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特開2023-12423洗浄ブラシ、基板加工装置、及び基板加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012423
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】洗浄ブラシ、基板加工装置、及び基板加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230118BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20230118BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20230118BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
B24B55/06
B24B7/04 A
B23Q11/00 N
H01L21/304 644G
H01L21/304 631
H01L21/304 622P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090150
(22)【出願日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2021115847
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】若松 孝彬
(72)【発明者】
【氏名】児玉 宗久
【テーマコード(参考)】
3C011
3C043
3C047
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
3C011BB12
3C011BB18
3C043BA03
3C043BA16
3C043CC04
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
3C043DD06
3C047FF04
3C047FF19
3C047HH15
5F057AA21
5F057CA13
5F057DA11
5F057DA39
5F057FA13
5F057FA36
5F157AA98
5F157AA99
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157BA03
5F157BA31
5F157CC11
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】洗浄ブラシによるパーティクルの除去効率を向上する、技術を提供する。
【解決手段】洗浄ブラシは、チャックの吸着面を洗浄する。前記洗浄ブラシは、前記チャックの回転中心線から径方向外側に直線状に延びるブラシ台と、前記ブラシ台から突出し、前記吸着面に接触する複数の接触部と、を備える。前記吸着面に直交する方向から見たときに、第1方向に間隔をおいて並ぶ複数の前記接触部からなる列が、前記第1方向に交わる第2方向に間隔をおいて複数設けられる。前記第2方向は前記ブラシ台の長手方向である。各前記列において、少なくとも2つの前記接触部の種類が異なる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックの吸着面を洗浄する洗浄ブラシであって、
前記チャックの回転中心線から径方向外側に直線状に延びるブラシ台と、前記ブラシ台から突出し、前記吸着面に接触する複数の接触部と、を備え、
前記吸着面に直交する方向から見たときに、第1方向に間隔をおいて並ぶ複数の前記接触部からなる列が、前記第1方向に交わる第2方向に間隔をおいて複数設けられ、前記第2方向は前記ブラシ台の長手方向であり、
各前記列において、少なくとも2つの前記接触部の種類が異なる、洗浄ブラシ。
【請求項2】
各前記列において、少なくとも2つの前記接触部は、異なる材質を有するか、又は異なる線径の毛を有する、請求項1に記載の洗浄ブラシ。
【請求項3】
各前記列において、前記チャックの回転方向上流側の前記接触部は、前記チャックの回転方向下流側の前記接触部よりも、硬い材質を有するか、又は大きい線径の毛を有する、請求項2に記載の洗浄ブラシ。
【請求項4】
前記第1方向は、前記第2方向に斜めに交わる方向であって、前記チャックの回転方向上流側から回転方向下流側に向かうほど前記チャックの径方向内側から径方向外側に傾斜する方向である、請求項1に記載の洗浄ブラシ。
【請求項5】
前記吸着面に直交する方向から見たときに、前記第1方向に垂直に交わる方向を第3方向とすると、
隣り合う2つの前記列の前記第3方向における間隔が、各前記列において隣り合う2つの前記接触部の前記第1方向における間隔よりも大きい、請求項4に記載の洗浄ブラシ。
【請求項6】
複数の前記列は、前記第2方向に等間隔で並ぶ、請求項4に記載の洗浄ブラシ。
【請求項7】
各前記列において、3つ以上の前記接触部が前記第1方向に等間隔で並ぶ、請求項4に記載の洗浄ブラシ。
【請求項8】
各前記列は、前記第1方向に並ぶ前記接触部をn(nは3以上の自然数)個含んでおり、
各前記列において、前記チャックの回転方向上流側から回転方向下流側に向けてm(mは1以上n以下の自然数)番目に位置する前記接触部を第m接触部とすると、
