(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122359
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230825BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20230825BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
E02F9/26 A
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026026
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 正充
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大祐
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 誠弥
(72)【発明者】
【氏名】大畠 陽二郎
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5K048
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA04
2D003DA04
2D015HA03
2D015HB00
5K048AA04
5K048BA21
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB15
5K048FB05
5K048GC03
5K048HA23
(57)【要約】
【課題】作業性を向上できる遠隔操作システムを提供する。
【解決手段】油圧ショベル100は、旋回軸を中心に旋回する旋回体と、カメラ20とを有している。カメラ20は、旋回体に搭載されており、作業現場に存在する撮像対象を撮像する。遠隔操作システム200は、旋回体の旋回方向についてのオペレータの入力を受け付ける遠隔操作装置40と、画像を表示する表示装置50と、油圧ショベル100を制御する遠隔コントローラ60とを備えている。遠隔コントローラ60は、カメラ20によって撮像された撮像画像を左右反転した反転画像を表示装置50に表示し、遠隔操作装置40に入力された旋回方向とは逆方向に旋回体を旋回させる制御信号を油圧ショベル100に出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を遠隔操作するための遠隔操作システムであって、
前記作業機械は、旋回軸を中心に旋回する旋回体と、前記旋回体に搭載され、作業現場に存在する撮像対象を撮像する撮像装置とを有し、
前記遠隔操作システムは、
前記旋回体の旋回方向についてのオペレータの入力を受け付ける操作装置と、
画像を表示する表示装置と、
前記作業機械を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記撮像装置によって撮像された撮像画像を左右反転した反転画像を前記表示装置に表示し、前記操作装置に入力された前記旋回方向とは逆方向に前記旋回体を旋回させる制御信号を前記作業機械に出力する、遠隔操作システム。
【請求項2】
前記コントローラは、通常モードと反転モードとを選択的に設定し、
前記通常モードの設定時、前記撮像画像を前記表示装置に表示し、前記操作装置に入力された前記旋回方向に前記旋回体を旋回させる制御信号を前記作業機械に出力し、
前記反転モードの設定時、前記反転画像を前記表示装置に表示し、前記操作装置に入力された前記旋回方向とは逆方向に前記旋回体を旋回させる制御信号を前記作業機械に出力する、請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記通常モードの設定時と前記反転モードの設定時との両方において前記旋回体を一方方向に旋回させる操作の入力を受け付けるように、前記操作装置の操作内容を設定する操作内容設定部をさらに備える、請求項2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記作業機械が第1の作業をする第1作業位置と、前記第1作業位置から前記旋回体が旋回した位置である、前記作業機械が第2の作業をする第2作業位置と、の相対位置関係を取得する作業位置取得部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記作業位置取得部の取得する前記相対位置関係に基づいて、前記旋回体を前記一方方向に旋回させる操作で前記作業機械が前記第1作業位置から前記第2作業位置へと移動するように、前記通常モードと前記反転モードとのいずれかのモードを選択する、請求項3を引用する請求項4に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記通常モードと前記反転モードとのいずれかのモードを選択するオペレータの入力を受け付けるモード設定受付部をさらに備える、請求項2または請求項3に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記遠隔操作システムは、複数の前記作業機械を遠隔操作し、
複数の前記作業機械の各々毎に、前記通常モードと前記反転モードとを選択的に設定する、請求項2に記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械を遠隔操作するための遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-207244号公報(特許文献1)には、旋回軸を中心に旋回する旋回体および旋回体に支持される作業機を有する作業機械に搭載され、画像を撮影する撮像装置と、作業機械の外部に存在する表示装置と、作業機械の外部に存在し、作業機械と通信可能な制御装置と、を備え、制御装置は、画像を撮像装置から取得する画像データ取得部と、画像データ取得部で取得された画像を表示装置に表示させる表示制御部と、を有する、遠隔操作システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧ショベルによる掘削積込作業の場合、掘削した土砂をダンプトラックなどの目標位置へと運搬するために、旋回体を旋回させる。このときの旋回方向は現場の状況により異なる。作業現場を頻繁に切替え可能な状況で油圧ショベルなどの作業機械を遠隔操作する場合、掘削後の旋回体の旋回方向が異なると、遠隔操作を実行するオペレータが混乱し、作業性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示では、作業性を向上できる遠隔操作システムが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、作業機械を遠隔操作するための遠隔操作システムが提案される。作業機械は、旋回軸を中心に旋回する旋回体と、撮像装置とを有している。撮像装置は、旋回体に搭載されており、作業現場に存在する撮像対象を撮像する。遠隔操作システムは、旋回体の旋回方向についてのオペレータの入力を受け付ける操作装置と、画像を表示する表示装置と、作業機械を制御するコントローラとを備えている。コントローラは、撮像装置によって撮像された撮像画像を左右反転した反転画像を表示装置に表示し、操作装置に入力された旋回方向とは逆方向に旋回体を旋回させる制御信号を作業機械に出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る遠隔操作システムによれば、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】油圧ショベルの遠隔操作システムの一例を模式的に示す図である。
【
図3】遠隔操作装置の一例を模式的に示す図である。
【
図4】遠隔操作システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図5】油圧ショベルの遠隔操作方法を示すフローチャートである。
【
図6】油圧ショベルと運搬機械との位置関係の一例を示す模式図である。
【
図8】撮像画像を左右反転した反転画像の一例を示す図である。
【
図9】旋回体の旋回方向を反転させた油圧ショベルと運搬機械との仮想的な位置関係の一例を示す模式図である。
【
図10】油圧ショベルの遠隔操作方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
