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特開2023-124077現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124077
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20230830BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027651
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】星 翔太郎
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB07
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AD35
2H077CA12
2H077DB08
2H077DB25
2H077EA03
2H270MA13
2H270MC28
2H270MD12
2H270MD17
(57)【要約】
【課題】可撓性シート部材の表面に現像剤が滞留する不具合を生じにくくする。
【解決手段】感光体ドラム21(像担持体)に対向して現像領域を形成して、所定の回転方向(正方向)に回転しながら感光体ドラム21の表面に形成される潜像を現像領域で現像する現像ローラ26a(現像剤担持体)が設けられている。また、現像領域に対して前記回転方向(正方向)の上流側で現像ローラ26aに対して隙間をあけて対向するようにケース部材26sに保持されて、自由端側の先端26r1が感光体ドラム21に当接する可撓性シート部材26rが設けられている。そして、非現像工程時において所定のタイミングで、前記現像ローラ26aを前記回転方向(正方向)に対して逆方向に回転させて可撓性シート部材26rの表面に滞留した現像剤Gxを除去する「制御モード」が実行される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら前記像担持体の表面に形成される潜像を前記現像領域で現像する現像剤担持体と、
前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で前記現像剤担持体に対して隙間をあけて対向するようにケース部材に保持されて、自由端側の先端が前記像担持体に当接する可撓性シート部材と、
を備え、
非現像工程時において所定のタイミングで、前記現像剤担持体を前記回転方向に対して逆方向に回転させて前記可撓性シート部材の表面に滞留した現像剤を除去する制御モードが実行されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像領域に対して前記回転方向の下流側で前記現像剤担持体に対して隙間をあけて対向する現像ケースを備え、
前記制御モードは、少なくとも、前記現像ケースに接触する前記現像剤担持体上の現像剤が前記可撓性シート部材の位置に達するまで、前記現像剤担持体を前記逆方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、現像工程後に前記現像剤担持体の前記回転方向の回転が停止された直後のタイミングであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記制御モードは、前記現像剤担持体を前記逆方向に回転させた後に、前記現像剤担持体を前記回転方向に回転させることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記制御モードは、前記現像剤担持体の前記逆方向の回転が終了した直後に、前記現像剤担持体を前記回転方向に回転させることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記制御モードは、次の現像工程が開始される直前に、前記現像剤担持体を前記回転方向に回転させることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項7】
前記制御モードは、前記現像剤担持体の累積駆動時間と、前記像担持体の表面に形成される画像の累積画像面積と、に応じて実行頻度が調整されることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤担持体に担持された現像剤は、現像工程時には前記可撓性シート部材の表面に接触せず、前記制御モード時には前記可撓性シート部材の表面に接触することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1~請求項8のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを一体的に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1~請求項8のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感光体ドラムなどの像担持体に形成された潜像を現像する現像装置と、それを備えたプロセスカートリッジ、画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像装置において、トナー飛散を防止することを目的として、現像領域の上流側に可撓性シート部材(入口シール)を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における現像装置は、感光体ドラム(像担持体)に対向する現像ローラ(現像剤担持体)の下方(現像領域の上流側)を覆う入口シール支持部材(ケース部材)が設けられている。そして、その入口シール支持部材(ケース部材)には、自由端側の先端が感光体ドラムに当接するように入口シール(可撓性シート部材)が貼着されている。このように現像装置に設置された入口シールによって、現像領域の上流側でトナーが吹き出してしまう不具合が軽減されることになる。