隣り合う2つの前記列において、一の前記列の第1接触部と、別の前記列の第(n-1)接触部とは、前記第2方向に重ならない、請求項4に記載の洗浄ブラシ。
【請求項9】
各前記列は、前記第1方向に並ぶ前記接触部をn(nは3以上の自然数)個含んでおり、
各前記列において、前記チャックの回転方向上流側から回転方向下流側に向けてm(mは1以上n以下の自然数)番目に位置する前記接触部を第m接触部とすると、
隣り合う2つの前記列は前記第2方向に重なっており、一の前記列の第1接触部と別の前記列の第n接触部とが前記第2方向に重なる、請求項4に記載の洗浄ブラシ。
【請求項10】
前記接触部は、複数本の毛を束ねた毛束、スポンジ、又はピンを含む、請求項1に記載の洗浄ブラシ。
【請求項11】
前記接触部は、ピンを含み、
前記ブラシ台は、前記ピンの前記ブラシ台から突出する部分の長さが変更自在となるように前記ピンを移動自在に保持する、請求項1に記載の洗浄ブラシ。
【請求項12】
前記ピンは、各前記列において、前記チャックの回転方向における最も上流側に配置される、請求項11に記載の洗浄ブラシ。
【請求項13】
前記ピンを前記ブラシ台の外部に突出する方向に付勢する弾性体を備える、請求項11に記載の洗浄ブラシ。
【請求項14】
前記接触部は、前記ブラシ台に固定される毛束を含み、
前記ピンは、前記ピンの先端が前記毛束の先端よりも突出する位置と、前記ピンの先端が前記毛束の先端と同じ高さになる位置との間で移動する、請求項11に記載の洗浄ブラシ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の洗浄ブラシと、
前記チャックと、
前記チャックの前記吸着面に洗浄液を供給するノズルと、
前記チャックの前記吸着面に吸着した基板を加工する工具を駆動する駆動部と、
を備える、基板加工装置。
【請求項16】
請求項15に記載の基板加工装置を用いて複数の前記基板を順番に加工することと、
一の前記基板を前記吸着面から取外した後、別の前記基板を前記吸着面に吸着する前に、前記吸着面を前記洗浄ブラシで洗浄することと、
を含む、基板加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄ブラシ、基板加工装置、及び基板加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の洗浄ブラシは、被加工物が載置される面を洗浄するために工作機械に備えられる。洗浄ブラシは、ブラシ台と、複数個のブラシ列とを備える。ブラシ台は、洗浄面に対し実質上垂直な軸線を中心に回転される。複数個のブラシ列は、ブラシ台の洗浄面との対向面に配設される。ブラシ列の各々は、軸線を中心に伸びる放射直線の途中を起点に放射直線に対して傾斜して伸びる傾斜線に沿って配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-59881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、洗浄ブラシによるパーティクルの除去効率を向上する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る洗浄ブラシは、チャックの吸着面を洗浄する。前記洗浄ブラシは、前記チャックの回転中心線から径方向外側に直線状に延びるブラシ台と、前記ブラシ台から突出し、前記吸着面に接触する複数の接触部と、を備える。前記吸着面に直交する方向から見たときに、第1方向に間隔をおいて並ぶ複数の前記接触部からなる列が、前記第1方向に交わる第2方向に間隔をおいて複数設けられる。前記第2方向は前記ブラシ台の長手方向である。各前記列において、少なくとも2つの前記接触部の種類が異なる。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、洗浄ブラシによるパーティクルの除去効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る基板加工装置を示す平面図である。
図2図2は、チャックと工具駆動部の一例を示す側面図である。
図3図3は、一実施形態に係る洗浄ブラシを示す平面図である。
図4図4は、図3の一部を拡大して示す平面図である。
図5図5は、図3の洗浄ブラシ付近での洗浄液の流れの一例を示す平面図である。
図6図6は、接触部の種類の一例を示す側面図である。
図7図7は、揺動部の一例を示す平面図である。
図8図8は、ブラシ台の揺動範囲の一例を示す平面図である。
図9図9は、図8の洗浄ブラシ付近での洗浄液の流れの一例を示す平面図である。
図10図10は、仮想円に配置される複数の接触部の一例を示す平面図である。
図11図11は、ブラシ台の揺動範囲の変形例を示す平面図である。
図12図12は、変形例に係る洗浄ブラシを示す断面図である。
図13図13は、図12のピンの移動の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とは互いに垂直な方向である。X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。U軸方向と、V軸方向と、Z軸方向とは互いに垂直な方向である。U軸方向及びV軸方向は水平方向であり、U軸方向はブラシ台51の長手方向であり、V軸方向はブラシ台51の幅方向である。
【0009】
