(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121221
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ドレッシング工具
(51)【国際特許分類】
B24B 53/02 20120101AFI20230824BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B24B53/02
B24B53/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024425
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】介川 直哉
【テーマコード(参考)】
3C047
【Fターム(参考)】
3C047BB01
3C047EE05
3C047EE09
(57)【要約】
【課題】研磨砥石への銅の付着を抑制することが可能なドレッシング工具を提供する。
【解決手段】研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング工具であって、基台と、該基台の上面に分散された複数の砥粒と該複数の砥粒を該基台の上面に固定する結合材とを含むドレッシング部と、を備え、該複数の砥粒のそれぞれの修正モース硬度が11以上14以下であり、該複数の砥粒のそれぞれの銅の含有量が1.0ppm以下である、ドレッシング工具を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング工具であって、
基台と、
該基台の上面に分散された複数の砥粒と該複数の砥粒を該基台の上面に固定する結合材とを含むドレッシング部と、を備え、
該複数の砥粒のそれぞれの修正モース硬度が11以上14以下であり、
該複数の砥粒のそれぞれの銅の含有量が1.0ppm以下である、ドレッシング工具。
【請求項2】
該複数の砥粒のそれぞれは、炭化ケイ素を主成分とする、請求項1に記載のドレッシング工具。
【請求項3】
研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング工具であって、
基台と、
凹凸形状の上面と該基台の上面に固定された下面とを含む板状のドレッシング部と、を備え、
該ドレッシング部の修正モース硬度が11以上14以下であり、
該ドレッシング部の銅の含有量が1.0ppm以下である、ドレッシング工具。
【請求項4】
該ドレッシング部は、炭化ケイ素を主成分とする、請求項3に記載のドレッシング工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング工具に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)等のデバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成要素である。このようなチップは、例えば、表面側に多数のデバイスが形成されたウェーハを個々のデバイスを含む領域毎に分割することで製造される。
【0003】
さらに、ウェーハは、チップの小型化及び軽量化等を目的として、その分割前に薄化されることが多い。ウェーハを薄化する方法としては、ウェーハの裏面側の研削が挙げられる。
【0004】
ただし、ウェーハの裏面側を研削すると、ウェーハの裏面に研削痕が形成される。そして、裏面に研削痕が形成されたウェーハを分割して製造されたチップは抗折強度が低くなる。
【0005】
そのため、チップの製造工程においては、ウェーハの裏面側の研削後かつウェーハの分割前に、ウェーハの裏面の研削痕を除去するようにウェーハが研磨されることがある。ウェーハを研磨する方法としては、湿式研磨と乾式研磨とが挙げられる。
【0006】
湿式研磨においては、例えば、砥粒を含む研磨液をウェーハの裏面に供給しながら、回転する研磨布を回転するウェーハの裏面に接触させることによってウェーハの裏面側が研磨される。
【0007】
乾式研磨においては、例えば、表面(研磨面)において露出する砥粒を含む研磨砥石を回転させながら、回転するウェーハの裏面に研磨砥石の研磨面を接触させることによってウェーハの裏面側が研磨される。
【0008】
乾式研磨は、研磨液をウェーハの裏面に供給する必要がないため湿式研磨と比較して簡便であることが多い。ただし、乾式研磨によって生じた研磨屑が研磨砥石の研磨面に付着すると、研磨砥石の研磨面に砥粒が十分に露出しない(目詰まりする)ことがある。
【0009】
また、乾式研磨を繰り返し行うことで研磨面の平坦性が損なわれることもある。このような場合、研磨砥石の研磨面側を削ることによって研磨面に砥粒を十分に露出させ、かつ、研磨面を平坦にする処理(ドレッシング)が行われることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
