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特開2023-122658表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122658
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20230829BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20230829BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230829BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20230829BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/9062 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/738 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/725 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/736 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/534 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230829BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20230829BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/9728
A61K8/9789
A61K8/97
A61Q19/00
A61K36/9062
A61K36/61
A61K36/185
A61K36/73
A61K36/738
A61K36/725
A61K36/53
A61K36/736
A61K36/534
A61K36/07
A61P17/16
A61P43/00 105
A61Q5/02
A61Q5/06
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/52 101
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026284
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】木曽 昭典
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD48
4B018MD52
4B018MD61
4B018MD66
4B018MD81
4B018ME14
4B018MF01
4B117LC04
4B117LG01
4B117LG02
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4B117LG07
4B117LG18
4B117LG19
4B117LG24
4B117LK12
4B117LK13
4B117LK15
4B117LK20
4B117LL01
4B117LP01
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AA162
4C083AB032
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB352
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC312
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC772
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC902
4C083AD092
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD412
4C083AD432
4C083AD512
4C083AD532
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB51
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC32
4C083CC38
4C083DD14
4C083DD15
4C083DD16
4C083DD23
4C083EE11
4C088AB12
4C088AB38
4C088AB51
4C088AB52
4C088AB55
4C088AB57
4C088AB62
4C088AB81
4C088AD15
4C088CA03
4C088MA07
4C088MA16
4C088MA35
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】優れた表皮機能向上作用を有し、かつ安全性が高い表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物の提供。
【解決手段】月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する表皮機能向上剤、及び前記表皮機能向上剤を含有する表皮機能向上用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする表皮機能向上剤。
【請求項2】
前記表皮機能が、保湿機能及びバリア機能からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の表皮機能向上剤。
【請求項3】
ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNA発現促進作用及びナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質産生促進作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有する請求項1から2のいずれかに記載の表皮機能向上剤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の表皮機能向上剤を含有することを特徴とする表皮機能向上用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
健常な皮膚表面のpHは通常4.5~6.0の弱酸性に保たれており、ブドウ球菌、真菌、アクネ菌などの異常な増殖を阻止する役割を果たしている。pHの弱酸性化には、汗や皮脂に含まれる成分の影響が考えられていたが、近年、内因性のpH調節因子として、ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(Na/H exchanger1;NHE1)が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。これまでの研究から、NHE1ノックアウトマウスでは皮膚表面のpHが高く、バリア回復能が低下していることや、老齢マウスでは若齢マウスと比較して、皮膚pHの値が高く、表皮のNHE1発現量が少ないことが明らかとなっており、ヒトの皮膚でもNHE1タンパク質量が少ないほど、皮膚表面のpHの値が上昇し、肌荒れが進行する可能性が示唆されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
したがって、ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)の発現を促進することは、保湿機能やバリア機能といった表皮機能の向上に有用であると考えられる。
【0004】
しかしながら、表皮機能向上作用を有し、かつ安全性が高く、そのため、化粧料、飲食品、研究用試薬などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は依然として強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本香粧品科学会誌,2018年,vol.42,pp.79-84
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた表皮機能向上作用を有し、かつ安全性が高い表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物が、優れた表皮機能向上作用を有し、かつ安全性が高く、表皮機能向上に有用であることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする表皮機能向上剤である。