【0004】
一方、特許文献1には、入口シール(可撓性シート部材)の表面に現像剤(トナー)が堆積する不具合を軽減することを目的として、入口シール支持部材(ケース部材)に電磁石を設置する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、可撓性シート部材(入口シール)の表面に現像剤が滞留してしまっていた。そして、可撓性シート部材に滞留した現像剤が、あるとき現像剤担持体に一気に移動してしまい、トナー落ち画像などの異常画像が発生してしまっていた。
これに対して、特許文献1の技術は、ケース部材(支持部材)に電磁石を設けて、可撓性シート部材(入口シール)への現像剤の付着を抑止するような磁界を形成しているため、上述した不具合を軽減する効果が期待できる。しかし、その場合、電磁石を設置するスペースやコストが余分にかかってしまっていた。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、可撓性シート部材の表面に現像剤が滞留する不具合が生じにくい、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における現像装置は、像担持体に対向して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら前記像担持体の表面に形成される潜像を前記現像領域で現像する現像剤担持体と、前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で前記現像剤担持体に対して隙間をあけて対向するようにケース部材に保持されて、自由端側の先端が前記像担持体に当接する可撓性シート部材と、を備え、非現像工程時において所定のタイミングで、前記現像剤担持体を前記回転方向に対して逆方向に回転させて前記可撓性シート部材の表面に滞留した現像剤を除去する制御モードが実行されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可撓性シート部材の表面に現像剤が滞留する不具合が生じにくい、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す断面図である。
図3】現像装置を長手方向に示す図である。
図4】現像工程時の現像ローラの動作を示す図である。
図5】清掃モード時の現像ローラの動作を示す図である。
図6】現像ローラの駆動制御の一例を示すタイミングチャートである。
図7】変形例1としての、現像ローラの駆動制御を示すタイミングチャートである。
図8】変形例2としての、清掃モード時の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するように現像装置26(図2参照)が設置されている。
【0012】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
また、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、80はクリーニング装置23(図2参照)や中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーが廃トナーとして回収される廃トナー回収容器、を示す。
【0013】
ここで、図2をも参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム21、帯電装置22、クリーニング装置23、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0014】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(図2参照)の表面に向けて照射される。
【0015】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、図1図2の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電装置22(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光の照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0016】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0017】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0018】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、クリーニング装置23との対向位置に達する。そして、クリーニング装置23で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置23で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
その後、感光体ドラム21の表面は、除電装置の位置で残留電位が除電されて、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0019】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置81の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置81に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