図1を参照して、一実施形態に係る基板加工装置1について説明する。基板加工装置1は、本実施形態では基板Wを研削する研削装置であるが、研磨装置、切断装置、又はトリミング装置などであってもよい。基板加工装置1は、チャック20の吸着面に吸着されている基板Wを加工する装置であればよい。基板Wは、半導体基板、又はガラス基板を含む。半導体基板は、シリコンウェハ、又は化合物半導体ウェハである。
【0010】
基板加工装置1は、例えば、回転テーブル10と、4つのチャック20と、3つの駆動部30と、を備える。回転テーブル10は、4つのチャック20を回転中心線R1の周りに保持し、回転中心線R1を中心に回転することで、4つのチャック20を回転移動させる。上方から見て、回転テーブル10の回転方向は、時計回り方向と、反時計回り方向とに切り替えられてもよい。
【0011】
4つのチャック20は、回転テーブル10の回転中心線R1の周りに等間隔で配置される。各チャック20は、回転テーブル10と共に回転し、例えば第1搬入出位置A0と、第1研削位置A1と、第2研削位置A2と、第3研削位置A3と、第1搬入出位置A0とにこの順番で移動する。第1搬入出位置A0は、搬送装置2がチャック20に基板Wを渡す搬入位置と、搬送装置2がチャック20から基板Wを受け取る搬出位置とを兼ねる。なお、本実施形態では搬入位置と搬出位置とは同じ位置であるが、搬入位置と搬出位置とは異なる位置であってもよい。第1研削位置A1は、基板Wの1次研削が行われる位置である。第2研削位置A2は、基板Wの2次研削が行われる位置である。第3研削位置A3は、基板Wの3次研削が行われる位置である。
【0012】
なお、回転テーブル10の回転中心線R1の周りに、第1搬入出位置A0と、第1研削位置A1と、第2研削位置A2と、第3研削位置A3とがこの順番で反時計回りに配置されるが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第3研削位置A3の代わりに、第2搬入出位置が配置されてもよい。第2搬入出位置は、第1搬入出位置A0と同様に、搬送装置2がチャック20に基板Wを渡す搬入位置と、搬送装置2がチャック20から基板Wを受け取る搬出位置とを兼ねる。この場合、例えば、2枚の基板Wが、第1搬入出位置A0と第2搬入出位置に搬入され、続いて第1研削位置A1と第2研削位置A2で研削され、続いて第1搬入出位置A0と第2搬入出位置で搬出される。
【0013】
次に、図2を参照して、チャック20と駆動部30の一例について説明する。チャック20は、基板Wを吸着する吸着面21を有する。吸着面21は、基板Wを下方から吸着する。吸着面21は、図2では水平な平面であるが、チャック20の回転中心線R2を中心に対称な円錐面であってもよい。後者の場合、回転中心線R2はZ軸方向に対して傾斜しており、その傾斜角度で、研削後の基板Wの厚み分布を調節できる。
【0014】
チャック20は、その吸着面21に、例えば多孔質体22を有する。多孔質体22は、基台23の上面の凹部に埋め込まれる。多孔質体22の内部の気体が吸引され、多孔質体22の気圧が大気圧よりも低い負圧になると、基板Wが多孔質体22に吸着される。一方、気体の吸引が停止され、多孔質体22の気圧が大気圧に戻されると、基板Wの吸着が解除される。
【0015】
チャック20は、回転中心線R2を中心に回転自在に、回転テーブル10に取り付けられる。チャック20ごとに、チャック20を回転させるチャックモータ25が設けられる。チャックモータ25の回転駆動力は、タイミングベルト又はギヤ等の回転伝達機構を介してチャック20に伝達されてもよい。
【0016】
駆動部30は、研削工具Dを駆動する。駆動部30は、研削工具Dを回転させたり、昇降させたりする。研削工具Dは、チャック20に吸着されている基板Wを研削する。なお、基板Wを加工する工具は、研削工具Dには限定されず、例えば研磨工具、切断工具又はトリミング工具などであってもよい。
【0017】
駆動部30は、研削工具Dが装着される可動部31を含む。研削工具Dは、基板Wに押し当てられ、基板Wを研削する。研削工具Dは、例えば、円盤状の研削ホイールD1と、研削ホイールD1の下面にリング状に配列される複数の砥石D2と、を含む。なお、研削ホイールD1の下面全体に、砥石D2が固定されてもよい。
【0018】
可動部31は、研削工具Dが装着されるフランジ32と、フランジ32が下端に設けられるスピンドル軸33と、スピンドル軸33を回転させるスピンドルモータ34と、を有する。フランジ32は水平に配置され、その下面に研削工具Dが装着される。スピンドル軸33は鉛直に配置される。スピンドルモータ34は、スピンドル軸33を回転し、フランジ32に装着された研削工具Dを回転させる。研削工具Dの回転中心線R3は、スピンドル軸33の回転中心線である。
【0019】
駆動部30は、更に、可動部31を昇降させる昇降部35を有する。昇降部35は、例えば、鉛直なZ軸ガイド36と、Z軸ガイド36に沿って移動するZ軸スライダ37と、Z軸スライダ37を移動させるZ軸モータ38と、を有する。Z軸スライダ37には可動部31が固定され、Z軸スライダ37と共に可動部31及び研削工具Dが昇降する。昇降部35は、研削工具Dの位置を検出する位置検出器39を更に有する。位置検出器39は、例えばZ軸モータ38の回転を検出し、研削工具Dの位置を検出する。
【0020】
昇降部35は、研削工具Dを待機位置から下降させる。研削工具Dは、下降しながら回転し、回転する基板Wの上面と接触し、基板Wの上面全体を研削する。基板Wの厚みが設定値に達すると、昇降部35は研削工具Dの下降を停止する。その後、昇降部35は、研削工具Dを待機位置まで上昇させる。