<2> 前記表皮機能が、保湿機能及びバリア機能からなる群から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の表皮機能向上剤である。
<3> ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNA発現促進作用及びナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質産生促進作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の表皮機能向上剤である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の表皮機能向上剤を含有することを特徴とする表皮機能向上用組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた表皮機能向上作用を有し、かつ安全性が高い表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(表皮機能向上剤)
本発明の表皮機能向上剤は、月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分として含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0011】
前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物が優れた表皮機能向上作用を有し、表皮機能向上剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0012】
本明細書において、表皮機能としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、保湿機能、バリア機能が好適に挙げられる。前記保湿機能とは肌の水分を保つ機能のことをいい、前記バリア機能とは体内の水分の蒸発、ならびに外部からの刺激物の侵入を防ぐ機能のことをいう。本明細書において、表皮機能向上とは、低下した表皮機能を高めることをいう。
【0013】
<月桃抽出物>
前記月桃(Alpinia speciosa (Wendl.) K. Schum.)は、ショウガ科ハナミョウガ属に属する多年生常緑草本であり、九州南部からインドにまで分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。月桃は、沖縄ではサンニンと呼ばれ、琉球王朝以来の伝統菓子であるムーチーに利用されるほか、ハーブとしても利用されている。
【0014】
前記月桃抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0015】
-抽出部位-
前記月桃の抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、幹部、地上部、花部、果実部、種子部、根部、全草などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記月桃の抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0016】
-抽出部位の調製方法-
前記月桃の抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出部位を乾燥させた後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕する方法などが挙げられる。前記乾燥させたものをそのまま又は粉砕したものを溶媒抽出に供することができる。前記乾燥は、天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。
【0017】
-抽出-
前記月桃抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる方法により容易に得ることができる。前記月桃抽出物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出液そのもの、抽出液の希釈液、抽出液の濃縮液、これらの乾燥物、粗精製物、精製物などが挙げられる。
【0018】
前記抽出の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出する方法などが挙げられ、より具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料である前記月桃の前記抽出部位を投入し、必要に応じて適宜撹拌しながら、例えば、30分間~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。前記抽出液は、更に、抽出溶媒を留去し、乾燥してもよい。
また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0019】
前記月桃の抽出における条件(抽出時間及び抽出温度)、抽出溶媒及び抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性溶媒、又は水と親水性溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
【0021】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水などの他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。前記水は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記親水性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記混合溶媒における前記水に対する前記親水性溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低級アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部、低級脂肪族ケトンを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~40容量部、多価アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部添加することが好ましい。
【0024】
前記抽出溶媒の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
【0025】
得られた前記月桃抽出物は、前記月桃抽出物の希釈物、濃縮物、乾燥物、粗精製物、精製物などを得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。
【0026】
前記月桃抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理などの精製方法が挙げられる。前記精製方法により精製することで、有効成分の濃度を高めたり、不要物を除去したりすることができる。
【0027】
得られた前記月桃抽出物は、そのままでも前記表皮機能向上剤として使用することができるが、利用しやすい点で、前記濃縮液、前記乾燥物が好ましい。前記乾燥物を得るに当たって、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリンなどのキャリアーを加えてもよい。
【0028】
<酵母抽出物>
前記酵母の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サッカロミセス・ヴェローナ(Saccharomyces veronae)、サッカロミセス・クルイヴェリ(Saccharomyces kluyveri)等のサッカロミセス(Saccharomyces)属;シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等のシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属;クルイヴェロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、クルイヴェロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)等のクルイヴェロミセス(Kluyveromyces)属;ジゴサッカロミセス・サーモトレランス(Zygosaccharomyces thermotolerans)等のジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属;ラカンセア・サーモトレランス(Lachancea thermotolerans)、ラカンセア・クルイヴェリ(Lachancea kluyveri)等のラカンセア属;カンディダ・ウティリス(Candida utilis,トルラ酵母)等のカンディダ(Candida)属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、サッカロミセス・ヴェローナ(Saccharomyces veronae)が好ましい。