なお、中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
【0020】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0021】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセス(印刷)が完了する。
【0022】
次に、図2及び図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、画像形成装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0023】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電装置22と、クリーニング装置23と、がケースに一体的に収納されている。
感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電装置22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電装置22(帯電ローラ)に電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
クリーニング装置23には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25a及びクリーニングローラ25bが設置されている。クリーニングブレード25aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム21表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。クリーニングローラ25bは、芯金上にブラシ毛が周設されたブラシローラである。
【0024】
図2図3に示すように、現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26a、現像ローラ26aに対向する第1搬送スクリュ26b1(第1搬送部材)、仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1に対向する第2搬送スクリュ26b2(第2搬送部材)、現像ローラ26aに対向して現像ローラ26a上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード26c、等で構成される。
なお、本実施の形態における現像装置26には、現像領域に対して上流側の位置であって、ドクターブレード26cに対して下流側の位置に、現像ローラ26aに対向するように可撓性シート部材26rが設けられているが、これについては後で詳しく説明する。
【0025】
現像装置26内には、キャリアとトナーとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
なお、本実施の形態では、トナーの平均粒径が5.2μm程度に、キャリアの平均粒径が35μm程度に、トナー濃度が7wt%程度に、現像装置26内の現像剤量が250g程度に設定されている
【0026】
現像ローラ26aは、感光体ドラム21に対して微小なギャップWをあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ26aは、図3に示すように、内部に固設されてローラ外周面上に複数の磁極H1~H5(図4等参照)を形成するマグネット26a1と、マグネット26a1の周囲を回転するスリーブ26a2と、で構成される。
【0027】
詳しくは、図4を参照して、汲上げ磁極H5が磁性体としてのキャリアに作用して、第1搬送経路B1(図2参照)に収容された現像剤Gが現像ローラ23a上に汲上げられる。現像ローラ23a上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード26c(図2参照)の位置で掻き取られて、第1搬送経路B1に戻される。一方、汲上げ磁極H5による磁力が作用するドクターブレード26cの位置で、ドクターブレード26cと現像ローラ26aとのドクターギャップを通過して現像ローラ26a上に担持された現像剤Gは、主磁極H1の位置で穂立ちして現像領域において磁気ブラシとなって感光体ドラム21に摺接する。こうして、現像ローラ26aに担持された現像剤G中のトナーが感光体ドラム21上の潜像に付着する。その後、主磁極H1の位置を通過した現像剤Gは、複数の搬送磁極H2、H3によって、現像上ケース26k(現像ケース)との間を搬送された後に、剤離れ磁極H4の位置まで搬送される。そして、剤離れ磁極H4の位置で、反発磁界(現像ローラ26aから離れる方向に作用する磁界である。)がキャリアに作用して、現像ローラ26a上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ26aから脱離される。脱離後の現像剤Gは、第1搬送経路B1内に落下して第1搬送スクリュ26b1(図2図3参照)によって第1搬送経路B1の下流に向けて搬送される。
【0028】