【0021】
基板加工装置1は、複数の基板Wを順番に加工する。チャック20の吸着面21と基板Wとの間にパーティクルが噛み込むと、基板Wが局所的に変形される。その状態で、基板Wが研削されると、基板Wの表面にディンプルと呼ばれる局所的な凹欠陥が形成されてしまう。ディンプルの原因になるパーティクルは、例えば、基板Wから転写される転写物、基板Wの加工によって生じる加工屑、又は多孔質体22の破損によって生じる破片などである。
【0022】
そこで、基板加工装置1は、図1に示すように、洗浄ブラシ50を備える。洗浄ブラシ50は、回転しているチャック20の吸着面21を洗浄し、吸着面21に付着したパーティクルを除去する。洗浄ブラシ50は、一の基板Wを吸着面21から取外した後、別の基板Wを吸着面21に吸着する前に、吸着面21を洗浄する。洗浄ブラシ50は、例えば、第1搬入出位置A0に設けられる。第3研削位置A3の代わりに、第2搬入出位置が配置される場合、洗浄ブラシ50は、第1搬入出位置A0と第2搬入出位置の両方に設けられてもよい。
【0023】
また、基板加工装置1は、チャック20の吸着面21に洗浄液を供給するノズル80を備える。ノズル80は、例えば、第1搬入出位置A0に設けられる。第3研削位置A3の代わりに、第2搬入出位置が配置される場合、ノズル80は、第1搬入出位置A0と第2搬入出位置の両方に設けられてもよい。ノズル80は、例えば、回転しているチャック20の吸着面21に洗浄液を供給する。洗浄液は、吸着面21の回転中心線R2又はその近傍に供給され、遠心力によって吸着面21の径方向全体に広がる。洗浄液としては、例えばDIW(脱イオン水)が用いられる。ノズル80は、洗浄液と気体とを混合して吐出する二流体ノズルであってもよい。
【0024】
基板加工装置1は、制御部90を備える。制御部90は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリ等の記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、基板加工装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、基板加工装置1の動作を制御する。
【0025】
次に、図3図5を参照して、一実施形態に係る洗浄ブラシ50について説明する。なお、図3では、接触部52の配列を示すべく、ブラシ台51の輪郭のみ示す。洗浄ブラシ50は、ブラシ台51と、複数の接触部52とを備える。ブラシ台51は、チャック20の回転中心線R2から径方向外側に直線状に延びる。ブラシ台51は、例えば、チャック20の吸着面の半径と同程度の長さを有し、チャック20の吸着面21の周縁の上方まで延びている。ブラシ台51は、チャック20の洗浄中に、固定されてもよいし、後述するように揺動させられてもよい。
【0026】
各接触部52は、ブラシ台51の下面から突出し、吸着面21に接触する。各接触部52は、吸着面21に付着したパーティクルを掻き出すか、又は剥離させる。各接触部52は、例えば、複数本の毛を束ねた毛束である。毛束は、ブラシ台51の下面に設けた穴に植毛される。
【0027】
各接触部52は、本実施形態では毛束であるが、スポンジ又はピンであってもよい。各接触部52は、チャック20の吸着面21を荒らすことなく、吸着面21に付着したパーティクルを除去できるものであればよい。各接触部52は、チャック20の吸着面21を荒らさないように、好ましくは樹脂で形成される。
【0028】
図3に示すように、吸着面21に直交する方向(Z軸方向)から見たときに、第1方向に間隔をおいて並ぶ複数の接触部52からなる列53が、第1方向に交わる第2方向に間隔をおいて複数設けられる。第2方向は、ブラシ台51の長手方向(U軸方向)である。ブラシ台51の長手方向は、図3ではチャック20の径方向に一致している。第2方向に間隔をおいて複数設けられる列53の数は、特に限定されない。
【0029】
第1方向は、列53の延在方向である。第1方向は、例えば第2方向に斜めに交わる方向である。例えば、第1方向は、チャック20の回転方向上流側から回転方向下流側に向かうほど、チャック20の径方向内側から径方向外側に傾斜する方向である。つまり、第1方向は、チャック20の回転方向上流側から回転方向下流側に向かうほど、チャック20の回転中心線R2に対して径方向外側に傾斜する方向である。なお、第1方向は、逆向きに傾斜する方向であってもよいし、第2方向に垂直に交わる方向であってもよい。
【0030】
Z軸方向から見たときに、第2方向(U軸方向)に間隔をおいて並ぶ複数の接触部52からなる行54が、第2方向に垂直に交わる第4方向に複数設けられる。第4方向は、ブラシ台51の幅方向(V軸方向)である。行54の数は、3つには限定されず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0031】
図5に示すように、洗浄液Lは、洗浄ブラシ50よりも、チャック20の回転方向上流側に供給される。洗浄液Lは、チャック20と共に回転し、洗浄ブラシ50に至る。洗浄ブラシ50は、隣り合う2つの列53の間に、洗浄液Lを排出する排出路55を備える。
【0032】
