(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122287
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】潤滑剤供給装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
G03G21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025907
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 雄太
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA06
2H134GB02
2H134HD01
2H134KF03
2H134KH15
2H134KH16
2H134LA01
2H134LA02
(57)【要約】
【課題】像担持体等に潤滑剤を均一に塗る。
【解決手段】画像形成に用いる像担持体、又は、中間転写ベルトのうちいずれかである対象物へ潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置が、前記対象物に接触し、かつ、前記潤滑剤を前記対象物へ供給する接触部と、前記接触部を複数箇所で前記像担持体へ押し込む押込方向に移動する第1機構部と、前記第1機構部の前記押込方向における位置を移動させる第2機構部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に用いる像担持体、又は、中間転写ベルトのうちいずれかである対象物へ潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置であって、
前記対象物に接触し、かつ、前記潤滑剤を前記対象物へ供給する接触部と、
前記接触部を複数箇所で前記像担持体へ押し込む押込方向に移動する第1機構部と、
前記第1機構部の前記押込方向における位置を移動させる第2機構部と
を備える潤滑剤供給装置。
【請求項2】
前記第2機構部は、
前記押込方向に複数の段差を有する
請求項1に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項3】
前記第2機構部は、
実用金属を含む
請求項1又は2に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項4】
前記第2機構部は、
一定以上の滑りがある樹脂部材を含む
請求項1又は2に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項5】
前記第2機構部を移動させて、前記第1機構部の前記押込方向における移動量を操作する操作部を更に備える
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項6】
前記第2機構部には、
前記第2機構部が移動するのに接する接触面に塗布剤が塗布される
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤供給装置、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラム、又は、中間転写ベルト等を対象にして、潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を用いる技術が知られている。感光体ドラム上に潤滑剤を塗布すると、感光体ドラム上の摩擦が低下する。これにより、クリーニング不良の発生を抑止する。
【0003】
具体的には、潤滑剤供給装置は、像担持体に摺接する潤滑剤供給ローラ、及び、潤滑剤供給ローラに摺接する固形潤滑剤を備える。そして、潤滑剤供給装置は、固形潤滑剤の当接圧を可変する機構を更に備える。このようにして、当接圧を可変する制御により、クリーニングブレードの欠けを軽減して、クリーニング不良の発生を防ぐ技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、潤滑剤を供給する部材が像担持体、又は、中間転写ベルト(以下「像担持体等」という。)に対して1箇所で押されるため、像担持体等に潤滑剤を均一に濡れない課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、像担持体等に潤滑剤を均一に塗ることを目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、画像形成に用いる像担持体、又は、中間転写ベルトのうちいずれかである対象物へ潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置は、
