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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121112
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】粉粒体の充填装置及び充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/34 20060101AFI20230823BHJP
   B65B 1/06 20060101ALI20230823BHJP
   B65B 39/00 20060101ALI20230823BHJP
   B65B 1/08 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B65B1/34
B65B1/06
B65B39/00 A
B65B1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132177
(22)【出願日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2022023931
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】浦 幸雄
【テーマコード(参考)】
3E055
3E118
【Fターム(参考)】
3E055AA03
3E055BB01
3E055BB08
3E055CA01
3E055CB02
3E055DA03
3E055DA05
3E055EA01
3E055EA07
3E055EB02
3E055EB05
3E055EB09
3E055FA01
3E118AA07
3E118AB03
3E118AB05
3E118BA06
3E118BB02
3E118BB04
3E118BB06
3E118CA02
3E118DA02
3E118DA03
3E118EA01
3E118FA04
3E118FA08
(57)【要約】
【課題】 粉粒体の容器内への充填に際して該粉粒体に異物を混入させたり充填量を大きくばらつかせたりすることなく安定的に充填することが可能な粉粒体の充填装置及び充填方法を提供する。
【解決手段】 貯槽1から排出される好ましくは粒度5~30μmの粉粒体を計量しながらフレキシブルコンテナなどの容器C内に充填する充填装置であって、貯槽1の底部排出口に接続された該粉粒体の流路となる可撓性のチューブ2と、チューブ2を好適にはアクチュエータ4で変形させることで該流路の開度を調整するピンチバルブ3と、容器C内の粉粒体の充填量を計量する計量部5とからなり、該充填量に応じて該開度が段階的に調節される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯槽から排出される粉粒体を計量しながら容器内に充填する充填装置であって、該貯槽の底部排出口に接続された該粉粒体の流路となる可撓性のチューブと、該チューブを変形させることで該流路の開度を調整するピンチバルブと、該容器内の粉粒体の充填量を計量する計量部とからなり、該充填量に応じて該開度が段階的に調節される充填装置。
【請求項2】
前記ピンチバルブによる前記チューブの変形がアクチュエータにより行なわれる、請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記貯槽にはブローディスクが設けられており、前記ピンチバルブによる前記流路の開度に応じて該ブローディスクの作動が調節される、請求項2に記載の充填装置。
【請求項4】
貯槽から排出される粉粒体を計量しながら容器内に充填する充填方法であって、該容器内の粉粒体の充填量に応じて、該貯槽の底部排出口に接続した該粉粒体の流路となる可撓性のチューブのピンチバルブによる変形の度合いを段階的に大きくする充填方法。
【請求項5】
前記貯槽にはブローディスクが設けられており、前記容器内の粉粒体の充填量に応じて該ブローディスクに導入するガスの供給圧力及び/又は供給時間を調節する、請求項4に記載の充填方法。
【請求項6】
前記チューブの変形の度合いをある段階から次の段階に移行するタイミングで該チューブを一時的に閉塞状態にする、請求項5に記載の充填方法。
【請求項7】
前記粉粒体の粒度が5~30μmである、請求項6に記載の充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の充填装置及び充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体は、化学工業、肥料、食品原料、セメントなどの様々な産業分野において原料や製品として広く取り扱われており、その搬送や定量供給等のために粉粒体の物性を考慮にいれた各種の装置が用いられている。例えば、貯槽からの粉粒体の切り出しや、フレキシブルコンテナなどの容器の充填の用途にスクリューフィーダー、ロータリーフィーダー、オーガー式充填機などの容量式の充填装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、ホッパー内に貯留されている粉粒体を所定の容器に短時間で高精度に充填する技術が開示されている。