(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121650
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法及びプラズマ処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025104
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】橋本 篤毅
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 翔
(72)【発明者】
【氏名】昆 泰光
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA02
5F004AA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004CA06
5F004CA08
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA03
5F004DA15
5F004DA17
5F004DA20
5F004DA23
5F004DA26
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA03
5F004EA13
5F004EA28
5F004EA37
5F004EB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エッチングにおいてネッキングを抑制するプラズマ処理方法及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、エッチング膜が露出した第1の領域及びマスク膜が露出した第2の領域を備える基板を提供しST1、炭素含有ガスを含む処理ガスをチャンバ内に供給して、処理ガスからプラズマを生成し、エッチング膜をエッチングするとともに、マスク膜上に保護膜を形成しST2、処理ガスをチャンバ内に供給して処理ガスからプラズマを生成し、エッチング膜をさらにエッチングするとともに、保護膜の少なくとも一部を除去するST3。ST2は、第1の期間及び第2の期間を含み、第1の期間における炭素含有ガスの流量が、第2の期間における炭素含有ガスの流量より多い。ST3は、第3の期間及び第4の期間を含み、第3の期間における炭素含有ガスの流量が、第2の期間における炭素含有ガスの流量及び第4の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
(a)エッチング膜及びマスク膜を有する基板を前記チャンバ内に提供する工程であって、前記基板は、前記エッチング膜が露出した第1の領域と、前記マスク膜が露出した第2の領域とを備える、工程と、
(b)炭素含有ガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給して、前記処理ガスからプラズマを生成し、前記エッチング膜をエッチングするとともに、前記マスク膜上に保護膜を形成する工程と、
(c)前記処理ガスを前記チャンバ内に供給して前記処理ガスからプラズマを生成し、前記エッチング膜をさらにエッチングするとともに、前記保護膜の少なくとも一部を除去する工程と、を備え、
前記(b)の工程は、第1の期間及び第2の期間を含み、前記第1の期間における前記炭素含有ガスの流量が、前記第2の期間における前記炭素含有ガスの流量より多く、
前記(c)の工程は、第3の期間及び第4の期間を含み、前記第3の期間における前記炭素含有ガスの流量が、前記第2の期間における前記炭素含有ガスの流量及び前記第4の期間における前記炭素含有ガスの流量より少ない、
プラズマ処理方法。
【請求項2】
前記マスク膜は、前記エッチング膜上に設けられており、
前記マスク膜は、前記第2の領域において前記エッチング膜を覆う上面と、前記第1の領域において前記エッチング膜が露出する開口を規定する側面とを有し、
前記(b)の工程は、前記エッチング膜をエッチングして、前記第1の領域において前記エッチング膜に凹部を形成するとともに、前記マスク膜の少なくとも前記上面に前記保護膜を形成することを含み、
前記(c)の工程は、前記保護膜の少なくとも一部を除去することを含む、請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項3】
前記第4の期間における前記炭素含有ガスの流量が前記第2の期間における前記炭素含有ガスの流量より少ない、請求項1又は2に記載のプラズマ処理方法。
【請求項4】
前記第1の期間から前記第4の期間のうちの一の期間から他の期間に移行するときに、前記炭素含有ガスの流量は、連続的又は段階的に変化する、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理装置は、前記チャンバ内に基板支持部をさらに有し、
前記(a)は、前記基板を前記基板支持部上に提供することを含み、
前記(b)及び(c)は、前記基板支持部にバイアス信号を供給することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項6】
前記(b)において、前記第1の期間における前記バイアス信号の電力の実効値が、前記第2の期間における前記バイアス信号の電力の実効値より大きい、請求項5に記載のプラズマ処理方法。
【請求項7】
前記(c)において、前記第3の期間における前記バイアス信号の電力の実効値が、前記第4の期間における前記バイアス信号の電力の実効値より小さい、請求項5又は6に記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記第1の期間から前記第4の期間のうちの一の期間から他の期間に移行するときに、前記バイアス信号の電力の前記実効値は、連続的又は段階的に変化する、請求項6又は7のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記(b)は、ソースRF信号を前記チャンバに供給してプラズマを生成することを含み、前記第1の期間における前記ソースRF信号の電力の実効値が、前記第2の期間における前記ソースRF信号の電力の実効値より小さい、請求項1から8のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
前記(c)は、ソースRF信号を前記チャンバに供給してプラズマを生成することを含み、前記第3の期間における前記ソースRF信号の電力の実効値が、前記第4の期間における前記ソースRF信号の電力の実効値より大きい、請求項9に記載のプラズマ処理方法。
【請求項11】
