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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124243
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】後処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/00 20060101AFI20230830BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20230830BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B65H37/00
B65H43/00
G03G15/00 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027892
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】田村 尚之
(72)【発明者】
【氏名】水野 茂
(72)【発明者】
【氏名】中田 真人
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA18
2H072AA29
2H072GA01
2H072GA08
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB10
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB03
3F108HA01
3F108HA36
3F108HA44
(57)【要約】
【課題】往復移動する被駆動部材の位置決めをするためのセンサ設置が不要で、コスト削減を実現可能な後処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置から搬送された用紙に対して後処理を施す後処理装置であって、所定の方向へ往復移動する被駆動部材(ステープラ50)と、被駆動部材を移動させるための駆動手段56と、被駆動部材の移動方向D1の両端に配設され、移動範囲を規定するストッパ部材53と、を備え、被駆動部材をストッパ部材53に当接するまで移動させ、被駆動部材が停止した駆動限界位置の一方を基準位置とし、所定の位置に被駆動部材を移動させるとき、基準位置を起点とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から搬送された用紙に対して後処理を施す後処理装置であって、
所定の方向へ往復移動する被駆動部材と、
前記被駆動部材を移動させるための駆動手段と、
前記被駆動部材の移動方向の両端に配設され、移動範囲を規定するストッパ部材と、を備え、
前記被駆動部材を前記ストッパ部材に当接するまで移動させ、前記被駆動部材が停止した駆動限界位置の一方を基準位置とし、
所定の位置に前記被駆動部材を移動させるとき、前記基準位置を起点とすることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記被駆動部材が前記移動範囲全域の移動に要する駆動時間をT1、前記被駆動部材を任意の位置から前記駆動限界位置まで移動させるために駆動した駆動時間をT2とし、T1<T2の関係を満たしたとき、前記被駆動部材が前記駆動限界位置に到達したと判定することを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記駆動手段を構成するモータの回転に応じたパルス信号を出力するエンコーダを備え、
前記被駆動部材を前記駆動限界位置まで移動させるために駆動するとともに、前記エンコーダからのフィードバック信号を受信し、前記フィードバック信号の変化がなくなったとき、前記被駆動部材が前記駆動限界位置に到達したと判定することを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記被駆動部材を前記駆動限界位置まで移動させるために駆動するとともに、前記駆動手段を構成するモータからの電流値のフィードバックを受信し、前記電流値が前記モータの負荷増大により予め設定した閾値を超えたとき、前記被駆動部材が前記駆動限界位置に到達したと判定することを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項5】
画像形成装置と、請求項1から4のいずれかに記載の後処理装置とを備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置において画像形成が行われた用紙(記録紙、シート等ともいう)を、画像形成装置に付設されている後処理装置に搬送し、綴じ処理や折り処理等の後処理を施す構成が知られている。
