側において処理容器11の周方向に沿って周回する外側排気構造体131と、原料ガス吸着領域P1において突出部18の隣接位置に設けられる軸側排気部137と、を備える。
【0039】
外側排気構造体131は、本体111の底壁に接触するように設けられるリング部材132と、リング部材132上に積層されるスペーサ133と、スペーサ133上に積層されるカバー部材134と、を含む。
【0040】
リング部材132は、平面視で本体111の内周面に沿って周回する無端状を呈している。リング部材132は、側面断面視で上部が開放した凹状に形成され、ガス流路132aを内側に有する。ガス流路132aは、リング部材132の周方向全周にわたって連続している。
【0041】
また、リング部材132は、その底壁の所定位置に、ガス流路132aに連通する外部連通口132bを有する。外部連通口132bは、本体111に形成された連通孔111aを介して、処理容器11の外部に設けられた排気配管135の流路に連通している。排気配管135には、当該排気配管135にガスを流通させる排気装置136が設けられている。排気装置136は、例えば、処理容器11内のガスを吸引するポンプ、排気されるガスの流量を調整する流量調整バルブ等により構成される。
【0042】
スペーサ133は、リング部材132の周方向全周にわたって設けられ、ガス流路132aの上部を覆う。スペーサ133は、側面断面視で、ちょうど回転テーブル21の側方(同じ高さ)に配置されている。このスペーサ133は、その内周面がリング部材132の内周面よりも半径方向外側に位置しており、回転テーブル21に対して非接触となっている。これにより、スペーサ133は、カバー部材134を回転テーブル21よりも若干高い位置に配置する。スペーサ133の適宜の位置には、後述するカバー部材134の第1排気口131aおよび第2排気口131bと、リング部材132のガス流路132aとを連通させる排気路133aが形成されている。
【0043】
カバー部材134は、スペーサ133の周方向全周にわたって設けられる環状の板体に形成される。外側排気構造体131の組み立て状態で、カバー部材134の下面は、回転テーブル21の上面よりも鉛直方向上側に位置する。カバー部材134は、スペーサ133の内周面に対して半径方向内側に突出した内縁を有する。これにより、カバー部材134の内側は、回転テーブル21の外縁の上方を非接触に覆っている。
【0044】
そして、外側排気構造体131は、カバー部材134を貫通する第1排気口131aおよび第2排気口131bを有する(図2も参照)。カバー部材134が回転テーブル21よりも高い位置にあることから、第1排気口131aおよび第2排気口131bは、回転テーブル21よりも鉛直方向上側において処理容器11内のガスを排気することができる。第1排気口131aおよび第2排気口131bに取り込まれたガスは、排気路133aを介してガス流路132aに流入し、さらに外部連通口132bおよび連通孔111aを介して、排気配管135の流路に排出される。
【0045】
図2に示すように、第1排気口131aは、原料ガス吸着領域P1の半径方向外側に隣接して、当該原料ガス吸着領域P1に連通する第1の排気領域E1に形成される。この第1排気口131aは、原料ガス吸着領域P1において回転テーブル21の回転方向(図2の時計回り)の下流側に位置している。このため、第1排気口131aは、原料ガス吸着領域P1に供給された原料ガス、および原料ガス吸着領域P1に隣接する分離領域Dに供給された分離ガスを通過させる。
【0046】
第2排気口131bは、反応ガス供給領域P2の半径方向外側に隣接して、当該反応ガス供給領域P2に連通する第2排気領域E2に形成される。この第2排気口131bは、反応ガス供給領域P2において回転テーブル21の回転方向(図2の時計回り)の下流側に位置している。このため、第2排気口131bは、反応ガス供給領域P2に供給された反応ガス、および反応ガス供給領域P2に供給された分離ガスを通過させる。
【0047】
一方、軸側排気部137は、図1および図2に示すように、原料ガス吸着領域P1の半径方向内側に隣接して設けられる。軸側排気部137は、天板112に形成された上部排気口137aと、上部排気口137aに連通する排気ポート138と、を含む。なお、軸側排気部137は、原料ガス吸着領域P1に設けられるだけでなく、反応ガス供給領域P2の半径方向内側に設けられてもよく、あるいは反応ガス供給領域P2だけに設けられてもよい。
【0048】
