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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123109
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
H01L23/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026990
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】緒方 孝友
(57)【要約】
【課題】パッケージの製造中または使用中に生じる応力に起因してビア孔からクラックが発生することを抑制することができるパッケージを提供する。
【解決手段】セラミック枠部120は、基板配線部200が設けられたセラミック基板部110上に配置されており、キャビティCVを囲んでいる。メタライズ層600はセラミック枠部120上に設けられている。ビア電極510は、メタライズ層600と基板配線部200とを互いに接続しており、ビア孔VH中に配置されている。ビア孔VHは、枠貫通部VH1と、配線貫通部VH2と、突出部VH3と、を有している。枠貫通部VH1は、セラミック枠部120を貫通しており、ビア電極510で充填されている。配線貫通部VH2は、枠貫通部VH1から延びて基板配線部200を貫通しており、ビア電極510で充填されている。突出部VH3は、配線貫通部からセラミック基板部110中に突出している。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体が取り付けられることによって電子部品を気密に封止するためのキャビティが設けられたパッケージであって、
セラミック基板部と、
前記セラミック基板部に設けられた基板配線部と、
第1面と、前記第1面と反対であって、前記基板配線部が設けられた前記セラミック基板部上に配置された第2面と、を有し、前記キャビティを囲むセラミック枠部と、
前記セラミック枠部の前記第1面上に設けられたメタライズ層と、
前記メタライズ層と前記基板配線部とを互いに接続し、ビア孔中に配置されたビア電極と、
を備え、
前記ビア孔は、
前記セラミック枠部を貫通し、前記ビア電極で充填された枠貫通部と、
前記枠貫通部から延びて前記基板配線部を貫通し、前記ビア電極で充填された配線貫通部と、
前記配線貫通部から前記セラミック基板部中に突出する突出部と、
を有している、
パッケージ。
【請求項2】
前記ビア孔の前記突出部はテーパー状である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記ビア孔の前記突出部は、前記セラミック基板部に設けられた止まり穴である、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記セラミック枠部は、200μm以下の最小幅を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記ビア電極は50μm以下の直径を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記電子部品としての水晶ブランクが実装されることになる電極パッドをさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記ビア孔の前記突出部は、前記ビア電極によって少なくとも部分的に充填されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記ビア孔の前記突出部は、前記突出部が空隙を有するように、前記ビア電極によって部分的に充填されている、請求項1から7いずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記ビア電極は、前記ビア孔の前記突出部に接する底面を有しており、前記ビア電極の前記底面は凸状の曲面である、請求項1から7のいずれか1項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージに関し、特に、蓋体が取り付けられることによって電子部品を気密に封止するためのキャビティが設けられたパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミックグリーンシートを用いて製造されるセラミック部品として、水晶振動子用のパッケージが知られている。一般的な水晶振動子は、水晶ブランクと、水晶ブランクが収められるキャビティを有するパッケージと、キャビティを封止するための蓋とを有している。パッケージは、キャビティの底面をなす基板部と、キャビティを囲む枠部と、この枠部上に設けられたメタライズ層とを有している。メタライズ層に蓋が接合材(典型的には、ろう材)を用いて接合される。
【0003】
パッケージを用いたモジュール、例えば上記のような水晶振動子、の使用中、メタライズ層の電位は、ノイズ防止のような目的で適切に管理される必要がある場合が多く、典型的には接地電位とされる。この目的で、メタライズ層は、例えば、接地電位用の電極パッドに電気的に短絡されている。このための電気的経路は、典型的には、枠部を貫通するビア電極を介して確保される。具体的には、接地電位用の電極パッドに電気的に接続された配線部と、メタライズ層とが、枠部に埋め込まれたビア電極によって互いに接続される。
【0004】
しかしながら、パッケージの小型化の進展にともなって枠部の材料幅(枠部の内壁面と外壁面との間の寸法)が小さくなってきており、これに対応した微細なビア電極を形成することが困難となってきている。具体的には、微細なビア電極が配置されるための微細なビア孔を、焼成されることによって枠部となるグリーンシートに形成することが、困難となってきている。
【0005】
ビア孔の典型的な形成方法として、ピン形状を有する金型が用いられる場合、ビア孔を微細化するためにピン形状を微細化すると、ピンの機械的強度が不足しやすい。よって、金型加工では、ビア孔が微細になるにつれて、量産における加工効率を確保することが難しくなってきている。
