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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124188
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G01N25/72 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027807
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(71)【出願人】
【識別番号】512087504
【氏名又は名称】株式会社イー・アイ・ソル
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】三井 詳一
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 任
(72)【発明者】
【氏名】荒木 淳志
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AA07
2G040AB08
2G040BA14
2G040BA26
2G040CA02
2G040DA06
2G040DA15
2G040HA01
2G040HA08
2G040HA18
2G040ZA08
(57)【要約】
【課題】 ヒートシール包装された製品の良否を確実に判別することができる検査装置を提供する。
【解決手段】 ヒートシール包装された製品を検査する検査装置であって、前記製品を撮影する赤外線カメラと、前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得部と、前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定部と、前記サーモグラフィー画像において前記中心位置から前記製品の外周に向けて延びる複数の線分を設定し、前記線分に基づいて複数の検査領域を決定する第2決定部と、前記検査領域内におけるピーク温度を検出する検出部と、前記ピーク温度が所定範囲内であるか否かを判別する第1判別部と、前記第1判別部において前記ピーク温度が前記所定範囲内であると判別された前記検査領域の数または割合が閾値以上であるか否かを判別する第2判別部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール包装された製品を検査する検査装置であって、
前記製品を撮影する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得部と、
前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定部と、
前記サーモグラフィー画像において前記中心位置から前記製品の外周に向けて延びる複数の線分を設定し、前記線分に基づいて複数の検査領域を決定する第2決定部と、
前記検査領域内におけるピーク温度を検出する検出部と、
前記ピーク温度が所定範囲内であるか否かを判別する第1判別部と、
前記第1判別部において前記ピーク温度が前記所定範囲内であると判別された前記検査領域の数または割合が閾値以上であるか否かを判別する第2判別部と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記検査領域は、前記線分上または前記線分の近傍を含む所定領域である請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査領域は、隣り合う前記線分の間の領域である請求項1記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査領域は、前記中心位置から第1距離離れた位置と前記第1距離より更に離れた第2距離との間の領域である請求項1~請求項3の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記第1決定部は、
前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定部と、
前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、を更に備え、
前記第1温度点及び前記第2温度点の中点を前記中心位置とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記第1決定部は、
前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定部と、
前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、
前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する第2直線を設定する第2設定部と、
前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出部と、を更に備え、
前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定する請求項1~請求項4の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記第1設定部は、平行な2本の前記第1直線を設定し、
前記第1検出部は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定部は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第1基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項5または請求項6記載の検査装置。
【請求項8】
前記第2設定部は、平行な2本の前記第2直線を設定し、
前記第2検出部は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定部は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第2基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項7記載の検査装置。
【請求項9】
前記第1設定部は、平行な2本の前記第1直線を設定し、
前記第1検出部は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定部は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記第1直線と直交する直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項5または請求項6記載の検査装置。
【請求項10】
前記第2設定部は、平行な2本の前記第2直線を設定し、