【0003】
後処理装置が備える負荷機構として、後処理を行う手段の位置合わせのために、往復移動可能に駆動される被駆動部材を備えたものがある。このような負荷機構は、被駆動部材を任意の位置へ移動させるための駆動源を有する駆動手段と、被駆動部材の移動量を検出するための検出手段を備えているのが一般的である。
【0004】
また、被駆動部材を所定位置へ移動させるときの起点となるホームポジション(基準位置)を設定し、被駆動部材がホームポジションに移動したことを検出するためのセンサ等を設ける構成が知られている。さらに、往復移動する被駆動部材は、ホームポジションセンサとともに、移動範囲の他端側の限界位置にもセンサが必要となる。
【0005】
しかしながら、被駆動部材の位置決めのために被駆動部材を検知するセンサを設けると、センサの設置スペースやハーネスの配回し等が必要となり、コストが増加するという課題がある。
【0006】
これに対し、特許文献1では、ホームポジションセンサを用いなくても、インデクサのイニシャル動作を実行することの出来るソータとして、駆動モータの回転量毎にパルス状のクロック信号を出力する手段と、可動配向手段の移動範囲の一方の限界位置に配設された限界センサと、限界センサが動作してからクロック信号をカウントする手段と、カウントが終了した時点で駆動モータの駆動を停止させる制御手段とを具備するソータが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、移動範囲の一端側に設置されるホームポジションセンサと他端側の限界位置に設置される限界センサのうち、ホームポジションセンサを省略できることが記載されている。しかしながら、ソータの制御において、他端側の限界センサによる検知は必須となっているため、位置決め用センサの設置にコストを低減することは困難である。
【0008】
そこで本発明は、往復移動する被駆動部材の位置決めをするためのセンサ設置が不要で、コスト削減を実現可能な後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の後処理装置は、画像形成装置から搬送された用紙に対して後処理を施す後処理装置であって、所定の方向へ往復移動する被駆動部材と、前記被駆動部材を移動させるための駆動手段と、前記被駆動部材の移動方向の両端に配設され、移動範囲を規定するストッパ部材と、を備え、前記被駆動部材を前記ストッパ部材に当接するまで移動させ、前記被駆動部材が停止した駆動限界位置の一方を基準位置とし、所定の位置に前記被駆動部材を移動させるとき、前記基準位置を起点とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、往復移動する被駆動部材の位置決めをするためのセンサ設置が不要で、コスト削減を実現可能な後処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る後処理装置の搬送経路を示す説明図である。
図3】後処理手段が備える被駆動部材の一例を示す説明図である。
図4】第1の実施形態に係る後処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図5】被駆動部材の駆動限界位置を説明する図である。
図6】被駆動部材の駆動限界位置と移動範囲を説明する図である。
図7】被駆動部材の駆動限界位置と移動範囲を説明する図である。
図8】第1の実施形態に係る被駆動部材の位置決めを説明するグラフである。
図9】被駆動部材の位置決めの流れを示すフローチャートである。
図10】被駆動部材の所定位置への移動を説明する図である。
図11】被駆動部材を所定位置へ移動させる流れを示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態に係る後処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図13】エンコーダを備えるモータの例を示す説明図である。
図14】第2の実施形態に係る被駆動部材の位置決めを説明するグラフである。
図15】第2の実施形態に係る被駆動部材の位置決めの流れを示すフローチャートである。
図16】第3の実施形態に係る後処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図17】第3の実施形態に係る被駆動部材の位置決めを説明する図である。
図18】第3の実施形態に係る被駆動部材の位置決めを説明するグラフである。