排出路55は、第1方向に延びている。第1方向がチャック20の回転方向上流側から回転方向下流側に向かうほどチャック20の径方向内側から径方向外側に傾斜する方向であれば、洗浄ブラシ50から排出したパーティクルを含んだ洗浄液がチャック20の径方向内側から径方向外側に流れ、短時間で吸着面21の外に排出される。従って、洗浄ブラシ50から排出したパーティクルを含んだ洗浄液が吸着面21の上に滞留する時間を短縮できる。また、洗浄ブラシ50から排出したパーティクルを含んだ洗浄液が吸着面21の上に滞留する領域を狭くできる。
【0033】
各列53は、第1方向に並ぶ接触部52をn個含む。nは、2以上の自然数であり、好ましくは3以上の自然数である。nは、好ましくは7以下の自然数である。各列53において、チャック20の回転方向上流側から回転方向下流側に向けてm(mは1以上n以下の自然数)番目に位置する接触部52を、第m接触部52-mと称する。
【0034】
図4に示すように、Z軸方向から見たときに、第1方向に垂直に交わる方向を第3方向とすると、隣り合う2つの列53の第3方向における間隔G1が、各列53において隣り合う2つの接触部(例えば第1接触部52-1と第2接触部52-2)の第1方向における間隔G2よりも大きい。間隔G1は、排出路55の幅である。間隔G1が間隔G2よりも大きければ、排出路55の幅が広く、洗浄液Lが排出路55を通過しやすい。
【0035】
各列53において、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3が第1方向に等間隔で並んでいる。洗浄液Lの排出ムラを低減できる。なお、各列53において、第1接触部52-1と第2接触部52-2の第1方向における間隔と、第2接触部52-2と第3接触部52-3の第1方向における間隔とが異なっていてもよい。隣り合う2つの列53の第3方向における間隔G1は、各列53において隣り合う2つの接触部52の第1方向における間隔G2の最大値よりも大きければよい。
【0036】
複数の列53は、U軸方向に等間隔で並んでいる。洗浄液Lの排出ムラを低減できる。なお、複数の列53は、U軸方向に不等間隔で並んでいてもよい。この場合、隣り合う2つの列53の第3方向における間隔G1、つまり、排出路55の幅は、列53の組み合わせに応じて変化する。排出路55の幅は、その排出路55を挟む2つの列53の各々において隣り合う2つの接触部の第1方向における間隔G2の最大値よりも大きければよい。
【0037】
V軸方向から見たときに、隣り合う2つの列53において、一の列53の第1接触部52-1と、別の列53の第2接触部52-2とは、最も接近した組み合わせでも、U軸方向に重ならず、U軸方向に離れている。U軸方向に重なる場合に比べて、隣り合う2つの列53の間隔G1を大きくでき、排出路55の幅を広くできる。よって、洗浄液Lが排出路55を通過しやすい。なお、本実施形態の第2接触部は、特許請求の範囲に記載の第(n-1)接触部に相当する。
【0038】
V軸方向から見たときに、隣り合う2つの列53はU軸方向に重なっており、一の列53の第1接触部52-1と別の列の第3接触部52-3とがU軸方向に重なる。隣り合う2つの列53は、U軸方向に隙間を有しない。V軸方向から見たときに、U軸方向に連続的に複数の接触部52が存在し、複数の接触部52の間に隙間が存在しない。それゆえ、洗い残しを抑制できる。なお、本実施形態の第3接触部は、特許請求の範囲に記載の第n接触部に相当する。
【0039】
Z軸方向から見たときに、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3は、同一寸法及び同一形状の外形を有する。例えば、Z軸方向から見たときに、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3は、同一直径の円形状の外形を有する。なお、図示しないが、Z軸方向から見たときに、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3は、異なる寸法又は異なる形状の外形を有してもよい。
【0040】
次に、図6を参照して、接触部52の種類の一例について説明する。なお、図6では、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3の境界を明確にすべく、これらの間に隙間を図示したが、隙間は無くてもよい。U軸方向から見たときに、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3は重なっており、隙間が無くてもよい。
【0041】
各列53において、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3とは、種類が異なる。チャック20の吸着面21には、上記の通り、様々な大きさ又は材質のパーティクルが付着する。また、チャック20の吸着面21は凸部と凹部(吸着穴)を多数有し、凸部と凹部とではパーティクルの付着力が異なる。複数の種類の接触部52を用いることで、様々な大きさ、材質、付着力のパーティクルを効率良く除去できる。
【0042】
なお、各列53において少なくとも2つの接触部52の種類が異なれば、複数種類のパーティクルを効率良く除去できる。例えば、第1接触部52-1と第2接触部52-2の種類が異なる場合、第2接触部52-2と第3接触部52-3の種類は同じでもよい。また、第2接触部52-2と第3接触部52-3の種類が異なる場合、第1接触部52-1と第2接触部52-2の種類は同じでもよい。
【0043】