【0006】
そこで、例えば特開2007-27592号公報(特許文献1)に開示された技術によれば、ビア電極に代わって、枠部の内壁面上に、略三日月状の形状を有するキャスタレーション電極が設けられている。しかしながら、上記公報の技術のようにビア電極に代わってキャスタレーション電極がキャビティの側壁に設けられている場合、ろう材を用いての蓋の接合工程において、ろう材がキャビティ中へキャスタレーション電極に沿って流れ込みやすい。流れ込んだろう材と水晶ブランクとが接触することによって、水晶振動子の性能に悪影響が生じることがある。なお、ろう材の流れ込みによる機械的特性への悪影響は、パッケージに実装される素子が水晶ブランクの場合に特に懸念されるが、水晶ブランクに限らず他の圧電素子の場合にも生じることがある。さらに、圧電素子に限らず他の電子部品にとっても、例えば意図しない短絡のような、電気的特性への悪影響が懸念される。
【0007】
一方、特開2009-234074号公報(特許文献2)は、ビア孔としての微小な貫通孔を、セラミックグリーンシートに、レーザー加工技術によって形成する方法が開示されている。具体的には、厚みが250μm以下のセラミックグリーンシートに、直径30μm乃至50μmの貫通孔が、紫外線レーザーを用いて形成される。このようなレーザー加工が、前述した金型加工に代わって用いられることによって、小型パッケージの量産におけるビア孔の加工効率を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-27592号公報
【特許文献2】特開2009-234074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようにレーザー加工を用いることによって、貫通孔(ビア孔)を十分な加工効率で形成することができる。しかしながら、本発明者らの検討によると、上記のように、パッケージの小型化の進展にともなって枠部の材料幅が小さくなるほど、パッケージの製造中または使用中に生じる応力に起因してビア孔からクラックが発生してしまう懸念が大きい。
【0010】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、パッケージの製造中または使用中に生じる応力に起因してビア孔からクラックが発生することを抑制することができるパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一の態様に従うパッケージには、蓋体が取り付けられることによって電子部品を気密に封止するためのキャビティが設けられている。前記パッケージは、セラミック基板部と、基板配線部と、セラミック枠部と、メタライズ層と、ビア電極と、を備えている。前記基板配線部は前記セラミック基板部に設けられている。前記セラミック枠部は、第1面と、前記第1面と反対であって、前記基板配線部が設けられた前記セラミック基板部上に配置された第2面と、を有しており、前記キャビティを囲んでいる。前記メタライズ層は前記セラミック枠部の前記第1面上に設けられている。前記ビア電極は、前記メタライズ層と前記基板配線部とを互いに接続しており、ビア孔中に配置されている。前記ビア孔は、枠貫通部と、配線貫通部と、突出部と、を有している。前記枠貫通部は、前記セラミック枠部を貫通しており、前記ビア電極で充填されている。前記配線貫通部は、前記枠貫通部から延びて前記基板配線部を貫通しており、前記ビア電極で充填されている。前記突出部は、前記配線貫通部から前記セラミック基板部中に突出している。
【発明の効果】
【0012】
上記一の態様によれば、前記ビア孔は、前記セラミック基板部中に突出する前記突出部を有している。これにより、前記ビア孔内に配置される前記ビア電極は、前記基板配線部上に底面を有さず、よって前記基板配線部上に角部を有しない。よって、前記パッケージの製造のための焼成工程における前記ビア電極と前記セラミック基板部との間での焼結収縮率の違い、および、前記パッケージの使用中における前記ビア電極と前記セラミック基板部との熱膨張係数の違い、の少なくともいずれかに起因しての応力が前記角部へ集中する現象が避けられる。よって、応力集中に起因してのクラックの発生を防止することができる。
【0013】
前記ビア孔の前記突出部はテーパー状であってよい。この場合、前記突出部の近傍での応力を抑えることができる。
【0014】
前記ビア孔の前記突出部は、前記セラミック基板部に設けられた止まり穴であってよい。これにより、前記ビア孔の深さを抑制することができる。よって、前記ビア孔に起因しての前記セラミック基板部の機械的強度の低下を抑制することができる。
【0015】
前記セラミック枠部は、200μm以下の最小幅を有していてよい。このようにセラミック枠部が微細な寸法を有する場合、特にクラックが発生しやすい。上記一の態様によれば、このようなクラックの発生を防止することができる。
【0016】
前記ビア電極は50μm以下の直径を有している。このようにビア電極が微細であることによって、セラミック枠部の幅が微細であることが許容される。このようにセラミック枠部が微細な寸法を有する場合、特にクラックが発生しやすい。上記一の態様によれば、このようなクラックの発生を防止することができる。
【0017】
前記パッケージは、前記電子部品としての水晶ブランクが実装されることになる電極パッドをさらに備えていてよい。水晶ブランクが実装されるパッケージは、微細な設計寸法を有することが多い。その場合、特にクラックが発生しやすい。上記一の態様によれば、このようなクラックの発生を防止することができる。
【0018】
前記ビア孔の前記突出部は、前記ビア電極によって少なくとも部分的に充填されていてよい。これにより、前記ビア孔のうち前記突出部よりも浅く位置する部分である前記配線貫通部が、前記ビア電極によって、より確実に充填される。よって、前記ビア電極を前記基板配線部へ、より確実に電気的に接続することができる。
