(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119942
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理端末、通知方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230822BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08B21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023088
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佑也
【テーマコード(参考)】
5C086
5L049
【Fターム(参考)】
5C086AA60
5C086CA21
5C086CA22
5C086CA30
5C086CB01
5C086CB07
5C086FA01
5C086FA11
5C086FA20
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】感染症対策として着用しているマスクを外してもよい旨の通知をユーザに対して行うことができるプログラム、情報処理端末、通知方法及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】感染症対策として着用しているマスクを外してもよい旨の通知をユーザに対して行う情報処理端末10は、近距離通信部20と、検出部22と、通知部24と、を備える。近距離通信部20は、第1の所定距離(例えば10メートル)以内に存在する他の情報処理端末10との通信を確立し、通信を行う。検出部22はユーザに通知を行うための同一のプログラムが搭載され、第1の所定距離以内に存在する他のユーザの情報処理端末10を検出する。また、検出部22は検出した他のユーザの情報処理端末10が第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に存在する状態であるか否かを算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに通知を行うためのプログラムが搭載された情報処理端末を、
前記プログラムと同一のプログラムが搭載され、近距離無線通信による通信が確立できる第1の所定距離以内に存在する他のユーザの情報処理端末を検出する検出部、
前記第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在しない状態であれば、マスクを外してもよい旨の通知を行う通知部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記検出部は、近距離通信回路による通信が確立した前記他のユーザの情報処理端末から前記同一のプログラムが搭載されている前記他のユーザの情報処理端末を検出する
請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記通知部は、前記第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在する状態から前記第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在しない状態に変化した場合にマスクを外してもよい旨の通知を行う
請求項1又は2記載のプログラム。
【請求項4】
前記情報処理端末を、
熱中症の危険性を判定する判定部、として更に機能させ、
前記通知部は、前記判定部が熱中症の危険性を所定割合以上と判定し、且つ、前記第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在する状態であれば、マスクを外す以外の対策を指示する通知を行う
請求項1又は2記載のプログラム。
【請求項5】
前記通知部は、前記判定部が熱中症の危険性を所定割合以上と判定し、且つ、前記第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在しない状態であれば、マスクを外してもよい旨の通知を行う
請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
前記通知部は、前記マスクを外してもよい旨の通知を行ったあと、前記判定部が熱中症の危険性を所定割合以上でないと判定した場合に、マスクの着用を指示する通知を行う
請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記判定部は、気温及び湿度に基づいて熱中症の危険性を判定する
請求項4乃至6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記判定部は、暑さ指数に基づいて発令される熱中症警戒アラートの受信により熱中症の危険性を判定する
請求項4乃至6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記通知部は、音、振動、又は表示により前記通知を行う
請求項1乃至8の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記通知部は、前記通知を行うユーザが装着しているウエアラブルデバイスを利用して前記通知を行う
請求項1乃至9の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
ユーザに通知を行うためのプログラムが搭載された情報処理端末であって、
第1の所定距離以内に存在する他のユーザの情報処理端末との近距離通信回路による通信を確立できる近距離通信部と、
前記プログラムと同一のプログラムが搭載され、前記近距離通信回路による通信が確立できる前記第1の所定距離以内に存在する前記他のユーザの情報処理端末を検出する検出部と、