前記処理ガスは、酸素含有ガスを含み、前記(b)において、前記第1の期間における前記酸素含有ガスの流量が、前記第2の期間における前記酸素含有ガスの流量より多い、請求項1から10のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項12】
前記処理ガスは、酸素含有ガスを含み、前記(c)において、前記第3の期間における前記酸素含有ガスの流量が、前記第4の期間における前記酸素含有ガスの流量より少ない、請求項1から11のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項13】
前記基板は、下地膜をさらに備え、
前記エッチング膜は、前記第1の領域に設けられ、
前記マスク膜は、前記エッチング膜がエッチングされる方向と垂直な方向において、前記エッチング膜と互いに隣接するように前記第2の領域に設けられる、請求項1から12のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項14】
前記エッチング膜は、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜である、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項15】
前記マスク膜は、ホウ素含有シリコン膜、炭素含有膜、窒素含有膜及びタングステンシリコン膜のうち、少なくとも1種を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項16】
前記炭素含有ガスは、CaFb(a及びbは1以上の整数)ガス又はCcHdFe(c、d及びeは1以上の整数)ガスである、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項17】
前記(b)及び(c)の工程を複数回繰り返す、請求項1から16のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項18】
前記第1の期間から前記第4の期間の少なくとも一部において、前記マスク膜の前記側面に形成された保護膜の頂部は、前記エッチング膜のエッチングが進むにつれて、前記エッチング膜がエッチングされる方向に推移する、請求項2に記載のプラズマ処理方法。
【請求項19】
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
(a)エッチング膜が露出した部分を含む第1の領域と、マスク膜が露出した第2の領域を備える基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)前記チャンバ内に第1の流量の炭素含有ガスを含む処理ガスを供給してプラズマを生成し、前記エッチング膜をエッチングするとともに、前記マスク膜上に保護膜を形成する第1の工程と、
(c)前記第1の流量より少ない第2の流量の炭素含有ガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給してプラズマを生成し、前記エッチング膜をさらにエッチングするとともに、前記マスク膜上に前記保護膜を形成する第2の工程と、
(d)第3の流量の炭素含有ガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給してプラズマを生成し、前記エッチング膜をさらにエッチングするとともに、前記マスク膜上の前記保護膜を除去する第3の工程と、
(e)前記第2の流量よりも少なく、かつ、前記第3の流量より多い第4の流量の炭素含有ガスを前記チャンバ内に供給してプラズマを生成し、前記エッチング膜をさらにエッチングするとともに、前記マスク膜上の前記保護膜をさらに除去する第4の工程と、を備えるプラズマ処理方法。
【請求項20】
チャンバ、処理ガス供給部、プラズマ生成部及び制御部を有するプラズマ処理システムであって、
前記制御部は、
(a)エッチング膜及びマスク膜を有する基板を前記チャンバ内に提供し、
(b)前記処理ガス供給部が、炭素含有ガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給し、前記プラズマ生成部が、前記処理ガスからプラズマを生成して、前記エッチング膜をエッチングするとともに、前記マスク膜上に保護膜を形成し、
(c)前記処理ガス供給部が、前記処理ガスを前記チャンバ内に供給し、前記プラズマ生成部が前記処理ガスからプラズマを生成して、前記エッチング膜をさらにエッチングするとともに、前記保護膜の少なくとも一部を除去する、
制御を実行し、
前記基板は、前記エッチング膜が露出した第1の領域と、前記マスク膜が露出した第2の領域とを備え、
前記(b)の工程は、第1の期間及び第2の期間を含み、前記第1の期間における前記炭素含有ガスの流量が、前記第2の期間における前記炭素含有ガスの流量より多く、
前記(c)の工程は、第3の期間及び第4の期間を含み、前記第3の期間における前記炭素含有ガスの流量が、前記第2の期間における前記炭素含有ガスの流量及び前記第4の期間における前記炭素含有ガスの流量より少ない、プラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理方法及びプラズマ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マスク膜に対する選択比を向上する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングにおいてネッキングを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、(a)エッチング膜及びマスク膜を有する基板を前記チャンバ内に提供する工程であって、前記基板は、前記エッチング膜が露出した第1の領域と、前記マスク膜が露出した第2の領域とを備える、工程と、(b)炭素含有ガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給して、前記処理ガスからプラズマを生成し、前記エッチング膜をエッチングするとともに、前記マスク膜上に保護膜を形成する工程と、(c)前記処理ガスを前記チャンバ内に供給して前記処理ガスからプラズマを生成し、前記エッチング膜をさらにエッチングするとともに、前記保護膜の少なくとも一部を除去する工程と、を備え、前記(b)の工程は、第1の期間及び第2の期間を含み、前記第1の期間における前記炭素含有ガスの流量が、前記第2の期間における前記炭素含有ガスの流量より多く、前記(c)の工程は、第3の期間及び第4の期間を含み、前記第3の期間における前記炭素含有ガスの流量が、前記第2の期間における前記炭素含有ガスの流量及び前記第4の期間における前記炭素含有ガスの流量より少ない。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、エッチングにおいてネッキングを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的なプラズマ処理装置システムを概略的に示す図である。
