(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012047
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】機能液測定装置および機能液測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20230118BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230118BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
G01B11/02 H
B05C5/00 101
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115451
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 義治
【テーマコード(参考)】
2F065
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065AA59
2F065DD03
2F065FF04
2F065FF61
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ21
2F065QQ31
2F065SS04
4F041AA02
4F041AA05
4F041AA17
4F041AB01
4F041BA01
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4F041BA34
4F041BA59
4F042AA06
4F042AA28
4F042AB00
4F042BA12
4F042BA25
4F042CB08
4F042CC04
4F042CC09
4F042DH01
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】機能液の液滴の吐出量の測定を電子天秤等の重量測定器を用いることなく精度良く行うことができる技術を提供する。
【解決手段】本開示による機能液測定装置は、1以上のノズルを有するインクジェットヘッドから吐出された機能液の吐出量を測定する機能液測定装置であって、液受部と、撮像部と、算出部とを備える。液受部は、複数の溝部が形成された液受面を有し、インクジェットヘッドから吐出された機能液の液滴を液受面において受ける。撮像部は、溝部に入り込み溝部に沿って延びた機能液を撮像する。算出部は、撮像部によって撮像された画像に基づき、吐出量を算出する。また、液受面において複数の溝部が形成された領域は、液滴の直径よりも大きい。また、溝部の幅は、液滴の直径よりも小さい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のノズルを有するインクジェットヘッドから吐出された機能液の吐出量を測定する機能液測定装置であって、
複数の溝部が形成された液受面を有し、前記インクジェットヘッドから吐出された前記機能液の液滴を前記液受面において受ける液受部と、
前記溝部に入り込み前記溝部に沿って延びた前記機能液を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記吐出量を算出する算出部と
を備え、
前記液受面において前記複数の溝部が形成された領域は、前記液滴の直径よりも大きく、前記溝部の幅は、前記液滴の直径よりも小さい、機能液測定装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記画像を用いて、前記溝部に沿って延びた前記機能液の長さを算出し、算出した前記長さに基づいて前記吐出量を算出する、請求項1に記載の機能液測定装置。
【請求項3】
前記機能液の液種ごとに、前記溝部における前記機能液の膜厚に関する膜厚情報を記憶する記憶部
を備え、
前記算出部は、前記長さと前記膜厚情報とに基づいて前記吐出量を算出する、請求項2に記載の機能液測定装置。
【請求項4】
前記溝部は、直線状である、請求項1~3のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項5】
前記溝部は、親液性の底面を有する、請求項1~4のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項6】
前記溝部は、撥液性の側面および上面を有する、請求項1~5のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項7】
前記インクジェットヘッドおよび前記撮像部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記インクジェットヘッドを制御して、同一の前記ノズルから前記機能液の液滴を前記液受面に複数回吐出させた後、前記撮像部を制御して、前記溝部に沿って延びた前記機能液を撮像させる、請求項1~6のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項8】
前記インクジェットヘッドおよび前記撮像部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記インクジェットヘッドを制御して、同一の前記ノズルから前記機能液の液滴を前記液受面に複数回吐出させた後、前記撮像部を制御して、前記溝部に沿って延びた前記機能液を撮像させ、
前記算出部は、
同一の前記ノズルから前記機能液の液滴を前記液受面にn(nは1以上の整数)回吐出させた後に前記撮像部によって撮像された前記画像と、同一の前記ノズルから前記機能液の液滴を前記液受面にn+m(mは1以上の整数)回吐出させた後に前記撮像部によって撮像された前記画像との差分に基づいて、前記吐出量を算出する、請求項1~6のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項9】
前記液受部は、板状である、請求項1~8のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項10】
前記液受部は、フィルム状である、請求項1~8のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項11】
前記液受部を収容するチャンバと、
前記チャンバに収容された前記液受部に対して洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記チャンバに収容された前記液受部に対して気体を供給する気体供給部と