【0029】
前記酵母抽出物は、抽出原料として使用する酵母から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0030】
-酵母菌体の調製方法-
前記酵母菌体の調製方法としては、特に制限はなく、公知の酵母の培養方法を適宜選択することができる。
培養形式は、バッチ培養、連続培養のいずれでもよい。
培養に用いる培地としては、酵母を培養可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルコース等の炭素源;アンモニウム塩等の窒素源;マグネシウム塩等の無機塩;必須アミノ酸やビタミンなどが含まれる培地などが挙げられる。また、培地には、これらに加えて、またはこれらに替えて、酵母エキス、ペプトン、カゼイン等、酵母の培地に汎用される成分を用いてもよい。
前記培地の具体例としては、YPD培地、YM培地、ME培地、MRS培地などが挙げられる。
【0031】
前記酵母の培養方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記培地を培養槽に入れ、酵母を接種し、25~35℃、好ましくは28~32℃の温度範囲で、12~72時間、好ましくは18~48時間培養する方法などが挙げられる。
得られた培養液は、そのまま抽出操作に供してもよいが、遠心分離、ろ過等により酵母菌体を回収した後、抽出操作を行うことが好ましい。
【0032】
-抽出-
前記酵母抽出物は、酵母の抽出に一般に用いられる方法、例えば、酵母の自己消化を誘発させる自己消化法、酸等の添加により可溶化させる加水分解法、タンパク質分解酵素等の酵素添加により可溶化させる酵素分解法等により容易に得ることができる。前記酵母抽出物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出液そのもの、抽出液の希釈液、抽出液の濃縮液、これらの乾燥物、粗精製物、精製物などが挙げられる。
【0033】
前記抽出の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温又は加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出する方法などが挙げられ、より具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料である前記酵母の菌体を投入し、必要に応じて適宜撹拌しながら、例えば、30分間~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。前記抽出液は、更に、抽出溶媒を留去し、乾燥してもよい。
【0034】
前記酵母の抽出における条件(抽出時間及び抽出温度)、抽出溶媒及び抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0035】
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性溶媒、又は水と親水性溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
【0036】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水などの他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。前記水は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記親水性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記混合溶媒における前記水に対する前記親水性溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低級アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部、低級脂肪族ケトンを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~40容量部、多価アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部添加することが好ましい。
【0039】
前記抽出溶媒の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
【0040】
得られた前記酵母抽出物は、前記酵母抽出物の希釈物、濃縮物、乾燥物、粗精製物、精製物などを得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。
【0041】
前記酵母抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理などの精製方法が挙げられる。前記精製方法により精製することで、有効成分の濃度を高めたり、不要物を除去したりすることができる。
【0042】
得られた前記酵母抽出物は、そのままでも前記表皮機能向上剤として使用することができるが、利用しやすい点で、前記濃縮液、前記乾燥物が好ましい。前記乾燥物を得るに当たって、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリンなどのキャリアーを加えてもよい。
【0043】
<レモンバーム抽出物>
レモンバーム(Melissa officinalis L.)は、ヨーロッパ全土、中央アジア、北アメリカ等に分布しているシソ科に属する多年生草本であり、これらの地域から容易に入手することができる。
【0044】
前記レモンバーム抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0045】
-抽出部位-
前記レモンバームの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部等の地上部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記レモンバームの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0046】
-抽出部位の調製方法-
前記レモンバームの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0047】
-抽出-
前記レモンバーム抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0048】
<ロスマリン酸>
前記ロスマリン酸は、下記構造式(1)で表わされる化学構造を有する化合物である。
【化1】
【0049】
前記ロスマリン酸は、ロスマリン酸を含有する植物抽出物から単離・精製することにより製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0050】
前記ロスマリン酸を含有する植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したレモンバーム(Melissa officinalis L.)などが挙げられる。
前記ロスマリン酸を含有する植物抽出物から単離・精製する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0051】
<テンニンカ抽出物>
テンニンカ(学名:Rhodomyrtus tomentosa)は、フトモモ科植物であり、東南アジアの熱帯から亜熱帯地域に広く分布しており、沖縄や台湾などで野生している植物である。和名で天人花(テンニンカ)、中国名で桃金娘(トウキンジョウ)と呼ばれる植物であり、果実は、熟すと1cm~5cm程度の濃い紫色となりジュースやジャムの原料にも使われている。
【0052】
前記テンニンカ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0053】
-抽出部位-
前記テンニンカの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、果実部、種子部、果肉部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、果実部が好ましい。
前記テンニンカの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0054】