【
図3】工程ST1で提供される基板Wの断面構造の一例を模式的に示す図である。
【
図4A】工程ST2の第1の期間の処理後の基板Wの断面構造の一例を模式的に示す図である。
【
図4B】工程ST2の第2の期間の処理後の基板Wの断面構造の一例を模式的に示す図である。
【
図5A】工程ST3の第3の期間の処理後の基板Wの断面構造の一例を模式的に示す図である。
【
図5B】工程ST3の第4の期間の処理後の基板Wの断面構造の一例を模式的に示す図である。
【
図6A】工程ST2及び工程ST3における炭素含有ガスの流量の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6B】工程ST2及び工程ST3における酸素含有ガスの流量の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6C】工程ST2及び工程ST3におけるバイアス電圧の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7A】工程ST2及び工程ST3における炭素含有ガスの流量の他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7B】工程ST2及び工程ST3における酸素含有ガスの流量の他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7C】工程ST2及び工程ST3におけるバイアス電圧の他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図8】本処理方法の他の例における基板Wの断面構造の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、(a)エッチング膜及びマスク膜を有する基板をチャンバ内に提供する工程であって、基板は、エッチング膜が露出した第1の領域と、マスク膜が露出した第2の領域とを備える、工程と、(b)炭素含有ガスを含む処理ガスをチャンバ内に供給して、処理ガスからプラズマを生成し、エッチング膜をエッチングするとともに、マスク膜上に保護膜を形成する工程と、(c)処理ガスをチャンバ内に供給して処理ガスからプラズマを生成し、エッチング膜をさらにエッチングするとともに、保護膜の少なくとも一部を除去する工程と、を備え、(b)の工程は、第1の期間及び第2の期間を含み、第1の期間における炭素含有ガスの流量が、第2の期間における炭素含有ガスの流量より多く、(c)の工程は、第3の期間及び第4の期間を含み、第3の期間における炭素含有ガスの流量が、第2の期間における炭素含有ガスの流量及び第4の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。
【0010】
一つの例示的実施形態において、マスク膜は、エッチング膜上に設けられており、マスク膜は、第2の領域においてエッチング膜を覆う上面と、第1の領域においてエッチング膜が露出する開口を規定する側面とを有し、(b)の工程は、エッチング膜をエッチングして、第1の領域においてエッチング膜に凹部を形成するとともに、マスク膜の上面及び側面並びに凹部に保護膜を形成することを含み、(c)の工程は、保護膜の少なくとも一部を除去することを含む。
【0011】
一つの例示的実施形態において、第4の期間における炭素含有ガスの流量が第2の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の期間から第4の期間のうちの一の期間から他の期間に移行するときに、炭素含有ガスの流量は、連続的又は段階的に変化する。
【0013】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、チャンバ内に基板支持部をさらに有し、(a)は、基板を基板支持部上に提供することを含み、(b)及び(c)は、基板支持部にバイアス信号を供給することを含む。
【0014】
一つの例示的実施形態において、(b)及び(c)において、バイアス信号の電力の実効値は一定である。
【0015】
一つの例示的実施形態において、(b)において、第1の期間におけるバイアス信号の電力の実効値が、第2の期間におけるバイアス信号の電力の実効値より大きい。
【0016】
一つの例示的実施形態において、(c)において、第3の期間におけるバイアス信号の電力の実効値が、第4の期間におけるバイアス信号の電力の実効値より小さい。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の期間から第4の期間のうちの一の期間から他の期間に移行するときに、バイアス信号の電力の実効値は、連続的又は段階的に変化する。
【0018】
一つの例示的実施形態において、(b)は、ソースRF信号をチャンバに供給してプラズマを生成することを含み、第1の期間におけるソースRF信号の電力の実効値が、第2の期間におけるソースRF信号の電力の実効値より小さい。
【0019】
一つの例示的実施形態において、(c)は、ソースRF信号をチャンバに供給してプラズマを生成することを含み、第3の期間におけるソースRF信号の電力の実効値が、第4の期間におけるソースRF信号の電力の実効値より大きい。
【0020】
一つの例示的実施形態において、処理ガスは、酸素含有ガスを含み、(b)において、第1の期間における酸素含有ガスの流量が、第2の期間における酸素含有ガスの流量より多い。
【0021】
一つの例示的実施形態において、(c)において、第3の期間における酸素含有ガスの流量が、第4の期間における酸素含有ガスの流量より少ない。
【0022】
一つの例示的実施形態において、基板は、下地膜をさらに備え、エッチング膜は、第1の領域に設けられ、マスク膜は、エッチング膜がエッチングされる方向と垂直な方向において、エッチング膜と互いに隣接するように第2の領域に設けられる。
【0023】
一つの例示的実施形態において、エッチング膜は、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜である。
【0024】
一つの例示的実施形態において、マスク膜は、ホウ素含有シリコン膜、炭素含有膜、窒素含有膜及びタングステンシリコン膜のうち、少なくとも1種を含む。
