(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012334
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置および空吐出受け装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20230118BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230118BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
B41J2/17 207
B41J2/01 451
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115922
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 翔平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB06
2C056EB36
2C056EC02
2C056EC26
2C056EC54
2C056FA10
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】装置を傾けたときに、空吐出受けからの、液体こぼれを防止すること。
【解決手段】液体を吐出する装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、非印字領域に配置され、液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける液体受け部50と、液体受け部の上方に設けられた支持部60と、支持部60を支点として、液体受け部50を揺動可能に吊るす吊るし部材70と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
非印字領域に配置され、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける液体受け部と、
前記液体受け部の上方に設けられた支持部と、
前記支持部を支点として、前記液体受け部を揺動可能に吊るす吊るし部材と、を備える液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記支持部は、2か所以上設けられることを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記吊るし部材は、摺動部材を介して前記支持部と接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
印字領域に記録媒体を搬送する搬送装置をさらに備え、
前記液体受け部は、前記搬送装置の隣に、揺動スペースを設けて配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記液体受け部の姿勢を検知する検知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記液体受け部を固定するロック機構をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、手動で操作可能なロック部材を有することを特徴とする請求項6に記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記ロック機構は、電源投入されるときに、前記液体受け部を固定するように構成されることを特徴とする請求項6または7に記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記ロック機構は、前記液体受け部を固定する位置へ案内するガイド部を有することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体を吐出する装置に設ける空吐出受け装置であって、
非印字領域に配置され、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける液体受け部と、
前記液体を吐出する装置に設置される支持部と、
前記支持部を支点として、前記液体受け部を揺動可能に吊るす吊るし部材と、を備える空吐出受け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置および空吐出受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置などの液体を吐出する装置では、印刷中にヘッド内で増粘したインクを排出するために、記録に寄与しないインクを、ヘッドのノズルから、廃液収容容器(空吐出受け)に吐出する技術が既に知られている。
しかし、今までの空吐出受けは、装置の運搬時等に、装置が傾くと廃液がこぼれてしまい、装置内外を汚してしまうという問題があった。
この問題に関して、例えば、特許文献1には、空吐受けの内側壁面に流出防止部材を配置する構成が開示されているが、廃液量が満杯近くになったとき、流出防止部材がすべての廃液を吸収することは困難であり、すべての廃液を吸収できる量の吸収体を配置することは、大きなコストアップとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、装置を傾けたときに、空吐出受けからの、液体こぼれを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明の液体を吐出する装置は、
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