研磨砥石のドレッシングは、一般的に、工業用ダイヤモンドからなる砥粒を含むドレッシング工具に回転する研磨砥石を接触させることによって行われる。ただし、工業用ダイヤモンドには、その製造工程において触媒として機能する銅(Cu)が100ppm~200ppm含まれる。
【0012】
そのため、工業用ダイヤモンドからなる砥粒を含むドレッシング工具を利用して研磨砥石のドレッシングが行われると、銅が研磨砥石に付着することがある。そして、銅が付着した研磨砥石を利用してウェーハが研磨されると、ウェーハの表面側に形成されたデバイスに銅が混入し、ウェーハを分割することによって製造されるチップの品質が悪化するおそれがある。
【0013】
この点に鑑み、本発明の目的は、研磨砥石への銅の付着を抑制することが可能なドレッシング工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面によれば、研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング工具であって、基台と、該基台の上面に分散された複数の砥粒と該複数の砥粒を該基台の上面に固定する結合材とを含むドレッシング部と、を備え、該複数の砥粒のそれぞれの修正モース硬度が11以上14以下であり、該複数の砥粒のそれぞれの銅の含有量が1.0ppm以下である、ドレッシング工具が提供される。
【0015】
好ましくは、該複数の砥粒のそれぞれは、炭化ケイ素を主成分とする。
【0016】
本発明の別の側面によれば、研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング工具であって、基台と、凹凸形状の上面と該基台の上面に固定された下面とを含む板状のドレッシング部と、を備え、該ドレッシング部の修正モース硬度が11以上14以下であり、該ドレッシング部の銅の含有量が1.0ppm以下である、ドレッシング工具が提供される。
【0017】
好ましくは、該ドレッシング部は、炭化ケイ素を主成分とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング部に含まれる砥粒又はドレッシング部自体の銅の含有量が1.0ppm以下のドレッシング工具が提供される。そして、このドレッシング工具を利用して研磨砥石のドレッシングを行う場合には、研磨砥石への銅の付着を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、ドレッシング工具の一例を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、研磨装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、研磨装置の構成要素の一部を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、ドレッシング工具保持ユニットを拡大して示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、ドレッシング工具の別の例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、研磨砥石のドレッシングに利用されるドレッシング工具の一例を模式的に示す側面図である。
図1に示されるドレッシング工具2は、円盤状の基台4を有する。そして、基台4の上面には、ドレッシング部6が設けられている。
【0021】
ドレッシング部6は、基台4の上面に分散された複数の砥粒8と、複数の砥粒8を基台4の上面に固定する結合材10とを含む。この結合材10は、例えば、ニッケルめっきである。また、複数の砥粒8の粒径は、0.5μm以上20μm以下である。
【0022】
さらに、複数の砥粒8のそれぞれは、修正モース硬度が11以上14以下の材料からなる。具体的には、複数の砥粒8のそれぞれは、炭化ホウ素、炭化ケイ素、アルミナ又はジルコニアのいずれかを主成分とする材料(例えば、炭化ケイ素を主成分とする緑色炭化ケイ素(GC))等からなる。
【0023】
複数の砥粒8のそれぞれがGCからなる場合には、複数の砥粒8は、例えば、アチソン法によって生成された炭化ケイ素の結晶を破砕して分級することによって製造される。なお、アチソン法は、電気抵抗炉において炭素材料とケイ素材料とを高温に加熱することによって炭化ケイ素の結晶を生成する方法である。
【0024】