を備える、請求項1~10のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項12】
前記液受面は、
前記複数の溝部が形成された第1領域と、
アライメントマークが形成された第2領域と
を備える、請求項1~11のいずれか一つに記載の機能液測定装置。
【請求項13】
1以上のノズルを有するインクジェットヘッドから吐出された機能液の吐出量を測定する機能液測定方法であって、
複数の溝部が形成された液受面を有する液受部を用いて、前記インクジェットヘッドから吐出された前記機能液の液滴を前記液受面において受ける液受工程と、
前記液受工程の後、前記溝部に入り込み前記溝部に沿って延びた前記機能液を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって撮像された画像に基づき、前記吐出量を算出する算出工程と
を含み、
前記液受面において前記複数の溝部が形成された領域は、前記液滴の直径よりも大きく、前記溝部の幅は、前記液滴の直径よりも小さい、機能液測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機能液測定装置および機能液測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吐出ヘッドから検査シートに機能液の液滴を吐出させ、検査シート上の機能液をカメラで撮像し、撮像された画像に基づいて、吐出ヘッドが機能液の液滴を正常に吐出しているか否か(ノズル詰まりがないか)を検査する技術が開示されている。また、特許文献1には、吐出ヘッドから吐出された機能液の重量を電子天秤にて測定し、測定された重量に基づいて機能液の液滴の吐出量を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、機能液の液滴の吐出量の測定を電子天秤等の重量測定器を用いることなく精度良く行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による機能液測定装置は、1以上のノズルを有するインクジェットヘッドから吐出された機能液の吐出量を測定する機能液測定装置であって、液受部と、撮像部と、算出部とを備える。液受部は、複数の溝部が形成された液受面を有し、インクジェットヘッドから吐出された機能液の液滴を液受面において受ける。撮像部は、溝部に入り込み溝部に沿って延びた機能液を撮像する。算出部は、撮像部によって撮像された画像に基づき、吐出量を算出する。また、液受部において複数の溝部が形成された領域は、液滴の直径よりも大きい。また、溝部の幅は、液滴の直径よりも小さい。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、機能液の液滴の吐出量の測定を電子天秤等の重量測定器を用いることなく精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る液滴吐出装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るノズルヘッドの配置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る液受部の一部を拡大した模式的な平面図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるV-V線矢視における模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、液受部に吐出された機能液の液滴の広がり方の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る洗浄部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る検査処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る検査処理における検査機構の移動を示す模式的な側面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る検査処理における検査機構の移動を示す模式的な側面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る検査処理における検査機構の移動を示す模式的な側面図である。
【
図12】
図12は、第1変形例に係る検査処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2変形例に係る液受部の一部を拡大した模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による機能液測定装置および機能液測定方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0011】
従来、吐出ヘッドから吐出された機能液の重量を電子天秤にて測定し、測定された重量に基づいて機能液の液滴の吐出量を算出する技術が知られている(特許文献1参照)。これに対し、たとえば高速処理化あるいは省スペース化の観点から、電子天秤等の重量測定器を用いることなく機能液の液滴の吐出量を測定することが期待されている。
【0012】
一方、吐出ヘッドから検査シートに機能液の液滴を吐出させ、検査シート上の機能液をカメラで撮像し、撮像された画像に基づいて機能液の液滴の吐出量を測定する技術が知られている。この技術によれば、電子天秤等の重量測定器を用いることなく機能液の液滴の吐出量を測定することができる。しかしながら、この技術は、2次元の情報である画像から3次元の情報である吐出量を算出するものである。すなわち、検査シート上において機能液の液滴は、たとえばお椀状に膨らんでいるが、画像からでは平面的な情報しか得ることができず、高さ方向の情報(液滴がどれだけ盛り上がっているか)を得ることはできない。したがって、この技術は、機能液の液滴の吐出量を精度良く測定するという点で改善の余地がある。
【0013】
そこで、機能液の液滴の吐出量の測定を電子天秤等の重量測定器を用いることなく精度良く行うことができる技術が期待されている。
【0014】
(液滴吐出装置の構成)
実施形態に係る液滴吐出装置1について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る液滴吐出装置1の概略構成を示す側面図である。
図2は、実施形態に係る液滴吐出装置1の概略構成を示す平面図である。
【0015】
