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特開2023-122671高周波デバイス用基板、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122671
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】高周波デバイス用基板、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20230829BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230829BHJP
   H01L 29/16 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L21/02 C
H01L27/12 E
H01L29/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026305
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】松原 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克佳
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑宜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 温
(72)【発明者】
【氏名】阿部 達夫
(72)【発明者】
【氏名】大槻 剛
【テーマコード(参考)】
5F152
【Fターム(参考)】
5F152LL03
5F152MM01
5F152NN03
5F152NQ01
(57)【要約】
【課題】高周波特性に優れたダイヤモンドを利用した高周波デバイス用基板および、高周波特性に優れたダイヤモンドを利用した高周波デバイス用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】高周波デバイス用基板であって、表面に凹凸を有する支持基板と、前記支持基板の前記表面上のダイヤモンド層と、前記ダイヤモンド層上のシリコン酸化膜層とを有するものであることを特徴とする高周波デバイス用基板。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波デバイス用基板であって、表面に凹凸を有する支持基板と、前記支持基板の前記表面上のダイヤモンド層と、前記ダイヤモンド層上のシリコン酸化膜層とを有するものであることを特徴とする高周波デバイス用基板。
【請求項2】
前記支持基板の前記表面は、AFMで測定した表面の粗さ(Sa)が1nm以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の高周波デバイス用基板。
【請求項3】
前記表面に凹凸を有する支持基板は、抵抗率が500Ω・cm以上のものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波デバイス用基板。
【請求項4】
高周波デバイス用基板の製造方法であって、
支持基板を準備する工程と、
前記支持基板の表面に凹凸を形成する工程と、
前記支持基板の前記表面上にダイヤモンド層を形成する工程と、
前記ダイヤモンド層上にシリコン酸化膜層を形成する工程と
を有することを特徴とする高周波デバイス用基板の製造方法。
【請求項5】
前記支持基板の表面に凹凸を形成する工程は、AFMで測定した前記支持基板表面の粗さ(Sa)が1nm以上となるように粗さを形成する工程であることを特徴とする請求項4に記載の高周波デバイス用基板の製造方法。
【請求項6】
前記支持基板の抵抗率を500Ω・cm以上とすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の高周波デバイス用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波デバイス用基板、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5Gを迎え、端末は幅広い周波数帯域に対応することが必要となりフィルター等、数多くの高周波部品が必要となってきている。特に高周波数領域で使用する半導体装置、すなわち高周波(RF)用途の半導体装置は、その高性能化が求められている。
【0003】
従来からSOI構造のシリコン基板を使用した高周波フィルター等は、CMOSプロセスとの相性の良さや、大量生産が可能な観点から注目されている。そして、クロストークの防止の観点から、高調波特性が重要視され、これの改善のために基板の高抵抗率化や電荷蓄積層の導入など、種々の対策が取られてきた。
【0004】
具体的な解決策として、まずは支持基板の高抵抗率化がある。具体的な抵抗率の値としては、例えば特許文献1には、典型的には500Ω・cmよりも高く、好ましくは1000Ω・cmよりも高く、さらに好ましくは3000Ω・cmよりも高い電気抵抗率を有していなければならない、とされている。
【0005】
