(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124323
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】散布用ノズル
(51)【国際特許分類】
A01C 15/00 20060101AFI20230830BHJP
A01C 7/06 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A01C15/00 A
A01C7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028023
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】白土 宏之
【テーマコード(参考)】
2B052
2B054
【Fターム(参考)】
2B052BC05
2B052BC14
2B052EA02
2B052FA09
2B054AA20
2B054CB07
(57)【要約】
【課題】誤って畦に散布用ノズルを刺してしまった場合に、開口部に土が詰まることを阻止することができる散布用ノズルを提供すること。
【解決手段】本発明の散布用ノズルは、ホッパ2に充填される散布対象物がホース3で誘導され、ホース3の下端を保持するホース保持部4に取り付けて散布対象物を土壌表面Xに落下させ、散布対象物を落下させる空洞10を形成するノズル本体11と、散布対象物を土壌表面Xに落下させる開口部20と、開口部20より下方に位置する阻止部材30とを備え、阻止部材30の下端31が土壌表面Xに押圧された場合に、阻止部材30によって開口部20に土が詰まることを阻止することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパに充填される散布対象物がホースで誘導され、前記ホースの下端を保持するホース保持部に取り付けて前記散布対象物を土壌表面に落下させる散布用ノズルであって、
前記散布対象物を落下させる空洞を形成するノズル本体と、
前記散布対象物を前記土壌表面に落下させる開口部と、
前記開口部より下方に位置する阻止部材と
を備え、
前記阻止部材の下端が前記土壌表面に押圧された場合に、前記阻止部材によって前記開口部に土が詰まることを阻止する
ことを特徴とする散布用ノズル。
【請求項2】
前記阻止部材の前記下端が前記土壌表面に押圧されると前記阻止部材が屈曲し、
前記阻止部材が屈曲することで、前記阻止部材が前記開口部と前記土壌表面との間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の散布用ノズル。
【請求項3】
前記阻止部材を平板材で構成し、
前記阻止部材の前記下端が、前記空洞の仮想軸線に近接するように、前記阻止部材を傾斜させた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の散布用ノズル。
【請求項4】
前記阻止部材として、第1阻止部材と第2阻止部材とを有し、
前記第1阻止部材と前記第2阻止部材とを対向させて配置した
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の散布用ノズル。
【請求項5】
前記阻止部材の前記下端には押圧面が形成され、
前記押圧面によって前記土壌表面を押圧する
ことを特徴とする請求項1に記載の散布用ノズル。
【請求項6】
前記開口部を前記ノズル本体の側面に形成する
ことを特徴とする請求項5に記載の散布用ノズル。
【請求項7】
前記開口部に、前記散布対象物の落下を誘導する誘導部材を設け、
前記誘導部材の下面に落下口部を形成する
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の散布用ノズル。
【請求項8】
前記ノズル本体と前記阻止部材とを可撓性ホースで形成し、前記開口部が上方を向くように前記ノズル本体を斜め後方に傾けて設置して用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の散布用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパに充填される散布対象物がホースで誘導され、ホースの下端を保持するホース保持部に取り付けて散布対象物を土壌表面に落下させる散布用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
生産者の高齢化、大規模化にともない、水稲の省力・低コスト生産技術である湛水直播への関心が高まっている。湛水直播栽培の一層の省力化、低コスト化を進めるために、本発明者らは、幅2.0~2.6mのハローに取り付けて使用する代かき同時浅層土中播種ノズルを開発した。このような播種機では条播時に播種ノズルを利用して播種する。
特許文献1から特許文献4には施肥ノズルが開示されている。これらの施肥ノズルにおいてもノズルの肥料排出口に土が詰まらないような構成が採用されている。
また、特許文献1から特許文献4に開示されているような施肥ノズルは、土壌表面から所定深さの位置に施肥を行う必要があるため、施肥ノズルの少なくとも一部を土壌中に埋没させて用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-230293号公報