前記対象物に接触し、かつ、前記潤滑剤を前記対象物へ供給する接触部と、
前記接触部を複数箇所で前記像担持体へ押し込む押込方向に移動する第1機構部と、
前記第1機構部の前記押込方向における位置を移動させる第2機構部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、像担持体等に潤滑剤を均一に塗ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】潤滑剤供給装置を有する画像形成装置の例を示す図である。
【
図2】画像形成装置の側面カバーを開放した状態の例を示す図である。
【
図3】潤滑剤供給装置の第1構成例を示す図である。
【
図4】第1構成例において接触部を押し込んだ後の例を示す図である。
【
図5】潤滑剤供給装置の第2構成例を示す図である。
【
図6】第2構成例において接触部を押し込んだ後の例を示す図である。
【
図7】潤滑剤供給装置の第3構成例を示す図である。
【
図8】第3構成例において接触部を押し込んだ後の例を示す図である。
【
図9】第2実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【
図10】第2実施形態の全体処理例を示す図である。
【
図11】比較例における感光体の周辺の構成例を示す図である。
【
図12】比較例における制御装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。また、以下の例では、シートを用紙とする例で説明する。
【0010】
[情報処理システム構成、及び、ハードウェア構成]
図1は、潤滑剤供給装置を有する画像形成装置の例を示す図である。以下、
図1に示すカラープリンタ1を例に説明する。
【0011】
カラープリンタ1の本体ケース2内には、プリンタエンジン3、光ビームを出射する光書込装置4、記録媒体Pを収納する給紙カセット5、トナー画像が転写された記録媒体Pを定着処理する定着装置6、及び、トナー画像を転写した後に発生した廃トナーを回収する廃トナー回収容器7等が設置される。
【0012】
プリンタエンジン3は、トナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体Pに転写する。また、プリンタエンジン3は、像担持体である4つの感光体8(8Y、8C、8M、8K)、各感光体8の周囲に配置された帯電装置である帯電ローラ9、現像装置10、クリーニング装置11、一次転写ローラ12、像担持体、及び、中間転写ベルト13、二次転写ローラ14、クリーニング装置15等を有する。
【0013】
以下、「Y」、「C」、「M」、及び、「K」の添え字は、各々イエロー、シアン、マゼンタ、及び、ブラックの色を示す。
【0014】
感光体8は、円筒状であって駆動モータが連結する。そして、感光体8は、駆動モータからの駆動力により回転する。
【0015】
感光体8の外周面には、静電潜像が形成される感光層が設けられる。
【0016】
帯電ローラ9は、感光体8の外周面に当接して配置され、又は、感光体8の外周面と微小な隙間をもって配置される。そして、帯電ローラ9に対し、電源部から電圧が印加されると、帯電ローラ9と感光体8との間でコロナ放電が発生する。そして、感光体8の外周面が、一様に帯電する。
【0017】
光書込装置4は、画像データに応じた光ビームを出射する。そして、光書込装置4は、一様に帯電された感光体8の外周面を露光する。この露光により、感光体8の外周面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0018】
現像装置10は、感光体8に対してトナーを供給する。トナーは、感光体8の外周面に形成されている静電潜像に付着して、静電潜像がトナー画像として顕像化する。
【0019】
中間転写ベルト13は、樹脂フィルム、又は、ゴムを基体とする。また、中間転写ベルト13は、ループ状のベルトである。そして、中間転写ベルト13は、駆動ローラ16と入口ローラ17とテンションローラ18との回りに巻かれる。そして、中間転写ベルト13は、駆動モータで回転する駆動ローラ16が回転駆動すると、矢印Aが示す方向に回転する。
【0020】
入口ローラ17、及び、テンションローラ18は、中間転写ベルト13が矢印Aの示す方向へ回転すると、中間転写ベルト13との摩擦力によって従動回転する。
【0021】
一次転写ローラ12は、中間転写ベルト13の内周面側(ループの内側である。)に配置する。そして、一次転写ローラ12に転写用電圧が印加されると、各々の感光体8上のトナー画像は、中間転写ベルト13上に転写される。
【0022】
次に、感光体8上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト13上に順次転写されて重ね合わされて、中間転写ベルト13上に、カラーのトナー画像が形成される。