さらに、特許文献2には、SOI構造の支持基板と、支持基板と埋め込み酸化物層(BOX層)との間に新たにPoly-Siのような中間半導体層(電荷トラップ層ないしは、トラップリッチ:TR層)を備えている高周波用SOI基板(TR-SOI基板)の製造方法が記載されている。
【0006】
このような高周波デバイス用基板の高周波特性として、TR-SOI基板のSOI層を除去してBOX層にAl電極で図3に示すようなCo-Planar Waveguide(CPW5)を形成して測定する2次高調波(2HD)特性がある。CPW5は図3および4に示す一例のように、金属電極60aを隙間を開けて並列に並べて、その隙間の中央にこれら金属電極60aと並列に線状の中央金属電極60bを形成した構造を持ち、中央金属電極60bから図4における左右両側の金属電極60aおよび測定対象基板30内部に向かう方向の電界60cと、測定対象基板30の内部において中央金属電極60bを囲む方向の磁界60dによって電磁波を電送する構造の素子6をいう。
【0007】
また、高調波とは、元となる周波数の整数倍の高次の周波数成分のことで、元の周波数を基本波、2倍の周波数(2分の1の波長)を持つものが2HDと定義されている。高周波回路では高調波による混信を避けるために高調波の小さい基板が必要とされ、この目的のために前述のようにTR-SOIではベース基板にTR層を形成しさらに支持基板を高抵抗率化して2HD特性を改善している。
【0008】
このような高周波デバイス用基板としてシリコン系の材料以外を利用した基板が、特許文献3に記載されている。特許文献3には、基材(実施例でシリコン)上にダイヤモンドを成長しさらに圧電材料を成膜するもので、例としてはZnOを成膜した構造であり、圧電材料の電気抵抗率を1014Ω・cm以下に規定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2015-503853号公報
【特許文献2】特開2019-129195号公報
【特許文献3】特開2004-336600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記の高周波デバイス用基板のさらなる高性能化が求められている。
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、高周波特性に優れたダイヤモンドを利用した高周波デバイス用基板および、高周波特性に優れたダイヤモンドを利用した高周波デバイス用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明では、高周波デバイス用基板であって、表面に凹凸を有する支持基板と、前記支持基板の前記表面上のダイヤモンド層と、前記ダイヤモンド層上のシリコン酸化膜層とを有するものである高周波デバイス用基板を提供する。
【0013】
ダイヤモンドを用いることで、ダイヤモンドのもつ高い熱伝導性を利用した放熱特性の向上や、物質中最高の音速を有する特性による、高周波特性の向上が期待できる。また、前記ダイヤモンド層上にシリコン酸化膜層を設けることで、絶縁性をさらに持った高周波デバイス用基板となる。
【0014】
また、本発明では、前記支持基板の前記表面は、AFMで測定した表面の粗さ(Sa)が1nm以上のものであることが好ましい。
【0015】
このような高周波デバイス用基板であれば、支持基板中のキャリア移動度が低下するため好ましい。
【0016】
また、本発明では、前記表面に凹凸を有する支持基板は、抵抗率が500Ω・cm以上のものであることが好ましい。
【0017】
このような高抵抗率を有する支持基板を用いることで、より優れた高周波特性を有する高周波デバイス用基板を得ることが可能になる。
【0018】
また本発明は、高周波デバイス用基板の製造方法であって、
支持基板を準備する工程と、
前記支持基板の表面に凹凸を形成する工程と、
前記支持基板の前記表面上にダイヤモンド層を形成する工程と、
前記ダイヤモンド層上にシリコン酸化膜層を形成する工程と
を有する高周波デバイス用基板の製造方法を提供する。
【0019】
ダイヤモンドを用いることで、ダイヤモンドのもつ高い熱伝導性を利用した放熱特性の向上や、物質中最高の音速を有する特性をもつ材料を使用することで、高周波特性の向上した高周波デバイス用基板の製造が期待できる。さらに、前記ダイヤモンド層上に、シリコン酸化膜層を形成することで絶縁特性が期待される。
【0020】
また、本発明では、前記支持基板の表面に凹凸を形成する工程は、AFMで測定した前記支持基板表面の粗さ(Sa)が1nm以上となるように粗さを形成する工程であることが好ましい。
【0021】
このような高周波デバイス用基板であれば、支持基板中のキャリア移動度が低下するため好ましい。
【0022】
また、本発明では、前記支持基板の抵抗率を500Ω・cm以上とすることが好ましい。
【0023】
このような高抵抗率を有する支持基板を用いることで、より優れた高周波特性を有する高周波デバイス用基板を製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明の高周波デバイス用基板であれば、ダイヤモンドを用いることで、ダイヤモンドのもつ高い熱伝導性を利用した放熱特性の向上や物質中最高の音速を有する特性、かつ絶縁性の高いシリコン酸化膜を有することで、高周波特性の向上が可能になる。
