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特開2023-121611画像形成装置、画像形成方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121611
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
B41J2/01 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025050
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】岩波 智史
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB27
2C056EB36
2C056FA10
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】画像のずれ量を高精度に検出可能とする画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、複数のノズルを有する記録ヘッドと、前記複数のノズルのうち基準ノズルを用いて基準調整パターンを記録媒体に印字し、前記記録媒体が前記基準ノズルから副走査方向に所定搬送量搬送された際に、副走査方向において前記基準ノズルから前記所定搬送量離れた前記ノズルを基準として所定距離離れた前記ノズルである指定ノズルを用いて調整パターンを前記記録媒体に印字する印字部と、前記基準調整パターンおよび前記調整パターンを検出する検出部と、副走査方向における前記基準調整パターンと前記調整パターン間の距離を算出する算出部と、前記算出部により算出した距離の標準偏差が所定値以上であるか否かを判断する判断部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する記録ヘッドと、
前記複数のノズルのうち基準ノズルを用いて基準調整パターンを記録媒体に印字し、前記記録媒体が前記基準ノズルから副走査方向に所定搬送量搬送された際に、副走査方向において前記基準ノズルから前記所定搬送量離れた前記ノズルを基準として所定距離離れた前記ノズルである指定ノズルを用いて調整パターンを前記記録媒体に印字する印字部と、
前記基準調整パターンおよび前記調整パターンを検出する検出部と、
副走査方向における前記基準調整パターンと前記調整パターン間の距離を算出する算出部と、
前記算出部により算出した距離の標準偏差が所定値以上であるか否かを判断する判断部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記印字部は、副走査方向において前記基準ノズルから前記所定搬送量離れたノズルを基準として前後両側の前記所定距離離れた前記指定ノズルを用いて前記調整パターンを前記記録媒体に印字する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印字部は、主走査方向の位置が異なる複数の前記基準調整パターンおよび前記調整パターンを前記記録媒体に印字する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記標準偏差が前記所定値以上であると判断された場合、前記標準偏差が前記所定値以上であることを通知する通知部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印字部は、前記基準ノズルまたは前記指定ノズルからの液体の吐出に曲がりがあると判断された場合、前記基準調整パターンおよび前記調整パターンを再度印字する、請求項1から3のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
印字部が、記録ヘッドが有する複数のノズルのうち基準ノズルを用いて基準調整パターンを記録媒体に印字し、前記記録媒体が前記基準ノズルから副走査方向に所定搬送量搬送された際に、副走査方向において前記基準ノズルから前記所定搬送量離れた前記ノズルを基準として所定距離離れた前記ノズルである指定ノズルを用いて調整パターンを前記記録媒体に印字する工程と、
検出部が、前記基準調整パターンおよび前記調整パターンを検出する工程と、
算出部が、副走査方向における前記基準調整パターンと前記調整パターン間の距離を算出する工程と、
判断部が、算出した距離の標準偏差が所定値以上であるか否かを判断する工程と、
を含む画像形成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
記録ヘッドが有する複数のノズルのうち基準ノズルを用いて基準調整パターンを記録媒体に印字し、前記記録媒体が前記基準ノズルから副走査方向に所定搬送量搬送された際に、副走査方向において前記基準ノズルから前記所定搬送量離れた前記ノズルを基準として所定距離離れた前記ノズルである指定ノズルを用いて調整パターンを前記記録媒体に印字する印字部と、
前記基準調整パターンおよび前記調整パターンを検出する検出部と、
副走査方向における前記基準調整パターンと前記調整パターン間の距離を算出する算出部と、
前記算出部により算出した距離の標準偏差が所定値以上であるか否かを判断する判断部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成における画像のずれ量を高精度に検出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術によれば、画像のずれ量を検出するためのパターンの画像形成時に、ノズルからのインク等の液体の吐出が曲がっている場合、画像のずれ量を正確に検出することが困難である。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像のずれ量を高精度に検出可能とする画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数のノズルを有する記録ヘッドと、前記複数のノズルのうち基準ノズルを用いて基準調整パターンを記録媒体に印字し、前記記録媒体が前記基準ノズルから副走査方向に所定搬送量搬送された際に、副走査方向において前記基準ノズルから前記所定搬送量離れた前記ノズルを基準として所定距離離れた前記ノズルである指定ノズルを用いて調整パターンを前記記録媒体に印字する印字部と、前記基準調整パターンおよび前記調整パターンを検出する検出部と、副走査方向における前記基準調整パターンと前記調整パターン間の距離を算出する算出部と、前記算出部により算出した距離の標準偏差が所定値以上であるか否か判断する判断部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像のずれ量を高精度に検出可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の内部の一例を透視して示す斜視図である。
