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特開2023-120960処理システム、処理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120960
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】処理システム、処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230823BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230823BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230823BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06F3/12 340
G06F3/12 375
G06F3/12 315
G06F3/12 378
B41J29/38 201
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024127
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石田 明雄
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
5L049
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS11
2C061HH05
2C061HJ06
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN02
2C061HN08
2C061HN15
2C061HQ03
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA14
5C062AA31
5C062AA35
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB34
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC15
5C062AC16
5C062AC29
5C062AC42
5C062AC64
5C062AE08
5C062AE15
5C062AF14
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】画像形成装置の機種に応じたRIPデータを作成し、それぞれの画像形成装置に対応したRIPデータを提供すること。
【解決手段】本発明は、取得した画像を用いて、機種の異なる複数の画像形成装置にそれぞれ対応したRIPデータを作成するRIP処理部と、RIPデータ取得要求に基づいて、前記画像形成装置に対応するRIPデータを送信するRIPデータ管理部と、を有する処理システムを提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した画像を用いて、機種の異なる複数の画像形成装置にそれぞれ対応したRIPデータを作成するRIP処理部と、
RIPデータ取得要求に基づいて、前記画像形成装置に対応するRIPデータを送信するRIPデータ管理部と、
を有する処理システム。
【請求項2】
前記画像形成装置が被記録媒体に印刷する画像を特定できるオーダー情報を受信する受注部と、
前記機種が異なる画像形成装置それぞれのプリンタ機種情報を記憶する全体プリンタ機種情報記憶部と、を有し、
前記受注部が前記オーダー情報を受信した場合、前記RIP処理部は前記全体プリンタ機種情報記憶部に記憶されたプリンタ機種情報に基づいて前記機種が異なる画像形成装置にそれぞれ対応するRIPデータの作成を前記画像を用いて行う請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記RIP処理部は、前記受注部が前記オーダー情報を受信した後、前記RIPデータ取得要求を受ける前に機種の異なる複数の画像形成装置にそれぞれ対応したRIPデータの作成を開始することを特徴とする請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記受注部から取得した前記オーダー情報をコード情報に変換してラベルプリンタがシール状の用紙に印刷し、
前記処理システムにはコード読取部が接続されており、
前記RIP処理部は、前記コード読取部が前記シール状の用紙のコード情報を読み取った直後に、前記機種が異なる画像形成装置にそれぞれ対応するRIPデータの作成を開始することを特徴とする請求項2又は3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記コード読取部が読み取った前記オーダー情報をディスプレイに表示する表示制御部を有し、
前記ディスプレイに表示された前記オーダー情報に基づいて、前記被記録媒体に前記シール状の用紙を貼付した旨の入力を受け付ける操作受付部と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の処理システム。
【請求項6】
前記コード読取部が前記被記録媒体に貼付された前記オーダー情報を読み取った場合、前記印刷の実行を受け付け、
前記コード読取部が接続されている前記処理システムに接続された前記画像形成装置に、前記画像形成装置の機種情報に対応付けられている前記RIPデータの印刷を要求する印刷処理部を有することを特徴とする請求項5に記載の処理システム。
【請求項7】
前記RIP処理部は、前記画像形成装置の機種情報に対応付けて作成したRIPデータをクラウド上に保存することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項8】
前記被記録媒体の識別情報に対応付けて、画像形成装置の機種情報が記憶された機種情報記憶部を有し、
前記画像の印刷の指示を前記処理システムが受け付けた場合、
前記機種情報記憶部から前記オーダー情報に含まれる被記録媒体の識別情報に対応付けられている前記画像形成装置の機種情報を取得し、前記画像形成装置の機種情報に対応付けられている前記RIPデータの印刷を前記処理システムに接続されている前記画像形成装置に要求する印刷処理部を有することを特徴とする請求項2に記載の処理システム。
【請求項9】
RIP処理部が、取得した画像を用いて、機種の異なる複数の画像形成装置にそれぞれ対応したRIPデータを作成するステップと、
RIPデータ管理部が、RIPデータ取得要求に基づいて、前記画像形成装置に対応するRIPデータを送信するステップと、
を有する処理方法。
【請求項10】