また、複数の砥粒8のそれぞれがアルミナからなる場合には、複数の砥粒8は、例えば、バイヤー法によって生成されたアルミナの結晶を破砕して分級することによって製造される。なお、バイヤー法は、ボーキサイトを水酸化ナトリウム溶液の熱溶液に晒した後、この溶液を冷却することによって沈殿する水酸化アルミニウムを加熱することによってアルミナの結晶を生成する方法である。
【0025】
また、複数の砥粒8のそれぞれがジルコニアからなる場合には、複数の砥粒8は、例えば、ジルコン鉱石を乾式又は湿式で精製することによって得られるジルコニアの結晶を破砕して分級することによって製造される。
【0026】
上述のように複数の砥粒8が製造される場合には、その製造工程において銅が触媒として利用されることがない。そのため、この場合には、複数の砥粒8のそれぞれにおける銅の含有量が1.0ppm以下になる。
【0027】
さらに、この場合には、複数の砥粒8のそれぞれにおける銅以外の金属元素の含有量も低くなる。例えば、複数の砥粒8のそれぞれにおける鉄の含有量が5.0ppm以下となり、また、ニッケルの含有量が1.0ppm以下となる。
【0028】
図2は、ドレッシング工具2が設けられた研磨装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、
図1に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに直交する方向であり、また、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(鉛直方向)である。
【0029】
図2に示される研磨装置12は、各構造要素が搭載される直方体状の基台14を備える。この基台14の後端には、支持壁16が設けられている。また、基台14の上面には、X軸方向に沿って延在する矩形状の開口14aが形成されている。
図3は、開口14aの内側に配置される研磨装置12の構成要素を模式的に示す斜視図である。
【0030】
この開口14aの内側には、X軸移動機構18が設けられている。このX軸移動機構18は、それぞれがX軸方向に沿って延在する一対のガイドレール20を有する。そして、一対のガイドレール20の上側には、X軸方向に沿ってスライド可能な態様で直方体状のX軸移動プレート22が取り付けられている。
【0031】
また、一対のガイドレール20の間には、X軸方向に沿って延在するねじ軸24が配置されている。このねじ軸24の前端部には、ねじ軸24を回転させるためのステッピングモータ26が連結されている。また、ねじ軸24のねじ山が形成された外周面上には、ねじ軸24の回転に応じて循環するボールを収容するナット部(不図示)が設けられている。
【0032】
そして、ねじ軸24とボールを収容するナット部とによってボールねじが構成されている。また、このナット部は、X軸移動プレート22に固定されている。そのため、ステッピングモータ26でねじ軸24を回転させれば、ナット部とともにX軸移動プレート22がX軸方向に沿って移動する。
【0033】
X軸移動プレート22の上には、支持テーブル28が設けられている。この支持テーブル28の上には、円板状の被加工物を保持するチャックテーブル30と、上述したドレッシング工具2を保持するドレッシング工具保持ユニット32とが配置されている。
【0034】
チャックテーブル30は、モータ等の回転駆動源(不図示)と連結されている。そして、この回転駆動源を動作させると、チャックテーブル30がZ軸方向に沿った直線を回転軸として回転する。
【0035】
また、チャックテーブル30の上面は、被加工物を保持する保持面30aとして機能する。この保持面30aは、チャックテーブル30の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)と連通している。
【0036】
そして、この吸引源を動作させると、保持面30a近傍の空間に吸引力が作用する。そのため、被加工物がチャックテーブル30の保持面30aに置かれた状態で吸引源を動作させることによって、この保持面30aにおいて被加工物を吸引して保持できる。
【0037】
また、上述したX軸移動機構18を動作させると、X軸移動プレート22及び支持テーブル28とともにチャックテーブル30及びドレッシング工具保持ユニット32がX軸方向に沿って移動する。なお、ドレッシング工具保持ユニット32の詳細については後述する。
【0038】
図2に示されるように、支持テーブル28の前後には、蛇腹状の防塵防滴カバー34が取り付けられており、X軸移動機構18は、この防塵防滴カバー34で覆われている。また、開口14aの前方には、研磨条件等を入力するための操作パネル35が設置されている。
【0039】
さらに、支持壁16の前面(表面)には、Z軸移動機構36が設けられている。このZ軸移動機構36は、それぞれがZ軸方向に沿って延在する一対のガイドレール38を有する。そして、一対のガイドレール38の前側には、Z軸方向に沿ってスライド可能な態様で直方体状のZ軸移動プレート40が取り付けられている。