図1は、実施形態に基づく遠隔操作システムによって遠隔操作される作業機械の一例としての、油圧ショベル100の外観図である。
図1に示されるように、作業機械として、本例においては、主に油圧ショベル100を例に挙げて説明する。
【0011】
油圧ショベル100は、作業現場に存在し、作業現場で作業する。油圧ショベル100は、土砂または鉱石などの対象物の掘削作業を実行し、掘削された対象物をダンプトラックなどの運搬機械に積み込む積込作業を実行する。実施形態の油圧ショベル100は、遠隔操作可能な仕様の作業機械である。油圧ショベル100の操縦は、遠隔操作システムを用いた遠隔地からの無線信号により行う。油圧ショベル100は、搭乗したオペレータによる操縦機能を搭載していない。
【0012】
油圧ショベル100は、本体1を備えている。本体1は、旋回体3と、走行体5とを有している。
【0013】
走行体5は、一対の履帯5Crと、走行モータ5Mとを有している。油圧ショベル100は、履帯5Crの回転により走行可能である。走行モータ5Mは、走行体5の駆動源として設けられている。走行モータ5Mは、油圧により作動する油圧モータである。なお、走行体5が車輪(タイヤ)を有していてもよい。
【0014】
旋回体3は、走行体5の上に配置され、かつ走行体5により支持されている。旋回体3は、旋回軸RXを中心として走行体5に対して旋回可能に、走行体5に搭載されている。旋回体3は、車室4を有している。車室4の前面は、透明な窓板4Wで覆われている。窓板4Wは、強化ガラスなどで構成されている。車室4内には、空間4Sが形成されている。
【0015】
旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有している。エンジンルーム9には、後述するエンジン31および油圧ポンプ32などが配置されている。
【0016】
旋回体3において、エンジンルーム9の前方に手すり19が設けられている。手すり19には、アンテナ21が設けられている。アンテナ21は、たとえばGNSS(Global Navigation Satellite Systems:全地球航法衛星システム)用のアンテナである。アンテナ21は、車幅方向に互いに離れるように旋回体3に設けられた第1アンテナ21Aおよび第2アンテナ21Bを有している。
【0017】
油圧ショベル100は、油圧により作動する作業機2を備えている。作業機2は、旋回体3に支持されている。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8とを有している。ブーム6の基端部は、ブームフートピン13を介して旋回体3に回転可能に連結されている。アーム7の基端部は、ブーム先端ピン14を介してブーム6の先端部に回転可能に連結されている。バケット8は、アーム先端ピン15を介してアーム7の先端部に回転可能に連結されている。アーム7およびバケット8のそれぞれは、ブーム6の先端側で移動可能な可動部材である。
【0018】
バケット8は、複数の刃を有している。バケット8は、刃を有していなくてもよい。バケット8の先端部は、ストレート形状の鋼板で形成されていてもよい。バケット8は、作業機2の先端に取付可能なアタッチメントの一例である。作業の種類に応じて、アタッチメントが、ブレーカ、グラップル、またはリフティングマグネットなどに付け替えられる。
【0019】
なお本実施形態においては、作業機2を基準として、油圧ショベル100の各部の位置関係について説明する。
【0020】
作業機2のブーム6は、旋回体3に対して、ブームフートピン13を中心に回転する。旋回体3に対して回転するブーム6の特定の部分、たとえばブーム6の先端部が移動する軌跡は円弧状であり、その円弧を含む平面が特定される。油圧ショベル100を平面視した場合に、当該平面は直線として表される。この直線の延びる方向が、油圧ショベル100の本体1の前後方向、または旋回体3の前後方向であり、以下では単に前後方向ともいう。油圧ショベル100の本体1の左右方向(車幅方向)、または旋回体3の左右方向とは、平面視において前後方向と直交する方向であり、以下では単に左右方向ともいう。車両本体の上下方向、または旋回体3の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向であり、以下では単に上下方向ともいう。
【0021】
前後方向において、油圧ショベル100の本体1から作業機2が突き出している側が前方向であり、前方向と反対方向が後方向である。前方向を視て左右方向の右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0022】
作業機2は、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを有している。ブームシリンダ10は、ブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブームシリンダ10、アームシリンダ11、およびバケットシリンダ12のそれぞれは、作動油によって駆動される油圧シリンダである。
【0023】
油圧ショベル100は、カメラ20を備えている。カメラ20は、油圧ショベル100の周辺の作業現場に存在する撮像対象を撮像して、撮像対象の画像を取得するための撮像装置である。カメラ20は、旋回体3に搭載されている。
【0024】
カメラ20によって撮像される撮像対象は、作業現場において施工される施工対象を含む。施工対象は、油圧ショベル100の作業機2によって掘削される掘削対象を含む。掘削対象は、掘削前の掘削対象(すなわち、現況地形)、掘削中の掘削対象、および掘削後の掘削対象を含む。カメラ20の撮像対象は、油圧ショベル100の周辺の障害物を含む。
【0025】
カメラ20の撮像対象は、油圧ショベル100の少なくとも一部を含む。カメラ20の撮像対象は、作業機2の少なくとも一部を含む。カメラ20の撮像対象は、油圧ショベル100の周辺に配置される他の作業機械を含む。他の作業機械は、油圧ショベル100の掘削対象を運搬する運搬機械を含む。他の作業機械は、ダンプトラックを含む。
【0026】
カメラ20は、光学系と、光学系を通過した光を受光するイメージセンサとを有している。イメージセンサは、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含んでいる。
【0027】
カメラ20は、右前方カメラ20Aと、右側方カメラ20Bと、後方カメラ20Cと、左側方カメラ20Dと、前方カメラ20Eを含んでいる。
【0028】
右前方カメラ20Aと右側方カメラ20Bとは、旋回体3の上面の右側縁部に配置されている。右前方カメラ20Aは、右側方カメラ20Bよりも前方に配置されている。右前方カメラ20Aと右側方カメラ20Bとは、前後方向における旋回体3の中央部付近に、前後に並んで配置されている。右前方カメラ20Aは、旋回体3の右前方を撮像する。右前方カメラ20Aの光軸は、右前方カメラ20Aから右斜め前方向に延びている。右側方カメラ20Bは、旋回体3の右後方を撮像する。右側方カメラ20Bの光軸は、右側方カメラ20Bから右斜め後ろ方向に延びている。
【0029】
後方カメラ20Cは、前後方向において旋回体3の後端部に配置されており、左右方向において旋回体3の中央部に配置されている。旋回体3の後端部には、採掘時などにおいて車体のバランスをとるためのカウンタウェイトが設置されている。後方カメラ20Cは、カウンタウェイトの上面に配置されている。後方カメラ20Cは、旋回体3の後方を撮像する。後方カメラ20Cの光軸は、後方カメラ20Cから後方向に延びている。左側方カメラ20Dは、旋回体3の上面の左側縁部に配置されている。左側方カメラ20Dは、前後方向における旋回体3の中央部付近に配置されている。左側方カメラ20Dは、旋回体3の左方を撮像する。左側方カメラ20Dの光軸は、左側方カメラ20Dから左方向に延びている。
【0030】
前方カメラ20Eは、旋回体3の前部に配置されている。前方カメラ20Eは、作業機2の左側に配置されている。前方カメラ20Eは、車室4の内部に配置されている。前方カメラ20Eは、車室4に収容されている。前方カメラ20Eは、車室4内の空間4Sに配置されている。前方カメラ20Eは、窓板4Wを通して旋回体3の前方を撮像する。前方カメラ20Eの光軸は、前方カメラ20Eから前方向に延びている。前方カメラ20Eによって撮像される撮像画像は、旋回体3の前方の地形と、作業機2の少なくとも一部とを含み得る。
【0031】