具体的には、ロードセルなどの計量手段の上に載置された容器内にスクリューフィーダーなどの供給手段を介して粉粒体を充填する際、該粉粒体の充填量が約8割程度に到達したことを該計量手段で検知したときに該供給手段による充填を中止すると共に、予め該供給手段によって粉粒体を供給しておいた小型スクリューフィーダーなどの補助供給手段を用いて該粉粒体を追加充填する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-12855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されているように、大型と小型の2基のスクリューフィーダーを適宜使い分けて粉粒体を充填することで、短時間で高精度に粉粒体を容器内に充填することが可能になると考えられる。しかしながら、スクリューフィーダーやオーガー式充填機に代表される容積式の充填装置は、螺旋形のスクリュー等の回転羽根をケーシング内で回転させることによって、該ケーシング内に導入される粉粒体をこれら回転羽根やケーシングの表面で滑らせながら搬送するものであるため、粉粒体が回転羽根によって粉砕されることが懸念される。また、これら回転羽根やケーシングを形成するステンレスなどの金属材料が粉粒体によって摩耗したり何らかの原因で破損したりすることで、金属粉や金属破片などの異物が粉粒体に混入するおそれがある。更に、シール部分のパッキン等のシール材が摩耗や経年劣化により粉粒体に混入するおそれもある。
【0006】
また、上記の容積式の充填装置の場合は、回転羽根の回転数によって粉粒体の供給量を制御するため、該充填装置の前段のホッパーや該充填装置のケーシング内の圧力の変動などの影響を受けて粉粒体の流動性が変化することがあり、その結果、上記供給量が変動して充填量が大きくばらつくことがあった。本発明は、上記のような容量式の充填装置が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、粉粒体の容器内への充填に際して該粉粒体に異物を混入させたり充填量を大きくばらつかせたりすることなく安定的に充填することが可能な粉粒体の充填装置及び充填方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る充填装置は、貯槽から排出される粉粒体を計量しながら容器内に充填する充填装置であって、該貯槽の底部排出口に接続した該粉粒体の流路となる可撓性のチューブと、該チューブを変形させることで該流路の開度を調整するピンチバルブと、該容器内の粉粒体の充填量を計量する計量部とからなり、該充填量に応じて該開度が段階的に調節されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る充填方法は、貯槽から排出される粉粒体を計量しながら容器内に充填する充填方法であって、該容器内の粉粒体の充填量に応じて、該貯槽の底部排出口に接続した該粉粒体の流路となる可撓性のチューブのピンチバルブによる変形の度合いを段階的に大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器内への粉粒体の充填に際して、該粉粒体に異物を混入させたり充填量を大きくばらつかせたりすることなく安定的に充填することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る粉粒体の充填装置の実施形態の斜視図である。
図2図1の充填装置においてアクチュエータのシリンダーから出没するロッドの突出長さを変えることでチューブの開度を調節する様子を示す模式図である。
図3図1の充填装置が有する制御装置の基本構造の一具体例である。
図4図1の貯槽に設けたブローディスクをその中心軸を有する平面で切断した断面図である。
図5】容器に粉粒体を充填したときの充填率と充填開始からの経過時間との関係を示すグラフであり、本発明の実施形態の充填方法(a)及びその代替方法(b)で充填した場合のプロフィールの具体例が示されている。
図6】本発明の実施例1の充填方法において制御装置によって実行したアルゴリズムを示すフローチャートである。
図7図6のフローチャートに沿って容器に粉粒体を充填したときの充填率とチューブ開度との関係を示すグラフである。
図8】本発明の実施例2の充填方法で採用したチューブ開度の条件及びブローディスクの運転条件を示す表である。
図9図8の表に従って容器に粉粒体を充填したときの充填率とチューブ開度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の粉粒体の充填装置の実施形態について図1を参照しながら説明する。この図1に示す充填装置は、貯槽1内に貯留している粉粒体を該貯槽1の底部排出口から排出させてその下方に設けたフレキシブルコンテナなどの容器Cに所定の充填量まで充填する充填装置であり、貯槽1の底部排出口に接続された粉粒体の流路となる可撓性のチューブ2と、このチューブ2の該流路の開度を調整すべくアクチュエータ4によって側方からチューブ2を押圧することにより扁平状に変形させるピンチバルブ3と、容器C内に充填された粉粒体の充填量を計量する計量部5と、計量部5で計量した充填量に応じてアクチュエータ4の作動を制御する制御装置10とからなる。
【0012】
このように、本発明の実施形態の充填装置は、ピンチバルブ3を用いて粉粒体の流路を扁平状に変形させることで該流路の開度を調整するので、スクリューフィーダーやオーガー式充填機などの容積式の充填装置を用いる必要がない。よって、回転羽根などの金属製の可動部やそのシール材の摩耗等で生じる異物の粉粒体への混入の問題を防ぐことができる。また、容器C内の粉粒体の充填量が満杯に近づくに従ってチューブ2内の流路の開度を徐々に絞ることができるので、短時間で高精度に粉粒体を充填することが可能になり、充填量のばらつきを抑えることができる。