【0025】
一つの例示的実施形態において、炭素含有ガスは、CaFb(a及びbは1以上の整数)ガス又はCcHdFe(c、d及びeは1以上の整数)ガスである。
【0026】
一つの例示的実施形態において、(b)及び(c)の工程を複数回繰り返す。
【0027】
一つの例示的実施形態において、第1の期間から第4の期間の少なくとも一部において、マスク膜の側面に形成された保護膜の頂部は、エッチング膜のエッチングが進むにつれて、エッチング膜がエッチングされる方向に推移する。
【0028】
一つの例示的実施形態において、チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、(a)エッチング膜が露出した部分を含む第1の領域と、マスク膜が露出した第2の領域を備える基板をチャンバ内に提供する工程と、(b)チャンバ内に第1の流量の炭素含有ガスを含む処理ガスを供給してプラズマを生成し、エッチング膜をエッチングするとともに、マスク膜上に保護膜を形成する第1の工程と、(c)第1の流量より多い第2の流量の炭素含有ガスを含む処理ガスをチャンバ内に供給してプラズマを生成し、エッチング膜をさらにエッチングするとともに、マスク膜上に保護膜を形成する第2の工程と、(d)第3の流量の炭素含有ガスを含む処理ガスをチャンバ内に供給してプラズマを生成し、エッチング膜をさらにエッチングするとともに、マスク膜上の保護膜を除去する第3の工程と、(e)第2の流量よりも少なく、かつ、第3の流量より多い第4の流量の炭素含有ガスをチャンバ内に供給してプラズマを生成し、エッチング膜をさらにエッチングするとともに、マスク膜上の保護膜をさらに除去する第4の工程と、を備える。
【0029】
一つの例示的実施形態において、チャンバ、処理ガス供給部、プラズマ生成部及び制御部を有するプラズマ処理システムが提供される。プラズマ処理システムにおいて、制御部は、(a)エッチング膜及びマスク膜を有する基板をチャンバ内に提供し、(b)処理ガス供給部が、炭素含有ガスを含む処理ガスをチャンバ内に供給し、プラズマ生成部が、処理ガスからプラズマを生成して、エッチング膜をエッチングするとともに、マスク膜上に保護膜を形成し、(c)処理ガス供給部が、処理ガスをチャンバ内に供給し、プラズマ生成部が処理ガスからプラズマを生成して、エッチング膜をさらにエッチングするとともに、保護膜の少なくとも一部を除去する、制御を実行し、基板は、エッチング膜が露出した第1の領域と、マスク膜が露出した第2の領域とを備え、(b)の工程は、第1の期間及び第2の期間を含み、第1の期間における炭素含有ガスの流量が、第2の期間における炭素含有ガスの流量より多く、(c)の工程は、第3の期間及び第4の期間を含み、第3の期間における炭素含有ガスの流量が、第2の期間における炭素含有ガスの流量及び第4の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。
【0030】
<プラズマ処理システムの構成例>
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
図1は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0031】
プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0032】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0033】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0034】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0035】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0036】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0037】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0038】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号(バイアス信号)を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位(バイアス電力)が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0039】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0040】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0041】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0042】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0043】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0044】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0045】
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法(以下「本処理方法」ともいう。)を示すフローチャートである。
図2に示すように、本処理方法は、基板を提供する工程ST1と、第1のエッチング工程ST2と、第2のエッチング工程ST3とを有する。各工程における処理は、
図1に示すプラズマ処理システムで実行されてよい。以下では、制御部2がプラズマ処理装置1の各部を制御して、基板Wに対して本処理方法を実行する場合を例に説明する。
【0046】
(工程ST1:基板の提供)
工程ST1において、基板Wが、プラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に提供される。基板Wは、基板支持部11の中央領域111aに提供される。そして、基板Wは、静電チャック1111により基板支持部11に保持される。
【0047】
図3は、工程ST1で提供される基板Wの断面構造の一例を示す図である。基板Wは、下地膜UF上に、エッチング膜EF及びマスク膜MFがこの順で積層されている。基板Wは、半導体デバイスの製造に用いられてよい。半導体デバイスは、例えば、DRAM、3D-NANDフラッシュメモリ等の半導体メモリデバイスを含む。
【0048】