図19】第3の実施形態に係る被駆動部材の位置決めの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の後処理装置および画像形成システムについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
(画像形成システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成を示す概略構成図である。
図1の画像形成システム100は、画像形成装置101と、画像読取装置102と、後述する本発明に係る後処理装置200と、を備えている。
【0014】
複写機、プリンタあるいは印刷機などの画像形成装置101は、例えば、電子写真方式による画像形成が可能な構成を備え、潜像担持体に対する光書き込みによる静電潜像形成、トナーにより潜像の可視像処理、用紙に対するトナー像の転写および定着を行う。
また、原稿を読み取るための画像読取装置102と、原稿を取り込んで移送するための自動原稿送り装置(ADF)103を備えている。
【0015】
静電潜像は作像ユニット内の現像装置から供給される現像剤により可視像処理されてトナー像が形成され、トナー像が給紙ユニットから給送される用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、トナー像の定着が行われた後、後処理装置200へ搬送される。
【0016】
画像形成装置101としては、例えば、原稿の表面に形成された画像情報を読み取り、用紙へとコピーする複写機として動作する構成や、他の端末から送付された画像を用紙Pの表面に画像形成するような構成とすることができ、本実施形態に係る画像形成装置は特定の画像形成方法に限定されるものではない。
なお、画像形成装置101、画像読取装置102、ADF103等の構成については、一般的な画像形成装置としての構成を有しており、説明を省略する。
【0017】
(後処理装置)
図2に本発明の一実施形態の後処理装置200の側面概要図を示す。
後処理装置200は、図2に示すように、画像形成装置101から排出された画像形成済みの用紙Pを受け入れる導入経路1と、導入経路1から分岐する3つの分岐経路である搬送経路2と、ストレート搬送経路3と、下搬送経路4と、を有している。
【0018】
導入経路1には、用紙Pが搬入されたことを検知する入り口センサ13と、入り口ローラ10と、入り口ローラ10よりも搬送方向下流側に配置された水平搬送ローラ11と、導入経路1から上搬送経路2とストレート搬送経路3と下搬送経路4とに搬送方向を切り替えるための切替手段としての分岐爪7、8と、を有している。
導入経路1に用紙Pが進入すると、後処理手段200の制御部が画像形成システム100からの指示に基づいて、用紙Pに必要な後処理を判断し、制御部からの指示に応じて入り口ローラ10、水平搬送ローラ11、分岐爪7、8が動作して用紙Pの搬送経路を変更する。
【0019】
搬送経路2は、用紙Pをプルーフトレイ6へ搬送する経路であり、プルーフ排出部を構成する。
プルーフ排出部において、導入経路1から分岐爪7によって進行方向を変えられた用紙Pは、プルーフトレイ6へとそのまま排出される。
【0020】
シフト排出部は、ストレート搬送経路3から接続されており、位置を変更可能なシフト機構を有する中間搬送ローラ12と、排紙トレイ5と、一対の対抗した排紙ローラ26と従動ローラ27と、排紙センサ28とで構成される。
ストレート搬送経路3から排出された用紙Pは、中間搬送ローラ12がシフト機構によって搬送方向と直角方向に一定量移動することによって、当該直角方向へと一定量シフトし、排紙ローラ26と従動ローラ27とに挟持されて排紙トレイ5に順次重ねて排出されていく。
【0021】
用紙Pが排紙ローラ26と従動ローラ27とによって挟持されるときには、従動ローラ27あるいは従動ローラ27を備えた排紙ガイド板29が排紙ローラ26に対して接離する動作によって、用紙Pを排出可能な閉状態と、挟持しない開状態とを選択可能になっている。用紙Pのシフト動作が完了した後に、シフト排出部は排紙ローラ26と従動ローラ27との間隔を閉状態へと制御して、シフトされた用紙Pあるいは用紙Pのシート束を挟持して排出する。
【0022】
シフト排出部はまた、排出口の上方付近にフィラー40を有している。フィラー40は、排紙トレイ5に排出された用紙Pの中央付近位置に回動自在に配置され、フィラー40の先端は用紙Pの上面に接している。
フィラー40には、フィラー40の先端部分40aの高さを検知するための上面検知センサが設けられており、フィラー40の先端部分の高さが所定値以上になったことを検知すると、制御部を介して排紙トレイ5を下降させる。
【0023】