前記第2検出部は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定部は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記第1直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項9記載の検査装置。
【請求項11】
ヒートシール包装された製品を検査する検査装置であって、
前記製品を撮影する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得部と、
前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定部と、を備え、
前記第1決定部は、
前記サーモグラフィー画像内において平行な2本の第1直線を設定する第1設定部と、
各々の前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、
前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する直線であって平行な2本の第2直線を設定する第2設定部と、
各々の前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出部と、を備え、
前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定し、
一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第1基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させ、
一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第2基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる検査装置。
【請求項12】
ヒートシール包装された製品を検査する検査装置であって、
前記製品を撮影する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得部と、
前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定部と、を備え、
前記第1決定部は、
前記サーモグラフィー画像内において平行な2本の第1直線を設定する第1設定部と、
各々の前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、
前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する直線であって平行な2本の第2直線を設定する第2設定部と、
各々の前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出部と、を備え、
前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定し、
一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記第2直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させ、
一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記第1直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる検査装置。
【請求項13】
ヒートシール包装された製品を検査する検査方法であって、
前記製品を赤外線カメラで撮影する撮影工程と、
前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得工程と、
前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定工程と、
前記サーモグラフィー画像において前記中心位置から前記製品の外周に向けて延びる複数の線分を設定し、前記線分に基づいて複数の検査領域を決定する第2決定工程と、
前記検査領域内におけるピーク温度を検出する検出工程と、
前記ピーク温度が所定範囲内であるか否かを判別する第1判別工程と、
前記第1判別工程において前記ピーク温度が前記所定範囲内であると判別された前記検査領域の数または割合が閾値以上であるか否かを判別する第2判別工程と、
を含む検査方法。
【請求項14】
前記第2決定工程は、前記線分上または前記線分の近傍を含む所定領域を前記検査領域とする請求項13記載の検査方法。
【請求項15】
前記第2決定工程は、隣り合う前記線分の間の領域を前記検査領域とする請求項13記載の検査方法。
【請求項16】
前記第2決定工程は、前記中心位置から第1距離離れた位置と前記第1距離より更に離れた第2距離との間の領域を前記検査領域とする請求項13~請求項15の何れか一項に記載の検査方法。
【請求項17】
前記第1決定工程は、
前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定工程と、
前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出工程と、を更に含み、
前記第1温度点及び前記第2温度点の中点を前記中心位置とする請求項13~請求項16の何れか一項に記載の検査方法。
【請求項18】
前記第1決定工程は、
前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定工程と、
前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出工程と、
前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する第2直線を設定する第2設定工程と、
前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出工程と、を更に含み、
前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定する請求項13~請求項16の何れか一項に記載の検査方法。
【請求項19】
前記第1設定工程は、平行な2本の前記第1直線を設定し、
前記第1検出工程は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定工程は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第1基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項17または請求項18記載の検査方法。
【請求項20】
前記第2設定工程は、平行な2本の前記第2直線を設定し、
前記第2検出工程は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定工程は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第2基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項19記載の検査方法。