-抽出部位の調製方法-
前記テンニンカの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0055】
-抽出-
前記テンニンカ抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0056】
<ゲンノショウコ抽出物>
ゲンノショウコ(学名:Geranium thunbergii)は、フウロソウ科に属する多年草であり、北海道南部から本州、四国、九州等に自生しており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0057】
前記ゲンノショウコ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0058】
-抽出部位-
前記ゲンノショウコの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、枝部、茎部等の地上部、根部、花部、果実部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部、茎部、及び花部の混合物が好ましい。
前記ゲンノショウコの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0059】
-抽出部位の調製方法-
前記ゲンノショウコの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0060】
-抽出-
前記ゲンノショウコ抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0061】
<スターフルーツ抽出物>
前記スターフルーツ(Averrhoa carambola)(和名:ゴレンシ)は、カタバミ科ゴレンシ属の常緑の木本であり、原産地は東南アジア全域の他、中国南部、台湾、ブラジル、ガイアナ、トリニダード・トバゴ、フロリダ、ハワイ等の熱帯から亜熱帯地域であり、これらの地域から容易に入手可能である。甘い実のなる甘味種と、酸味のある実のなる酸味種とがあり、生食の他、ジャムやゼリー、漬物などに利用されている。葉は、風熱感冒、急性胃腸炎、小便不利、産後浮腫等の予防乃至治療剤として利用されている。
【0062】
前記スターフルーツ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0063】
-抽出部位-
前記スターフルーツの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、果実部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記スターフルーツの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0064】
-抽出部位の調製方法-
前記スターフルーツの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0065】
-抽出-
前記スターフルーツ抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0066】
<ビワ抽出物>
前記ビワ(Eriobotrya japonica Lindley)は、バラ科ビワ属に属する常緑高木であり、中国南西部原産であり、長崎、千葉、鹿児島等で栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0067】
前記ビワ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0068】
-抽出部位-
前記ビワの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、幹部、枝部、花部、果実部、種子部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記ビワの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0069】
-抽出部位の調製方法-
前記ビワの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0070】
-抽出-
前記ビワ抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0071】
<バラ抽出物>
前記バラは、バラ科バラ属に属する植物であり、世界で広く栽培されており、容易に入手することができる。
前記バラとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カニナバラ(Rosa canina)、センチフォリアバラ(Rosa centifolia)、ダマスクバラ(Rosa damascena trigintipetala)、アポテカリーズローズ(Rosa gallica officinalis)、スイートプライヤー(Rosa rubiginosa)、ハマナシ(Rosa rugosarubra)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カニナバラ(Rosa canina)、センチフォリアバラ(Rosa centifolia)、及びダマスクバラ(Rosa damascena trigintipetala)からなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0072】
前記バラ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0073】
-抽出部位-
前記バラの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、果実部、地上部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、果実部、花部が好ましく、カニナバラの果実部、センチフォリアバラの花部、及びダマスクバラの花部からなる群から選択される1種以上が好ましい。
前記バラの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0074】
-抽出部位の調製方法-
前記バラの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0075】
-抽出-
前記バラ抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0076】
<ペパーミント抽出物>
前記ペパーミント(学名:Mentha piperita)は、ヨーロッパ原産のシソ科の多年草で、ヨーロッパ、アメリカで広く栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0077】
前記ペパーミント抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0078】
-抽出部位-
前記ペパーミントの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、果実部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記ペパーミントの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0079】
-抽出部位の調製方法-
前記ペパーミントの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0080】
-抽出-
前記ペパーミント抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0081】
<ローズマリー抽出物>
前記ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)は、ヨーロッパ、日本等に分布しているシソ科マンネンロウ属に属する常緑低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。
【0082】
前記ローズマリー抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0083】
-抽出部位-
前記ローズマリーの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記ローズマリーの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0084】
-抽出部位の調製方法-
前記ローズマリーの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0085】