【0019】
前記ビア孔の前記突出部は、前記突出部が空隙を有するように、前記ビア電極によって部分的に充填されていてよい。この空隙によって、応力を、より緩和することができる。
【0020】
前記ビア電極は、前記ビア孔の前記突出部に接する底面を有していてよく、前記ビア電極の前記底面は凸状の曲面であってよい。この場合、前記ビア電極の前記底面は、角張った部分を有しない。これにより、このような角張った部分への応力集中が避けられる。よって、当該応力集中に起因してのクラックの発生を避けることができる。
【0021】
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1における水晶振動子の構成を概略的に示す平面図である。
図2図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。
図3図1の水晶振動子の製造方法の一工程を概略的に示す平面図である。
図4図3の線IV-IVに沿う概略的な断面図である。
図5】実施の形態1におけるパッケージの構成を概略的に示す平面図である。
図6図5の線VI-VIに沿う概略的な断面図である。
図7図5におけるメタライズ層とセラミック枠部とビア電極との図示を省略した平面図である。
図8図7における基板部および基板ビア電極を、パッケージ電極パッドを破線で示しつつ、概略的に示す平面図である。
図9図5におけるセラミック枠部上のメタライズ層の図示を省略した平面図である。
図10図5の線X-Xに沿う概略的な部分断面図である。
図11図10の一部拡大図である。
図12】実施の形態1におけるパッケージの製造方法を概略的に示すフロー図である。
図13】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す平面図である。
図14図13における基板部および基板ビア電極を、パッケージ電極パッドを破線で示しつつ、概略的に示す平面図である。
図15図13および図14の線XV-XVに沿う概略的な部分断面図である。
図16】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図17】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図18】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図19】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図20】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図21】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図22】第1の比較例におけるパッケージの構成を示す部分断面図である。
図23図22の一部拡大図である。
図24】第1の比較例におけるパッケージの製造方法の一工程を示す部分断面図である。
図25】第1の比較例におけるパッケージの製造方法の一工程を示す部分断面図である。
図26】第1の比較例におけるパッケージの製造方法の一工程を示す部分断面図である。
図27】第1の比較例におけるパッケージの製造方法の一工程を示す部分断面図である。
図28】第1の比較例におけるパッケージの製造方法の一工程を示す部分断面図である。
図29】第2の比較例におけるパッケージの製造方法の一工程を示す部分断面図である。
図30図20に示された工程の実施例を示す顕微鏡写真である。
図31】実施の形態2におけるパッケージの構成を、図11に対応した視野で概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1におけるモジュールとしての水晶振動子900の構成を概略的に示す平面図である。図2は、図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。図3は、水晶振動子900(図1)の製造方法における、水晶ブランク890(電子部品)が実装された直後の構成を概略的に示す平面図である。図4は、図3の線IV-IVに沿う概略的な断面図である。
【0025】
水晶振動子900は、パッケージ701と、水晶ブランク890と、ろう材960と、蓋体980とを有している。パッケージ701には、蓋体980が取り付けられることによって水晶ブランク890(電子部品)を気密に封止するためのキャビティCVが設けられている。水晶ブランク890は、キャビティCV内に収められており、パッケージ701の素子電極パッド211および素子電極パッド212の上に実装されている。蓋体980は、ろう材960によってパッケージ701のメタライズ層600に接合されており、これによりキャビティCVが封止されている。ろう材960は、典型的には、金を含む合金からなることが好ましく、例えば、金およびスズを含む合金、言い換えればAu-Sn系合金、からなる。蓋体980は、金属からなり、例えば、鉄およびニッケルを含む合金からなる。なお本明細書において、合金は金属の一種とみなす。
【0026】
メタライズ層600は、例えば、モリブデンおよびタングステンの少なくともいずれかを含む金属からなる。メタライズ層600の表面(ろう材960に面する面)には、めっき層が設けられていてよく、典型的には金めっき層が設けられている。また金めっき層の下地としてニッケルめっき層が設けられていてよい。パッケージ701のセラミック枠部120の枠上面SF1上に直接設けられたメタライズ層600と、蓋体980との間は、ろう材960のみによって接合されていてよい。
【0027】
図5は、パッケージ701の構成を概略的に示す平面図である。図6は、図5の線VI-VIに沿う概略的な断面図である。パッケージ701は、セラミック部100と、素子電極パッド211と、素子電極パッド212と、パッケージ電極パッド301~304とを含む。
【0028】