各列53において、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3とは、例えば、異なる線径の毛を有する。毛の線径が小さいほど、毛の柔軟性が高く、吸着面21の凹部に入り込んだ微粒のパーティクルが掻き出されやすい。また、毛の線径が大きいほど、毛の剛性が高く、吸着面21に固着したパーティクルが剥離されやすい。毛の線径が異なる場合、毛の材質は同じでもよい。
【0044】
なお、毛の材質が異なってもよい。第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3とは、異なる材質の毛を有してもよい。毛の硬さが低いほど、毛の柔軟性が高く、吸着面21の凹部に入り込んだ微粒のパーティクルが掻き出されやすい。また、毛の硬さが高いほど、毛の剛性が高く、吸着面21に固着したパーティクルが剥離されやすい。毛の硬さは、毛の材質で決まる。毛の材質が樹脂である場合、樹脂の硬さは例えばショア硬度で表す。毛の材質が異なる場合、毛の線径は同じでもよい。なお、毛の材質が異なり、且つ毛の線径が異なってもよい。
【0045】
各列53において、チャック20の回転方向上流側の接触部52は、回転方向下流側の接触部52よりも、大きな線径の毛を有する。例えば、第1接触部52-1は、第2接触部52-2よりも大きな線径の毛を有する。また、第2接触部52-2は、第3接触部52-3よりも大きな線径の毛を有する。チャック20の回転方向上流側から回転方向下流側に向かうほど、接触部52の毛の線径が小さくなる。剛性の高い毛で固着したパーティクルを剥離させた後で、凹部に入り込んだ微粒のパーティクルを掻き出すことができ、パーティクルの除去効率を向上できる。
【0046】
なお、上記の通り、毛の材質が異なってもよい。チャック20の回転方向上流側の接触部52は、回転方向下流側の接触部52よりも、硬い材質の毛を有する。例えば、第1接触部52-1は、第2接触部52-2よりも硬い材質の毛を有する。また、第2接触部52-2は、第3接触部52-3よりも硬い材質の径を有する。チャック20の回転方向上流側から回転方向下流側に向かうほど、接触部52の毛の硬さが低くなる。剛性の高い毛で固着したパーティクルを剥離させた後で、凹部に入り込んだ微粒のパーティクルを掻き出すことができ、パーティクルの除去効率を向上できる。
【0047】
なお、上記の通り、各接触部52は、複数本の毛を束ねた毛束には限定されず、スポンジ又はピンであってもよい。各接触部52がスポンジ又はピンである場合、スポンジ又はピンの直径が異なるか、スポンジ又はピンの材質が異なれば、複数種類のパーティクルを効率良く除去できる。
【0048】
なお、各行54において、全ての接触部52の種類は同じであるが、少なくとも2つの接触部52の種類が異なってもよい。例えば、全ての第1接触部52-1は同じ種類であるが、少なくとも2つの第1接触部52-1は異なる種類であってもよい。但し、一の列53と他の列53とで、接触部52の種類、及び各種類の数は同じであることが好ましい。
【0049】
次に、図7を参照して、揺動部60の一例について説明する。洗浄ブラシ50は、ブラシ台51を揺動させる揺動部60を備える。揺動部60は、例えば、チャック20の吸着面21に対して垂直な旋回中心線R4を中心に、ブラシ台51を旋回させる。ブラシ台51の旋回中心線R4は、例えば、チャック20の吸着面21の外に設けられる。
【0050】
揺動部60は、例えば、第1駆動源61と、旋回軸62と、連結バー63と、を備える。第1駆動源61は、旋回軸62を回転させる。第1駆動源61は、例えば電動モータである。第1駆動源61として空気圧アクチュエータを用いてもよいが、電動モータを用いれば、旋回速度および旋回範囲を精度良く制御できる。旋回軸62は、鉛直に設けられる。連結バー63は、旋回軸62の下端から旋回軸62の径方向外方に直線状に延びる。連結バー63の先端に、ブラシ台51が昇降自在に連結される。
【0051】
ブラシ台51は、連結バー63の下方に設けられる。ブラシ台51は、例えばバネ64の弾性復元力で、チャック20の吸着面21に押し付けられる。バネ64は、ブラシ台51と連結バー63の間に設けられる。バネ64の種類は特に限定されない。バネ64は、コイルバネ、板バネ、皿バネ、竹の子バネ、又は輪バネなどである。なお、ブラシ台51は、自重でチャック20の吸着面21に押し付けられてもよい。ブラシ台51の上には、重りが設けられてもよい。重りの重さで、押し付け圧を調節できる。
【0052】
揺動部60は、第2駆動源65を備えてもよい。第2駆動源65は、第1駆動源61を昇降させることで、ブラシ台51を昇降させる。第2駆動源65は、例えば電動モータである。電動モータは、ボールねじと組み合わせて用いられる。第2駆動源65として空気圧アクチュエータを用いてもよいが、電動モータを用いれば、衝撃を緩和できる。
【0053】
次に、図8及び図9を参照して、ブラシ台51の揺動範囲の一例について説明する。ブラシ台51は、チャック20の洗浄中に、例えば、図8に二点鎖線で示す第1洗浄位置と、図8に実線で示す第2洗浄位置との間を、繰り返し旋回させられる。ブラシ台51が第2洗浄位置に位置するとき、図8に示すようにブラシ台51の長手方向(U軸方向)がチャック20の径方向に対して傾く。なお、ブラシ台51が第2洗浄位置から第1洗浄位置に戻る間、接触部52が吸着面21に接触しないように、ブラシ台51が上昇させられてもよい。ブラシ台51が第1洗浄位置から第2洗浄位置に向かう間のみ、接触部52が吸着面21に接触してもよい。ブラシ台51の揺動は、制御部90による制御下で実施される。