非印字領域に配置され、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける液体受け部と、
前記液体受け部の上方に設けられた支持部と、
前記支持部を支点として、前記液体受け部を揺動可能に吊るす吊るし部材と、を備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、装置を傾けたときに、空吐出受けからの、液体こぼれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】液体を吐出する装置の空吐出を説明する図である。
【
図2】比較例の液体を吐出する装置に設けた液体受け部の状態を説明する図である。
【
図3】本実施形態の液体を吐出する装置に設ける空吐出受け機構の構成例を説明する図であり、(A)は空吐出受け機構の斜視図であり、(B)はA方向から見た矢視図である。
【
図4】本実施形態の液体を吐出する装置に設けた液体受け部の状態例を説明する図である。
【
図5】揺動スペースの他の例を説明する図であり、
図4に示すB方向の矢視図である。
【
図6】空吐出受け機構の他の例を説明する図であり、(A)は空吐出受け機構の斜視図であり、(B)はC方向から見た矢視図である。
【
図7】空吐出受け機構のさらに他の例を説明する図である。
【
図8】空吐出受け機構の支持部に摺動部材を設けた例を説明する図である。
【
図9】液体受け部を固定する機能を説明する図である。
【
図10】電源投入時にロックレバーをロック状態に手動で移行させる動作例を説明するフローチャートである。
【
図11】電源投入時にロックレバーをロック状態に自動で移行させる動作例を説明するフローチャートである。
【
図12】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0008】
図1は、液体を吐出する装置の空吐出を説明する図であり、左側に印刷中の状態、右側に空吐出時の状態を表す模式図である。
図1は、液体を吐出する装置1が有する構成のうち、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッド10、液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ20、記録媒体を搬送する搬送装置30、ノズルの状態を維持し、回復させる維持回復機構40、および、空吐出受けとしての液体受け部50を示す。
液体受け部50は、印字範囲外となる非印字領域に配置され、液体吐出ヘッド10から吐出された液体を受ける。また、液体受け部50は、液体吐出ヘッド10からの吐出を受けるために、スリット51が開いている。
【0009】
印字中の状態では、液体を吐出する装置1は、搬送装置30上に記録媒体としての用紙が搬送されると、キャリッジ20が用紙上をキャリッジ走査範囲21で走査し、搭載した液体吐出ヘッド10から液体を吐出し、印字を行う。
液体を吐出する装置は、印字中、ノズル付近で増粘した液体をリフレッシュするために、設定されたタイミングでキャリッジ20が液体受け部50上に移動し、空吐出時の状態に移行し、空吐出を行う。
以降の説明では、キャリッジ20の移動方向を主走査方向、主走査方向と交わり、搬送装置30が記録媒体を搬送する方向を副走査方向とする。
【0010】
ここで、比較例の液体を吐出する装置が傾いたときの液体受け部の状態について説明する。
図2は、比較例の液体を吐出する装置に設けた液体受け部の状態を説明する図である。
比較例の液体を吐出する装置1pでは、液体受け部50pは、液体を吐出する装置内に固定されている。このため、装置運搬時等に液体を吐出する装置1pが傾くと、液体受け部50pも傾くため、廃液がこぼれる恐れがある。
【0011】
そこで、本実施形態の液体を吐出する装置1は、液体受け部50を上から吊るす構成にすることで、液体を吐出する装置が傾いたときにも、液体受け部50が液体を吐出する装置1とは独立に自重で水平を維持できる構成とする。以下、本実施形態の液体を吐出する装置1に設ける、吐出された液体を収容する空吐出受け機構(空吐出受け装置)について説明する。
【0012】
図3は、本実施形態の液体を吐出する装置に設ける空吐出受け機構の構成例を説明する図であり、(A)は空吐出受け機構の斜視図であり、(B)はA方向から見た矢視図である。
図4は、本実施形態の液体を吐出する装置に設けた液体受け部の状態例を説明する図である。
本実施形態の液体を吐出する装置1は、空吐出受け機構101として、上述した液体受け部50と、支持部60と、吊るし部材70とを少なくとも有する。
【0013】
支持部60は、液体受け部50の上方に設けられ、吊るし部材70を介して液体受け部50を支持する。
吊るし部材70は、支持部60を支点として、液体受け部50を揺動可能に吊るす。
【0014】
本実施形態の液体を吐出する装置1は、液体受け部50を支持部60にワイヤー(一例として金属製)などの吊るし部材70で吊るす構成とする。吊るし部材70は、例えば、支持部60に引っ掛け、液体受け部50が揺動することにより、支持部60に引っ掛かる吊るし部材70の位置が変わるようにする。このようにすると、液体を吐出する装置1が傾いたときも、液体受け部50は独立して自重で水平を保つため、廃液こぼれを防止することができる。これにより、液体を吐出する装置1の姿勢によらず、液体受け部50が一定の姿勢を維持することができる。また、アクチュエータなどを用いることなく低コストの構成とすることができる。
【0015】
また、
図4に示すように、液体受け部50の周辺に、液体受け部50が揺動する揺動スペースS1を設けるとよい。このようにすると、こぼれが防止できる装置の傾き角度を拡大することができる。
さらに、
図5に示すように、液体受け部50に対して、
図4に示した揺動スペースS1と交差する方向に揺動スペースS2を設けることで、主走査方向に直角方向の傾きに対しても、同様の効果を生じさせることができる。