情報処理装置を、
取得した画像を用いて、機種の異なる複数の画像形成装置にそれぞれ対応したRIPデータを作成するRIP処理部と、
RIPデータ取得要求に基づいて、前記画像形成装置に対応するRIPデータを送信するRIPデータ管理部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システム、処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばアパレル業界では見込み生産による過剰生産、及び、大量廃棄の縮小が従来から求められている。過剰生産や廃棄物低減のためには、依頼された都度、生産拠点が生産を行う受注生産(オンデマンド生産)が有効である。受注生産では、アパレル商品などの生産物をECサイト(Electronic Commerce Site)等が受注した場合、ECサイトが生産拠点に発注する。
【0003】
生産物となる対象物と印刷画像を対応付ける技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、印刷画像を識別するための識別情報が設定された非接触通信可能な電子タグから、識別情報を取得して印刷画像を特定し、印刷画像を対象物に印刷する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、画像形成装置の機種に応じたRIPデータを作成していない。すなわち、予めRIPデータを作成しておくという処理の場合、画像形成装置の機種は1種類であった。昨今、多種多様な被記録媒体に対する少数小ロット印刷の要望が増え、ニーズに対応するために複数機種の画像形成装置を生産工場内に準備する必要性が出てきている。従来は、1機種のみ存在する想定であり、複数機種を想定したRIPデータの管理はされていなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、画像形成装置の機種に応じたRIPデータを作成し、それぞれの画像形成装置に対応したRIPデータを提供する処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、取得した画像を用いて、機種の異なる複数の画像形成装置にそれぞれ対応したRIPデータを作成するRIP処理部と、RIPデータ取得要求に基づいて、前記画像形成装置に対応するRIPデータを送信するRIPデータ管理部と、を有する処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
画像形成装置の機種に応じたRIPデータを作成し、それぞれの画像形成装置に対応したRIPデータを提供する印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷システムの一例の構成図である。
図2図1の構成に基づく、アパレル商品の印刷処理の流れを説明する図である。
図3】比較例として示す、生産拠点システムにおける印刷の流れを示す図である。
図4】本実施形態における生産拠点システムにおける印刷の流れを示す図である。
図5】コンピュータのハードウェア構成図の一例である。
図6】画像形成装置(インクジェットプリンタ)のハードウェア構成図の一例である。
図7】端末装置、受注システム、情報処理システム、及び、生産拠点システムの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図8】オーダー情報の一例を示す図である。
図9】全体プリンタ機種情報記憶部に記憶されているプリンタ機種情報、個別プリンタ機種情報記憶部に記憶されているプリンタ機種情報の一例を示す図である。
図10】RIPデータ記憶部に記憶されているRIPデータ情報を示す図の一例である。
図11】印刷システムが受注されたアパレル商品を印刷する手順を示すシーケンス図の一例である。
図12】端末装置、受注システム、情報処理システム、及び、生産拠点システムの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である(実施例2)。
図13】全体プリンタ機種情報記憶部に記憶されているプリンタ機種情報の一例を示す図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、処理システムと処理システムが行う処理方法について説明する。
【0010】
<用語について>
被記録媒体は、画像が形成される媒体であればよい。
生産物とは、有用な財(財とは、経済学において物質的・精神的に何らかの効用を持っているもの)である。生産物は主に物であるが、サービスやアイデアが含まれてもよい。
本実施形態では、商品という用語で説明される。また、商品の一例としてアパレル商品があるが、PCやスマートフォンなどの情報処理装置、テレビや冷蔵庫などの家電、食器や家具などの什器など、受注生産が可能なものであればよい。また、料理が含まれてもよい。
【0011】
注文とは、品種、数量、形、寸法などを消費者が指定して制作又は送付を依頼することをいう。
【0012】
生産拠点とは生産活動のよりどころとなる人材、場所、又は、その他の資源である。
【0013】
画像形成装置の機種が異なるとは、同じ画像であっても作成されるRIPデータが異なっており、RIPデータを用いた印刷物が少なくとも消費者が同じでないと判断しうる装置の違いをいう。本実施形態では、メーカーが異なるか、又は、メーカーが同じでも型番が異なることをいう。
【実施例0014】
<システム構成例>
まず、図1を参照して、本実施形態の印刷システムの構成図を説明する。図1は、印刷システム100の一例の構成図である。図1に示される印刷システム100は、受注システム10、情報処理システム20、配送システム91、基幹系情報システム92、及び、N個(N≧1)の生産拠点システム30を有する。受注システム10と情報処理システム20はネットワークN1を介して通信可能に接続されており、情報処理システム20、各生産拠点システム30、基幹系情報システム92及び配送システム91は、ネットワークN2を介して通信可能に接続されている。
【0015】
ネットワークN1、N2はインターネット等の広域的なネットワークである。ネットワークN1、N2は広域イーサネット(登録商標)やVPN(Virtual Private Network)等を含んでよい。
【0016】
端末装置60は、消費者が操作するデスクトップPC、ノート型PC、スマートフォン、タブレット端末等である。Webブラウザーやネイティブアプリが動作し、受注システム10と通信できる情報処理装置であればよい。
【0017】