下地膜UFは、例えば、シリコンウェハやシリコンウェハ上に形成された有機膜、誘電体膜、金属膜、半導体膜等でよい。下地膜UFは、複数の膜が積層されて構成されてよい。
【0049】
エッチング膜EFは、本処理方法においてエッチングの対象となる膜である。一例では、エッチング膜EFは、シリコン含有膜である。一例では、シリコン含有膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等である。また、エッチング膜EFは、2つ以上の層からなる多層膜であってよい。
【0050】
マスク膜MFは、エッチング膜EFのエッチングにおいてマスクとして機能する膜である。一例では、マスク膜MFは、炭素含有膜、シリコン含有膜でよい。シリコン含有膜としては、例えば、シリコン膜であってもよく、さらに金属又は非金属を含む膜であってもよい。金属としては、タングステンを含んでもよい。非金属としてはホウ素を含んでもよい。なお、マスク膜MFは、1つの層からなる単層マスクでも、2つ以上の層からなる多層マスクであってもよい。また、マスク膜MFは、有機膜を含んでよい。一例では、有機膜はフォトレジスト膜である。
【0051】
図3に示すとおり、マスク膜MFは少なくとも一つの開口OPを有する。開口OPは、領域RE1に設けられている。開口OPは、エッチング膜EF上において、マスク膜MFの側面ssに囲まれた空間である。すなわち、
図3において、エッチング膜EFの上面の一部は、開口OPにおいて露出した部分を有する。すなわち、エッチング膜EFは、領域RE1において露出している。また、エッチング膜EFは、領域RE2において、マスク膜MFに覆われている。エッチング膜EFの上面は、エッチング膜EFがマスク膜MFと接する面である。開口OPは、基板Wの平面視(基板Wを
図3の上から下へ向かう方向に見た場合)において、任意の形状を有してよい。当該形状は、例えば、円形状、楕円形状、矩形形状、線形状であってよい。また、当該形状は、これらの形状の1種類以上を組み合わせた形状であってよい。マスク膜MFは、複数の開口OPを有してよい。一例では、複数の開口OPは、それぞれ穴形状を有してよい。そして、穴形状を有する複数の開口OPが一定の間隔で配列され、アレイパターンを構成してよい。また、複数の開口OPは、それぞれ線形状を有してよい。そして、線形状を有する複数の開口OPが一定の間隔で並んで、ライン&スペースのパターンを構成してもよい。
【0052】
なお、
図3における領域RE1は、第1の領域の一例である。また、領域RE2は、第2の領域の一例である。領域RE1は、基板Wの平面視において、エッチング膜EFが露出した領域である。また、領域RE2は、基板Wの平面視において、マスク膜MFが露出した領域である。すなわち、領域RE2は、基板Wの平面視において、マスク膜MFがエッチング膜EFを覆う領域である。
【0053】
基板Wを構成する各膜(下地膜UF、エッチング膜EF、マスク膜MF)は、それぞれ、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、スピンコート法等により形成されてよい。上記各膜は、平坦な膜であってよく、また、凹凸を有する膜であってもよい。開口OPは、マスク膜MFをエッチングすることで形成されてよい。なお、基板Wが下地膜UFの下に他の膜をさらに有し、エッチング膜EF及び下地膜UFの積層膜が多層マスクとして機能してもよい。すなわち、エッチング膜EF及び下地膜UFの積層膜を多層マスクとして、当該他の膜をエッチングしてもよい。
【0054】
基板Wの各膜を形成するプロセスの少なくとも一部は、プラズマ処理チャンバ10の空間内で行われてよい。一例では、マスク膜MFをエッチングして開口OPを形成する工程は、プラズマ処理チャンバ10で実行されてよい。すなわち、開口OP及び後述するエッチング膜EFのエッチングは、同一のチャンバ内で連続して実行されてよい。また、基板Wの各膜の全部又は一部がプラズマ処理装置1の外部の装置やチャンバで形成された後、基板Wがプラズマ処理空間10s内に搬入され、基板支持部11の中央領域111aに配置されることで基板が提供されてもよい。
【0055】
(工程ST2:第1のエッチング)
工程ST2において、エッチング膜EFをエッチングする。エッチング膜EFは、プラズマ処理チャンバ10に供給された処理ガスから生成されたプラズマによってエッチングされる。すなわち、まず、ガス供給部20から処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。そして、基板支持部11の下部電極にソースRF信号が供給される。これにより、シャワーヘッド13と基板支持部11との間で高周波電界が生成され、プラズマ処理空間10s内の処理ガスからプラズマが生成される。また、基板支持部11の下部電極(バイアス電極)にバイアスRF信号(バイアス信号)が供給されて、プラズマと基板Wとの間にバイアス電位(バイアス電位)が発生する。バイアス電位によって、プラズマ中のイオン、ラジカル等の活性種が基板Wに引きよせられ、当該活性種によってエッチング膜EFがエッチングされる。
【0056】
本処理方法は、後述する
図6Aから
図7Cに示すとおり、第1の期間から第4の期間を有する。工程ST2は、
図6Aから
図7Cに示すとおり、第1の期間及び第2の期間を含む。第1の期間及び第2の期間の双方において、エッチング膜EFがエッチングされる。また、第1の期間及び第2の期間のそれぞれにおいて、エッチング膜EFは、異なるエッチング条件でエッチングされる。
【0057】
図4Aは、工程ST2における第1の期間の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。工程ST2において、エッチング膜EFのうち、開口OPにおいて露出した部分が深さ方向(
図4A中上から下に向かう方向)にエッチングされ、凹部RCが形成される。凹部RCは、エッチング膜EFの側壁により囲まれた空間である。また、当該側壁は、マスク膜MFの側面ssから連続している。またマスク膜の上面ts、マスク膜の側面ss及び凹部RCの一部には、エッチングに伴って生成された保護膜PFが形成される。保護膜PFは、エッチング膜EFのエッチングにおいてマスク膜MFを保護し得る。保護膜PFは、マスク膜の上面tsに形成された保護膜PF1、及びマスク膜の側面ssに形成された保護膜PF2を含む。また、保護膜PF2は、側面ssから凹部RCの少なくとも一部に亘って形成されてよい。保護膜PFは、処理ガスに含まれる炭素含有ガスから生成された堆積物であってよい。また、保護膜PFは、エッチング膜EFのエッチングによる副生成物を含んだ堆積物であってよい。
【0058】