【0054】
なお、第1洗浄位置は、ブラシ台51の先端がチャック20の回転中心線R2に一致する位置であるが、一致しない位置であってもよい。後者の場合、ブラシ台51は、揺動の途中で、ブラシ台51の先端がチャック20の回転中心線R2に一致する位置を通過すればよい。ブラシ台51の先端がチャック20の回転中心線R2に一致する時に、ブラシ台51の長手方向がチャック20の径方向に一致する。
【0055】
図9に示すように、ブラシ台51が第2洗浄位置に位置する時も、排出路55の延在方向である第1方向は、チャック20の回転方向下流側に向かうほど、チャック20の径方向外側に傾斜している。なお、ブラシ台51が第1洗浄位置にある時も、同様である(図5参照)。
【0056】
ブラシ台51が第1洗浄位置と第2洗浄位置の間で揺動させられる間、排出路55の延在方向である第1方向は、常に、チャック20の回転方向下流側に向かうほど、チャック20の径方向外側に傾斜している。これにより、常に、洗浄ブラシ50から排出したパーティクルを含んだ洗浄液がチャック20の径方向内側から径方向外側に流れ、短時間で吸着面21の外に排出される。従って、洗浄ブラシ50から排出したパーティクルを含んだ洗浄液が吸着面21の上に滞留する時間を短縮できる。また、洗浄ブラシ50から排出したパーティクルを含んだ洗浄液が吸着面21の上に滞留する領域を狭くできる。
【0057】
図8に示すように、洗浄ブラシ50がチャック20の吸着面21を洗浄する間、チャック20が回転させられると共に、ブラシ台51が旋回させられる。ブラシ台51の旋回中心線R4から2番目の列53の第1接触部52-1Aは、破線L1から破線L2まで、チャック20の径方向に移動する。その移動距離MDは、間隔G3以上(図8ではMD=G3)である。間隔G3は、隣り合う2つの列53の第2方向(ブラシ台の長手方向)における間隔であり、例えば第1接触部同士の第2方向における間隔である。
【0058】
揺動部60は、チャック20の径方向における各接触部52の移動距離MDが間隔G3以上になるように、ブラシ台51を揺動させる。複数の接触部52で吸着面21の同一箇所を洗浄でき、洗浄の均一性を向上できる。各列53において少なくとも2つの接触部52の種類が異なる場合に、特に有効である。
【0059】
揺動部60は、上記の通り、チャック20の吸着面21に対して垂直な旋回中心線R4を中心に、ブラシ台51を旋回させる。これにより、ブラシ台51を旋回させる間、ブラシ台51と吸着面21の間隔を一定に維持でき、吸着面21に対して接触部52を一定の圧力で押し付けることができる。
【0060】
洗浄ブラシ50がチャック20の吸着面21を洗浄する間、チャック20が回転させられると共に、ブラシ台51が旋回させられる。チャック20と接触部52の接触位置がチャック20の回転中心線R2から遠いほど、チャック20の周速が速くなる。チャック20と接触部52の接触位置がブラシ台51の旋回中心線R4からの距離から遠いほど、ブラシ台51の周速が速くなる。
【0061】
チャック20と接触部52の接触位置において、チャック20とブラシ台51の相対的な速度差が大きいほど、チャック20に付着したパーティクルと接触部52の衝突時の衝撃力が大きい。そこで、吸着面21の径方向全体に亘って、衝撃力が均一になるように、ブラシ台51の旋回中心線R4は、チャック20の吸着面21の外に設けられる。この場合、チャック20と接触部52の接触位置がチャック20の回転中心線R2から遠いほど、チャック20の周速が速くなる反面、ブラシ台51の周速が遅くなる。
【0062】
図10に示すように、接触部52は、ブラシ台51の旋回中心線R4を中心とする仮想円56であってチャック20の回転中心線R2を通る仮想円56に複数設けられてもよい。ブラシ台51が旋回し、複数の接触部52が吸着面21の中心を通る。複数の接触部52で吸着面21の中心を洗浄でき、洗浄の均一性を向上できる。
【0063】
仮想円56に配置される少なくとも2つの接触部52の種類が異なってもよい。複数の種類の接触部52を用いることで、吸着面21の中心から複数種類のパーティクルを効率良く除去できる。仮想円56に配置される少なくとも2つの接触部52は、異なる材質を有するか、異なる線径の毛を有してもよい。
【0064】
次に、図11を参照して、ブラシ台51の揺動範囲の変形例について説明する。ブラシ台51は、チャック20の洗浄中に、例えば、図11に二点鎖線で示す第1洗浄位置と、図11に実線で示す第2洗浄位置との間を、繰り返し直線移動させられてもよい。
【0065】
ブラシ台51は、ブラシ台51の長手方向(U軸方向)に直線移動させられる。その間、ブラシ台51の長手方向は、チャック20の径方向に一致している。チャック20の径方向における各接触部52の移動距離MDが、隣り合う2つの列53の第2方向(ブラシ台の長手方向)における間隔G3以上になるように、ブラシ台51が揺動させられる。
【0066】
次に、図12および図13を参照して、洗浄ブラシ50の変形例について説明する。以下、主に図6との相違点について説明する。洗浄ブラシ50は、例えば、ブラシ台51と、第1接触部52-1と、第2接触部52-2と、第3接触部52-3と、を備える。第1接触部52-1は、ピン521を含む。第2接触部52-2は、毛束523を含む。第3接触部52-3は、毛束524を含む。
【0067】
