IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-バンプの接合条件の決定方法 図1
  • 特開-バンプの接合条件の決定方法 図2
  • 特開-バンプの接合条件の決定方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120844
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】バンプの接合条件の決定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20230823BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230823BHJP
【FI】
H01L21/92 604T
H01L21/92 604A
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023937
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲井 也寸志
(72)【発明者】
【氏名】北野 晃行
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142BA32
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD50
5F142FA30
(57)【要約】
【課題】バンプの適切な接合条件を、容易に見出すことができる。
【解決手段】
素子基板と、前記素子基板上に配置された半導体層と、前記半導体層上に配置された電極と、を備える発光素子を準備する工程と、
配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上にバンプを形成する工程と、
前記バンプと前記素子基板とを接触させて、前記バンプ上に前記発光素子を載置する工程と、
複数の接合条件のうちの一つを選択し、前記発光素子に印加して前記バンプを変形させる工程を、各接合条件ごとに行う工程と、
前記バンプ上から前記発光素子を除去し、前記バンプの形状を観察し、前記複数の接合条件の中から適切な条件を決定する工程と、
を備えるバンプの接合条件の決定方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板と、前記素子基板上に配置された半導体層と、前記半導体層上に配置された電極と、を備える発光素子を準備する工程と、
配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上にバンプを形成する工程と、
前記バンプと前記素子基板とを接触させて、前記バンプ上に前記発光素子を載置する工程と、
複数の接合条件のうちの一つを選択し、前記発光素子に印加して前記バンプを変形させる工程を、各接合条件ごとに行う工程と、
前記バンプ上から前記発光素子を除去し、前記バンプの形状を観察し、前記複数の接合条件の中から適切な条件を決定する工程と、
を備えるバンプの接合条件の決定方法。
【請求項2】
前記素子基板はサファイアである、請求項1に記載のバンプの接合条件の決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バンプの接合条件の決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上のバンプを介して半導体素子が接合された半導体装置が知られている。バンプが適切に形成されているか否かを検査する方法として、例えば、複数のバンプを平板で押圧した後、バンプの専有面積に基づいてバンプの体積を検査する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-14842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バンプの適切な接合条件を、容易に見出すことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態は、以下の構成を含む。
素子基板と、前記素子基板上に配置された半導体層と、前記半導体層上に配置された電極と、を備える発光素子を準備する工程と、
配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上にバンプを形成する工程と、
前記バンプと前記素子基板とを接触させて、前記バンプ上に前記発光素子を載置する工程と、
複数の接合条件のうちの一つを選択し、前記発光素子に印加して前記バンプを変形させる工程を、各接合条件ごとに行う工程と、
前記バンプ上から前記発光素子を除去し、前記バンプの形状を観察し、前記複数の接合条件の中から適切な条件を決定する工程と、
を備えるバンプの接合条件の決定方法。
【発明の効果】
【0006】
以上により、バンプの適切な接合条件を、容易に見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】バンプ上に発光素子を載置する工程を説明する図である。
図2】バンプ上に発光素子を載置する工程を説明する図である。
図3】バンプ上に発光素子を載置する工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置の製造方法を例示するものであって、本発明は、発光装置の製造方法を以下に限定するものではない。
【0009】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明を実施形態にのみ限定する趣旨ではない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0010】
図1図3を用いて、バンプの接合条件を決めるための工程について説明する。
【0011】
(発光素子を準備する工程)