処理ガスは、炭素含有ガスを含む。炭素含有ガスは、少なくとも保護膜PFの堆積に寄与する。すなわち、プラズマによって炭素含有ガスから生成された生成物が堆積して、保護膜PFが形成されてよい。処理ガス中の炭素含有ガスの流量が多くなると、後述する酸素含有ガスによる保護膜PFの除去速度よりも、保護膜PFの堆積速度の方が大きくなり得る。炭素含有ガスは、CaFb(a及びbは1以上の整数)ガス、又はCcHdFe(c、d及びeは1以上の整数)ガスで表される、例えば、CF4ガス、C2F6ガス、C2F4ガス、C3F8ガス、C4F8ガス、CH2F2ガス、C3H2F4ガス、C3H2F6ガス、C3H3F5ガス、C4H2F6ガス、C4H5F5ガス、C4H2F8ガス、C5H2F6ガス、C5H2F10ガス及びC5H3F7ガスからなる群から選択される少なくとも1種を用いてよい。
【0059】
また、処理ガスは、エッチングガスを含む。エッチングガスは、主としてエッチング膜EFのエッチングに寄与する。エッチングガスは、フッ素を含有する、例えば、HFガス、NF3ガス及びWF6ガスからなる群から選択される少なくとも1種を用いてよい。また、炭素含有ガスは、エッチング膜EFのエッチングに寄与してよい。すなわち、プラズマによって炭素含有ガスから生成された活性種によって、エッチング膜EFがエッチングされてよい。一例として、当該活性種は、フッ素の活性種を含む。
【0060】
また、処理ガスは酸素含有ガスを含む。酸素含有ガスは、エッチング中に堆積した保護膜PFの除去に寄与し得る。処理ガス中の酸素含有ガスの流量が多くなると、保護膜PFの堆積速度よりも、保護膜PFの除去速度の方が大きくなり得る。なお、酸素含有ガスは、酸素を含むガスであり、例えば、O2ガス、COガス及びCO2ガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。また、処理ガスは、Ar等の不活性ガスをさらに含んでよい。
【0061】
図4Bは、工程ST2における第2の期間の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。工程ST2における第1の期間の処理と同様に、プラズマ処理空間10sにおいて、処理ガスからプラズマが生成され、エッチング膜EFがエッチングされる。これにより、エッチング膜EFがさらにエッチングされる。すなわち、
図4Bにおけるエッチング膜EFの凹部RCは、
図4Aの凹部RCより深い。
【0062】
第1の期間及び第2の期間では、エッチング膜EFのエッチングが進行するにつれて、保護膜PFの形成が進行する。すなわち、第1の期間及び第2の期間では、保護膜PFの形成及び保護膜PFの除去の双方が発生し得る。そして、第1の期間及び第2の期間では、保護膜PFの堆積速度が、保護膜PFの除去速度を上回るように、炭素含有ガスの流量及び酸素含有ガスの流量が制御される。また、第2の期間における保護膜PFの堆積速度は、第1の期間における保護膜PFの堆積速度よりも小さい。一例では、第2の期間の炭素含有ガスの流量を、第1の期間の炭素含有ガスの流量より少なくして、第2の期間における保護膜PFの堆積速度を、第1の期間における保護膜PFの堆積速度より小さくする。また、第2の期間における保護膜PFの除去速度は、第1の期間における保護膜PFの除去速度よりも小さい。一例では、第2の期間の酸素含有ガスの流量を、第1の期間の酸素含有ガスの流量より少なくして、第2の期間における保護膜PFの除去速度を、第1の期間における保護膜PFの除去速度より小さくする。
【0063】
(工程ST3:第2のエッチング)
工程ST3において、エッチング膜EFをさらにエッチングする。エッチング膜EFは、工程ST2と同様に、プラズマ処理チャンバ10に供給された処理ガスから生成されたプラズマによってさらにエッチングされる。
【0064】
図5Aは、工程ST3における第3の期間の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。工程ST3における処理と同様に、処理ガスは、炭素含有ガス、エッチングガス及び酸素含有ガスを含む。プラズマ処理空間10s内に供給された処理ガスからプラズマが生成し、エッチング膜EFがエッチングされる。マスク膜MFの上面tsに形成された保護膜PF1並びにマスク膜の側面ss及び凹部RCにおけるエッチング膜EFの側壁の一部に形成された保護膜PF2は、エッチング膜EFのエッチングに伴い、除去されていく。なお、
図5Aにおけるエッチング膜EFの凹部RCは、
図4Bの凹部RCより深い。
【0065】
図5Bは、工程ST3における第4の期間の処理中の基板Wの断面構造の一例を示す図である。工程ST3における処理と同様に、処理ガスは、炭素含有ガス、エッチングガス及び酸素含有ガスを含む。プラズマ処理空間10s内に供給された処理ガスからプラズマが生成し、エッチング膜EFがエッチングされる。マスク膜MFの上面tsに形成された保護膜PF1並びにマスク膜の側面ss及び凹部RCにおけるエッチング膜EFの側壁の一部に形成された保護膜PF2は、エッチング膜EFのエッチングに伴い、除去される。第4の期間において、保護膜PFは、その一部又は全部が除去され得る。また、
図5Bにおけるエッチング膜EFの凹部RCは、
図5Aの凹部RCより深い。なお、凹部RCは下地膜UFに到達する深さでもよい。
【0066】
第3及び第4の期間では、エッチング膜EFのエッチングが進行するにつれて、保護膜PFの除去が進行する。すなわち、第3の期間及び第4の期間では、保護膜PFの形成及び保護膜PFの除去の双方が発生し得る。そして、第3の期間及び第4の期間では、保護膜PFの除去速度が、保護膜PFの堆積速度を上回るように、炭素含有ガスの流量及び酸素含有ガスの流量が制御される。また、第4の期間における保護膜PFの除去速度は、第3の期間における保護膜PFの除去速度よりも大きい。一例では、第4の期間の酸素含有ガスの流量を、第3の期間の酸素含有ガスの流量より多くして、第4の期間においてネッキングのコントロールを行う。また、第4の期間における保護膜PFの堆積速度は、第3の期間における保護膜PFの堆積速度よりも大きい。一例では、第4の期間の炭素含有ガスの流量を、第3の期間の炭素含有ガスの流量より多くして、第4の期間における保護膜PFの堆積速度を、第3の期間における保護膜PFの堆積速度より大きくする。
【0067】
工程ST2及び工程ST3は、繰り返し実行されてよい。工程ST2及び工程ST3を繰り返す回数は、任意に設定されてよい。例えば、工程ST2及び工程ST3を1サイクルとして、サイクル数が予め設定された繰り返し回数に達したか否かを判定し、当該回数に達するまで工程ST2及び工程ST3を繰り返してよい。なお、繰り返し回数は、エッチング膜EFの膜厚(すなわち、形成される凹部RCの深さ)に基いて設定されてよい。また、最初のサイクルは、第1の期間以外の期間から開始されてよい。