油圧ショベル100は、通信装置22と、車体コントローラ26とを備えている。通信装置22は、通信アンテナを含んでいる。通信アンテナは、たとえばエンジンルーム9の上方に配置されている。通信装置22は、遠隔地より送信された制御信号を受信する。車体コントローラ26は、受信した制御信号に基づいて、エンジン31、作業機2、および旋回体3などを制御する。通信装置22はまた、油圧ショベル100の情報を含む信号を、遠隔地に送信する。通信装置22は、カメラ20が撮像した撮像対象の撮像画像、油圧ショベル100の位置情報および姿勢情報などを、遠隔地に送信する。
【0032】
図2は、油圧ショベル100の遠隔操作システム200の一例を模式的に示す図である。遠隔操作システム200は、油圧ショベル100の外部に存在する。油圧ショベル100は、遠隔操作システム200によって遠隔操作される。遠隔操作システム200は、たとえば、遠隔操作施設に設けられる。遠隔操作施設は、油圧ショベル100の存在する作業現場に設置されていてもよく、作業現場から離れた遠隔地に設置されていてもよい。
【0033】
遠隔操作システム200は、遠隔操作装置40と、表示装置50と、遠隔コントローラ60と、通信装置72とを主に備えている。遠隔操作装置40、表示装置50、遠隔コントローラ60および通信装置72のそれぞれは、油圧ショベル100とは別体で設けられている。
【0034】
油圧ショベル100は、ネットワーク400を介して、遠隔操作システム200に接続されている。ネットワーク400は、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、携帯電話通信網、および衛星通信網の少なくとも一つを含んでいる。ネットワーク400は、通信されるデータを中継する中継局を含んでもよい。
【0035】
油圧ショベル100の通信装置22は、ネットワーク400を介して、遠隔操作システム200に、油圧ショベル100の情報を含む信号を送信する。遠隔操作システム200は、通信装置72で受信した、カメラ20が撮像した撮像対象の撮像画像を、遠隔コントローラ60で処理して、表示装置50に表示する。
【0036】
図3は、遠隔操作装置40の一例を模式的に示す図である。
図3に示される遠隔操作装置40と表示装置50とは、遠隔操作施設に設けられている遠隔操作室に配置されている。遠隔操作装置40は、操縦シート45に着座したオペレータによって操作される。オペレータは、表示装置50の表示画面と正対するように、操縦シート45に着座する。オペレータは、表示装置50を介して作業現場の状況を視認する。オペレータは、表示装置50の表示画面を見ながら、遠隔操作装置40を操作する。
【0037】
遠隔操作装置40は、作業機2および旋回体3の動作のために操作される左作業レバー41および右作業レバー42と、走行体5の動作のために操作される左走行レバー43および右走行レバー44とを含んでいる。
【0038】
左作業レバー41は、操縦シート45の左方に配置されている。操縦シート45に着座したオペレータは、左手で左作業レバー41を把持して、左作業レバー41を操作する。左作業レバー41により、アーム7および旋回体3が操作される。左作業レバー41は、旋回体3の旋回方向と、アーム7の上下動とについてのオペレータの入力を受け付ける。左作業レバー41の前後方向の操作は、旋回体3の旋回に対応し、前後方向の操作に応じて旋回体3の右旋回動作および左旋回動作が実行される。左作業レバー41の左右方向の操作は、アーム7の操作に対応し、左右方向の操作に応じてアーム7の上方向への動作および下方向への動作が実行される。
【0039】
右作業レバー42は、操縦シート45の右方に配置されている。操縦シート45に着座したオペレータは、右手で右作業レバー42を把持して、右作業レバー42を操作する。右作業レバー42により、ブーム6およびバケット8が操作される。右作業レバー42は、ブーム6の上下動およびバケット8の上下動についてのオペレータの入力を受け付ける。右作業レバー42の前後方向の操作は、ブーム6の操作に対応し、前後方向の操作に応じてブーム6が上昇する動作および下降する動作が実行される。右作業レバー42の左右方向の操作は、バケット8の操作に対応し、左右方向の操作に応じてバケット8の下方向への動作および上方向への動作が実行される。
【0040】
操縦シート45の左方にはまた、左コンソール48が配置されている。操縦シート45の右方にはまた、右コンソール49が配置されている。
【0041】
左走行レバー43および右走行レバー44は、操縦シート45の前方に配置されている。左走行レバー43および右走行レバー44は、左右に並んで、左走行レバー43が左側に、右走行レバー44が右側に配置されている。左走行レバー43および右走行レバー44は、走行体5の走行についてのオペレータの入力を受け付ける。左走行レバー43の前後方向の操作に応じて、走行体5の左側の履帯5Crの前進動作および後進動作が実行される。右走行レバー44の前後方向の操作に応じて、走行体5の右側の履帯5Crの前進動作および後進動作が実行される。
【0042】
表示装置50は、操縦シート45の前方に配置されている。表示装置50は、左走行レバー43および右走行レバー44よりも操縦シート45から離れて配置されている。表示装置50は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイのような、フラットパネルディスプレイを含んでいる。表示装置50は、画像を表示する。表示装置50は、カメラ20によって撮像されネットワーク400を介して取得した撮像画像を表示可能である。表示装置50はまた、撮像画像を遠隔コントローラ60で処理した後の画像を表示可能である。具体的には表示装置50は、カメラ20によって撮像された撮像画像を左右反転した、反転画像を表示可能である。
【0043】
図3では、1つの表示画面が表示装置50を構成する例が示されているが、表示装置50は複数の表示画面を含んでもよい。表示装置50は、中央の表示画面の上下左右に各1つずつの表示画面が隣り合って並べられた計5つの表示画面を含んでもよく、縦3段横3列に互いに隣り合って並べられた計9つの表示画面を含んでもよく、他の任意の態様で配列された任意の数の表示画面を含んでもよい。表示装置50は、操縦シート45の前方に配置された表示画面に加えて、操縦シート45の左方、操縦シートの右方、および/または操縦シート45の上方に配置された表示画面を含んでもよい。
【0044】
図4は、遠隔操作システム200の構成例を示す機能ブロック図である。遠隔操作システム200は、ネットワーク400を介して、油圧ショベル100に接続されており、また、運搬機械300に接続されている。
【0045】
図1に示されるカメラ20で撮像された撮像画像は、車体コントローラ26に入力される。アンテナ21は、受信した電波(GNSS電波)に応じた信号を、グローバル座標演算部23に出力する。グローバル座標演算部23は、アンテナ21より入力された信号に基づいて、グローバル座標系におけるアンテナ21の現在の位置を検出する。グローバル座標系は、緯度、経度および高度で示される、地球を基準とする3次元座標系である。アンテナ21の緯度、経度および高度の座標データで、グローバル座標系におけるアンテナ21の絶対位置が規定される。グローバル座標系におけるアンテナ21の現在の位置は、車体コントローラ26に入力される。
【0046】
車体コントローラ26に入力された撮像画像およびアンテナ21の位置情報は、ネットワーク400を介して、遠隔操作システム200に送信される。
【0047】
油圧ショベル100は、油圧ポンプ32がエンジン31によって駆動され、油圧ポンプ32から吐出された作動油が方向制御弁33を介して各種の油圧アクチュエータ34に供給されるように、構成されている。油圧アクチュエータ34への油圧の供給および排出が制御されることにより、作業機2の動作、旋回体3の旋回、および走行体5の走行動作が制御される。油圧アクチュエータ34は、
図1に示されるブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12および走行モータ5Mと、旋回モータとを含んでいる。
【0048】
エンジン31は、たとえばディーゼルエンジンである。車体コントローラ26からの制御信号の出力に従ってエンジン31への燃料の噴射量が調整されることにより、エンジン31の出力が制御される。エンジン31は、油圧ポンプ32に連結するための駆動軸を有している。
【0049】