【0040】
また、一対のガイドレール38の間には、Z軸方向に沿って延在するねじ軸42が配置されている。このねじ軸42の上端部には、ねじ軸42を回転させるためのステッピングモータ44が連結されている。また、ねじ軸42のねじ山が形成された外周面上には、ねじ軸42の回転に応じて循環するボールを収容するナット部(不図示)が設けられている。
【0041】
そして、ねじ軸42とボールを収容するナット部とによってボールねじが構成されている。また、このナット部は、Z軸移動プレート40の後面(裏面)に固定されている。そのため、ステッピングモータ44でねじ軸42を回転させれば、ナット部とともにZ軸移動プレート40がZ軸方向に沿って移動する。
【0042】
Z軸移動プレート40の前面(表面)には、前方に突出した支持構造46が設けられている。そして、支持構造46は、チャックテーブル30に保持された被加工物を研磨する研磨ユニット48を支持する。この研磨ユニット48は、支持構造46に固定されたスピンドルハウジング50を含む。
【0043】
スピンドルハウジング50には、Z軸方向に沿って延在するスピンドル52が回転可能に収容されている。このスピンドル52の下端部は、スピンドルハウジング50から突出し、円盤状のマウント54に固定されている。そして、マウント54の下面には、マウント54に対応する円盤状の研磨砥石56が固定されている。
【0044】
この研磨砥石56は、チャックテーブル30に保持される被加工物よりも長い径を有し、また、その内部には砥粒が分散されている。また、研磨砥石56は、例えば、ポリエステル製の不織布に平均粒径が20μm以下の砥粒が分散されたウレタン溶液を含侵させた後、乾燥させることで製造される。
【0045】
研磨砥石56の内部に分散される砥粒は、炭化ケイ素、cBN、ダイヤモンド又は金属酸化物微粒子等のいずれかを主成分とする。なお、この金属酸化物微粒子としては、シリカ、セリア、ジルコニア又はアルミナ等からなる微粒子が挙げられる。
【0046】
また、スピンドル52の上端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。そして、この回転駆動源を動作させると、スピンドル52及びマウント54とともに研磨砥石56がZ軸方向に沿った直線を回転軸として回転する。
【0047】
研磨装置12においては、被加工物を保持するチャックテーブル30を回転させながら、回転する研磨砥石56の下面(研磨面)を被加工物の上面に接触させることによって被加工物を研磨することができる。
【0048】
また、研磨装置12においては、ドレッシング工具保持ユニット32によって保持されたドレッシング工具2のドレッシング部6に回転する研磨砥石56の研磨面を接触させることによって、研磨砥石56をドレッシングすることができる。
【0049】
図4は、ドレッシング工具保持ユニット32を拡大して示す分解斜視図である。ドレッシング工具保持ユニット32は、4隅のそれぞれに貫通孔58aが形成されている直方体状の昇降板58を有する。そして、各貫通孔58aには、ガイドロッド60が通されている。また、昇降板58の下方には、昇降機構62が設けられている。
【0050】
この昇降機構62は、Z軸方向に沿って延在するねじ軸64を有する。そして、ねじ軸64の下端部には、ねじ軸64を回転させるためのステッピングモータ66が連結されている。また、ねじ軸64のねじ山が形成された外周面上には、ねじ軸64の回転に応じて循環するボールを収容するナット部(不図示)が設けられている。
【0051】
そして、ねじ軸64とボールを収容するナット部とによってボールねじが構成されている。また、このナット部は、昇降板58の中央部に固定されている。そのため、ステッピングモータ66でねじ軸64を回転させれば、ナット部とともに昇降板58が昇降する。
【0052】
また、昇降板58の上面には、2個の昇降機構68が設けられている。2個の昇降機構68は、ベース70の傾きを調整する。具体的には、各昇降機構68はボールねじ及びステッピングモータを含み、このボールねじのナット部(不図示)は、ベース70の下側に固定されている。
【0053】
そのため、各昇降機構68のステッピングモータが動作すると、ベース70の傾きが変化する。例えば、各昇降機構68においては、ベース70の上面が水平になるようにステッピングモータが動作する。
【0054】
ベース70の上面には、ボルト72を用いてステンレス等の金属からなる支持部材74が固定されている。具体的には、この支持部材74には、3個の貫通孔74aが形成されている。また、ベース70の上面には、貫通孔74aと重なるように3個のねじ穴70aが形成されている。