液滴吐出装置1は、基板Wを搬送方向に沿って搬送しながら、インクジェット方式で基板Wに描画を行う描画装置である。基板Wは、例えば、フラットパネルディスプレイに用いられる基板である。
【0016】
液滴吐出装置1は、チャンバルーム100に収容される。チャンバルーム100には、不活性ガス(例えば、窒素ガス)が供給される。液滴吐出装置1は、不活性ガス雰囲気化で機能液を基板Wに吐出し、基板Wに描画を行う。なお、液滴吐出装置1は、チャンバルーム100に収容されない装置であってもよい。
【0017】
機能液には、インクの他に、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)や、正孔輸送層(HTL:Hole Transport Layer)などを形成する液が含まれていてもよい。
【0018】
チャンバルーム100には、制御装置9などが収容される電気室101が併設される。また、チャンバルーム100には、機能液が貯留される図示しない機能液タンクを交換するための交換室102が設けられる。
【0019】
液滴吐出装置1は、架台2と、第1ガイドレール3と、基板搬送機構4と、第2ガイドレール5と、描画機構6と、検査機構7と、洗浄部8と、制御装置9とを備える。
【0020】
架台2は、基板Wの搬送方向(ここでは、Y軸方向)に沿って延びるように形成される。
【0021】
第1ガイドレール3は、架台2の上面に配置される。一対の第1ガイドレール3,3は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて配置される。各第1ガイドレール3は、搬送方向に沿って延びるように形成される。
【0022】
基板搬送機構4は、ワークステージ40と、ステージ回転部41と、スライダ42とを備える。基板搬送機構4は、基板Wを搬送方向(Y軸方向)に沿って搬送する。
【0023】
ワークステージ40は、例えば、真空吸着ステージであり、基板Wを吸着する。ステージ回転部41は、ワークステージ40の下方に設けられ、上下方向と平行な軸を中心にワークステージ40を回動させる。すなわち、ワークステージ40は、ステージ回転部41によって上下方向と平行な軸を中心に回動自在に支持される。
【0024】
なお、ワークステージ40の上方には、ワークステージ40上の基板Wのアライメントマークを撮像するワークアライメントカメラ(不図示)が設けられている。ステージ回転部41は、ワークアライメントカメラによって撮像された画像に基づいて上下方向と平行な軸を中心に回動し、基板Wの位置を補正する。
【0025】
スライダ42は、ステージ回転部41の下方に設けられ、ステージ回転部41、およびワークステージ40を支持する。スライダ42は、一対の第1ガイドレール3,3に取り付けられ、一対の第1ガイドレール3,3のうち少なくとも一方に設けられた駆動部(不図示)、例えば、リニアモータによって一対の第1ガイドレール3,3に沿って移動可能である。
【0026】
すなわち、ワークステージ40、およびステージ回転部41は、スライダ42が一対の第1ガイドレール3,3に沿って搬送方向に移動することで、スライダ42と共に搬送方向に移動する。これにより、基板Wが搬送方向(Y軸方向)に沿って搬送される。
【0027】
なお、基板搬送機構4は、浮上式の搬送機構であってもよい。浮上式の搬送機構は、例えば、基板Wの端を下方から支持し、基板Wに向けて下方から圧縮空気を吹き付けて基板Wを水平に保持しつつ、基板Wを移動させる。
【0028】
一対の第2ガイドレール5,5は、搬送方向に互いに間隔をあけて配置される。各第2ガイドレール5は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って延びるように形成される。各第2ガイドレール5は、例えば、門型に形成される支持部5aの上面に取り付けられる。
【0029】
一対の第2ガイドレール5,5は、例えば、架台2の外方に延びるように設けられる。架台2の外方に延びる一対の第2ガイドレール5,5の間には、メンテナンス部50が配置される。一対の第2ガイドレール5,5は、基板Wに描画を行う描画位置と、メンテナンス部50によってメンテナンスを行うメンテナンス位置との間で、描画機構6が搬送方向と直交する方向(X軸方向)に移動可能となるように設けられる。
【0030】
メンテナンス部50は、後述するノズルヘッド63のメンテナンスを行い、ノズルヘッド63の吐出不良などを解消、または防止する。
【0031】
描画機構6は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って複数配置される。例えば、描画機構6は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って3個配置される。なお、描画機構6の数は、これに限られることない。各描画機構6は、キャリッジプレート60と、キャリッジ回動部61と、キャリッジ62と、複数のノズルヘッド63(インクジェットヘッドの一例)とを備える。
【0032】
キャリッジプレート60は、一対の第2ガイドレール5,5に取り付けられ、一対の第2ガイドレール5,5のうち少なくとも一方に設けられた駆動部(不図示)、例えば、リニアモータによって一対の第2ガイドレール5,5に沿って、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に移動可能である。なお、複数のキャリッジプレート60を一体として搬送方向と直交する方向(X軸方向)に移動可能としてもよい。
【0033】
キャリッジ回動部61は、キャリッジプレート60の下方に配置される。キャリッジ回動部61は、搬送方向におけるキャリッジプレート60の中央に取り付けられる。キャリッジ回動部61の下端には、キャリッジ62が取り付けられる。キャリッジ回動部61は、キャリッジ62を鉛直軸(Z軸)を中心に回動自在に支持する。
【0034】
なお、キャリッジ回動部61は、ワークステージ40に設けられたキャリッジアライメントカメラ(不図示)によって撮像された画像に基づいて、鉛直軸を中心にキャリッジを回動させる。これにより、キャリッジ62の位置が補正される。
【0035】
複数のノズルヘッド63は、キャリッジ62に設けられる。各ノズルヘッド63は、図示しない供給チューブを介して図示しない機能液タンクに接続され、機能液タンクから供給チューブを介して機能液が供給され、基板W(ワーク)に機能液の液滴を吐出する。各ノズルヘッド63は、複数種類(たとえば、R,G,B)の機能液を吐出することができる。
【0036】