【0023】
クリーニング装置11は、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後、感光体8の外周面をクリーニングする。そして、クリーニングによって、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後に、感光体8の外周面上に残留しているトナー、又は、紙粉等が廃トナーとして回収される。
【0024】
中間転写ベルト13上のトナー画像は、中間転写ベルト13と、二次転写ローラ14とが当接した転写位置に、記録媒体Pが送り込まれたタイミング、かつ、二次転写ローラ14に転写用電圧が印加されると、記録媒体Pに転写される。
【0025】
記録媒体Pは、給紙カセット5内から給紙された後、搬送ローラ19、及び、レジストローラ20により搬送される。その後、記録媒体Pは、トナー画像を転写された後、定着装置6に送り込まれる。
【0026】
次に、トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置6内で熱と圧力とを加えられて定着処理される。この定着処理により、トナー画像は、記録媒体Pに定着する。そして、定着処理が終了すると、記録媒体Pは、排紙トレイ21上に排紙される。
【0027】
クリーニング装置15は、カラーのトナー画像が記録媒体Pに転写された後、中間転写ベルト13の外周面をクリーニングする。そして、クリーニングによって、トナー画像の転写後、中間転写ベルト13の外周面上に残留したトナー、又は、紙粉等が廃トナーとして回収される。
【0028】
廃トナー回収容器7は、クリーニング装置11、及び、クリーニング装置15で回収した廃トナーを貯留する。
【0029】
感光体8と、帯電ローラ9と、現像装置10と、クリーニング装置11とは、ユニット化してケース22内に収納して、プロセスカートリッジ23(図では、23Y、23C、23M、23Kである。)を構成する。また、各々のプロセスカートリッジ23は、本体ケース2内に、着脱可能で装着する。このように、ユニット化すると、交換、及び、メンテナンスの作業が容易になる。また、ユニット化すると、部材間の位置精度を高精度の維持でき、かつ、画像品質を向上できる。
【0030】
なお、プロセスカートリッジ23は、様々な構成が可能である。例えば、プロセスカートリッジ23は、帯電ローラ9、現像装置10、及び、クリーニング装置11のうち、少なくとも一つと感光体8とをケース内に収納してユニット化した構成等である。
【0031】
画像形成装置は、例えば、MFP、コピー機、プリンタ、又は、これらの組み合わせ等である。なお、画像形成装置は、電子写真方式で画像形成等の画像処理を行う装置であれば、上記に説明する以外のハードウェア構成でなくともよく、機種を問わない。
【0032】
図2は、画像形成装置の側面カバーを開放した状態の例を示す図である。具体的には、
図2は、本体ケース2に設ける側面カバー24を開放した状態を示す斜視図である。
【0033】
側面カバー24を開放すると、プリンタエンジン3と廃トナー回収容器7とが、現われる。このような状態で、ユーザは、プロセスカートリッジ23、中間転写ベルト13、及び、廃トナー回収容器7の交換等のメンテナンスを行う。また、メンテナンスは、各色のレバー30(図では、30Y、30C、30M、30Kである。)をユーザが操作して行う。
【0034】
なお、図示する例では、中間転写ベルト13、駆動ローラ16、入口ローラ17、テンションローラ18、及び、クリーニング装置15は、ベルトケース13a内に収納されて、ユニット化されている。
【0035】
[潤滑剤供給装置の第1構成例]
以下、画像形成に用いる像担持体である感光体8が、潤滑剤102を供給する対象(以下「対象物」という。)である例で説明する。なお、対象物は、中間転写ベルト13でもよい。
【0036】
図3は、潤滑剤供給装置の第1構成例を示す図である。以下、感光体8の長手方向を「X軸」とする。そして、感光体8は、X軸を中心に回転する。
【0037】
接触部は、
図3に示す構成では、塗布ローラ101、及び、潤滑剤102の組み合わせである。ただし、接触部は、塗布ローラ101、及び、潤滑剤102以外の装置を用いる構成、又は、
図3に示す形状とは異なる形状でもよい。
【0038】
したがって、潤滑剤102は、
図3に示す構成では、塗布ローラ101を介して、感光体8へ供給される。具体的には、塗布ローラ101は、感光体8と直接接触する位置に設置する。そして、塗布ローラ101は、感光体8の回転に従い、従動して回転する。
【0039】
塗布ローラ101は、一方で感光体8と接触するため、塗布ローラ101に潤滑剤102が塗布されていると、塗布ローラ101は、感光体8へ潤滑剤102を供給する。そして、