【特許文献2】実願昭59-8052号(実開昭60-119231号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和60年8月12日特許庁発行)
【特許文献3】実願昭59-8053号(実開昭60-119232号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和60年8月12日特許庁発行)
【特許文献4】実願昭58-75601号(実開昭59-179522号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和59年11月30日特許庁発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような少なくとも一部を土壌中に埋没させて用いる施肥ノズルに対して、土壌表面に、種子、肥料、又は農薬などの散布対象物を落下させる散布用ノズルは、地表面より高い位置で用いられる。従って、散布対象物の散布時には、散布用ノズルに土が詰まることはない。
しかし、誤って畦に散布用ノズルを刺してしまうと土が詰まり散布ができなくなってしまうことがある。
施肥ノズルに有する作溝部材は、作溝のための部材であることから、土壌中に挿入しやすい部材であり、このような作溝部材を散布用ノズルに適用しても、開口部に土が詰まることを十分に阻止することはできない。
【0005】
本発明は、誤って畦に散布用ノズルを刺してしまった場合に、開口部に土が詰まることを阻止することができる散布用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の散布用ノズル1は、ホッパ2に充填される散布対象物がホース3で誘導され、前記ホース3の下端を保持するホース保持部4に取り付けて前記散布対象物を土壌表面Xに落下させる散布用ノズル1であって、前記散布対象物を落下させる空洞10を形成するノズル本体11と、前記散布対象物を前記土壌表面Xに落下させる開口部20と、前記開口部20より下方に位置する阻止部材30とを備え、前記阻止部材30の下端31が前記土壌表面Xに押圧された場合に、前記阻止部材30によって前記開口部20に土が詰まることを阻止することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の散布用ノズル1において、前記阻止部材30の前記下端31が前記土壌表面Xに押圧されると前記阻止部材30が屈曲し、前記阻止部材30が屈曲することで、前記阻止部材30が前記開口部20と前記土壌表面Xとの間に位置することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の散布用ノズル1において、前記阻止部材30を平板材で構成し、前記阻止部材30の前記下端31が、前記空洞10の仮想軸線Yに近接するように、前記阻止部材30を傾斜させたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の散布用ノズル1において、前記阻止部材30として、第1阻止部材30aと第2阻止部材30bとを有し、前記第1阻止部材30aと前記第2阻止部材30bとを対向させて配置したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の散布用ノズル1において、前記阻止部材30の前記下端31には押圧面32が形成され、前記押圧面32によって前記土壌表面Xを押圧することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の散布用ノズル1において、前記開口部20を前記ノズル本体11の側面に形成することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項5又は請求項6に記載の散布用ノズル1において、前記開口部20に、前記散布対象物の落下を誘導する誘導部材40を設け、前記誘導部材40の下面に落下口部41を形成することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1に記載の散布用ノズル1において、前記ノズル本体11と前記阻止部材30とを可撓性ホースで形成し、前記開口部20が上方を向くように前記ノズル本体11を斜め後方に傾けて設置して用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、阻止部材の下端が土壌表面に押圧された場合に、阻止部材によって開口部に土が詰まることを阻止することで、誤って畦に散布用ノズルを刺してしまっても、開口部に土が詰まることがなく、散布対象物を土壌表面に落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による散布用ノズルを用いる播種機を示す写真
【
図2】本発明の第1実施例による散布用ノズルを示す構成図
【
図3】本発明の第1実施例による散布用ノズルの実証試験を示す写真
【
図4】本発明の第2実施例による散布用ノズルを示す構成図
【
図5】本発明の第3実施例による散布用ノズルを示す構成図