受注システム10は、一台以上の情報処理装置によって実現される。受注システム10は例えばECサイトである。消費者が端末装置60を使用してECサイトにアクセスすると、受注システム10はアパレル商品のリストを表示する画面を端末装置60に提供する。受注システム10は消費者が端末装置60を操作して選択したアパレル商品のオーダー情報を受信する。ECサイトを介したアパレル商品等の販売をEコマース(電子商取引)という。
【0018】
なお、受注システム10は1台以上存在してよい。各受注システム10はアパレル商品に対応した情報処理システム20に発注する。本実施形態のアパレル商品は、説明の便宜上、衣類などであるが、これに限られない。受注システム10は例えばブランドオーナーにより運営される。ブランドオーナーとは商品のブランドを使用する権利を有するものである。ブランドとは商標、社名、商品名など、信用が化体した標章である。
【0019】
本実施形態の受注システム10は生産工場等を有さないか、有していても小規模な生産工場しかないことが想定される。このため、受注システム10は情報処理システム20を介して環境負荷を抑制しながらリードタイム(受注から商品発送までの時間)の小さい生産拠点に生産を依頼する。
【0020】
情報処理システム20はアパレル商品のオーダー情報を受け取り、生産拠点システム30に発注を行う一台以上の情報処理装置である。情報処理システム20は、主に生産段階と輸送段階での環境負荷が最も小さくなるように、生産システムを選択して生産を依頼する。なお、受注システム10と情報処理システム20が一体でもよい。あるいは、情報処理システム20なしに、受注システム10から生産拠点システム30にオーダー情報が送信されてもよい。
【0021】
生産拠点システム30は、生産拠点側の設備である。生産拠点システム30は発注依頼を受け付ける一台以上の情報処理装置40及び各種の生産装置を有している。アパレル商品の製造工程は、いくつかのフェーズに分かれており、情報処理装置40はフェーズに応じて複数ある場合が多い(図3図4参照)。
【0022】
生産拠点システム30は、消費地の近くで生産できるように各地に分散して配置されているとよい。商品がアパレル商品の場合、生産拠点システム30は、例えば、1台以上の画像形成装置71、ラベルプリンタ72、汎用プリンタ73、裁断機74、及び、縫製機75等を有する。生産拠点システム30には、商品に対応した生産装置があればよく、これらに限られない。
【0023】
情報処理装置40ではアパレル商品の生産を管理する所定のソフトウェアが動作しており、いわゆるワークフローのようにアパレル商品ごとに決まった順番で、生産拠点システム30における各生産装置にジョブを実行させる。ジョブは、印刷ジョブ、裁断ジョブ、縫製ジョブなどである。また、印刷ジョブの中でも順番に実行される処理が決まっている。情報処理装置40は印刷に関する全体的な制御を行うと共に、RIP処理部(ソフトウェア又は専用のハードウェアでもよい)を有している。
【0024】
画像形成装置71は、スクリーン印刷又はインクジェット印刷など、アパレル商品に図柄を描くために使用される。画像形成装置71は、例えばアパレル商品に図柄を描く機能を有していればどのような方式で印刷してもよい。
【0025】
画像形成装置71は、アパレル商品の基本素材に応じて最適なインク、液滴サイズ、温度、吐出制御等が異なっており、例えば、綿用、ポリエステル用など複数の機種の画像形成装置71が、各生産拠点システム30に用意される。同じ素材に印刷する画像形成装置71であっても色やdpi(ドットパーインチ)などアパレル商品に最適な画像形成装置71が用意されることがあり、また、並行した印刷が可能なように、同機種の画像形成装置71が複数台、用意されることもある。
【0026】
本実施形態の情報処理装置40は、生産拠点システム30で保有する全ての画像形成装置71a、71b等の機種に応じたRIPデータを作成する。以下では、画像形成装置71a、71b等のうち任意の画像形成装置を「画像形成装置71」と称する。
【0027】
ラベルプリンタ72は、オーダー情報がコード化されたバーコード(コード情報の一例)をシール状の用紙に印刷する。シール状の用紙はTシャツなどの基本素材に貼付される。作業員は印刷工程の各フェーズでバーコードを読み取り、オーダー情報に応じた作業を行う。なお、ラベルプリンタ72と画像形成装置71とが同じものでもよい。
【0028】
汎用プリンタ73は、オーダーリスト、インボイス、アパレル商品の宛先の伝票等を印刷する。汎用プリンタ73とラベルプリンタ72が同じものでもよい。
【0029】
裁断機74は商品名などに応じて指示される形状に生地を裁断する。縫製機75は裁断された生地の、商品名などに応じて決まる部位を縫製する。
【0030】
生産拠点システム30は、生産装置の稼働状況(故障の有無や消耗品の充実度)、及び、生産スケジュール(生産装置が空いているか)を管理する。生産拠点システム30は、管理する情報を情報処理システム20に提供する。
【0031】
なお、以降では、複数の生産拠点システム30について、各々を区別するときは、「生産拠点システム30-1」、「生産拠点システム30-2」等と添え字を用いて記載する。
【0032】
配送システム91は、運送会社のシステムである場合が多い。配送システム91は、情報処理装置40から入力されたアパレル商品の宛先に基づいて、アパレル商品の配送(集荷と発送)を行う。
【0033】
基幹系情報システム92は、各生産拠点における基本素材の在庫状況を管理する。基幹系情報システム92は生産拠点システム30に配置されていてもよい。
【0034】
また、受注システム10、配送システム91、基幹系情報システム92、及び、情報処理システム20はクラウド上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。本実施形態では、いずれもクラウド上にその機能が置かれるものとする。生産拠点システム30についても生産装置を除けば、例えば情報処理装置40がクラウド上に存在してよい。
【0035】
<印刷の流れ>
次に、図2を参照して、アパレル商品の印刷の流れについて説明する。図2は、図1の構成に基づく、アパレル商品の印刷処理の流れを説明する図である。なお、図2の説明においてRIPデータが作成されるタイミングは、本実施形態と対比される比較例のものである。
【0036】
(1) まず、消費者が端末装置60を受注システム10に接続し、アパレル商品を注文する。受注システム10はオーダー情報(商品ID、商品名、サイズ、色、消費者氏名、支払い方法、配送先、希望納期、及び、オプション等)を、情報処理システム20に送信する。情報処理システム20は適切な生産拠点システム30を選択し、生産拠点システム30の情報処理装置40に送信する。
【0037】
(2) 情報処理装置40は、ラベルプリンタ72に対し、シール状の用紙に対するバーコードの印刷を要求する。
【0038】