-抽出-
前記ローズマリー抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0086】
<モモ抽出物>
モモ(学名:Prunus persica Batsch)は、バラ科サクラ属に属する落葉小高木であって、中国や日本で古くから栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0087】
前記モモ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0088】
-抽出部位-
前記モモの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、幹部、枝部、花部、蕾部、果実部、果皮部、果核部、種子部、地上部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記モモの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0089】
-抽出部位の調製方法-
前記モモの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0090】
-抽出-
前記モモ抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0091】
<ユーカリ抽出物>
前記ユーカリ(Eucalyptus globulus L.)はオーストラリア南東部や南西部に分布するフトモモ科ユーカリ属に属する常緑高木であり、これらの地域から容易に入手することができる。
【0092】
前記ユーカリ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0093】
-抽出部位-
前記ユーカリの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、幹部、枝部、花部、果実部、種子部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記ユーカリの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0094】
-抽出部位の調製方法-
前記ユーカリの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0095】
-抽出-
前記ユーカリ抽出物の態様、抽出の方法、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0096】
前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種の前記表皮機能向上剤における含有量としては、特に制限はなく、前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物の生理活性等によって適宜調整することができる。
前記表皮機能向上剤は、前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種のみからなるものであってもよい。
前記表皮機能向上剤が、前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物のうち2種以上を含有する場合における各成分の質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0097】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記表皮機能向上剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
前記その他の成分の前記表皮機能向上剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0099】
<用途>
前記表皮機能向上剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品などが挙げられる。
前記表皮機能向上剤は、優れた表皮機能向上作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する表皮機能向上用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
【0100】
本発明の表皮機能向上剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0101】
前記表皮機能向上剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
【0102】
前記表皮機能向上剤の使用部位、使用量、用法、及び剤型としては、その使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0103】
前記表皮機能向上剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤型に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。前記表皮機能向上剤は、他の組成物(例えば、後述する表皮機能向上用組成物等)に配合して使用することができるほか、注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤や、軟膏剤、外用液剤、貼付剤などとして使用することもできる。
【0104】
前記表皮機能向上剤の使用量、使用期間等の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0105】
また、本発明の表皮機能向上剤は、表皮機能向上作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
【0106】
前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物が有する表皮機能向上作用は、例えば、ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNA発現促進作用及びナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質産生促進作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用によって発揮される。そのため、前記表皮機能向上剤は、ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNA発現促進作用及びナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質産生促進作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有することが好ましい。なお、前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物が有する表皮機能向上作用は、ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNA発現促進作用及びナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質産生促進作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNA発現促進剤、又はナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質産生促進剤にも関する。
【0107】
(表皮機能向上用組成物)
本発明の表皮機能向上用組成物は、本発明の表皮機能向上剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0108】
<表皮機能向上剤>
前記表皮機能向上剤は、上述した本発明の表皮機能向上剤である。
【0109】
前記表皮機能向上用組成物における前記表皮機能向上剤の含有量としては、特に制限はなく、前記表皮機能向上用組成物の形態や前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種の生理活性等によって適宜調整することができるが、前記月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種の合計量に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記表皮機能向上用組成物は、前記表皮機能向上剤のみからなるものであってもよい。
【0110】
<その他の成分>