油圧ポンプ32は、エンジン31の駆動軸に連結されている。エンジン31の回転駆動力が油圧ポンプ32に伝達されることにより、油圧ポンプ32が駆動される。油圧ポンプ32は、斜板を有し、斜板の傾転角が変更されることにより吐出容量を変化させる可変容量型の油圧ポンプである。油圧ポンプ32は、作業機2の駆動、走行体5の走行、および旋回体3の旋回に用いる作動油を供給する。油圧ポンプ32から吐出された作動油は、減圧弁によって一定の圧力に減圧されて、方向制御弁33に供給される。
【0050】
方向制御弁33は、ロッド状のスプールを動かして作動油が流れる方向を切り換えるスプール方式の弁である。方向制御弁33は、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12、走行モータ5M、および旋回モータのそれぞれの作動油の供給量を調整するそれぞれのスプールを有している。車体コントローラ26からの制御信号の出力に従って各スプールが軸方向に移動することにより、油圧アクチュエータ34に対する作動油の供給量が調整される。
【0051】
運搬機械300は、たとえばダンプトラックである。実施形態における運搬機械300は、管制施設から送信される制御指令に基づいて走行する無人車両である。運搬機械300には、運搬機械300の位置を検出する位置検出装置が搭載される。位置検出装置は、GNSSを利用して、グローバル座標系における運搬機械300の絶対位置を検出する。運搬機械300は、通信装置302を備えている。位置検出装置によって検出された運搬機械300の位置情報は、ネットワーク400を介して、遠隔操作システム200に送信される。
【0052】
位置検出装置によって検出された運搬機械300の位置情報は、車車間通信により油圧ショベル100に送信されてもよい。車車間通信を利用して、油圧ショベル100が運搬機械300の位置情報を検出してもよい。グローバル座標系におけるアンテナ21の現在の位置と、油圧ショベル100と運搬機械300との相対位置関係とに基づいて、車体コントローラ26がグローバル座標系における運搬機械300の絶対位置を求めてもよい。運搬機械300の位置情報は、油圧ショベル100からネットワーク400を介して遠隔操作システム200に送信されてもよい。
【0053】
遠隔操作システム200は、油圧ショベル100の外部の遠隔操作施設に配置されている。遠隔操作システム200は、遠隔操作装置40と、表示装置50と、遠隔コントローラ60と、通信装置72とを備えている。
【0054】
遠隔操作装置40は、
図3にも示される各レバー41~44に加えて、操作内容設定部46と、モード設定受付部47とを有している。
【0055】
遠隔コントローラ60は、通常モードと反転モードとを選択的に設定可能である。通常モードの設定時、遠隔コントローラ60は、カメラ20によって撮像された撮像画像を表示装置50に出力して、表示装置50に撮像画像を表示させる。反転モードの設定時、遠隔コントローラ60は、カメラ20によって撮像された撮像画像を左右反転した反転画像を表示装置50に出力して、表示装置50に反転画像を表示される。
【0056】
また、通常モードの設定時、遠隔コントローラ60は、オペレータによる左作業レバー41の操作によって入力された旋回方向に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100に出力する。反転モードの設定時、遠隔コントローラ60は、オペレータによる左作業レバー41の操作によって入力された旋回方向とは逆方向に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100に出力する。たとえばオペレータが左作業レバー41を後方向に操作する場合に、通常モードが設定されていれば旋回体3を左旋回させ、反転モードが設定されていれば旋回体3を右旋回させるように、油圧ショベル100が制御される。
【0057】
操作内容設定部46は、土砂を掘削した油圧ショベル100が掘削した土砂を運搬機械300へと運搬するために旋回体3を旋回させるときに、通常モードの設定時と反転モードの設定時との両方において旋回体3を右旋回方向と左旋回方向とのいずれか一方の方向に旋回させる操作の入力を受け付けるように、遠隔操作装置40の操作内容を設定する。操作内容設定部46は、たとえばオペレータが手で操作可能なスイッチであってもよく、左コンソール48または右コンソール49に設置されていてもよい。
【0058】
上述した通り、オペレータは、左作業レバー41を前方向に操作することによって旋回体3を右旋回させることができ、左作業レバー41を後方向に操作することによって旋回体3を左旋回させることができる。操作内容設定部46は、オペレータによる左作業レバー41の前方向への操作と後方向への操作とのうち、いずれか一方の操作の入力を受け付け、いずれか他方の操作の入力を無効にするように、遠隔操作装置40の操作内容を設定する。
【0059】
たとえば、操作内容設定部46によって左旋回方向が設定された場合、土砂を運搬機械300へと運搬するために旋回体3を旋回させようとするオペレータが左作業レバー41を後方向に操作すると旋回体3が旋回動作し、一方、オペレータが左作業レバー41を前方向に操作しても旋回体3が旋回動作しないような構成とすることができる。操作内容設定部46によって左旋回方向が設定された場合、土砂を運搬機械300へ積み込んだ後に次の掘削作業のために旋回体3を旋回させようとするオペレータが左作業レバー41を前方向に操作すると旋回体3が旋回動作し、一方、オペレータが左作業レバー41を後方向に操作しても旋回体3が旋回動作しないような構成とすることができる。
【0060】
バケット8内の荷の重量を、たとえばブームシリンダ10内の作動油の圧力に基づいて、演算することができる。この演算結果より、バケット8内に土砂が積まれているか否かを判断することができる。バケット8内に土砂が積まれていれば、オペレータによる旋回体3を旋回させようとする操作が、土砂を運搬機械300へ運搬するための操作(後述する、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へと移動させるための操作)であると判断できる。バケット8内に土砂が積まれていなければ、オペレータによる旋回体3を旋回させようとする操作が、土砂を運搬機械300に積み込んだ後の、作業機2を掘削作業のための位置へ戻すための操作(後述する、作業機2を積込作業位置から掘削作業位置へと移動させる操作)であると判断できる。
【0061】
オペレータによる左作業レバー41の操作を無効にする処理は、たとえば、オペレータが左作業レバー41を前後方向に操作しても遠隔コントローラ60から油圧ショベル100に旋回体3を旋回させる制御信号を出力させないようにすることで、実現できる。後述する制御信号出力部69が、旋回体3を旋回させる制御信号を生成しないようにしてもよい。制御信号出力部69が、方向制御弁33のスプールを移動させない制御信号を生成するようにしてもよい。または、左作業レバー41をロックしてもよい。
【0062】
モード設定受付部47は、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択するオペレータの入力を受け付ける。たとえば、オペレータは、油圧ショベル100と運搬機械300との相対位置関係を認識して、その油圧ショベル100に対して通常モードと反転モードとのいずれのモードを設定するかを、選択できる。遠隔操作システム200を用いて複数の油圧ショベル100を遠隔操作する場合、複数の油圧ショベル100の各々毎に、通常モードと反転モードとのいずれのモードを設定するかを選択できる。モード設定受付部47は、たとえばオペレータが手で操作可能なスイッチであってもよく、左コンソール48または右コンソール49に設置されていてもよい。
【0063】
遠隔コントローラ60は、作業機械選択部61を有している。
図2に示されるように遠隔操作システム200によって複数の油圧ショベル100が遠隔操作される場合に、作業機械選択部61は、遠隔操作される対象となる油圧ショベル100を1つずつ順に選択する。
【0064】
遠隔コントローラ60は、画像取得部62を有している。画像取得部62は、油圧ショベル100のカメラ20によって撮像された撮像画像を取得する。
【0065】