【請求項21】
前記第1設定工程は、平行な2本の前記第1直線を設定し、
前記第1検出工程は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定工程は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記第1直線と直交する直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項17または請求項18記載の検査方法。
【請求項22】
前記第2設定工程は、平行な2本の前記第2直線を設定し、
前記第2検出工程は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、
前記第1決定工程は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記第1直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させる請求項21記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシール包装された製品を検査するための検査装置及び検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等を容器に収容し、該容器の開口部に蓋をヒートシールすることにより包装された製品において、赤外線カメラにより撮影したサーモグラフィー画像を用いて製品のヒートシール部のシール不良について検査する検査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-307505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の検査装置においては、製品のヒートシール部の最低温度を検出し、検出された温度が所定温度範囲内にあるか否かによりヒートシール部のシール不良を判別する。しかしながら、温度検出領域をヒートシール部のみに設定することが難しく、温度検出領域がヒートシール部近傍を含む状態で設定されることがあり、ヒートシール部近傍の温度を検出することによりシール不良と判別される等の問題があった。また、製品のヒートシール部の最高温度を検出し、検出された温度が所定温度範囲内にあるか否かによりヒートシール部のシール不良を判別する場合、温度検出領域内のヒートシール部の最低温度を検出しないことから、ヒートシール部のシール不良を見落とすおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、ヒートシール包装された製品の良否を確実に判別することができる検査装置及び検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検査装置は、ヒートシール包装された製品を検査する検査装置であって、前記製品を撮影する赤外線カメラと、前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得部と、前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定部と、前記サーモグラフィー画像において前記中心位置から前記製品の外周に向けて延びる複数の線分を設定し、前記線分に基づいて複数の検査領域を決定する第2決定部と、前記検査領域内におけるピーク温度を検出する検出部と、前記ピーク温度が所定範囲内であるか否かを判別する第1判別部と、前記第1判別部において前記ピーク温度が前記所定範囲内であると判別された前記検査領域の数または割合が閾値以上であるか否かを判別する第2判別部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の検査装置は、前記検査領域が前記線分上または前記線分の近傍を含む所定領域であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の検査装置は、前記検査領域が隣り合う前記線分の間の領域であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の検査装置は、前記検査領域が前記中心位置から第1距離離れた位置と前記第1距離より更に離れた第2距離との間の領域であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の検査装置は、前記第1決定部が前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定部と、前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、を更に備え、前記第1温度点及び前記第2温度点の中点を前記中心位置とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の検査装置は、前記第1決定部が前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定部と、前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する第2直線を設定する第2設定部と、前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出部と、を更に備え、前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の検査装置は、前記第1設定部が平行な2本の前記第1直線を設定し、前記第1検出部は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定部は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第1基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の検査装置は、前記第2設定部が平行な2本の前記第2直線を設定し、前記第2検出部は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定部は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第2基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の検査装置は、前記第1設定部が平行な2本の前記第1直線を設定し、前記第1検出部は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定部は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記第1直線と直交する直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の検査装置は、前記第2設定部が平行