図2図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置の内部の機械的構成の一例を示す上面図である。
図3図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置のキャリッジの一例の説明図である。
図4図4は、本実施の形態にかかる撮像部の一例の外観を示す斜視図である。
図5図5は、本実施の形態にかかる撮像部の一例の分解斜視図である。
図6図6は、図4中のX1方向から見た撮像部の縦断面図である。
図7図7は、図4中のX2方向から見た撮像部の縦断面図である。
図8図8は、本実施の形態にかかる撮像部の平面視図である。
図9図9は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する基準チャートの具体例を示す図である。
図10図10は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する撮像部の縦断面図である。
図11図11は、図10の撮像部をX2方向から見た平面図である。
図12図12は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する搬送ローラ周りの一例の構成図である。
図13図13は、本実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成図である。
図14図14は、本実施の形態にかかる画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図15図15は、本実施の形態にかかる画像形成装置により記録媒体に形成されたテストパターンの一例を示す図である。
図16図16は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるテストパターンの形成方法の一例の説明図である。
図17図17は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるテストパターンの形成方法の一例の説明図である。
図18図18は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるテストパターンの形成方法の一例の説明図である。
図19図19は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるテストパターンの形成方法の一例の説明図である。
図20図20は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるテストパターンの形成方法の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
まず、図1~3を参照しながら、本実施の形態にかかる画像形成装置の機械的な構成例について説明する。図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の内部の一例を透視して示す斜視図である。図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置の内部の機械的構成の一例を示す上面図である。図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置のキャリッジの一例の説明図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態にかかる画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には、連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
【0011】
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の移動量および移動速度は、例えば、図2に示すように、キャリッジ5に設けられた主走査エンコーダセンサ131がエンコーダシート14のマークを検知して出力するエンコーダ値に基づいて制御される。
【0012】
キャリッジ5には、図3に示すように、記録ヘッド6A,6B,6Cが搭載されている。記録ヘッド6Aは、イエロー(Y)インクを吐出する多数のノズルを並べたノズル列6Ay、シアン(C)インク(液体の一例)を吐出する多数のノズルを並べたノズル列6Ac、マゼンタ(M)インクを吐出する多数のノズルを並べたノズル列6Am、およびブラック(K)インクを吐出する多数のノズルを並べたノズル列6Akが、一列ずつ並んでいる。以下、これらの記録ヘッド6A、6B、6Cを総称して記録ヘッド6と表記する。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体P側)に向くように、キャリッジ5に支持されている。
【0013】
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6は、パイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
【0014】
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン16が設けられている。プラテン16は、記録ヘッド6から記録媒体P上にインクを吐出する際に、記録媒体Pを支持するためのものである。プラテン16には、厚み方向に貫通する貫通孔が多数設けられ、個々の貫通孔を取り囲むようにリブ状の突起が形成されている。そして、プラテン16の記録媒体Pを支持する面とは逆側に設けられた吸引ファンを作動させることで、プラテン16上から記録媒体Pが脱落することを抑制する構成となっている。記録媒体Pは、後述の副走査モータ12(図13参照)によって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン16上を、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される。記録ヘッド6には、上述したように、副走査方向に並ぶように形成された多数のノズルが設けられている。
【0015】