遠隔コントローラ60は、作業位置取得部63を有している。作業位置取得部63は、油圧ショベル100の作業機2が掘削作業をする掘削作業位置と、作業機2が運搬機械300への積込作業をする積込作業位置との相対位置関係を取得する。積込作業位置は、作業機2が掘削作業位置にある状態から旋回体3を旋回させたときに作業機2が配置される位置として規定される。作業機2を掘削作業位置に位置させて掘削作業をした油圧ショベル100が、走行することなく、旋回軸RXを中心に旋回体3を旋回することで、作業機2を運搬機械300の荷台の上方に位置させることができる。運搬機械300の荷台の上方に配置したバケット8を上方向(ダンプ方向)へ移動させることで、バケット8内の対象物を荷台に積み込むことができる。
【0066】
上述した通り、作業機2は旋回体3から前方向へ突き出しており、作業機2が掘削作業位置にあるときの旋回体3の右方または左方のいずれかに、運搬機械300が配置される。掘削作業後に作業機2を運搬機械300の荷台の上方へ移動させるための旋回体3の旋回方向は、旋回体3に対する運搬機械300の配置に応じて、右回り方向(平面視において時計回り方向)または左回り方向(平面視において反時計回り方向)のいずれかの方向となる。具体的に、旋回体3の右方に運搬機械300がある場合には、旋回体3を右方向に旋回させて、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へ移動させる。旋回体3の左方に運搬機械300がある場合には、旋回体3を左回り方向に旋回させて、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へ移動させる。
【0067】
掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係は、たとえば、カメラ20(典型的には、前方カメラ20E、右前方カメラ20A、または左側方カメラ20Dのいずれか一つまたは複数)によって撮像した油圧ショベル100の周囲の撮像画像を解析して、撮像画像中の運搬機械300の位置を検出することにより、取得することができる。掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係は、グローバル座標系における油圧ショベル100の絶対位置と運搬機械300の絶対位置とから、取得することができる。掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係は、作業現場に設けた基準位置、たとえば基準杭の先端の位置、を元にした3次元座標系における油圧ショベル100および運搬機械300の位置から、取得することができる。
【0068】
遠隔コントローラ60は、操作入力取得部64を有している。操作入力取得部64は、遠隔操作装置40に入力されたオペレータの操作を取得する。より特定的には、操作入力取得部64は、旋回体3の旋回方向についての左作業レバー41の操作を取得する。
【0069】
遠隔コントローラ60は、モード選択部65を有している。モード選択部65は、操作内容設定部46により設定された遠隔操作装置40の操作内容と、作業位置取得部63の取得する掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係と、に基づいて、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択的に設定する。モード選択部65は、操作内容設定部46によって設定された旋回の方向に旋回体3を旋回させるようにオペレータが左作業レバー41を操作したときに、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へと移動させる方向へ旋回体3が旋回するように、複数の油圧ショベル100の各々毎に、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択する。
【0070】
たとえば、運搬機械300が油圧ショベル100の左方に配置されている場合、旋回体3が左旋回することで、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へと移動させることができる。そこで、操作内容設定部46によって左旋回方向が設定されているときには、モード選択部65は、オペレータの入力した旋回方向に旋回体3を旋回させる通常モードを選択する。操作内容設定部46によって右旋回方向が設定されているときには、モード選択部65は、オペレータの入力した旋回方向とは逆方向に旋回体3を旋回させる反転モードを選択する。
【0071】
遠隔コントローラ60は、画像反転処理部66を有している。画像反転処理部66は、反転モードの設定時に、カメラ20によって撮像された撮像画像を左右反転させる処理を行い、反転画像を作成する。
【0072】
遠隔コントローラ60は、画像出力部67を有している。画像出力部67は、表示装置50に画像を出力して、表示装置50に画像を表示させる。画像出力部67は、通常モードの設定時に、カメラ20によって撮像され画像取得部62によって取得された撮像画像を表示装置50に出力して、表示装置50に撮像画像を表示させる。画像出力部67は、反転モードの設定時に、画像反転処理部66で作成された反転画像を表示装置50に出力して、表示装置50に反転画像を表示させる。
【0073】
遠隔コントローラ60は、旋回方向反転処理部68を有している。旋回方向反転処理部68は、反転モードの設定時に、遠隔操作装置40に入力された旋回方向を反転させる処理を実行する。
【0074】
旋回モータへ作動油を供給することにより、旋回体3が旋回する。方向制御弁33における旋回モータの作動油の供給量を調整するスプールを軸方向に移動させることで、旋回モータへ作動油が供給される。当該スプールの軸方向の移動方向を逆にし、旋回モータへ供給される作動油の流れ方向を逆にして、旋回モータの回転方向を逆にすることで、旋回体3の旋回方向を反転できる。
【0075】
操作入力取得部64は、旋回体3の旋回方向についての遠隔操作装置40(左作業レバー41)の操作を取得して、左作業レバー41の操作に基づく方向制御弁33のスプールの移動方向を規定する。旋回方向反転処理部68は、反転モードの設定時に、方向制御弁33のスプールの移動方向を、遠隔操作装置40の操作に基づいて規定された移動方向とは逆の方向に変更する処理をする。なお、通常モードの設定時には、旋回方向反転処理部68は、旋回体3の旋回方向を反転させる処理を実行しない。
【0076】
遠隔コントローラ60は、制御信号出力部69を有している。制御信号出力部69は、油圧ショベル100に出力される制御信号を生成する。通常モードの設定時に、制御信号出力部69は、遠隔操作装置40に入力された旋回方向に旋回体3を旋回させる制御信号を生成する。制御信号出力部69は、遠隔操作装置40の操作に基づく方向に方向制御弁33のスプールを移動させる制御信号を生成する。反転モードの設定時に、制御信号出力部69は、遠隔操作装置40に入力された旋回方向とは逆方向に旋回体3を旋回させる制御信号を生成する。制御信号出力部69は、旋回方向反転処理部68の処理によって変更された方向に方向制御弁33のスプールを移動させる制御信号を生成する。
【0077】
通信装置72は、制御信号出力部69の生成した制御信号を、ネットワーク400を介して、油圧ショベル100に送信する。
【0078】
図5は、油圧ショベル100の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
図4について説明した内容と一部重複もあるが、
図5および後続の図を参照して、実施形態の油圧ショベル100の遠隔操作方法について、以下に説明する。
【0079】
図5に示されるように、まずステップS1において、掘削作業位置を取得する。作業位置取得部63は、油圧ショベル100が掘削作業をするときの作業機2の位置である掘削作業位置を取得する。作業位置取得部63は、グローバル座標系における油圧ショベル100の現在の位置と、土砂などの対象物の位置とに基づいて、掘削作業位置を規定してもよい。グローバル座標系における油圧ショベル100の現在の位置は、アンテナ21で受信したGNSS電波に基づいて検出される。対象物の位置は、カメラ20によって撮像された油圧ショベル100の周囲の撮像画像を解析して、検出することができる。対象物の位置は、油圧ショベル100の周囲の現況地形の形状または設計地形の形状に基づいて規定されてもよい。
【0080】