(3) 作業員は、シール状の用紙をバーコードリーダーで読み取り、オーダー情報を表示する。作業員は、商品名、サイズ、色に応じて基本素材(シャツ、ズボン、肌着などプリント前のアパレル商品)を選択し、シール状の用紙を基本素材に貼付する。
【0039】
(4) (5) 情報処理装置40は、基本素材を消費したので、基幹系情報システム92に対し基本素材の在庫情報の更新を要求する。
【0040】
(6) 次に、印刷を開始するため、作業員がスキャナで基本素材に貼付されたバーコードを読み取る。
【0041】
(7) 情報処理装置40がバーコードを解読してオーダー情報を取得する。オーダー情報の取得が印刷指示となる。
【0042】
(8) 情報処理装置40は、商品IDで特定されるイラストなどの画像データをRIPデータに変換する。
【0043】
(9) 情報処理装置40は作成したRIPデータを画像形成装置71に送信する。RIPデータは、CMYK各色ごとのラスターデータ(ドットの位置、ドットのサイズが指定される)である。アパレル商品によっては白や金、銀などの特色インクが用意される。
【0044】
(10) 画像形成装置71は、RIPデータを用いて基本素材に画像を印刷する。
【0045】
(11) 印刷が終了すると、情報処理装置40は汎用プリンタ73で梱包物リストの印刷を指示する。梱包物リストは、例えばアパレル商品の付属品(例えばボタン)、インボイス、納品書、広告用のチラシなどである。情報処理装置40は汎用プリンタ73でアパレル商品の宛先の伝票を印刷する。作業員は梱包物リストを見て、アパレル商品と共に包装材に梱包し、伝票を包装材に貼付する。
【0046】
(12) 情報処理装置40は、オーダー情報に基づいて宛先、集荷先を指定して集荷依頼を配送システム91に入力する。
【0047】
<RIPのタイミングの比較例>
次に、図3を参照して、本実施形態と比較されるRIPデータの作成タイミングについて説明する。図3は、比較例として示す、生産拠点システム30における印刷の流れを示す。図3では、左から右に時間が流れている。また、比較例は従来技術とは限らない点に注意されたい。
【0048】
フェーズ1では、生産拠点システム30の情報処理装置40がオーダー情報に基づいて、ラベルプリンタ72でバーコードを印刷する。バーコードが基本素材に貼付される。
【0049】
フェーズ2では、商品IDに基づいて、画像形成装置71が、基本素材に描画する画像データを取得する。
【0050】
フェーズ3では、画像形成装置71のスケジュールに応じて作業員が基本素材に画像データを印刷するタイミングになる。このため、作業員は印刷に使用する画像形成装置71が接続された情報処理装置40B1~B3(以下、情報処理装置40B1~40B3のうち任意の情報処理装置を情報処理装置40Bという)に接続されているバーコードリーダー80a~80c(以下、バーコードリーダー80a~80cのうち任意のバーコードリーダーをバーコードリーダー80という)でバーコードを読み取り、情報処理装置40Aにオーダー情報を送信する。情報処理装置40Bは、オーダー情報で特定される画像データを取得し、自身に接続されている画像形成装置71の機種に応じたRIP処理を行う。RIP処理は情報処理装置40Aが行ってもよい。この場合、作業員が選択した情報処理装置40Bが画像形成装置71の機種を情報処理装置40Aに指示する。
【0051】
このように、比較例では、印刷直前にRIP処理が行われるので、RIPデータが作成されるまで画像形成装置71に待機時間が生じる。RIPデータの作成時間は数十秒程度であるが、多くのアパレル商品が印刷される場合は無視できない時間となる。
【0052】
フェーズ4では、画像形成装置71がRIPデータを基本素材に印刷する。できあがったアパレル商品は配送システム91から配送される。
【0053】
続いて、図4を参照して、本実施形態における印刷の流れを説明する。図4は、本実施形態における生産拠点システム30における印刷の流れを示す。
【0054】
フェーズ1では、生産拠点システム30の情報処理装置40がオーダー情報に含まれる商品IDに基づいて、アパレル商品に印刷される画像データを取得する。
【0055】
フェーズ2では、情報処理装置40Aがラベルプリンタ72でシール状の用紙にバーコードを印刷する(S1)。作業員は、シール状の用紙をバーコードリーダーで読み取り、オーダー情報を情報処理装置40Aで表示する(S2)。作業員は、商品名、サイズ、色に応じて基本素材(シャツ、ズボン、肌着などプリント前のアパレル商品)を選択し、シール状の用紙を基本素材に貼付する(S3)。
【0056】
次に、作業員は、基本素材に貼付したバーコードをバーコードリーダー81で読み取り、情報処理装置40Aにオーダー情報を送信する(S4)。情報処理装置40Aは、生産拠点システム30が有する全ての画像形成装置71の機種に応じたRIP処理を行い、各RIPデータをRIPデータ記憶部50に保存しておく(S5)。つまり、画像形成装置71のスケジュールで決まる印刷するタイミングが到来する前にRIP処理を行うので、待機時間が生じる可能性を低くできる。ステップS2~S4が滞りなく行われれば、バーコード印刷の直後にRIPデータの作成を開始できる。あるいは、情報処理装置40がオーダー情報を受信した直後にRIPデータの作成を開始してもよい。
【0057】
次に、フェーズ3では、画像形成装置71のスケジュールに応じて作業員が基本素材に画像データを印刷するタイミングになる。作業員は印刷に使用する画像形成装置71が接続された情報処理装置40B1~40B3に接続されているバーコードリーダー80a~80cのいずれかでバーコードを読み取り、情報処理装置40B1~40B3がオーダー情報を取得する(S6)。なお、画像形成装置71と情報処理装置40は主にUSBなどの専用線で接続されていることを想定している。画像形成装置71と情報処理装置40がLANなどのネットワークで接続されている場合、情報処理装置40にデフォルト設定された画像形成装置71が特定される。
【0058】
情報処理装置40B1~40B3は、自機に接続されている画像形成装置71の機種に応じたRIPデータをRIPデータ記憶部50から取得する(S7)。情報処理装置40B1~40B3は画像形成装置71の機種に応じたRIPデータを用いて印刷を実行する。
【0059】
フェーズ4では、できあがったアパレル商品を配送システム91が配送する。
【0060】
このように、本実施形態では、基本素材に印刷される画像データが決まったタイミングで、RIPデータを情報処理装置40Bが作成するので、画像形成装置71に待機時間が生じる可能性を低くできる。
【0061】
<ハードウェア構成>
<<受注システム、情報処理システム、情報処理装置、基幹系情報システム、端末装置>>