まず、発光素子10を準備する。発光素子10は、図1に示すように、素子基板13と、素子基板13上に配置された半導体層12とを備える積層構造体11と、半導体層12上に配置された電極14と、を備える。半導体層の材料としては、例えば、窒化物半導体が挙げられる。素子基板の材料としては、サファイアが挙げられる。電極の材料は、特に限定されるものではなく、公知の材料を用いることができる。
【0012】
(配線基板を準備する工程)
基材21の上面に配線22を備えた配線基板20を準備する。基材の材料としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂や熱可塑性樹脂、アルミナや窒化アルミニウムなどのセラミックスが挙げられる。配線の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属、鉄-ニッケル合金、燐青銅等の合金等が挙げられる。
【0013】
(バンプを形成する工程)
配線基板20の配線22上に、バンプ30を形成する。バンプ30は、キャピラリの挿入孔に通されたワイヤの先端を電気放電等によって溶融させることで形成されたボール(イニシャルボール)を、配線22上に圧着接続させた後、ボールから繋がっているワイヤを切断することで形成することができる。バンプ30の位置は、発光素子10の電極14と配線22とを実際に接合する際と同じ位置に配置させる。バンプ30の数は、1つの電極14に対して、1又は2以上配置させることができる。図1に示す例では、2つの電極14のそれぞれに、1つのバンプ30が対応するように配置されている。バンプの材料としては、Au、Ag、Al等を挙げることができ、好ましくはAuである。
【0014】
(バンプ上に発光素子を載置する工程)
次に、バンプ30上に、発光素子10を載置する。この時、素子基板13とバンプ30とが対向するような向きとし、素子基板13とバンプ30とを接触させる。
【0015】
(バンプを変形させる工程)
バンプ30と発光素子10の素子基板13とが接触した状態で、超音波及び圧力を印加することでバンプ30を変形させる。バンプ30を変形させる接合条件をいくつか準備し、その複数の接合条件のうちの一つを選択してバンプ30を変形させる。超音波の周波数は、例えば40kHz~60kHzの間で、いくつか条件を変えて行う。また、超音波を印加する時間は、20m秒~200m秒の間で、いくつか条件を変えて行う。圧力は、例えば、1バンプあたり1N~3Nの間で、いくつか条件を変えて行う。
【0016】
尚、上述の複数の条件は、例えば、既に接合条件が確定している発光素子であって、接合条件を決定したい発光素子とよく似た大きさの発光素子の接合条件を参考にするなどして設定することができる。
【0017】
(接合条件を決定する工程)
変形されたバンプ31の上から発光素子10を取り除く。素子基板13とバンプ31とは超音波及び圧力を印加しても接合されないため、容易に取り除くことができる。超音波及び圧力の少なくとも一方の条件を変えた複数の接合条件のそれぞれについて、発光素子10を取り除いた後の変形されたバンプ31の形状を観察する。変形後のバンプ31の幅が、変形前のバンプ30の幅の1.2倍~1.4倍の範囲となる条件が好ましい。変形後のバンプ31の高さが、変形前のバンプ30の高さの0.55倍~0.65倍の範囲となる条件が好ましい。このような、好ましい形状にバンプを変形可能な条件を、バンプの接合条件とする。
【実施例0018】
発光素子として、サイズが1000μm×1000μmの発光素子を60個(1つの条件での試験数10個×6条件)準備する。発光素子は、半導体層として窒化物半導体を備え、発光素子は素子基板としてサファイアを備える。また、発光素子は窒化物半導体層上に、正負一対の電極となる2つの電極を備える。電極は、最上面がAuである。配線基板として、窒化アルミニウムを基材とし、配線としてAuを備える配線基板を準備する。配線上に、Auを主成分とするバンプを、発光素子1つにつき30個形成する。例えば、発光素子の正電極の位置と対応する位置に9個のバンプを形成し、負電極の位置と対応する位置に21個のバンプを形成する。。バンプの大きさは、最も幅の広い部分の外径が84μm、最も高い位置の高さが30μmとなるようにする。
【0019】
2つのバンプ上に1つの発光素子を載せる。このとき、サファイアを下側に向けてバンプと接するようにする。発光素子は、吸着機能及び超音波発振機能を備えたダイボンダのコレットによって吸着されて、バンプ上に配置された後、超音波及び圧力が印加される。このような条件決めのためのテスト印加は、例えば、1つの条件につき10個の発光素子を用いて行う場合、1個の発光素子と30個のバンプを準備してテスト印加を行うことを、10回繰り返して行うことができる。あるいは、10個の発光素子と300個のバンプを準備して、10個の発光素子に対してまとめて1回でテスト印加を行うことができる。また、発光素子は、同じロットの発光素子を準備してもよく、異なるロットの発光素子を準備してもよい。特に異なるロットの発光素子を準備することで、上述のように複数の発光素子をまとめてテスト印加する際に、発光素子のロット間のバラツキも含めたテスト結果として得ることができる。これにより、より適した条件を選定することができる。
【0020】
その後、発光素子を取り除き、バンプを上から観察できる状態とする。バンプの幅および高さを測定する。表1に、条件1~6と、変形後のバンプの測定値を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
条件1~条件6のうち、条件3が最も適した条件であることが分かる。これにより、実際に発光素子の電極をバンプと接触させて接合する際の条件は、条件3で行うことが決定される。接合条件を決定するまでにかかった時間は5時間程度である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の実施形態に係るバンプの接合条件の決定方法は、配線基板上にバンプを介して発光素子を接合する工程を備える発光装置の製造方法に用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
10…発光素子
11…積層構造体
12…半導体層
13…素子基板
14…電極
20…配線基板
21…基材
22…配線
30、31…バンプ
図1
図2
図3