ステップS2において、積込作業位置を取得する。作業位置取得部63は、油圧ショベル100が運搬機械300に対象物を積み込む積込作業をするときの作業機2の位置である積込作業位置を取得する。作業位置取得部63は、運搬機械300の現在の位置に基づいて積込作業位置を規定してもよい。グローバル座標系における運搬機械300の絶対位置から運搬機械300の現在の位置が検出されてもよい。カメラ20によって撮像された油圧ショベル100の周囲の撮像画像を解析して、撮像画像中の運搬機械300の位置を検出することにより、運搬機械300の現在の位置が検出されてもよい。
【0081】
ステップS3において、掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係を取得する。作業位置取得部63は、ステップS1で取得した掘削作業位置と、ステップS2で取得した積込作業位置とに基づいて、掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係を取得する。
【0082】
図6は、油圧ショベル100と運搬機械300との位置関係の一例を示す模式図である。
図6に示される油圧ショベル100A,100B,100Cの各々の作業機2は、掘削作業位置にある。運搬機械300Aは、油圧ショベル100Aの左方に配置されている。油圧ショベル100Aの旋回体3を左旋回させることで、油圧ショベル100Aの作業機2を掘削作業位置から積込作業位置に移動させることができる。運搬機械300Bは、油圧ショベル100Bの左方に配置されている。油圧ショベル100Bの旋回体3を左旋回させることで、油圧ショベル100Bの作業機2を掘削作業位置から積込作業位置に移動させることができる。運搬機械300Cは、油圧ショベル100Cの右方に配置されている。油圧ショベル100Cの旋回体3を右旋回させることで、油圧ショベル100Cの作業機2を掘削作業位置から積込作業位置に移動させることができる。
【0083】
図5に戻って、ステップS4において、旋回体3を旋回させるための遠隔操作装置40の操作方向を設定する。油圧ショベル100を用いた掘削積込作業を開始する前に、オペレータは、遠隔操作装置40の操作内容設定部46を操作することで、掘削作業位置から積込作業位置へ作業機2を移動させるために旋回体3を右旋回させる左作業レバー41の操作をするか左旋回させる左作業レバー41の操作をするかを、予め設定する。遠隔コントローラ60は、オペレータによる操作内容設定部46を介した操作内容の設定の入力を受ける。
【0084】
ステップS5において、旋回体3の旋回方向の反転が必要か否かの判断が行われる。たとえば、ステップS4において、掘削作業後の積込作業のために旋回体3を左旋回させる操作をする設定がされたとする。
図6に示される油圧ショベル100A,100Bは、旋回体3を左旋回させることで作業機2を掘削作業位置から積込作業位置に移動できる。一方、油圧ショベル100Cは、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置に移動するには、旋回体3を右旋回させる必要がある。そのため、ステップS5の判断においては、油圧ショベル100A,100Bについては反転が必要でないと判断され、油圧ショベル100Cについては反転が必要であると判断される。
【0085】
ステップS5の判断で反転が必要である(ステップS5においてYES)と判断された油圧ショベル100Cについては、ステップS6に進み、遠隔コントローラ60は、掘削積込作業を開始する指令の入力を受ける。
【0086】
ステップS7において、画像取得部62は、カメラ20によって撮像された撮像画像を取得する。
図7は、撮像画像の一例を示す図である。
図7に示される正転画像NIは、油圧ショベル100Cに搭載されている前方カメラ20E(
図1)で撮像された旋回体3の前方の撮像画像である。正転画像NIは、左右反転処理がされていない。正転画像NIには、車室4のフレームと,作業機2の一部とが含まれている。正転画像NIにおいて、作業機2は、車室4の右側にある。
【0087】
次にステップS8において、撮像画像を左右反転する処理をする。
図8は、撮像画像を左右反転した反転画像の一例を示す図である。画像反転処理部66は、
図7に示される正転画像NIを左右反転させた反転画像RIを作成する。反転画像RIにおいて、作業機2は、車室4の左側にある。
【0088】
ステップS9において、画像を出力する。画像出力部67は、ステップS8で作成された反転画像RIを、表示装置50に出力して、表示装置50に反転画像RIを表示させる。
【0089】
ステップS10において、オペレータは、表示装置50に表示された反転画像RIを見ながら、掘削作業後の積込作業のために旋回体3を旋回させる操作をする。
【0090】
図9は、旋回体3の旋回方向を反転させた油圧ショベル100CVと運搬機械300CVとの仮想的な位置関係の一例を示す模式図である。撮像画像を左右反転させた反転画像RIにおいて、見かけ上、旋回体3を左旋回させる。オペレータは、旋回体3を左旋回させるための操作をする。オペレータは、左作業レバー41を後方向に操作する。
図9に示される油圧ショベル100CVでは、他の油圧ショベル100A,100Bと同様に、旋回体3を左旋回させることで、作業機2が掘削作業位置から積込作業位置に移動する。
図9に示される掘削作業位置から、油圧ショベル100CVの旋回体3が左方向に旋回して、油圧ショベル100CVのバケット8が運搬機械300CVの上方に配置されることになる。
【0091】
ステップS11において、旋回体3の旋回方向を反転させる処理をする。旋回方向反転処理部68は、旋回体3の旋回方向を、オペレータの操作に基づく左方向とは逆の、右方向とする処理を実行する。旋回方向反転処理部68は、油圧ショベル100Cの旋回モータの回転方向を、平面視における反時計回り方向から、時計回り方向へと変更する。より具体的には、
図4に示される油圧ショベル100Cの方向制御弁33のうち、旋回モータに供給される作動油の流量を調整するスプールの軸方向の移動方向を、逆向きにする。
【0092】
ステップS16において、旋回体3を旋回させる制御信号が油圧ショベル100に出力される。ステップS11で旋回方向を反転させる処理が行われているので、制御信号出力部69は、遠隔操作装置40に入力された旋回方向(左旋回)とは逆方向(右旋回)に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100Cに出力する。
【0093】
ステップS17において、制御信号を受けた車体コントローラ26が、方向制御弁33を制御して、旋回体3を右方向に旋回させる。
図6に示される油圧ショベル100Cが右旋回することによって、油圧ショベル100Cのバケット8が運搬機械300Cの荷台の上方に配置される。
【0094】
ステップS18において、油圧ショベル100Cの車体コントローラ26がバケット8をダンプ方向に動作させることによって、バケット8内の対象物を運搬機械300Cの荷台上に落下させる。このようにして、対象物の運搬機械300Cへの積込作業が行われる。そして、ステップS19において、掘削積込作業を終了する。
【0095】
積込作業の終了後に、作業機2を積込作業位置から掘削作業位置へ戻すために、
図9に示される油圧ショベル100CVの旋回体3を右旋回させる操作が行われる。オペレータは、左作業レバー41を前方向に操作する。制御信号出力部69は、オペレータの操作に基づく旋回方向(右旋回)とは逆方向(左旋回)に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100Cに出力する。
図6に示される油圧ショベル100Cを左旋回することによって、作業機2が掘削作業位置へと移動する。
【0096】
ステップS5の判断で反転が必要でない(ステップS5においてNO)と判断された油圧ショベル100A,100Bについては、ステップS12に進み、ステップS6と同様に、遠隔コントローラ60は掘削積込作業を開始する指令の入力を受ける。ステップS13において、ステップS7と同様に、画像取得部62は、油圧ショベル100A,100Bに搭載されている前方カメラ20Eで撮像された旋回体3の前方の撮像画像を取得する。
【0097】
ステップS14において、画像を出力する。画像出力部67は、ステップS13で取得された撮像画像(正転画像NI、
図7)を、表示装置50に出力して、表示装置50に正転画像NIを表示させる。
【0098】
