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特開2023-121488極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121488
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230824BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024854
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】植田 篤
(72)【発明者】
【氏名】神家 幸一郎
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197CA10
2H197CD12
2H197CD13
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA10
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AB12
4C092AB19
4C092AC09
4C092BD18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性の低下が抑制され得るEUV光生成装置。
【解決手段】EUV光生成装置は、チャンバとチャンバの内部空間からチャンバの外部に延在し。内部空間におけるドロップレットターゲットの軌道上及び内部空間におけるプラズマ生成領域へのレーザ光の光路上以外においてプラズマ生成領域を囲い、プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口を含む筐体と、内部空間における筐体の外側の第1空間に配置され、第1開口を通過した極端紫外光を極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、チャンバに設けられ、ガスをチャンバの外部から第1空間に供給するガス供給口と、チャンバの外部において筐体に設けられ、第1空間から第1開口を通じて筐体の内部の第2空間に流れるガスをチャンバの外部に排気するガス排気口とを備え、ドロップレットターゲットに照射される際のレーザ光の光軸はプラズマ生成領域でのガスが流れる方向に沿う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光が照射されるドロップレットターゲットからプラズマが生成されるプラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、
前記内部空間から前記チャンバの外部に延在し、前記内部空間における前記ドロップレットターゲットの軌道上及び前記内部空間における前記プラズマ生成領域への前記レーザ光の光路上以外において前記プラズマ生成領域を囲い、前記プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口を含む筐体と、
前記内部空間における前記筐体の外側の第1空間に配置され、前記第1開口を通過した前記極端紫外光を前記極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、
前記チャンバに設けられ、ガスを前記チャンバの外部から前記第1空間に供給するガス供給口と、
前記チャンバの外部において前記筐体に設けられ、前記第1空間から前記第1開口を通じて前記筐体の内部の第2空間に流れる前記ガスを前記チャンバの外部に排気するガス排気口と、
を備え、
前記ドロップレットターゲットに照射される際の前記レーザ光の光軸は、前記プラズマ生成領域での前記ガスが流れる方向に沿う
極端紫外光生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記レーザ光は、前記第1開口から前記プラズマ生成領域に進行する。
【請求項3】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記集光ミラーは、前記第1開口に進行する前記レーザ光が通過すると共に前記第1開口に対向するミラー開口を含む。
【請求項4】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記プラズマ生成領域での前記ガスが流れる方向に対する前記ドロップレットターゲットに照射される際の前記レーザ光の光軸の傾き角度は、20度以内である。
【請求項5】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1空間において前記レーザ光を囲い、前記第1空間から前記チャンバの外部に延在する第1配管をさらに備え、
前記第1配管は、前記レーザ光が前記第1空間から前記プラズマ生成領域に向かって通過する前記筐体における第2開口に向かって延在し、ガスを前記チャンバの外部から前記第2開口を通じて前記プラズマ生成領域に供給する。
【請求項6】
請求項5に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1配管から前記プラズマ生成領域に進行する前記ガスの前記プラズマ生成領域における第1流速は、前記第1空間から前記第1開口を通じて前記プラズマ生成領域に進行する前記ガスの前記プラズマ生成領域における第2流速より速い。
【請求項7】
請求項6に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1流速は、200m/s以上600m/s以下である。
【請求項8】
請求項6に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第2流速は、40m/s以上80m/s以下である。
【請求項9】
請求項5に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記筐体に設けられ、前記第2開口に向かい合う第1ガス通過口と、
前記第1ガス通過口に接続され、前記第1空間から前記チャンバの外部に延在する第2配管と、
をさらに備える。
【請求項10】
請求項5に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1配管は、前記第2開口を通り前記第2空間において前記プラズマ生成領域に向かってさらに延在する。
【請求項11】
請求項5に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記筐体に設けられ、前記第2開口に向かい合う第1ガス通過口と、
前記筐体における前記第1開口、前記第2開口、前記ガス排気口、及び前記第1ガス通過口と異なる位置に設けられる第2ガス通過口と、
前記第1空間に配置され、前記第1ガス通過口及び前記第2ガス通過口に接続される第3配管と、
をさらに備える。
【請求項12】
請求項11に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第2ガス通過口は、前記ガス排気口及び前記第1ガス通過口の間に位置する。
【請求項13】
プラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、
前記プラズマ生成領域にドロップレットターゲットを供給するターゲット供給部と、
前記プラズマ生成領域において前記ドロップレットターゲットからプラズマが生成されるように前記ドロップレットターゲットにレーザ光を照射するレーザ装置と、
制御部と、
を備え、
前記チャンバは、
前記内部空間から前記チャンバの外部に延在し、前記内部空間における前記プラズマ生成領域へのレーザ光の光路上以外において前記プラズマ生成領域を囲い、前記プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口及び前記ターゲット供給部から前記プラズマ生成領域に供給される前記ドロップレットターゲットが通過するドロップレット供給開口を含む筐体と、
前記内部空間における前記筐体の外側の第1空間に配置され、前記第1開口を通過した前記極端紫外光を前記極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、
前記チャンバに設けられ、ガスを前記チャンバの外部から前記第1空間に供給するガス供給口と、
前記チャンバの外部において前記筐体に設けられ、前記第1空間から前記第1開口を通じて前記筐体の内部の第2空間に流れる前記ガスを前記チャンバの外部に排気するガス排気口と、
前記第1空間に配置され、前記ターゲット供給部から供給される前記ドロップレットターゲットの軌道を囲うターゲット供給配管と、
前記ターゲット供給配管に設けられ、前記ターゲット供給配管を通じてガスを前記プラズマ生成領域に供給するターゲットガス供給口と、
前記ターゲット供給部から前記プラズマ生成領域に供給される前記ドロップレットターゲットを検出する検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記検出部から前記ドロップレットターゲットの検出タイミングに係る信号を受信し、当該信号に対して所定時間遅延させた発光トリガ信号を前記レーザ装置に出力する
極端紫外光生成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲット供給配管は、前記ドロップレット供給開口を通り前記第2空間において前記プラズマ生成領域に向かって延在する。
【請求項15】
請求項13に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲットガス供給口から前記ターゲット供給配管を通じて前記プラズマ生成領域に進行する前記ガスの前記プラズマ生成領域における第3流速は、前記第1空間から前記第1開口を通じて前記プラズマ生成領域に進行する前記ガスの前記プラズマ生成領域における第2流速より速い。
【請求項16】
請求項13に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記筐体に設けられ、前記プラズマ生成領域を通過した前記ドロップレットターゲットが通過するドロップレット排出開口と、
前記第1空間に配置され、前記ドロップレット排出開口に接続され、前記ドロップレット排出開口を通過した前記ドロップレットターゲットの軌道を囲うターゲット受け配管と、
をさらに備える。
【請求項17】
請求項16に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲット受け配管に設けられ、前記第2空間から前記ターゲット受け配管に流れる前記ガスを排気するターゲット受け排気口と、