本実施の形態にかかる画像形成装置100は、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体Pの搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に往復移動させながら、画像データに応じて記録ヘッド6のノズルを選択的に駆動し、記録ヘッド6からプラテン16上の記録媒体P上にインクを吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。また、本実施の形態にかかる画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構15を備える。維持機構15は、記録ヘッド6の吐出面の清掃、キャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出等を行う。また、キャリッジ5には、図3に示すように、記録媒体P上に形成された後述のテストパターンTP(図15参照)を撮像するための撮像部20が搭載されている。撮像部20の詳細は後述する。
【0016】
本実施の形態にかかる画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1には、カバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時およびジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
【0017】
図3で示した撮像部20には、テストパターンTPと同時に撮像される基準チャートを有するものと、有していないものがある。基準チャートとは、例えば、各基準パッチ(図9参照)のRGB値を用いてテストパターンTPの測色値を算出するものである。
【0018】
次に、基準チャートを有する撮像部20の具体例について説明する。図4は、本実施の形態にかかる撮像部の一例の外観を示す斜視図である。図5は、本実施の形態にかかる撮像部の一例の分解斜視図である。図6は、図4中のX1方向から見た撮像部の縦断面図である。図7は、図4中のX2方向から見た撮像部の縦断面図である。図8は、本実施の形態にかかる撮像部の平面視図である。
【0019】
撮像部20は、例えば、矩形の箱状に形成された筐体51を備える。筐体51は、例えば、所定の間隔を空けて対向する底板部51aおよび天板部51bと、これら底板部51aと天板部51bとを繋ぐ側壁部51c,51d,51e,51fと、を有する。筐体51の底板部51aと側壁部51d,51e,51fは、例えば、モールド成形により一体に形成され、これに対して天板部51bと側壁部51cとが着脱可能な構成とされる。図5では、天板部51bと側壁部51cとを取り外した状態を示している。
【0020】
撮像部20は、例えば、筐体51の一部が所定の支持部材に支持された状態で、テストパターンTPが形成された記録媒体Pの搬送経路に設置される。このとき、撮像部20は、図6および図7に示すように、搬送される記録媒体Pに対して筐体51の底板部51aが間隙dを介して略平行な状態で対向するように、所定の支持部材に支持される。
【0021】
テストパターンTPが形成された記録媒体Pと対向する筐体51の底板部51aには、筐体51の外部のテストパターンTPを筐体51の内部から撮像可能にするための開口部53が設けられている。
【0022】
また、筐体51の底板部51aの内面側には、支え部材63を介して開口部53と隣り合うようにして、基準チャート300が配置されている。基準チャート300は、テストパターンTPの測色やRGB値の取得を行う際に、後述のセンサ部26によりテストパターンTPとともに撮像されるものである。なお、基準チャート300の詳細については後述する。
【0023】
一方、筐体51内部の天板部51b側には、回路基板54が配置されている。図8に示すように、回路基板54には、回路基板54側の面が開放されている四角の箱形状の筐体51が、締結部材54bによって固定されている。なお、筐体51は、四角の箱形状に限るものではなく、例えば、開口部53が形成されている底板部51aを有する円筒の箱形状や楕円筒の箱形状等であってもよい。
【0024】
また、筐体51の天板部51bと回路基板54との間には、画像を撮像するセンサ部26が配置されている。センサ部26は、図6に示すように、CCD(Charge Coupled Device)センサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の二次元センサ27と、センサ部26の撮像範囲の光学像を二次元センサ27の受光面(撮像領域)に結像する結像レンズ28と、を備える。二次元センサ27は、被写体からの反射光を受光する受光素子が二次元に並ぶ受光素子アレイである。
【0025】
センサ部26は、例えば、筐体51の側壁部51eと一体に形成されたセンサホルダ56により保持される。センサホルダ56には、回路基板54に形成された貫通孔54aと対向する位置にリング部56aが設けられている。リング部56aは、センサ部26の結像レンズ28側の突出した部分の外形形状に倣った大きさの貫通孔を有する。センサ部26は、結像レンズ28側の突出した部分をセンサホルダ56のリング部56aに挿通することで、結像レンズ28が回路基板54の貫通孔54aを介して筐体51の底板部51a側を臨むようにして、センサホルダ56により保持される。
【0026】
このとき、センサ部26は、図6中の一点鎖線で示す光軸が筐体51の底板部51aに対して略垂直となり、かつ、開口部53と後述の基準チャート300とが撮像範囲に含まれるように、センサホルダ56により位置決めされた状態で保持される。これにより、センサ部26は、二次元センサ27の撮像領域の一部で、筐体51外部のテストパターンTPを、開口部53を介して撮像する。加えて、センサ部26は、二次元センサ27の撮像領域の他の一部で、筐体51の内部に配置された基準チャート300を撮像することができる。
【0027】
なお、センサ部26は、各種の電子部品が実装される回路基板54に対して、例えば、フレキシブルケーブルを介して電気的に接続される。また、回路基板54には、画像形成装置100のメイン制御基板に対して撮像部20を接続するための接続ケーブルが装着される外部接続コネクタ57が設けられている。
【0028】
撮像部20には、センサ部26の中心を通る副走査方向の中心線OA上であって、センサ部26の中心からそれぞれ副走査方向に所定量だけ等間隔で離れた位置の回路基板54に、一対の光源58が配設されている。光源58は、センサ部26による撮像時にその撮像範囲を略均一に照明する。光源58としては、例えば、省スペースおよび省電力に有利なLED(Light Emitting Diode)が用いられる。
【0029】
本実施の形態においては、図7および図8に示すように、結像レンズ28の中心を基準として、開口部53と基準チャート300が並ぶ方向と直交する方向に均等に配置された一対のLEDを光源58として用いている。
【0030】