排紙トレイ5の位置を下降・上昇させることによって、大量の用紙Pが排紙されたときにも、排紙口からの排紙を安定して動作可能である。また、排紙トレイ5の下限位置すなわちトレイ満杯高さまで到達すると、制御部は停止信号を出し、画像形成システム100の画像形成動作を停止させる構成とすることができる。
【0024】
端綴じ処理部は、ステープルトレイ21と、戻しローラ41と、用紙Pの幅方向の位置を揃えるジョガー23と、用紙Pの長さ方向の位置を揃える後端フェンス24と、綴じ手段としてのステープラ50と、を有している。
端綴じ処理部は、ステープルトレイ21へと搬送された用紙Pを、ジョガー23と、後端フェンス24を用いて揃えてスタックする仕組みになっており、揃えられた用紙Pの束は、ステープラ50がステープラ移動機構により紙面と直交する方向に移動して用紙Pの束の下縁部の適切な位置で端綴じされる。
このように綴じ処理が施された用紙P束は放出爪29によって排出方向に搬送させて排紙ローラ26と、従動ローラ27とに挟持されて排紙トレイ5へと排出される。
【0025】
中綴じ・折り処理部は、下搬送経路4の先に接続されている。
用紙Pの中綴じ・折り処理を行う場合、ストレート搬送経路3を用紙Pが通過し、先端検知センサ14により用紙Pが通過したことが検知されるのを待って、分岐爪8を切り替える。
分岐爪8が切り替わると、中間搬送ローラ12が逆回転して用紙Pをスイッチバックさせて下搬送経路4の方向へと搬送する。
【0026】
中綴じ・折り処理部は、中綴じ搬送ローラ61、62、63と、綴じ手段としての中綴じステープラ51と、折り位置を調整するための折りストッパ64と、用紙Pに当接して紙面方向へと押圧することで折り処理を行う折りブレード71と、折り板72とを有している。
【0027】
中綴じ・折り処理部はまた、折り板72よりも搬送方向下流側に設けられた中折排紙ローラ73と、中綴じトレイ9とを有しており、折りブレード71と折り板72とによって折り処理が行われると、中折排紙ローラ73によって用紙Pが中綴じトレイ9に排出される。
【0028】
穿孔処理部30は、導入経路1の経路上に配置され、レジスト検知手段と、レジスト検知手段によって検知されたレジストずれを考慮して、用紙Pの所望の位置に穿孔処理を行う穿孔処理手段である。
穿孔処理を必要と判断した場合には、受け入れた用紙Pの適所に穿孔処理部30を用いて穿孔処理を行う。
【0029】
なお、図2に示す本実施形態において、後処理装置200は、中綴じ・折り処理部、及び穿孔処理部を両方とも備える構成として示したが、これらの構成については着脱可能とすることができる。
【0030】
本実施形態に係る後処理装置200は、往復運動する被駆動部材を備える負荷機構として、例えば、ステープラ移動機構、シフト機構、ジョガー機構、用紙折りストッパ機構、及び用紙折りブレード機構等を備えている。
以下、本発明に係る後処理装置が備える被駆動部材の移動制御について、ステープラ移動機構に適用する例を説明するが、上述の他の機構(シフト機構、ジョガー機構、用紙折りストッパ機構、及び用紙折りブレード機構等)にも適用することができる。
【0031】
図3は、本実施形態の後処理手段200が備える負荷機構の一例としてのステープラ移動機構を示す説明図である。被駆動部材はステープラ50である。
本実施形態の後処理装置200は、画像形成装置101から搬送された用紙Pに対して後処理を施す後処理装置であって、所定の方向へ往復移動する被駆動部材(ステープラ50)と、被駆動部材を移動させるための駆動手段56と、被駆動部材の移動方向D1の両端に配設され、移動範囲を規定するストッパ部材53(53a、53b)と、を備えている。
被駆動部材(ステープラ50)をストッパ部材53に当接するまで移動させ、被駆動部材が停止した駆動限界位置の一方を基準位置とし、所定の位置に被駆動部材を移動させるとき、基準位置を起点とする。
【0032】
図3中の「手前側」F、及び「奥側」Bは、装置のユーザから見た方向として示している。
なお、基準位置とする駆動限界位置は、手前側のストッパ部材53aにより規定される位置であり、被駆動部材のステープラ50がストッパ部材53aに当接して停止した位置を「ホームポジション」ともいう。一方、奥側のストッパ部材53bにより規定される位置は、以下「動作限界」ともいう。
【0033】
図3中、用紙Pの搬送方向をD2、搬送方向をA-Aで示している。
ステープラ50は、移動軸52に沿って用紙Pの搬送方向と直交する方向D1に移動し、用紙Pの所定の位置に後処理としてのステープル処理を行う部材である。
【0034】