複数のノズルヘッド63は、キャリッジ62の下面において、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に所定の間隔で配置されており、また、搬送方向に所定の間隔で配置されている。
【0037】
図3は、実施形態に係るノズルヘッド63の配置の一例を示す図である。
図3には、キャリッジ62を上側から見た平面図が示されており、ノズルヘッド63を設けた配置位置が破線により示されている。キャリッジ62は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延びる長辺と搬送方向に延びる短辺とを有する長方形状に形成される。キャリッジ62の下面には、搬送方向と直交する方向(X軸方向)及び搬送方向に隣接する複数のノズルヘッド63が配置されている。
【0038】
複数のノズルヘッド63は、第1ノズルヘッド群63a(第1吐出ヘッド群の一例)と、第2ノズルヘッド群63b(第2吐出ヘッド群の一例)とを有する。以下では、第1ノズルヘッド群63aに属するノズルヘッド63を第1ノズルヘッド631(第1吐出ヘッドの一例)と記載し、第2ノズルヘッド群63bに属するノズルヘッド63を第2ノズルヘッド632(第2吐出ヘッドの一例)と記載する。第1ノズルヘッド群63aは、第1ノズルヘッド631が搬送方向と直交する方向(X軸方向)に複数配列されて形成される。第2ノズルヘッド群63bは、第1ノズルヘッド群63aに対して搬送方向(Y軸方向)に隣接する位置において、第2ノズルヘッド632が搬送方向と直交する方向(X軸方向)に複数配列されて形成される。第2ノズルヘッド群63bの各第2ノズルヘッド632は、第1ノズルヘッド群63aの各第1ノズルヘッド631とは搬送方向(Y軸方向)において重ならない位置に位置する。言い換えると、搬送方向に隣接する第1ノズルヘッド群63aの各第1ノズルヘッド631および第2ノズルヘッド群63bの各第2ノズルヘッド632が搬送方向と直交する方向において異なる位置に配置される。これにより、ノズルヘッド63の配置が高密度化される。
【0039】
第1ノズルヘッド群63aおよび第2ノズルヘッド群63bは、搬送方向(Y軸方向)に沿って複数列設けられる。例えば、第1ノズルヘッド群63aおよび第2ノズルヘッド群63bは、搬送方向に沿って2列設けられる。なお、第1ノズルヘッド群63aおよび第2ノズルヘッド群63bの組みは、搬送方向において1列であってもよく、また、3列以上の複数列設けられてもよい。各ノズルヘッド63は、複数のノズルを備えており、各ノズルから機能液を吐出する。
【0040】
(検査機構の構成)
図1および
図2に示すように、検査機構7は、液受部71と、スライダ72とを備える。液受部71は、ノズルヘッド63から吐出された機能液の液滴を受ける。実施形態において、液受部71は、板状部材である。板状部材である液受部71は、たとえばガラス板である。なお、液受部71は、フィルム状の部材であってもよい。この場合、検査機構7は、フィルム状の液受部71を搬送方向と直交する方向(X軸方向)に送るフィルム送り部、および、フィルム状の液受部71を吸着する吸着ステージ等を備えていてもよい。
【0041】
スライダ72は、一対の第1ガイドレール3,3に取り付けられ、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って延びるように形成される。スライダ72は、一対の第1ガイドレール3,3のうち少なくとも一方に設けられた駆動部(不図示)、例えば、リニアモータによって一対の第1ガイドレール3,3に沿って移動可能である。すなわち、スライダ72は、搬送方向(Y軸方向)に沿って移動可能である。
【0042】
上述した液受部71は、スライダ72の上面に設けられる。スライダ72は、搬送方向に沿って設定される吐出位置、撮像位置、待機位置および洗浄位置間で液受部71を移動させる。
【0043】
吐出位置は、複数のノズルヘッド63の下方となる位置である。なお、実施形態において、吐出位置は、第1吐出位置と、第2吐出位置とを含む。第1吐出位置は、複数のノズルヘッド63のY軸負方向から1列目の第1ノズルヘッド群63aおよび第2ノズルヘッド群63bによって吐出される検査用の機能液の液滴を液受部71で受ける位置である。第2吐出位置は、複数のノズルヘッド63のY軸負方向から2列目の第1ノズルヘッド群63aおよび第2ノズルヘッド群63bによって吐出される検査用の機能液の液滴を液受部71で受ける位置である。
【0044】
撮像位置は、吐出位置よりもY軸正方向に位置する。また、撮像位置は、撮像部74の直下に位置する。待機位置は、撮像位置よりもさらにY軸正方向に位置する。洗浄位置は、待機位置よりもさらにY軸正方向に位置する。具体的には、洗浄位置は、後述する洗浄部8が有するチャンバ81の内部に位置する。
【0045】
撮像部74は、
図1に示すように、第2ガイドレール5にベース74aを介して取り付けられる。ベース74aには、撮像部74を搬送方向と直交する方向(X軸方向)に移動させる移動機構(不図示)が設けられる。撮像部74は、一対の第2ガイドレール5,5のうち、搬送方向下流側に配置された第2ガイドレール5に取り付けられる。すなわち、撮像部74は、キャリッジ62よりも搬送方向下流側に配置される。
【0046】
撮像部74は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等である。撮像部74は、液受部71に吐出された機能液の液滴を撮像する。
【0047】
なお、撮像部74を複数設け、液受部71に吐出された機能液の液滴を複数の撮像部74によって撮像してもよい。この場合、撮像部74を搬送方向と直交する方向(X軸方向)に移動可能とはせずに、第2ガイドレール5に固定してもよい。
【0048】
洗浄部8は、検査機構7よりも搬送方向下流側(Y軸正方向側)に配置される。洗浄部8は、液受部71の洗浄を行う。かかる洗浄部8の構成については後述する。
【0049】
制御装置9は、例えば、コンピュータであり、制御部91と記憶部92とを備える。記憶部92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0050】
制御部91は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポート等を含むマイクロコンピュータや各種回路を含む。マイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、基板搬送機構4、描画機構6、検査機構7および洗浄部8等の制御を実現する。
【0051】
なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されており、記憶媒体から制御装置9の記憶部92にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0052】
(液受部の構成)
次に、液受部71の構成について
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る液受部71の一部を拡大した模式的な平面図である。また、
図5は、
図4におけるV-V線矢視における模式的な断面図である。また、
図6は、液受部71に吐出された機能液の液滴の広がり方の一例を示す図である。
【0053】
図4に示すように、液受部71は、複数の溝部712を有する。実施形態において、複数の溝部712は、搬送方向(Y軸方向)に沿って直線状に延在している。また、複数の溝部712は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って並べられている。
【0054】
図6には、液受部71に着弾した直後の機能液の液滴Dの外形を一点鎖線で示している。
図6に示すように、液受部71において複数の溝部712が形成された領域は、機能液の液滴Dの直径と比較して十分に大きい。一例として、複数の溝部712は、液受部71の上面の略全面に形成されてもよい。また、各溝部712の幅は、機能液の液滴Dの直径よりも小さい。一例として、溝部712の幅は、1μm以上100μm以下である。また、バンク712bの幅は、1μm以上100μm以下である。
【0055】
図5に示すように、複数の溝部712は、板状の基材711の上部に形成されている。基材711は、たとえばガラス板である。複数の溝部712は、基材711の上面に形成された膜712aと、膜712aの上面に形成された複数のバンク712bとを含んで構成される。複数のバンク712bは、搬送方向(Y軸方向)に沿って直線状に延在している。また、複数のバンク712bは、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って並べられている。膜712aは、親液性を有し、複数のバンク712bは、撥液性を有する。なお、複数のバンク712bが延びる方向は、必ずしも搬送方向(Y軸方向)であることを要しない。複数のバンク712bが延びる方向は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)であってもよい。
【0056】
1つの溝部712は、隣接する2つのバンク712bと膜712aとにより構成される。具体的には、膜712aの上面は、溝部712の底面を構成し、バンク712bの側面は、溝部712の側面を構成する。溝部712の幅、すなわち、隣接する2つのバンク712b間の距離は、略一定である。また、溝部712の深さ、すなわち、バンク712bの高さも、略一定である。
【0057】
図6に示すように、液受部71に着弾した機能液の液滴は、溝部712に入り込む。そして、溝部712に入り込んだ機能液は、溝部712に沿って直線状に延びる。なお、
図6には、4つの溝部712に機能液が入り込んだ例を示している(
図6に示すハッチング部参照)。
【0058】
ここで、バンク712bは撥液性である。したがって、実施形態に係る液受部71によれば、バンク712bの上面に着弾した機能液がバンク712bの上面に残存することを抑制することができる。すなわち、バンク712bの上面に機能液が残存することによる機能液の吐出量の測定精度の低下を抑制することができる。また、バンク712bの側面も撥液性であるため、溝部712に入り込んだ機能液が溝部712から漏れ出ることを抑制することができる。
【0059】
また、膜712aの上面は親液性である。かかる構成によれば、溝部712に入り込んだ機能液を溝部712に沿って広げ易くすることができる。また、膜712aの上面(すなわち、溝部712の底面)が親液性であり、かつ、バンク712bの側面(すなわち、溝部712の側面)が撥液性であることで、溝部712に入り込んだ機能液を溝部712に留め易くすることができる。
【0060】
なお、
図4に示すように、液受部71は、複数のバンク712bのうち他のバンク712bと比較して長さが短いバンク712bを有していてもよい。長さが短いバンク712bは、たとえば、機能液の着弾位置を撮像部74で撮像する際の位置確認用の座標として利用することができる。
【0061】
(洗浄部の構成)
次に、洗浄部8の構成について
図7を参照して説明する。
図7は、実施形態に係る洗浄部8の構成を示す模式的な断面図である。
【0062】
図7に示すように、洗浄部8は、チャンバ81と、洗浄液供給部82と、気体供給部83とを備える。チャンバ81は、検査機構7(液受部71およびスライダ72)を収容可能である。一対の第1ガイドレール3,3は、チャンバ81の内部に入り込んでいる。検査機構7は、一対の第1ガイドレール3,3に沿って移動することで、チャンバ81の内部(すなわち、洗浄位置)に移動することができる。チャンバ81は、検査機構7の搬入出口811と、搬入出口811を開閉可能なシャッター812とを備えていてもよい。
【0063】
洗浄液供給部82は、チャンバ81の内部に配置される。洗浄液供給部82は、開閉弁や流量調整弁といった流量調整機器821を介して洗浄液供給源822に接続される。洗浄液供給部82は、チャンバ81に収容された液受部71の上面に対し、洗浄液供給源822から供給される洗浄液を供給する。洗浄液供給部82から供給される洗浄液としては、たとえば有機溶媒等のソルベントが用いられ得る。
【0064】
気体供給部83は、チャンバ81の内部に配置される。気体供給部83は、開閉弁や流量調整弁といった流量調整機器831を介して気体供給源832に接続される。気体供給部83は、チャンバ81に収容された液受部71の上面に対し、気体供給源832から供給される気体を供給する。気体供給部83から供給される気体としては、たとえばドライエアの他、窒素ガス等の不活性ガスが用いられ得る。
【0065】
このように、実施形態に係る液滴吐出装置1によれば、洗浄部8を備えることで、液受部71を繰り返し使用することができる。
【0066】
(検査処理の手順)
次に、実施形態に係る液滴吐出装置1が実行する検査処理の手順について
図8~
図11を参照して説明する。
図8は、実施形態に係る検査処理の手順を示すフローチャートである。また、
図9~
図11は、実施形態に係る検査処理における検査機構7の移動を示す模式的な側面図である。なお、
図8に示す各処理手順は、制御部91の制御に従って実行される。
【0067】