図12および図13において、PLは、ピン521のブラシ台51から突出する部分の長さ(以下、ピン521の突出長)である。ピン521は、ブラシ台51の下面から下方に突出する。ピン521の長手方向は、例えばZ軸方向である。ピン521は、一部がブラシ台51の内部に収容されており、残部がブラシ台51の外部に突出している。
【0068】
ブラシ台51は、ピン521の突出長PLが変更自在となるように、ピン521を移動自在に保持する。ピン521は、例えばピン521の長手方向に移動自在である。ピン521が摩耗し、ピン521の全長L0が短くなっても、ピン521の突出長PLを所望の長さに調節することで、ピン521を使用し続けることができる。
【0069】
ブラシ台51は、例えば、第1孔511と、第1孔511よりも大きい直径を有する第2孔512とを有する。第1孔511には、ピン521が移動自在に挿通される。ピン521の一端(例えば下端)は、ブラシ台51の外部に突出している。一方、ピン521の他端(例えば上端)は、ブラシ台51の内部に収容されている。ピン521の上端には、ストッパ522が設けられる。ストッパ522は、第2孔512に移動自在に配置される。
【0070】
ストッパ522は、例えば円盤状である。ストッパ522は、第2孔512よりも小さい直径を有し、且つ第1孔511よりも大きな直径を有する。ストッパ522は、図12に示すように第2孔512と第1孔511との段差面に当接することで、ピン521がブラシ台51から脱離するのを防止する。なお、ストッパ522は、ピン521の途中につば状に設けられてもよい。
【0071】
ブラシ台51は、基台513と、蓋514と、連結具515とを有してもよい。基台513には、第1孔511と第2孔512が貫通して形成される。蓋514は、第2孔512を第1孔511とは反対側から塞ぐ。連結具515は、基台513と蓋514を分離可能に連結する。連結具515は、特に限定されないが、例えばボルトである。基台513と蓋514を分離可能に連結することで、ピン521を交換できる。ピン521だけを交換でき、洗浄ブラシ50の全体を交換せずに済む。
【0072】
ピン521は、チャック20の吸着面21に傷を付けないように、チャック20の吸着面21よりも柔らかい材料で形成される。チャック20の吸着面21に傷が付くと、研削後の基板Wの厚みムラが大きくなってしまうからである。チャック20は、その吸着面21に、例えば多孔質体22を有する。多孔質体22が酸化アルミニウムなどのセラミックで形成される場合、ピン521はPEEK(Poly Ether Ether Ketone)などの樹脂で形成される。
【0073】
ピン521は、上記の通り、比較的柔らかい材料で形成されるので、摩耗し易い。それゆえ、ピン521の突出長PLを調節できることは重要である。ピン521が摩耗し、ピン521の全長L0が短くなっても、ピン521の突出長PLを調節すれば、ピン521を使用し続けることができるからである。
【0074】
ピン521は、毛束523、524を構成する個々の毛に比べて、大きな直径を有し、大きな剛性を有する。ピン521は、毛束523、524とは異なり、例えばチャック20の吸着面21の凹部に嵌まり込んだパーティクルPを砕くことができ、パーティクルPを平坦化することができる。
【0075】
ピン521は、図13に示すように、各列53において、チャックの回転方向における最も上流側に配置されることが好ましい。ピン521は、毛束523、524よりも先にパーティクルPと接触してパーティクルPを砕く。それゆえ、毛束523、524の摩耗を抑制できる。
【0076】
ピン521がパーティクルPを砕くことで、新たに粉塵が生じうる。新たに生じた粉塵が直ぐに毛束523、524によって掃き出されるように、毛束523、524がピン521よりもチャック20の回転方向下流側に配置されてもよい。新たに生じた粉塵を効率良く除去できる。
【0077】
洗浄ブラシ50は、弾性体を有してもよく、一例としてバネ57を有してもよい。バネ57は、その弾性復元力でピン521をブラシ台51の外部に突出する方向に付勢する。バネ57は、例えばコイルバネであって、ストッパ522と蓋514との間に圧縮した状態で配置される。なお、バネ57は、板バネなどであってもよく、コイルバネには限定されない。
【0078】
洗浄ブラシ50がバネ57を有することで、ピン521の突出長PLを所望の長さに自動的に調節できる。ピン521は、毛束523、524よりも先にチャック20の吸着面21に当たる。そうして、ピン521は、毛束523、524と同じ高さになるまで、バネ57の弾性復元力に抗してブラシ台51の内部に入り込む方向に移動する。
【0079】
毛束523、524は、ブラシ台51に固定されている。ピン521は、ピン521の先端(例えば下端)が毛束523、524の先端(例えば下端)よりも突出する位置(図12参照)と、ピン521の先端が毛束523、524の先端と同じ高さになる位置(図13参照)との間で移動する。ピン521と毛束523、524の両方を、チャック20の吸着面21に当てることができる。
【0080】
以上、本開示に係る洗浄ブラシ、基板加工装置、及び基板加工方法について説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0081】
20 チャック
21 吸着面
50 洗浄ブラシ
51 ブラシ台
52 接触部
53 列
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13