(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012127
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】画像読取装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230118BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20230118BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230118BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20230118BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/00 519
H04N1/00 J
H04N1/00 L
H04N1/12 Z
H04N1/04 105
G03G15/00 107
B65H11/00 J
B65H3/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115598
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】久保 宏
(72)【発明者】
【氏名】瓶子 史行
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 公治
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】北岡 真也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義人
(72)【発明者】
【氏名】兼谷 厚史
【テーマコード(参考)】
2H076
3F063
3F343
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H076AA02
2H076AA06
2H076AA11
2H076AA17
2H076AA58
2H076BA07
2H076BA08
2H076BA18
2H076BA52
2H076BA95
3F063AA01
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3F063CA02
3F343FA03
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3F343KB17
3F343LC19
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB10
5C062AB22
5C062AB30
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5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AD06
5C062AE15
5C072AA01
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5C072LA07
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5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072WA02
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】屈曲しにくい原稿を良好に搬送するとともに、その原稿の画像を良好に読み取る。
【解決手段】少なくともその一部で原稿Dを湾曲させた状態で搬送可能な湾曲搬送経路K1と、原稿CDを略水平な状態で搬送可能な第1水平搬送経路K2と、が設けられている。さらに、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2とが搬送方向上流側又は搬送方向下流側に分岐して接続されて、原稿D、CDを略水平な状態で搬送可能な第2水平搬送経路K3が設けられている。また、第2水平搬送経路K3を通過する原稿D、CDの下面に形成された画像を読み取り可能な第1CIS80(画像読取部)が設けられている。そして、原稿D、CDが給送されてから排出されるまでの搬送経路を、湾曲搬送経路K1と第2水平搬送経路K3とからなるものと、第1水平搬送経路K2と第2水平搬送経路K3とからなるものと、のいずれかに切替可能に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともその一部で原稿を湾曲させた状態で搬送可能な湾曲搬送経路と、
原稿を略水平な状態で搬送可能な第1水平搬送経路と、
前記湾曲搬送経路と前記第1水平搬送経路とが搬送方向上流側又は搬送方向下流側に分岐して接続されて、原稿を略水平な状態で搬送可能な第2水平搬送経路と、
前記第2水平搬送経路を通過する原稿の下面に形成された画像を読み取り可能な画像読取部と、
を備え、
原稿が給送されてから排出されるまでの搬送経路を、前記湾曲搬送経路と前記第2水平搬送経路とからなるものと、前記第1水平搬送経路と前記第2水平搬送経路とからなるものと、のいずれかに切替可能に構成されたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