【0013】
具体的に説明すると、粉粒体を貯留させる貯槽1は、例えば逆円錐形状又は逆四角錐形状の下端部を有する筒状のホッパーであり、その頂部からバケットコンベアや気流搬送装置などの図示しない粉粒体輸送手段により一般的に粉粒体が投入される。該頂部から投入された粉粒体は、貯槽1内で一時的に貯留された後、貯槽1の底部排出口から排出される。この貯槽1の底部排出口には、ゴム、フッ素樹脂などの弾力性に優れた材質からなる可撓性のチューブ2の一端部が接続しており、貯槽1の底部排出口から排出された粉粒体は、このチューブ2でガイドされながら重力により落下して下方に位置するフレキシブルコンテナなどの容器Cに充填される。
【0014】
上記のチューブ2にはその長手方向の略中央部を側方から押圧することで扁平状に変形させるピンチバルブ3が設けられている。このピンチバルブ3は、チューブ2を両側から挟み込むように、チューブ2の延在方向に対して垂直に配置された1対の互いに平行な棒状体からなるピンチレバー3a、3bによって構成されており、これら1対のピンチレバー3a、3b同士の離間距離を近づけたり遠ざけたりすることで、断面円形のチューブ2の断面形状を扁平状に押しつぶしたり、弾力性を有するチューブ2の復元力により元の円形に戻したりすることができ、これによりチューブ2内の流路の開度を調整して粉粒体の充填速度を増減させることが可能になる。
【0015】
上記のピンチバルブ3によるチューブ2内の流路の開度の調整について具体的に説明すると、上記のピンチバルブ3を構成する1対のピンチレバー3a、3bのうち、一方のピンチレバー3aはチューブ2の側部に当接した状態で架台等に固定されているのに対して、もう一方のピンチレバー3bはアクチュエータ4のシリンダー4aから出没するロッド4bの先端部に取り付けられている。これにより、固定されたピンチレバー3aに対するピンチレバー3bの位置を、チューブ2をほぼ平坦に変形させてその流路を完全に閉塞させる近接位置と、チューブ2の断面が円形のままでほとんど変形していない離間位置との間で往復動させることができる。また、後述するように、アクチュエータ4のシリンダー4aからロッド4bを様々な突出長さで突出させることで、チューブ2内の流路の開度を段階的に調節することができる。
【0016】
例えば、ピンチレバー3a、3bの互いの離間距離がチューブ2の外径以上となるようにロッド4bをアクチュエータ4のシリンダー4a内に退避させることで、図2の実線で示すようにチューブ2の開度を全開状態にすることができ、ピンチレバー3a、3bの互いの離間距離がチューブ2の肉厚の2倍程度になるまでロッド4bをシリンダー4aから突出させることで、図2の1点鎖線で示すようにチューブ2の開度を全閉状態にすることができ、シリンダー2aのストロークの途中の適度な距離までロッド4bを突出させることで、図2の2点鎖線で示すようにチューブ2の開度を上記の全開と全閉の中間で維持することができる。上記のようなシリンダー4aからのロッド4bの出没は、アクチュエータ4が電動アクチュエータの場合はそのモーター回転数を制御することで実現できる。
【0017】
このように、本発明の実施形態の粉粒体の充填装置は、単にチューブ2の変形の度合いを調節するのみで簡単にチューブ2内を流下する粉粒体の流量を調整することができる。また、スクリューフィーダーなどの容積式の充填装置とは異なり、粉粒体に接する回転羽根やケーシングがないので、これら回転羽根とケーシングとの間に粉粒体が挟まれて砕かれたり、回転羽根やケーシング及びそれらのシール材の摩耗や破損によって金属粉等の異物が粉粒体に混入したりするおそれがない。
【0018】
更に、図1に示すように、容器C内に充填された粉粒体の充填量をロードセルなどの計量部5で常時計量できるので、充填量を大きくばらつかせることなく容器C内に短時間に粉粒体を充填することができる。すなわち、チューブ2内の流路の開度を全開にした状態で充填を開始し、計量部5によって計量した容器C内の粉粒体の充填量が目標の充填量に近づくに従って該流路の開度が段階的に絞られるようにロッド4bをシリンダー4aから段階的に突出させることで、最初に大半の粉粒体を充填することで充填時間を短縮化することができ、充填量の微調整は最後に少量の粉粒体を充填する際に行なうことができる。
【0019】
上記のアクチュエータ4の作動を制御する制御装置10については特に限定はなく、例えばCPU(中央演算装置)を備えた一般的なコンピュータを用いることができる。図3にはかかる制御装置10の一般的な基本構造が示されており、入力されたデータに基づいて所定のアルゴリズムに沿って演算処理を行ない、その演算結果を出力する役割を担う演算・制御部11と、この演算・制御部11の演算処理に必要なパラメータや演算結果等を記憶する役割を担う記憶部12とから構成される。
【0020】
具体的には、演算・制御部11では、計量部5から出力される充填途中の粉粒体を含む容器Cの質量に基づいて充填率(すなわち、計量部5での計量値から風袋を差し引いた値を、目標とする最終充填量で除して100を掛けた値であり、充填割合とも称する)を算出し、この充填率が予め設定しておいた複数の設定範囲のいずれに該当するかを判別し、該当する設定範囲に対応するチューブ開度を実現する所定の突出長さまでピンチレバー3bが突出するようにアクチュエータ4に信号を出力する。
【0021】
一方、記憶部12では、上記の演算・制御部11の演算処理を実行するアルゴリズムや上記の演算処理を行なうために必要な各種パラメータを記憶する。このパラメータには、例えばアクチュエータ4が電動アクチュエータの場合は、上記の充填率の複数の設定範囲、及びそれらの各々に対応するピンチレバー3bの突出長さを実現するためのモーター回転数などを挙げることができる。