な2本の前記第2直線を設定し、前記第2検出部は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定部は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記第1直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の検査装置は、ヒートシール包装された製品を検査する検査装置であって、前記製品を撮影する赤外線カメラと、前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得部と、前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定部と、を備え、前記第1決定部は、前記サーモグラフィー画像内において平行な2本の第1直線を設定する第1設定部と、各々の前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する直線であって平行な2本の第2直線を設定する第2設定部と、各々の前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出部と、を備え、前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定し、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第1基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させ、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第2基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の検査装置は、ヒートシール包装された製品を検査する検査装置であって、前記製品を撮影する赤外線カメラと、前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得部と、前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定部と、を備え、前記第1決定部は、前記サーモグラフィー画像内において平行な2本の第1直線を設定する第1設定部と、各々の前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出部と、前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する直線であって平行な2本の第2直線を設定する第2設定部と、各々の前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出部と、を備え、前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定し、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記第2直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させ、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記第1直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の検査方法は、ヒートシール包装された製品を検査する検査方法であって、前記製品を赤外線カメラで撮影する撮影工程と、前記赤外線カメラにより撮影された前記製品のサーモグラフィー画像を取得する取得工程と、前記サーモグラフィー画像において前記製品の中心位置を決定する第1決定工程と、前記サーモグラフィー画像において前記中心位置から前記製品の外周に向けて延びる複数の線分を設定し、前記線分に基づいて複数の検査領域を決定する第2決定工程と、前記検査領域内におけるピーク温度を検出する検出工程と、前記ピーク温度が所定範囲内であるか否かを判別する第1判別工程と、前記第1判別工程において前記ピーク温度が前記所定範囲内であると判別された前記検査領域の数または割合が閾値以上であるか否かを判別する第2判別工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の検査方法は、前記第2決定工程が前記線分上または前記線分の近傍を含む所定領域を前記検査領域とすることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の検査方法は、前記第2決定工程が隣り合う前記線分の間の領域を前記検査領域とすることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の検査方法は、前記第2決定工程が前記中心位置から第1距離離れた位置と前記第1距離より更に離れた第2距離との間の領域を前記検査領域とすることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の検査方法は、前記第1決定工程が前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定工程と、前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出工程と、を更に含み、前記第1温度点及び前記第2温度点の中点を前記中心位置とすることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の検査方法は、前記第1決定工程が前記サーモグラフィー画像内に第1直線を設定する第1設定工程と、前記第1直線上において最も温度が高い第1温度点、及び前記第1温度点から所定距離以上離れた前記第1直線上において最も温度が高い第2温度点を検出する第1検出工程と、前記サーモグラフィー画像内において前記第1直線と直交する第2直線を設定する第2設定工程と、前記第2直線上において最も温度が高い第3温度点、及び前記第3温度点から所定距離以上離れた前記第2直線上において最も温度が高い第4温度点を検出する第2検出工程と、を更に含み、前記第1温度点及び前記第2温度点の中点並びに前記第3温度点及び前記第4温度点の中点に基づいて前記中心位置を決定することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の検査方法は、前記第1設定工程が平行な2本の前記第1直線を設定し、前記第1検出工程は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定工程は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第1基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の検査方法は、前記第2設定工程が平行な2本の前記第2直線を設定し、前記第2検出工程は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