光透過材料で形成されて、原稿を略水平な状態で載置可能な原稿載置板と、
前記湾曲搬送経路と前記第1水平搬送経路と前記第2水平搬送経路とが設置されて、前記原稿載置板の上方を開閉可能な原稿自動搬送部と、
光透過材料で形成されて、前記第2水平搬送経路を通過する原稿の下面に対向可能な対向板と、
を備え、
前記画像読取部は、
前記原稿自動搬送部において搬送される原稿の画像を読み取るときには、前記対向板の下面に固定された状態で接触する第1位置に移動して、
前記原稿載置板の上面に載置された原稿の画像を読み取るときには、前記原稿載置板の下面に接触する第2位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取部は、前記原稿載置板の上面に載置された原稿の画像を読み取るときに、前記原稿載置板の下面に接触した状態で略水平方向に移動しながら当該画像を読み取ることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記対向板は、前記原稿載置板の上方に配置されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取部は、前記第1位置と前記第2位置との間を移動するときに、前記対向板にも前記原稿載置板にも接触しないことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿自動搬送部は、その下面に圧板が設置されて、
前記原稿載置板の上面に載置された原稿の画像を読み取るときには、当該原稿が前記原稿載置板と前記圧板との間に挟まれることを特徴とする請求項2~請求項5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記圧板は、前記原稿自動搬送部に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記画像読取部は、CISであることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれかに記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタや印刷機等の画像形成装置において、原稿の画像を読み取る画像読取装置として、通常の原稿の画像を読み取るときの原稿の搬送経路と、キャッシュカードなどの屈曲しにくい硬質な原稿の画像を読み取るときの原稿の搬送経路と、を切替可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1等の画像読取装置は、通常の原稿の画像を読み取るときには湾曲した搬送経路を含む搬送経路が選択されて、屈曲しにくい硬質な原稿の画像を読み取るときには斜め方向に略直線状に延びる搬送経路が選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像読取装置は、屈曲しにくい硬質な原稿の画像を読み取るときに、湾曲した搬送経路を通過しないように、斜め方向に略直線状に延びる搬送経路が選択されるため、原稿が破損する不具合や、原稿の搬送不良が生じる不具合を軽減する効果が期待できる。
しかし、原稿を斜め方向に略直線状に延びる搬送経路を通過することによって原稿の搬送性が安定しなかったり、その搬送経路に沿うように斜めに配置される画像読取部によって原稿の画像が良好に読み取られなかったりする可能性があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、屈曲しにくい原稿を良好に搬送するとともに、その原稿の画像を良好に読み取ることができる、画像読取装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像読取装置は、少なくともその一部で原稿を湾曲させた状態で搬送可能な湾曲搬送経路と、原稿を略水平な状態で搬送可能な第1水平搬送経路と、前記湾曲搬送経路と前記第1水平搬送経路とが搬送方向上流側又は搬送方向下流側に分岐して接続されて、原稿を略水平な状態で搬送可能な第2水平搬送経路と、前記第2水平搬送経路を通過する原稿の下面に形成された画像を読み取り可能な画像読取部と、を備え、原稿が給送されてから排出されるまでの搬送経路を、前記湾曲搬送経路と前記第2水平搬送経路とからなるものと、前記第1水平搬送経路と前記第2水平搬送経路とからなるものと、のいずれかに切替可能に構成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、屈曲しにくい原稿を良好に搬送するとともに、その原稿の画像を良好に読み取ることができる、画像読取装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】画像読取装置において、(A)通常の原稿が搬送される状態を示す図と、(B)屈曲しにくい原稿が搬送される状態を示す図と、である。
【
図4】原稿載置板に原稿が載置された状態を示す図である。
【
図5】(A)画像読取部の移動機構を示す図と、(B)画像読取部とホルダとを
図5(A)のA視方向にみた図と、である。
【
図6】原稿自動搬送部を側方からみた図であって、(A)圧板が設置された状態の原稿自動搬送部が開放された状態を示す図と、(B)圧板が取り外された状態の原稿自動搬送部が開放された状態を示す図と、である。
【