セラミック部100は、セラミックからなり、好ましくは酸化物を主成分として有しており、より好ましくはアルミナを主成分として有しており、例えば実質的にアルミナからなる。セラミック部100は、セラミック基板部110と、セラミック基板部110上でキャビティCVを囲むセラミック枠部120と、を含む。セラミック基板部110の材料と、セラミック枠部120の材料とは、同じであってよい。セラミック枠部120は厚み方向(図6における縦方向)においてセラミック基板部110に積層されている。これにより、セラミック枠部120は、セラミック基板部110上に配置されており、キャビティCVを囲んでいる。セラミック枠部120は、枠上面SF1(第1面)と、枠下面SF2(厚み方向において第1面と反対の第2面)とを有している。またセラミック枠部120は、枠上面SF1と枠下面SF2とを互いにつなぐ内壁面を有しており、当該内壁面はキャビティCVの側壁である。セラミック基板部110は基板上面SF3(第3面)を有している。基板上面SF3は、セラミック枠部120の枠下面SF2を支持する支持面部分SF3Sと、キャビティCVに面するキャビティ面部分SF3Cとを有している。キャビティ面部分SF3CはキャビティCVの底面をなしている。
【0029】
またパッケージ701は、セラミック枠部120の枠上面SF1上に、蓋体980(図1および図2)が接合されることになるメタライズ層600を有している。またパッケージ701は、セラミック部100に設けられた、電気的配線のための構成を、以下に記すように含む。
【0030】
素子電極パッド211および素子電極パッド212(図5)はキャビティCVに面してセラミック部100(図6)に配置されている。具体的には、素子電極パッド211および素子電極パッド212は、セラミック基板部110(図6)の基板上面SF3のキャビティ面部分SF3C上に配置されている。素子電極パッド211,212には、電子部品としての水晶ブランク890(図3および図4)が実装されることになる。パッケージ電極パッド301~304(図5)はキャビティCV外においてセラミック部100(図6)に配置されている。具体的には、パッケージ電極パッド301~304は、セラミック基板部110(図6)の下面(基板上面SF3とは反対の面)上に配置されている。
【0031】
中継電極220(図5)は、セラミック基板部110(図6)の基板上面SF3上に設けられている。中継電極220は、少なくとも部分的に支持面部分SF3S(図6)上に配置されている。よって、中継電極220(図5)は、少なくとも部分的にセラミック枠部120に覆われている。中継電極220はさらに、セラミック枠部120には覆われずにキャビティCVの底面に配置された部分を有していてよい。言い換えれば、中継電極220はセラミック枠部120に部分的にのみ覆われていてよい。
【0032】
図7は、図5におけるメタライズ層600とセラミック枠部120とビア電極510(図9参照)と、の図示を省略した平面図である。図8は、図7におけるセラミック基板部110および基板ビア電極411~414を、パッケージ電極パッド301~304を破線で示しつつ、概略的に示す平面図である。
【0033】
セラミック部100のセラミック基板部110にはその上面近傍において配線層401~403が埋め込まれている。配線層401は素子電極パッド211に接触しており、配線層402は素子電極パッド212に接触しており、配線層403は中継電極220に接触している。これらの接触を阻害しない範囲で配線層401~403は、セラミック基板部110の一部としての絶縁膜110i(図10参照)に被覆されていてよく、特に素子電極パッド211と配線層403との間は、絶縁膜110iによって絶縁されている。配線層403および中継電極220によって基板配線部200が構成されている。基板配線部200は、パッケージ701の一部であり、セラミック基板部110に設けられている。基板配線部200の厚みは、例えば、5μm以上20μm以下である。
【0034】
パッケージ701は、セラミック基板部110中に埋め込まれた基板ビア電極411~414を有している。基板ビア電極411は配線層402とパッケージ電極パッド301とを互いに接続している。基板ビア電極412は配線層403とパッケージ電極パッド302とを互いに接続している。基板ビア電極413は配線層401とパッケージ電極パッド303とを互いに接続している。基板ビア電極414は配線層403とパッケージ電極パッド304とを互いに接続している。
【0035】
以上の構成から、素子電極パッド211はパッケージ電極パッド303に電気的に接続されており、素子電極パッド212はパッケージ電極パッド301に電気的に接続されており、中継電極220はパッケージ電極パッド302およびパッケージ電極パッド304に電気的に接続されている。
【0036】
図9は、図5におけるメタライズ層600の図示を省略した平面図である。図10は、図5および図7図9の各々の線X-Xに沿う概略的な部分断面図である。図11は、図10の一部拡大図である。
【0037】
図9を参照して、セラミック枠部120の最小幅、すなわちセラミック枠部120の内壁面EI(キャビティCVに面する面)と外壁面EO(内壁面EIと反対の面)との間の最小寸法は、200μm以下であってよく、典型的には20μm以上110μm以下である。
【0038】
前述したように、配線層403および中継電極220によって、セラミック基板部110の基板上面SF3上に基板配線部200が構成されている。また、前述したようにセラミック基板部110がその一部として絶縁膜110i(図10)を有している。基板配線部200が設けられたセラミック基板部110上に、セラミック枠部120の枠下面SF2(図10)が配置されている。
【0039】