前記第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在しない状態であれば、マスクを外してもよい旨の通知を行う通知部と、
を有する情報処理端末。
【請求項12】
ユーザに通知を行うためのプログラムが搭載された情報処理端末の通知方法であって、
前記プログラムと同一のプログラムが搭載され、近距離無線通信による通信が確立できる第1の所定距離以内に存在する他のユーザの情報処理端末を検出する検出ステップと、
前記第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在しない状態であれば、マスクを外してもよい旨の通知を行う通知ステップと、
を有する通知方法。
【請求項13】
ユーザに通知を行うためのプログラムが搭載された複数の情報処理端末、及び、前記情報処理端末と通信を行う情報処理装置を有する情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記プログラムが搭載された一のユーザの情報処理端末から近距離無線通信による通信が確立できる第1の所定距離以内に存在する前記プログラムと同一のプログラムが搭載された他のユーザの情報処理端末を検出する検出部と、
前記一のユーザの情報処理端末から前記第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在しない状態であれば、マスクを外してもよい旨の通知を行うように前記一のユーザを制御する通知制御部と、
を有し、
前記一のユーザの情報処理端末は、
前記通知制御部の制御に従って、前記一のユーザにマスクを外してもよい旨の通知を行う通知部、
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理端末、通知方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症対策としてマスクの着用が求められるようになった。例えば高齢者が共同で生活している介護施設において、来訪者との会話に起因して施設の移住者が感染症に感染する危険性を推定する技術は従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、感染症対策としてのマスクの着用は、炎天下で作業を行う作業者など、熱中症となる危険性が高いユーザに対しても求められている。一方で、熱中症となる危険性が高いユーザは、熱中症対策としてマスクを外して作業を行いたい場合があった。感染症対策及び熱中症対策の両立が求められている作業現場などの場所では、例えば所定範囲内に他人がいない場合にマスクを外して作業する対応が考えられるが、マスクを外してよい状態であるのか否かを作業者などに判断させることは難しかった。特許文献1は、このような課題について記載されたものではない。
【0004】
本発明の実施の形態は、感染症対策として着用しているマスクを外してもよい旨の通知をユーザに対して行うことができるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を達成するために本願請求項1は、ユーザに通知を行うためのプログラムが搭載された情報処理端末を、前記プログラムと同一のプログラムが搭載され、近距離無線通信による通信が確立できる第1の所定距離以内に存在する他のユーザの情報処理端末を検出する検出部、前記第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に前記他のユーザの情報処理端末が存在しない状態であれば、マスクを外してもよい旨の通知を行う通知部、として機能させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施の形態によれば、感染症対策として着用しているマスクを外してもよい旨の通知をユーザに対して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
【
図2】本実施形態に係るスマートフォンの一例のハードウェア構成図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理端末の一例の機能構成図である。
【
図4】マスクを外してもよい状態の一例の説明図である。
【
図5】本実施形態に掛かる情報処理端末の処理手順を示した一例のフローチャートである。
【
図6】マスクを外してよい旨の通知の一例のイメージ図である。
【
図7】本実施形態に係る情報処理端末の一例の機能構成図である。
【
図8】本実施形態に掛かる情報処理端末の処理手順を示した一例のフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。
【
図11】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
【
図12】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図13】本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では作業現場の例を説明するが、感染症対策としてマスクを着用している場所など、様々な場所が含まれる。また、本実施形態では、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)において、陽性者と接触した可能性の検知として設定されている基準(1メートル以内、15分以上接触)を参考に、マスクを外してもよい状態(他のユーザが2メートル以内に存在しない状態)を定義している。他のユーザが2メートル以内に存在しない状態は一例であって、感染症の特徴などにより適宜設定すればよい。
【0009】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