検査機構7のスライダ72は、検査処理を行わない場合、例えば、描画機構6によって基板Wに機能液を吐出している場合や、液滴吐出装置1が使用されていない場合などには、
図1に示すように待機位置に位置している。
【0068】
図8に示すように、液滴吐出装置1では、まず、液滴吐出処理が行われる(ステップS101)。具体的には、
図9に示すように、制御部91は、検査機構7のスライダ72を制御して、液受部71を待機位置から第1吐出位置へ移動させる。具体的には、制御部91は、Y軸負方向から1列目の第1ノズルヘッド群63aおよび第2ノズルヘッド群63bの直下に液受部71を位置させる。
【0069】
そして、制御部91は、Y軸負方向から1列目の第1ノズルヘッド群63aの各第1ノズルヘッド631から液受部71の上面(液受面の一例)に機能液の液滴を吐出させる。また、制御部91は、Y軸負方向から1列目の第2ノズルヘッド群63bの各第2ノズルヘッド632から液受部71の上面に機能液の液滴を吐出する。
【0070】
つづいて、制御部91は、検査機構7のスライダ72を制御して、液受部71を第1吐出位置から第2吐出位置へ移させる。すなわち、制御部91は、Y軸負方向から2列目の第1ノズルヘッド群63aおよび第2ノズルヘッド群63b(
図3参照)の直下に液受部71を位置させる。そして、制御部91は、Y軸負方向から2列目の第1ノズルヘッド群63aの各第1ノズルヘッド631から液受部71の上面に機能液の液滴を吐出させる。また、制御部91は、Y軸負方向から2列目の第2ノズルヘッド群63bの各第2ノズルヘッド632から液受部71の上面に機能液の液滴を吐出する。
【0071】
各ノズルヘッド63から吐出された機能液の液滴は、複数の溝部712が形成された領域に着弾した後、溝部712に入り込み、溝部712に沿って延びる(
図6参照)。
【0072】
つづいて、液滴吐出装置1では、撮像処理が行われる(ステップS102)。具体的には、
図10に示すように、制御部91は、検査機構7のスライダ72を制御して、液受部71を撮像位置に移動させる。すなわち、制御部91は、液受部71を撮像部74の直下に位置させる。そして、制御部91は、液受部71に吐出された機能液の液滴を撮像部74により撮像する。
【0073】
その後、
図11に示すように、制御部91は、検査機構7のスライダ72を制御して、液受部71を洗浄位置に移動させる。すなわち、制御部91は、液受部71を洗浄部8のチャンバ81の内部に位置させる。そして、制御部91は、洗浄部8を制御して、液受部71の洗浄処理および乾燥処理を行う。具体的には、制御部91は、洗浄液供給部82から液受部71の上面に洗浄液を供給することにより、液受部71から機能液を除去する。その後、制御部91は、気体供給部83から液受部71の上面に乾燥用の気体を供給することにより、液受部71から洗浄液を除去する。その後、制御装置9は、検査機構7のスライダ72を制御して、液受部71を待機位置へ戻す。
【0074】
液滴吐出装置1では、撮像処理の後、長さ算出処理が行われる(ステップS103)。長さ算出処理において、制御部91は、撮像処理において撮像された画像を用いて、溝部712に沿って延びた機能液の長さを算出する。たとえば、
図6に示す例では、4つの溝部712に機能液が入り込んでいる。この場合、制御部91は、たとえば、溝部712ごとに機能液の長さを算出する。そして、制御部91は、溝部712ごとに算出した4つの機能液の長さの合計(以下、「機能液の全長」と記載する)を算出する。
【0075】
つづいて、液滴吐出装置1では、吐出量算出処理が行われる(ステップS104)。吐出量算出処理において、制御部91は、長さ算出処理において算出した機能液の全長に基づいて機能液の吐出量を算出する。
【0076】
たとえば、制御装置9が有する記憶部92には、溝部712の幅および深さの情報が予め記憶されていてもよい。この場合、制御部91は、長さ算出処理において算出した機能液の全長と、既知の値である溝部712の幅と、既知の値である溝部712の深さとを乗じることにより、溝部712に入り込んだ機能液の体積(すなわち、吐出量)を算出することができる。
【0077】
上記の例では、溝部712の深さを用いて機能液の体積を算出することとしたが、溝部712内における機能液の膜厚に関する情報(膜厚情報)を事前の実験等により取得しておき、かかる膜厚情報を用いて機能液の体積を算出してもよい。膜厚情報は、たとえば、溝部712内における機能液の平均膜厚を示す情報であってもよい。このように、膜厚情報を用いて機能液の体積を算出することにより、機能液の吐出量の測定精度を高めることができる。
【0078】
ここで、本願発明者は、溝部712の幅方向における機能液の膜厚分布が、機能液の液種(たとえば、R,G,B)によって異なることを見出した。そこで、液滴吐出装置1は、液種ごとの膜厚情報を記憶部92に記憶させてもよい。この場合、制御部91は、長さ算出処理において算出した機能液の全長と、既知の値である溝部712の幅と、吐出された機能液の液種に対応する膜厚情報に示される膜厚とを乗じることにより、溝部712に入り込んだ機能液の体積を算出してもよい。
【0079】
このように、液種ごとに異なる膜厚情報を用いて機能液の体積を算出することにより、機能液の吐出量の測定精度をさらに高めることができる。
【0080】
つづいて、液滴吐出装置1では、判定処理が行われる(ステップS105)。判定処理において、制御部91は、吐出量算出処理において算出した吐出量が適量であるか否かを判定する。たとえば、制御部91は、吐出量算出処理において算出した吐出量が閾値範囲(吐出量の下限値および上限値を有する範囲)に収まっているか否かを判定する。そして、制御部91は、算出した吐出量が閾値範囲に収まっている場合、吐出量が正常であると判定する。一方、算出した吐出量が閾値範囲から外れている場合、制御部91は、吐出量が異常であると判定する。制御部91は、ノズルごとに判定処理を行う。
【0081】
このように、実施形態に係る液滴吐出装置1では、ノズルヘッド63から液受部71上に形成された複数の溝部712に対して機能液の液滴を吐出させる。そして、実施形態に係る液滴吐出装置1では、溝部712に沿って延びた機能液の長さに基づいて機能液の吐出量を算出することとした。
【0082】
機能液は、溝部712に沿って延びる。そして、溝部712の深さは既知である。このため、2次元の情報である画像を取得することで、たとえば、取得した機能液の画像と溝部712の深さとに基づいて3次元の情報である機能液の体積を得ることができる。したがって、実施形態に係る機能液測定装置によれば、機能液の液滴の吐出量の測定を電子天秤を用いることなく精度良く行うことができる。