光源58として用いる2つのLEDは、例えば、回路基板54の底板部51a側の面に実装される。ただし、光源58は、センサ部26の撮像範囲を拡散光により略均一に照明できる位置に配置されればよく、必ずしも回路基板54に直接実装されていなくてもよい。また、2つのLEDの位置は、二次元センサ27を中心として対称位置に配置することにより、基準チャート300側と同一照明条件での撮像面の撮像を可能にしている。また、本実施の形態では、光源58としてLEDを用いたが、光源58の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機EL等を光源58として用いるようにしてもよい。有機ELを光源58として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
【0031】
また、図8に示すように、センサ部26は、光源58と二次元センサ27の直下に、光吸収体55cを備えている。光吸収体55cは、光源58からの光を二次元センサ27以外の方向に反射または吸収する。光吸収体55cは、鋭角な形状で、光源58からの入射光が、光吸収体55c内面へ反射するように形成されており、入射方向へは反射しない構造になっている。
【0032】
また、筐体51の内部には、センサ部26と該センサ部26により開口部53を介して撮像される筐体51外部のテストパターンTPとの間の光路中に、光路長変更部材59が配置されている。光路長変更部材59は、光源58の光に対して十分な透過率を有する屈折率nの光学素子である。光路長変更部材59は、筐体51外部のテストパターンTPの光学像の結像面を筐体51内部の基準チャート300の光学像の結像面に近づける機能を持つ。つまり、この撮像部20では、センサ部26と筐体51外部の被写体との間の光路中に光路長変更部材59を配置することによって光路長を変更する。これにより、撮像部20は、筐体51外部のテストパターンTPの光学像の結像面と、筐体51内部の基準チャート300の結像面とを、ともにセンサ部26の二次元センサ27の受光面に合わせるようにしている。したがって、センサ部26は、筐体51外部のテストパターンTPと筐体51内部の基準チャート300との双方にピントの合った画像を撮像することができる。
【0033】
光路長変更部材59は、例えば、図6に示すように、一対のリブ60,61によって、底板部51a側の面の両端部が支持されている。また、光路長変更部材59の天板部51b側の面と回路基板54との間に押さえ部材62が配置されることで、光路長変更部材59が筐体51内部で動かないようになっている。光路長変更部材59は、筐体51の底板部51aに設けられた開口部53を塞ぐように配置される。そのため、光路長変更部材59は、筐体51外部から開口部53を介して筐体51内部に進入するインクミストおよび塵埃等の不純物が、センサ部26、光源58、基準チャート300等に付着するのを防止する機能も有することになる。
【0034】
なお、以上説明した撮像部20の機械的な構成はあくまで一例であり、これに限らない。撮像部20は、少なくとも、筐体51内部に設けられた光源58が点灯している間に、筐体51内部に設けられたセンサ部26により、筐体51外部のテストパターンTPを開口部53を介して撮像する構成であればよい。撮像部20は、上記の構成に対して様々な変形や変更が可能である。
【0035】
例えば、上述した撮像部20では、筐体51の底板部51aの内面側に基準チャート300を配置している。しかしながら、筐体51の底板部51aの基準チャート300が配置される位置に開口部53とは別の開口部を設けるとともに、この開口部が設けられた位置に筐体51の外側から基準チャート300を取り付ける構成であってもよい。この場合、センサ部26は、開口部53を介して記録媒体Pに形成されたテストパターンTPを撮像するとともに、開口部53とは別の開口部を介して、筐体51の底板部51aに外側から取り付けられた基準チャート300を撮像することになる。この例では、基準チャート300に汚れなどの不良が生じた場合に、交換を容易に行える利点がある。
【0036】
次に、図9を参照しながら、撮像部20の筐体51に配置される基準チャート300の具体例について説明する。図9は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する基準チャートの具体例を示す図である。
【0037】
図9に示す基準チャート300は、測色用の測色パッチを配列した複数の測色パッチ列310~340、距離計測用ライン350、およびチャート位置特定用マーカ360を有する。
【0038】
測色パッチ列310~340は、YMCKの1次色の測色パッチを階調順に配列した測色パッチ列310と、RGBの2次色の測色パッチを階調順に配列した測色パッチ列320と、グレースケールの測色パッチを階調順に配列した測色パッチ列(無彩色の階調パターン)330と、3次色の測色パッチを配列した測色パッチ列340と、を含む。
【0039】
距離計測用ライン350は、複数の測色パッチ列310~340を囲む矩形の枠として形成されている。チャート位置特定用マーカ360は、距離計測用ライン350の四隅の位置に設けられていて、各測色パッチの位置を特定するためのマーカとして機能する。センサ部26により撮像される基準チャート300の画像から、距離計測用ライン350とその四隅のチャート位置特定用マーカ360を特定することで、基準チャート300の位置および各測色パッチの位置を特定することができる。
【0040】
測色用の測色パッチ列310~340を構成する各測色パッチは、センサ部26の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。なお、基準チャート300に配置されている測色用の測色パッチ列310~340の構成は、図9に示す例に限定されるものではなく、任意の測色パッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できる測色パッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色の測色パッチ列310、グレースケールの測色パッチ列330は、画像形成装置100に使用される色材の測色値のパッチで構成されていてもよい。また、RGBの2次色の測色パッチ列320は、画像形成装置100で使用される色材で発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、Japan Color等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
【0041】
なお、本実施の形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の測色パッチ列310~340を有する基準チャート300を用いているが、基準チャート300は、必ずしもこのような測色パッチ列310~340を有する形態でなくてもよい。基準チャート300は、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
【0042】