図5は、揺動スペースの他の例を説明する図であり、
図4に示すB方向の矢視図である。
【0016】
次に、支持部60について説明する。
図6は、空吐出受け機構の他の例を説明する図であり、(A)は空吐出受け機構の斜視図であり、(B)はC方向から見た矢視図である。
図7は、空吐出受け機構のさらに他の例を説明する図である。
図8は、空吐出受け機構の支持部に摺動部材を設けた例を説明する図である。
【0017】
図3に示す空吐出受け機構101は、2つの支持部60を有する構成例であり、
図6に示す空吐出受け機構102は、1つの支持部60を有する構成例である。
図3(A)、
図6(A)に示す空吐出受け機構は、図中右側に搬送装置30が配置されているものとする。
【0018】
図3(B)に示すように、空吐出受け機構101は、支持部60を2か所とし、液体受け部50の、主走査方向と平行する2つの側面の上方に支持部60を配置した構成であり、キャリッジ20の通過スペースPSを確保することができる。
一方、
図6に示すように、空吐出受け機構102は、支持部60を1か所とし、支持部60を液体受け部50の重心位置の上方に配置した構成であり、キャリッジ20の通過スペースPSを確保することが困難となる。例えば、吊るし部材80の長さを調整することによりキャリッジ20の通過スペースPSを確保することになり、空吐出受け機構102の設置空間が大きくなる。
【0019】
支持部60は、2か所以上とすることが好ましい。このようにすると、キャリッジ20の通過スペースPSを確保することが容易になる。
また、
図7に示すように、空吐出受け機構103は、支持部60を3カ所以上としてもよい。
【0020】
さらに、
図8のように、空吐出受け機構104は、支持部60にコロ等の摺動部材61を利用したものを用いるとよい。このようにすると、摺動部材61を介して吊るし部材70と接続することにより、液体受け部50の揺動をよりスムーズにすることも可能である。
【0021】
上述した空吐出受け機構101~104において、液体受け部50は、満杯または所定の量を超えると交換することになる。
このため、吊るし部材70は、支持部60に、引っ掛ける、または、嵌め合わせるなどにより、着脱可能に取り付けられるとよい。
液体受け部50と吊るし部材70とが固定されていれば、ユーザは、液体受け部50を、支持部60から吊るし部材70を着脱することにより、容易に交換することができる。また、液体受け部50と吊るし部材70とが嵌め合わせ部材で着脱可能であれば、ユーザは、液体受け部50を交換し、吊るし部材70を再使用することが可能となり、コストを削減することができる。
【0022】
次に、印刷時に液体受け部50が揺動しないように固定する機能について説明する。
図9は、液体受け部を固定する機能を説明する図であり、本実施形態の液体を吐出する装置を上方から見た構成例を示す。
液体受け部50は、印刷中に行う空吐出で、スリット51から液体を受け入れるため、正しく位置決めされることが望まれる。このため、液体受け部50は、マシン移動中以外は
図9に示すようなロック機構により位置を固定することが好ましい。
【0023】
ロック機構は、例えば、ロック部材としてのロックレバー91と、検知センサ93とを少なくとも有する。
ロックレバー91は、液体受け部50を固定したロック状態と、ロックを解除した解除状態とを、ユーザの操作により選択できるように形成される。
図9では、ロックレバー91は、液体を吐出する装置1の外側に突き出しており、ユーザが操作することにより、ロック状態と解除状態とを選択できる。
また、ロック機構は、アクチュエータなどを使用してロックレバー91を自動で動作するようにしても良い。
図9に示す状態は、検知センサ93がロックレバー91をロックしているロック状態であり、解除状態では、検知センサ93の位置が
図9の上方に移動し、ロックレバー91のロックを解除する。
【0024】
ロックレバー91は、例えば、液体受け部50の、主走査方向と平行する側面の両側に設けられ、液体受け部50の両側を固定するように形成される。また、ロックレバー91は、ユーザの操作に基づいて、液体受け部50の両側で連動して動作する。また、ロックレバー91は、液体受け部50を固定する位置へ案内するガイド部95を有するとよい。ガイド部95は、先端がテーパ形状になっており、液体受け部50を正しい位置にガイドしつつ、固定する構成になっている。
【0025】
検知センサ93は、液体受け部50がロック状態か否かを検知する。液体を吐出する装置1は、例えば、検知センサ93がロックレバー91のロック状態を検知できない場合には、処理開始ができないように制御されるとよい。例えば、ロックレバー91が解除状態で、ユーザが印刷を開始しようとする場合には、液体を吐出する装置1は、操作パネルに、ロック状態へ移行する操作を促すメッセージを出力するなどの処理を実行するとよい。
【0026】
液体を吐出する装置1は、例えば、電源ONにされると、手動または自動でロックレバー91をロック状態に移行するように制御されるとよい。
図10は、電源投入時にロックレバーをロック状態に手動で移行させる動作例を説明するフローチャートである。
図11は、電源投入時にロックレバーをロック状態に自動で移行させる動作例を説明するフローチャートである。
液体を吐出する装置は、電源をONにされた後(S11)、液体受け部50のロック状態を確認する(S12)。ロックレバー91がロック状態の場合には(S12でYES)、待機状態へ移行する(S13)。一方、解除状態の場合には(S12でNO)、操作パネルに「空受けをロックしてください」などのメッセージを表示し、ユーザにロックレバー91の操作を促す(S14)。
また、
図11に示すように、自動でロック状態に移行させる場合には、ロックレバー91をロック状態に移行させる動作を実施する(S15)。