【0083】
また、溝部712に入り込んだ機能液の膜厚は、(検査フィルム等の)平坦面に機能液の液滴を吐出させた場合と比較して、測定ごとのバラツキが生じにくい。すなわち、予め取得しておいた機能液の膜厚と実際の機能液の膜厚との差が生じにくい。このため、予め取得しておいた機能液の膜厚を用いて機能液の体積を算出することで、機能液の液滴の吐出量の測定をさらに精度良く行うことができる。
【0084】
なお、液滴吐出装置1では、ステップS101において、1つのノズルから液受部71上の同じ場所に機能液の液滴を複数回吐出させてもよい。この場合、制御部91は、ステップS102において、複数回吐出した後の機能液の液滴を撮像し、撮像した画像に基づき、ステップS104において、複数回分の機能液の吐出量を算出してもよい。このように、1つのノズルから複数回分の機能液を吐出させることで、機能液の1回の吐出量が検査に必要な量より少ない場合であっても吐出量を適切に測定することができる。なお、制御部91は、ステップS104において、複数回分の機能液の吐出量を吐出回数で除した値、すなわち、1回分の吐出量を算出してもよい。
【0085】
(第1変形例)
溝部712に入り込んだ機能液の膜厚は、溝部712の長手方向に沿って概ね一定となる。しかしながら、機能液の両端部においては液面の形状がその他の部分と比べて変化するため、機能液の両端部における膜厚と、その他の部分の膜厚との間でバラツキが生じる。具体的には、機能液の両端部における膜厚は、その他の部分の膜厚よりも薄くなる傾向がある。このため、機能液の長さ方向の全域にかけて膜厚が一定であると仮定して機能液の体積を算出した場合、機能液の両端部における膜厚とその他の部分の膜厚との差の分だけ、実際の機能液の吐出量との間に差が生じることとなる。
【0086】
そこで、液滴吐出装置1では、機能液の両端部における膜厚の影響を排除したうえで、機能液の長さに基づいて機能液の吐出量を算出してもよい。この点について
図12を参照して説明する。
図12は、第1変形例に係る検査処理の手順を示すフローチャートである。
【0087】
図12に示すように、制御部91は、液受部71を吐出位置(第1吐出位置または第2吐出位置)に配置させた後、同一のノズルから液受部71に機能液の液滴をn(nは1以上の整数)回吐出させる(ステップS201)。つづいて、制御部91は、液受部71を撮像位置に移動させた後、液受部71上の機能液を撮像部74を用いて撮像する(ステップS202)。そして、制御部91は、溝部712内の機能液の全長を算出する(ステップS203)。
【0088】
つづいて、制御部91は、液受部71を再度吐出位置に移動させた後、同一のノズルから液受部71の同一の場所に機能液の液滴をm(mは1以上の整数)回吐出させる(ステップS204)。つづいて、制御部91は、液受部71を撮像位置に移動させた後、液受部71上の機能液を撮像部74を用いて撮像する(ステップS205)。そして、制御部91は、溝部712内の機能液の全長を算出する(ステップS206)。
【0089】
つづいて、制御部91は、ステップS203において算出したn回吐出時の機能液の全長と、ステップS206において算出したn+m回吐出時の機能液の全長との差分を算出する(ステップS207)。そして、制御部91は、ステップS207において算出した差分と、吐出した機能液の種別に対応する膜厚情報とに基づいて機能液の吐出量を算出する(ステップS208)。具体的には、制御部91は、ステップS207において算出した差分と、吐出した機能液の種別に対応する膜厚情報と、既知の情報である溝部712の幅とを乗じることにより、m回吐出時の吐出量を算出する(ステップS208)。そして、制御部91は、ステップS208において算出した吐出量に基づいて判定処理を行う(ステップS209)。
【0090】
このように、制御部91は、同一のノズルから機能液の液滴を液受部71にn回吐出させた後に撮像部74によって撮像された画像と、n+m回吐出させた後に撮像部74によって撮像された画像との差分に基づいて機能液の吐出量を算出してもよい。このようにすることで、機能液の両端部の影響を排除することができる。したがって、機能液の吐出量をより精度良く測定することができる。
【0091】
(第2変形例)
図13は、第2変形例に係る液受部71の一部を拡大した模式的な平面図である。
図13に示すように、液受部71は、第1領域701と第2領域702とを有していてもよい。第1領域701は、複数の溝部712が形成された領域である。また、第2領域702は、アライメントマーク715が形成された第2領域702を有していてもよい。第2領域702には、複数の溝部712は形成されていない。
【0092】
この場合、制御部91は、機能液吐出処理において、ノズルヘッド63に対して第1領域701への機能液の吐出と、第2領域702への機能液の吐出を行わせる。そして、制御部91は、撮像処理において、第1領域701に吐出された機能液と、第2領域702に吐出された機能液とを撮像する。第1領域701に吐出された機能液と、第2領域702に吐出された機能液とは、同時に撮像されてもよいし、別々に撮像されてもよい。そして、制御部91は、第1領域701に吐出された機能液の画像に基づいて機能液の吐出量を算出し、第2領域702に吐出された機能液の画像に基づいて機能液の吐出位置を算出する。たとえば、制御部91は、第2領域702に着弾した機能液の外形の中心位置を機能液の吐出位置として算出する。そして、制御部91は、たとえば、アライメントマーク715に基づき特定される基準位置と、機能液の画像から算出した機能液の吐出位置とのずれに基づいて、機能液の吐出位置の適否を判定する。
【0093】
このように、液受部71は、機能液の吐出位置を算出するための第2領域702を有していてもよい。
【0094】
なお、制御部91は、第1領域701(複数の溝部712が形成された領域)に吐出された機能液の画像に基づいて、機能液の吐出位置を算出してもよい。
【0095】
(その他の変形例)
液受部71は、溝部712の底面、すなわち、膜712a(
図5参照)の上面に複数の凸部または凹部を有していてもよい。かかる構成とすることにより、溝部712に入り込んだ機能液を溝部712に沿ってより広げ易くすることができる。これにより、機能液の両端部の影響を少なくすることができることから、機能液の吐出量の測定精度を高めることができる。
【0096】