【0025】
また本発明による高周波デバイス用基板の製造方法であれば、ダイヤモンドを用いることで、ダイヤモンドのもつ高い熱伝導性を利用した放熱特性の向上や、物質中最高の音速を有する特性、かつ絶縁性の高いシリコン酸化膜を有することで、高周波特性の向上した高周波デバイス用基板の製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の高周波デバイス用基板の一例を示す概略図である
図2】本発明の高周波デバイス用基板の製造方法の一例を示す概略フロー図である。
図3】2次高調波特性を評価するためのCo-Planar Waveguide(CPW)の一例の概略平面図である。
図4図3のCPWの線分X-Xに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上述のように、高周波特性に優れた高周波デバイス用基板、およびこのような高周波デバイス用基板を製造する製造方法の開発が求められている。
【0028】
そこで、発明者らは、上記課題について検討を重ねた結果として、高周波デバイス用基板として、表面に凹凸を有する支持基板と、表面の上に積層されたダイヤモンド層と、さらにダイヤモンド層上にシリコン酸化膜を積層した高周波デバイス用基板を用いることで、高周波特性の改善が可能になることを見出した。
【0029】
即ち、本発明は、高周波デバイス用基板であって、表面に凹凸を有する支持基板と、前記支持基板の前記表面上のダイヤモンド層と、前記ダイヤモンド層上のシリコン酸化膜層とを有するものである高周波デバイス用基板である。
【0030】
また、本発明は、高周波デバイス用基板の製造方法であって、
支持基板を準備する工程と、
前記支持基板の表面に凹凸を形成する工程と、
前記支持基板の前記表面上にダイヤモンド層を形成する工程と、
前記ダイヤモンド層上にシリコン酸化膜層を形成する工程と
を有する高周波デバイス用基板の製造方法である。
【0031】
なお、特許文献3には、シリコン基板上に成長したダイヤモンドに圧電膜(実施例としてはZnO膜)を成膜した構造が公開されているが、シリコン基板の抵抗率については特に規定されておらず、またシリコン基板表面には凹凸もなく、さらにダイヤモンドの上に積層される圧電層の電気抵抗率が1014Ω・cm以下とシリコン酸化膜の電気抵抗率(1015Ω・cm以上、例えば1017Ω・cm)よりも小さな値となっている。本発明とは構造・構成が異なるものとなっている。
【0032】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
〔高周波デバイス用基板〕
本発明の高周波デバイス用基板は、表面に凹凸を有する支持基板と、その表面上に積層されたダイヤモンド層と、さらにダイヤモンド層上にシリコン酸化膜層を積層したものであることを特徴とする。
【0034】
本発明は言い換えると、ダイヤモンドを用いることで、ダイヤモンドのもつ高い熱伝導性を利用した放熱特性の向上や、物質中最高の音速を有する特性、かつ絶縁特性に優れたシリコン酸化膜を積層することで、高周波特性を向上させることを特徴とする高周波デバイス用基板である。
【0035】
支持基板の表面には、支持基板中のキャリア移動度の低下のために凹凸を設け、この凹凸はAFMでの測定でSa=1nm以上とすることが好ましい。
【0036】
前記支持基板の抵抗率は500Ω・cm以上のものであることが望ましい。このような高抵抗率を有する支持基板とすることで、より優れた高周波特性を有する高周波デバイス用基板を得ることが可能になる。
【0037】
次に、図1を参照しながら本発明の高周波デバイス用基板の一例を具体的に説明する。
【0038】
図1に本発明の高周波デバイス用基板10の断面図を示す。高周波デバイス用基板10は、支持基板1と、ダイヤモンド層3と、シリコン酸化膜層4とを含んでいる。
【0039】
凹凸2は、支持基板1の表面に形成され、支持基板1とダイヤモンド層3の間に形成された電荷が高周波の印加によって移動しないように保持する役割を持たせている。
【0040】
シリコン酸化膜層4を積層することで、SOI構造に類似した構造となり、このシリコン酸化膜層4の高い絶縁性と、ダイヤモンド層3および凹凸が界面のキャリアトラップとして働くことで、支持基板1を通じて流れる高周波信号をブロックし、高周波信号の歪を低減することが可能となる。
【0041】
高周波デバイス用基板10は、表面に凹凸を有する支持基板1と、ダイヤモンド層3と、シリコン酸化膜層4が、この順で積層された構造を有するともいうことができる。
【0042】
〔高周波デバイス用基板の製造方法〕
本発明の高周波デバイス用基板の製造方法は、支持基板を準備する工程と、前記支持基板の表面に凹凸を形成する工程と、前記支持基板の前記表面上にダイヤモンド層を形成する工程と、前記ダイヤモンド層上にシリコン酸化膜層を形成する工程とを有する高周波デバイス用基板の製造方法である。
【0043】
本発明は言い換えると、ダイヤモンドを用いた、ダイヤモンドのもつ高い熱伝導性を利用した放熱特性の向上や、物質中最高の音速を有する特性、さらに高い絶縁特性を持つシリコン酸化膜層を用いた、高周波特性を向上させることを特徴とする高周波デバイス用基板の製造方法である。