図3に示すように、塗布ローラ101に、潤滑剤102が接すると、塗布ローラ101に潤滑剤102が塗布される。
【0040】
以下、X軸に直交する方向を「Y軸」とする。そして、以下の説明では、Y軸上に、感光体8、塗布ローラ101、及び、潤滑剤102を配置する例とする。したがって、Y軸方向において、潤滑剤102を感光体8に向かって押し込む強さを変更すると、感光体8に対して塗布ローラ101を押し込む強さ(以下「押込圧」という。)が変更される。さらに、潤滑剤102は、塗布ローラ101に接するため、潤滑剤102を感光体8に向かって押し込む強さを変更すると、塗布ローラ101に対して潤滑剤102を押し込む強さも変更される。
【0041】
以下、Y軸を押込方向とする。ただし、押込方向は、
図3のような方向に限られず、感光体8、塗布ローラ101、及び、潤滑剤102の位置関係によって異なる。したがって、
図3に示す例では、潤滑剤102が感光体8に向かって近づくように移動させると、潤滑剤102が強く当たり、潤滑剤102の消費量が多くなる。また、潤滑剤102は、塗布ローラ101側で塗布ローラ101に接する「接触面」となり、かつ、接触面とはY軸において反対となる面が「底面」となる。
【0042】
潤滑剤102は、「第1機構部」、及び、「第2機構部」を少なくとも含む機構でY軸上を移動する。また、ケーシング103は、第1機構部、及び、第2機構部を内部に有する筐体である。
【0043】
第1機構部は、
図3では、第10部品110、第11部品111、及び、ばね104で構成する。具体的には、第10部品110、及び、第11部品111は、ばね104でつながる機構である。したがって、第10部品110、及び、第11部品111には、ばね104の弾性力による互いに近づく力が発生する構成である。
【0044】
なお、第1機構部は、上記に説明する部品の構成、部品の形状、及び、部品の数でなくともよい。例えば、第1機構部は、第10部品110、及び、第11部品111以外の部品を更に有し、3箇所以上で潤滑剤102を押し込む構成でもよい。以下、2箇所を押し込む例で説明するが、複数箇所であれば、箇所の数、及び、位置関係は問わない。
【0045】
第10部品110、及び、第11部品111は、Y軸において、潤滑剤102に対し、塗布ローラ101を配置する面とは異なる面(
図3では、第10部品110、及び、第11部品111と、塗布ローラ101とは、潤滑剤102を挟んで対面する位置関係となる。)で接触する。また、第10部品110、及び、第11部品111は、X軸において異なる箇所で潤滑剤102を押す。
【0046】
第2機構部は、
図3では、第1部品201、及び、第2部品202である。そして、
図3では、第1部品201は、第10部品110のY軸方向における位置を移動させる。一方で、第2部品202は、第11部品111のY軸方向における位置を移動させる。
【0047】
第1部品201、及び、第2部品202は、ユーザが操作を行うため、機構の一部がケーシング103の外に出る突起を備える形状である。したがって、ユーザは、第1部品201、及び、第2部品202を突起の位置を変更することで操作する。
【0048】
例えば、第1部品201、及び、第2部品202が離れるように(図では、第1矢印301で示す方向へ動かすことをいう。)操作すると、以下のようになる。
【0049】
図4は、第1構成例において接触部を押し込んだ後の例を示す図である。
図3と比較すると、第1部品201、及び、第2部品202が
図3に示す場合と比較して、相対的に離れた位置に移動している点が異なる。
【0050】
第1部品201、及び、第2部品202が
図4に示す位置に移動すると、第10部品110、及び、第11部品111は、
図3に示す位置より押込方向において、潤滑剤102を押し込む。具体的には、第10部品110、及び、第11部品111は、第1部品201、及び、第2部品202に接する側が球形状であると、第1部品201、及び、第2部品202の斜面部分に沿ってばね104の力で、押込方向に移動する。
【0051】
そして、
図4に示すように、第10部品110、及び、第11部品111を押し込むと、潤滑剤102を強く当て、潤滑剤102の消費量が多くなるように調整できる。
【0052】
一方で、
図4から
図3に示す状態となるように操作すると、潤滑剤102の消費量が少なくなるように調整できる。
【0053】
また、第2機構部を構成する部品の形状等により、環境、使用状況、及び、摩擦状況等に合わせて、第2機構部の位置を操作して、潤滑剤102の消費量を最適化できる。
【0054】
特に、第2機構部が第1部品201、及び、第2部品202のように分かれていると、潤滑剤102が均一に消耗せず、X軸方向において偏りのある消耗をした場合であっても、第1部品201、及び、第2部品202で異なる操作量にして、潤滑剤102の使用状況に合わせて、消費量を調整できる。