図7】変形例としての、画像読取装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1、
図2にて、画像形成装置における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、10は原稿Dの画像情報を光学的に読み取る画像読取装置、を示す。
図2を参照して、画像読取装置10は、画像読取部としての第1CIS80が設置されたスキャナ部2や、原稿自動搬送部Mなどで構成されている。
また、3は画像読取装置10で読み取った画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部(書込部)、4は感光体ドラム5の表面にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートP(用紙)に転写する転写部(画像形成部)、を示す。
また、12、13は用紙等のシートPが収納された給送部、17は転写部7に向けてシートPを搬送するレジストローラ(タイミングローラ)、20はシートP上に担持されたトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、を示す。また、31は画像形成装置本体1から排出されたシートPが積載される排出トレイ、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置本体1における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、画像読取装置10において、第1原稿載置部60から搬送(給送)されて、第1CIS80(密着イメージセンサである。)を通過する。このとき、第1CIS80では、その位置を通過する原稿Dの画像(画像情報)が光学的に読み取られる。
そして、第1CIS80で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5の表面に向けて発せられる。
【0012】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5の表面に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ17により搬送されたシートP上に転写される。
【0013】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置1における複数の給送部12、13のうち、1つの給送部が自動又は手動で選択される(例えば、装置本体1内の最上段の給送部12が選択されたものとする。)。そして、給送部12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給送機構52(フィードローラ、ピックアップローラ、バックアップローラ、等で構成されている。)によって給送されて、搬送経路に向けて搬送される。その後、シートPは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路を通過して、レジストローラ17の位置に達する。
【0014】
レジストローラ17の位置に達したシートPは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像が定着される(定着工程である)。トナー像が定着された定着工程後のシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出されて、出力画像として排出トレイ31上に積載されることになる。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0015】
次に、
図2~
図4等を用いて、画像読取装置10について詳述する。
図2に示すように、画像読取装置10は、第1原稿載置部60(第1原稿台)、第2原稿載置部61(第2原稿台)、原稿排出部62(排紙トレイ)、スキャナ部2、ピックアップローラ63、分離ローラ64、給送ローラ65、複数の搬送ローラ対66~72、画像読取部としての第1CIS80、第2CIS90、対向板としての第1コンタクトガラス81、原稿載置板としての第2コンタクトガラス82、圧板75、移動機構100(
図5参照)、等で構成されている。
【0016】
ここで、第1原稿載置部60は、上方に開放された空間が形成されていて、ユーザーによって上方から原稿D(屈曲可能な通常の原稿である。)を載置できるように構成されている(複数枚の原稿Dの束を積載できるように構成されている)。
また、第1原稿載置部60は、積載された複数枚の原稿Dのうち、最上方の原稿Dの高さ位置が常に一定になるように、その一部が昇降可能に構成されている。
なお、本実施の形態における画像読取装置10には、屈曲しにくい原稿CD(硬質な原稿であって、例えば、クレジットカード、プラスチック製カード、極厚カードなどの硬質原稿である。)を載置するための第2原稿載置部61が、装置の側方に突出するように設けられているが、これについては後で詳しく説明する。
【0017】
原稿排出部62は、第1原稿載置部60の下方に設置されていて、第1CIS80や第2CIS90によって画像が読み取られた後の原稿D(又は、硬質原稿CD)が排出されて載置されるように構成されている(複数枚の原稿の束が排出・積載されるように構成されている)。
【0018】