基準チャート300は、上述したように、筐体51の底板部51aの内面側に開口部53と隣り合うように配置されているため、センサ部26によって、筐体51外部のテストパターンTPと同時に撮像することができる。なお、ここでの同時に撮像とは、筐体51外部のテストパターンTPと基準チャート300とを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、筐体51外部のテストパターンTPと基準チャート300とが1フレーム内に含まれる画像データを取得すれば、筐体51外部のテストパターンTPと基準チャート300とを同時に撮像したことになる。
【0043】
次に、基準チャート300を有していない撮像部20の具体例について説明する。以下では、図10,11を参照しながら、撮像部20の具体例について詳細に説明する。図10は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する撮像部の縦断面図である。図11は、図10の撮像部をX2方向から見た平面図である。
【0044】
図10に示すように、撮像部20は、キャリッジ5に固定されている基板41上に、光源42とセンサ部26が搭載されている。光源42としては、例えば、LEDが用いられており、被写体である記録媒体Pに形成されたテストパターンTPに照明光を照射して、その反射光(乱反射光または正反射光)がセンサ部26に入射される。光源42は、図11に示すように、記録媒体Pに形成されるテストパターンTPを取り囲むように4つ配置されており、テストパターンTPに均一な照明光を照射する。
【0045】
センサ部26は、CCDセンサおよびCMOSセンサ等の二次元センサ27と、結像レンズ28とを備えている。 センサ部26は、光源42からテストパターンTPに出射された照明光の反射光を、結像レンズ28を通して二次元センサ27に入射させる。二次元センサ27は、入射された光を光電変換によりアナログ信号に変換し、テストパターンTPの撮像画像として出力する。
【0046】
次に、被搬送物である記録媒体Pを搬送する搬送部について説明する。図12は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する搬送ローラ周りの一例の構成図である。図12に示すように、記録媒体Pは、キャリッジ5の移動方向である主走査方向(図中矢印A方向)と直交する副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される。このとき、搬送ローラ152と同軸上に設けられたエンコーダ35が側板に設けられた副走査エンコーダセンサ132によって読み取られる。
【0047】
記録媒体Pの搬送量は、このようにして読み取られた情報に基づいて、副走査エンコーダセンサ132に電気的に接続したセンサ制御部124(図13参照)にて制御されている。この例では、エンコーダ35は、ロータリエンコーダとして構成されており、光学格子が円板状に配置され、角度、回転量および回転速度等が検出できるように構成されている。
【0048】
次に、図13を参照しながら、本実施の形態にかかる画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。図13は、本実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成図である。
【0049】
本実施の形態にかかる画像形成装置100は、図13に示すように、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、制御用FPGA(Field-Programmable Gate Array)120、記録ヘッド6、主走査エンコーダセンサ131、撮像部20、主走査モータ8、搬送部150、および副走査モータ12を備えている。
【0050】
CPU110、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、および制御用FPGA120は、メイン制御基板130に搭載されている。また、記録ヘッド6、主走査エンコーダセンサ131、および撮像部20は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。また、副走査エンコーダセンサ132、および搬送ローラ152は、上述した搬送部150に搭載されている。
【0051】
CPU110は、画像形成装置100の全体の制御を司る。例えば、CPU110は、RAM103を作業領域として利用して、ROM102に格納された各種の制御プログラムを実行し、画像形成装置100における各種動作を制御するための制御指令を出力する。特に、本実施の形態にかかる画像形成装置100では、テストパターンTPを形成する機能等を、このCPU110により実現する。なお、これらの機能の詳細については後述する。
【0052】
記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106は、それぞれ、記録ヘッド6、主走査モータ8、副走査モータ12を駆動するためのドライバである。制御用FPGA120は、CPU110と連携して画像形成装置100における各種動作を制御する。制御用FPGA120は、機能的な構成要素として、例えば、CPU制御部121、メモリ制御部122、インク吐出制御部123、センサ制御部124、およびモータ制御部125を備える。
【0053】
CPU制御部121は、CPU110と通信を行って、制御用FPGA120が取得した各種情報をCPU110に伝えるとともに、CPU110から出力された制御指令を入力する。メモリ制御部122は、CPU110がROM102およびRAM103にアクセスするためのメモリ制御を行う。インク吐出制御部123は、CPU110からの制御指令に応じて記録ヘッドドライバ104の動作を制御することにより、記録ヘッドドライバ104により駆動される記録ヘッド6からのインクの吐出タイミングを制御する。
【0054】
センサ制御部124は、主走査エンコーダセンサ131および副走査エンコーダセンサ132から出力されるエンコーダ値等のセンサ信号に対する処理を行う。例えば、センサ制御部124は、主走査エンコーダセンサ131から出力されるエンコーダ値に基づいて、キャリッジ5の位置、移動速度、移動方向等を計算する処理を実行する。また、例えばセンサ制御部124は、副走査エンコーダセンサ132から出力されるエンコーダ値に基づいて、記録媒体Pを搬送する搬送ローラ152の回転速度および回転方向等を計算する処理を実行する。
【0055】
モータ制御部125は、CPU110からの制御指令に応じて主走査ドライバ105の動作を制御することにより、主走査ドライバ105により駆動される主走査モータ8を制御して、キャリッジ5の主走査方向への移動を制御する。また、モータ制御部125は、CPU110からの制御指令に応じて副走査ドライバ106の動作を制御することにより、副走査ドライバ106により駆動される副走査モータ12を制御して、搬送ローラ152による記録媒体Pの副走査方向への移動(搬送)を制御する。