受注システム10、情報処理システム20、情報処理装置40、基幹系情報システム92、端末装置は、図5に示すように、コンピュータ500としての構成を有する。図5は、コンピュータ500のハードウェア構成図である。図5に示されているように、コンピュータ500は、コンピュータによって構築されており、図5に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、光学ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0062】
これらのうち、CPU501は、受注システム10、情報処理システム20、生産拠点システム30、及び、端末装置60全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ33等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0063】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光記憶媒体513は、CD,DVD、Blu-Ray(登録商標)等でよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0064】
<<画像形成装置>>
図6は、画像形成装置(インクジェットプリンタ)のハードウェア構成図の一例である。図6に示されているように、画像形成装置71は、CPU301(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)304、外部機器接続I/F308、ネットワークI/F309、及びバスライン310を備えている。また、画像形成装置71は、紙搬送部311、副走査ドライバ312、主走査ドライバ313、キャリッジ320、及び操作パネル330を備えている。更に、キャリッジ320は、液体吐出ヘッド321、及び液体吐出ヘッドドライバ322を備えている。
【0065】
これらのうち、CPU301は、画像形成装置71全体の動作を制御する。ROM302は、IPL等のCPU301の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。NVRAM304は、プログラム等の各種データを記憶し、画像形成装置71の電源が遮断されている間も各種データを保持する。外部機器接続I/F306は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により、PC(Personal Computer)に接続され、PCとの間で、制御信号や印刷されるデータの通信を行う。ネットワークI/F309は、インターネット等の通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン310は、CPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0066】
紙搬送部311は、例えば、ローラ、及びローラを駆動するモータであって、画像形成装置71内の搬送経路に沿って副走査方向へ印刷用紙を搬送する。副走査ドライバ312は、紙搬送部333の副走査方向への移動を制御する。主走査ドライバ313は、キャリッジ320の主走査方向への移動を制御する。
【0067】
キャリッジ320の液体吐出ヘッド321は、インク等の液体を吐出するための複数のノズルを有しており、その吐出面(ノズル面)が、印刷用紙側を向くようにキャリッジ320に搭載されている。液体吐出ヘッド321は、主走査方向に移動しながら、副走査方向に間欠的に搬送される印刷用紙に液体を吐出することで、印刷用紙の所定位置に液体を吐出して画像を形成する。液体吐出ヘッドドライバ322は、液体吐出ヘッド321の駆動を制御するためのドライバである。
【0068】
操作パネル332は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネルやアラームランプ等により構成されている。
【0069】
なお、液体吐出ヘッドドライバ322は、キャリッジ320に搭載されず、キャリッジ320外で、バスラインに接続されるように構成してもよい。また、主走査ドライバ313、副走査ドライバ312、及び液体吐出ヘッドドライバ322は、それぞれプログラムに従ったCPU301の命令によって実現する機能であってもよい。
【0070】
<機能について>
図7は、端末装置60、受注システム10、情報処理システム20、及び、生産拠点システム30の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0071】
<<端末装置>>
端末装置60は、消費者が操作する情報処理装置40である。端末装置60は、第五通信部61、表示制御部62、及び、操作受付部63、を有している。端末装置60が有するこれら各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラム(Webブラウザー又はネイティブアプリ)に従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0072】
第五通信部61は受注システム10と通信して、ECサイトの画面を端末装置60が表示するための画面情報を受信する。また、消費者が各画面に入力したオーダー情報を受注システム10に送信する。
【0073】
表示制御部62は受注システム10から受信した画面の画面情報を解析してディスプレイ506に表示する。操作受付部63は端末装置60に対する消費者の操作(例えば各画面へのオーダー情報の入力)を受け付ける。
【0074】
<<受注システム>>
受注システム10は、注文受付部11、及び、第一通信部12、を有している。受注システム10が有するこれら各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0075】
注文受付部11はECサイトを提供し、消費者が操作する端末装置60で動作するWebブラウザーで消費者が購入したアパレル商品のオーダー情報を受信する。受注システム10には各生産拠点システム30から、商品別に、基本素材及びアパレル商品の製作に必要なボタンなどの在庫に基づく注文可否が送信されている。
【0076】
ECサイトは、WebサーバーとWebブラウザーで実行されるプログラムが協働して実現されるWebアプリにより注文を受け付ける。注文受付部11はWebブラウザーが表示する画面の画面情報を作成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(cascading style sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が特定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが特定される。