また、第1原稿載置部60から原稿排出部62に至る搬送経路K1、K3には、上流側から順に、ピックアップローラ63、FRR方式給送機構(給送ローラ65、分離ローラ64)、複数の搬送ローラ対66~69、72が設置されている。これらの部材63~69、72は、第1原稿載置部60に載置された原稿Dを第1CIS80や第2CIS90に向けて搬送して、その後にその原稿Dを原稿排出部62に向けて搬送する搬送手段として機能するものである。
【0019】
図3をも参照して、画像読取部としての第1CISは、密着イメージセンサであって、搬送手段によって搬送されて第1コンタクトガラス81(対向板)の位置を通過する原稿Dの画像情報を、第1コンタクトガラス81を介して、読み取るものである。
また、対向板としての第1コンタクトガラス81は、ガラスなどの光透過材料で形成されたものであって、搬送経路に設置されている。
【0020】
以下、このように構成された画像読取装置10において、第1原稿載置部60にセットされた原稿Dの片面に形成された画像のみを読み取る動作(片面読み取り動作)について説明する。
まず、第1原稿載置部60において、原稿D(上面に画像が形成された状態のものである。)が、基準壁に先端部(搬送方向の先端部である。)が突き当たった状態で積載される。そして、不図示の操作パネルの操作によって原稿Dの画像を読み取る指示(コピー指示)がされると、ピックアップローラ63によって、第1原稿載置部60上の上方の原稿Dから順次に、FRR方式給送機構(給送ローラ65、分離ローラ64)に向けて搬送される。このとき、複数枚の原稿Dが搬送される可能性があるが、FRR方式の分離によって、最上方の原稿Dのみが分離されて下流側の搬送経路へと送り込まれることになる。
その後、搬送経路に搬送された原稿Dは、回転停止した状態のプルアウトローラ66のニップ部に突き当たって、スキュー補正(斜行補正)がおこなわれる。その後、スキュー補正された原稿Dは、回転開始したプルアウトローラ66によって下流側に搬送されて、第1、第2搬送ローラ対67、68によって第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の位置に搬送される。そして、第1CIS80によって原稿Dの画像(画像情報)が光学的に読み取られることになる。
その後、画像が読み取られた原稿Dは、搬送ローラ対69、排出ローラ対72によって、原稿排出部62に排紙される。このように、第1原稿載置部60にセットされた原稿Dは、その一部が湾曲した搬送経路を通過して、
図3(A)において矢印方向に搬送されることになる。
このような一連の原稿搬送動作が、第1原稿載置部60に積載されたすべての原稿Dに対して繰り返しおこなわれることになる。
【0021】
なお、原稿Dのオモテ面に形成された画像に加えてウラ面に形成された画像を読み取る場合には、第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の位置で、第1CIS80によってオモテ面の画像が読み取られた原稿Dは、その後、第2CIS90(密着イメージセンサである。)の位置に搬送される。そして、第2CIS90によって原稿Dのウラ面の画像が光学的に読み取られることになる。
その後、ウラ面の画像が読み取られた原稿Dは、排出ローラ対72によって、原稿排出部62に排紙される。
なお、第1、第2CIS80、90は、幅方向(
図1~
図4の紙面垂直方向である。)に延在していて、少なくとも最大サイズの原稿Dの幅方向全域を含むように(最大サイズの原稿Dの画像を幅方向にわたって読み取れるように)構成されている。
【0022】
ここで、本実施の形態における画像読取装置10は、通常の屈曲可能な原稿Dとは別に、屈曲(湾曲)しにくい原稿(硬質原稿CD)を搬送して、その硬質原稿CDの画像(画像情報)を読み取り可能に構成されている。
詳しくは、硬質原稿CD用の第2原稿載置部61は、画像読取装置10の側方(
図1~
図4等の左側である。)に突出して、原稿自動搬送部M(
図2参照)の下方に位置せずに、略水平に延びるように設置されている。そして、
図3(B)に示すように、第2原稿載置部61から排出口(排出ローラ対72の近傍に形成された原稿を排出するための開口である。)に至る搬送経路K2、K3は、硬質原稿CDを屈曲(湾曲)させないように、略直線状の搬送経路となっている。
【0023】
そして、第2原稿載置部61に載置された硬質原稿CDは、
図3(B)において矢印で示すように、湾曲することなく、略直線状に搬送されることになる。
具体的に、硬質原稿CDは、オモテ面(画像読取面)を下面にした状態で、第2原稿載置部61において、その先端が給送ローラ対70のニップに突き当たるように1枚ずつセットされる。そして、不図示の操作パネルの操作によって原稿Dの画像を読み取る指示(コピー指示)がされると、硬質原稿CDは、給送ローラ対70によって給送されて、その後に搬送ローラ対71によって第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の位置に搬送される。そして、第1CIS80によって硬質原稿CDの画像(画像情報)が光学的に読み取られることになる。その後、画像が読み取られた硬質原稿CDは、搬送ローラ対69、排出ローラ対72によって、原稿排出部62に排紙される。そのとき、硬質原稿CDのウラ面に形成された画像を読み取る場合には、第2CIS90の位置を通過するときに、第2CIS90によって硬質原稿CDのウラ面の画像が光学的に読み取られることになる。