【0068】
図6A、
図6B及び
図6Cは、それぞれ、工程ST2及び工程ST3において供給される炭素含有ガスの流量、酸素含有ガスの流量及びバイアス電圧の一例を示すタイミングチャートである。
図6A、
図6B及び
図6Cにおいて、横軸は時間を示す。また、縦軸は、それぞれ、炭素含有ガスの流量、酸素含有ガスの流量及びバイアス電圧を示す。
【0069】
図6Aに示すとおり、本例において、第1の期間及び第2の期間における炭素含有ガスの流量は、第3の期間及び第4の期間における炭素含有ガスの流量より多い。また、第1の期間における炭素含有ガスの流量は、第2の期間における炭素含有ガスの流量より多い。また、第3の期間における炭素含有ガスの流量は、第4の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。また、第4の期間における炭素含有ガスの流量は、第2の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。このように、本処理方法では、第2の期間における炭素含有ガスの流量が、第1の期間における炭素含有ガスの流量よりも少ないので、第2の期間おいて保護膜PFの堆積を抑制できる。これにより、開口OPにおける保護膜PFのネッキングを制御して、開口OPに斜めに入射するイオンを抑制又は分散できる。また、第4の期間における炭素含有ガスの流量が、第3の期間における炭素含有ガスの流量よりも多い。これにより、特にエッチング膜EFをエッチングする元素が炭素含有ガスに含まれている場合、第4の期間においてネッキングが低減した状態でエッチング膜EFに当該元素のイオンを多く供給できるので、エッチング膜EFのエッチングレートを向上させることができる。
【0070】
また、
図6Bに示すとおり、本例では、第1の期間における酸素含有ガスの流量は、第2の期間における酸素含有ガスの流量より多い。第3の期間及び第4の期間における酸素含有ガスの流量は、第1の期間及び第2の期間における酸素含有ガスの流量より多い。また、第3の期間における酸素含有ガスの流量は、第2の期間における酸素含有ガスの流量より多い。また、第4の期間における酸素含有ガスの流量は、第3の期間における酸素含有ガスの流量より多い。また、第3の期間における酸素含有ガスの流量は第1の期間における酸素含有ガスの流量より多い。このように、本処理方法では、酸素含有ガスの流量を各期間において制御することにより、保護膜PFの堆積及び除去を制御できる。これにより、開口OPにおける保護膜PFのネッキングを制御することができる。
【0071】
また、
図6Cに示すとおり、本例では、第1の期間から第4の期間において、バイアス電圧は一定である。なお、本例では、基板支持部11に、バイアス信号の一例としてバイアスDC信号が供給される。
図6Cに示すバイアス電圧は、負極性を有する。
図6Cに示すバイアス電圧は、バイアス電力の一例である。また、バイアス電圧の絶対値は、バイアス信号の電力の実効値の一例である。バイアス信号は、バイアスRF信号であってよい。この場合、バイアスRF信号の電力の実効値が、バイアス信号の電力の実効値の一例である。バイアス電圧を一定として、炭素含有ガスの流量及び酸素含有ガスの流量をそれぞれ段階的に増減させることで、保護膜PFによりマスク膜MFを保護しつつ、エッチング膜EFのエッチングを行うことができる。これにより、マスク膜MFに対する選択比を向上させることができる。
【0072】
図7A、
図7B及び
図7Cは、それぞれ、工程ST2及び工程ST3における炭素含有ガス流量、酸素含有ガスの流量及びバイアス電圧の他の一例を示すタイミングチャートである。
図7A、
図7B及び
図7Cにおいて、横軸は時間を示す。また、縦軸は、炭素含有ガスの流量、酸素含有ガスの流量及びバイアス電圧の絶対値を示す。
【0073】
図7Aに示すとおり、本例において、第1の期間及び第2の期間における炭素含有ガスの流量は、第3の期間及び第4の期間における炭素含有ガスの流量より多い。また、第1の期間における炭素含有ガスの流量は、第2の期間における炭素含有ガスの流量より多い。また、第3の期間における炭素含有ガスの流量は、第4の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。また、第4の期間における炭素含有ガスの流量は、第2の期間における炭素含有ガスの流量より少ない。
【0074】
また、
図7Bに示すとおり、本例では、第1の期間における酸素含有ガスの流量は、第2の期間における酸素含有ガスの流量より多い。第3の期間及び第4の期間における酸素含有ガスの流量は、第1の期間及び第2の期間における酸素含有ガスの流量より多い。また、第3の期間における酸素含有ガスの流量は、第2の期間における酸素含有ガスの流量より多い。また、第4の期間における酸素含有ガスの流量は、第3の期間における酸素含有ガスの流量より多い。また、第3の期間における酸素含有ガスの流量は第1の期間における酸素含有ガスの流量より多い。
【0075】
図7Cに示すとおり、本例では、第1の期間から第4の期間において、バイアス電圧の絶対値は段階的に変化する。なお、本例では、基板支持部11に、バイアス信号の一例としてバイアスDC信号が供給される。
図7Cに示すバイアス電圧は、負極性を有してよい。
図7Cに示すバイアス電圧は、バイアス電力の一例である。また、バイアス電圧の絶対値は、バイアス信号の電力の実効値の一例である。バイアス信号は、バイアスRF信号であってよい。この場合、バイアスRF信号の電力の実効値が、バイアス信号の電力の実効値の一例である。本例において、第1の期間及び第2の期間におけるバイアス電圧の絶対値は、第3の期間及び第4の期間におけるバイアス電圧の絶対値より大きい。また、第1の期間におけるバイアス電圧の絶対値は、第2の期間におけるバイアス電圧の絶対値より大きい。また、第3の期間におけるバイアス電圧の絶対値は、第4の期間におけるバイアス電圧の絶対値より小さい。また、第4の期間におけるバイアス電圧の絶対値は、第1の期間におけるバイアス電圧の絶対値と同じ大きさである。なお、第4の期間におけるバイアス電圧の絶対値は、第1の期間におけるバイアス電圧の絶対値より、大きくてよく、また、小さくてもよい。バイアス電圧を炭素含有ガスの流量と同様に段階的に増減させることで、堆積物PFのマスク膜MFの保護効果を高めつつ、マスク膜MFに対する選択比をより向上させることができる。また、本例では、第2の期間におけるバイアス電圧の絶対値を、第1の期間におけるバイアス電圧の絶対値よりも小さくすることにより、開口OPにおける保護膜PFのネッキングを制御することができる。保護膜PFのネッキングの制御は、例えば、ネッキングの頂部をエッチング方向に推移させることや、ネッキングの厚さ又は幅を変化させることを含み得る。また、本例では、第4の期間におけるバイアス電圧の絶対値が、第3の期間におけるバイアス電圧の絶対値よりも大きい。これにより、第4の期間でネッキングが低減した状態において、イオンの持つエネルギーを上げて、エッチング膜EFのエッチングレートを向上させることができる。また、第4の期間ではネッキングが低減した状態にあるため、バイアス電圧の絶対値を大きくしても、イオンが散乱されにくい。