【0022】
なお、上記の実施形態の充填装置では、ピンチバルブ3を構成する1対のピンチレバー3a、3bのうち、片方のピンチレバー3bのみにアクチュエータ4のロッド4bが取り付けられている場合について説明したが、本発明の充填装置が有するピンチバルブ3はかかる構造に限定されるものではなく、例えば、ピンチバルブを構成する1対のピンチレバー3a、3bの両方に、別々に設けた2基のアクチュエータのロッドをそれぞれ接続してもよい。あるいは、チューブ2の流れ方向の異なる複数の位置に2対以上のピンチバルブをそれぞれ配設すると共に、それらの各々をアクチュエータで作動させることで、チューブ2をこれら複数の位置で別々に変形させてもよい。
【0023】
また、上記のアクチュエータ4は、ピンチバルブ3を構成する1対のピンチレバー3a、3bのうちの少なくとも一方を往復動させることでこれら1対のピンチレバー3a、3bの互いの離間距離を段階的に変えることができるものであれば特に制約はなく、例えば、ボールネジをモーターで回動させることで、該ボールネジに螺合するナットを備えたロッドをシリンダーから出没させる構造の電動アクチュエータを用いてもよいし、往復動自在に設けられたピストンによって仕切られた空間を有するシリンダーの該空間内に圧縮エアーを導入したり、該空間から圧縮エアーを放出したりすることで該ピストンに接続したロッドを該シリンダーから出没させる構造のエアーシリンダーを用いてもよい。これらの中では、電動アクチュエータはストローク内の任意の位置でロッドを停止させることができるため、エアーシリンダーを用いる場合と比較して、チューブ2の変形の度合いをより高精度に調整することが可能になるのでより好ましい。
【0024】
更に、本発明の実施形態の充填装置においては、粉粒体を一時的に貯留させる貯槽1にブローディスクを具備して所定のタイミングで作動させることが好ましい。図4に示すように、ブローディスク6は、圧縮エアーを噴射するノズルを有するシャフト6aを貯槽1の側壁を貫通するように取り付け、その先端部にゴムなどの弾性体で形成された皿状のディスク6bをその周縁部が貯槽1の内壁面に全周に亘って当接するように取り付けたものである。かかる構成により、図4の白矢印で示すように、シャフト6aに圧縮エアーを導入してディスク6bと貯槽1の内壁面との間の空間内にシャフト6aのノズルから圧縮エアーを噴射することで、該圧縮エアーの圧力でディスク6bの周縁部が貯槽1の壁面から僅かに浮き上がるので、360°の全方向に該内壁面に沿ってエアーを放出させることができる(壁面エアーレーションとも称する)。更に、この放出の際にディスク6bが振動するので、ブローディスク6の近傍に存在する粉粒体に直接振動を与えることができる。これら壁面エアーレーションと振動の複合効果により、貯槽1内の粉粒体のいわゆる棚吊り(ブリッジ)の発生を防止できるうえ、粉粒体の流動性を高めることができる。
【0025】
上記のブローディスク6は、シャフト6aに導入する圧縮エアーの圧力や、該圧縮エアーの導入時間(ON時間ともいう)及び非導入時間(OFF時間ともいう)を、シャフト6aに接続されている圧縮エアーの供給配管に設けた減圧弁や電磁弁などにより調節することが好ましい。また、前述したチューブ2の変形の度合いに応じてこれら減圧弁や電磁弁などを調節することが好ましい。これにより、ブローディスク6の効果をより効率的に発揮させることが可能になる。例えばチューブ2の変形の度合いが大きくなるに従って、ブローディスク6に導入する圧縮エアーの圧力が低くなるように調節したり、ON時間が短くなるように調節したり、OFF時間が長くなるように調節したりすることが好ましく、これにより、チューブ2内を流下する粉粒体の流動性を安定的に維持することが可能になり、チューブ2の下端から排出される粉粒体の排出量(充填量)のばらつきを抑制しやすくなる。
【0026】
上記のブローディスク6に導入する圧縮エアーの圧力の調節や、ON時間及びOFF時間の調節は、前述した制御装置10によって行なうことができる。具体的には、図1に示すように、貯槽1に設けた2個のブローディスク6A、6Bにそれぞれ導入する2本の圧縮エアーの供給配管の各々に圧力を制御する圧力制御弁7及びON/OFF弁8を設けると共に、前述したように容器C内の粉粒体の充填量に基づいて演算・制御部11がアクチュエータ4に電気信号を出力するタイミング、あるいはこのアクチュエータ4に電気信号を出力するタイミングとは別途設定したタイミングに合わせて、これら圧力制御弁7及びON/OFF弁8にも所定の電気信号を出力するように演算・制御部11で実行させるアルゴリズムを構築しておけばよい。これにより、容器C内の粉粒体の充填量が大きくなるに従ってブローディスク6A、6Bに導入される圧縮エアーの導入圧を段階的に減少させたり、圧縮エアーの相対的な導入時間を段階的に減少させたり、2個のブローディスク6A、6Bのうちの一方のみに圧縮エアーを導入したりできるので、粉粒体の排出量(充填量)のばらつきを効果的に抑制することができる。
【0027】