前記筐体における前記第1開口、前記ドロップレット供給開口、前記ドロップレット排出開口、及び前記ガス排気口と異なる位置に設けられるガス通過口と、
前記ターゲット受け排気口及び前記ガス通過口に接続されるガス通過配管と、
をさらに備える。
【請求項18】
請求項17に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス通過口は、前記ドロップレット排出開口及び前記ガス排気口の間に位置する。
【請求項19】
レーザ光が照射されるドロップレットターゲットからプラズマが生成されるプラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、
前記内部空間から前記チャンバの外部に延在し、前記内部空間における前記ドロップレットターゲットの軌道上以外において前記プラズマ生成領域を囲い、前記プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口及び前記レーザ光が前記プラズマ生成領域に向かって通過する第2開口を含む筐体と、
前記内部空間における前記筐体の外側の第1空間に配置され、前記第1開口を通過した前記極端紫外光を前記極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、
前記チャンバに設けられ、ガスを前記チャンバの外部から前記第1空間に供給するガス供給口と、
前記チャンバの外部において前記筐体に設けられ、前記第1空間から前記第1開口を通じて前記筐体の内部の第2空間に流れる前記ガスを前記チャンバの外部に排気するガス排気口と、
を備え、
前記ドロップレットターゲットに照射される際の前記レーザ光の光軸は、前記プラズマ生成領域での前記ガスが流れる方向に沿う極端紫外光生成装置によって生成される前記極端紫外光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記極端紫外光を露光する
ことを含む電子デバイスの製造方法。
【請求項20】
レーザ光が照射されるドロップレットターゲットからプラズマが生成されるプラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、
前記内部空間から前記チャンバの外部に延在し、前記内部空間における前記ドロップレットターゲットの軌道上以外において前記プラズマ生成領域を囲い、前記プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口及び前記レーザ光が前記プラズマ生成領域に向かって通過する第2開口を含む筐体と、
前記内部空間における前記筐体の外側の第1空間に配置され、前記第1開口を通過した前記極端紫外光を前記極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、
前記チャンバに設けられ、ガスを前記チャンバの外部から前記第1空間に供給するガス供給口と、
前記チャンバの外部において前記筐体に設けられ、前記第1空間から前記第1開口を通じて前記筐体の内部の第2空間に流れる前記ガスを前記チャンバの外部に排気するガス排気口と、
を備え、
前記ドロップレットターゲットに照射される際の前記レーザ光の光軸は、前記プラズマ生成領域での前記ガスが流れる方向に沿う極端紫外光生成装置によって生成される前記極端紫外光をマスクに照射して前記マスクの欠陥を検査し、
前記検査の結果を用いてマスクを選定し、
前記選定したマスクに形成されたパターンを感光基板上に露光転写する
ことを含む電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、10nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、波長約13nmの極端紫外(EUV:Extreme UltraViolet)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた半導体露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLaser Produced Plasma(LPP)式の装置の開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0313016号明細書
【概要】
【0005】
本開示の一態様による極端紫外光生成装置は、レーザ光が照射されるドロップレットターゲットからプラズマが生成されるプラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、内部空間からチャンバの外部に延在し、内部空間におけるドロップレットターゲットの軌道上及び内部空間におけるプラズマ生成領域へのレーザ光の光路上以外においてプラズマ生成領域を囲い、プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口を含む筐体と、内部空間における筐体の外側の第1空間に配置され、第1開口を通過した極端紫外光を極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、チャンバに設けられ、ガスをチャンバの外部から第1空間に供給するガス供給口と、チャンバの外部において筐体に設けられ、第1空間から第1開口を通じて筐体の内部の第2空間に流れるガスをチャンバの外部に排気するガス排気口と、を備え、ドロップレットターゲットに照射される際のレーザ光の光軸は、プラズマ生成領域でのガスが流れる方向に沿ってもよい。
【0006】
本開示の他の一態様による極端紫外光生成装置は、プラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、プラズマ生成領域にドロップレットターゲットを供給するターゲット供給部と、プラズマ生成領域においてドロップレットターゲットからプラズマが生成されるようにドロップレットターゲットにレーザ光を照射するレーザ装置と、制御部と、を備え、チャンバは、内部空間からチャンバの外部に延在し、内部空間におけるプラズマ生成領域へのレーザ光の光路上以外においてプラズマ生成領域を囲い、プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口、及びターゲット供給部からプラズマ生成領域に供給されるドロップレットターゲットが通過するドロップレット供給開口、及びプラズマ生成領域を通過したドロップレットターゲットが通過するドロップレット排出開口を含む筐体と、内部空間のうちのチャンバ及び筐体の間の第1空間に配置され、第1開口を通過した極端紫外光を極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する回転楕円面形状の反射面を含む集光ミラーと、チャンバに設けられ、ガスをチャンバの外部から第1空間に供給するガス供給口と、筐体に設けられ、チャンバの外部に位置し、第1空間から第1開口を通じて筐体の内部の第2空間に流れるガスをチャンバの外部に排気するガス排気口と、第1空間に配置され、ターゲット供給部から供給されるドロップレットターゲットの軌道を囲うターゲット供給配管と、ターゲット供給配管に設けられ、ターゲット供給配管及びドロップレット供給開口を通じてガスをプラズマ生成領域に供給するターゲットガス供給口と、ターゲット供給部からプラズマ生成領域に供給されるドロップレットターゲットに照明光を照射する照明部と、照明光を受光する受光部と、を備え、制御部は、照明光を受光した受光部からドロップレットターゲットの通過タイミングに係る信号を受信し、当該信号に対して所定時間遅延させた発光トリガ信号をレーザ装置に出力してもよい。
【0007】
また、本開示の一態様による電子デバイスの製造方法は、レーザ光が照射されるドロップレットターゲットからプラズマが生成されるプラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、内部空間からチャンバの外部に延在し、内部空間におけるドロップレットターゲットの軌道上及び内部空間におけるプラズマ生成領域へのレーザ光の光路上以外においてプラズマ生成領域を囲い、プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口を含む筐体と、内部空間における筐体の外側の第1空間に配置され、第1開口を通過した極端紫外光を極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、チャンバに設けられ、ガスをチャンバの外部から第1空間に供給するガス供給口と、チャンバの外部において筐体に設けられ、第1空間から第1開口を通じて筐体の内部の第2空間に流れるガスをチャンバの外部に排気するガス排気口と、を備え、ドロップレットターゲットに照射される際のレーザ光の光軸は、プラズマ生成領域でのガスが流れる方向に沿う極端紫外光生成装置によって生成される極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上に極端紫外光を露光することを含んでもよい。
【0008】
また、本開示の他の一態様による電子デバイスの製造方法は、レーザ光が照射されるドロップレットターゲットからプラズマが生成されるプラズマ生成領域を内部空間に含むチャンバと、内部空間からチャンバの外部に延在し、内部空間におけるドロップレットターゲットの軌道上及び内部空間におけるプラズマ生成領域へのレーザ光の光路上以外においてプラズマ生成領域を囲い、プラズマから生成される極端紫外光が通過する第1開口を含む筐体と、内部空間における筐体の外側の第1空間に配置され、第1開口を通過した極端紫外光を極端紫外光の入射方向と異なる方向に反射する集光ミラーと、チャンバに設けられ、ガスをチャンバの外部から第1空間に供給するガス供給口と、チャンバの外部において筐体に設けられ、第1空間から第1開口を通じて筐体の内部の第2空間に流れるガスをチャンバの外部に排気するガス排気口と、を備え、ドロップレットターゲットに照射される際のレーザ光の光軸は、プラズマ生成領域でのガスが流れる方向に沿う極端紫外光生成装置によって生成される極端紫外光をマスクに照射してマスクの欠陥を検査し、検査の結果を用いてマスクを選定し、選定したマスクに形成されたパターンを感光基板上に露光転写することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、電子デバイスの製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す電子デバイスの製造装置とは別の電子デバイスの製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図3図3は、比較例の極端紫外光生成装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図4図4は、比較例におけるドロップレットターゲットの軌道に垂直なチャンバの断面図である。