なお変形例として、絶縁膜110iはパッケージの設計によっては省略されてよい。また基板配線部200は、配線層403および中継電極220のいずれか一方のみによって構成されてよい。例えば、基板配線部200は、中継電極220が省略されつつ配線層403を有していてよく、その場合において、配線層403と絶縁膜110iとの境界位置(図10における配線層403の右端位置)が支持面部分SF3S上の中継電極220の端位置(図10における中継電極220の右端位置)へずらされてよく、中継電極220は省略されてよい。またキャビティCVに面している絶縁膜110iの端は、セラミック枠部120に達するように変形されてよく、その場合、基板配線部200は絶縁膜110iによってキャビティCVから隔てられてよい。また、基板配線部200は、典型的には図10に示されているように支持面部分SF3Sとキャビティ面部分SF3Cとにまたがっているが、変形例として、支持面部分SF3S上にのみ配置されていてよい。また基板配線部200は、本実施の形態においてはセラミック枠部120の枠下面SF2の外縁(図10においては、枠下面SF2の右端)から離れた端を有しているが、この端は外縁に達していてよい。
【0040】
パッケージ701はビア電極510を有している。ビア電極510は、枠上面SF1で端面SFAを有しており、端面SFAの反対側に底面SFBを有している。ビア電極510の端面SFAの形状は略円形であってよく、当該形状の近似円は10μm以上50μm以下の直径を有していてよい。ビア電極510の厚み(図10における縦方向の寸法)は、例えば、50μm以上250μm以下である。
【0041】
ビア電極510は、図10に示されているように、セラミック枠部120を枠上面SF1と枠下面SF2との間で貫通して基板配線部200に達しており、具体的には、基板配線部200の中継電極220に達している。これにより、ビア電極510は、メタライズ層600と基板配線部200とを互いに接続している。ビア電極510によってメタライズ層600は基板配線部200に電気的に短絡されている。前述したように、中継電極220は配線層403に接触しており、配線層403(図7)には基板ビア電極412および基板ビア電極414が接続されている。よって基板ビア電極412および基板ビア電極414は、ビア電極510に電気的に接続されている。さらに、ビア電極510の端面SFAは、メタライズ層600に接している。よってメタライズ層600は、図8を参照して、基板ビア電極412および基板ビア電極414のそれぞれを介して、パッケージ電極パッド302およびパッケージ電極パッド304に電気的に接続されている。よって、パッケージ電極パッド302およびパッケージ電極パッド304の電位を基準電位とすることによって、メタライズ層600の電位も基準電位とすることができる。当該基準電位は、典型的には、接地電位である。
【0042】
ビア電極510は、上述したようにセラミック枠部120を貫通して基板配線部200に達するように、ビア孔VH(図11)中に配置されている。ビア孔VHの厚み(図11における縦寸法)は、例えば、50μm以上250μm以下である。
【0043】
ビア孔VHは、図11に示されているように、枠貫通部VH1と、配線貫通部VH2と、突出部VH3と、を有している。枠貫通部VH1は、セラミック枠部120を貫通しており、ビア電極510で充填されている。配線貫通部VH2は、枠貫通部VH1から延びて基板配線部200を貫通しており、ビア電極510で充填されている。突出部VH3は、配線貫通部VH2からセラミック基板部110中に突出している。本実施の形態においては、ビア孔VHの突出部VH3は、突出部VH3の突出方向(図11における下方向)に向かってテーパー状である。また突出部VH3は、セラミック基板部110に設けられた止まり穴である。また突出部VH3は、ビア電極510によって少なくとも部分的に充填されており、図11に示された構成においては、実質的に、突出部VH3が全体的に充填されている。当該構成においては、ビア電極510は、突出部VH3に接する底面SFBを有しており、底面SFBは凸状の曲面である。
【0044】
図12は、本実施の形態1におけるパッケージ701の製造方法を概略的に示すフロー図である。図13は実施の形態1におけるパッケージ701の製造方法の一工程を概略的に示す平面図であり、図14は、図13におけるセラミック基板部110および基板ビア電極411~414を、パッケージ電極パッド301~304を破線で示しつつ、概略的に示す平面図であり、図15図13および図14の線XV-XVに沿う概略的な部分断面図である。図16図21は、実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
【0045】
図13図15を参照して、ステップST100(図12)にて、基板配線部200が設けられたセラミック基板部110が、基板グリーン体GSとして形成される。なお本明細書において、「グリーン体」は、焼成されることによってセラミック体となる構成のことを意味する。グリーン体は、典型的には粉末成形体である。粉末成形およびハンドリングを容易とするために、グリーン体は、主成分に加えて、ガラス成分と有機成分とを、添加物として含んでよい。有機成分は、例えば、ポリビニルブチラールまたはアクリルを含んでいてよい。グリーン体の成形方法は任意であるが、例えばドクターブレード法により、グリーン体としてのグリーンシートが形成される。このグリーンシート上にさらなるグリーン体が付加されてよく、この付加は、典型的には、当該グリーンシート上での印刷、または、他のグリーンシートの積層によって行われる。当該印刷は、典型的にはスクリーン印刷法によって行われる。焼成されることによってセラミック部100となるグリーン体の主成分は、例えばアルミナ粉末であってよい。焼成されることによって基板配線部200およびビア電極510となるグリーン体の主成分は、例えば、タングステン(W)粉末、モリブデン(Mo)粉末、W粉末とMo粉末との混合粉末、または、W-Mo合金粉末であってよい。
【0046】