【0055】
なお、第10部品110、及び、第11部品111等のような第1機構部を構成する部品であって、接触部を押し込むのに接触部に直接接触する部品(以下「押込部品」という。)は、半球等の形状が望ましい。具体的には、押込部品には、一部に曲面があるのが望ましい。
図3に示すように、曲面に第2機構部が接すると、曲面であるため、第2機構部の移動における第2機構部との抵抗が少なくできる。
【0056】
また、
図3に示すように、第10部品110、及び、第11部品111をばね104で互いに引っ張り、かつ、第10部品110、及び、第11部品111の間(図ではX軸方向である。)を第2機構部が止める構成であると、潤滑剤102が消費されていくと、第10部品110、及び、第11部品111が潤滑剤102を押し込む。したがって、アクチュエータ等のエネルギーを使う装置がなくとも、潤滑剤102の消費量に合わせて、潤滑剤102を押し込むことができる。
【0057】
[潤滑剤供給装置の第2構成例]
図5は、潤滑剤供給装置の第2構成例を示す図である。第1構成例と比較すると、
図5に示す第2構成例は、第2機構部を第3部品203で構成する点が異なる。以下、第2構成例と異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
【0058】
第3部品203は、以下のように操作する。
【0059】
図6は、第2構成例において接触部を押し込んだ後の例を示す図である。
図6は、
図5に示す位置から、第3部品203を第2矢印302の方向へ移動させた操作を行った後の状態を示す。
【0060】
第3部品203を用いる構成でも、第1構成例と同様に、
図6に示すように、第10部品110、及び、第11部品111を押し込むと、潤滑剤102を強く当て、潤滑剤102の消費量が多くなるように調整できる。
【0061】
一方で、
図6から
図5に示す状態となるように操作すると、潤滑剤102の消費量が少なくなるように調整できる。
【0062】
[潤滑剤供給装置の第3構成例]
図7は、潤滑剤供給装置の第3構成例を示す図である。第1構成例と比較すると、
図7に示す第3構成例は、第2機構部が複数の段差を有する点が異なる。以下、第1構成例と異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。具体的には、
図7では、第2機構部は、第4部品204、及び、第5部品205で構成する。
【0063】
第4部品204、及び、第5部品205は、第1段差211、及び、第2段差212のように、複数の段差を有する形状である。
【0064】
第1構成例と同様に、第4部品204、及び、第5部品205が離れるように(図では、第1矢印301で示す方向へ動かすことをいう。)操作すると、以下のようになる。
【0065】
図8は、第3構成例において接触部を押し込んだ後の例を示す図である。
図8は、
図7に示す位置から、第4部品204、及び、第5部品205を第1構成例の場合と同様に、第1矢印301の方向へ移動させた操作を行った後の状態を示す。
【0066】
第4部品204、及び、第5部品205を用いる構成でも、第1構成例と同様に、
図8に示すように、第10部品110、及び、第11部品111を押し込むと、潤滑剤102を強く当て、潤滑剤102の消費量が多くなるように調整できる。
【0067】
一方で、
図8から
図7に示す状態となるように操作すると、潤滑剤102の消費量が少なくなるように調整できる。
【0068】
第1段差211、及び、第2段差212のように、複数の段差があると、ユーザは、段階的な操作ができる。したがって、ユーザは、潤滑剤102の消費量を段階的に細かく調整できる。なお、段差の数は、
図7、及び、
図8に示す段差数に限られず、図示する以上の数の段差があってもよい。
【0069】
具体的には、段差の数は、3段以上が望ましい。例えば、潤滑剤102の消費量は、記録媒体を搬送する速度(いわゆる「線速」である。)等に応じて調整される。具体的には、記録媒体を搬送する速度は、速い場合には、50乃至60枚/分程度となる。一方で、記録媒体を搬送する速度は、速い場合には、15枚/分程度となる。そのため、3段、すなわち、「速い・標準・遅い」の3つに対応する潤滑剤102の消費量を設定できるのが望ましい。
【0070】
ほかにも、潤滑剤102の消費量は、周辺の温度等によっても調整する。したがって、温度等に応じて潤滑剤102の消費量が調整できるのが望ましい。
【0071】
[第2実施形態]
第2機構部は、以下のような構成で制御されてもよい。
【0072】
[ハードウェア構成例]
図9は、第2実施形態のハードウェア構成例を示す図である。例えば、
図3に示す第構成例において、アクチュエータ120、及び、制御装置121等が更にあるハードウェア構成でもよい。なお、センサ等が更にあるハードウェア構成でもよい。