図5図5は、ドロップレットターゲットを照射する際のレーザ光の光軸に垂直な断面図である。
図6図6は、レーザ光の照射位置がずれたドロップレットターゲットにレーザ光を照射した直後に生成されるEUV光の強度の変化を示す図である。
図7図7は、実施形態1におけるドロップレットターゲットの軌道に垂直なチャンバの断面図である。
図8図8は、実施形態2におけるドロップレットターゲットの軌道に垂直なチャンバの断面図である。
図9図9は、実施形態3におけるドロップレットターゲットの軌道に垂直なチャンバの断面図である。
図10図10は、実施形態3の変形例1におけるドロップレットターゲットの軌道に垂直なチャンバの断面図である。
図11図11は、実施形態3の変形例2におけるドロップレットターゲットの軌道に垂直なチャンバの断面図である。
図12図12は、実施形態4におけるドロップレットターゲットを照射する際のレーザ光の光軸に垂直な断面図である。
図13図13は、実施形態4におけるドロップレットターゲットの軌道に垂直なチャンバの断面図である。
【実施形態】
【0010】
1.概要
2.電子デバイスの製造装置の説明
3.比較例の極端紫外光生成装置の説明
3.1 構成
3.2 動作
3.3 課題
4.実施形態1の極端紫外光生成装置の説明
4.1 構成
4.2 作用・効果
5.実施形態2の極端紫外光生成装置の説明
5.1 構成
5.2 作用・効果
6.実施形態3の極端紫外光生成装置の説明
6.1 構成
6.2 動作
6.3 作用・効果
7.実施形態4の極端紫外光生成装置の説明
7.1 構成
7.2 動作
7.3 作用・効果
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
1.概要
本開示の実施形態は、極端紫外(EUV)と呼ばれる波長の光を生成する極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造装置に関するものである。なお、以下では、極端紫外光をEUV光という場合がある。
【0013】
2.電子デバイスの製造装置の説明
図1は、電子デバイス製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。図1に示す電子デバイス製造装置は、EUV光生成装置100、及び露光装置200を含む。露光装置200は、反射光学系である複数のミラー211,212を含むマスク照射部210と、マスク照射部210の反射光学系とは別の反射光学系である複数のミラー221,222を含むワークピース照射部220とを含む。マスク照射部210は、EUV光生成装置100から入射したEUV光101によって、ミラー211,212を介してマスクテーブルMTのマスクパターンを照明する。ワークピース照射部220は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光101を、ミラー221,222を介してワークピーステーブルWT上に配置された不図示のワークピース上に結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。露光装置200は、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、マスクパターンを反映したEUV光101をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにデバイスパターンを転写することで半導体デバイスを製造することができる。
【0014】
図2は、図1に示す電子デバイス製造装置とは別の電子デバイス製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。図2に示す電子デバイス製造装置は、EUV光生成装置100、及び検査装置300を含む。検査装置300は、反射光学系である複数のミラー311,313,315を含む照明光学系310と、照明光学系310の反射光学系とは別の反射光学系である複数のミラー321,323、及び検出器325を含む検出光学系320とを含む。照明光学系310は、EUV光生成装置100から入射したEUV光101をミラー311,313,315で反射して、マスクステージ331に配置されているマスク333を照射する。マスク333は、パターンが形成される前のマスクブランクスを含む。検出光学系320は、マスク333からのパターンを反映したEUV光101をミラー321,323で反射して検出器325の受光面に結像させる。EUV光101を受光した検出器325は、マスク333の画像を取得する。検出器325は、例えばTDI(Time Delay Integration)カメラである。以上のような工程によって取得したマスク333の画像により、マスク333の欠陥を検査し、検査の結果を用いて、電子デバイスの製造に適するマスクを選定する。そして、選定したマスクに形成されたパターンを、露光装置200を用いて感光基板上に露光転写することで電子デバイスを製造することができる。
【0015】
3.比較例の極端紫外光生成装置の説明
3.1 構成
比較例のEUV光生成装置100について説明する。なお、本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。また、以下では、図1に示すように外部装置としての露光装置200に向けてEUV光101を出射するEUV光生成装置100を用いて説明する。なお、図2に示すように外部装置としての検査装置300にEUV光101を出射するEUV光生成装置100についても、同様の作用・効果を得ることができる。
【0016】
図3は、本例のEUV光生成装置100の全体の概略構成例を示す模式図である。図3に示すように、EUV光生成装置100は、チャンバ10、レーザ装置LD、プロセッサ120、及びレーザ光デリバリ光学系30を主な構成として含む。
【0017】
チャンバ10は、密閉可能な容器である。チャンバ10は、低圧雰囲気の内部空間を囲う内壁10bを含む。また、チャンバ10はサブチャンバ15を含み、サブチャンバ15には、サブチャンバ15の壁を貫通するようにターゲット供給部40が取り付けられている。ターゲット供給部40は、タンク41、ノズル42、及び圧力調節器43を含み、ドロップレットターゲットDLをチャンバ10の内部空間に供給する。ドロップレットターゲットDLは、ドロップレットやターゲットと省略して呼ばれる場合がある。
【0018】
タンク41は、その内部にドロップレットターゲットDLとなるターゲット物質を貯蔵する。ターゲット物質は、スズを含む。タンク41の内部は、タンク41内の圧力を調節する圧力調節器43と連通している。タンク41には、ヒータ44及び温度センサ45が取り付けられている。ヒータ44は、ヒータ電源46から供給される電流により、タンク41を加熱する。この加熱により、タンク41内のターゲット物質は溶融する。温度センサ45は、タンク41を介してタンク41内のターゲット物質の温度を測定する。圧力調節器43、温度センサ45、及びヒータ電源46は、プロセッサ120に電気的に接続されている。
【0019】
ノズル42は、タンク41に取り付けられ、ターゲット物質を吐出する。ノズル42には、ピエゾ素子47が取り付けられている。ピエゾ素子47は、ピエゾ電源48に電気的に接続されており、ピエゾ電源48から印加される電圧で駆動される。ピエゾ電源48は、プロセッサ120に電気的に接続されている。ピエゾ素子47の動作により、ノズル42から吐出するターゲット物質はドロップレットターゲットDLにされる。
【0020】
チャンバ10は、ターゲット回収部14を含む。ターゲット回収部14は、チャンバ10の内壁10bに取り付けられる箱体であり、チャンバ10の内壁10bに設けられる開口10aを介してチャンバ10の内部空間に連通している。開口10aはノズル42の直下に設けられ、ターゲット回収部14は、開口10aを通過してターゲット回収部14に到達する不要なドロップレットターゲットDLを回収するドレインタンクである。
【0021】
チャンバ10の内壁10bには、少なくとも1つの貫通孔が設けられている。この貫通孔は、ウィンドウ12によって塞がれ、ウィンドウ12をレーザ装置LDから出射されるパルス状のレーザ光90が透過する。
【0022】
また、チャンバ10の内部空間には、レーザ集光光学系13が配置されている。レーザ集光光学系13は、レーザ光集光ミラー13A及び高反射ミラー13Bを含む。レーザ光集光ミラー13Aは、ウィンドウ12を透過するレーザ光90を反射して集光する。高反射ミラー13Bは、レーザ光集光ミラー13Aが集光するレーザ光90を反射する。レーザ光集光ミラー13A及び高反射ミラー13Bの位置は、レーザ光マニュピレータ13Cにより、チャンバ10の内部空間でのレーザ光90の集光位置がプロセッサ120から指定された位置になるように調節される。当該集光位置はノズル42の直下に位置するように調節されており、レーザ光90が当該集光位置においてターゲット物質を照射すると、照射によってプラズマが生成されると共に、プラズマからEUV光101が放射される。プラズマが生成される領域をプラズマ生成領域ARと呼ぶことがある。プラズマ生成領域ARは、プラズマ点を中心に半径が例えば40mmの領域であり、チャンバ10の内部空間に位置する。
【0023】
チャンバ10の内部空間には、例えば、回転楕円面形状の反射面75aを含むEUV光集光ミラー75が配置される。EUV光集光ミラー75は、チャンバ10の内部空間におけるレーザ光90と重ならない位置に設けられている。反射面75aは、プラズマ生成領域ARにおいてプラズマから放射されるEUV光101を反射する。反射面75aは、第1焦点及び第2焦点を含む。反射面75aは、例えば、第1焦点がプラズマ生成領域ARに位置し、第2焦点が中間集光点IFに位置するように配置されてもよい。図3では、第1焦点及び第2焦点を通る直線が焦点直線L0として示されている。
【0024】
また、EUV光生成装置100は、チャンバ10の内部空間及び露光装置200の内部空間を連通させる接続部19を含む。接続部19の内部には、アパーチャが形成された壁が配置されている。この壁は、アパーチャが第2焦点に位置するように配置されることが好ましい。接続部19はEUV光生成装置100におけるEUV光101の出射口であり、EUV光101は接続部19から出射されて露光装置200に入射する。
【0025】