【0056】
なお、以上の各部は、制御用FPGA120により実現する制御機能の一例であり、これら以外にも様々な制御機能を制御用FPGA120により実現する構成としてもよい。また、上記の制御機能の全部または一部を、CPU110または他の汎用のCPUにより実行されるプログラムによって実現する構成であってもよい。また、上記の制御機能の一部を、制御用FPGA120とは異なる他のFPGAやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアにより実現する構成であってもよい。
【0057】
記録ヘッド6は、インクを吐出して画像を形成する複数のノズルを有し(図3参照)、CPU110および制御用FPGA120により動作制御される記録ヘッドドライバ104により駆動され、プラテン16上の記録媒体Pにインク等の液体を吐出して各種画像を形成(印字)する。
【0058】
主走査エンコーダセンサ131は、エンコーダシート14のマークを検知して得られるエンコーダ値を制御用FPGA120に出力する。このエンコーダ値は、制御用FPGA120のセンサ制御部124において、キャリッジ5の位置、移動速度および移動方向を計算するために用いられる。センサ制御部124がエンコーダ値から計算したキャリッジ5の位置、移動速度および移動方向は、CPU110に送られる。CPU110は、このキャリッジ5の位置、移動速度および移動方向に基づき、主走査モータ8を制御するための制御指令を生成してモータ制御部125に出力する。
【0059】
撮像部20は、CPU110による制御のもとで記録媒体P上に形成されたテストパターンTPを撮像し、撮像画像に対して各種処理を行うものであって、二次元センサ用CPU140、および二次元センサ27を備えている。二次元センサ27は、上述したように、CCDセンサまたはCMOSセンサ等であって、二次元センサ用CPU140から送られた各種設定信号に基づく所定の動作条件によって、テストパターンTPおよび基準枠(枠線)Fを撮像する。そして、二次元センサ27は、撮像した撮像画像を二次元センサ用CPU140に送る。
【0060】
二次元センサ用CPU140は、二次元センサ27の制御および二次元センサ27により撮像された撮像画像に対する処理を行う。具体的には、二次元センサ用CPU140は、撮像部20に各種設定信号を送ることにより、二次元センサ27の各種動作条件の設定を行う。また、二次元センサ用CPU140は、テストパターンTPを撮像した撮像画像からテストパターンTPのマーカを検出する機能等を算出する機能を実現する。
【0061】
また、撮像部20には、RAMおよびROMが備えられ、二次元センサ用CPU140は、例えば、RAMを作業領域として利用して、ROMに格納された各種の制御プログラムを実行し、撮像部20における各種動作を制御するための制御指令を出力する。また、二次元センサ用CPU140は、二次元センサ27の光電変換により得られたアナログ信号をデジタルの画像データにAD変換し、その画像データに対してシェーディング補正、ホワイトバランス補正、γ補正、画像データのフォーマット変換等の各種の画像処理を行う機能を内蔵している。なお、撮像画像に対する各種の画像処理は、その一部あるいは全部を撮像部20の外部で行うように構成してもよい。
【0062】
副走査エンコーダセンサ132は、エンコーダ35を読み取って得られるエンコーダ値を制御用FPGA120に出力する。このエンコーダ値は、制御用FPGA120のセンサ制御部124において、記録媒体Pを搬送する搬送ローラ152の回転速度および回転方向を計算するために用いられる。センサ制御部124がエンコーダ値から計算した搬送ローラ152の回転速度および回転方向は、CPU110に送られる。CPU110は、この搬送ローラ152の回転速度および回転方向に基づき、副走査モータ12を制御するための制御指令を生成してモータ制御部125に出力する。搬送ローラ152は、モータ制御部125から受け取った制御指令に基づく回転速度および回転方向で回転することにより記録媒体Pを所定搬送量で搬送する。
【0063】
本実施の形態にかかる画像形成装置100では、上述のCPU110および制御用FPGA120によって制御される記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105および副走査ドライバ106と、これらにより駆動される記録ヘッド6、主走査モータ8および副走査モータ12により、記録媒体Pに各種画像を形成する画像形成部が構成される。
【0064】
図13では、二次元センサ用CPU140および撮像部20がキャリッジ5に搭載された構成となっていたが、二次元センサ用CPU140および撮像部20は、記録媒体P上に形成されたテストパターンTPを適切に撮像できるように配置されていればよく、必ずしもキャリッジ5に搭載されていなくてもよい。
【0065】
図14は、本実施の形態にかかる画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。次に、図14を参照しながら、画像形成装置100のCPU110および二次元センサ用CPU140により実現される特徴的な機能について説明する。
【0066】
CPU110は、例えば、RAM103を作業領域として利用して、ROM102に格納された制御プログラムを実行することにより、パターン形成部111、算出部114、判断部115、および搬送制御部116等の機能を実現する。また、撮像部20の二次元センサ用CPU140は、例えば、RAMを作業領域として利用して、ROMに格納された制御プログラムを実現することにより、位置検出部142等の機能を実現する。
【0067】
CPU110の搬送制御部116は、記録媒体Pを搬送する搬送部150の搬送ローラ152を制御する。例えば、搬送制御部116は、副走査エンコーダセンサ132から出力されるエンコーダ値に基づいて搬送ローラ152の回転速度および回転方向等を決定し、当該回転速度および回転方向を示す制御指令を、制御用FPGA120を介して搬送部150の搬送ローラ152に送出することで、搬送ローラ152による記録媒体Pの搬送を制御する。
【0068】
CPU110のパターン形成部111(印字部の一例)は、例えば、ROM102等に予め格納されたパターンデータを読み込み、このパターンデータに応じた画像形成動作を上述した画像形成部に行わせることにより、記録媒体P上にテストパターンTPを形成(印字)する。パターン形成部111により記録媒体P上に形成されたテストパターンTPは、撮像部20により撮像される。
【0069】
本実施の形態では、テストパターンTPは、少なくとも第1マーカM1と一対の第2マーカM2a,M2bとを含むマーカのセットMによって構成される。テストパターンTPの詳細は後述する(図15参照)。