定工程は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第2基準線分と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の検査方法は、前記第1設定工程が平行な2本の前記第1直線を設定し、前記第1検出工程は、各々の前記第1直線上における前記第1温度点及び前記第2温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定工程は、一方の前記第1温度点、並びに他方の前記第1温度点及び他方の前記第2温度点の何れか近い一方を結ぶ第1線分が前記第1直線と直交する直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の検査方法は、前記第2設定工程が平行な2本の前記第2直線を設定し、前記第2検出工程は、各々の前記第2直線上における前記第3温度点及び前記第4温度点をそれぞれ検出し、前記第1決定工程は、一方の前記第3温度点、並びに他方の前記第3温度点及び他方の前記第4温度点の何れか近い一方を結ぶ第2線分が前記第1直線と平行となるように、前記サーモグラフィー画像を回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ヒートシール包装された製品の良否を確実に判別することができる検査装置及び検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施の形態に係る検査装置のシステム構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態に係る検査装置を用いて製品を検査する検査方法について説明するためのフローチャートである。
図3】実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図4】実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図5】実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図6】実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図7】実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図8】実施の形態に係る製品の良否を判別するための判別方法について説明するためのフローチャートである。
図9】実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図10】他の実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図11】他の実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
図12】他の実施の形態に係る検査枠内のサーモグラフィー画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る検査装置について説明する。図1は、実施の形態に係る検査装置のシステム構成を示すブロック図である。この実施の形態に係る検査装置2は、ヒートシール包装された製品のシール不良の有無について検査するための装置であって、図1に示すように、検査装置2の各部を統括的に制御する制御部4を備えている。制御部4には、赤外線カメラ6及び記憶部8が接続されている。赤外線カメラ6は、検査装置2で検査される製品を撮影する。なお、この実施の形態においては、製品として、オーバル形状の開口部を有する容器に食品等が収容され、該開口部に蓋を二重加熱シールさせたものを例に挙げて説明する。赤外線カメラ6は、ベルトコンベア等により搬送されてきた製品26(図3図7図9参照)を上方から撮影する。記憶部8は、制御部4が実行するプログラム及びプログラムの実行に必要な値等を記憶する。
【0031】
制御部4は、図1に示すように、サーモグラフィー画像取得部10、線分・直線設定部12、温度検出部14、中心位置決定部16、検査領域決定部18、第1判別部20、及び第2判別部22を備えている。サーモグラフィー画像取得部10は、赤外線カメラ6により撮影された製品26のサーモグラフィー画像を取得する。
【0032】
線分・直線設定部12は、検査装置2による製品26の検査において必要な線分及び直線を検査枠28内のサーモグラフィー画像24a~24d(図3図7参照)に設定する。なお、図3図7においては、矩形形状の検査枠28に対して長手方向をX軸(横軸)、短手方向をY軸(縦軸)として検査枠28内のサーモグラフィー画像24a~24dに設定される線分及び直線の向きについて説明する。線分・直線設定部12は、中心位置決定部16が製品26の中心位置を決定する際、例えば図3に示す検査枠28のX軸に平行且つ検査枠28(サーモグラフィー画像24a)の中心Cを通過する第1直線LX、第1直線LXに直交、即ち検査枠28のY軸に平行且つ検査枠28(サーモグラフィー画像24a)の中心Cを通過する第2直線LYを、サーモグラフィー画像24a内に設定する。また、線分・直線設定部12は、中心位置決定部16が製品26の中心位置を決定する際、例えば図6に示す検査枠28のX軸に平行な2本の第1直線LX1,LX2、第1直線LX1,LX2に直交、即ち検査枠28のY軸に平行な2本の第2直線LY1,LY2、及び図6に示す線分L1,L2,L3,L4を、サーモグラフィー画像24c内に設定する。線分L1は温度検出部14により検出される第1温度点T11とT12とを結んだ線分、線分L2は温度検出部14により検出される第2温度点T21とT22とを結んだ線分、線分L3は温度検出部14により検出される第3温度点T31とT32とを結んだ線分、及び線分L4は温度検出部14により検出される第4温度点T41とT42とを結んだ線分である。
【0033】
温度検出部14は、検査装置2による製品26の検査において必要な製品26の温度を検出する。例えば、温度検出部14は、中心位置決定部16が製品26の中心位置を決定する際、図3及び図6等に示す第1直線LX,LX1,LX2上における製品26の温度を検出し、第1直線LX,LX1,LX2上において高い温度を示す第1温度点T1,T11,T12及び第2温度点T2,T21,T22を出力する。なお、第1温度点T1,T11,T12は、第1直線LX,LX1,LX2上において最も温度が高く、第2温度点T2,T21,T22は、第1温度点T1,T11,T12から所定距離以上離れた第1直線LX,LX1,LX2上において最も温度が高い。製品26は二重加熱シールされているため、第1直線LX上において最も温度が高い2点として近接する2点が出力されないように、製品26の中心位置を挟む2点が出力されるように、所定距離は予め設定されており、記憶部8に記憶されている。
【0034】