図2図3を参照して、搬送部材としての搬送スクリュ26b1、26b2は、現像装置26の内部に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路(図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ26b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ26b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材26e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の長手方向両端部は互いに連通口26f、26gを介して連通している。具体的に、図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口26fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口26gを介して連通している。すなわち、仕切部材26eは、長手方向両端部を除く位置に配設されている。
【0029】
第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ26aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)は仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ26b1は、現像剤を長手方向に搬送しながら、現像ローラ26aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ26aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ26b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、補給口26dから補給されたフレッシュなトナーと、を長手方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、いずれも、回転軸にスクリュ部が巻装されたものであって、600rpm程度の回転数で回転駆動される。
【0030】
図2等を参照して、本実施の形態における現像装置26は、装置内と装置外とを連通させる開口部26k1にフィルタ26tが設置されている。
詳しくは、現像装置26の現像上ケース26k(現像ケース)の天井部には、内外に貫通する開口部26k1(通気路)が形成されている。そして、その開口部26k1を塞ぐようにフィルタ26tが設けられている。フィルタ26tは、トナーを捕集して通気するためのものである。
換言すると、現像装置26の内部から外部に向けて空気を送出するための開口部26k1が、現像上ケース26kに形成されている。そして、その開口部26k1を取付け部として、フィルタ26tが設置されている。このフィルタ26tは、トナーやキャリアの粒径よりも小さなメッシュからなり、空気のみが通過できるように形成されている。
【0031】
ここで、現像領域の下流側における現像ローラ26aと現像上ケース26kとのギャップW(ケーシングギャップ)は、0.6~1.0mmの範囲内になるように設定されている。
ケーシングギャップWが小さ過ぎてしまうと、現像ローラ26aに担持された現像工程後の現像剤が、現像ローラ26aと現像上ケース26kとのギャップWにスムーズに搬送されずに、そこから溢れて現像装置26の外部に漏出してしまいやすくなる。
これに対して、ケーシングギャップWが大き過ぎてしまうと、現像ローラ26aに担持された現像剤が現像ケース26kの内周面に摺接しにくくなって、ポンプ作用による現像装置26の内部に向けての吸込み気流が形成されにくくなり、現像装置26からのトナー飛散(現像領域の周囲へのトナー飛散である。)が生じやすくなってしまう。
ケーシングギャップWを適正な範囲に維持することで、現像剤の漏出やトナー飛散を軽減することができる。
さらに、上述したケーシングギャップWにおける吸込み気流によって、現像装置26の内圧は高まる傾向にあり、内圧が高まってしまうと現像装置26の隙間からトナー飛散が生じてしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、フィルタ26tが設置された開口部26k1が設けられているため、トナーを捕集して外部への飛散を防止しながら通気のみをおこなって、現像装置26の内圧の上昇を抑えている。すなわち、現像装置26の内圧の上昇によるトナー飛散を防止している。
なお、本実施の形態において、現像ローラ26aと現像上ケース26kとの隙間(ケーシングギャップW)に入り込むように、可撓性を有するシート部材を設置することもできる。
【0032】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに説明する。
現像ローラ26aは、所定の回転方向(図2の矢印方向(反時計方向)である。)に回転している。現像装置26内の現像剤は、図3に示すように、間に仕切部材26eを介在するように配設された第1搬送スクリュ26b1及び第2搬送スクリュ26b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路を経て補給口26dから補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(図3中の破線矢印方向の循環である。)。
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ26a上に形成された剤汲上げ極H5によって、キャリアとともに現像ローラ26a上に汲み上げられる。現像ローラ26a上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード26cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ26a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム21上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ26a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ26aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ26aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0033】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置26内のトナーの消費にともない、トナー補給経路(不図示)を経由して補給口26dから現像装置26内に適宜に補給されるものである。現像装置26内のトナーの消費は、現像装置26内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサ(不図示)によって検知される。