なお、図1の貯槽1には2個のブローディスク6A、6Bが設けられているが、ブローディスクの個数は2個に限定されるものではなく、1個又は3個以上でも構わない。複数個のブローディスク6を設ける場合は、貯槽1の中心軸に関して回転対称となる位置であって且つ同じ高さ位置に設けるのが好ましい。この場合、これら複数のブローディスク6の各々に対して上記の制御装置10による制御を個別に行なうことで、粉粒体の排出量(充填量)のばらつきをより一層効果的に抑制することができる。また、ブローディスク6に代えて、あるいはブローディスク6に加えて打撃式のノッカーや振動式のバイブレーターを貯槽1に設けてもよいが、これらノッカーやバイブレーターは粉粒体の種類によっては打撃や振動によって粉粒体同士の間隔が密になってかえって閉塞を生じさせたり、粉粒体の排出量(充填量)を大きくばらつかせたりするおそれがあるので、これらノッカーやバイブレーターを用いる場合は試験機などで性能を確認してから導入するのが好ましい。
【0028】
以上説明したように、本発明の実施形態の充填装置は、貯槽からチューブを介して容器内に充填した粉粒体の充填量が満杯に近づくに従って該チューブの変形の度合いを段階的に大きくできるので、短時間で高精度に粉粒体を充填することができる。また、上記のチューブの変形のタイミングか、あるいはこれとは別途設定したタイミングで貯槽に設けたブローディスクに導入する圧縮エアーの導入圧力を低く調節したり、その導入時間を短くしたりできるので、粉粒体の充填量のばらつきをより一層抑えることができる。
【0029】
なお、上記のチューブ2の変形の度合いを段階的に大きくする場合の段階数は、所望の充填精度が得られる限り特に限定はない。また、各段階で設定するチューブ2の開度や、ブローディスク6に導入する圧縮エアーの圧力、ON/OFF時間についても、所望の充填精度等の条件に応じて適宜設定しても構わない。また、制御装置10の演算・制御部11においてタイマーで経過時間をカウントすることで粉粒体の排出速度を求めてもよい。これにより、粉粒体の排出速度を監視できるので、例えば粉粒体の流動性に僅かな違いが発生しても、粉粒体の充填量に応じて即時に適正な開度を選択することができる。これにより、より高精度に粉粒体を充填することが可能になる。
【0030】
また、上記のアクチュエータ4の作動やブローディスク6の作動を制御するアルゴリズムは、例えばあるチューブ開度から次段階のより狭いチューブ開度に移行させるときや、ブローディスク6への圧縮エアーの導入圧及び/又は導入時間を次段階のより低圧・短時間に移行させるときに、チューブ2を一時的に全閉又はほぼ全閉の閉塞状態とし、所定時間(例えば、10秒程度)この閉塞状態を維持した後に、上記次段階に移行させるようにプログラミングしてもよい。これにより、貯槽1内で流動状態にある粉粒体をほぼ落ち着かせた後に次段階の充填を開始することができるうえ、更に、貯槽1から落下することで容器C内で激しく舞い上がった状態で流動している粉粒体をほぼ落ち着かせた後に次段階の充填を開始することができるので、容器C内に充填される粉粒体の充填精度をより一層高めることが可能になる。
【0031】
例えば図5(a)に示すように、アクチュエータ4の作動及び/又はブローディスク6A、6Bの作動を、充填率に応じて第1~第5行程の異なる条件で制御する本発明の実施形態の充填方法に対して、代替方法として図5(b)に示すように、第4行程と第5行程の間に一時的にチューブ2を全閉にして容器Cへの充填を一時的に停止してもよい。上記のように、チューブ2を一時的に閉塞状態にするタイミングとしては、容器Cへの充填率に応じてアクチュエータ4の作動の条件やブローディスク6A、6Bの作動の条件をある工程から次の工程に移行させる複数のタイミングのうち、最終の行程に移行するタイミングに行なうのが好ましい。その理由は、図5の(a)と(b)のグラフの横軸方向の長さを比較することで分かるように、チューブ2を一時的に閉塞状態にすることでその分だけ容器Cに粉粒体を充填する時間が長くなるが、上記のように最終工程の1つ前の工程から最終行程に移行するタイミングで一時的に閉塞状態にすることで、その効果をより短い時間で効率的に発揮させることが可能になるからである。
【0032】
なお、上記の閉塞状態を維持する時間については、例えば、実運転前の試運転の段階において、閉塞状態を一時的に維持する時間を様々に変えて容器C内に粉粒体を充填した種々の運転条件のうち、高い充填精度が得られたものの中から選ぶことができ、その際、生産性が大きく低下しないように充填率100%に達するまでの充填時間をも考慮に入れるのが好ましい。一般的には、この閉塞状態を維持する時間は5~15秒程度が好ましく、8~12秒程度がより好ましく、10秒程度が最も好ましい。この時間が5秒未満では、閉塞状態にする効果が発揮されなくなるおそれがあり、逆に15秒を超えても閉塞状態にする効果がほとんど変わらないので充填時間が無駄に長くなる。
【実施例0033】
[実施例1]
本発明の実施例の充填装置を用いて、ロードセルを備えたパレット上に載置したフレキシブルコンテナに、その真上に位置する貯槽から粉粒体を150kgずつ充填する作業を繰り返した。具体的には、図1に示すように、粒度が5~30μmの範囲内で変動する粉粒体が貯留されている貯槽1としてのホッパーの底部排出口に、内径80mmのゴム製のチューブ2の一端部を接続し、その他端部を容器Cとしてのフレキシブルコンテナの上部投入口に短管を介して接続した。そして、このチューブ2の長手方向の中間部に、チューブ2を両側から挟み込んで扁平状に変形させることでチューブ開度を調整するピンチバルブ3を取り付けた。なお、上記の粒度は、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の平均粒径D50である。
【0034】