上部排気口137aは、回転テーブル21の載置台211よりも半径方向内側に位置し、天板112を貫通している。したがって、上部排気口137aは、載置台211に載置された基板Wに対して非対向となっている。また、上部排気口137aは、処理容器11の中心(回転テーブル21の回転中心)から第1排気口131aに向かう仮想半径線上に重なる位置に形成されている。
【0049】
排気ポート138は、処理容器11の外部において排気配管139と接続するために、天板112から上方に突出するように設けられている。排気ポート138は、上部排気口137aと排気配管139の流路とを連通する内部流路138aを有する。排気配管139は、処理容器11の外部において排気装置136に接続されている。
【0050】
以上のガス排気部13は、原料ガス吸着領域P1において回転テーブル21よりも上方に原料ガスおよび分離ガスを誘導できる。同様に、ガス排気部13は、反応ガス供給領域P2において回転テーブル21よりも上方に反応ガスおよび分離ガスを誘導できる。
【0051】
〔基板処理方法〕
本実施形態に係る成膜装置1は、基本的には以上のように構成され、以下、その動作(基板処理方法)について、図4および図5を参照しながら説明する。図4は、基板処理方法の処理フローを示すフローチャートである。図5は、ガス排気部13によるガスの排気動作を示す概略説明図であり、(A)は、原料ガス吸着領域P1のガスの流れを示しており、(B)は、分離領域Dのガスの流れを示している。
【0052】
図4に示すように、基板処理方法は、搬入工程(ステップS1)、減圧工程(ステップS2)、回転工程(ステップS3)、分離ガス供給工程(ステップS4)、処理ガス供給工程(ステップS5)および搬出工程(ステップS6)を有する。制御部90は、成膜装置1の各構成を制御することで、適宜のタイミングで各工程を実施する。
【0053】
搬入工程(ステップS1)において、制御部90は、ゲートバルブの開放状態で搬送口14を介して搬送アーム14aを進入させ、処理容器11の内部に設けられた回転テーブル21の各載置台211に基板を搬送(載置)する。そして、制御部90は、各載置台211への基板Wの載置後に、ゲートバルブを閉じて処理容器11を密閉する。
【0054】
減圧工程(ステップS2)において、制御部90は、ガス排気部13を動作させて処理容器11の内部に連通する各排気口(第1排気口131a、第2排気口131b、上部排気口137a)を介して、処理容器11の内部のガスを排気する。これにより、処理容器11の内部の空間は、所定の圧力まで減圧される。そして、制御部90は、ガス排気部13の動作を継続的に制御することで、減圧工程で減圧した圧力を搬出工程の開始前まで維持する。
【0055】
回転工程(ステップS3)において、制御部90は、回転テーブル21を回転(公転)させる。また、制御部90は、基板Wを載置している各載置台211を、回転テーブル21と相対的に回転(自転)させる。
【0056】
分離ガス供給工程(ステップS4)において、制御部90は、処理容器11の内部に設けられた各分離ガスノズル123、124から分離ガスを供給して、複数の分離領域Dを形成する。
【0057】
そして、制御部90は、基板Wに対する成膜処理(基板処理)として、原料ガスノズル121から原料ガスを供給すると共に、反応ガスノズル122から反応ガスを供給する処理ガス供給工程(ステップS5)を行う。なお、処理ガス供給工程は、分離ガス供給工程と同時に行ってもよい。
【0058】
回転テーブル21により公転および自転する各基板Wは、原料ガス吸着領域P1の通過時に原料ガスを吸着し、反応ガス供給領域P2の通過時に原料ガスに対して反応ガスが反応する。成膜処理では、所定時間にわたってステップS2~S5を継続することで、基板Wの表面に所望の厚みを有した膜が形成される。
【0059】
成膜処理が終了すると、制御部90は、処理容器11の減圧および処理ガスの供給を停止して、処理容器11内を昇圧すると共に、適宜の圧力状態で分離ガスの供給を停止する。また、制御部90は、回転テーブル21および各載置台211の回転を停止して、各載置台211の基板Wを取り出し可能とする。
【0060】
そして、搬出工程(ステップS6)において、制御部90は、ゲートバルブの開放状態で搬送口14を介して搬送アーム14aを進入させ、回転テーブル21の各載置台211から基板Wを搬出する。
【0061】