【0073】
アクチュエータ120等により、第2機構部は、例えば、以下のような制御方法で制御される。
【0074】
[全体処理例]
図10は、第2実施形態の全体処理例を示す図である。
【0075】
ステップS1001では、制御装置121は、潤滑剤102の消費量を変更するか否かを判断する。例えば、潤滑剤102の消費量は、ユーザの指示、又は、センサ等で消費量を計測した結果等に基づいて決定する。
【0076】
次に、潤滑剤102の消費量を変更する場合(ステップS1001でYES)には、制御装置121は、ステップS1002に進む。一方で、潤滑剤102の消費量を変更しない場合(ステップS1001でNO)には、制御装置121は、ステップS1001を繰り返す。
【0077】
ステップS1002では、制御装置121は、第2機構部を移動させるように制御する。すなわち、ステップS1002では、制御装置121は、ステップS1001で判断した結果に基づき、最適な消費量となるように、第2機構部を移動させる。
【0078】
以上のように、アクチュエータ120等によって、第2機構部を移動させ、潤滑剤供給装置は、潤滑剤102の消費量を最適化させてもよい。
【0079】
潤滑剤102は、消費量が多すぎると、感光体8を介して帯電ローラ9に潤滑剤102が回り、帯電ローラ9を汚してしまう。その結果、汚れた部分が黒スジとなって画像上に顕在化してしまう。
【0080】
逆に、潤滑剤102は、消費量が少ないと、感光体8上を保護できず、膜削れ、駆動トルクの上昇、又は、フィルミングの原因となる。
【0081】
また、潤滑剤102は、使用する環境、又は、画像の面積等で消費量が変化する。ほかにも、潤滑剤102は、感光体8、又は、塗布ローラ101の経時劣化等で潤滑剤102は、消費量が少なくなる。
【0082】
潤滑剤102は、消費量を適宜調整しないと、像担持体等に潤滑剤102を均一に塗るのが難しくなる。一方で、第1実施形態、又は、第2実施形態のように、消費量を調整できる構成であると、像担持体等に潤滑剤102を均一に塗ることができる。
【0083】
[比較例]
図11は、比較例における感光体の周辺の構成例を示す図である。具体的には、
図11は、感光体8の周辺を示す断面図である。
【0084】
クリーニングブレード31は、感光体8上に付着した残トナー等を除去する。
【0085】
飛散防止シート505は、クリーニングブレード31で掻き取った残トナー等の飛散を防止する。
【0086】
粉体搬送コイル32は、残トナー等を搬送する。
【0087】
潤滑剤保持部材703は、固形潤滑剤502を保持する。
【0088】
潤滑剤押圧バネ503は、固形潤滑剤502を潤滑剤供給ローラ704に押圧する。
【0089】
ブレード402は、感光体8に供給された潤滑剤を薄膜状に塗布する。
【0090】
帯電ローラ9は、感光体8の表面を一様に帯電させる。
【0091】
帯電クリーナローラ705は、帯電ローラ9を清掃する。
【0092】
枠体601は、各部品を保持する。
【0093】
クリーニングブレード31でクリーニング後、感光体8の表面に、潤滑剤供給ローラ704は、潤滑剤を供給する。このようにすると、残トナー等の異物による影響を少なく、かつ、潤滑剤がムラなく供給できる。
【0094】
これにより、残トナーが多くなりやすい広い面積の画像を連続して出力する場合等でも、感光体8の表面に、潤滑剤が安定して供給できる。
【0095】
そのため、クリーニングブレード31の機能が損なわれにくくでき、クリーニングの不良を少なくできる。この結果、通紙方向に、スジ状の汚れが発生するのを抑えることできる。すなわち、クリーニングの高機能、及び、高信頼化ができる。
【0096】
また、感光体8にムラなく潤滑剤を塗布できると、クリーニングブレード31を長寿命できる。
【0097】
帯電ローラ9は、感光体8に対し、画像領域外の両端部に設置するコロで接触して感光体8とギャップを保つ。また、帯電ローラ9に、帯電バイアスを印加すると、感光体8は、表面が帯電する。また、ブレード402は、カウンター方式、又は、トレーリング方式でもよい。
【0098】
なお、潤滑剤は、固形の潤滑剤以外でもよい。例えば、潤滑剤は、粉末、又は、固形と粉末を併用する種類でもよい。
【0099】
潤滑剤は、脂肪酸金属塩、又は、無機潤滑剤等を使用すると、クリーニング性の高耐久、高信頼、及び、長寿命化ができる。
【0100】
脂肪酸金属塩は、例えば、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム、又は、これらの混合物である。また、これらのうち、ステアリン酸亜鉛が、特に感光体への成膜性に優れるため、望ましい。
【0101】