【0055】
そして、貫通孔74aを通じてベース70のねじ穴70aにボルト72を締め込むことで、支持部材74がベース70に固定されている。なお、貫通孔74aの上端部には、ベース70のねじ穴70aにボルト72を締め込んだ時にボルト72の頭部が上方に突き出ないように座ぐりが形成されている。
【0056】
また、支持部材74の上面には、接着剤等を介して上記のドレッシング工具2の基台4側が固定されている。なお、研磨装置12においては、ベース70及びそれよりも上の構成要素のみが支持テーブル28から露出するようにドレッシング工具保持ユニット32が設けられている(
図2及び
図3参照)。
【0057】
研磨装置12において研磨砥石56のドレッシングを行う際には、まず、平面視において、研磨砥石56とドレッシング工具2とが重なるように、X軸移動機構18を動作させてドレッシング工具保持ユニット32の位置を調整する。
【0058】
次いで、スピンドル52の上端部に連結されている回転駆動源を動作させて研磨砥石56を回転させる。次いで、研磨砥石56を回転させたまま、Z軸移動機構36を動作させて研磨砥石56を下降させる。これにより、研磨砥石56の研磨面がドレッシング工具2のドレッシング部6に接触して削られる。
【0059】
さらに、研磨砥石56の研磨面の全域が削られるように、研磨砥石56を回転させたまま、X軸移動機構18を動作させてドレッシング工具保持ユニット32を移動させる。以上によって、研磨砥石56のドレッシングが完了する。
【0060】
このドレッシングにおいては、ドレッシング部6に含まれる砥粒の銅の含有量が1.0ppm以下のドレッシング工具2が利用される。そのため、このドレッシングにおいては、研磨砥石56への銅の付着を抑制することができる。
【0061】
さらに、ドレッシング部6に含まれる砥粒においては、銅以外の金属元素(例えば、鉄及びニッケル等)の含有量も低い。そのため、このドレッシングにおいては、研磨砥石56への銅以外の金属元素の付着も抑制することができる。
【0062】
なお、ドレッシング工具2は本発明の一態様であって、本発明はドレッシング工具2に限定されない。例えば、本発明のドレッシング工具に含まれる基台は、円板状以外の形状であってもよい。
【0063】
また、本発明のドレッシング工具においては、結合材が含まれていなくてもよい。
図5は、このようなドレッシング工具の一例を模式的に示す側面図である。
図5に示されるドレッシング工具76は、円盤状の基台78を有する。
【0064】
そして、基台78の上面には、ドレッシング部80が固定されている。具体的には、ドレッシング部80の下面は、接着剤等を介して基台78の上面に固定されている。また、ドレッシング部80の上面は、凹凸形状を有する。
【0065】
このドレッシング部80は、修正モース硬度が11以上14以下の材料からなる。具体的には、ドレッシング部80は、炭化ホウ素、炭化ケイ素、アルミナ又はジルコニアのいずれかを主成分とする材料(例えば、炭化ケイ素を主成分とする緑色炭化ケイ素(GC))等からなる。
【0066】
そして、このような材料からドレッシング部80が製造される場合には、ドレッシング部80における銅の含有量が1.0ppm以下になる。そのため、このドレッシング工具76を用いて研磨砥石56のドレッシングを行う場合には、研磨砥石56への銅の付着を抑制することができる。
【0067】
さらに、ドレッシング部80においては、銅以外の金属元素(例えば、鉄及びニッケル等)の含有量も低い。そのため、このドレッシングにおいては、研磨砥石56への銅以外の金属元素の付着も抑制することができる。
【0068】
その他、上述した実施形態にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0069】
2 :ドレッシング工具
4 :基台
6 :ドレッシング部
8 :砥粒
10:結合材
12:研磨装置
14:基台(14a:開口)
16:支持壁
18:X軸移動機構
20:ガイドレール
22:X軸移動プレート
24:ねじ軸
26:ステッピングモータ
28:支持テーブル
30:チャックテーブル(30a:保持面)
32:ドレッシング工具保持ユニット
34:防塵防滴カバー
35:操作パネル
36:Z軸移動機構
38:ガイドレール
40:Z軸移動プレート
42:ねじ軸
44:ステッピングモータ
46:支持構造
48:研磨ユニット
50:スピンドルハウジング
52:スピンドル
54:マウント
56:研磨砥石
58:昇降板(58a:貫通孔)
60:ガイドロッド
62:昇降機構
64:ねじ軸
66:ステッピングモータ
68:昇降機構
70:ベース(70a:ねじ穴)
72:ボルト
74:支持部材(74a:貫通孔)
76:ドレッシング工具
78:基台
80:ドレッシング部