図1の情報処理システム1は、情報処理端末10a及び情報処理端末10bを有する構成である。情報処理端末10a及び情報処理端末10bは、ユーザに通知を行うための同一のプログラム(又は互換性のあるプログラム)が搭載された複数の情報処理端末10の一例である。以下では情報処理端末10a及び情報処理端末10bを情報処理端末10と総称する場合がある。マスクを着用するユーザは、それぞれが情報処理端末10を所持しているものとする。
【0010】
一の情報処理端末10は、他の情報処理端末10までの距離を測定できる。例えば情報処理端末10a及び情報処理端末10bは、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信の電波強度により、相手までの距離を算出できる。また、情報処理端末10a及び情報処理端末10bによる相手までの距離の算出は、GPS(グローバルポジショニングシスエム)を利用する方法、赤外線を利用する方法、ビーコンを利用する方法、監視カメラなどの画像を利用する方法など、近距離無線通信の電波強度以外を利用する既存の技術を利用してもよい。
【0011】
情報処理端末10は、ユーザに音、振動、又は表示などにより通知を行うことのできる電子機器である。情報処理端末10は、例えばスマートフォン、スマートウォッチ、携帯電話などである。スマートウォッチはウエアラブルデバイスの一例である。また、情報処理端末10は、ノートPC(Personal Computer)、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC、又はデスクトップPC等であってもよい。
【0012】
なお、
図1に示す情報処理システム1の構成は一例である。情報処理システム1は情報処理端末10a及び情報処理端末10b以外の装置を有する構成であってもよい。
【0013】
<ハードウェア構成>
《スマートフォン》
情報処理端末10は例えば
図2に示すハードウェア構成のスマートフォン600により実現してもよい。
【0014】
図2は本実施形態に係るスマートフォンの一例のハードウェア構成図である。
図2に示されているように、スマートフォン600は、CPU(Central Processing Unit)601、ROM(Read Only Memory)602、RAM(Random Access Memory)603、EEPROM604、CMOSセンサ605、撮像素子I/F606、加速度・方位センサ607、メディアI/F(Interface)609、GPS受信部611を備えている。
【0015】
CPU601は、スマートフォン600全体の動作を制御する。ROM602は、CPU601やIPL等のCPU601の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM603は、CPU601のワークエリアとして使用される。EEPROM604は、CPU601の制御にしたがって、アプリケーション(以下、単にアプリと呼ぶ)等のスマートフォン用プログラム等の各種データの読み出し又は書き込みを行う。
【0016】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ605は、CPU601の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、CMOSセンサ605ではなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段であってもよい。撮像素子I/F606は、CMOSセンサ605の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ607は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。
【0017】
メディアI/F609は、フラッシュメモリ等の記録メディア608に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部611は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0018】
また、スマートフォン600は、遠距離通信回路612、CMOSセンサ613、撮像素子I/F614、マイク615、スピーカ616、音入出力I/F617、ディスプレイ618、外部機器接続I/F619、近距離通信回路620、近距離通信回路620のアンテナ620a、タッチパネル621、振動発生器622、及び温湿度センサ623を備えている。
【0019】
遠距離通信回路612は、ネットワークNを介して、他の機器と通信する回路である。CMOSセンサ613は、CPU601の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F614は、CMOSセンサ613の駆動を制御する回路である。マイク615は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ616は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。
【0020】
音入出力I/F617は、CPU601の制御に従ってマイク615及びスピーカ616との間で音信号の入出力を処理する回路である。ディスプレイ618は、メッセージなどを表示するアプリの画面、被写体の画像、及び各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。
【0021】
外部機器接続I/F619は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。近距離通信回路620は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。タッチパネル621は、利用者がディスプレイ618を押下することで、スマートフォン600を操作する入力手段の一種である。振動発生器622は、CPU601の制御に従って、バイブレーション機能のための振動を発生させる。温湿度センサ623は、気温及び湿度を計測する。なお、気温及び湿度の情報をスマートフォン600の外部から取得する場合、温湿度センサ623は内蔵されていなくてもよい。