また、補給口26dは、第2搬送スクリュ26b2の長手方向(図3の左右方向である。)の一端であって、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0034】
以下、本実施の形態において特徴的な、現像装置26(画像形成装置1)の構成・動作について詳しく説明する。
先に図2図3等を用いて説明したように、現像装置26には、現像剤担持体としての現像ローラ26aや、現像ケースとしての現像上ケース26kが設けられている。
現像剤担持体としての現像ローラ26aは、像担持体としての感光体ドラム21に対向して現像領域を形成して、所定の回転方向(図2図4の反時計方向(矢印方向)であって、正方向である。)に回転しながら感光体ドラム21の表面に形成される潜像を現像領域で現像するためのものである。
現像ケースとしての現像上ケース26kは、現像領域に対して回転方向(図2図4の反時計方向である。)の下流側で現像ローラ26aに対して隙間(ケーシングギャップW)をあけて対向するケーシングである。
【0035】
ここで、図2を参照して、本実施の形態では、現像装置26のケーシング(筐体)として、上述した現像上ケース26kの他に、現像下ケース26jが設けられている。
現像下ケース26jは、現像装置26のベースとなるケーシングであって、現像ローラ26aや搬送スクリュ26b1、26b2を回転可能に保持するとともに、ドクターブレード26cを保持している。
これに対して、現像上ケース26k(現像ケース)は、現像ローラ26a(現像剤担持体)の上方を覆うように配置されている。また、現像上ケース26kは、現像ローラ26a、搬送スクリュ26b1、26b2、ドクターブレード26cを保持した状態の現像下ケース26jに対して、パッチン止めやネジ締結などによって着脱可能に構成されている。
【0036】
ここで、図2図4等を参照して、本実施の形態における現像装置26は、現像領域に対して回転方向上流側(現像工程時における現像ローラ26aの回転方向の上流側である。)で現像ローラ26a(現像剤担持体)の回転方向に対して隙間をあけて対向するように、可撓性シート部材26r(入口シール)が、ケース部材26s(保持部材)に保持されている。この可撓性シート部材26rは、自由端側の先端26r1(図4参照)が、感光体ドラム21(像担持体)に当接している(先端26r1を含む部分が腹当りするような状態も含む。)。
詳しくは、ケース部材26sは、現像領域(現像ローラ26aが感光体ドラム21に対向する位置である。)に対して図4の矢印で示す回転方向の上流側であって、ドクターブレード26cに対して回転方向の下流側で、現像ローラ26aに対向するように、ドクターブレード26cを介して現像下ケースに26jに保持されている。また、ケース部材26sは、その対向面(現像ローラ26aに対向する面である。)が、現像ローラ26aの曲率に沿うように(現像ローラ26aとのギャップが略一定になるように)形成されている。
そして、ケース部材26sの対向面に、可撓性シート部材26rが、両面テープなどを介して貼着されている。そして、この可撓性シート部材26rは、その先端26r1(ケース部材26sから突き出した自由端側の先端である。)が感光体ドラム21の表面に摺接することになる。
【0037】
なお、本実施の形態では、可撓性シート部材26rとして、厚さが0.1mm程度の略矩形のウレタンシートを用いている。
また、本実施の形態では、ケース部材26sがドクターブレード26cを介して現像下ケース26jに保持されるように構成したが、ケース部材26sの保持方法はこれに限定されることなく、例えば、ケース部材26sが現像下ケース26jに直接的に保持されるように構成したり、ケース部材26sを現像下ケース26j(現像ケース)の一部として構成したりすることもできる。
【0038】
ここで、図5(A)を参照して、本実施の形態における現像装置26(画像形成装置1)は、非現像工程時(印刷動作にともなう現像工程がおこなわれていないときである。)において所定のタイミングで、現像ローラ26a(現像剤担持体)を現像工程時の回転方向に対して逆方向(図5(A)の矢印方向(時計方向)である。)に回転させて、可撓性シート部材26rの表面に滞留した現像剤Gxを除去する「制御モード」が実行される。以下、この制御モードを、適宜に「清掃モード」と呼ぶ。
具体的に、本実施の形態では、現像装置26(現像ローラ26a、第1、第2搬送スクリュ26b1、26b2)を駆動する現像モータ(不図示)が設置されている。この現像モータは、正逆双方向回転型のモータであって、通常の現像工程時(印刷時)には正方向に稼働されて、清掃モード(制御モード)時には逆方向に稼働されることになる。
なお、本実施の形態では、感光体ドラム21などを回転駆動するモータとは別に現像モータ(不図示)を設けたが、感光体ドラム21などとともに現像装置26を1つのモータで回転駆動するように構成することもできる。
【0039】