ピンチバルブ3は1対の互いに平行な丸棒からなるピンチレバー3a、3bによって構成し、それらのうちの一方は貯槽1の架台に固定し、もう一方はアクチュエータ4としての電動アクチュエータのロッド4bに取り付けた。この電動アクチュエータの作動は、図3に示すように計量部5で計量した充填量のデータが入力される制御装置10によって制御した。これにより、チューブ2を扁平状に変形させてその開度を調節することにより、チューブ2内の流路を重力で落下する粉粒体の流量を調節した。
【0035】
また、上記のホッパーの逆円錐部の同じ高さ位置の互いに対向する位置に、2個のブローディスク6A、6Bを設けると共に、これら2個のブローディスク6A、6Bに圧縮エアーをそれぞれ導入する2本の供給配管の各々に圧力制御弁7及びON/OFF弁8を設け、これら弁の作動も制御装置10で制御した。なお、チューブ2の扁平状の変形の度合いの指標となるチューブ開度は下記式1のように定義した。
【0036】
[式1]
チューブ開度[%]=(ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅/変形前のチューブ2の内径)×100
【0037】
制御装置10では、図6に示すフローチャートのように、計量部5で計量した充填量の入力値に基づいて算出した充填率に応じて、アクチュエータ4、圧力制御弁7、及びON/OFF弁8の作動条件の異なる第1~第5行程がこの順序で順次移行するように制御した。具体的には、この図6に示すアルゴリズムでは、外部操作盤の起動スイッチ9の操作により粉粒体の排出開始信号が制御装置10の演算・制御部11に入力されると、演算・制御部11は、第1行程に該当するチューブ開度100%に対応するロッド4bの突出長さとなるように、アクチュエータ4に所定のモーター回転数の信号を出力する。演算・制御部11は、更に2個のブローディスク6A、6Bに圧縮エアーをそれぞれ導入する2本の供給配管にそれぞれ設けた2個の圧力制御弁7の両方に減圧後のエアー圧力0.30MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、それらの下流側の2個のON/OFF弁8の両方にON時間1.0秒、OFF時間2.0秒となる弁開閉時間の信号を出力する。この第1行程では、閉止状態にあったチューブ2が全開することで貯槽1の底部排出口からチューブ2を介して最大の排出速度で粉粒体が排出され、パレット上に載置されたフレキシブルコンテナ内への粉粒体の充填が開始される。
【0038】
容器C内の充填量が増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した充填率が70%(すなわち、粉粒体の充填量105kg)に到達すると、演算・制御部11は、第2工程に該当するチューブ開度50%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0.5=40mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。演算・制御部11は、更に2個の圧力制御弁7の両方に減圧後のエアー圧力0.25MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、2個のON/OFF弁8の両方にON時間0.5秒、OFF時間2.0秒となる弁開閉時間の信号を出力する。この第2行程では、上記した第1行程と比べてチューブ2の扁平状の変形の度合いが大きくなるので、容器C内への粉粒体の充填速度が第1行程と比べて約5割程度まで減少する。
【0039】
容器C内の充填量が更に増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した充填率が85%(すなわち、粉粒体の充填量127.5kg)に到達すると、演算・制御部11は、第3行程に該当するチューブ開度30%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0.3=24mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。演算・制御部11は、更に2個の圧力制御弁7の両方に減圧後のエアー圧力0.25MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、2個のON/OFF弁8の両方にON時間0.2秒、OFF時間2.0秒となる弁開閉時間の信号を出力する。この第3行程では、上記した第2行程と比べてチューブ2の扁平状の変形の度合いが大きくなるので、容器C内への粉粒体の充填速度が第1行程と比べて約3割程度まで減少する。
【0040】
容器C内の充填量が更に増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した充填率が94%(すなわち、粉粒体の充填量141kg)に到達すると、演算・制御部11は、第4行程に該当するチューブ開度20%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0.2=16mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。演算・制御部11は、更に2個の圧力制御弁7のうちの一方にのみ減圧後のエアー圧力0.25MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、その下流側の一方のON/OFF弁8にのみON時間0.2秒、OFF時間2.0秒となる弁開閉時間の信号を出力する。そして、他方のON/OFF弁8には全閉の信号を出力することで、2個のブローディスク6A、6Bのうちの1個は作動を停止させる。この第4行程では、上記した第3行程と比べてチューブ2の扁平状の変形の度合いが大きくなるので、容器C内への粉粒体の充填速度が第1行程と比べて約2割程度まで減少する。