なお、本実施の形態では、第2原稿載置部61に硬質原稿CDを1枚ずつセットするように構成したが、第2原稿載置部61に複数枚の硬質原稿CDを束としてセットするように構成することもできる。その場合、第1原稿載置部60と同様に、その一部を昇降可能に構成するとともに、FRR方式の給送機構を設けることになる。
【0024】
ここで、本実施の形態における画像読取装置10は、原稿D(又は、硬質原稿CD)を自動で搬送しながら画像の読み取りをおこなうのではなくて(原稿自動搬送部Mによる原稿搬送・画像読取をおこなうのではなくて)、
図4に示すように、原稿Dを搬送せずに固定した状態でも画像の読み取りをおこなえるように構成されている。
詳しくは、スキャナ部2の上面(原稿自動搬送部Mの底面に対向する面である。)には、原稿Dを略水平な状態で載置可能な原稿載置板としての第2コンタクトガラス82が設置されている。原稿載置板としての第2コンタクトガラス82は、ガラスなどの光透過材料で形成されたものであって、その上面の高さがスキャナ部2の上面の高さに略一致するように構成されている。
また、
図4、
図6(A)等を参照して、原稿自動搬送部Mは、第2コンタクトガラス82(原稿載置板)の上方を開閉可能に構成されていて、その下面には圧板75(公知のものと同様に、適度な弾性を有するものである。)が設置されている。
【0025】
そして、
図4に示すように、第2コンタクトガラス82(原稿載置板)の上面に載置された原稿Dの画像を読み取るときには(原稿Dを固定して画像読取をおこなうときには)、その原稿Dが第2コンタクトガラス82と圧板75との間に挟まれることになる。
具体的に、
図6(A)に示すように、閉鎖状態の原稿自動搬送部Mを開放状態にして、露呈した第2コンタクトガラス82の上面に原稿D(オモテ面(画像読取面)を下面にした状態である。)をセットする。その後、第2コンタクトガラス82上にセットされた原稿Dを、圧板75との間で挟むように、開放状態の原稿自動搬送部Mを閉鎖状態にする(
図4の状態である)。
そして、不図示の操作パネルの操作によって原稿Dの画像を読み取る指示(コピー指示)がされると、第1CIS80が第2コンタクトガラス82の下面に接しながら
図4の破線矢印方向(幅方向に直交する方向であって、スキャン方向である。)に移動して、原稿Dの全面の画像が光学的に読み取られることになる。
なお、
図4に示すように、本実施の形態において、原稿Dを搬送せずに固定した状態で画像の読み取りをおこなうときに用いる第1CIS80(画像読取部)は、原稿自動搬送部Mによって原稿Dを搬送しながら画像の読み取りをおこなうときに用いる第1CIS80と移動して共用したものであるが、これについては後で
図5等を用いて詳述する。
【0026】
以下、
図2~
図6等を用いて、本実施の形態における画像読取装置10(画像形成装置1)の、特徴的な構成・動作について詳述する。
図2、
図3を参照して、本実施の形態における画像読取装置10には、湾曲搬送経路K1と、第1水平搬送経路K2と、第2水平搬送経路K3と、が設けられている。
【0027】
湾曲搬送経路K1は、少なくともその一部で原稿Dを湾曲させた状態で搬送可能な搬送経路である。
具体的に、本実施の形態における湾曲搬送経路K1は、給送口(FRR方式給送機構64、65)の位置から第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の上流側の位置に至るまでの搬送経路であって、その一部(第2搬送ローラ対67と第3搬送ローラ対68との間の搬送経路である。)が湾曲していて、それ以外の部分がほとんど湾曲せずにほぼ真直ぐに(直線状)に延びるように形成されている。そして、この湾曲搬送経路K1は、通常の原稿D(屈曲可能な原稿)を搬送するときにのみ用いられる。
【0028】
第1水平搬送経路K2は、原稿Dを略水平な状態で搬送可能な搬送経路である。
具体的に、本実施の形態における第1水平搬送経路K2は、給送口(給送ローラ対70)の位置から第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の上流側の位置に至るまでの搬送経路であって、その全部が真直ぐに略水平に延びるように形成されている。そして、この第1水平搬送経路K2は、主に硬質原稿CD(屈曲しにくい原稿)を搬送するときに用いられる。
【0029】
第2水平搬送経路K3は、原稿D(硬質原稿CDを含む。)を略水平な状態で搬送可能な搬送経路であって、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2とが搬送方向上流側に分岐して接続されている。
具体的に、本実施の形態における第2水平搬送経路K3は、第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の上流側の位置から排出口(排出ローラ対72)の位置に至るまでの搬送経路であって、その全部が真直ぐに略水平に延びるように形成されている。そして、第2水平搬送経路K3の最上流部は、湾曲搬送経路K1の最下流部と第1水平搬送経路K2の最下流部とが合流する部分になっている。そのため、この第2水平搬送経路K3は、通常の原稿Dを搬送するときにも、硬質原稿CDを搬送するときにも、共用されることになる。
【0030】
また、この第2水平搬送経路K3には、第2水平搬送経路K3を通過する原稿D(硬質原稿CDを含む。)の下面に形成された画像を読み取り可能な画像読取部としての第1CIS80が設けられている。