【0044】
ダイヤモンド層は、各種の合成法が知られているが、半導体基板用途では、マイクロ波プラズマやホットフィラメントなどのCVD(Chemical Vapor Deposition)法がある。この中でも大直径基板への適用が可能なホットフィラメント法が好ましいといえる。
【0045】
ホットフィラメント法とは、減圧した反応容器中に基板を入れて、ガスとしてメタンと水素を導入した状態で、基板上方に設置したタングステンフィラメントに電流を印加して高熱にすることで、ガスを分解・活性化してダイヤモンドを成長させる方法である。
【0046】
支持基板の表面に、支持基板中のキャリア移動度の低下のために凹凸を設ける時に、この凹凸はAFMでの測定でSa=1nm以上とすることが好ましい。
【0047】
凹凸の形成方法は時に限定されないが、例えば支持基板表面を研削することで形成することができる。
【0048】
このときの凹凸は、前記のキャリア移動度低下の機能以外に、ダイヤモンド成長時の核として機能する役割もある。
【0049】
ダイヤモンド層の上に形成するシリコン酸化膜の形成には、通常の熱酸化が使えない(ダイヤモンドが酸化されてしまうため)ので、プラズマCVDやALDのような低温成膜が好ましい。
【0050】
また、前記支持基板の抵抗率は500Ω・cm以上のものであることが望ましく、このような高抵抗率を有する支持基板を用いて製造することで、より優れた高周波特性を持った高周波デバイス用基板を製造することができる。
【0051】
次に、図2を参照しながら本発明の高周波デバイス用基板の製造方法の一例を具体的に説明する。
【0052】
まず支持基板1を準備する。次いで、この支持基板1の表面に凹凸2を形成する。
【0053】
次に支持基板1の表面の凹凸2の上に、ダイヤモンド層3を形成する。
【0054】
次に、ダイヤモンド層3の上にさらにシリコン酸化膜層4を積層することで、高周波デバイス用基板10を得ることができる。
【0055】
以上のようにして、図1および2に示す、表面に凹凸2を有する支持基板1と、ダイヤモンド層3と、シリコン酸化膜層4からなる高周波デバイス用基板10を得ることができる。
【実施例0056】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
[実施例]
直径300mmボロンドープの高抵抗率シリコン単結晶基板(8000Ω・cm)を準備し、この表面を#8000の砥石を用いて表面研削を行い、表面粗さがSa=1nmの基板を作製した。次に、メタン(CH)と水素(H)を原料として、ホットフィラメントCVD装置に入れ、フィラメント温度:2200℃、H流量:10SLM、CH濃度:3%、基板温度:850℃、5Torr(667Pa)の条件で4時間の成長を行ってダイヤモンド層を形成した。そののち、プラズマCVD装置を使用して、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料にして、TEOSを40sccm、基板温度:350℃、100Torr(13332Pa)の条件で10分間の成長を行ってシリコン酸化膜を400nm形成した。
【0058】
このようにして作製したシリコン酸化膜、ダイヤモンド層、及びシリコン単結晶基板を有する基板上に、アルミ電極でCPW(路線長:2200μm)を形成した素子を作製した。その後、2次高調波特性(2HD特性)(周波数:1GHz、入力出力:15dBm)を測定した。その結果、2HD特性は-113dBmと後述の比較例よりも改善がみられた。
【0059】
[比較例]
支持基板として、直径300mmボロンドープの高抵抗率シリコン単結晶基板(8000Ω・cm)を準備し、この高抵抗率シリコン単結晶基板に1050℃でポリシリコン層を1.8μm成長させた。つぎに400nmの熱酸化膜を持つシリコン単結晶基板を準備し、先ほどのポリシリコン層を形成した高抵抗率シリコン単結晶基板に貼り合わせた後、シリコン単結晶基板の一部を除去して、400nmの熱酸化膜を支持基板に転写し、高抵抗率シリコン単結晶基板に中間層(トラップリッチ層)としてポリシリコン層、絶縁膜として熱酸化膜を持ったTR-SOI基板を作製した。
【0060】
このTR-SOI基板のSOI層をNaOHでエッチング後、露出した絶縁膜上に、アルミ電極でCPW(路線長:2200μm)を形成した素子を作製した。その後、2次高調波特性(2HD特性)(周波数:1GHz、入力出力:15dBm)を測定した。その結果、比較例の基板の2HDは-93dBmであった。
【0061】
以上に示した結果より、支持基板表面に凹凸を持ち、ダイヤモンドとCVDによるシリコン酸化膜を形成した高周波デバイス用基板は良好な高周波特性を示すことができた。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0063】
1…支持基板、 2…凹凸、 3…ダイヤモンド層、
4…シリコン酸化膜層、 5…CPW、 6…素子、
10…高周波デバイス用基板、 30…測定対象基板、 60a…金属電極、
60b…中央金属電極、 60c…電界、 60d…磁界。
図1
図2
図3
図4