【0077】
オーダー情報については図8にて説明する。端末装置60ではWebアプリでなく、アパレル商品購入のためのネイティブアプリが動作してもよい。
【0078】
第一通信部12はオーダー情報を受注のたびに情報処理システム20に送信する。したがって、第一通信部12は受注したアパレル商品のオーダー情報を、受注の直後に情報処理システム20に送信できる。
【0079】
図8は、オーダー情報の一例である。消費者は購入時に消費者情報、及び、注文情報を端末装置60に入力する。消費者情報は消費者を特定する情報であり、消費者氏名、配送先、支払い方法、及び、希望納期が含まれる。また注文情報は購入したアパレル商品を特定できる情報であり、商品ID、商品名、サイズ、色、及び、オプションなどが含まれる。外部サーバー70は1つのオーダー情報ごとに注文番号を採番する。
・注文番号…注文番号は注文を一意に識別するための識別情報である。
・消費者氏名…消費者氏名はアパレル商品を購入した消費者の氏名や消費者のIDである。
・配送先…配送先はアパレル商品の届け先である。
・支払い方法…支払い方法はアパレル商品の購入代金の支払い方法である(クレジット、銀行振り込み、代引き等)。
・希望納期…希望納期はアパレル商品の納品の期限である。
・商品ID…商品IDは、アパレル商品の識別情報である。IDはIdentificationの略であり識別子や識別情報という意味である。IDは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらのうち1つ以上の組み合わせをいう。
・商品名…商品名はアパレル商品の名称など、一般的な呼称等である。
・サイズ…サイズは、アパレル商品の場合、S、M、Lなどの商品の大きさである。
・色…色は色違いのアパレル商品がある場合に消費者が注文した色である。
・オプション…オプションは、やや大きめ・やや小さめなどの指定、アパレル商品の包装方法、及び、日時指定などである。
【0080】
<<情報処理システム>>
図7に戻って説明する。情報処理システム20は、第二通信部21、及び注文仕分け部22を有している。情報処理システム20が有するこれら各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0081】
図7では、説明の便宜上、情報処理システム20が一まとまりに図示されているが、情報処理システム20の機能は複数の情報処理装置40に分散されていてよい。
【0082】
第二通信部21は、受注システム10からオーダー情報を受信する。注文仕分け部22は、オーダー情報ごとに、又は、複数のオーダー情報をまとめて依頼先を複数の生産拠点の中から選定する。一般に、生産拠点システム30が有する生産装置の機能の差により、生産拠点ごとに生産可能なアパレル商品は異なる。
【0083】
注文仕分け部22は、アパレル商品に応じて生産拠点システムを選択すると共に、注文仕分け部22は、例えば、生産段階と輸送段階の環境負荷がトータルで小さくなるように「生産拠点システム30-1」~「生産拠点システム30-N」に仕分ける。簡単には、注文仕分け部22は、生産段階で基本素材の無駄が生じないように、及び、配送先と生産拠点との距離又は輸送コストが最小となるように、生産拠点システムを選定する。
【0084】
注文仕分け部22は、注文仕分け部22が選定した生産拠点システム30に対し、アパレル商品の生産を依頼するオーダー情報を送信する。
【0085】
<<生産拠点システム>>
情報処理装置40は、第三通信部41、受注部42、ワークフローコントローラ部43、布地割当処理部44、表示制御部48、プリンタ指定部45、RIP処理部46、RIPデータ管理部54、操作受付部47、及び、コード読取部49を有する。情報処理装置40が有するこれらの機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、情報処理装置40は、図5に示したHD504等により実現される全体プリンタ機種情報記憶部53,及び、RIPデータ記憶部50を有している。
【0086】
第三通信部41は、情報処理システム20からオーダー情報を受信し、受注部42に送出する。受注部42は、オーダー情報に応じて印刷ジョブを作成し、ワークフローコントローラ部に送出する。
【0087】
ワークフローコントローラ部43は、基本素材の在庫状況、生産装置の稼働状況(故障の有無や消耗品の充実度)、及び、生産スケジュール(生産装置が空いているか、今後の生産に関する時間割)を管理している。ワークフローコントローラ部43は、生産スケジュールに基づいて画像形成装置71、裁断機74、及び縫製機75のワークフローを制御する。ワークフローコントローラ部43には、画像形成装置71、裁断機74、及び、縫製機75等、生産に必要な生産装置が接続されており、これらから各生産装置の状態がワークフローコントローラ部43に送信される。
【0088】
ワークフローコントローラ部43は、画像形成装置71、裁断機74、及び、縫製機75等からの通知で又は作業員からの通知で該当処理の完了を検出すると、次工程に進めていく。本実施形態では、ワークフローコントローラ部43は、各印刷ジョブのフェーズを順番に実行するなど、印刷ジョブの実行を管理する。
【0089】
布地割当処理部44は、バーコードリーダー81が読み取るバーコードに含まれるオーダー情報を取得し、RIPデータの作成をRIP処理部46に指示する。
【0090】
表示制御部48は、操作を受け付けるための画面(ユーザーインターフェイス)を表示する。表示制御部48は、作業員への指示や、情報処理装置40、画像形成装置71、縫製機75、裁断機74等の状態を表示する。
【0091】
プリンタ指定部45は、全体プリンタ機種情報記憶部53が保持するプリンタ機種情報に基づいて、RIPデータを作成する画像形成装置71の機種を指定する。全体プリンタ機種情報記憶部53には生産拠点システム30が有する全ての画像形成装置71の機種が保存されている。
【0092】
RIP処理部46は、生産拠点システム30に存在する全ての種類の画像形成装置71に対応させてRIPデータを作成する。作成されたRIPデータは、注文IDと機種に対応付けてRIPデータ記憶部50に保存される。
【0093】
なお、異なる画像形成装置に対応するRIPデータは、例えば機種ごとにことなるインク(例えばYMCKであったり、YMCK+Wであったり)情報や再現する色味の違いによる各色インク量の付与量の違い、プリンタが識別可能なデータ形式などが異なるものを言う。
【0094】
RIPデータ管理部54は、RIPデータ記憶部50に記憶されているRIPデータ及び全体プリンタ機種情報記憶部53に記憶されているプリンタ機種情報を管理する。RIPデータ管理部54は、RIPデータ取得要求に基づいて、画像形成装置に対応するRIPデータを提供する。