【0022】
また、スマートフォン600は、バスライン610を備えている。バスライン610は
図2に示されているCPU601等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0023】
<機能構成>
本実施形態に係る情報処理端末10は、例えば
図3に示すような機能構成により実現される。
図3は本実施形態に係る情報処理端末の一例の機能構成図である。
図3の機能構成は、本実施形態の説明に不要な構成について適宜省略している。
【0024】
図3の情報処理端末10は、近距離通信部20、検出部22、及び通知部24を有する構成である。近距離通信部20は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信回路620による近距離無線通信により、第1の所定距離(例えば10メートル)以内に存在する他の情報処理端末10との通信を確立し、通信を行う。検出部22はユーザに通知を行うための同一のプログラムが搭載され、第1の所定距離以内に存在する他のユーザの情報処理端末10を検出する。また、検出部22は検出した他のユーザの情報処理端末10が第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に存在する状態であるか否かを算出する。例えば検出部22はブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信の電波強度により、他の情報処理端末10との距離を算出する。検出部22は、他の情報処理端末10との距離を、GPSを利用する方法、赤外線を利用する方法、ビーコンを利用する方法、監視カメラなどの画像を利用する方法など、既存の技術を利用して算出するようにしてもよい。
【0025】
通知部24は、ユーザに通知を行うための同一のプログラムが搭載された他の情報処理端末10が第1の所定距離よりも近い第2の所定距離以内に存在しない状態であれば、情報処理端末10を所持しているユーザに対して、マスクを外してよい旨の通知を行う。通知部24のアラーム発信部30は、マスクを外してよい旨の通知を例えば音(アラーム)により行う。また、振動部32は、マスクを外してよい旨の通知を例えばバイブレーション機能などの振動により行う。さらに、メッセージ表示部34は、マスクを外してよい旨の通知を例えばメッセージの表示により行う。
【0026】
<処理>
本実施形態に係る情報処理システム1は、例えば
図4に示すように、マスクを外してもよい状態を定義する。
図4はマスクを外してもよい状態の一例の説明図である。ユーザAは情報処理端末10aを所持している。また、ユーザBは情報処理端末10bを所持している。情報処理端末10a及び10bは、ユーザに通知を行うための同一のプログラムが搭載(インストール)されている。
図4は、作業現場において、ユーザA及びユーザBが第2の所定距離の一例である2メートルの範囲内で作業していた状態から、ユーザBが移動することで、ユーザAから第2の所定距離の一例である2メートルの範囲内で作業している他のユーザがいなくなった状態に変化した例を示している。
【0027】
ユーザAが所持している情報処理端末10aは、2メートルの範囲内にユーザBが所持する情報処理端末10bが存在する状態から、2メートルの範囲内に他のユーザの情報処理端末10が存在しない状態に変化した場合に、マスクを外してもよい状態であると判定する。このように、ユーザAが所持している情報処理端末10aは、第1の所定距離の一例である10メートルよりも近い2メートルの範囲内に他のユーザの情報処理端末10が存在しない状態を、マスクを外してもよい状態であると判定する。
【0028】
マスクを外してもよい状態であると判定した情報処理端末10aは、マスクを外してもよい状態であることを、音、振動、又はメッセージの表示などでユーザAに気付かせるように通知を行う。なお、作業現場で作業を行うユーザAは両手を使って作業を行うことが多く、また、作業音などの騒音が大きいことを考慮すると、スマートウォッチなどのウエアラブルデバイスで情報処理端末10aを実現することが望ましい。
【0029】
例えば情報処理端末10は
図5に示すような手順で処理を行うことで、マスクを外してもよい状態であることをユーザに通知できる。
図5は本実施形態に掛かる情報処理端末の処理手順を示した一例のフローチャートである。
【0030】
ステップS100において、作業現場で作業を行うユーザが所持している情報処理端末10はユーザに通知を行うためのプログラム(以下、アプリと呼ぶ)を実行する。アプリを実行した情報処理端末10はステップS102において、近距離無線通信が可能な第1の所定距離の一例である10メートル以内に他のユーザの情報処理端末10が存在していれば、近距離無線通信を確立する。
【0031】
検出部22は近距離無線通信を確立した他のユーザの情報処理端末10に、同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10があるか否かを判定する。検出部22は近距離無線通信を確立した他のユーザの情報処理端末10に、同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10がなければ、ステップS108の処理に進む。近距離無線通信を確立した他のユーザの情報処理端末10に、同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10があれば、検出部22はステップS104の処理を行う。
【0032】