また、EUV光生成装置100は、圧力センサ26及びターゲットセンサとしての検出部27を含む。圧力センサ26及び検出部27は、チャンバ10に取り付けられ、プロセッサ120に電気的に接続されている。圧力センサ26は、チャンバ10の内部空間の圧力を計測し、この圧力を示す信号をプロセッサ120に出力する。
【0026】
検出部27は、例えば撮像機能を含み、プロセッサ120からの指示によってノズル42のノズル孔から吐出するドロップレットターゲットDLの存在、軌跡、位置、流速等を検出する。検出部27は、チャンバ10の内部に配置されてもよいし、チャンバ10の外部に配置されてチャンバ10の壁に設けられる不図示のウィンドウを介してドロップレットターゲットDLを検出してもよい。検出部27は、不図示の受光光学系と、例えばCCD(Charge-Coupled Device)又はフォトダイオード等の不図示の撮像部とを含む。受光光学系は、ドロップレットターゲットDLの検出精度を向上させるために、ドロップレットターゲットDLの軌跡及びその周囲における像を撮像部の受光面に結像する。検出部27の視野内のコントラストを向上させるために配置される検出部27の不図示の光源による光の集光領域をドロップレットターゲットDLが通過するときに、撮像部はドロップレットターゲットDLの軌跡及びその周囲を通る光の変化を検出する。撮像部は、検出した光の変化を、ドロップレットターゲットDLのイメージデータに係る信号としての電気信号に変換する。撮像部は、この電気信号をプロセッサ120に出力する。
【0027】
レーザ装置LDは、バースト動作する光源であるマスターオシレータを含む。マスターオシレータは、バーストオンでパルス状のレーザ光90を出射する。マスターオシレータは、例えば、ヘリウムや窒素等が炭酸ガス中に混合される気体を放電によって励起することで、レーザ光90を出射するレーザ装置である。或いは、マスターオシレータは、量子カスケードレーザ装置でもよい。また、マスターオシレータは、Qスイッチ方式により、パルス状のレーザ光90を出射してもよい。また、マスターオシレータは、光スイッチや偏光子等を含んでもよい。なお、バースト動作とは、バーストオン時に連続するパルス状のレーザ光90を所定の繰り返し周波数で出射し、バーストオフ時にレーザ光90の出射を抑制する動作である。
【0028】
レーザ装置LDから出射するレーザ光90の進行方向は、レーザ光デリバリ光学系30によって調節される。レーザ光デリバリ光学系30は、レーザ光90の進行方向を調節する複数のミラー31,32を含む。ミラー31,32の少なくとも1つの位置は、不図示のアクチュエータで調節される。ミラー31,32の少なくとも1つの位置が調節されることで、レーザ光90がウィンドウ12から適切にチャンバ10の内部空間に伝搬し得る。
【0029】
本開示のプロセッサ120は、制御プログラムが記憶された記憶装置と、当該制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを含む処理装置である。プロセッサ120は、本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされ、EUV光生成装置100全体を制御する。プロセッサ120には、圧力センサ26で計測されたチャンバ10の内部空間の圧力に係る信号や、検出部27によって撮像されたドロップレットターゲットDLのイメージデータに係る信号や、露光装置200からバースト動作を指示するバースト信号等が入力される。プロセッサ120は、上記各種信号を処理し、例えば、ドロップレットターゲットDLが吐出されるタイミング、ドロップレットターゲットDLの吐出方向等を制御してもよい。また、プロセッサ120は、レーザ装置LDの出射タイミング、レーザ光90の進行方向や集光位置等を制御してもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて後述のように他の制御が追加されてもよい。
【0030】
図4は比較例におけるドロップレットターゲットDLの軌道に垂直なチャンバ10の断面図であり、図5はドロップレットターゲットDLを照射する際のレーザ光90の光軸に垂直な断面図である。図4では、図示の簡略化のために、レーザ光集光ミラー13A及び高反射ミラー13Bを省略し、ウィンドウ12からプラズマ生成領域ARへのレーザ光90の進行経路を簡単に図示している。
【0031】
EUV光生成装置100は、チャンバ10の内部空間に配置される筐体500を含む。図4及び図5では、チャンバ10の内部空間のうちの筐体500の外部の空間を第1空間11aとし、筐体500の内部の空間を第2空間11bとして示している。なお、図3では、筐体500の図示を省略している。
【0032】
筐体500は、例えば、ステンレスまたは金属モリブデンで構成される。筐体500は、プラズマ生成領域ARを囲っている。つまり、プラズマ生成領域ARは、第2空間11bに位置する。筐体500は、チャンバ10の内部空間からチャンバ10の内壁10bを貫通してチャンバ10の外部空間に直線状に延在している。筐体500のうちのチャンバ10の内部空間に位置する一端には第1開口501が設けられ、筐体500のうちのチャンバ10の外部に位置する他端にはガス排気口503が設けられている。
【0033】
第1開口501には、プラズマ生成領域ARにおいてプラズマから生成されるEUV光101が第2空間11bから第1空間11aに向かって通過する。そして、EUV光101は、第1空間11aに配置されるEUV光集光ミラー75に進行する。EUV光集光ミラー75は、EUV光101をEUV光101の入射方向と異なる方向に位置する中間集光点IFに向かって反射する。図4及び図5では、図示の明瞭化のために、EUV光集光ミラー75によって反射されたEUV光101の図示を省略している。第1開口501はガス排気口503に向かい合い、第1開口501とガス排気口503との間にはプラズマ生成領域ARが位置する。ガス排気口503は、排気ポンプを含む第1排気装置531に接続されている。
【0034】
また、筐体500は、第2開口505、ドロップレット供給開口507、及びドロップレット排出開口509を含む。第2開口505は、チャンバ10の内部空間におけるプラズマ生成領域ARへのレーザ光90の光路上に設けられ、プラズマ生成領域ARに向かい合う。第2開口505には、レーザ光90が第1空間11aからプラズマ生成領域ARに向かって通過する。ドロップレット供給開口507及びドロップレット排出開口509は、ドロップレットターゲットDLの軌道上に設けられ、互いに向かい合う。ドロップレット供給開口507には、ターゲット供給部40からプラズマ生成領域ARに供給されるドロップレットターゲットDLが通過する。ドロップレット排出開口509にはプラズマ生成領域ARを通過したドロップレットターゲットDLが通過し、ドロップレット排出開口509はターゲット回収部14に繋がる開口10aに向かい合う。このように筐体500は、チャンバ10の内部空間におけるドロップレットターゲットDLの軌道上及び当該内部空間におけるプラズマ生成領域ARへのレーザ光90の光路上以外においてプラズマ生成領域ARを囲う。
【0035】
チャンバ10の内壁10bにはガス供給口601aが設けられており、ガス供給口601aには第1ガス供給装置601のガス配管601bが接続されている。第1ガス供給装置601及びガス配管601bは、チャンバ10の外部に配置されている。第1ガス供給装置601は、プロセッサ120によって駆動を制御される。ガス配管601bには、バルブである不図示の供給ガス流量調節部が配置されてもよい。第1ガス供給装置601はガス配管601bにエッチングガスを供給し、ガス配管601bが接続するガス供給口601aはエッチングガスを第1空間11aに供給する。図4及び図5では、ガス配管601bにおけるエッチングガスの流れを矢印F1で示している。ガス供給口601aから第1空間11aに流入するエッチングガスの流量は、例えば、40nlm以上60nlm以下である。nlmは、1分あたりに流れるエッチングガスの0℃、1気圧に換算した体積を示す。第1空間11aに流入したエッチングガスは、第1開口501、第2開口505、ドロップレット供給開口507、及びドロップレット排出開口509を通じて第2空間11bに流入する。図4及び図5では、それぞれから第2空間11bに流入するエッチングガスの流れを矢印F2で示している。
【0036】
上記のように、ターゲット物質はスズを含むため、エッチングガスは、例えば水素ガス濃度が100%と見做せる水素含有ガスである。或いは、エッチングガスは、例えば水素ガス濃度が3%程度のバランスガスでもよい。バランスガスには、窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガスが含まれている。ところで、ターゲット物質がプラズマ生成領域ARでレーザ光90を照射されてプラズマ化すると、スズの微粒子及びスズの荷電粒子が生じる。これら微粒子及び荷電粒子を構成するスズは、チャンバ10の第2空間11bに供給されたエッチングガスに含まれる水素と反応する。スズが水素と反応すると、常温で気体のスタンナン(SnH)になる。また、ターゲット物質がプラズマ生成領域ARでプラズマ化する際、排ガスとしての残留ガスが第2空間11bに生成される。残留ガスは、ターゲット物質のプラズマ化により生じたスズの微粒子及び荷電粒子と、それらがエッチングガスと反応したスタンナンと、未反応のエッチングガスとを含む。なお、荷電粒子の一部は第2空間11bで中性化するが、この中性化した荷電粒子も残留ガスに含まれる。ガス排気口503は、第1空間11aから第1開口501、第2開口505、ドロップレット供給開口507、及びドロップレット排出開口509を通じて第2空間11bに流れたエッチングガスを残留ガスと共に、チャンバ10の外部に排気する。具体的には、ガス排気口503は、第1排気装置531の吸引によってエッチングガス及び残留ガスを第1排気装置531に排気する。以下では、第2空間11bにおけるエッチングガス及び残留ガスを、単にガスと呼ぶ場合がある。図4及び図5では、第2空間11bにおいて第1排気装置531に向かうガスの流れを矢印F3で示している。
【0037】
ガス排気口503の面積は第1開口501の面積より大きく、第1開口501の面積は第2開口505、ドロップレット供給開口507、及びドロップレット排出開口509のそれぞれの面積よりも大きい。ドロップレット供給開口507及びドロップレット排出開口509のそれぞれの面積は、互いに概ね同じであり、第2開口505の面積よりも大きい。
【0038】
以下では、ドロップレットターゲットDLの軌道に沿う方向をY方向、プラズマ生成領域ARから第1排気装置531に向かう方向でありY方向に直交する方向をX方向、Y方向及びX方向に直交する方向をZ方向として説明することがある。