【0095】
操作受付部47は、作業員による情報処理装置40への各種の操作を受け付ける。
【0096】
コード読取部49は、バーコードリーダーと一体の機能であり、バーコードに含まれる情報(オーダー情報)をデコードする。
【0097】
情報処理装置40が有する各機能(第三通信部41、受注部42、ワークフローコントローラ部43、布地割当処理部44、表示制御部、プリンタ指定部45、RIP処理部46、RIPデータ管理部54、操作受付部47、及び、コード読取部49)は、図7の実施形態のように1つの装置に集約されてもよく、複数の装置にまたがった態様でもよい。また、それぞれの情報処理装置40がソフトをインストールすることでこれらの機能を発揮し、処理システムを構成する態様が考えられる。
【0098】
なお、図7では、生産拠点システム30が有する複数の情報処理装置40のうち画像形成装置71a~71cに接続されている情報処理装置を情報処理装置40B1~40B3とした。情報処理装置40A,40B1~40B3はLAN等で接続されている。なお、情報処理装置40Bの数は3つとは限らず、4つ以上でもよい(画像形成装置の機種の数だけあるとよい)。情報処理装置40A、40B1~40B3はそれぞれ処理システムに相当する。
【0099】
情報処理装置40B1~40B3は、操作受付部47、表示制御部48、コード読取部49、印刷処理部51、及び、個別プリンタ機種情報記憶部52を有している。なお、情報処理装置40B1~40B3の機能は同じでよいため、図7では、情報処理装置40B1の機能を示す。
【0100】
印刷処理部51と個別プリンタ機種情報記憶部52は生産拠点システム30に存在する画像形成装置71の機種の数だけ存在する。印刷処理部51はそれぞれ個別の画像形成装置71に接続されている。印刷処理部51は、バーコードリーダー80が読み取るバーコードに含まれるオーダー情報を取得する。印刷処理部51は、注文IDで特定されるRIPデータであって、印刷処理部51が接続されている画像形成装置71の機種に応じたRIPデータをRIPデータ管理部54から取得する。印刷処理部51はこのRIPデータを画像形成装置71に送信すると共に印刷実行を要求する。なお、印刷処理部51が接続されている画像形成装置71の機種は、個別プリンタ機種情報記憶部52に記憶されている。
【0101】
なお、情報処理装置40B1が有する操作受付部47、表示制御部48及びコード読取部49の機能は情報処理装置40と同様でよい。
【0102】
図9(a)は、全体プリンタ機種情報記憶部53に記憶されているプリンタ機種情報を示す。上記のように、プリンタ機種情報は、情報処理装置40に接続されている画像形成装置71の機種情報である。機種情報は、メーカー名とモデルにより特定される。1つの生産拠点システム30に3つの画像形成装置71が存在する場合、図9(a)に示すように、
・A社のMP001という画像形成装置
・B社のSB001という画像形成装置
・A社のMP005という画像形成装置
が全体プリンタ機種情報記憶部53に記憶されている。
また、プリンタ機種情報としては、機種を特定できるIDなどの識別情報、解像度、印刷開始位置、色味(L*a*b*)の補正値情報などの印刷設定情報が含まれていてもよい。
【0103】
図9(b)は、個別プリンタ機種情報記憶部52a~52cに記憶されているプリンタ機種情報を示す。個別プリンタ機種情報記憶部52a~52cにおけるプリンタ機種情報は、任意の画像形成装置71が接続されている情報処理装置40が有するプリンタ機種情報である。図9(b)は、B社のSB001という画像形成装置71が接続されている情報処理装置40B(例えば、40B1とする)が有するプリンタ機種情報であるが、A社のMP001という画像形成装置71に対応する個別プリンタ機種情報記憶部52、A社のMP005という画像形成装置71に対応する個別プリンタ機種情報記憶部52が、情報処理装置40B2,40B3に存在する。
【0104】
印刷処理部51a~51cは、個別プリンタ機種情報記憶部52a~52cに記憶されているプリンタ機種情報に応じて、RIPデータをRIPデータ記憶部50から取得する。
【0105】
図10は、RIPデータ記憶部50に記憶されているRIPデータ情報を示す。RIPデータ記憶部50には、1つの注文ごとに、生産拠点システム30で保有する全ての画像形成装置71の機種に応じたRIPデータが保持される。したがって、生産拠点システム30が、機種が異なる3つの画像形成装置71を有する場合、1つの注文で3つのRIPデータが作成される。
【0106】
なお、図7では、情報処理装置40がRIPデータ記憶部50を有しているが、RIPデータ記憶部50はネットワーク上の情報処理装置40がアクセスできる場所にあればよい。例えば、情報処理装置40はクラウド上にあってもよい。クラウドにRIPデータが保存されると、単一の拠点だけではなく、複数の拠点でRIPデータを共有できる。
【0107】
<動作手順>
続いて、図11を参照し、オーダー情報に基づく印刷手順を説明する。図11は、印刷システムが受注されたアパレル商品を印刷する手順を示すシーケンス図の一例である。すでに、消費者は端末装置60を受注システム10に接続し、所望のアパレル商品を注文したものとする。端末装置60の第五通信部61は、消費者の操作に応じてオーダー情報を受注システム10に送信する。受注システム10は情報処理システム20を介してオーダー情報を生産拠点システムに送信する。これにより、生産拠点システムの第三通信部41がオーダー情報を受信し、受注部42がオーダー情報を取得する。
【0108】
S1:受注部42は、オーダー情報に応じて作成した印刷ジョブをワークフローコントローラ部43に送信する。これにより、情報処理装置40がシール状の用紙にオーダー情報をバーコードにて印刷する。なお、受注部42が、オーダー情報を受信した直後にRIP処理を開始してもよい。
【0109】
S2:次に、作業員がバーコードをバーコードリーダー80で読み取る。コード読取部49がバーコードに含まれてるオーダー情報を取得し、布地割当処理部44に送出する。
【0110】
S3:布地割当処理部44は、オーダー情報により特定される画像データをプリンタ指定部45に送出する。
【0111】
S4:プリンタ指定部45は、全体プリンタ機種情報記憶部53に記憶されている全ての画像形成装置71の機種情報と画像データをRIP処理部46に送出し、RIP処理を要求する。このように、作業員がバーコードをバーコードリーダー80で読み取った直後にRIP処理が開始される。
【0112】
S5:RIP処理部46は、画像形成装置71の機種の数だけ、画像形成装置71の機種に応じたRIP処理を画像データに行い、画像形成装置71の機種ごとにRIPデータを作成する。各RIPデータはRIPデータ記憶部50に保存される。