そして、このように「清掃モード(制御モード)」を実行することにより、可撓性シート部材26rの表面(現像ローラ26aに対向する対向面である。)に現像剤Gxが滞留する不具合が生じにくくなり、トナー落ち画像などの異常画像の発生が軽減される。しかも、本実施の形態では、電磁石などをケース部材26sに設置する場合に比べて、スペースやコストを余分にかけることなく、可撓性シート部材26rの表面への現像剤Gxの滞留を軽減することができる。
【0040】
さらに詳しくは、可撓性シート部材26rの表面(対向面)は、現像ローラ26a(マグネット26a1)の磁極(特に、汲上げ磁極H5や主磁極H1である。)による影響が少ない。また、可撓性シート部材26rが隣接するドクターブレード26cの位置では、現像ローラ26a上の現像剤量が規制されている。そのため、可撓性シート部材26rの位置では、現像ローラ26a上の現像剤Gが穂立ちしておらず、図4に示すように、可撓性シート部材26rの表面に現像ローラ26a上の現像剤Gが接触することはほぼない。このようなことから、ひとたび可撓性シート部材26rの表面に現像剤Gxが付着すると、現像ローラ26aの正方向の回転によって、可撓性シート部材26r上の現像剤Gxが除去されることはほとんどない。
一方、現像ローラ26aを逆方向に回転させると、図5(A)に示すように、下流側(正転時の下流側である。)の磁極(主磁極H1や第1搬送磁極H2などである。)で穂立ちしていた現像剤Gが、ドクターブレード26cの位置まで逆搬送されて、ドクターギャップ(現像ローラ26aとドクターブレード26cとの隙間である。)の位置で塞き止められることになる。そして、その塞き止められた現像剤Gが、可撓性シート部材26r上の現像剤Gxに接触して、可撓性シート部材26r上の現像剤Gxが掻き取られるように除去(清掃)されて、現像ローラ26a上に回収(担持)されることになる。
【0041】
このようなメカニズムから、清掃モード(制御モード)における清掃性を向上させるため、可撓性シート部材26rの下流側(正転時の下流側である。)の磁極で穂立ちしていた現像剤Gが可撓性シート部材26r(ドクターブレード26c)の位置まで搬送されるように、現像ローラ26aを逆転させることが好ましいことになる。
そして、本実施の形態において、清掃モード(制御モード)は、少なくとも、現像上ケース26k(現像ケース)に接触する現像ローラ26a上の現像剤Gが可撓性シート部材26rの位置に達するまで、現像ローラ26aを逆方向に回転させている。
換言すると、清掃モード(制御モード)の実行時間(現像ローラ26aを逆転させる時間である。)は、現像上ケース26k(現像ケース)に接触する現像ローラ26a上の現像剤Gが可撓性シート部材26rの位置に達するまでの時間を超えるものに設定している。
具体的に、本実施の形態では、主磁極H1の位置で穂立ちしていた現像剤Gが可撓性シート部材26rの位置まで逆搬送されるように設定するのでは、充分な清掃性が得られないものとして、第1の搬送磁極H2の位置で穂立ちしていた現像剤Gが可撓性シート部材26rの位置まで逆搬送されるように設定している。
【0042】
また、先に説明したように、本実施の形態における現像装置26において、現像ローラ26a(現像剤担持体)に担持された現像剤Gは、通常の現像工程時(印刷時)には可撓性シート部材26rの表面(対向面)に接触せず、清掃モード(制御モード)時には可撓性シート部材26rの表面に接触することになる。
これにより、現像工程時における良好な現像性が担保されつつ、清掃モード時における清掃性が向上することになる。
【0043】
また、本実施の形態において、上述した「所定のタイミング(清掃モードを実行するタイミングである。)」を、図6に示すように、現像工程後(一連の印刷ジョブが終了した後である。)に現像ローラ26a(現像剤担持体)の正方向(回転方向)の回転が停止された直後のタイミングとしている。
これにより、現像工程(印刷)に影響を及ぼすことなく、現像工程後に可撓性シート部材26rの表面に付着したばかりの現像剤Gxを効率的に除去することができる。
なお、図6(及び、後述する図7)において図示した「現像工程(印刷)」の範囲は、実際の現像工程がおこなわれる前後にとられる余裕度分の時間(立上げ時間、立下げ時間)も含んでいる。
【0044】
ここで、図5(B)、図6を参照して、本実施の形態において、「清掃モード(制御モード)」は、現像ローラ26a(現像剤担持体)を逆方向(図5(A)の矢印方向である。)に回転させた後に、現像ローラ26aを正方向(現像工程時と同じ回転方向である。)に回転させるように設定されている。
すなわち、清掃モードが実行開始されると、まず図5(A)に示すように現像ローラ26aが逆方向(時計方向)に回転駆動されて、その後に図5(B)に示すように現像ローラ26aが正方向(反時計方向)に回転駆動されることになる。
このような制御をおこなうのは、現像ローラ26aの逆転がおこなわれた直後の状態で、現像工程(印刷)がおこなわれてしまうと、可撓性シート部材26rから除去されて現像ローラ26a上に回収された現像剤Gxによる画像への影響(異常画像)が生じる可能性があるためである。
本実施の形態では、現像ローラ26aの逆転後であって、次の現像工程(印刷)が開始される前に、現像ローラ26aを正転させて、現像ローラ26a上に回収された現像剤Gxを、正常に流動していた現像剤G(主として第1、第2搬送経路B1、B2内の現像剤G)に混ぜて分散させているため、上述したような異常画像の発生を低減することができる。
【0045】
特に、本実施の形態において、「清掃モード(制御モード)」は、図6に示すように、現像ローラ26a(現像剤担持体)の逆方向の回転が終了した直後に、現像ローラ26aを正方向(現像工程時と同じ回転方向である。)に回転させるように設定されている。