ステップS104において、検出部22は第1の所定距離の一例の10メートルよりも近い第2の所定距離の一例である2メートル以内に同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10があるか否かを判定する。検出部22は2メートル以内に同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10があれば、マスクを外してはいけない状態と判定する。マスクを外してはいけない状態と判定した検出部22はステップS108の処理に進む。
【0033】
検出部22は2メートル以内に同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10が無ければ、マスクを外してよい状態であると判定し、ステップS106の処理を行う。ステップS106において、通知部24は例えば
図6に示すようなメッセージの表示により、マスクを外してよい旨の通知をユーザに対して行う。
【0034】
図6はマスクを外してよい旨の通知の一例のイメージ図である。情報処理端末10を所持するユーザは
図6に示すようなメッセージを確認することで、マスクを外してよい状態であることを認識できる。なお、マスクを外してよい旨の通知は、音又は振動により行うようにしてもよい。また、マスクを外してよい旨の通知は、メッセージの表示、音、又は振動のうちの2つ以上を同時に用いて通知を行ってもよい。
【0035】
マスクを外してよい旨の通知をユーザに対して行ったあと、検出部22はステップS108の処理に進む。また、ステップS104において、マスクを外してはいけない状態と判定した検出部22はステップS106の処理をスキップしてステップS108の処理に進む。
【0036】
ステップS108において、情報処理端末10はアプリ終了の操作を受け付けたか否かを判定する。アプリ終了の操作を受け付けていなければ、情報処理端末10はステップS104の処理に戻る。アプリ終了の操作を受け付けると、情報処理端末10は
図5に示したフローチャートの処理を終了する。
【0037】
なお、ステップS102において、近距離無線通信を確立しなければ、通知部24は例えば
図6に示すようなメッセージの表示により、マスクを外してよい旨の通知をユーザに対して行ってもよい。
【0038】
以上、本実施形態によれば、感染症対策として着用しているマスクを外してもよい旨の通知を、適切なタイミングでユーザに対して行うことができる。
【0039】
[第2の実施形態]
第1の実施形態は感染症対策が求められている作業現場の例である。第2の実施形態は感染症対策及び熱中症対策の両立が求められている作業現場の例を説明する。第2の実施形態では、熱中症の危険性を判定することで、所定距離(例えば2メートル)以内に他のユーザが存在していない状態、かつ、熱中症の危険性が所定割合以上である状態を、マスクを外してもよい状態と定義している。なお、第2の実施形態は一部を除いて第1の実施形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0040】
本実施形態に係る情報処理端末10は、例えば
図7に示すような機能構成により実現される。
図7は本実施形態に係る情報処理端末の一例の機能構成図である。なお、
図7は
図3の機能構成に判定部26が追加された機能構成である。
【0041】
図7の情報処理端末10は、近距離通信部20、検出部22、通知部24、及び判定部26を有する構成である。近距離通信部20は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信回路620による近距離無線通信を確立し、通信を行う。検出部22は近距離通信部20による近距離無線通信を確立した他の情報処理端末10から、同一のアプリが搭載され、第2の所定距離(例えば2メートル)以内に存在する他の情報処理端末10を検出する。
【0042】
判定部26は、温湿度センサ623が計測した気温及び湿度等から熱中症の危険性を判定する。また、判定部26はネットワークを介して取得した気温及び湿度の情報から熱中症の危険性を判定してもよい。例えば判定部26は気温及び湿度等から暑さ指数(WBGT)を算出し、熱中症の危険性を判定してもよい。さらに、判定部26は熱中症の危険性を熱中症警戒アラートの受信により判定してもよい。
【0043】
通知部24は、同一のアプリが搭載された他の情報処理端末10が第2の所定距離以内に存在しない状態、且つ、熱中症の危険性が所定割合以上である状態であれば、情報処理端末10を所持しているユーザに対して、マスクを外してよい旨の通知を行う。
【0044】
<処理>
本実施形態に係る情報処理システム1は、例えば以下のように感染症対策と熱中症対策との両立を図る。ユーザが作業している作業現場の熱中症の危険性が所定割合以上である状態になった場合、情報処理端末10は熱中症対策が必要と判定し、マスクを外すことによる熱中症対策又はマスクを外すこと以外の熱中症対策をユーザに通知する。
【0045】
例えばユーザが作業している作業現場の熱中症の危険性が所定割合以上であっても他のユーザが第2の所定距離以内に存在する状態では、感染症対策の観点からマスクの装着が必須であるため、マスクを外すこと以外の熱中症対策(例えば休憩、水分補給、又は日陰の作業を行うなど)をユーザに通知する。また、ユーザが作業している作業現場の熱中症の危険性が所定割合以上、且つ他のユーザが第2の所定距離以内に存在しない状態では、マスクを外すことによる熱中症対策をユーザに通知する。
【0046】
なお、熱中症の危険性の割合を暑さ指数(WBGT)で判定する場合は、例えば暑さ指数が危険、厳重警戒、又は警戒のレベルであるときに、熱中症の危険性が所定割合以上である状態であると判定する。
【0047】
ユーザが所持している情報処理端末10は、例えば熱中症の危険性が所定割合以上である状態であり、且つ第2の所定距離の一例である2メートルの範囲内に同一のアプリが搭載された他の情報処理端末10が存在しない状態であれば、マスクを外してもよい状態であると判定する。情報処理端末10はマスクを外してもよい状態であることをユーザに気付かせるように通知する。
【0048】