以上の基板処理方法の減圧工程(ステップS2)から処理ガス供給工程(ステップS6)にわたって、ガス排気部13は、処理容器11内のガスを排気し続ける。特に、処理ガス供給工程では、複数の排気口131a、131b、137aを介して、処理容器11内に供給された処理ガスを継続的に排気する。次に、成膜処理(処理ガスおよび分離ガスの供給時)において、ガス排気部13によるガスの排気(減圧工程)を行った際の処理ガスおよび分離ガスの流れについて説明する。
【0062】
図5(B)に示すように、分離ガスノズル123、124は、基板処理において、回転テーブル21の上方から載置台211に載置された基板Wに向かって分離ガスを吐出する。上記したように分離領域Dは、凸状部17が設けられていることで、凸状部17と回転テーブル21との間の空間が狭くなっている。これにより、分離ガスによる内圧が高まり、分離領域Dへの処理ガス(原料ガス、反応ガス)の流入が防止される。
【0063】
また、本体111よりも下方の回転源収容空間19には、不活性ガス供給部27により不活性ガスが供給される。不活性ガスは、載置台211を軸支する自転軸212と、本体111および加熱部15との間の隙間を通して、回転テーブル21とヒータ153との間の空間(以下、テーブル下方空間28という)に流入する。
【0064】
分離領域Dに供給された分離ガスの一部は、回転テーブル21の上方において、半径方向外側に向かって流れる。また分離ガスの他部は、回転テーブル21と載置台211との間の隙間を通って載置台211の下面側を回り込み、さらにテーブル下方空間28に向かう。テーブル下方空間28において、分離ガスは、回転源収容空間19からの不活性ガスと混合する。この分離ガスおよび不活性ガスは、テーブル下方空間28において半径方向外側に向かって流れるようになる。
【0065】
一方、図5(A)に示すように、原料ガス吸着領域P1において、原料ガスノズル121は、回転テーブル21の上方から載置台211に載置された基板Wに向かって原料ガスを吐出する。これにより、原料ガスが基板Wの上面に吸着する。また、原料ガス吸着領域P1におけるテーブル下方空間28には、本体111よりも下方の回転源収容空間19から不活性ガスが流入する。
【0066】
ここで、本実施形態にかかるガス排気部13は、原料ガス吸着領域P1において、半径方向外側の隣接位置に第1排気口131aを有すると共に、半径方向内側の隣接位置に上部排気口137aを有する。第1排気口131aおよび上部排気口137aは、回転テーブル21よりも鉛直方向上側(原料ガスノズル121の近接側)に配置されている。したがって、原料ガス吸着領域P1では、テーブル下方空間28よりも上側にガスが向かう流れが形成される。
【0067】
具体的には、テーブル下方空間28に流入した不活性ガスの一部は、載置台211の下面側に移動して、回転テーブル21と載置台211との間の隙間を介して回転テーブル21の上側の空間に向かう。また、テーブル下方空間28に流入した不活性ガスの他部は、テーブル下方空間28の半径方向外側に移動した後、回転テーブル21とリング部材132との間の隙間を介して回転テーブル21の上側の空間に向かう。
【0068】
回転テーブル21の上側の空間において、原料ガスノズルから供給された原料ガスと不活性ガスが混合する。この原料ガスおよび不活性ガスは、第1排気口131aおよび上部排気口137aを介した排気装置136の吸引作用下に、第1排気口131aおよび上部排気口137aに向かう。第1排気口131aは、回転テーブル21よりも半径方向外側において、当該回転テーブル21よりも高い位置に配置されていることで、原料ガスおよび不活性ガスを安定的に上側に導くことができる。同様に、上部排気口137aは、各載置台211よりも半径方向内側において、回転テーブル21よりも高い位置に配置されていることで、原料ガスおよび不活性ガスを安定的に上側に導くことができる。
【0069】
ここで仮に、回転テーブル21よりも鉛直方向下側において第1排気口が配置された場合には、回転テーブル21の上方の空間に供給された原料ガスが下方に移動することになる。この際、原料ガスは、載置台211と回転テーブル21の間の隙間に回り込む可能性が高まる。特に、載置台211を回転(自転)させる構造では、載置台211と回転テーブル21の間に必ず隙間が存在する。そのため、第1排気口が回転テーブル21よりも低いと、載置台211の下面への原料ガスの回り込みが生じる。載置台211の下面に回り込んだ原料ガスが載置台211の下面に付着することで、載置台211の回転に影響を及ぼす可能性が高まる。
【0070】