【0070】
パターン形成部111は、画像形成部を用いて、記録媒体Pに第1マーカM1および一対の第2マーカM2a,M2bのいずれか一方(基準調整パターンの一例)を形成し、記録媒体Pが所定搬送量で搬送された後、搬送前に形成していない第1マーカM1および一対の第2マーカM2a,M2bのいずれか他方(調整パターンの一例)を形成する。
【0071】
本実施の形態では、パターン形成部111は、記録媒体Pに第1マーカM1を形成し、記録媒体Pが所定搬送量で搬送された後に、再び記録媒体Pが所定搬送量で搬送された後に一対の第2マーカM2a,M2bを形成する例を挙げて説明するが、第1マーカM1と第2マーカM2a,M2bの形成順番はどちらでも良い。例えば、パターン形成部111は、記録媒体Pに一対の第2マーカM2a,M2bを形成した後、記録媒体Pが所定搬送量で搬送された後に第1マーカM1を形成してもよい。本実施の形態では、パターン形成部111は、3つの記録ヘッド6A,6B,6Cを用いて、テストパターンTPを形成しているが、副走査方向に複数のノズルが配列された1つ以上の記録ヘッド6によってテストパターンTPを形成することも可能である。
【0072】
ここで、テストパターンTPについて説明する。図15は、本実施の形態にかかる画像形成装置により記録媒体に形成されたテストパターンの一例を示す図である。図15に示すように、テストパターンTPは、少なくとも第1マーカM1と一対の第2マーカM2a,M2bとを含むマーカのセットMによって構成される。図15に示すテストパターンTPは、一対の第2マーカM2a,M2b間の中間に第1マーカM1が配置されている。また、第1マーカM1および一対の第2マーカM2a,M2bは、ドットで形成され、記録媒体Pの搬送方向である副走査方向(図中矢印B方向)に沿って形成される。すなわち、本実施の形態では、第1マーカM1は、記録ヘッド6が有するノズルのうち任意のノズル基準ノズルの一例)を用いて記録媒体Pに印字される基準調整パターンの一例である。また、第2マーカM2a,M2bは、記録媒体Pが基準ノズルから副走査方向に所定搬送量搬送された際に、副走査方向において基準ノズルから当該所定搬送量離れたノズルを基準として所定距離離れたノズル(指定ノズルの一例)により印字される調整パターンの一例である。
【0073】
図14に戻り、位置検出部142は、二次元センサ27により撮像される撮像画像から、テストパターンTPが含む第1マーカM1および第2マーカM2を検出する検出部の一例である。
【0074】
算出部114は、位置検出部142による第1マーカM1および第2マーカM2の検出結果に基づいて、副走査方向における第1マーカM1と第2マーカM2間の距離を算出する算出部の一例である。判断部115は、算出部114により算出される距離の標準偏差(ばらつきの一例)が所定値以上であるか否かを判断する判断部の一例である。そして、判断部115は、標準偏差が所定値以上である場合、基準ノズルまたは指定ノズルからの液体の吐出に曲がりがあると判断しても良い。これにより、基準ノズルまたは指定ノズルからのインクの吐出の曲がりがあるか否かを判別できるので、画像のずれ量を高精度に検出することができる。また、判断部115は、標準偏差が所定値以上であると判断された場合、標準偏差が所定値以上であることを通知する通知部の一例として機能する。または、判断部115は、標準偏差が所定値以上であり、基準ノズルまたは指定ノズルからのインクの吐出に曲がりがあると判断された場合、基準ノズルまたは指定ノズルからのインクの吐出に曲がるがあることを通知しても良い。
【0075】
次に、テストパターンTPの形成方法について説明する。図16~20は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるテストパターンの形成方法の一例の説明図である。まず、パターン形成部111は、図16(a)に示すように、記録媒体Pに第1マーカM1を形成する。次に、図16(b)に示すように、搬送制御部116は、搬送ローラ152により記録媒体Pを副走査方向(図中矢印B方向)に所定搬送量L1(実搬送量L1)を搬送する。記録媒体Pを副走査方向に所定搬送量L1搬送後に、パターン形成部111は、第2マーカM2a,M2bを形成する。この一対の第2マーカM2a,M2bは、第1マーカM1を形成したノズルから理想の搬送量L1だけ離れたノズルを基準として、副走査方向の前後両側に所定距離eずつ離れた2つのノズル(指定ノズルの一例)により形成される。なお、以下では、この基準とするノズルを基準ノズルと称し、基準ノズルから副走査方向の前後に所定距離eずつ離れた2つのノズルを指定ノズルと称する場合がある。
【0076】
従って、実際に搬送した実搬送量L1と理想の搬送量L1が同じだった場合、一対の第2マーカM2a,M2bの副走査方向における中間位置である理想位置に第1マーカM1が形成されたテストパターンTPが形成される。一方、実搬送量L1と理想の搬送量L1が異なっていると、例えば、一対の第2マーカM2a,M2bの間であっても、いずれかのマーカに近い位置に第1マーカM1が形成されたテストパターンTPが形成される。
【0077】
そして、撮像部20によって、このテストパターンTPを撮像し、第1マーカM1と一対の第2マーカM2a,M2bの相対的な位置関係を算出することで、実搬送量L1と理想の搬送量L1とのずれ量を求めていく。なお、本実施の形態では、第1マーカM1の理想位置が一対の第2マーカM2a,M2bの中間位置である例を説明するが、一対の第2マーカM2a,M2bの中間位置でなくてもよい。すなわち、第1マーカM1が一対の第2マーカM2a,M2bと共に撮像可能であって、予め定められた位置に形成されるのであれば、第1マーカM1の理想位置は、一対の第2マーカM2a,M2bのいずれか一方に近い位置でもよいし、一対の第2マーカM2a、M2bの間でなくてもよい。
【0078】
実機での使用例について説明する。使用者が印刷装置本体で記録媒体Pの種類を設定するとき、特定の種類を選択すると、画像形成装置100の全体の制御を司るCPU110は、パターン形成部111に対して、図16で説明したテストパターンTPの形成方法に沿った手順でテストパターンTPを出力する。記録媒体Pの搬送方向上流側にある記録ヘッド6Aに配置されている6Akノズル列で、第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´を形成する(図17参照)。
【0079】