ステープラ機構は、ステープラ50を往復移動範囲の任意の位置へ移動させる駆動手段56として駆動用モータを備えている。また、駆動用モータの駆動力を伝達する手段として、一対のベルトプーリ54と、ベルトプーリ54に巻き回された無端ベルト55を備えている。駆動用モータが正逆回転することにより、無端ベルト55が対応する方向に回転し、ステープラ50はD1の方向に往復移動可能となる。
【0035】
図3では、実線で示すステープラ50がホームポジションで待機している状態を示している。用紙Pの搬送開始前、ステープラ50の動作開始時に、駆動用モータを所定のパルス数分駆動してステープラ50を移動させる。ステープルトレイ21に用紙Pが搬送された後、ステープラ50は所定の位置に端綴じ処理(ステープル動作)を行う。
ステープル動作終了後、ステープラ50は再びホームポジションに戻って待機状態となる。
【0036】
ストッパ部材53aにより、ステープラ50はホームポジションよりも手前側へ移動することはできない。同様に、ストッパ部材53bにより、ステープラ50は破線で示す位置(動作限界位置)よりも奥側へ移動することはできない。
【0037】
被駆動部材であるステープラ50をストッパ部材53aに当接するまで移動させ、ステープラ50が停止した手前側の駆動限界位置をホームポジションとする際に、ステープラ50が駆動限界位置に到達したと判定する例について、以下、第1から第3の実施形態として説明する。
【0038】
(第1の実施形態)
図4は、本実施形態に係る後処理装置の制御部であって、ステープラ移動機構の制御に必要な構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御部はCPU80、タイマ81、及びモータドライバ82を含んで構成されている。
CPU80は、モータドライバ82を駆動することで、ステープラ50を移動させる。ステープラ50を所定の距離だけ移動させる場合は、モータドライバ82へ対応する所定のパルス数を入力するか、またはタイマ81のカウント機能を使用して所定時間分パルスを入力する。
【0039】
図5は、ステープラ50が手前側Fの駆動限界位置であるホームポジションに位置している状態を示した図である。
図6は、ステープラ50が奥側Bの駆動限界位置である動作限界位置(メカ限界位置)にある状態を示した図である。参考としてホームポジションに位置しているステープラ50を破線で示している。
ストッパ部材53aに当接した状態のホームポジションから、ストッパ部材53bに当接した状態の動作限界位置までのステープラ50の移動範囲全域を、最大移動距離Lmaxで表している。
【0040】
図7は、ステープラ50を動作限界位置(C2)からホームポジション(C1)までD1で示す方向に移動させる説明図である。
本実施形態において、ステープラ50をホームポジションまで移動させる場合は、最大移動距離Lmaxよりも十分に長い距離(例えば、Lmaxの2倍の距離)を移動させるように駆動を行う。このように駆動したときのステープラ50の位置と、駆動時間との関係を図8に示す。
【0041】
図8は、図7に示すようにステープラを動作限界位置(C2)からホームポジション(C1)まで移動させたときのグラフである。
駆動時間T1でステープラ50がストッパ部材53aに当接し、ホームポジションに到達して停止している。その後、駆動をT2まで継続しても、ホームポジションから位置の変化はみられない。
なお、本実施形態において、被駆動部材であるステープラ50がストッパ部材53に当接(衝突)した後に駆動を継続しても、双方の部材が破損しないよう、適宜部材の設計や材料の選択、負荷の大きさの調整等を行うものとする。
【0042】
本実施形態の後処理装置は、被駆動部材が移動範囲全域の移動に要する駆動時間をT1、被駆動部材を任意の位置から駆動限界位置まで移動させるために駆動した駆動時間をT2とし、T1<T2の関係を満たしたとき、被駆動部材が駆動限界位置に到達した、すなわちステープラ50がホームポジションに到達したと判定することができる。
【0043】
図9は、本実施形態の被駆動部材の位置決めの流れを示すフローチャートである。
図9(A)は、ステープラ50をホームポジションへ移動させる際のフローチャートであり、図9(B)は駆動時間に基づく判断を行う場合のフローチャートである。
【0044】
図9(A)の例では、まず、ステープラ50を手前側Fへ駆動する(S001)。駆動距離が図7に示す最大距離Lmaxを超えたかを判断し(S002)、超えていない場合は駆動を継続し、超えた場合は駆動を停止する(S003)。
なお、駆動距離は、最大移動距離Lmaxよりも十分に長い距離が好ましく、例えば、Lmaxの2倍の距離を判断基準とすることが好ましい。
【0045】