同様に、温度検出部14は、中心位置決定部16が製品26の中心位置を決定する際、図3及び図6等に示す第2直線LY,LY1,LY2上における製品26の温度を検出し、第2直線LY,LY1,LY2上において高い温度を示す第3温度点T3,T31,T32及び第4温度点T4,T41,T42を出力する。なお、第3温度点T3,T31,T32は、第2直線LY,LY1,LY2上において最も温度が高く、第4温度点T4,T41,T42は、第4温度点T4,T41,T42から所定距離以上離れた第2直線LY,LY1,LY2上において最も温度が高い。また、温度検出部14は、第1判別部20が各検査領域内における製品26のシール不良について判別する際、図9に示す線分LR1~LRn上における製品26のピーク温度TP1~TPnを検出する。
【0035】
中心位置決定部16は、サーモグラフィー画像24aにおいて、図3に示す中点CX及び中点CYに基づいて製品26の中心位置を決定する。中点CXは第1温度点T1及び第2温度点を結ぶ線分の中点、中点CYは第3温度点T3及び第4温度点T4を結ぶ線分の中点である。中心位置決定部16は、図3に示す中点CXのX座標が検査枠28(サーモグラフィー画像24a)の中心CのX座標と同一となるように、サーモグラフィー画像24aをX方向に移動させることにより検査枠28内の画像をサーモグラフィー画像24aから図4に示すサーモグラフィー画像24bに補正し、図4に示す中点CYのY座標が検査枠28(サーモグラフィー画像24b)の中心CのY座標と同一となるように、サーモグラフィー画像24bをY方向に移動させることにより検査枠28内の画像をサーモグラフィー画像24bから図5に示すサーモグラフィー画像24cに補正する。また、中心位置決定部16は、サーモグラフィー画像24cにおいて、製品26の回転方向(傾き)を補正する。即ち、中心位置決定部16は、図6に示す線分L1~L4のそれぞれが図7に示す基準線分LC1~LC4のそれぞれと平行となるように、即ち線分L1及びL2の傾きが基準線分LC1及びLC2の傾きと同一となるように、線分L3及びL4の傾きが基準線分LC3及びLC4の傾きと同一となるように、サーモグラフィー画像24cを回転させることにより検査枠28内の画像をサーモグラフィー画像24cから24dに補正する。なお、基準線分LC1~LC4(線分L1~L4)の少なくとも1つを用いてサーモグラフィー画像24cの傾きを補正してもよい。例えば、基準線分LC4及び線分L4のみを用い、線分L4が基準線分LC4と平行となるように、即ち線分L4の傾きが基準線分LC4の傾きと同一となるように、サーモグラフィー画像24cを回転させることにより検査枠28内の画像をサーモグラフィー画像24cから24dに補正してもよい。
【0036】
なお、基準線分LC1及びLC2は、サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第1基準線分として、補正の必要のない画像等に基づき予め設定されており、記憶部8に記憶されている。同様に、基準線分LC3及びLC4は、サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる第2基準線分として予め設定されており、記憶部8に記憶されている。
【0037】
検査領域決定部18は、中心位置決定部16により製品26の中心位置が決定された検査枠28内のサーモグラフィー画像24dにおいて、製品26の中心位置(サーモグラフィー画像24dの中心C)から外側に向けて放射状に延びる複数の線分LR1~LRn(図9参照)を設定する。なお、nは任意の自然数であって、適宜設定可能である。検査領域決定部18は、線分LR1~LRnを予め製品の種類毎及び/または赤外線カメラの種類毎に決定し、記憶する。また、検査領域決定部18は、予め複数の線分LR1,LR2~LRnに基づいて複数の検査領域を製品の種類毎及び/または赤外線カメラの種類毎に決定し、記憶する。この実施の形態に係る検査装置2においては、各検査領域は各線分LR1,LR2~LRn上、即ち第1検査領域が線分LR1上、第2検査領域が線分LR2上…第n検査領域が線分LRn上である。
【0038】
第1判別部20は、温度検出部16により検出されたピーク温度TP1~TPnが所定範囲内であるか否かを判別する。所定範囲は、製品26の蓋が確実にヒートシールされていると判断できる温度の範囲として予め設定されており、記憶部8に記憶されている。
【0039】
第2判別部22は、第1判別部20においてピーク温度TP1~TPnが所定範囲内であると判別された検査領域の割合が閾値以上であるか否かを判別する。この実施の形態においては、閾値は100%に予め設定されており、記憶部8に記憶されている。閾値は、100%より小さい割合に設定することもできる。第2判別部22は、すべてのピーク温度TP1~TPnが所定範囲内であるか否かを判別する。第2判別部22においてすべてのピーク温度TP1~TPnが所定範囲内であると判別された場合、製品26のヒートシール部に不良がない、即ち製品26は良品であると判断される。一方、第2判別部22においてピーク温度TP1~TPnのうち一つでも所定範囲内でないと判別された場合、製品26のヒートシール部に不良がある、即ち製品26は不良品であると判断される。
【0040】
次に、図面を参照して、この実施の形態に係る検査装置2を用いて、ヒートシール包装された製品26のシール不良の有無について検査する検査方法について説明する。図2は、検査装置2の制御部4が製品26のヒートシール部を検査するために実行する処理について説明するためのフローチャートである。
【0041】
まず、制御部4は、赤外線カメラ6に対して制御信号を出力し、ヒートシール包装を終えてベルトコンベア等により搬送されてきた製品26を、製品26のヒートシール部が確認できるように上方から赤外線カメラ6により撮影する(ステップS10)。次に、制御部4のサーモグラフィー画像取得部10は、ステップS10において赤外線カメラ6により撮影された製品26のサーモグラフィー画像を取得する(ステップS11)。
【0042】
次に、制御部4は、製品26の中心位置を補正する中心位置補正モードが有効であるか無効であるかを判別する(ステップS12)。ステップS12において中心位置補正モードが有効であると判別された場合(ステップS12,Yes)、制御部4は、ステップS13の処理に進む。一方、ステップS12において中心位置補正モードが無効であると判別された場合(ステップS12,No)、制御部4は、サーモグラフィー画像24の中心Cを製品26の中心位置とし、ステップS17の処理に進む。
【0043】
ステップS12において中心位置補正モードが有効であると判別された場合(ステップS12,Yes)、制御部4の中心位置決定部16は、サーモグラフィー画像24aにおいて、製品26の中心位置を決定する。具体的には、まず制御部4の線分・直線設定部12が図3に示す第1直線LX及び第2直線LYを検査枠28内のサーモグラフィー画像24aに対して設定する(ステップS13)。第1直線LXは、図3に示すように、X軸方向に平行な直線且つサーモグラフィー画像24aの中心Cを通過する直線である。第2直線LYは、図3に示すように、Y軸方向に平行な直線且つサーモグラフィー画像24aの中心Cを通過する直線である。
【0044】