これに対して、本実施形態に係る成膜装置1は、回転テーブル21よりも鉛直方向上側に第1排気口131aを配置していることで、載置台211と回転テーブル21の間の隙間に原料ガスが回り込むことを防止できる。すなわち、載置台211と回転テーブル21の間の隙間には不活性ガス(または分離領域Dからの分離ガス)が導かれ、これらのガスは回転テーブル21の上側の空間にそのまま流通して、上側の第1排気口131aに導かれる。
【0071】
特に、本実施形態に係る成膜装置1は、半径方向内側にも上部排気口137aを備えることで、回転テーブル21の回転中心側の原料ガスおよび不活性ガスを、半径方向外側に向かわせることなくスムーズに上部排気口137aから排出することができる。したがって、回転テーブル21の回転中心側に原料ガスが残ることがなくなり、載置台211の下面への原料ガスの回り込みを一層確実に防止できる。
【0072】
また、成膜装置1は、反応ガス供給領域P2において回転テーブル21よりも鉛直方向上側に配置された第2排気口131bによって、反応ガスおよび不活性ガスを上側に導くことができる。したがって、反応ガス供給領域P2でも、載置台211の下面への回り込みを防ぐことができる。
【0073】
なお、成膜装置1は、原料ガス吸着領域P1の第1排気口131aが回転テーブル21よりも高い一方で、反応ガス供給領域P2の第2排気口131bについては回転テーブル21よりも低い構成でもよい。逆に、成膜装置1は、反応ガス供給領域P2の第2排気口131bが回転テーブル21よりも高い一方で、原料ガス吸着領域P1の第1排気口131aについては回転テーブル21よりも低い構成でもよい。原料ガス吸着領域P1および反応ガス供給領域P2のうち一方が回転テーブル21よりも上方で排気し、他方が回転テーブル21よりも下方で排気する場合も、回転テーブル21の下面側での原料ガスと反応ガスとの混合を防止できる。そのため、回転テーブル21の下面側の成膜を防止することが可能となり、パーティクルの発生が抑制できる。
【0074】
また、成膜装置1は、回転テーブル21の回転経路上に基板Wをプラズマ処理するプラズマ処理領域を備えてもよい。例えば、プラズマ処理領域は、反応ガス供給領域P2から回転テーブル21の回転方向(時計回り)下流側の分離領域Dとの間に設けられる。
【0075】
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0076】
本開示の第1の態様に係る基板処理装置(成膜装置1)は、内部に搬送された基板Wを処理する処理容器11と、処理容器11の内部に回転可能に設けられる回転テーブル21と、回転テーブル21の回転中心から離間した位置で回転テーブル21と相対的に回転可能であり、かつ基板Wを載置する載置台211と、回転テーブル21の鉛直方向上側に設けられ、載置台211に載置された基板Wに処理ガスを供給する処理ガス供給部12aと、処理ガスが供給される処理領域に隣接する複数の領域に分離ガスを供給して、複数の分離領域Dを形成する分離ガス供給部12bと、処理容器11の内部に連通する1以上の排気口131a、131b、137aを有し、当該排気口131a、131b、137aを介してガスを排気するガス排気部13と、を備え、排気口131a、131b、137aは、複数の分離領域Dの間の処理領域であって、かつ回転テーブル21よりも鉛直方向上側に配置される。
【0077】
上記によれば、基板処理装置(成膜装置1)は、回転テーブル21よりも鉛直方向上側に排気口131a、131b、137aを配置していることで、基板Wに供給した処理ガスを排気口131a、131b、137aがある上側に導くことが可能となる。これにより、処理容器11内に供給された処理ガスが載置台211の下面側に回り込むことを抑制して、載置台211の下面への処理ガスの付着を防止できる。また、載置台211への回り込みが抑制された処理ガスは、基板Wの上方の空間において分離ガスの分離領域Dにより排気口131a、131b、137aに向かうように誘導されるため、スムーズに排気されるようになる。例えば、複数の処理ガスを供給する構成では、複数の処理ガスの混合をより確実に防止できる。
【0078】
また、1以上の排気口131a、131bのうち少なくとも1つは、回転テーブル21の外縁よりも外側に設けられる。これにより、排気口131a、131bは、載置台211の基板Wへの処理ガスの供給を阻害することなく、回転テーブル21の遠心方向である外縁に向かって処理ガスを良好に導くことができる。
【0079】