【0041】
容器C内の充填量が更に増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した充填率が98%(すなわち、粉粒体の充填量147kg)に到達すると、演算・制御部11は、第5行程に該当するチューブ開度10%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0.1=8mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。演算・制御部11は、上記の第4行程で全閉にした他方のON/OFF弁8については全閉を維持したまま、一方の圧力制御弁7にのみ減圧後のエアー圧力0.20MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、その下流側の一方のON/OFF弁8の片方にのみON時間0.1秒、OFF時間3.0秒となる弁開閉時間の信号を出力する。この第5行程では、上記した第4行程と比べてチューブ2の扁平状の変形の度合いが大きくなるので、容器C内への粉粒体の充填速度が第1行程と比べて約1割程度まで減少する。
【0042】
容器C内の充填量が更に増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した容器C内の充填率が100%(すなわち、粉粒体の充填量150kg)に到達すると、演算・制御部11は、チューブ開度0%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0=0mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。これにより、チューブ2は完全に閉塞状態となるため、容器C内への粉粒体の供給が停止し、これをもって、容器C内への粉粒体の充填が終了する。なお、演算・制御部11は、開状態にある一方のON/OFF弁8に対して必要に応じて全閉の信号を出力してもよい。
【0043】
この実施例1では、図7に示すように容器C内の充填率に応じてチューブ2の変形の度合いを段階的に大きくしてチューブ開度が段階的に減少するように制御すると共に、このチューブ開度の減少のタイミングに合わせてブローディスク6A、6Bに導入する圧縮エアーの供給圧力の低下や供給時間の短縮化を行なったり、ブローディスク6A、6Bの作動頻度の減少や片方の作動の停止を行なったりしたので、作業員がロードセルの計量値を見ながら容量式の充填装置を操作する従来の充填方法に比べて短い時間で充填することができた。また、充填量150kgに対して、+0.2kg~+0.7kgのばらつきの範囲で充填することができた。
【0044】
[実施例2]
制御装置10において図8に示す条件に従ってアクチュエータ4、圧力制御弁7、及びON/OFF弁8の作動を制御した以外は上記の実施例1と同様にして、フレキシブルコンテナにその真上に位置する貯槽から粉粒体を150kgずつ充填する作業を繰り返した。具体的には、この図8に示す条件では、外部操作盤の起動スイッチ9の操作により粉粒体の排出開始信号が制御装置10の演算・制御部11に入力されると、演算・制御部11は、第1行程に該当するチューブ開度100%に対応するロッド4bの突出長さとなるように、アクチュエータ4に所定のモーター回転数の信号を出力する。演算・制御部11は、更に2個のブローディス6A、6Bに圧縮エアーをそれぞれ導入する2本の供給配管にそれぞれ設けた2個の圧力制御弁7の両方に減圧後のエアー圧力0.25MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、それらの下流側の2個のON/OFF弁8の両方に常時ONとなる弁開閉時間の信号を出力する。この第1行程では、閉止状態にあったチューブ2が全開することで貯槽1の底部排出口からチューブ2を介して最大の排出速度で粉粒体が排出され、パレット上に載置されたフレキシブルコンテナ内への粉粒体の充填が開始される。
【0045】
容器C内の充填量が増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した充填率が50%(すなわち、粉粒体の充填量75kg)に到達すると、演算・制御部11は、チューブ開度が100%から後述する第3及び第4行程のチューブ開度5%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0.05=4mm)まで段階的(具体的には40段階)で狭くなっていくことに対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に段階的に出力する。演算・制御部11は、更に2個の圧力制御弁7の両方に減圧後のエアー圧力0.20MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、2個のON/OFF弁8の両方に常時ONとなる弁開閉時間の信号を出力する。この第2行程では、上記した第1行程と比べてチューブ2の扁平状の変形の度合いが段階的に大きくなるので、容器C内への粉粒体の充填速度も第1行程から段階的に減少していく。
【0046】