図9(B)の例では、図9(A)のステップS002の判断を、駆動時間に基づいて行う。まず、ステープラ50を手前側Fへ駆動する(S101)。駆動時間が移動範囲全域の移動に要する駆動時間T1を超えたかを判断し(S102)、超えていない場合は駆動を継続し、超えた場合は駆動を停止する(S103)。
なお、駆動時間は、最大移動距離Lmaxを移動するのに要する時間T1よりも十分に長い時間であることが好ましく、例えば、T1の2倍の時間を判断基準とすることが好ましい。
【0046】
このように、本実施形態の後処理装置によれば、往復移動する被駆動部材の位置決めをするためのセンサを設置することなく、駆動距離と駆動時間に基づいて被駆動部材をホームポジションに移動させ、動作の起点を規定することができる。位置決めするためのセンサを設置する必要がないため、コスト削減を実現することができる。
【0047】
図10は、上述の方法によりステープラ50の基準位置を規定し、基準位置から所定の位置にステープラ50を移動させた状態を示す説明図である。図10では、基準位置であるホームポジションに位置しているステープラ50を破線で示している。
ステープラ50を、ホームポジションから所定の位置までの距離Lsを駆動する流れを図11に示す。
【0048】
図11のフローチャートは、例えば図9(A)のステップS003、または図9(B)のステップS103の後に行われる動作の流れを示している。
ステープラ50の所定位置への移動は、ホームポジションから奥側Bへ駆動することにより行われる(S201)。駆動距離が所定の値に到達したかを判断し(S202)、到達していない場合は駆動を継続し、到達した場合は駆動を停止する(S203)。
駆動距離が所定の値に到達したか否かは、駆動モータの駆動パルス数、または駆動時間の長さに基づいてセンサを使用することなく判断することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
図12は、本実施形態に係る後処理装置の制御部であって、ステープラ移動機構の制御に必要な構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、制御部はCPU80、タイマ81、モータドライバ82、及びエンコーダ83を含んで構成されている。
CPU80は、モータドライバ82を駆動することで、ステープラ50を移動させる。エンコーダ83は、モータドライバ82の回転に応じたパルス信号を出力する。ステープラ50を所定の距離だけ移動させる場合は、モータドライバ82へ対応する所定のパルス数を入力するか、またはタイマ81のカウント機能を使用して所定時間分パルスを入力する。
【0050】
図13は本実施形態の駆動手段に適用されるエンコーダを備えるモータの例を示す説明図である。図13(A)は光学エンコーダ搭載のブラシレスDCモータの例であり、図13(B)はエンコーダレス位置検出機能付きブラシレスDCモータの例であり、それぞれ上段が側面模式図、下段が斜視図である。
【0051】
図13(A)のブラシレスDCモータ85は、ドライバIC84を搭載し、出力軸にエンコーダ83が設けられている。一方、図13(B)のブラシレスDCモータ85は、ドライバIC84を搭載し、エンコーダ83は外部に設けられている。
【0052】
図14は、図7に示すようにステープラを動作限界位置(C2)からホームポジション(C1)まで移動させたときのエンコーダ83からのフィードバック信号(エンコーダ信号)を表すグラフである。
駆動時間T1でステープラ50がストッパ部材53aに当接し、ホームポジションに到達して停止している。その後T2まで駆動を継続しても、エンコーダパルスの変化が無い状態となる。
なお、本実施形態において、被駆動部材であるステープラ50がストッパ部材53に当接(衝突)した後に駆動を継続しても、双方の部材が破損しないよう、適宜部材の設計や材料の選択、負荷の大きさの調整等を行うものとする。
【0053】
本実施形態の後処理装置は、駆動手段を構成するモータ85の回転に応じたパルス信号を出力するエンコーダ83を備え、被駆動部材を駆動限界位置まで移動させるために駆動するとともに、エンコーダ83からのフィードバック信号を受信し、フィードバック信号の変化がなくなったとき、被駆動部材が駆動限界位置に到達したと判定することができる。
【0054】
図15は、本実施形態の被駆動部材の位置決めの流れを示すフローチャートであり、図9(A)に示したステップS002の判断を、エンコーダ信号の変化に基づく判断を行う場合を示している。
図15の例では、まず、ステープラ50を手前側Fへ駆動する(S301)。そして、エンコーダパルスの入力があるかを判断し(S302)、エンコーダパルスの入力がある場合は駆動を継続し、エンコーダパルスの入力がなくなった場合は駆動を停止する(S303)。
【0055】