さらに、第2水平搬送経路K3には、第2水平搬送経路K3を通過する原稿D(硬質原稿CDを含む。)の上面に形成された画像を読み取り可能な第2CIS90も設けられている。
また、この第2水平搬送経路K3には、第2水平搬送経路K3を通過する原稿D(硬質原稿CDを含む。)の下面に対向可能な対向板としての第1コンタクトガラス81が設けられている。
【0031】
そして、本実施の形態では、原稿D(CD)が給送されてから排出されるまでの搬送経路を、湾曲搬送経路K1と第2水平搬送経路K3とからなるものと、第1水平搬送経路K2と第2水平搬送経路K3とからなるものと、のいずれかに切替可能に構成されている。
具体的に、
図3(A)に示すように、通常の原稿Dが搬送されるときには(第1原稿載置部60から原稿Dを給送するときには)、その原稿Dが湾曲搬送経路K1、第2水平搬送経路K3を経由して、原稿排出部62に排出されることになる。
これに対して、
図3(B)に示すように、硬質な原稿CDが搬送されるときには(第2原稿載置部61から原稿CDを給送するときには)、その原稿CDが第1水平搬送経路K2、第2水平搬送経路K3を経由して、原稿排出部62に排出されることになる。この搬送経路K2、K3は、給紙口から排出口に至るまで略一直線状であって略水平なものである。
【0032】
ここで、本実施の形態では、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2とが合流する部分は、第2水平搬送経路K3(搬送方向下流側)から見るとどちらも開口した状態になっているが、湾曲搬送経路K1から第2水平搬送経路K3に原稿Dが受け渡されるときも、第1水平搬送経路K2から第2水平搬送経路K3に原稿CDが受け渡されるときも、いずれも搬送による慣性が生じるため、湾曲搬送経路K1から第1水平搬送経路K2に原稿Dが誤搬送されたり、第1水平搬送経路K2から湾曲搬送経路K1に原稿CDが誤搬送されたりすることはない。
なお、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2とが合流する部分に、湾曲搬送経路K1から第2水平搬送経路K3に原稿Dが受け渡されるときに第1水平搬送経路K2の最下流部を閉鎖して、第1搬送経路K2から第2水平搬送経路K3に原稿CDが受け渡されるときに湾曲搬送経路K1の最下流部を閉鎖する切替部材を設置することもできる。
【0033】
このように、本実施の形態における画像読取装置10は、屈曲しにくい硬質な原稿(硬質原稿CD)の搬送・画像読取をおこなうときに、湾曲搬送経路K1を含む搬送経路K1、K3ではなくて、略水平な搬送経路K2、K3を選択できるように構成されている。
そのため、硬質原稿CDを直線状であっても斜め方向(非水平)に搬送する場合に比べて、原稿CDの搬送性が安定するとともに、第1CIS80(又は、第2CIS90)によって硬質原稿CDの画像を良好に読み取ることができる。
また、第2原稿載置部61は、原稿自動搬送部Mの下方に突出するように配置されないため、その下方のスペースを有効的に利用することができる(フィニッシャなどの後処理装置の設置を妨げない)。
さらに、硬質原稿CDは原稿排出部62に向けて略水平方向に排出されるため、排出口の下方のスペースを有効的に利用して、原稿排出部62におけるスタック枚数を多く設定することも可能になる。
【0034】
ここで、本実施の形態において、画像読取部としての第1CIS80は、
図3(A)、(B)に示すように原稿自動搬送部Mによって原稿D、CDを搬送しながら画像の読み取りをおこなうときにも、
図4に示すように原稿Dを搬送せずに固定した状態で画像の読み取りをおこなうときにも、共用されることになる。
これにより、画像読取装置10の低コスト化が可能になる。特に、読取精度の高い高価な第1CIS80を用いる場合には、その効果が顕著なものになる。
【0035】
詳しくは、第1CIS80(画像読取部)は、原稿自動搬送部Mにおいて搬送される原稿D、CDの画像を読み取るときには、第1コンタクトガラス81(対向板)の下面に固定された状態で接触する第1位置(
図2、
図3に示す位置であって、
図5(A)の左側に示す第1CIS80の位置である。)に移動する。そして、第1位置に固定された第1CIS80によって、相対的に移動する原稿D、CDの全面の画像が読み取られることになる。
これに対して、第1CIS80(画像読取部)は、第2コンタクトガラス82(原稿載置板)の上面に載置された原稿Dの画像を読み取るときには、第2コンタクトガラス82の下面に接触する第2位置(
図4に示す位置であって、
図5(A)の右側に示す第1CIS80´の位置である。)に移動する。そして、第2位置において幅方向に直交する方向(スキャン方向)に移動する第1CIS80によって、固定された原稿Dの全面の画像が読み取られることになる。
【0036】
さらに具体的に、画像読取装置10のスキャナ部2(原稿自動搬送部Mの開閉に連動して開閉することなく、画像形成装置本体1に固定された部分である。)には、第1CIS80を第1位置と第2位置との間で移動させる移動機構100が設けられている。
また、第1CIS80(画像読取部)は、第2コンタクトガラス82(原稿載置板)の上面に載置された原稿Dの画像を読み取るときに、第2コンタクトガラス82の下面に接触した状態で略水平方向(