【0113】
S6:RIP処理部46は、全ての機種のRIP処理が完了するとRIP処理終了をワークフローコントローラ部43に送出する。
【0114】
S7:一方、布地割当処理部44は表示制御部48を介してバーコードから抽出したオーダー情報をディスプレイ506に表示する。
【0115】
S8:作業員は、オーダー情報を確認して、注文されているアパレル商品の基本素材を特定し、この基本素材にバーコードが印刷されたシール状の用紙を貼付する。貼付が終了すると、作業員は布地割当終了(基本素材にシール状の用紙を貼付した旨の入力)を情報処理装置40に入力する。操作受付部47が布地割当終了を受け付け、布地割当処理部44に通知する。
【0116】
S9:布地割当処理部44は布地割当終了をワークフローコントローラ部43に通知する。
【0117】
S10:作業員は印刷に使用する画像形成装置71を選択する。選択の基準としては、アパレル商品の素材(綿、ポリエステル等)やアパレル商品に必要な機能(色や解像度(dpi))等に基づく選択基準、又は、稼働状況(空いている)に基づく選択基準等がある。作業員は、選択した画像形成装置71に接続されている情報処理装置40Bに接続されているバーコードリーダー80でバーコードを読み取る。コード読取部49がオーダー情報を取得し、オーダー情報が印刷処理部51a~51cのうち、バーコードリーダー80が接続されている情報処理装置40Bの印刷処理部51に送出される。この印刷処理部51は、作業員が使用する情報処理装置40に応じて自動的に決まる。
【0118】
S11:印刷処理部51は、オーダー情報に含まれる注文IDと個別プリンタ機種情報記憶部52a~52cに記憶されているプリンタ機種情報により特定されるRIPデータをRIPデータ管理部54に要求する。
【0119】
S12~S14:RIPデータ管理部54は、要求されたRIPデータをRIPデータ記憶部50から取得し、印刷処理部51に返す。
【0120】
S15:印刷処理部51は、RIPデータと共に印刷の実行を画像形成装置71に要求する。これにより、画像形成装置71がRIPデータを基本素材に印刷し、アパレル商品が完成する。
【0121】
S16:画像形成装置71は印刷終了を印刷処理部51に通知する。
【0122】
S17:印刷処理部51がワークフローコントローラ部43に印刷終了を通知する。
【0123】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷システムは、オーダー情報を受信した直後、又は、作業員がバーコードを読み取った直後からRIPデータを作成するので、画像形成装置71のスケジュールで決まる印刷するタイミングが到来してからRIP処理を行うよりも、待機時間が生じる可能性を低くできる。
【実施例0124】
実施例1では、作業員が印刷に使用する情報処理装置40で画像形成装置71の機種が決まったが、オーダー情報で画像形成装置71の機種が決まってもよい。例えば、商品IDで基本素材が決まるような場合、情報処理装置40が商品IDで画像形成装置71を決定できる。
【0125】
本実施例においては、上記の実施例にて説明した図5のハードウェア構成図を援用できるものとして説明する。
【0126】
図12は、本実施例において、端末装置60、受注システム10、情報処理システム20、及び、生産拠点システム30の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。図12の説明では主に図7との相違を説明する。本実施例では、個別プリンタ機種情報記憶部52a~52cが不要になる。また、全体プリンタ機種情報記憶部53に記憶される情報が実施例1とは異なる。
【0127】
図13は、本実施例の全体プリンタ機種情報記憶部53に記憶されているプリンタ機種情報を示す。図13では、商品IDに対応付けてプリンタ機種情報が登録されている。したがって、印刷処理部51はオーダー情報に含まれる商品IDにより画像形成装置71の機種を決定できる。
【0128】
印刷の流れを説明するシーケンス図は図11と同様でよい。しかし、ステップS9において、ワークフローコントローラ部43は、全体プリンタ機種情報記憶部53においてオーダー情報に含まれる商品IDに対応付けられている画像形成装置71の機種をディスプレイ506に表示する。商品IDですでに画像形成装置71が決まっているためである。
【0129】
作業員はこの画像形成装置71に接続されている情報処理装置40のバーコードリーダー80でバーコードを読み取る。
【0130】
そして、ステップS11において、作業員が選択した情報処理装置40の印刷処理部51は、全体プリンタ機種情報記憶部53において商品IDに対応付けられている画像形成装置71の機種に応じたRIPデータをRIPデータ記憶部50から取得する。
【0131】
<主な効果>
本実施例によれば、実施例1と同等の効果を奏すると共に、商品IDに応じた画像形成装置71が指示されるので、作業員が画像形成装置71を取り違うことを抑制できる。
【0132】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0133】
例えば、バーコードは二次元コードでもよいし、ICチップでもよい。
【0134】
また、本実施形態では、アパレル商品の生産に関して説明したが、オンデマンドで画像が素材に印刷され商品が出来上がる生産物に適用できる。
【0135】
また、図7などの構成例は、受注システム10、情報処理システム20、及び、生産拠点システム30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。受注システム10、情報処理システム20、及び、生産拠点システム30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0136】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム20は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0137】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0138】
10 受注システム
20 情報処理システム
30 生産拠点システム
40 情報処理装置
71 画像形成装置
100 発注システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2020-170344号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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