具体的には、まず、セラミック基板部110となるグリーンシートが形成される。このグリーンシートに対して、パンチ加工によるビア孔の形成と、当該ビア孔中への電極ペーストの印刷とが行われることによって、基板ビア電極411~414となるグリーン体が形成される。電極ペースト中には、例えば、タングステンおよびモリブデンの少なくともいずれかの粉末が分散されている。続いて、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、配線層401~403となるグリーン体が形成される。続いて、このグリーンシートに対してセラミックペーストの印刷が行われることによって、絶縁膜110iとなるグリーン体が形成される。続いて、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、素子電極パッド211,212、および中継電極220となるグリーン体が形成される。また、上記のように基板ビア電極411~414となるグリーン体が形成された後の任意のタイミングで、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、パッケージ電極パッド301~304となるグリーン体が形成される。
【0047】
図16および図17を参照して、ステップST200(図12)にて、セラミック枠部120が、キャビティCVを囲む枠形状を有する枠状グリーンシートGFとして形成される。具体的には、まず、図16に示されているように、セラミック枠部120となるグリーンシートが形成される。次に、図17に示されているように、パンチ加工によってキャビティCVが形成される。なお、ステップST100およびステップST200(図12)の順番は任意である。
【0048】
図18を参照して、ステップST300(図12)にて、基板グリーン体GS(図15参照)上に枠状グリーンシートGF(図17参照)が積層される。
【0049】
図18に加えて図19を参照して、ステップST400(図12)にて、レーザー加工を施すことによってビア孔VHが形成される。レーザー加工を行うためのシステムであるレーザー加工システムは、レーザー光が照射されることになるワークを支持するテーブルと、所望のレーザー光をワークへと照射するレーザー装置と、当該テーブルおよびレーザー装置を制御する制御部と、を含む。
【0050】
レーザー装置は、レーザー発振器と、コリメータレンズと、マスクと、ベントミラーと、スキャンヘッドと、テーブルと、カメラと、を含む。レーザー発振器は、例えばCOレーザー発振器であり、レーザー光を生成する。生成されたレーザー光はコリメータレンズによってコリメートされる。コリメートされた光は、マスクを通過することによって、ビーム幅が調整されたレーザービームとされる。レーザービームは、必要に応じて、ベントミラーによってその進行方向が調整されてよい。レーザービームが供されたスキャンヘッドは、テーブルに支持されたワーク上の所望の位置へレーザービームを集光する。この位置を制御するために、スキャンヘッドは、レーザービームが照射される位置をテーブルに平行な2次元における任意の位置へ調整可能とするためのガルバノスキャナを有していてよい。またスキャンヘッドは、レーザービームを集光するために、ガルバノスキャナとワークとの間に集光レンズを有していてよい。
【0051】
制御部は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。一般的なコンピュータは、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)、リードオンリーメモリー(read only memory、すなわち、ROM)、ランダムアクセスメモリー(random access memory、すなわち、RAM)、記憶装置、入力部、表示部および通信部と、これらを相互に接続するバスラインとを有している。
【0052】
本実施の形態においては、上記ステップST400は、ステップST411,ST412,ST421を含む。ステップST411(図12)にて、枠状グリーンシートGFのキャビティCVの位置が認識される。具体的には、レーザー加工システムはそのカメラを用いて枠状グリーンシートGFのキャビティCVの位置を認識する。この認識は、通常の画像認識技術を用いて行われてよい。ステップST412(図12)にて、ステップST411(図12)によって認識された位置を基準として、レーザー加工が施されることになる位置が定められる。例えば、レーザー加工システムの制御部は、認識された位置から、予め定められた相対的位置を、レーザー加工が施されることになる位置と定める。ステップST421(図12)にて、レーザー光が照射されることによって、図19に示されるように、ビア孔VH(図19)が形成される。例えば、平均出力10W以上250W以下のCOレーザー発振器からの波長9.3μm以上10.7μm以下のレーザー光が、照射時間6μsで2パルス照射される工程が5回繰り返される。
【0053】
ビア孔VHは、図19に示されているように、基板配線部200を貫通してセラミック基板部110中にも入り込むように形成される。ビア孔VHは、基板配線部200の上面(枠上面SF1に面する面)に沿った断面において略円形の形状を有していてよく、当該形状の近似円は、例えば、10μm以上40μm以下の直径を有している。
【0054】
さらに図20を参照して、ステップST500(図12)にて、枠状グリーンシートGFのビア孔VH(図19)内に、ビア電極510(図10参照)が電極グリーン体G510として形成される。電極グリーン体G510は、焼成されることによってビア電極510(図10参照)となるグリーン体である。電極グリーン体G510は、電極ペーストがスクリーン印刷によってビア孔VH中へ充填されることによって形成されてよい。
【0055】
図21を参照して、メタライズ層(図10参照)が、メタライズグリーン体G600として形成される。メタライズグリーン体G600は、焼成されることによってメタライズ層600(図10参照)となるグリーン体である。メタライズグリーン体G600は、電極ペーストの塗布によって形成され、当該塗布は、例えばスクリーン印刷法によって行われる。
【0056】