【0039】
3.2 動作
次に、比較例のEUV光生成装置100の動作について説明する。
【0040】
EUV光生成装置100では、例えば、新規導入時やメンテナンス時等において、チャンバ10の内部空間の大気が排気される。その際、大気成分の排気のために、チャンバ10の内部空間のパージと排気とを繰り返してもよい。パージガスには、例えば、窒素やアルゴンなどの不活性ガスが用いられることが好ましい。その後、チャンバ10の内部空間の圧力が所定の圧力以下になると、プロセッサ120は、第1ガス供給装置601からガス供給口601aを通じてチャンバ10の第1空間11aへのエッチングガスの導入を開始させる。このときプロセッサ120は、チャンバ10の内部空間の圧力が所定の圧力に維持されるように、不図示の供給ガス流量調節部や第1排気装置531を制御してもよい。その後、プロセッサ120は、エッチングガスの導入開始から所定時間が経過するまで待機する。
【0041】
また、プロセッサ120は、第1排気装置531により、チャンバ10の内部空間の気体をガス排気口503から排気させ、圧力センサ26で計測されたチャンバ10の内部空間の圧力を示す信号に基づいて、チャンバ10の内部空間の圧力を略一定に保つ。
【0042】
また、プロセッサ120は、タンク41内のターゲット物質を融点以上の所定温度に加熱及び維持するために、ヒータ電源46からヒータ44に電流を供給させ、ヒータ44を昇温させる。このとき、プロセッサ120は、温度センサ45からの出力に基づいて、ヒータ電源46からヒータ44へ供給される電流の値を調節し、ターゲット物質の温度を所定温度に制御する。なお、所定温度は、ターゲット物質がスズである場合、スズの融点231.93℃以上の温度であり、例えば240℃以上290℃以下である。こうしてドロップレットターゲットDLを吐出する準備が完了する。
【0043】
準備が完了すると、プロセッサ120は、ノズル42のノズル孔から溶融したターゲット物質が所定の流速で吐出するように、圧力調節器43によって、不図示のガス供給源から不活性ガスをタンク41内に供給し、タンク41内の圧力を調節する。この圧力下で、ターゲット物質は、ノズル42のノズル孔からチャンバ10の第1空間11aに吐出する。ノズル孔から吐出するターゲット物質は、ジェットの形態をとってもよい。このとき、プロセッサ120は、ドロップレットターゲットDLを生成するために、ピエゾ電源48からピエゾ素子47に所定波形の電圧を印加する。ピエゾ電源48は、電圧値の波形が例えば正弦波状、矩形波状、或いはのこぎり波状となるように、電圧を印加する。ピエゾ素子47の振動は、ノズル42を経由してノズル42のノズル孔から吐出するターゲット物質へと伝搬し得る。ターゲット物質は、この振動により所定周期で分断され、液滴のドロップレットターゲットDLとなる。ドロップレットターゲットDLの直径は、概ね10μm以上30μm以下である。
【0044】
ドロップレットターゲットDLは、吐出されると、ドロップレット供給開口507を通過してプラズマ生成領域ARに進行する。検出部27は、チャンバ10の第2空間11bの所定位置を通過するドロップレットターゲットDLの通過タイミングを検出する。プロセッサ120は、ドロップレットターゲットDLにレーザ光90が照射されるように、検出部27からの信号に基づいて、レーザ装置LDからレーザ光90が出射するタイミングを制御して、トリガ信号を出力する。プロセッサ120から出力されたトリガ信号は、レーザ装置LDに入力する。レーザ装置LDは、トリガ信号が入力されると、レーザ光90を出射する。
【0045】
出射されたレーザ光90は、レーザ光デリバリ光学系30とウィンドウ12とを経由して、レーザ集光光学系13に入射する。また、レーザ光90は、レーザ集光光学系13から第2開口505を通過してプラズマ生成領域ARに向かって進行する。そして、レーザ光90は、プラズマ生成領域ARでドロップレットターゲットDLに照射される。このとき、プロセッサ120は、レーザ光90がプラズマ生成領域ARに集光するように、レーザ集光光学系13のレーザ光マニュピレータ13Cを制御する。また、プロセッサ120は、レーザ光90がドロップレットターゲットDLに照射されるように、検出部27からの信号に基づいて、レーザ装置LDからレーザ光90を出射するタイミングを制御する。これにより、レーザ光集光ミラー13Aによって集光するレーザ光90は、プラズマ生成領域ARでドロップレットターゲットDLに照射される。当該照射によりプラズマが生成され、当該プラズマからEUV光101を含む光が放射される。
【0046】
プラズマ生成領域ARで発生したEUV光101を含む光のうち、EUV光101は、第1開口501を通過してEUV光集光ミラー75に進行し、EUV光集光ミラー75によって中間集光点IFで集光された後、接続部19から露光装置200に入射する。
【0047】
上記のように、第1ガス供給装置601は、ガス配管601b及びガス供給口601aを通じてチャンバ10の第1空間11aにエッチングガスを供給する。エッチングガスは、第1開口501、第2開口505、ドロップレット供給開口507、及びドロップレット排出開口509を通じて第2空間11bに流入する。第1排気装置531は、エッチングガスを第2空間11bにおける残留ガスと共に、ガス排気口503を通じて吸引する。これにより、第2空間11bにおけるガスは、チャンバ10の外部に排気される。このようなガスの排気によって、第2空間11bの圧力は第1空間11aの圧力よりも低い状態となる。従って、第1空間11aにおけるエッチングガスは、第1空間11aから第1開口501、第2開口505、ドロップレット供給開口507、及びドロップレット排出開口509を通じて第2空間11bに流れ易くなる。エッチングガスが第2空間11bに流れ易くなると、第1空間11aにおけるエッチングガスの淀みが抑制され、EUV光集光ミラー75へのプラズマ化されない未反応のターゲット物質といったデブリの堆積が抑制される。また、第2空間11bから第1空間11aへのガスの逆流が抑制される。第1排気装置531に吸引されたガスは、無害化等の所定の排気処理が施される。
【0048】
3.3 課題
筐体500の第2空間11bにはプラズマ生成領域ARが位置しており、第2空間11bではガスが第1排気装置531の吸引によって第1排気装置531に向かってX方向に流れる。これにより、プラズマ生成領域ARにおいて、レーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLは、第2空間11bでのガスの流れによってガスが流れるX方向にずれる傾向にある。ところで、プラズマ生成領域ARにてドロップレットターゲットDLにレーザ光90を照射できるよう、ドロップレットターゲットDLを吐出するノズル42の位置が調整されている。この状態でドロップレットターゲットDLに対してレーザ光90を照射すると、ドロップレットターゲットDLは加熱されプラズマ化する。その影響でプラズマ生成領域AR周辺のガスも加熱されて膨張し、その圧力波はプラズマ生成領域ARを中心に例えば半径40mm程度の範囲に外向きに伝搬する。圧力波が当該範囲を通過することにより、第2空間11bでのガス流れの分布は時間的に変化し、この間に通過するドロップレットターゲットDLがガスの流れによってX方向にずれる量も時間的に変化する。ドロップレットターゲットDLのずれ量が時間変動することによって、ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置がずれ、レーザ光90を照射されたドロップレットターゲットDLから生成されるEUV光101の強度が安定化しないことがある。なお、ドロップレットターゲットDLは、第1開口501からのガスの流れによってX方向にずれ、ドロップレット供給開口507及びドロップレット排出開口509からのガスの流れによってY方向にずれる傾向にある。また、ドロップレットターゲットDLは、第2開口505からのガスの流れによってチャンバ10の内部空間におけるレーザ光90の進行方向にずれる傾向にある。しかし、第1開口501の面積が第2開口505、ドロップレット供給開口507、及びドロップレット排出開口509のそれぞれの面積よりも大きいため、ドロップレットターゲットDLは、他の方向よりもX方向に大きくずれる傾向にある。図6は、上記のようにレーザ光90の照射位置がずれたドロップレットターゲットDLにレーザ光90を照射した直後に生成されるEUV光101の強度の変化を示す図である。図6の横軸はレーザ光90のパルス数を示し、縦軸はEUV光101の強度を示す。ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置がずれると、レーザ光90がドロップレットターゲットDLを照射し続けても、EUV光101の強度が安定化しない懸念が生じる。EUV光101の強度が安定化しないと、露光装置200や検査装置300から要求される性能を満たすEUV光101が出射されず、EUV光生成装置100の信頼性が低下するという懸念が生じる。
【0049】
そこで、以下の実施形態では、信頼性の低下が抑制され得るEUV光生成装置100が例示される。
【0050】
4.実施形態1の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態1のEUV光生成装置100の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0051】
4.1 構成
図7は、本実施形態におけるドロップレットターゲットDLの軌道に垂直なチャンバ10の断面図である。本実施形態のEUV光生成装置100では、筐体500の構成が比較例の筐体500と異なり、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸の沿う方向が比較例のレーザ光90の光軸の沿う方向と異なる。なお、比較例では、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸の沿う方向はZ方向である。比較例と同様に、本実施形態のプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向は、X方向である。
【0052】
本実施形態の筐体500には、第2開口505が設けられていない。このため、本実施形態のレーザ光90は、第1空間11aにおいてEUV光集光ミラー75の側方を通過し、第1開口501からプラズマ生成領域ARに進行する。また、本実施形態では、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸がプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿うように、当該レーザ光90はプラズマ生成領域ARに進行する。プラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に対するドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸の傾き角度は、例えば20度以内であることが好ましい。