記録媒体Pに形成した第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´を、搬送距離(搬送量)L1をN1回に分けて間欠搬送し、記録ヘッド6Cの位置まで搬送した後、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´と、枠線Fと、を形成する。一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´を形成するために使用するノズルは、第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´を理想の搬送距離(搬送量)L1で搬送したときに、第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´に対するお互いの位置関係が等距離(所定距離)eとなるノズルを使用する(図18参照)。
【0080】
記録ヘッド6Cで、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´と、枠線Fと、を形成し、テストパターンTPを完成させた後、テストパターンTPを距離L4搬送し、テストパターンTPを撮像部20の撮像可能領域まで移動させる。すなわち、パターン形成部111は、主走査方向の位置が異なる複数の第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´および第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´を含むテストパターンTPを記録媒体Pに印字する。そして、撮像部20は、テストパターンTPが撮像部20の撮像可能領域に移動した後、撮像部20でテストパターンTPの撮像を行う。さらに、位置検出部142は、撮像したテストパターンTPに含まれる第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´と、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´を検出する。次いで、算出部114が、第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´と、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´と、の相対的な位置関係を算出する(図19参照)。
【0081】
具体的には、算出部114は、図20に示すように、第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´と、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´と、の間の距離a,a´,a´´,a´´´、b,b´,b´´,b´´´を、相対的な位置関係として算出する。この場合、判断部115は、距離a,a´,a´´,a´´´(若しくは、距離b,b´,b´´,b´´´)の標準偏差を算出し、その標準偏差が予め設定される値(所定値の一例)以上であるかを判断する。そして、判断部115は、標準偏差が予め設定された値以上の場合、基準ノズルまたは指定ノズルからのインクの吐出に曲がりありと判断する。標準偏差が予め設定された値以上であると判断された場合、またはインクの吐出に曲がりありと判断された場合)、判断部115は、画像形成装置100の操作画面等を通して、標準偏差が予め設定された値以上であること、若しくはインクの吐出に曲がるがあることをユーザに通知する。若しくは、プリントヘッドのノズルクリーニングを実施し、パターン形成部111は、再度、テストパターンTPの印字およびテストパターンTPの検出を行うことも可能である。ただし、記録ヘッド6全体が傾いている、またはテストパターンTPを印字する全てのノズルが同じ方向にインクの吐出に曲がりを起こしている場合等では、インクの吐出の曲がりを検出することができない。
【0082】
本実施の形態では、テストパターンTPを第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´と、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´と、の合計4つのパターンを描画しているが、4つでなくてもよい。また、テストパターンTPの第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´と、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´と、を形成するのに黒インクを使用しているが、別の色のインクを使用してもよい。また、第1マーカM1,M1´,M1´´,M1´´´と、一対の第2マーカM2a,M2a´,M2a´´,M2a´´´,M2b,M2b´,M2b´´,M2b´´´とで、異なる色を使用してもよい。
【0083】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置100によれば、基準ノズルまたは指定ノズルからのインクの吐出の曲がりがあるか否かを判別できるので、画像のずれ量を高精度に検出することができる。
【0084】
なお、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、ROM102等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0085】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0086】
本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、上述した各部(パターン形成部111、算出部114、判断部115、搬送制御部116、位置検出部142)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU110または二次元センサ用CPU140(プロセッサの一例)が上記ROM102等からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、パターン形成部111、算出部114、判断部115、搬送制御部116、位置検出部142が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0087】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
6 記録ヘッド
20 撮像部
27 二次元センサ
100 画像形成装置
102 ROM
103 RAM
110 CPU
111 パターン形成部
114 算出部
115 判断部
116 搬送制御部
120 制御用FPGA
140 二次元センサ用CPU
142 位置検出部
150 搬送部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2018-083334号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20