また、ユーザが所持している情報処理端末10は、例えば熱中症の危険性が所定割合以上である状態であり、且つ同一のアプリが搭載された他の情報処理端末10が第2の所定距離の一例である2メートルの範囲内に存在する状態であれば、マスクを外すこと以外の熱中症対策が必要な状態であると判定する。情報処理端末10はマスクを外すこと以外の熱中症対策が必要な状態であることをユーザに気付かせるように通知する。
【0049】
例えば情報処理端末10は
図8に示すような手順で処理を行うことで、感染症対策及び熱中症対策を両立させる。
図8は本実施形態に掛かる情報処理端末の処理手順を示した一例のフローチャートである。
【0050】
ステップS200において、作業現場で作業を行うユーザが所持している情報処理端末10は本実施形態に掛かるアプリを実行する。アプリを実行した情報処理端末10の判定部26は熱中症の危険性の判定を開始する。また、アプリを実行した情報処理端末10は、近距離無線通信が可能な第1の所定距離の一例である10メートル以内に他の情報処理端末10が存在していれば、近距離無線通信を確立する。
【0051】
ステップS202において、情報処理端末10の判定部26はユーザが作業している作業現場の熱中症の危険性が所定割合以上であるか否かを判定する。判定部26は熱中症の危険性が所定割合以上であれば、ステップS204の処理に進む。
【0052】
ステップS204において、検出部22は第2の所定距離の一例である2メートル以内に同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10があるか否かを判定する。検出部22は2メートル以内に同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10があれば、マスクを外してはいけない状態と判定する。マスクを外してはいけない状態と判定した検出部22はステップS206の処理に進む。
【0053】
ステップS206において、通知部24は例えば
図9(A)に示すようなメッセージの表示により、マスクを外すこと以外の熱中症対策が必要な状態であることをユーザに通知する。
図9はユーザへの通知の一例のイメージ図である。ユーザは
図9(A)に示すようなメッセージを確認することで、マスクを外すこと以外の熱中症対策が必要な状態であることを認識できる。マスクを外すこと以外の熱中症対策が必要な状態であることをユーザに通知したあと、情報処理端末10はステップS210の処理に進む。
【0054】
また、ステップS204において検出部22は第2の所定距離の一例である2メートル以内に同一のアプリを搭載した他のユーザの情報処理端末10がなければ、マスクを外してもよい状態と判定する。マスクを外してもよい状態と判定した検出部22はステップS208の処理に進む。
【0055】
ステップS208において、通知部24は例えば
図9(B)に示すようなメッセージの表示により、熱中症対策が必要であり、且つマスクを外すことによる熱中症対策が可能な状態であることをユーザに通知する。ユーザは
図9(B)に示すようなメッセージを確認することで、熱中症対策が必要であり、マスクを外すことによる熱中症対策が可能な状態であることを認識できる。マスクを外すことによる熱中症対策が可能な状態であることをユーザに通知したあと、情報処理端末10はステップS210の処理に進む。
【0056】
ステップS210において、情報処理端末10はアプリ終了の操作を受け付けたか否かを判定する。アプリ終了の操作を受け付けていなければ、情報処理端末10はステップS202の処理に戻る。アプリ終了の操作を受け付けると、情報処理端末10は
図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0057】
以上、本実施形態によれば、感染症対策及び熱中症対策の両立が求められている場所において、マスクを外すことによる熱中症対策又はマスクを外すこと以外の熱中症対策を行う旨の通知を、適切なタイミングでユーザに対して行うことができる。
【0058】
[他の実施形態]
第1及び第2の実施形態は情報処理端末10がユーザへの通知を行っていたが、例えば
図10に示すような機能構成により、情報処理端末10と連携するウエアラブルデバイス12からユーザへの通知を行ってもよい。ここでは、第1の実施形態の情報処理端末10がウエアラブルデバイス12からユーザへの通知を行う例を説明する。
【0059】
図10は本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。
図10の情報処理システムは、情報処理端末10とウエアラブルデバイス12とが近距離無線通信により連携されている。情報処理端末10は、近距離通信部20、検出部22、及び通知制御部28を有する構成である。ウエアラブルデバイス12は、近距離通信部50、及び通知部52を有する構成である。また、通知部52はアラーム発信部60、振動部62、及びメッセージ表示部64を有する。
【0060】
近距離通信部20及び近距離通信部50は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信回路620による近距離無線通信を確立し、通信を行う。検出部22は近距離通信部20による近距離無線通信を確立した他の情報処理端末10から、同一のアプリが搭載され、第2の所定距離(例えば2メートル)以内に存在する他の情報処理端末10を検出する。通知制御部28は第2の所定距離以内に同一のアプリが搭載された他の情報処理端末10が存在しない状態であれば、ウエアラブルデバイス12を制御して、マスクを外してよい旨の通知をユーザに対して行う。
【0061】
ウエアラブルデバイス12の通知部52は情報処理端末10の制御により、マスクを外してよい旨の通知をユーザに対して行う。通知部52のアラーム発信部60は、マスクを外してよい旨の通知を例えば音(アラーム)により行う。また、振動部62は、マスクを外してよい旨の通知を例えばバイブレーション機能などの振動により行う。メッセージ表示部64は、マスクを外してよい旨の通知を例えばメッセージの表示により行う。