【0053】
4.2 作用・効果
本実施形態のチャンバ10装置では、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸は、プラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿う。
【0054】
ガスが第2空間11bをX方向に流れると、プラズマ生成領域ARにおいてドロップレットターゲットDLは、X方向にずれる傾向にあり、レーザ照射の影響でドロップレットターゲットDLのX方向のずれ量が時間的に変化する。この構成によれば、レーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLがプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向にずれても、当該ドロップレットターゲットDLは当該ドロップレットターゲットDLを照射するレーザ光90の光軸上に位置する。従って、ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置のずれが抑制され得る。当該ずれの抑制により、レーザ光90を照射されたドロップレットターゲットDLから生成されるEUV光101の強度が安定化し得る。従って、露光装置200や検査装置300から要求される性能を満たすEUV光101が出射され得、EUV光生成装置100の信頼性の低下が抑制され得る。
【0055】
また、レーザ光90は、第1開口501からプラズマ生成領域ARに進行する。この構成によれば、第1開口501から第2空間11bに流れるガスの大部分はX方向に進行するため、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸をプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿い易くし得る。
【0056】
5.実施形態2の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態2のEUV光生成装置100の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0057】
5.1 構成
図8は、本実施形態におけるドロップレットターゲットDLの軌道に垂直なチャンバ10の断面図である。本実施形態のEUV光生成装置100では、EUV光集光ミラー75の構成及びEUV光集光ミラー75に対するレーザ光90の通過位置が実施形態1とは異なる。
【0058】
本実施形態のEUV光集光ミラー75は、第1開口501に進行するレーザ光90が通過するミラー開口75cを含む。ミラー開口75cは、EUV光集光ミラー75の中央に設けられ、第1開口501に対向する。従って、レーザ光90は、EUV光集光ミラー75の中央を通過する。なお、ミラー開口75cは、第1開口501に対向すればEUV光集光ミラー75においてどこに設けられていてもよい。ミラー開口75cの面積は、第1開口501の面積よりも小さいが、第1開口501の面積以上であってもよい。
【0059】
5.2 作用・効果
本実施形態のEUV光集光ミラー75は、ミラー開口75cを含む。この構成によれば、レーザ光90がミラー開口75c及び第1開口501を通過してプラズマ生成領域ARに進行するため、EUV光集光ミラー75や筐体500といったチャンバ10の内部空間に配置される機器の配置の自由度が向上し得る。また、ミラー開口75cは、第1開口501に対向する。この構成によれば、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸をプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向により沿い易くし得る。なお、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸がプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿うのであれば、ミラー開口75cは第1開口501に対向してなくてもよい。
【0060】
6.実施形態3の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態3のEUV光生成装置100の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0061】
6.1 構成
図9は、本実施形態におけるドロップレットターゲットDLの軌道に垂直なチャンバ10の断面図である。本実施形態のEUV光生成装置100では、EUV光生成装置100の構成が比較例とは異なる。
【0062】
本実施形態のEUV光生成装置100は、第1空間11aにおいてレーザ光90の光路を囲う第1配管551と、筐体500に設けられ、第2開口505に向かい合う第1ガス通過口513と、第1ガス通過口513に接続される第2配管555とをさらに備える。
【0063】
第1配管551は、第1空間11aからチャンバ10の外部に延在しており、チャンバ10の外部においてガス配管603bの内側に位置している。ガス配管603bはチャンバ10の外壁に接続されており、ガス配管603bには第1配管551の内部を通過するレーザ光90が透過するウィンドウ603cが設けられている。また、ガス配管603bは、チャンバ10の外部において第2ガス供給装置603に接続されている。第2ガス供給装置603は、ガス配管603bを通じて第1配管551にガスを供給する。このガスは、エッチングガスである。第2ガス供給装置603は、プロセッサ120によって駆動を制御される。ガス配管603bには、バルブである不図示の供給ガス流量調節部が配置されてもよい。図9では、ガス配管603b及び第1配管551におけるガスの流れを矢印F4で示している。第1配管551に流入するガスの流量は、例えば、40nlm以上60nlm以下である。
【0064】
また、第1配管551は、第1空間11aにおいて第2開口505に向かって延在している。第1配管551は、第2開口505に接続されている。このように延在する第1配管551は、第2ガス供給装置603からガス配管603bを通じて流れるガスを、第2開口505を通じてプラズマ生成領域ARに供給する。第2空間11bにおいてプラズマ生成領域AR側に位置する第1配管551の先端は、プラズマ生成領域ARから例えば20mm以上離れている。第1配管551は、プラズマ生成領域ARに向かって徐々に先細にされてもよい。なお、第1配管551は、第2開口505に接続されている必要はなく、第1配管551の先端が第1空間11aにおいて第2開口505に向かい合ってもよい。
【0065】
第1配管551からプラズマ生成領域ARに進行するガスのプラズマ生成領域ARにおける第1流速は、第1空間11aから第1開口501を通じてプラズマ生成領域ARに進行するガスのプラズマ生成領域ARにおける第2流速より速い。第1流速は、例えば、200m/s以上600m/s以下であり、400m/sが好ましい。また、第2流速は、例えば、40m/s以上80m/s以下であり、60m/sが好ましい。
【0066】
第1ガス通過口513は、プラズマ生成領域ARを基準にして第2開口505とは反対側に設けられる。第1ガス通過口513の面積は、第2開口505の面積以上であることが好ましいが、第2開口505の面積より小さくてもよい。
【0067】
第2配管555は、第1空間11aからチャンバ10の外部に延在する。また、第2配管555は、チャンバ10の外部に配置される第2排気装置533に接続される。第2排気装置533は、吸引ポンプを含む。本実施形態では、第2排気装置533が設けられておらず、第2配管555は第1排気装置531に接続されてもよい。
【0068】
6.2 動作
次に、本実施形態におけるEUV光生成装置100の動作について説明する。
【0069】
第2ガス供給装置603は、ガス配管603bを通じて第1配管551にガスを供給する。当該ガスは、第1配管551を流れ、第1配管551からプラズマ生成領域ARに向かって流れる。このため、プラズマ生成領域ARでのガスは、実施形態1とは異なり、X方向よりも第1配管551の延在方向に流れ易い。そしてガスの大部分は、プラズマ生成領域AR及び第1ガス通過口513を通過して、第2配管555に流れる。第2配管555に流れたガスは、第2排気装置533の吸引によって第2排気装置533に排気される。図9では、第2配管555におけるガスの流れを矢印F5で示している。また、ガスの別の一部は、実施形態1と同様にX方向に流れて、第1排気装置531の吸引によって第1排気装置531に排気される。
【0070】
レーザ光90は、第1配管551を通りプラズマ生成領域ARに進行する。このEUV光生成装置100では、ドロップレットターゲットDLに照射される際のレーザ光90の光軸は、プラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向、つまり、第1配管551の延在方向に沿う。このため、第1配管551を通るレーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLがプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向にずれても、当該ドロップレットターゲットDLはレーザ光90の光軸上に位置する。これにより、ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置のずれが抑制される。そして、レーザ光90がドロップレットターゲットDLを照射すると、プラズマが生成されると共に、プラズマからEUV光101が放射される。EUV光101は、第1開口501を通過してEUV光集光ミラー75に進行し、EUV光集光ミラー75によって入射方向と異なる方向に反射して露光装置200に進行する。
【0071】
6.3 作用・効果
本実施形態のEUV光生成装置100は、第1空間11aにおいてレーザ光90の光路を囲う第1配管551をさらに備える。第1配管551は、第2開口505に向かって延在し、ガスをチャンバ10の外部からプラズマ生成領域ARに供給する。この構成によれば、レーザ光90の光軸をプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿い易くし得る。従って、レーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置のずれがより抑制され得る。