ステープラ50の駆動中は、エンコーダ信号を常時検知し、エンコーダパルスの入力が検知されなくなった位置をホームポジションとすることができる。
なお、エンコーダパルスの入力が検知されなくなった時点で直ちにステープラ50の駆動を停止してもよく、入力が検知されなくなった後に一定時間駆動を継続してもよい。
ステップS303に続いて、図11に示すフローに従い、ステープラ50を所定の位置に移動させることができる。
【0056】
このように、本実施形態の後処理装置によれば、往復移動する被駆動部材の位置決めをするためのセンサを設置することなく、駆動距離と駆動時間に基づいて被駆動部材をホームポジションに移動させ、動作の起点を規定することができる。
位置決めするためのセンサを設置する必要がないため、コスト削減を実現することができる。
また、駆動限界位置を超えて駆動する時間を第1の実施形態の方式よりも短くすることができ、構成部材にかかる不要な負荷を軽減することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図16は、本実施形態に係る後処理装置の制御部であって、ステープラ移動機構の制御に必要な構成の一例を示すブロック図である。
図16に示すように、制御部はCPU80、モータドライバ82、及びDCモータ85を含んで構成されている。
CPU80は、モータドライバ82を駆動することで、ステープラ50を移動させる。DCモータ85の負荷電流をCPU80にフィードバックする。
【0058】
図17は、ステープラ50を任意の位置からホームポジションまでD1で示す方向に移動させる流れを示す説明図である。図17(A)は、ステープラ50が駆動限界位置以外の任意の位置で停止している状態、図17(B)はステープラ50を手前側Fへ向けて駆動している状態、図17(C)はステープラ50がストッパ部材53に衝突(当接)した状態をそれぞれ示している。
【0059】
図18は、図17(A)の停止状態、図17(B)の駆動状態、及び図17(C)の衝突状態のそれぞれの状態においてCPUにフィードバックされる負荷電流の電流値を示したグラフである。横軸は時間を表している。
ステープラ50がホームポジションに到達した後、ストッパ部材50aと衝突して停止した状態において負荷が増大するため、フィードバックされる電流値が上昇する。
ホームポジション到達後に上昇する電流値に基づき、予め閾値を設定しておくことで、当該閾値を判定基準とすることができる。
【0060】
本実施形態の後処理装置は、被駆動部材を駆動限界位置まで移動させるために駆動するとともに、駆動手段を構成するモータ85からの電流値のフィードバックを受信し、電流値がモータ85の負荷増大により予め設定した閾値を超えたとき、被駆動部材が駆動限界位置に到達したと判定することができる。
【0061】
図19は、本実施形態の被駆動部材の位置決めの流れを示すフローチャートであり、図9(A)に示したステップS002の判断を、フィードバックされた電流値の変化に基づく判断を行う場合を示している。
図19の例では、まず、ステープラ50を手前側Fへ駆動する(S401)。そして、電流値が予め設定した基準を超えたかを判断し(S402)、閾値を超えていない場合は駆動を継続し、閾値を超えた場合は駆動を停止する(S403)。
【0062】
ステープラ50の駆動中は、電流値を常時検知し、フィードバックされる電流値が閾値を超えた位置をホームポジションとすることができる。
なお、ステップS403に続いて、図11に示すフローに従い、ステープラ50を所定の位置に移動させることができる。
【0063】
このように、本実施形態の後処理装置によれば、往復移動する被駆動部材の位置決めをするためのセンサを設置することなく、駆動距離と駆動時間に基づいて被駆動部材をホームポジションに移動させ、動作の起点を規定することができる。位置決めするためのセンサを設置する必要がないため、コスト削減を実現することができる。また、駆動限界位置を超えて駆動する時間を第1の実施形態の方式よりも短くすることができ、構成部材にかかる不要な負荷を軽減することができる。
【符号の説明】
【0064】
50 被駆動部材(ステープラ)
52 移動軸
53 ストッパ部材
54 ベルトプーリ
55 無端ベルト
56 駆動手段
100 画像形成システム
101 画像形成装置
200 後処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開平8-290865号公報
図1
図2
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図5
図6
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図19