【0062】
また、第1及び第2の実施形態は情報処理端末10が第2の所定距離以内に同一のアプリを搭載した他の情報処理端末10が存在するか否かの判定、熱中症の危険性の判定などの処理を行う例を説明したが、
図11~
図13に示すように、情報処理端末10以外の情報処理装置14で処理してもよい。
【0063】
図11は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
図11の情報処理システム2は複数の情報処理端末10がインターネットなどのネットワーク18を介して情報処理装置14及び熱中症警戒アラート発令装置16と通信可能に接続されている。
【0064】
熱中症警戒アラート発令装置16はネットワーク18を介して熱中症警戒アラートを発令する。情報処理装置14は第1及び第2の実施形態の通知をユーザに行うために必要な情報を情報処理端末10及び熱中症警戒アラート発令装置16から取得し、第1及び第2の実施形態の通知をユーザに行うための処理を行う。
【0065】
なお、情報処理装置14は例えば
図12に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。また、情報処理端末10はPCである場合、例えば
図12に示すようなハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。
【0066】
図12は、本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図3に示されているように、コンピュータ500はCPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0067】
CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウインドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。
【0068】
ネットワークI/F509は、ネットワーク18を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス510は、CPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0069】
キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0070】
図13は本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。
図13の情報処理端末10は、近距離通信部20、通知部24、及び通信部40を有する。通知部24はアラーム発信部30、振動部32、及びメッセージ表示部34を有する。情報処理装置14は、通信部100、検出部102、判定部104、及び通知制御部106を有する。
【0071】
情報処理装置14の通信部100は、ネットワーク18を介して情報処理端末10及び熱中症警戒アラート発令装置16と通信を行う。検出部102は、第1及び第2の実施形態の通知をユーザに対して行う情報処理端末10の第2の所定距離以内に存在する同一のアプリが搭載された他の情報処理端末10を検出する。
【0072】
判定部104は熱中症警戒アラート発令装置16から受信する熱中症警戒アラートを利用して熱中症の危険性を判定する。通知制御部106は、情報処理端末10を制御することで第1及び第2の実施形態の通知をユーザに対して行う。例えば第1の実施形態では通知を行うユーザの情報処理端末10の第2の所定距離以内に同一のアプリが搭載された他の情報処理端末10が存在しない状態であれば、マスクを外してよい旨の通知を行うように情報処理装置14が情報処理端末10を制御する。
【0073】
また、第2の実施形態では熱中症の危険性が所定割合以上であって、かつ、通知を行うユーザの情報処理端末10の第2の所定距離以内に同一のアプリが搭載された他の情報処理端末10が存在しない状態であれば、マスクを外してよい旨の通知を行うように情報処理装置14が情報処理端末10を制御する。
【0074】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。なお、本実施形態で説明した情報処理システム1及び2は一例であって、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
【0075】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0076】
実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理装置14はサーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワーク18や共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0077】
さらに、情報処理端末10及び情報処理装置14は、開示された処理ステップを様々に組み合わせることもできる。情報処理端末10及び情報処理装置14の各要素は、1つの装置にまとめられていてもよいし、複数の装置に分けられていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理システム
10、10a、10b 情報処理端末
12 ウエアラブルデバイス
14 情報処理装置
16 熱中症警戒アラート発令装置
18 ネットワーク
20、50 近距離通信部
22、102 検出部
24、52 通知部
26、104 判定部
28、106 通知制御部
30、60 アラーム発信部
32、62 振動部
34、64 メッセージ表示部
40、100 通信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】