【0072】
また、第1流速は、第2流速より速い。この構成によれば、レーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLは、第1空間11aから第1開口501を通じてプラズマ生成領域ARに進行するガスが流れるX方向より第1配管551からプラズマ生成領域ARに進行するガスが流れる方向にずれ易くなり得る。そして、この構成では、第1配管551に沿ってレーザ光90が進行する。従って、上記のようにドロップレットターゲットDLがプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向にずれても、当該ドロップレットターゲットDLはレーザ光90の光軸上に位置するため、ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置のずれが抑制され得る。当該ずれが抑制されると、レーザ光90を照射されたドロップレットターゲットDLから生成されるEUV光101の強度が安定化し得る。なお、第1流速は、第2流速以下であってもよい。
【0073】
また、本実施形態のEUV光生成装置100は、筐体500に設けられ、第2開口505に向かい合う第1ガス通過口513と、第1ガス通過口513に接続され、第1空間11aからチャンバ10の外部に延在する第2配管555とをさらに備える。この構成によれば、第1配管551を通じてプラズマ生成領域ARに供給されたガスは、プラズマ生成領域ARを通過して、第1ガス通過口513及び第2配管555を通じてチャンバ10の外部に排気され得る。これにより、プラズマ生成領域ARを通過したガスが筐体500の内壁10bに衝突することが抑制され得、衝突によるプラズマ生成領域ARにおけるガスの流れの乱れが抑制され得る。従って、レーザ光90の光軸をプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿い易くし得る。
【0074】
なお、本実施形態のEUV光生成装置100において、第1ガス通過口513、第2配管555、及び第2排気装置533は、設けられていなくてもよい。
【0075】
図10は、本実施形態の変形例1におけるドロップレットターゲットDLの軌道に垂直なチャンバ10の断面図である。本変形例の第1配管551は、第2開口505を通り第2空間11bにおいてプラズマ生成領域ARに向かって延在する。この構成によれば、レーザ光90の光軸をプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向にさらに沿い易くし得る。
【0076】
図11は、本実施形態の変形例2におけるドロップレットターゲットDLの軌道に垂直なチャンバ10の断面図である。本変形例のEUV光生成装置100では、第2排気装置533が設けられておらず、EUV光生成装置100及び筐体500の構成が実施形態3とは異なる。
【0077】
本変形例のEUV光生成装置100は、筐体500に設けられる第2ガス通過口515と、第1空間11aに配置され、第1ガス通過口513及び第2ガス通過口515に接続される第3配管557とを備える。第2ガス通過口515は、筐体500における第1開口501、ガス排気口503、第2開口505、ドロップレット供給開口507、ドロップレット排出開口509、及び第1ガス通過口513と異なる位置に設けられる。
【0078】
この構成によれば、第1配管551を通じてプラズマ生成領域ARに供給されたガスは、プラズマ生成領域ARを通過して、第1ガス通過口513、第3配管557、及び第2ガス通過口515を通じて第2空間11bに進行する。図11では、第3配管557におけるガスの流れを矢印F6で示している。そして、ガスは、ガス排気口503からチャンバ10の外部に排気され得る。また、この構成によれば、第2配管555をチャンバ10の外部に延在させる開口をチャンバ10に設ける必要がなく、第2排気装置533が不要となり得、チャンバ10の構成を簡素にし得る。
【0079】
また、第2ガス通過口515は、X方向において、第1ガス通過口513及びガス排気口503の間に位置する。この構成によれば、第3配管557を流れるガスは、プラズマ生成領域ARの下流側に進行する。このため、プラズマ生成領域ARを通過したガスによるプラズマ生成領域ARにおけるドロップレットターゲットDLの軌道の乱れが抑制され得る。
【0080】
なお、本変形例においても第1配管551は、第2開口505を通り抜ける必要はなく、第2開口505に接続されてもよいし、第1配管551の先端が第1空間11aにおいて第2開口505に向かい合っていてもよい。
【0081】
7.実施形態4の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態4のEUV光生成装置100の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0082】
7.1 構成
図12は本実施形態におけるドロップレットターゲットDLを照射する際のレーザ光90の光軸に垂直な断面図であり、図13はドロップレットターゲットDLの軌道に垂直なチャンバ10の断面図である。本実施形態のEUV光生成装置100では、EUV光生成装置100の構成が比較例とは異なる。
【0083】
EUV光生成装置100は、ターゲット供給配管571と、ターゲット受け配管573と、ガス通過配管575とをさらに備える。
【0084】
ターゲット供給配管571は、第1空間11aにおいてY方向に沿って配置され、チャンバ10の外部に延在している。ターゲット供給配管571は、チャンバ10の外部に位置するターゲット供給部40から供給されるドロップレットターゲットDLの軌道を囲う。本実施形態のターゲット供給配管571は、ドロップレット供給開口507を通り第2空間11bにおいてプラズマ生成領域ARに向かって延在する。第2空間11bにおいてプラズマ生成領域AR側に位置するターゲット供給配管571の先端は、プラズマ生成領域ARから例えば20mm以上離れている。
【0085】
チャンバ10の外部におけるターゲット供給配管571には、ターゲットガス供給口571aが設けられている。このターゲットガス供給口571aにはガス配管605bが接続され、ガス配管605bにはチャンバ10の外部において第3ガス供給装置605が接続されている。第3ガス供給装置605はガス配管605bを通じてターゲットガス供給口571aにガスを供給し、ターゲットガス供給口571aはターゲット供給配管571を通じてガスをプラズマ生成領域ARに供給する。このガスは、エッチングガスである。第3ガス供給装置605は、プロセッサ120によって駆動を制御される。ガス配管605bには、バルブである不図示の供給ガス流量調節部が配置されてもよい。図13では、ガス配管605b及びターゲット供給配管571におけるガスの流れを矢印F7で示している。ターゲット供給配管571に流入するガスの流量は、例えば、40nlm以上60nlm以下である。
【0086】
ターゲットガス供給口571aからターゲット供給配管571を通じてプラズマ生成領域ARに進行するガスのプラズマ生成領域ARにおける第3流速は、例えば200m/s以上600m/s以下であり、400m/sが好ましい。第3流速は、第1空間11aから第1開口501を通じてプラズマ生成領域ARに進行するガスのプラズマ生成領域ARにおける第2流速より速い。
【0087】
ターゲット受け配管573は、第1空間11aに配置され、ドロップレット排出開口509に接続され、開口10aに向かってY方向に沿って延在している。このようにしてターゲット受け配管573は、ドロップレット排出開口509を通過したドロップレットターゲットDLの軌道を囲う。
【0088】
ターゲット受け配管573にはターゲット受け排気口573aが設けられ、ターゲット受け排気口573aにはガス通過配管575が接続されている。ターゲット受け排気口573aは、筐体500の第2空間11bからドロップレット排出開口509を通じてターゲット受け配管573に流れたガスをガス通過配管575に排気する。図12では、ターゲット受け配管573におけるガスの流れを矢印F8で示し、ガス通過配管575におけるガスの流れを矢印F9で示す。
【0089】
ガス通過配管575は、チャンバ10の外部に延在しており、筐体500に設けられるガス通過口517に接続されている。ガス通過口517は、筐体500における第1開口501、ガス排気口503、第2開口505、ドロップレット供給開口507、ドロップレット排出開口509と異なる位置に設けられる。ガス通過口517は、X方向において、ドロップレット排出開口509及びガス排気口503の間に位置する。
【0090】
本実施形態の検出部27は、ドロップレットターゲットDLに向かって光92を出射する光源ユニット710と、光源ユニット710から出射される光92を検出する撮像ユニット720とを含む。光源ユニット710と撮像ユニット720とは、プロセッサ120に電気的に接続される。光源ユニット710は、ドロップレットターゲットDLの軌道を基準として撮像ユニット720側とは反対側に配置される。つまり、光源ユニット710及び撮像ユニット720は、ドロップレットターゲットDLの軌道を挟んで対向して配置される。また、光源ユニット710及び撮像ユニット720が並ぶ方向は、当該軌道と直交しているが、当該軌道と非直交でもよい。光源ユニット710は、チャンバ10の外側においてチャンバ10の内壁10bに取り付けられ、内壁10bに設けられるウィンドウ731aと同軸上に配置される。撮像ユニット720も、チャンバ10の内壁10bに取り付けられ、内壁10bに設けられるウィンドウ731bと同軸上に配置される。
【0091】
光源ユニット710は、容器715と、容器715に収容される光源711及び照明光学系713とを含む。光源711は、例えば、単色のレーザ光を出射する光源でもよいし、複数の波長を含む光を出射するフラッシュランプでもよい。照明光学系713は、光源711から出射される光92をウィンドウ731a及び筐体500の開口519aを介してドロップレットターゲットDLの軌道上に集光する。照明光学系713は、例えば、コリメートレンズを含む。
【0092】