このようなタイミングで現像ローラ26aを正方向に回転させる場合には、現像ローラ26aの逆転が終了した直後に、現像ローラ26a上に回収された現像剤Gxの分散がおこなわれることになる。そのため、次の現像工程(印刷ジョブ)が開始されるまでの時間が長い場合などに有用となる。
【0046】
<変形例1>
図7に示すように、変形例1における現像装置26(画像形成装置1)でも、図6に示す現像ローラ26aの駆動制御と同様に、清掃モード(制御モード)において現像工程後に現像ローラ26aを逆方向に回転させた後に正方向に回転させている。
しかし、変形例1における「清掃モード(制御モード)」は、次の現像工程が開始される直前(次の印刷ジョブにおける1枚目の画像を形成するための現像工程が開始される直前であって、1枚目の画像に対応する潜像が現像領域に達する直前のタイミングである。)に、現像ローラ26aを正方向(現像工程時と同じ回転方向である。)に回転させるように設定されている。
すなわち、変形例1における清掃モードは、現像ローラ26aの逆転の終了直後に正転させるのではなくて、現像ローラ26aの逆転の終了後であって次の印刷ジョブが開始される前に現像ローラ26aを正転させている。
このようなタイミングで現像ローラ26aを正方向に回転させる場合には、現像ローラ26aの逆転が終了した直後に現像ローラ26aを正転させる時間がとられないことになる。そのため、次の現像工程(印刷ジョブ)が開始されるまでの時間が短くて、さらに次の印刷ジョブが開始されるまでにおこなわれる画像形成装置1のウォーミングアップ動作時に合わせて現像ローラ26aを正転させる時間を無駄なく確保できる場合などに有用となる。
【0047】
<変形例2>
変形例2における現像装置26(画像形成装置1)において、「清掃モード(制御モード)」は、現像ローラ26a(現像剤担持体)の累積駆動時間(「累積走行距離」と置き換えることもできる。)と、感光体ドラム21(像担持体)の表面に形成される画像の累積画像面積(単位面積当たりに画像が占める割合である。)と、に応じて実行頻度(実行時間や実行回数である。)が調整される。
このような制御をおこなうのは、現像ローラ26aの累積駆動時間が長くなるほど、可撓性シート部材26rの表面に滞留(付着)する現像剤量が増加するためである。また、累積画像面積(使用されるトナー量)が大きくなるほど、可撓性シート部材26rの表面に滞留(付着)する現像剤量が増加するためである。
そのため、変形例2では、制御部のカウンタで計測される現像ローラ26aの累積駆動時間と、書込み部4(図2参照)や制御部で把握される累積画像面積と、に基づいて、清掃モードの実行時間(主として逆転時の時間である。)を調整している。具体的に、累積駆動時間や累積画像面積が大きくなると、清掃モードの実行時間が長くなるように調整している。
これにより、累積駆動時間や累積画像面積に関わらず、可撓性シート部材26rの表面に現像剤Gが滞留する不具合を効率的に軽減することができる。
なお、上述した累積駆動時間と累積画像面積とは、清掃モードが実行されるたびに、それぞれリセットされることになる。
以下、図8を用いて、変形例2における清掃モード時の制御の一例について説明する。
まず、印刷が開始されると(ステップS1)、累積駆動時間と累積画像面積とに関する情報が制御部で取得される(ステップS2)。そして、その取得した情報に基づいて、清掃モードの実行時間が決定される(ステップS3)。
そして、印刷が終了した後に、ステップS3で決定した実行時間だけ清掃モードが実行されて(ステップS4)、本フローを終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置26は、感光体ドラム21(像担持体)に対向して現像領域を形成して、所定の回転方向(正方向)に回転しながら感光体ドラム21の表面に形成される潜像を現像領域で現像する現像ローラ26a(現像剤担持体)が設けられている。また、現像領域に対して前記回転方向(正方向)の上流側で現像ローラ26aに対して隙間をあけて対向するようにケース部材26sに保持されて、自由端側の先端26r1が感光体ドラム21に当接する可撓性シート部材26rが設けられている。そして、非現像工程時において所定のタイミングで、前記現像ローラ26aを前記回転方向(正方向)に対して逆方向に回転させて可撓性シート部材26rの表面に滞留した現像剤Gxを除去する「制御モード」が実行される。
これにより、可撓性シート部材26rの表面に現像剤Gが滞留する不具合を生じにくくすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0050】
また、本実施の形態では、2つの搬送スクリュ26b1、26b2(搬送部材)が水平方向に並設されていて、ドクターブレード26cが現像ローラ26aの下方に配置された現像装置26に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の構成はこれに限定されることなく、例えば、3つ以上の搬送部材が水平方向に並設された現像装置や、複数の搬送部材が上下方向に並設されている現像装置や、ドクターブレードが現像ローラの上方に配置された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(像担持体)、
26 現像装置、
26a 現像ローラ(現像剤担持体)、
26c ドクターブレード(現像剤規制部材)、
26j 現像下ケース、
26k 現像上ケース(現像ケース)、
26r 可撓性シート部材、
26r1 先端(自由端側の先端)、
26s ケース部材(保持部材)、
G 現像剤、 Gx 滞留した現像剤。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2015-69190号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8