図4の破線矢印方向であって、スキャン方向である。)に移動しながら、その画像を読み取る。すなわち、移動機構100は、第1位置と第2位置との間での第1CIS80の移動に加えて、第2位置における第1CIS80のスキャン方向の移動も可能に構成されている。
【0037】
図5に示すように、移動機構100は、ホルダ110、圧縮スプリング111(付勢部材)、送りネジ116、ロッド117、ガイドレール115、モータ(不図示)、などで構成されている。
ホルダ110は、第1CIS80を上下動可能に保持するものであって、その内部には第1CIS80を上方に付勢する圧縮スプリング111が設置されている。
送りネジ116とロッド117とは、幅方向に直交する方向に延びるように幅方向に間隔をあけて並設されている。送りネジ116は、ホルダ110に形成された雌ネジ部110aに螺合するとともに、制御部によって制御されるモータ(不図示)によって正逆方向に回転可能に構成されている。また、ロッド117は、ホルダ110に形成された穴部110bに嵌合している。
ガイドレール115は、第1CIS80の幅方向両端にそれぞれ突出する突出部80aの上面に接触するものであって、圧縮スプリング111による付勢によって第1CIS80が上方に無制限に移動しないように規制している。
【0038】
このように構成された移動機構100によって、制御部によるモータの制御によって、原稿の読取り動作の切り替え時に
図3に示す第1位置と
図4に示す第2位置との間での第1CIS80を移動させたり、第2コンタクトガラス82上の原稿Dの読取り時に
図4に示す第2位置において第1CIS80をスキャン方向に移動させたりすることになる。
【0039】
なお、本実施の形態において、第1CIS80(画像読取部)が、
図3に示す第1位置と
図4に示す第2位置との間を移動するときに、第1コンタクトガラス81(対向板)にも第2コンタクトガラス82(原稿載置板)にも接触しないように、ガイドレール115が構成されている。
これにより、第1CIS80が第1位置から第2位置に移動するときや第2位置から第1位置に移動するときに、第1、第2コンタクトガラス81、82にぶつかって傷ついてしまう不具合が抑止されることになる。
【0040】
また、本実施の形態では、
図2~
図4等に示すように、第1コンタクトガラス81(対向板)は、第2コンタクトガラス82(原稿載置板)の上方に配置されている。
すなわち、第1CIS80が第1コンタクトガラス81に接触する第1位置は、第1CIS80が第2コンタクトガラス82に接触する第2位置よりも上方に位置している。そのため、
図5(A)に示すように、ガイドレール115は、上方に略水平に延びる部分と、下方に略水平に延びる部分と、それらの部分を繋ぐ部分(本実施の形態では、第1CIS80の第1位置と第2位置との間の移動と上下動とをスムーズにするために斜め方向に延びるように形成されている。)と、が設けられている。
このように、第1コンタクトガラス81を第2コンタクトガラス82の上方に配置することで、略水平方向に延びる第1、第2水平搬送経路K2、K3を設ける場合であっても、第2コンタクトガラス82の上方を開閉可能な原稿自動搬送部Mに、圧板75や原稿排出部62を設けるスペースを充分に確保することができる。
【0041】
ここで、本実施の形態における画像読取装置10は、
図6に示すように、圧板75が、原稿自動搬送部Mに対して着脱可能に設置されている。
換言すると、圧板75は、原稿自動搬送部Mの開閉動作に連動して第2コンタクトガラス82の上方を開閉する動作と、原稿自動搬送部Mの開閉動作に連動せずに第2コンタクトガラス82の上方を開閉する動作と、を切替可能に構成されていることになる。
このように構成することで、
図6(B)に示すように、第2コンタクトガラス82からはみ出すような大きいサイズの原稿D´(例えば、新聞などである。)の画像を読み取るときに、原稿自動搬送部Mを開放したまま、第2コンタクトガラス82上の原稿D´を、原稿自動搬送部Mから取り外した圧板75で押えた状態で、第1CIS80による画像読取り動作をおこなうことができる。したがって、原稿自動搬送部Mを閉鎖することによって、第2コンタクトガラス82からはみ出した原稿D´の部分が折れ曲がってしまうような不具合が生じにくくなる。
【0042】
<変形例>
図7に示すように、変形例における画像読取装置10にも、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2と第3水平搬送経路K3とが設けられている。
ここで、変形例における画像読取装置10において、第2水平搬送経路K3は、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2とが搬送方向下流側に分岐して接続されている。
詳しくは、変形例における画像読取装置10(原稿自動搬送部M)は、1つの原稿載置部160と、2つの原稿排出部161、162とが設けられている。第1原稿排出部161は、原稿載置部160の上方に配置されて、第2原稿排出部162は、原稿自動搬送部Mの側方に配置されている。