【0027】
ロックレバー91は、例えば、ユーザが液体を吐出する装置1を移動させるときに、ユーザの手動操作により解除状態に移行させるとよい。
または、ロックレバー91は、例えば、液体を吐出する装置1が電源OFFにされると、解除状態になるように構成されるとよい。一般に、液体を吐出する装置1を移動するときには電源をOFFにすることから、ロックレバー91をロック状態にしたまま移動することを回避することができる。
【0028】
さらに加え、液体を吐出する装置1は、液体受け部50の姿勢を検知する検知手段を有するとよい。このようにすると、印刷時の空吐出を正しい位置に行うことができる。検知手段は、液体受け部50の姿勢の異常を検知すると、例えば、操作パネルにメッセージを出力し、ユーザにロックレバー91がロック状態になっているかを確認することを促す。
【0029】
検知手段は、一例として、
図9の検知センサ93を用いることができる。検知センサ93は、例えば、ロックレバー91のロック状態を検知するとともに、液体受け部50の姿勢を検知するとよい。上述したロック機構は、検知センサ93の検知結果に基づいて、液体受け部50を正しい位置にガイドしつつ、固定することができる。
検知センサ93は、例えば、フォトインタラプタをロックレバー91が遮光するか否かで検知する手段を用いるとよい。
【0030】
液体を吐出する装置1は、例えば、装置全体を制御する制御部を備え、制御部が、例えば、操作パネルへのメッセージ出力や、
図10、11に示す処理などを制御する。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、CPUがROMに格納されているプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用しつつ液体を吐出する装置の各部を制御して各処理を実行するように構成するとよい。
【0031】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は同装置の要部平面説明図、
図12は同装置の要部側面説明図である。
【0032】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0033】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0034】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0035】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0036】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0037】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0038】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0039】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0040】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0041】
キャリッジ403の主走査方向の他方側には、空吐出受け機構が配置されている。
図12では液体受け部50を示し、空吐出受け機構の他の構成を省略している。
【0042】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0043】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0044】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0045】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0046】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0047】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0048】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0049】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0050】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0051】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0052】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0053】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0054】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0055】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0056】
1 液体を吐出する装置
10 液体吐出ヘッド
20 キャリッジ
30 搬送装置
40 維持回復機構
50 液体受け部
51 スリット
60 支持部
70 吊るし部材
91 ロックレバー
93 検知センサ
95 ガイド部
101~104 空吐出受け機構
S1、S2 揺動スペース
PS 通過スペース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】