ステップS15において、オペレータは、表示装置50に表示された正転画像NIを見ながら、掘削作業後の積込作業のために旋回体3を旋回させる左作業レバー41の操作をする。正転画像NIにおいて、旋回体3を左旋回させる。オペレータは、旋回体3を左旋回させるための操作をする。オペレータは、左作業レバー41を後方向に操作する。油圧ショベル100A,100Bでは、旋回体3を左旋回させることで、作業機2が掘削作業位置から積込作業位置に移動する。
図6に示される掘削作業位置から、油圧ショベル100CVの旋回体3が左方向に旋回して、油圧ショベル100CVのバケット8が運搬機械300CVの上方に配置されることになる。
【0099】
続いてステップS16において、旋回体3を旋回させる制御信号が油圧ショベル100に出力される。制御信号出力部69は、遠隔操作装置40に入力された旋回方向(左旋回)に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100A,100Bに出力する。
【0100】
ステップS17において、制御信号を受けた車体コントローラ26が、方向制御弁33を制御して、旋回体3を左方向に旋回させる。
図6に示される油圧ショベル100A,100Bが左旋回することによって、油圧ショベル100A,100Bのバケット8が運搬機械300の荷台の上方に配置される。
【0101】
ステップS18において、油圧ショベル100A,100Bの車体コントローラ26がバケット8をダンプ方向に動作させることによって、バケット8内の対象物を運搬機械300A,300Bの荷台上に落下させる。このようにして、対象物の運搬機械300A,300Bへの積込作業が行われる。そして、ステップS19において、掘削積込作業を終了する。
【0102】
積込作業の終了後に、作業機2を積込作業位置から掘削作業位置へ戻すために、油圧ショベル100A,100Bの旋回体3を右旋回させる操作が行われる。オペレータは、左作業レバー41を前方向に操作する。制御信号出力部69は、オペレータの操作に基づく旋回方向(右旋回)に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100A,100Bに出力する。
図6に示される油圧ショベル100A,100Bを右旋回することによって、作業機2が掘削作業位置へと移動する。
【0103】
図10は、油圧ショベル100の遠隔操作方法の他の例を示すフローチャートである。
図10に示されるステップS1~ステップS3では、
図5に示されるステップS1~ステップS3と同じ処理が行われる。続いてステップS24において、各油圧ショベル100について、通常モードと反転モードとのいずれかのモードの設定が行われる。この設定は、オペレータが遠隔操作装置40のモード設定受付部47に入力することで、行われる。オペレータは、ステップS3で取得した掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係に基づいて、各油圧ショベル100について、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択する。
【0104】
たとえば、油圧ショベル100の旋回体3を右旋回させる操作よりも左旋回させる操作を好むオペレータであるとする。その場合、
図6に示される、運搬機械300Aが本体1の左方に配置されている油圧ショベル100A、および、運搬機械300Bが本体1の左方に配置されている油圧ショベル100Bについては、旋回体3を左旋回させて作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へ移動させることになるため、通常モードを選択する。運搬機械300Cが本体1の右方に配置されている油圧ショベル100Cについては、旋回体3を右旋回させて作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へ移動させることになるため、反転モードを選択する。
【0105】
次にステップS25において、各油圧ショベル100について、選択されたモードが反転モードであるか否かの判断が行われる。反転モードに設定された油圧ショベル100Cについて、ステップS6に進み、以下、
図5で説明した処理と同じ処理が行われる。通常モードに設定された油圧ショベル100A,100Bについて、ステップS12に進み、以下、
図5で説明した処理と同じ処理が行われる。
【0106】
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施形態の特徴的な構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。
【0107】
図4に示されるように、遠隔コントローラ60は、画像反転処理部66と、画像出力部67と、旋回方向反転処理部68と、制御信号出力部69とを有している。
図5~10に示されるように、画像反転処理部66は、カメラ20によって撮像された撮像画像を左右反転する。画像出力部67は、反転画像RIを表示装置50に出力する。旋回方向反転処理部68は、左作業レバー41に入力された旋回体3の旋回方向を反転させる処理を実行する。制御信号出力部69は、左作業レバー41に入力された旋回方向とは逆方向に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100に出力する。
【0108】
油圧ショベル100の作業機2を掘削作業位置に配置して掘削作業を実行した後、旋回体3が旋回して、作業機2を積込作業位置へと移動させる。油圧ショベル100が掘削した対象物が積み込まれる運搬機械300の、掘削作業位置に対する相対位置は、作業現場の状況によって変わる。油圧ショベル100の左方に運搬機械300が配置される場合があり、油圧ショベル100の右方に運搬機械300が配置される場合もある。
【0109】
たとえば、油圧ショベル100の右方に運搬機械300が配置された場合に、表示装置50に反転画像RIを表示させ、オペレータは反転画像RIを見ながら旋回体3を左旋回させる操作をし、このオペレータの操作による旋回方向を反転させて、油圧ショベル100に対して旋回体3を右旋回させる制御信号を出力することができる。これにより、旋回体3を右旋回させて、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へと移動させることができる。油圧ショベル100の左方に運搬機械300が配置された場合と油圧ショベル100の右方に運搬機械300が配置された場合とで、オペレータは旋回体3を同じ方向に旋回させる操作をすればよくなる。上記の例の場合、オペレータの操作が旋回体3を左旋回させる操作に揃えられることになる。
【0110】
運搬機械300の油圧ショベル100に対する相対位置にかかわらず、オペレータは同じ操作をして旋回体3を旋回させて、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置に適切に移動させることができる。見かけ上の旋回方向が統一されるので、掘削作業後の積込作業のために旋回体3を左右のどちらの方向に旋回させればよいかオペレータが混乱することを低減できる。オペレータが旋回方向を間違えたり、作業が停滞したりすることを回避できる。したがって、作業性を向上することができる。
【0111】
図4に示されるように、遠隔コントローラ60は、モード選択部65を有している。モード選択部65は、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択する。通常モードの設定時、画像出力部67は、カメラ20によって撮像された撮像画像を表示装置50に出力する。制御信号出力部69は、左作業レバー41に入力された旋回方向に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100に出力する。反転モードの設定時、画像出力部67は、撮像画像を左右反転した反転画像を表示装置50に出力する。制御信号出力部69は、左作業レバー41に入力された旋回方向とは逆方向に旋回体3を旋回させる制御信号を、油圧ショベル100に出力する。
【0112】
運搬機械300の油圧ショベル100に対する相対位置に従って、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを適切に選択することで、旋回体3を旋回させて掘削作業位置から積込作業位置に作業機2を移動させるためのオペレータの操作を統一できる。たとえば、油圧ショベル100の左方に運搬機械300が配置された場合に通常モードとし、油圧ショベル100の右方に運搬機械300が配置された場合に反転モードとすることで、作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へと移動させるためのオペレータの操作が左旋回に揃えられることになる。旋回体3を左右のどちらの方向に旋回させればよいかオペレータが混乱することを低減でき、したがって、作業性を向上することができる。