上述した実施形態では、溝部712に入り込んだ機能液の長さを算出することとした。これに限らず、制御部91は、たとえば、撮像部74によって撮像された画像のうち機能液が占める部分の画素数を計測してもよい。この場合、制御部91は,計測した画素数に1画素分の面積を乗じることにより、機能液の平面積を算出することができる。そして、制御部91は、算出した平面積と、事前に取得しておいた膜厚情報(または溝部712の深さ)とから機能液の吐出量を算出することができる。また、制御部91は、溝部712に入り込んだ機能液の画像を入力とし、その機能液の吐出量を出力とする学習モデルを用いて、撮像部74によって撮像された画像から機能液の吐出量を推定してもよい。
【0097】
上述した実施形態では、液受部71が直線状の溝部712を有する場合の例について説明したが、溝部712は、必ずしも直線状であることを要しない。溝部712は、たとえば、曲線状であってもよいし、円環状であってもよい。
【0098】
<効果>
上述してきたように、実施形態に係る機能液測定装置(一例として、液滴吐出装置1)は、1以上のノズルを有するインクジェットヘッド(一例として、ノズルヘッド63)から吐出された機能液の吐出量を測定する機能液測定装置である。実施形態に係る機能液測定装置は、液受部(一例として、液受部71)と、撮像部(撮像部74)と、算出部(一例として、制御部91)とを備える。液受部は、複数の溝部(一例として、溝部712)が形成された液受面(一例として、液受部71の上面)、インクジェットヘッドから吐出された機能液の液滴を液受面において受ける。撮像部は、溝部に入り込み溝部に沿って延びた機能液を撮像する。算出部は、撮像部によって撮像された画像に基づき、吐出量を算出する。また、液受面において複数の溝部が形成された領域は、液滴の直径よりも大きい。また、溝部の幅は、液滴の直径よりも小さい。
【0099】
したがって、実施形態に係る機能液測定装置によれば、機能液の液滴の吐出量の測定を電子天秤等の重量測定器を用いることなく精度良く行うことができる。
【0100】
算出部は、画像を用いて、溝部に沿って延びた機能液の長さを算出し、算出した長さに基づいて吐出量を算出してもよい。
【0101】
溝部の幅や深さは既知であるため、溝部内の機能液の長さを算出することで、吐出された機能液の吐出量を容易に算出することができる。
【0102】
実施形態に係る機能液測定装置は、機能液の液種ごとに、溝部における機能液の膜厚に関する膜厚情報を記憶する記憶部(一例として、記憶部92)を備えていてもよい。この場合、算出部は、機能液の長さと膜厚情報とに基づいて吐出量を算出してもよい。
【0103】
溝部における機能液の液面内の液面の形状(すなわち、膜厚)は、液種(RGB)によって傾向が異なる。したがって、液種ごとに予め記憶された膜厚情報を用いて吐出量を算出することで、吐出量の測定精度を高めることができる。
【0104】
溝部は、直線状であってもよい。直線状の溝部とすることで、機能液の長さを容易に算出することができる。
【0105】
溝部は、親液性の底面(一例として、膜712a)を有していてもよい。かかる構成とすることで、溝部内で機能液が広がりやすくなるため、機能液の両端部の影響を少なくすることができる。
【0106】
溝部は、撥液性の側面(一例として、バンク712bの側面)および上面(一例として、バンク712bの上面)を有していてもよい。かかる構成とすることにより、溝部の外に機能液が残存しにくくなることから、機能液の吐出量の測定精度を高めることができる。
【0107】
実施形態に係る機能液測定装置は、インクジェットヘッドおよび撮像部を制御する制御部(一例として、制御部91)を備えていてもよい。この場合、制御部は、インクジェットヘッドを制御して、同一のノズルから機能液の液滴を液受部に複数回吐出させた後、撮像部を制御して、溝部に沿って延びた機能液を撮像させてもよい。かかる構成とすることにより、1回の吐出量が僅かである場合であっても吐出量を適切に測定することができる。
【0108】
実施形態に係る機能液測定装置は、インクジェットヘッドおよび撮像部を制御する制御部を備えていてもよい。この場合、制御部は、インクジェットヘッドを制御して、同一のノズルから機能液の液滴を液受部に複数回吐出させた後、撮像部を制御して、溝部に沿って延びた機能液を撮像させてもよい。また、算出部は、同一のノズルから機能液の液滴を液受部にn(nは1以上の整数)回吐出させた後に撮像部によって撮像された画像と、同一のノズルから機能液の液滴を液受部にn+m(mは1以上の整数)回吐出させた後に撮像部によって撮像された画像との差分に基づいて、吐出量を算出してもよい。かかる構成とすることにより、機能液の両端部における膜厚の影響を排除したうえで、機能液の長さに基づいて機能液の吐出量を算出することができる。
【0109】
実施形態に係る機能液測定装置は、チャンバ(一例として、チャンバ81)と、洗浄液供給部(一例として、洗浄液供給部82)と、気体供給部(一例として、気体供給部83)とを備えていてもよい。チャンバは、液受部を収容する。洗浄液供給部は、チャンバに収容された液受部に対して洗浄液を供給する。気体供給部は、チャンバに収容された液受部に対して気体を供給する。かかる構成とすることにより、液受部71を繰り返し使用することができる。
【0110】
液受部は、複数の溝部が形成された第1領域(一例として、第1領域701)と、アライメントマーク(一例として、アライメントマーク715)が形成された第2領域(一例として、第2領域702)とを備えていてもよい。かかる構成とすることにより、機能液の吐出量の測定に加え、機能液の吐出位置の測定を行うことができる。
【0111】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 液滴吐出装置
2 架台
3 第1ガイドレール
3 ガイドレール
4 基板搬送機構
5 第2ガイドレール
5 ガイドレール
5a 支持部
6 描画機構
7 検査機構
8 洗浄部
9 制御装置
40 ワークステージ
41 ステージ回転部
42 スライダ
50 メンテナンス部
60 キャリッジプレート
61 キャリッジ回動部
62 キャリッジ
63 ノズルヘッド
63a 第1ノズルヘッド群
63b 第2ノズルヘッド群
71 液受部
72 スライダ
74 撮像部
74a ベース
81 チャンバ
82 洗浄液供給部
83 気体供給部
91 制御部
92 記憶部
100 チャンバルーム
101 電気室
102 交換室
631 第1ノズルヘッド
631 ノズルヘッド
632 ノズルヘッド
632 第2ノズルヘッド
701 第1領域
702 第2領域
711 基材
712 溝部
712a 膜
712b バンク
712 溝部
715 アライメントマーク
811 搬入出口
812 シャッター
821 流量調整機器
822 洗浄液供給源
831 流量調整機器
832 気体供給源