ステップST600(図12)にて、基板グリーン体GSと、枠状グリーンシートGFと、電極グリーン体G510と、メタライズグリーン体G600とが焼成される。なお必要に応じて、焼成後に、めっき処理が行われてよい。以上により、パッケージ701(図10)が得られる。
【0057】
なお、上記図13図21を参照しての説明においては、説明を単純化するために、1つのパッケージを製造する方法について説明した。一方で、効率的な量産のために、複数のパッケージが面内方向において互いにつながった構成を有する焼結体が形成された後、当該焼結体を分割することによって複数のパッケージを得ることは、周知技術であり、それが本実施の形態へ適用されてよい。その場合、パッケージ701の外壁面SF4は、焼成後の分割工程によって形成されてよい。
【0058】
図22は、第1の比較例におけるパッケージ711の構成を示す部分断面図であり、図23図22の一部拡大図である。パッケージ711のビア孔VH0(図23)は、ビア孔VH(図11)の枠貫通部VH1に対応する部分を有している一方で、ビア孔VH(図11)の配線貫通部VH2および突出部VH3に対応する部分を有していない。
【0059】
図24図28は、第1の比較例におけるパッケージ711の製造方法の一工程を示す部分断面図である。まず、図24から図27までの工程によって、枠状グリーンシートGFcが形成される。具体的には、図24を参照して、キャビティCV(実施の形態1:図17)が形成される前にビア孔VH0が形成される。図25を参照して、ビア孔VH0内に、ビア電極510(図22参照)が電極グリーン体G510として形成される。図26を参照して、メタライズ層(図22参照)が、メタライズグリーン体G600として形成される。図27を参照して、次に、キャビティCVが形成される。このとき、メタライズグリーン体G600の不要部分が除去される。以上により、枠状グリーンシートGFcが形成される。図28を参照して、枠状グリーンシートGFc(図27)が基板グリーン体GS(図15参照)上に積層される。この積層体が焼成されることによって、パッケージ711(図22)が得られる。
【0060】
上記第1の比較例においては、第1の短所として、ビア孔VH0を形成する際に(図24)、キャビティCV(図27)が未だ形成されていないので、キャビティCV(図27)の位置を基準とすることができない。その結果、キャビティCVおよび基板配線部200の各々に対するビア孔VH0の位置精度を十分に確保しにくい。第2の短所として、焼成工程におけるビア電極510とセラミック基板部110との間での焼結収縮率の違いに起因して、ビア電極510の角部CN(図23)へ応力が集中しやすい。この応力集中に起因してクラックが発生することがある。
【0061】
図29は、第2の比較例におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。本比較例においては、図18に示された工程まで本実施の形態1と同様の工程が行われた後、レーザー加工によって、ビア孔VH(本実施の形態1:図19)ではなく、上記第1の比較例1において説明された形状を有するビア孔VH0が形成される。この場合、前述の第1の短所は解消することができるが、第2の短所は解消することができない。さらに、第3の短所として、レーザー加工においてビア孔VH0の底面SH(図29)を、基板配線部200を貫通することなく基板配線部200上で精度よく停止させるためには、レーザー加工の精密な制御が必要となる。その結果、製造効率が犠牲となりやすい。
【0062】
図30は、本実施の形態1におけるパッケージ701の製造方法の実施例において、ビア孔VH(図19参照)に電極グリーン体G510(図20参照)が充填された様子を示す顕微鏡写真である。このように本発明者らは、本実施の形態1における製造方法について実験を行い。当該製造方法が実用的であることを確認した。
【0063】
本実施の形態によれば、ビア孔VH(図11)は、セラミック基板部110中に突出する突出部VH3を有している。これにより、ビア孔VH内に配置されるビア電極510は、基板配線部200上に底面SFBを有さず(図11参照)、よって基板配線部200上に角部CN(図23)を有しない。よって、パッケージ701の製造のための焼成工程におけるビア電極510とセラミック基板部110との間での焼結収縮率の違い、および、パッケージ701の使用中におけるビア電極510とセラミック基板部110との熱膨張係数の違い、の少なくともいずれかに起因しての応力が角部CNへ集中する現象が避けられる。よって、応力集中に起因してのクラックの発生を防止することができる。
【0064】
さらに、上記のようにビア孔VH(図11)がセラミック基板部110中に突出する突出部VH3を有していることにより、パッケージ701の製造における焼成工程前のビア孔VHの形成工程(図19)として、セラミック枠部120および基板配線部200を貫通してセラミック基板部110中に突出するように、ビア孔VHを形成することが許容される。よって、セラミック枠部120に囲まれた領域であるキャビティCVの位置を基準として、ビア孔VHを形成することができる。よって、パッケージ701におけるビア孔VHの位置精度を高めることができる。
【0065】
具体的には、ビア孔VHが形成される際に、ステップST411(図12)にてキャビティCVの位置が認識され、ステップST412(図12)にて、そのように認識された位置を基準として、レーザー加工が施されることになる位置が定められる。これにより、キャビティCVとビア孔VHとの相対位置の精度を高めることができる。また、この相対位置の確保のために認識される構成が、比較的大きな寸法を有する構成であるキャビティCVであることによって、当該認識(典型的には画像認識)を容易に行うことができる。なお、ビア孔VHと基板配線部200との相対位置(図7参照)の精度は、基板グリーン体GS(図15)と枠状グリーンシートGF(図17)との積層工程において、キャビティCVの位置と基板配線部200の位置(またはそれに対応する位置)とが参照されることによってこれらの相対位置の精度が確保されることにより、通常は十分に確保される。ただし、ビア孔VHと基板配線部200との相対位置の精度が特に求められる場合は、キャビティCVの位置の認識(ステップST411)に加えて、基板配線部200の位置(またはそれに対応する位置)も認識された後、これら両方の位置を基準として、ビア孔VHのレーザー加工が行われてよい。