前記表皮機能向上用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、前記表皮機能向上用組成物の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した表皮機能向上剤の項目に記載したその他の成分と同様のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0111】
前記その他の成分の前記表皮機能向上用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0112】
<態様>
前記表皮機能向上用組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品などが挙げられる。
本発明の表皮機能向上用組成物は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である月桃抽出物、酵母抽出物、レモンバーム抽出物、ロスマリン酸、テンニンカ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、スターフルーツ抽出物、ビワ抽出物、バラ抽出物、ペパーミント抽出物、ローズマリー抽出物、モモ抽出物、及びユーカリ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種の働きによって、表皮機能向上作用をはじめとする様々な生理活性作用を極めて効果的に発揮させることができる。
【0113】
本発明の表皮機能向上用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0114】
前記本発明の表皮機能向上用組成物の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
【0115】
前記外用の組成物としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものである。
前記外用の組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディーソープ、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス、コンディショナーなどが挙げられる。
前記外用の組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0116】
前記経口用の組成物としては、例えば、上述した経口投与剤や飲食品が挙げられる。ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではない。したがって、前記飲食品は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
【0117】
前記経口用の組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;サラダ、漬物等の惣菜;種々の形態の健康・美容・栄養補助食品;錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品;口中清涼剤、口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などが挙げられる。
【0118】
前記表皮機能向上用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、前記表皮機能向上用組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0119】
前記表皮機能向上用組成物の使用量、使用期間等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0120】
上述したように、本発明の表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物は優れた表皮機能向上作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物からなる群から選択される少なくとも1種を投与することを特徴とする表皮機能向上方法にも関する。
【0121】
また、本発明は、個体に前記表皮機能向上剤及び表皮機能向上用組成物からなる群から選択される少なくとも1種を投与することを特徴とする、ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNAの発現促進方法、又はナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質の産生促進方法にも関する。
【実施例0122】
以下、本発明の試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
【0123】
(被験試料)
後述の試験例で用いる被験試料として、下記のものを用意した。
(1) 試料1 : 月桃抽出物(月桃葉抽出液BG、丸善製薬株式会社製)
(2) 試料2 : 酵母抽出物(ceravure、丸善製薬株式会社製)
(3) 試料3 : レモンバーム抽出物(レモンバームエキスRA、丸善製薬株式会社製)
(4) 試料4 : ロスマリン酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
(5) 試料5 : テンニンカ抽出物(テンニンカ果実抽出液BG80、丸善製薬株式会社製)
(6) 試料6 : ゲンノショウコ抽出物(和ism<ゲンノショウコ>、丸善製薬株式会社製)
(7) 試料7 : スターフルーツ抽出物(スターフルーツ葉抽出液BG30、丸善製薬株式会社製)
(8) 試料8 : ビワ抽出物(ビワ葉エキスCA、丸善製薬株式会社製)
(9) 試料9 : バラ抽出物(エムエスエキストラクト(O)-SQ<バラ>、丸善製薬株式会社製)
(10) 試料10 : ペパーミント抽出物(ペパーミント抽出液BG、丸善製薬株式会社製)
(11) 試料11 : ローズマリー抽出物(ローズマリー抽出液BG-J、丸善製薬株式会社製)
(12) 試料12 : モモ抽出物(山梨モモ葉抽出液BG30、丸善製薬株式会社製)
(13) 試料13 : ユーカリ抽出物(ユーカリ抽出液BG、丸善製薬株式会社製)
【0124】
(試験例1:ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1) mRNA発現促進作用試験)
上記した被験試料を用い、下記の試験方法により、NHE1 mRNA発現促進作用を試験した。
【0125】
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理によりを回収した。回収した細胞を、KGMを用いて35mmシャーレに30×10細胞/2mLずつ播き、37℃、5%CO下で一晩培養した。
一晩培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)1.8mLに交換した。24時間後に、KBMで必要濃度に溶解した被験試料(濃度は下記表1-1~1-3を参照)を各シャーレに200μLずつ添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加のKBMを用いて同様に培養した。
培養後、培養液を捨て、ISOGEN II(ニッポンジーン社製、Cat.no. 311-07361)にてトータルRNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるようにトータルRNAを調製した。
このトータルRNAを鋳型とし、NHE1及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Time SystemIII(Takara社製)を用いて、TaKaRa SYBR(登録商標) PrimeScriptTM RT-PCR Kit(Perfect Real Time)(code No.RR063A)(Takara社製)によるリアルタイム2ステップRT-PCR反応により行った。NHE1のmRNAの発現量は、GAPDHのmRNAの発現量で補正し、算出した。
得られた結果から、下記式によりNHE1 mRNA発現促進率を算出した。結果を表1-1~1-3に示す。
NHE1 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の補正値
B : 被験試料無添加時の補正値
【0126】
【表1-1】
【0127】
【表1-2】
【0128】
【表1-3】
【0129】
表1-1~1-3の結果から、上記した被験試料が、優れたNHE1 mRNA発現促進作用を示すことが確認された。
【0130】
(試験例2:ナトリウム/水素イオン交換輸送体1(NHE1)タンパク質産生促進作用試験)
上記した被験試料を用い、下記の試験方法により、NHE1タンパク質産生促進作用を試験した。