次に、制御部4の温度検出部14は、図3に示す第1温度点T1、第2温度点T2、第3温度点T3及び第4温度点T4を検出する(ステップS14)。具体的には、温度検出部14は、図3に示すように、第1直線LX上において最も温度が高い第1温度点T1を検出し、第1温度点T1から所定距離以上離れた第1直線LX上において最も温度が高い第2温度点T2を検出する。同様に、温度検出部14は、図3に示すように、第2直線LY上において最も温度が高い第3温度点T3を検出し、第3温度点T3から所定距離以上離れた第2直線LY上において最も温度が高い第4温度点T4を検出する。
【0045】
次に、中心位置決定部16は、温度検出部14により検出された第1温度点T1及び第2温度点T2の中点CXを製品26のX軸方向における中心位置と定め、中心CとのX軸方向におけるずれを算出する。同様に、中心位置決定部16は、温度検出部14により検出された第3温度点T3及び第4温度点T4の中点CYを製品26のY軸方向における中心位置と定め、中心CとのY軸方向におけるずれを算出する。中心位置決定部16は、図4に示すように、中点CXのX座標が中心CのX座標と同一となるようにサーモグラフィー画像24aのX軸方向における位置を、算出されたX軸方向におけるずれの量(0の場合を含む)移動させることにより補正する(ステップS16)。検索枠28内のサーモグラフィー画像24aは、ステップS16においてX方向に移動され、サーモグラフィー画像24bに補正される。
【0046】
同様に、中心位置決定部16は、図5に示すように、中点CYのY座標が中心CのY座標と同一となるようにサーモグラフィー画像24bのY軸方向における位置を、算出されたY軸方向におけるずれの量(0の場合を含む)移動させることにより補正する(ステップS16)。検索枠28内のサーモグラフィー画像24bは、ステップS16においてY方向に移動され、サーモグラフィー画像24cに補正される。
【0047】
次に、制御部4は、製品26の傾きを補正する傾き補正モードが有効であるか無効であるかを判別する(ステップS17)。ステップS17において傾き補正モードが有効であると判別された場合(ステップS17,Yes)、制御部4は、ステップS18の処理に進む。一方、ステップS17において傾き補正モードが無効であると判別された場合(ステップS17,No)、制御部4は、ステップS22の処理に進む。
【0048】
ステップS17において傾き補正モードが有効であると判別された場合(ステップS17,Yes)、制御部4の線分・直線設定部12は、図6に示す第1直線LX1,LX2及び第2直線LY1,LY2を検査枠28内のサーモグラフィー画像24cに対して設定する(ステップS18)。第1直線LX1及びLX2は、図6に示すように、X軸方向に平行な直線であって、互いに異なるY座標を有する。第2直線LY1,LY2は、図6に示すように、Y軸方向に平行な直線であって、互いに異なるX座標を有する。
【0049】
次に、制御部4の温度検出部14は、図6に示す第1温度点T11,T12、第2温度点T21,T22、第3温度点T31,T32及び第4温度点T41,T42を検出する(ステップS19)。具体的には、温度検出部14は、図6に示すように、第1直線LX1上において最も温度が高い第1温度点T11を検出し、第1温度点T11から所定距離以上離れた第1直線LX1上において最も温度が高い第2温度点T21を検出する。同様に、温度検出部14は、図6に示すように、第1直線LX2上において最も温度が高い第1温度点T12を検出し、第1温度点T12から所定距離以上離れた第1直線LX2上において最も温度が高い第2温度点T22を検出する。
【0050】
また、温度検出部14は、図6に示すように、第2直線LY1上において最も温度が高い第3温度点T31を検出し、第3温度点T31から所定距離以上離れた第2直線LY1上において最も温度が高い第4温度点T41を検出する。同様に、温度検出部14は、図6に示すように、第2直線LY2上において最も温度が高い第3温度点T32を検出し、第3温度点T32から所定距離以上離れた第2直線LY2上において最も温度が高い第4温度点T42を検出する。
【0051】
次に、中心位置決定部16は、温度検出部14により検出された第1温度点T11及びT12を結んだ線分L1の傾きと、サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる基準線分LC1(図7参照)の傾きとを比較する。同様に、中心位置決定部16は、温度検出部14により検出された第2温度点T21及びT22を結んだ線分L2の傾きと、サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる基準線分LC2(図7参照)の傾きとを比較する。また、中心位置決定部16は、温度検出部14により検出された第3温度点T31及びT32を結んだ線分L3の傾きと、サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる基準線分LC3(図7参照)の傾きとを比較する。同様に、中心位置決定部16は、温度検出部14により検出された第4温度点T41及びT42を結んだ線分L4の傾きと、サーモグラフィー画像の回転方向における補正に用いられる基準線分LC4(図7参照)の傾きとを比較する。
【0052】
そして、中心位置決定部16は、図7に示すように、線分L1~L4のそれぞれが基準線分LC1~LC4のそれぞれと平行となるように、即ち線分L1~L4の傾きが基準線分LC1~LC4の傾きと同一となるように検査枠28内のサームグラフィー画像24cを、基準線分LC1~LC4の傾きとのずれの量(0の場合を含む)回転する(ステップS21)。検索枠28内のサーモグラフィー画像24cは、(ステップS21)において時計周りに回転され、サーモグラフィー画像24bに補正される。
【0053】
次に、制御部4は、製品26の良否を判別する(ステップS22)。図8は、製品26の良否を判別するための判別方法について説明するためのフローチャートである。最初に、制御部4は、予め検査領域決定部18において製品の種類毎及び/または赤外線カメラの種類毎に決定され記憶されている検査領域の中から、製品26及び赤外線カメラ6用の検査領域を読み込む(ステップS30)。即ち、制御部4は、検査枠28内のサーモグラフィー画像24dにおいて、図9に示すn本の線分LR1,LR2…LRnを設定する。n本の線分LR1,LR2…LRnは、図9に示すように、製品26の中心位置から外周に向けて放射状に延びる線分である。検査領域は、各線分LR1,LR2…LRn上である。
【0054】