【0113】
図4に示されるように、遠隔操作装置40は、操作内容設定部46を有している。操作内容設定部46は、通常モードの設定時と反転モードの設定時との両方において、掘削作業後の積込作業のために旋回体3を右旋回方向と左旋回方向とのいずれか一方の方向に旋回させる操作の入力を受け付けるように、遠隔操作装置40の操作内容を設定する。
【0114】
オペレータが、旋回体3を右旋回方向と左旋回方向とのいずれか一方の方向に旋回させる操作をより好む場合には、その好ましい一方方向への旋回操作の入力を受け付け、他方方向への旋回操作の入力を受け付けないように、設定することができる。これにより、オペレータの操作を確実に統一できる。一方方向への旋回によって油圧ショベル100が掘削作業位置から積込作業位置へと移動するように運搬機械300が配置されている場合には通常モードを選択し、他方方向への旋回操作によって油圧ショベル100が掘削作業位置から積込作業位置へと移動するように運搬機械300が配置されている場合には反転モードを選択できる。このようにすれば、オペレータによる一方方向へ旋回させようとする操作で、油圧ショベル100の作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へ確実に移動させることができる。
【0115】
掘削作業後の積込作業のために、旋回体3を右旋回方向と左旋回方向とのいずれか一方の方向に旋回させる操作の入力を受け付け、いずれか他方の方向に旋回させる操作の入力を受け付けないようにすることで、オペレータが左作業レバー41の操作の方向を誤ったとしても、旋回体3が意図しない方向へ旋回することを回避できる。したがって、作業効率の低下を抑制することができる。
【0116】
図4に示されるように、遠隔コントローラ60は、作業位置取得部63を有している。作業位置取得部63は、油圧ショベル100が掘削作業をするときの作業機2の位置である掘削作業位置と、油圧ショベル100が運搬機械300への積込作業をするときの作業機2の位置である積込作業位置との相対位置関係を取得する。掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係に基づいて通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択することができ、これにより、オペレータの統一された操作によって、油圧ショベル100の作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へ確実に移動させることができる。
【0117】
図5に示されるように、モード選択部65は、作業位置取得部63の取得する掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係に基づいて、操作内容設定部46によって設定された旋回の方向に旋回体3を旋回させるようにオペレータが左作業レバー41を操作したときに、作業機2が掘削作業位置から積込作業位置へと移動するように、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択する。遠隔コントローラ60は、操作内容設定部46によって設定された旋回の方向と、作業位置取得部63の取得する掘削作業位置と積込作業位置との相対位置関係とに基づいて、自動で通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択することができる。
【0118】
図4に示されるように、遠隔操作装置40は、モード設定受付部47を有している。モード設定受付部47は、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択するオペレータの入力を受け付ける。オペレータは、油圧ショベル100と運搬機械300との相対位置関係に基づいて、自分の好みの方向に旋回体3を旋回させる操作によって作業機2が掘削作業位置から積込作業位置へ移動するように、通常モードと反転モードとのいずれかのモードを選択することができる。
【0119】
図2に示されるように、遠隔操作システム200は、複数の油圧ショベル100を遠隔操作する。
図6,9に示されるように、複数の油圧ショベル100の各々毎に、通常モードと反転モードとのいずれかのモードが選択的に設定される。
【0120】
図6に示される複数の油圧ショベル100を一人のオペレータが遠隔操作する場合、各々の油圧ショベル100A,100B,100Cを切り替えながら操作をすることになる。複数の油圧ショベル100に、掘削後の旋回方向が異なる油圧ショベル100Cが含まれると、オペレータが混乱することがある。
【0121】
図6に示される油圧ショベル100A,100Bについて通常モードが選択され油圧ショベル100Cについて反転モードが選択されることにより、油圧ショベル100Cについてのみ撮像画像と旋回操作とを反転する。その結果、
図9に示されるように、油圧ショベル100A,100B,100CVの作業機2を掘削作業位置から積込作業位置へ移動させるための、旋回体3の見かけ上の旋回方向を統一することができる。複数の油圧ショベル100を全て同じ方向に旋回するように操作することで、オペレータは混乱なく切り替えながらの作業ができる。したがって、作業性を向上することができる。
【0122】
上記の実施形態では、作業機械の一例として油圧ショベル100を挙げているが、ローディングショベル、機械式のロープショベル、バケットクレーン、ホイールローダなどの他の種類の作業機械にも適用可能である。ホイールローダの場合は、旋回体が車体前部となり、左右ステアリング操作によって、右旋回または左旋回を行いながら掘削積込作業を実施する。
【0123】
実施形態では、油圧ショベル100が、油圧アクチュエータ34である旋回モータを備え、旋回モータに作動油が供給されることにより旋回体3が旋回する例について説明した。この例に限られず、ショベルは、電気モータを備えてもよい。ショベルは、作業機2の動作および走行の駆動源であるエンジンと、電気エネルギーで旋回体3を駆動する電気モータとを備える、ハイブリッドショベルであってもよい。ショベルは、旋回体3の旋回、走行体5による走行、および作業機2の動作の駆動源がいずれも電動機であり、当該電動機はバッテリに蓄えられた電気エネルギーにより駆動される、電動ショベルであってもよい。
【0124】
実施形態では、オペレータは、画像が反転されているか否かを意識することなく、表示装置50に表示されている画像の見たままを頼りに、適切な方向へ旋回体3を旋回させる操作を行う。したがって、他の操作においても同様に画像と矛盾しないことが望ましい。たとえば、油圧ショベルの左走行レバー43および右走行レバー44の操作、ホイールローダの場合における左右ステアリング操作など、左右の極性を持つ操作は、旋回方向反転処理部68の処理と同様に左右反転されることで、矛盾のない操作手法が実現される。
【0125】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
1 本体、2 作業機、3 旋回体、4 車室、4W 窓板、5 走行体、20 カメラ、20A 右前方カメラ、20B 右側方カメラ、20C 後方カメラ、20D 左側方カメラ、20E 前方カメラ、21 アンテナ、21A 第1アンテナ、21B 第2アンテナ、22,72,302 通信装置、23 グローバル座標演算部、26 車体コントローラ、40 遠隔操作装置、41 左作業レバー、42 右作業レバー、43 左走行レバー、44 右走行レバー、45 操縦シート、46 操作内容設定部、47 モード設定受付部、48 左コンソール、49 右コンソール、50 表示装置、60 遠隔コントローラ、61 作業機械選択部、62 画像取得部、63 作業位置取得部、64 操作入力取得部、65 モード選択部、66 画像反転処理部、67 画像出力部、68 旋回方向反転処理部、69 制御信号出力部、100,100A,100B,100C,100CV 油圧ショベル、200 遠隔操作システム、300,300A,300B,300C,300CV 運搬機械、400 ネットワーク、NI 正転画像、RI 反転画像、RX 旋回軸。