容器C内の充填量が更に増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した充填率が90%(すなわち、粉粒体の充填量135kg)に到達すると、演算・制御部11は、第3行程に該当するチューブ開度5%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0.05=4mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力し、上記した第2行程の最終的なチューブ開度5%を維持する。演算・制御部11は、更に2個の圧力制御弁7のうち一方にのみ減圧後のエアー圧力0.20MPaGとなる弁開度の信号を出力すると共に、その下流側の一方のON/OFF弁8にのみ常時ONとなる弁開閉時間の信号を出力する。そして、他方のON/OFF弁8には全閉の信号を出力することで、2個のブローディスク6A、6Bのうちの1個は作動を停止させる。この第3行程では、上記した第2行程と比べてチューブ2の扁平状の変形の度合いは変わらないが、ブローディスク6A、6Bの一方を停止させることに起因して、壁面エアーレーションの量と振動の大きさが低下して貯槽内の粉粒体の流動の度合いが第2行程に比べて低下するので、容器C内への粉粒体の充填速度が第2行程と比べて更に減少する。
【0047】
容器C内の充填量が更に増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した充填率が94%(すなわち、粉粒体の充填量141kg)に到達すると、第4行程に該当するチューブ開度0%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0=0mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。これにより、チューブ2は全閉状態となるため、容器C内への粉粒体の供給が一時的に停止する。演算・制御部11は、上記した他方のON/OFF弁8に加えて一方のON/OFF弁8についても全閉の信号を出力することで2個のブローディスク6A、6Bの作動を停止させる。この閉塞状態を10秒間維持することにより、第3行程の終了時点で貯槽1内で流動状態にある粉粒体をほぼ完全に落ち着かせることができるうえ、更に、容器C内で舞い上がった流動状態にあった粉粒体の挙動をほぼ完全に落ち着かせることができる。なお、容器C内の粉粒体が上記のように舞い上がった流動状態から落ち着いた状態に変化したことは、計量部5の指示値から判断することができた。
【0048】
上記の10秒間の閉塞状態が経過すると、演算・制御部11は、第5行程に該当するチューブ開度5%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0.05=4mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。このとき2個のON/OFF弁8については全閉を維持することで2個のブローディスク6A、6Bの作動は停止した状態を維持する。この第5行程では、上記した第3行程と比べてチューブ2の扁平状の変形の度合いは変わらないが、2個のブローディスク6A、6Bの両方とも停止しているので、容器C内で粉粒体が舞い上がるのを抑えながら充填することが可能になる。
【0049】
容器C内の充填量が更に増加して計量部5で計測した充填量の入力値に基づいて算出した容器C内の充填率が100%(すなわち、粉粒体の充填量150kg)に到達すると、演算・制御部11は、チューブ開度0%(すなわち、ピンチバルブ3の押圧方向におけるチューブ2の内側の最大幅が80mm×0=0mm)に対応するロッド4bの突出長さになるように、予め定めたモーター回転数の信号を電動アクチュエータ4に出力する。これにより、チューブ2は完全に閉塞状態となるため、容器C内への粉粒体の供給が停止し、これをもって、容器C内への粉粒体の充填が終了する。
【0050】
この実施例2では、図9に示すように容器C内の充填率に応じてチューブ2の変形の度合いを段階的に大きくしてチューブ開度が段階的に減少するように制御すると共に、このチューブ開度の減少のタイミングに合わせてブローディスク6A、6Bに導入する圧縮エアーの供給圧力の低下や供給時間の短縮化を行なったり、ブローディスク6A、6Bの作動頻度の減少や片方の作動停止を行なったりした。更に、第3工程から最終工程の第4工程に移行するタイミングでチューブ2を一時的に全閉状態にして10秒間この全閉状態を維持したので、実施例1に比べてよりばらつきを抑えることができた。具体的には、充填量150kgに対して、+0.0kg~+0.3kgのばらつきの範囲で充填することができた。また、作業員がロードセルの計量値を見ながら容量式の充填装置を操作する従来の充填方法に比べて短い時間で充填することができた。
【0051】
なお、上記の作業員がロードセルの計量値を見ながら容量式の充填装置を操作する従来の充填方法で上記の実施例1と同様の粉粒体の充填を行なったときは、例えば、容器C内への充填量が50kgである場合には、ばらつきの幅として1.9kg程度の範囲で充填量がばらつくことがあった。上記の結果より、本発明の要件を満たす充填方法を採用することにより、容器内への粉粒体の充填に際して、該粉粒体に異物を混入させたり充填量を大きくばらつかせたりすることなく安定的に充填できることが分かる。
【符号の説明】
【0052】
1 貯槽
2 チューブ
3 ピンチバルブ
4 アクチュエータ
4a シリンダー
4b ロッド
5 計量部
6 ブローディスク
7 圧力制御弁
8 ON/OFF弁
9 起動スイッチ
10 制御装置
11 演算・制御部
12 記憶部
C 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9