無機潤滑剤は、自身が劈開して潤滑する、又は、内部滑りを起こす無機化合物である。具体的には、無機潤滑剤は、タルク・マイカ・窒化ホウ素・二硫化モリブデン・二硫化タングステン・カオリン・スメクタイト・ハイドロタルサイト化合物・フッ化カルシウム・グラファイト・板状アルミナ・セリサイト・合成マイカ等である。また、これらのうち、窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、かつ、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、及び、潤滑ため、望ましい。
【0102】
なお、無機潤滑剤は、疎水性付与等の目的で表面処理がされてもよい。
【0103】
また、脂肪酸金属塩、及び、無機潤滑剤の両方を塗布、又は、付着させる工程を行うと、クリーニング性が向上する。また、固形潤滑剤として、脂肪酸基に少なくとも窒化ホウ素を混合した混合物を用いると、クリーニング性が向上する。
【0104】
図12は、比較例における制御装置の構成例を示す図である。比較例は、第1制御装置、及び、第2制御装置等の多くの制御装置を備える。
【0105】
そのため、部品点数が増加し、コストの増加、又は、レイアウトの小型化が難しい等の影響がある。
【0106】
[潤滑剤供給装置による調整範囲の例]
潤滑剤供給装置による潤滑剤102の消費量は、潤滑剤102の種類ごとに調整できる範囲が異なる。したがって、潤滑剤供給装置は、押込方向において、潤滑剤102を押し当てる力が潤滑剤102の種類に基づいて設定されるのが望ましい。
【0107】
例えば、潤滑剤102を押し当てる力は、11.5N(ニュートン)乃至21.5Nの範囲で調整される。このように、比較的、強い力で潤滑剤102を押し当てる場合には、上記に説明するような構成であるのが望ましい。
【0108】
[その他の実施形態]
第2機構部は、実用金属を含む部材が使用されるのが望ましい。実用金属は、例えば、鉄、アルミ、マグネシウム、又は、これらの合金等である。このような実用金属で構成すると、部材の変形が少なくなり、位置を安定化させることができる。
【0109】
第2機構部は、一定以上の滑りがある樹脂部材を含むのが望ましい。
図3乃至
図9が示すように、第2機構部は、移動する機構である。したがって、滑りがあり、移動に摩擦が少ない部材を用いるのが望ましい。例えば、一定以上の滑りがある樹脂部材は、ポリオキシメチレン樹脂、又は、ポリアセタール樹脂(POM)等である。このような構成であると、第2機構部の操作性が向上する。また、軽量化ができる。
【0110】
潤滑剤供給装置は、
図3乃至
図8に示すように、操作部がある構成が望ましい。すなわち、第2機構部は、ユーザが装置の外部から操作して移動する構成では、第2機構部を操作するための突起等があるのが望ましい。具体的には、ユーザは、突起等を動かす操作により、第2機構部を移動させて、第1機構部の押込方向における移動量を操作する。このように操作部があると、操作部がない構成と比較して、装置の外部からユーザが操作しやすく、操作性が向上する。
【0111】
第2機構部には、第2機構部が移動するのに接する接触面に塗布剤が塗布されるのが望ましい。例えば、塗布剤は、フッ素系不活性液を溶媒として使用する速乾性の塗布剤等である。第2機構部は、移動において、ケーシング103等と接する接触面を有する場合がある。このような接触面には、塗布剤が塗布されるのが望ましい。
【0112】
接触面に塗布剤が塗布されると、第2機構部の移動をスムーズにできる。すなわち、塗布剤により、接触面において、第2機構部と相手側との間における摩擦が低減できる。このような構成であると、ユーザは小さい力で操作でき、操作性が向上する。
【0113】
潤滑剤供給装置は、中間転写ベルト13に対して適用されてもよい。具体的には、
図3乃至
図9に示す構成は、対象物が中間転写ベルト13であってもよい。そして、対象物が中間転写ベルト13である場合には、潤滑剤供給装置は、中間転写ベルト13に潤滑剤を均一に塗ることができる。
【0114】
制御方法は、例えば、プログラムに基づいて実現されてもよい。具体的には、プログラムに基づいて演算装置、記憶装置、及び、制御装置等の装置が、協働して動作して制御方法を実行する。なお、プログラムは、コンピュータが読取可能な記憶媒体に記憶されて頒布、又は、電気通信回線を通じて頒布されてもよい。
【0115】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1 :カラープリンタ
8 :感光体
13 :中間転写ベルト
102 :潤滑剤
103 :ケーシング
104 :ばね
110 :第10部品
111 :第11部品
121 :制御装置
201 :第1部品
202 :第2部品
203 :第3部品
204 :第4部品
205 :第5部品
211 :第1段差
212 :第2段差
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】