【0076】
なお、第1の期間から第4の期間において、ソースRF信号の電力の実効値を制御してもよい。一例では、第1の期間におけるソースRF信号の電力の実効値は、第2の期間におけるソースRF信号の電力の実効値より高くてよい。また、第3の期間におけるソースRF信号の電力の実効値は、第2の期間におけるソースRF信号の電力の実効値より高くてよい。また、第4の期間におけるソースRF信号の電力の実効値は、第3の期間におけるソースRF信号の電力の実効値より高くてよい。また、第3の期間におけるソースRF信号の電力の実効値は、第1の期間におけるソースRF信号の電力の実効値より高くてよい。このように、本処理方法では、ソースRF信号の電力の実効値を各期間において制御することにより、炭素含有ガスから生成されるイオンの量を制御して、保護膜PFの堆積及び除去を制御できる。これにより、開口OPにおける保護膜PFのネッキングを制御することができる。
【0077】
なお、各サイクルに含まれる期間の数及び期間の長さは、エッチング条件に応じて、適宜定められてよい。当該エッチング条件は、一例では、マスク膜MFやエッチング膜EFの種類、処理ガスに含まれるガスの種類、ソースRF信号及びバイアス信号の電力の実効値等を含む。また、各期間におけるガスの流量、ソースRF信号及びバイアス信号の電力の実効値、期間の長さ等は、エッチングの対象や目的に応じて、適宜定められてよい。
【0078】
第1の期間から第4の期間において、一の期間から他の期間に移行するときに、炭素含有ガスの流量は一の期間における流量から他の期間における流量に、段階的に変化してもよい。また、第1の期間から第4の期間において、一の期間から他の期間に移行するときに、炭素含有ガスの流量は一の期間における流量から他の期間における流量に、連続的に変化してもよい。すなわち、炭素含有ガスの流量は、t0、t1、t2、t3及び/又はt4において、即時に変化してよく、また、段階的又は連続的に漸次に変化してもよい。
【0079】
第1の期間から第4の期間において、一の期間から他の期間に移行するときに、酸素含有ガスの流量は一の期間における流量から他の期間における流量に、段階的に変化してもよい。また、第1の期間から第4の期間において、一の期間から他の期間に移行するときに、酸素含有ガスの流量は一の期間における流量から他の期間における流量に、連続的に変化してもよい。すなわち、酸素含有ガスの流量は、t0、t1、t2、t3及び/又はt4において、即時に変化してよく、また、段階的又は連続的に漸次に変化してもよい。
【0080】
第1の期間から第4の期間において、一の期間から他の期間に移行するときに、バイアス電圧は一の期間における電圧から他の期間における電圧に、段階的に変化してもよい。また、第1の期間から第4の期間において、一の期間から他の期間に移行するときに、バイアス電圧は一の期間における電圧から他の期間における電圧に、連続的に変化してもよい。すなわち、バイアス電圧は、t0、t1、t2、t3及び/又はt4において、即時に変化してよく、また、段階的又は連続的に漸次に変化してもよい。
【0081】
図8は、本処理方法の他の例における基板Wの断面構造の一例を示す図である。本例における基板Wは、下地膜UF上に、シリコン窒化膜NFとシリコン酸化膜OFが、シリコン酸化膜OFのエッチング方向(すなわち、
図8における横方向)において互いに隣接して設けられている。シリコン窒化膜NFは、マスク膜の一例である。また、シリコン酸化膜OFは、エッチング膜の一例である。本例においても、
図3から
図7において説明した例と同様に、シリコン窒化膜NF上に保護膜PFを形成しつつ、シリコン酸化膜OFをエッチングすることができる。これにより、シリコン窒化膜NFに対するシリコン酸化膜OFの選択比を向上させることができる。なお、シリコン窒化膜NF上にさらに別のマスク膜が形成されていてもよい。
【0082】
なお、
図8における領域RE1は、第1の領域の一例である。また、領域RE2は、第2の領域の一例である。領域RE1は、基板Wの平面視において、下地膜UF上にシリコン酸化膜OFが設けられた領域である。また、領域RE2は、基板Wの平面視において、下地膜UF上にシリコン窒化膜NFが設けられた領域である。
【0083】
本処理方法によれば、マスク膜MF及び保護膜PFのネッキングの位置や形状を制御し得る。これにより、ネッキングを抑制しつつ、マスク膜MF及び保護膜PFとエッチング膜EFとのエッチング選択比を向上させることができる。例えば、本処理方法では、エッチング中にネッキングの頂部の位置を推移させて、開口OPに斜めに入射したイオンが凹部RCの側壁に衝突する位置が分散される。これにより、エッチング膜EFに形成される凹部RCのボウイングを抑制し得る。また、ネッキングが下方に推移すると共に、エッチング膜EFのエッチングがより進行し得る。ネッキングが下方に推移すると共に、開口OPの閉塞が解消されていき、プラズマ中のイオンが入射しやすくなることでエッチング膜EFのエッチングレートが大きくなる。
【0084】
さらに、本処理方法ではエッチング膜EFに対する、選択比を向上させ得る。なお、選択比とは、マスク膜MFのエッチングレートに対するエッチング膜EFのエッチングレートの比である。特に、凹部RCの深さが深いほど、選択比が高くなり得る。また、凹部RCの垂直性も高くなり得る。
【0085】
以上の各実施形態は、説明の目的で説明されており、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、本処理方法は、容量結合型のプラズマ処理装置1以外にも、誘導結合型のプラズマやマイクロ波プラズマ等、任意のプラズマ源を用いたプラズマ処理装置を用いて実行してよい。
【符号の説明】
【0086】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、10……プラズマ処理チャンバ、10s……プラズマ処理空間、11……基板支持部、20……ガス供給部、PF……保護膜、MF……マスク膜、EF……エッチング膜、UF…下地膜、W…基板、OP……開口、RC……凹部、ts……マスク膜の上面、ss……マスク膜の側面