【0131】
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理によりを回収した。回収した細胞を、KGMを用いて6ウェルプレートに30×10細胞/2mLずつ播き、37℃、5%CO下で一晩培養した。
一晩培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)1.8mLに交換した。24時間後に、KBMで必要濃度に溶解した被験試料(濃度は下記表2を参照)を各ウェルに200μLずつ添加し、37℃、5%CO下で48時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加のKBMを用いて同様に培養した。
培養後、培養液を捨て、150mmol/L NaCl、1% Nonidet P40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、及びプロテアーゼインヒビターを含む50mmol/L Tris-HClバッファー(pH7.5)を400μLずつ添加して細胞を溶解させ、スクレーパーで回収した。超音波処理によって細胞を破砕した後、遠心(12,000rpm、10分間)し、細胞残渣を取り除いたタンパク溶液のうち、100μL中のNHE1量をNHE1 ELISA Kit(Cloud-Clone Corp.)を用いて測定した。同時に総タンパク量を測定し、総タンパク量当たりのNHE1量に補正した後、下記式に従いNHE1タンパク質産生促進率を算出した。結果を表2に示す。
NHE1タンパク質発現促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の細胞破砕液中における総タンパク量当たりのNHE1量
B : 被験試料無添加時の細胞破砕液中における総タンパク量当たりのNHE1量
【0132】
【表2】
【0133】
表2の結果から、上記した被験試料が、優れたNHE1タンパク質産生促進作用を示すことが確認された。
【0134】
(配合例1)
下記組成の乳液を常法により製造した。
・ 試料1の月桃抽出物 0.20g
・ ホホバオイル 4.00g
・ 1,3-ブチレングリコール 3.00g
・ アルブチン 3.00g
・ ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
・ オリーブオイル 2.00g
・ スクワラン 2.00g
・ セタノール 2.00g
・ モノステアリン酸グリセリル 2.00g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
・ パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
・ 黄杞エキス 0.10g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
・ イチョウ葉エキス 0.10g
・ コンキオリン 0.10g
・ オウバクエキス 0.10g
・ カミツレエキス 0.10g
・ 香料 0.05g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0135】
(配合例2)
下記組成のクリームを常法により製造した。
・ 試料2の酵母抽出物 0.1g
・ 試料3のレモンバーム抽出物 0.01g
・ クジンエキス 0.1g
・ オウゴンエキス 0.1g
・ 流動パラフィン 5.0g
・ サラシミツロウ 4.0g
・ スクワラン 10.0g
・ セタノール 3.0g
・ ラノリン 2.0g
・ ステアリン酸 1.0g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
・ モノステアリン酸グリセリル 3.0g
・ 1,3-ブチレングリコール 6.0g
・ パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
・ 香料 0.1g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0136】
(配合例3)
下記組成の美容液を常法により製造した。
・ 試料4のロスマリン酸 0.3g
・ カミツレエキス 0.1g
・ ニンジンエキス 0.1g
・ キサンタンガム 0.3g
・ ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
・ カルボキシビニルポリマー 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 4.0g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
・ グリセリン 2.0g
・ 水酸化カリウム 0.25g
・ 香料 0.01g
・ 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
・ エタノール 2.0g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0137】
(配合例4)
下記組成のヘアトニックを常法により製造した。
・ 試料5のテンニンカ抽出物 0.01g
・ 試料6のゲンノショウコ抽出物 0.05g
・ 酢酸トコフェロール 適量
・ セファランチン 0.002g
・ イソプロピルメチルフェノール 0.1g
・ ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
・ グリセリン 15.0g
・ エタノール 15.0g
・ 香料 適量
・ キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
・ 防腐剤(ヒノキチオール) 適量
・ 可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0138】
(配合例5)
下記組成のシャンプーを常法により製造した。
・ 試料7のスターフルーツ抽出物 0.20g
・ マジョラム抽出物 1.0g
・ ウメ果実部抽出物 0.2g
・ ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
・ ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
・ ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
・ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
・ プロピレングリコール 2.0g
・ 香料 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0139】
(配合例6)
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
・ 試料8のビワ抽出物 2.5mg
・ 試料9のバラ抽出物 2.5mg
・ ドロマイト 83.4mg
(カルシウム20%、マグネシウム10%含有)
・ カゼインホスホペプチド 16.7mg
・ ビタミンC 33.4mg
・ マルチトール 136.8mg
・ コラーゲン 12.7mg
・ ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
【0140】
(配合例7)
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
・ 試料10のペパーミント抽出物 0.3質量%
・ ソルビット 12.0質量%
・ 安息香酸ナトリウム 0.1質量%
・ 香料 1.0質量%
・ 硫酸カルシウム 0.5質量%
・ 精製水 残部
【0141】
(配合例8)
常法により、以下の組成を有する顆粒を製造した。
・ 試料11のローズマリー抽出物 150.0質量部
・ カルシウム 680.0質量部
・ 鉄 6.8質量部
・ ビートオリゴ糖 1000.0質量部
・ ステビア抽出物 10.0質量部
【0142】
(配合例9)
常法により、以下の組成を有するソフトカプセルを製造した。
・ 試料12のモモ抽出物 30質量部
・ オリーブ油 200質量部
・ グリセリン脂肪酸エステル 24質量部
・ ミツロウ 24質量部
【0143】
(配合例10)
常法により、以下の組成を有する清涼飲料水を製造した。
・ 試料13のユーカリ抽出物 0.3質量%
・ ローヤルゼリー 1.0質量%
・ 水溶性コラーゲン 10.0質量%
・ ハトムギエキス 1.0質量%
・ 高麗ニンジンエキス 1.0質量%
・ オリゴ糖 5.0質量%
・ ショ糖 10.0質量%
・ プルーン果汁 2.0質量%
・ ザクロ果汁 5.0質量%
・ グレープフルーツ果汁 10.0質量%
・ グレープフルーツフレーバー 0.7質量%
・ 水 残部
・ 合計 100.0質量%