また、ガス排気部13は、回転テーブル21の外縁よりも外側で、処理容器11の内周面に沿って周回する外側排気構造体131を備え、外側排気構造体131は、回転テーブル21よりも鉛直方向上側に配置される部材(カバー部材134)を備え、当該部材に回転テーブル21の外縁よりも外側の排気口131a、131bを有する。これにより、基板処理装置(成膜装置1)は、回転テーブル21よりも鉛直方向上側に複数の排気口131a、131bを簡単に配置することができる。
【0080】
また、1以上の排気口137aのうち少なくとも1つは、載置台211よりも回転テーブル21の回転中心側に設けられる。これにより、基板処理装置(成膜装置1)は、回転テーブル21の回転中心側でも処理ガスを容易に排気することができる。
【0081】
また、処理容器11は、凹状の本体111と、本体111の鉛直方向上側を閉塞する天板112と、を含み、回転テーブル21の回転中心側の排気口137aは、天板112に設けられる。これにより、基板処理装置(成膜装置1)は、処理容器11の中心付近において、回転テーブル21よりも鉛直方向上側に排気口137aを簡単に配置することができる。
【0082】
また、処理領域は、基板Wに付着する原料ガスを供給する原料ガス吸着領域P1である。これにより、基板処理装置(成膜装置1)は、原料ガス吸着領域P1の原料ガスを載置台211の下面側に移動させずに、排気口131a、137aから排気できる。
【0083】
また、処理領域は、基板Wに付着した原料ガスと反応する反応ガスを供給する反応ガス供給領域P2である。これにより、基板処理装置(成膜装置1)は、反応ガス供給領域P2の反応ガスを載置台211の下面側に移動させずに、排気口131bから排気できる。
【0084】
処理容器11は、複数の分離領域Dにより分離された2つの処理領域を有し、2つの処理領域は、基板Wに付着する原料ガスを供給する原料ガス吸着領域P1、および原料ガスと反応する反応ガスを供給する反応ガス供給領域P2である。これにより、基板処理装置(成膜装置1)は、基板Wに良好に成膜を行いつつ、排気口131a、131b、137aから原料ガスおよび反応ガスを排気することができる。その結果、載置台211の下面側において原料ガスおよび反応ガスの混合を防いで、載置台211の成膜を抑制できる。
【0085】
処理容器11は、複数の分離領域Dにより分離された2つの処理領域を有し、2つの処理領域のうちの一方は、回転テーブル21よりも鉛直方向上側に排気口を配置し、2つの処理領域のうちの他方は、回転テーブル21よりも鉛直方向下側に排気口を配置している。この場合でも、基板処理装置(成膜装置1)は、複数の処理ガスが回転テーブル21の下面側で混合することを防止でき、回転テーブル21の下面側の成膜を回避して、パーティクルを抑制することが可能となる。
【0086】
また、回転テーブル21と処理容器11の間のテーブル下方空間28に不活性ガスを導入可能な不活性ガス供給部27を備え、排気口131a、131b、137aは、処理ガスと共に不活性ガスを排気する。これにより、基板処理装置(成膜装置1)は、不活性ガスを載置台211の下面側から回転テーブル21の上方に流すことができ、より確実に処理ガスの移動を制限できる。
【0087】
また、本開示の第2の態様に係る基板処理方法は、処理容器11の内部に設けられた回転テーブル21に基板Wを搬送する工程と、回転テーブル21を回転しつつ、回転テーブル21の回転中心から離間した位置に設けられた基板Wを載置する載置台211を、回転テーブル21と相対的に回転させる工程と、回転テーブル21の鉛直方向上側から載置台211に載置された基板Wに処理ガスを供給する工程と、処理ガスが供給される処理領域に隣接する複数の領域に分離ガスを供給して、複数の分離領域Dを形成する工程と、処理容器11の内部に連通する1以上の排気口131a、131b、137aを介してガスを排気する工程と、を有し、ガスを排気する工程では、複数の分離領域Dの間の処理領域であって、かつ回転テーブル21よりも鉛直方向上側に設けられた排気口131a、131b、137aからガスを排気する。この場合でも、基板処理方法は、処理容器11内に供給された処理ガスが、載置台211の下面側に回り込むことを抑制できる。
【0088】
今回開示された実施形態に係る基板処理装置および基板処理方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 成膜装置
11 処理容器
12a 処理ガス供給部
12b 分離ガス供給部
13 ガス排気部
131a、131b、137a 排気口
21 回転テーブル
211 載置台
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5