次に、制御部4の温度検出部14は、検査領域内におけるピーク温度を検出する(ステップS31)。具体的には、温度検出部14は、図9に示すように、線分LR1上を検査領域とする第1検査領域において最も温度が高いピーク温度TP1を検出する。そして、制御部4の第1判別部20は、ステップS31において検出されたピーク温度TP1が所定範囲内か否かを判別する(ステップS32)。所定範囲は、予め設定されており、記憶部8に記憶されている。制御部4は、第1判別部20による判別結果を一時的に記憶部8に記憶させる。制御部4は、第1判別部20がすべての検査領域について判別していない場合、即ち第1判別部20が最後の検査領域(第n検査領域)について判別していない場合(ステップS33,No)、ステップS31の処理に戻り、ステップS31~S33の処理を繰り返す。即ち、次に線分LR2上を検査領域とする第2検査領域において最も温度が高いピーク温度TP2を検出し所定範囲内かを判別し、次に線分LR3上を検査領域とする第3検査領域において最も温度が高いピーク温度TP3を検出し所定範囲内かを判別し、次に線分LR4上を検査領域とする第4検査領域において最も温度が高いピーク温度TP4を検出し所定範囲内かを判別し、全検査領域において時計周りに順にピーク温度を検出し所定範囲内かを判別し、…最後に線分LRn上を検査領域とする第n検査領域において最も温度が高いピーク温度TPnを検出し所定範囲内かを判別する。
【0055】
そして、制御部4の第2判別部22は、第1判別部20がすべての検査領域について判別した後(ステップS33、Yes)、第1判別部20による判別結果の割合が閾値以上であるか否かを判別する(ステップS34)。具体的には、閾値を100%とした場合、第2判別部22は、第1判別部20によりピーク温度が所定範囲内であると判別された割合が100%、即ちすべてのピーク温度TP1~TPnが所定範囲内であるか否かを判別する。制御部4は、第2判別部22においてピーク温度が所定範囲内であると判別された割合が閾値以上であると判別された場合、製品26のヒートシール部に不良がないと判断する。一方、制御部4は、第2判別部22においてピーク温度が所定範囲内であると判別された割合が閾値以上でない、閾値より低いと判別された場合、製品26のヒートシール部に不良があると判断する。
【0056】
この実施の形態に係る検査装置2及び検査方法によれば、製品26の中心位置を決定し、中心位置から放射状の延びる複数の線分を設定し、各線分上におけるピーク温度を検出するラインプロファイルにより製品26のヒートシール部の良否について判別する。したがって、ヒートシール部の不良を見落とすことなく、ヒートシール包装された製品26の良否を確実に判別することができる。
【0057】
なお、この実施の形態においては、検査領域が線分LR1~LRn上である場合を例に挙げて説明したが、検査領域が線分LR1~LRnの近傍を含む所定領域、幅がある領域であってもよい。また、検査領域が隣り合う線分の間の領域、例えば図10に示すような線分LR1及びLR2の間の斜線で示す領域A1、線分LR3及びLR4の間のドットで示す領域A2…であってもよい。また、検査領域が製品26の中心位置から第1距離離れた位置と該第1距離より更に離れた第2距離との間の領域であってもよい。例えば図11(A)示すように、線分LRn上であって中心位置Cから第1距離D1離れた位置Pと第2距離D2との間の線分LRn´上を検査領域としてもよい。また、例えば図11(B)に示すように、線分LR(n-1)及びLRnの間の領域A(n-1)であって中心位置Cから第1距離D1離れた位置と第2距離D2との間の斜線で示す領域A(n-1)´を検査領域としてもよい。なお、図11(A)においては線分LRn´、図11(B)においては領域A(n-1)´のみを図示しているが、検査領域が製品26の中心位置から第1距離離れた位置と該第1距離より更に離れた第2距離との間であって線分LRn´及び領域A(n-1)´以外の領域も検査領域となることはいうまでもない。
【0058】
また、この実施の形態においては、ピーク温度TP1~TPnが所定範囲内であると判別された検査領域の割合が閾値以上であるか否かを判別する場合を例に挙げて説明したが、ピーク温度TP1~TPnが所定範囲内であると判別された検査領域の数が閾値以上であるか否かを判別してもよい。この場合の閾値は、検査領域の数n以下の数に予め設定されており、記憶部8に記憶されている。
【0059】
また、この実施の形態においては、線分L1が第1温度点T11とT12とを結ぶ線分であるが、例えば図12に示すように、第1温度点T11と第2温度点T22とを結ぶ線分が第1温度点T11とT12とを結ぶ線分より短い場合、第1温度点T11と第2温度点T22とを結ぶ線分を線分L1とする。同様に、第2温度点T21と第1温度点T12とを結ぶ線分が第2温度点T21とT22とを結ぶ線分より短い場合、第2温度点T21と第1温度点T12とを結ぶ線分を線分L2とし(図12参照)、第3温度点T31と第4温度点T42とを結ぶ線分が第3温度点T31とT32とを結ぶ線分より短い場合、第3温度点T31と第4温度点T42とを結ぶ線分を線分L3とし(図12参照)、第4温度点T41と第3温度点T32とを結ぶ線分が第4温度点T41とT42とを結ぶ線分より短い場合、第4温度点T41と第3温度点T32とを結ぶ線分を線分L4とする(図12参照)。
【0060】
また、この実施の形態においては、製品26の中心位置の補正及び回転による補正を行うこととしているが、赤外線カメラ6で製品26を撮影する際、撮影位置や製品26の回転方向が一定となるように供給することで、補正が不要であれば中心位置の補正および回転による補正のどちらかまたは両方を省略することができる。
【0061】
さらに、中心位置の補正および回転による補正をする場合、あらかじめ補正済みまたは補正の必要のない画像を用意しておき、その画像との差異を利用して中心位置や回転の補正量を算出し、補正を行うことができる。なお、このときの中心C(図3図5)は、検査枠28の中心ではなく、補正済または補正の必要のない画像により割り出された中心点である。
【0062】
また、この実施の形態においては、第1直線LX及び第2直線LYを設定し、X軸方向のずれ及びY軸方向のずれの双方を補正しているが、例えば装置や製品の特性上Y軸方向またはX軸方向のずれが生じない場合、第1直線LXのみまたは第2直線のみを設定し、X軸方向のずれのみまたはY軸方向のずれのみを補正してもよい。
【0063】
また、この実施の形態においては、線分L1~L4の傾きと基準線分LC1~LC4の傾きとの比較結果に基づいてサーモグラフィー画像24cを回転させているが、線分L1及び線分L2が第1直線LX1,LX2に直交する直線と平行となるようにサーモグラフィー画像24cを回転させてもよい。同様に、線分L3及びL4が第2直線LY1,LY2に直交する直線と平行となるようにサーモグラフィー画像24cを回転させてもよい。
【0064】
また、この実施の形態においては、4本の基準線分LC1~LC4及び4本の線分L1~L4を設定し、これら基準線分LC1~LC4及び線分L1~L4に基づいて傾きを補正しているが、少なくとも1本の基準線分及び線分、例えば基準線分LC4及び線分L4のみを設定し、基準線分LC4及び線分L4に基づいて傾きを補正してもよい。
【符号の説明】
【0065】
2…検査装置、4…制御部、6…赤外線カメラ、8…記憶部、10…サーモグラフィー画像取得部、12…線分・直線設定部、14…温度検出部、16…中心位置決定部、18…検査領域決定部、20…第1判別部、22…第2判別部。
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図12