撮像ユニット720は、容器725と、容器725に収容される受光光学系721及び撮像部723とを含む。受光光学系721は、例えば、集光レンズを含む。受光光学系721は、第2空間11bからの光92を筐体500の開口519b及びウィンドウ731bを介して撮像部723に集光する。具体的には、受光光学系721は、ドロップレットターゲットDLの検出精度を向上させるために、ドロップレットターゲットDLの軌跡及びその周囲における像を撮像部723の受光面に結像する。光源ユニット710による光92の集光領域をドロップレットターゲットDLが通過するときに、撮像部723はドロップレットターゲットDLの軌跡及びその周囲を通る光92の変化を検出する。撮像部723は、検出した光92の変化を、ドロップレットターゲットDLのイメージデータに係る信号としての電気信号に変換する。撮像部723は、この電気信号をプロセッサ120に出力する。また、撮像部723は、ドロップレットターゲットDLの検出タイミングに係る信号をプロセッサ120に出力する。プロセッサ120は、ドロップレットターゲットDLの検出タイミングに係る信号に対して所定時間遅延させた発光トリガ信号をレーザ装置LDに出力する。撮像部723は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)、フォトダイオード等である。光源ユニット710、撮像ユニット720、開口519a,519b、及びウィンドウ731a,731bは、検出部27によるドロップレットターゲットDLの検出地点が第2空間11bにおいてプラズマ生成領域ARからドロップレット供給開口507に向かって例えば2mmに位置するように、設けられる。
【0093】
7.2 動作
次に、本実施形態におけるEUV光生成装置100の動作について説明する。
【0094】
ターゲット供給部40はドロップレットターゲットDLを吐出し、ドロップレットターゲットDLはターゲット供給配管571を通じてプラズマ生成領域ARに進行する。そして、不要なドロップレットターゲットDLは、プラズマ生成領域ARを通過して、ドロップレット排出開口509、ターゲット受け配管573、及び開口10aを通じてターゲット回収部14によって回収される。
【0095】
この状態で、光源ユニット710はドロップレットターゲットDLに向けて光92を出射し、撮像ユニット720は当該光92を検出する。
【0096】
第3ガス供給装置605は、ガス配管605b及びターゲットガス供給口571aを通じてターゲット供給配管571にガスを供給する。当該ガスは、ターゲット供給配管571を流れ、ターゲット供給配管571からプラズマ生成領域ARに向かって流れる。このため、プラズマ生成領域ARでのガスは、実施形態1とは異なり、X方向よりもターゲット供給配管571の延在方向に流れ易い。そしてガスの大部分は、プラズマ生成領域AR、ターゲット受け配管573、及びターゲット受け排気口573aを通過して、ガス通過配管575に流れる。そして、ガス通過配管575に流れたガスは、ガス通過口517を通じて第2空間11bに流れ第1排気装置531の吸引によって第1排気装置531に排気される。また、ガスの別の一部は、実施形態1と同様にX方向に流れて、第1排気装置531の吸引によって第1排気装置531に排気される。
【0097】
本実施形態のEUV光生成装置100では、ターゲット供給部40からプラズマ生成領域ARに供給されるドロップレットターゲットDLの進行方向は、ターゲット供給配管571から供給されたプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿う。ガスが第3ガス供給装置605からガス配管605b及びターゲット供給配管571を経由してプラズマ生成領域ARに向かってY方向に流れるため、プラズマ生成領域ARにおいてドロップレットターゲットDLはガスが流れる方向にずれる傾向にある。ガスが流れる方向は、Y方向である。
【0098】
プロセッサ120は、検出部27からドロップレットターゲットDLの検出タイミングに係る信号を受信し、当該信号に対して所定時間遅延させた発光トリガ信号をレーザ装置LDに出力する。検出部27によるドロップレットターゲットDLの検出地点がプラズマ生成領域ARの極めて近くに位置するため、レーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLがガスが流れる方向にずれても、レーザ光90がプラズマ生成領域ARに到達するタイミングへの影響は極めて小さい。そのため、ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置のずれも極めて小さくなる。そして、レーザ光90がドロップレットターゲットDLを照射すると、プラズマが生成されると共に、プラズマからEUV光101が放射される。EUV光101は、第1開口501を通過してEUV光集光ミラー75に進行し、EUV光集光ミラー75によって入射方向と異なる方向に反射して露光装置200に進行する。
【0099】
7.3 作用・効果
本実施形態のチャンバ10装置では、プロセッサ120は、検出部27からドロップレットターゲットDLの検出タイミングに係る信号を受信し、当該信号に対して所定時間遅延させた発光トリガ信号をレーザ装置LDに出力する。
【0100】
ガスが第2空間11bをY方向に流れると、上記のようにプラズマ生成領域ARにおいてドロップレットターゲットDLは、第2空間11bにおけるガスの流れによってガスが流れる方向にずれる傾向にある。本実施形態のEUV光生成装置100では、ターゲット供給部40からプラズマ生成領域ARに供給されるドロップレットターゲットDLの進行方向は、ターゲット供給配管571から供給されたプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿う。上記の構成では、検出部27によるドロップレットターゲットDLの検出地点がプラズマ生成領域ARの直上に位置し、検出部27によって検出地点でのドロップレットターゲットDLの通過を検出した上で、レーザ装置LDの照射タイミングを決めている。このため、レーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLがガスが流れる方向にずれても、ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置のずれが抑制され得る。当該ずれの抑制により、レーザ光90を照射されたドロップレットターゲットDLから生成されるEUV光101の強度が安定化し得る。従って、露光装置200や検査装置300から要求される性能を満たすEUV光101が出射され得、EUV光生成装置100の信頼性の低下が抑制され得る。
【0101】
また、ターゲット供給配管571は、ドロップレット供給開口507を通り第2空間11bにおいてプラズマ生成領域ARに向かって延在する。この構成によれば、ターゲット供給部40からプラズマ生成領域ARに向かって供給されるドロップレットターゲットDLを、ターゲット供給配管571を経由してプラズマ生成領域ARに向かうプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿い易くし得る。なお、ターゲット供給配管571は、ドロップレット供給開口507を通り抜ける必要はなく、ドロップレット供給開口507に接続されてもよい。または、ターゲット供給配管571の先端は、第1空間11aにおいてドロップレット供給開口507に向かい合ってもよい。
【0102】
また、第3流速は、第2流速より速い。この構成によれば、プラズマ生成領域ARにおいてレーザ光90を照射されるドロップレットターゲットDLは、第1空間11aから第1開口501を通じてプラズマ生成領域ARに進行するガスが流れる方向よりもターゲット供給配管571を通じてプラズマ生成領域ARに進行するガスが流れる方向にずれ易くなり得る。この構成では、ターゲット供給配管571に沿ってレーザ光90が進行する。従って、上記のように当該ドロップレットターゲットDLがガスが流れる方向にずれても、当該ドロップレットターゲットDLはレーザ光90の光軸上に位置するため、ドロップレットターゲットDLに対するレーザ光90の照射位置のずれが抑制され得る。当該ずれが抑制されると、レーザ光90を照射されたドロップレットターゲットDLから生成されるEUV光101の強度が安定化し得る。なお、第3流速は、第2流速以下であってもよい。
【0103】
また、本実施形態のEUV光生成装置100は、ドロップレット排出開口509とターゲット受け配管573とを備える。この構成によれば、ターゲット供給配管571を通じてプラズマ生成領域ARに供給されたガスは、プラズマ生成領域ARを通過して、ドロップレット排出開口509及びターゲット受け配管573を通じてチャンバ10の外部に排気され得る。これにより、ターゲット供給配管571を通じてプラズマ生成領域ARに供給され、プラズマ生成領域ARを通過したガスが筐体500の内壁10bに衝突することが抑制され得、衝突によるプラズマ生成領域ARにおけるガスの流れの乱れが抑制され得る。従って、レーザ光90の光軸をプラズマ生成領域ARでのガスが流れる方向に沿い易くし得る。なお、ターゲット受け配管573は設けられてなくてもよい。
【0104】
また、本実施形態のEUV光生成装置100は、ターゲット受け排気口573aと、ガス通過口517と、ガス通過配管575とをさらに備える。この構成によれば、第2空間11bからターゲット受け配管573に流れたガスは、ターゲット受け排気口573a、第2配管555、及びガス通過口517を通じて第2空間11bに進行し、ガス排気口503からチャンバ10の外部に排気され得る。従って、ターゲット受け配管573にガスが溜まり、ターゲット受け配管573にデブリが堆積することが抑制され得る。
【0105】
また、ガス通過口517は、ドロップレット排出開口509及びガス排気口503の間に位置する。この構成によれば、ターゲット受け配管573を流れるガスは、プラズマ生成領域ARの下流側に進行する。このため、プラズマ生成領域ARを通過したガスによるプラズマ生成領域ARにおけるドロップレットターゲットDLの軌道の乱れが抑制され得る。
【0106】
なお、本実施形態のEUV光生成装置100において、ターゲット受け配管573、ガス通過口517、及びガス通過配管575は、設けられていなくてもよい。或いは、本実施形態のEUV光生成装置100において、ターゲット受け排気口573a、ガス通過口517、及びガス通過配管575は、設けられていなくてもよい。
【0107】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。たとえば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきであり、さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
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