【0066】
さらに、上記のようにビア孔VH(図11)がセラミック基板部110中に突出する突出部VH3を有している場合、レーザー加工においてビア孔VHの底面を、基板配線部200を貫通することなく基板配線部200上で精度よく停止させる必要がない。これにより、レーザー加工の制御が、より容易となる。よって、レーザー加工の効率を高めることができる。
【0067】
ビア孔VHの突出部VH3はテーパー状であってよい。この場合、第1に、突出部VH3の近傍での応力を抑えることができる。第2に、ビア孔VHを形成する方法としてレーザー加工を適用することが容易である。
【0068】
ビア孔VHの突出部VH3は、セラミック基板部110に設けられた止まり穴であってよい。これにより、第1に、ビア孔VHの深さを抑制することができる。よって、ビア孔VHに起因してのセラミック基板部110の機械的強度の低下を抑制することができる。
【0069】
セラミック枠部120は、200μm以下の最小幅を有していてよい。このようにセラミック枠部120が微細な寸法を有する場合、第1に、特にクラックが発生しやすい。本実施の形態によれば、このようなクラックの発生を防止することができる。第2に、セラミック枠部120とビア孔VHとの相対的な位置精度を高める必要性が特に高い。本実施の形態によれば、当該必要性を充足することができる。
【0070】
ビア電極510は50μm以下の直径を有している。このようにビア電極510が微細であることによって、セラミック枠部120の幅が微細であることが許容される。このようにセラミック枠部120が微細な寸法を有する場合、第1に、特にクラックが発生しやすい。本実施の形態によれば、このようなクラックの発生を防止することができる。第2に、セラミック枠部120とビア孔VHとの相対的な位置精度を高める必要性が特に高い。本実施の形態によれば、当該必要性を充足することができる。
【0071】
パッケージ701は、セラミック枠部120上に、蓋体980が接合されることになるメタライズ層600をさらに備えていてよい。メタライズ層600はビア電極510によって基板配線部200に電気的に短絡されている。この場合、メタライズ層600の電位を、基板配線部200の電位に制御することができる。
【0072】
パッケージ701は、電子部品890としての水晶ブランク890が実装されることになる素子電極パッド211,212をさらに備えていてよい。水晶ブランク890が実装されるパッケージ701は、微細な設計寸法を有することが多い。その場合、第1に、特にクラックが発生しやすい。本実施の形態によれば、このようなクラックの発生を防止することができる。第2に、パッケージ701におけるビア孔VHの位置精度を高める必要性が特に高い。本実施の形態によれば、当該必要性を充足することができる。
【0073】
ビア孔VHの突出部VH3は、ビア電極510によって少なくとも部分的に充填されていてよい。これにより、ビア孔VHのうち突出部VH3よりも浅く位置する部分である配線貫通部VH2が、ビア電極510によって、より確実に充填される。よって、ビア電極510を基板配線部200へ、より確実に電気的に接続することができる。
【0074】
ビア電極510は、ビア孔VHの突出部VH3に接する底面SFBを有していてよく、ビア電極510の底面SFBは凸状の曲面であってよい。この場合、ビア電極510の底面SFBは、角張った部分を有しない。これにより、このような角張った部分への応力集中が避けられる。よって、当該応力集中に起因してのクラックの発生を避けることができる。
【0075】
<実施の形態2>
図31は、実施の形態2におけるパッケージ702の構成を、図11に対応した視野で概略的に示す部分断面図である。本実施の形態においては、ビア孔VHの突出部VH3は、突出部VH3が空隙GPを有するように、ビア電極510によって部分的に充填されている。空隙GPは、配線貫通部VH2には達していない。言い換えれば、ビア孔VHにおいて空隙GPは、基板配線部200よりも、図中、下方に位置している。ビア電極510の底面SFBは、空隙GPを介してセラミック基板部110から離れている。空隙GPは、電極グリーン体G510(図20参照)を形成するための電極ペーストをビア孔VH中へ不完全に充填することによって得られる。なお本実施の形態2の、これら特徴以外については、前述した実施の形態1とほぼ同様であるため、その説明を繰り返さない。
【0076】
本実施の形態によれば、ビア孔VHの突出部VH3は、突出部VH3が空隙GPを有するように、ビア電極510によって部分的に充填されている。この空隙GPによって、実施の形態1で説明された応力を、より緩和することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態1、2、およびその変形例について説明した。これら実施の形態および変形例は、互いに矛盾しない限り、互いに自由に組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0078】
110 :セラミック基板部
110i :絶縁膜
120 :セラミック枠部
200 :基板配線部
211,212:素子電極パッド
220 :中継電極
510 :ビア電極
600 :メタライズ層
701,702:パッケージ
890 :水晶ブランク(電子部品)
900 :水晶振動子
980 :蓋体
CN :角部
CV :キャビティ
GP :空隙
VH :ビア孔
VH1 :枠貫通部
VH2 :配線貫通部
VH3 :突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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