第2水平搬送経路K3は、給送口(ピックアップローラ163の下流側で、給送ローラ165と分離ローラ164とのニップ部の近傍である。)の位置から第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の下流側の位置に至るまでの搬送経路であって、搬送ローラ対166や搬送ローラ167が設置されている。湾曲搬送経路K1は、第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の下流側の位置から排出口(排出ローラ170が設置されている。)に至る搬送経路であって、複数の搬送ローラ対168~170が設置されている。第1水平搬送経路K2は、第1CIS80(及び、第1コンタクトガラス81)の下流側の位置から排出口(排出ローラ172が設置されている。)に至る搬送経路であって、搬送ローラ対171が設置されている。
【0043】
そして、変形例においても、原稿D(CD)が給送されてから排出されるまでの搬送経路を、湾曲搬送経路K1と第2水平搬送経路K3とからなるものと、第1水平搬送経路K2と第2水平搬送経路K3とからなるものと、のいずれかに切替可能に構成されている。
具体的に、
図7に示すように、通常の原稿Dが搬送されるときには(原稿載置部160から通常の原稿Dを給送するときには)、その原稿Dが第2水平搬送経路K3、湾曲搬送経路K1を経由して、第1原稿排出部161に排出されることになる。
これに対して、硬質な原稿CDが搬送されるときには(原稿載置部160から硬質原稿CDを給送するときには)、その原稿CDが第2水平搬送経路K3、第1水平搬送経路K2を経由して、原稿排出部62に排出されることになる。この搬送経路K2、K3は、給紙口から排出口に至るまで略一直線状であって略水平なものである。
そして、このように画像読取装置10を構成した場合であっても、屈曲しにくい原稿CDを良好に搬送するとともに、その原稿CDの画像を良好に読み取ることができる。
なお、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2とが分岐する部分には、第2水平搬送経路K3から湾曲搬送経路K1に原稿Dが受け渡されるときに第1水平搬送経路K2の最上流部を閉鎖して、第2水平搬送経路K3から第1搬送経路K2に原稿CDが受け渡されるときに湾曲搬送経路K1の最上流部を閉鎖する切替部材を設置することが好ましい。
【0044】
また、
図7を参照して、変形例における画像読取装置10においても、画像読取部としての第1CIS80は、原稿自動搬送部Mによって原稿D、CDを搬送しながら画像の読み取りをおこなうときにも、原稿Dを搬送せずに固定した状態で画像の読み取りをおこなうときにも、共用されることになる。
これにより、画像読取装置10の低コスト化が可能になる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態における画像読取装置10は、少なくともその一部で原稿Dを湾曲させた状態で搬送可能な湾曲搬送経路K1と、原稿CDを略水平な状態で搬送可能な第1水平搬送経路K2と、が設けられている。さらに、湾曲搬送経路K1と第1水平搬送経路K2とが搬送方向上流側又は搬送方向下流側に分岐して接続されて、原稿D、CDを略水平な状態で搬送可能な第2水平搬送経路K3が設けられている。また、第2水平搬送経路K3を通過する原稿D、CDの下面に形成された画像を読み取り可能な第1CIS80(画像読取部)が設けられている。そして、原稿D、CDが給送されてから排出されるまでの搬送経路を、湾曲搬送経路K1と第2水平搬送経路K3とからなるものと、第1水平搬送経路K2と第2水平搬送経路K3とからなるものと、のいずれかに切替可能に構成されている。
これにより、屈曲しにくい原稿CDを良好に搬送するとともに、その原稿CDの画像を良好に読み取ることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される画像読取装置10に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される画像読取装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される画像読取装置10に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に設置される画像読取装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、湾曲搬送経路K1として、その一部で原稿Dを湾曲させた状態で搬送可能なものを用いたが、その全部で原稿Dwo湾曲させた状態で搬送可能なものを用いることもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0047】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0048】
なお、本願において、「原稿」とは、紙からなる原稿の他に、クレジットカードなど硬質な原稿はもちろんのこと、OHP等のシート状部材からなるすべての原稿を含むものと定義する。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
2 スキャナ部、
10 画像読取装置、
60 第1原稿載置部、
61 第2原稿載置部、
62 原稿排出部、
75 圧板、
80 第1CIS(画像読取部)、
81 第1コンタクトガラス(対向板)、
82 第2コンタクトガラス(原稿載置板)、
90 第2CIS、
100 移動機構、
D 原稿、
CD 硬質原稿、
M 原稿自動搬送部、
K1 湾曲搬送経路、
K2 第1水平搬送経路、
K3 第2水平搬送経路。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】