【
図6】本発明の第4実施例による散布用ノズルを示す構成図
【
図7】本発明の第5実施例による散布用ノズルを示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による散布用ノズルは、散布対象物を落下させる空洞を形成するノズル本体と、散布対象物を土壌表面に落下させる開口部と、開口部より下方に位置する阻止部材と
を備え、阻止部材の下端が土壌表面に押圧された場合に、阻止部材によって開口部に土が詰まることを阻止するものである。
本実施の形態によれば、阻止部材の下端が土壌表面に押圧された場合に、阻止部材によって開口部に土が詰まることを阻止することで、誤って畦に散布用ノズルを刺してしまっても、開口部に土が詰まることがなく、散布対象物を土壌表面に落下させることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による散布用ノズルにおいて、阻止部材の下端が土壌表面に押圧されると阻止部材が屈曲し、阻止部材が屈曲することで、阻止部材が開口部と土壌表面との間に位置するものである。
本実施の形態によれば、阻止部材が屈曲することで、阻止部材が開口部と土壌表面との間に位置するため、開口部に土が詰まることがない。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による散布用ノズルにおいて、阻止部材を平板材で構成し、阻止部材の下端が、空洞の仮想軸線に近接するように、阻止部材を傾斜させたものである。
本実施の形態によれば、阻止部材を確実に開口部側に屈曲させることができ、阻止部材を開口部と土壌表面との間に位置させることができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態による散布用ノズルにおいて、阻止部材として、第1阻止部材と第2阻止部材とを有し、第1阻止部材と第2阻止部材とを対向させて配置したものである。
本実施の形態によれば、第1阻止部材と第2阻止部材とを有することで、少なくともいずれかの阻止部材を開口部と土壌表面との間に位置させることができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態による散布用ノズルにおいて、阻止部材の下端には押圧面が形成され、押圧面によって土壌表面を押圧するものである。
本実施の形態によれば、押圧面によって土壌表面を押圧することで、開口部に土が詰まることを阻止することができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による散布用ノズルにおいて、開口部をノズル本体の側面に形成するものである。
本実施の形態によれば、開口部に土が詰まることを更に阻止することができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第5又は第6の実施の形態による散布用ノズルにおいて、開口部に、散布対象物の落下を誘導する誘導部材を設け、誘導部材の下面に落下口部を形成するものである。
本実施の形態によれば、散布対象物の落下を誘導しやすい。また、散布対象物の通過する空洞の幅を確保しやすく、散布対象物が詰まりにくい。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1の実施の形態による散布用ノズルにおいて、ノズル本体と阻止部材とを可撓性ホースで形成し、開口部が上方を向くようにノズル本体を斜め後方に傾けて設置して用いるものである。
本実施の形態によれば、阻止部材が屈曲することで、阻止部材が開口部と土壌表面との間に位置するため、開口部に土が詰まることがない。
【実施例0017】
以下本発明の実施例による散布用ノズルを、播種ノズルを用いて説明する。
図1は本発明による散布用ノズルを用いる播種機を示す写真である。
本実施例による散布用ノズル1は、ホッパ2に充填される種子がホース3で誘導され、ホース3の下端を保持するホース保持部4に取り付けて種子を土壌表面に落下させる。なお、本実施例では、散布対象物を種子として説明するが、種子以外に、肥料や農薬などを散布対象物とすることができる。
【0018】
図2は本発明の第1実施例による散布用ノズルを示す構成図であり、
図2(a)は土壌表面に接触しない状態での散布用ノズルの正面図、
図2(b)は
図2(a)の右側面図、
図2(c)は土壌表面に押圧された状態での散布用ノズルの正面図、
図2(d)は
図2(c)の右側面図である。
第1実施例による散布用ノズル1は、種子を落下させる空洞10を形成するノズル本体11と、種子を土壌表面Xに落下させる開口部20と、開口部20より下方に位置する阻止部材30とを備えている。開口部20はノズル本体11の下端、すなわち空洞10の下端に形成されている。
阻止部材30の下端31が土壌表面Xに押圧された場合には、
図2(c)及び
図2(d)に示すように、阻止部材30が屈曲して、阻止部材30が開口部20と土壌表面Xとの間に位置することで、阻止部材30によって開口部20に土が詰まることを阻止する。
このように、第1実施例による散布用ノズル1は、阻止部材30の下端31が土壌表面Xに押圧されると阻止部材30が屈曲し、阻止部材30が屈曲することで、阻止部材30が開口部20と土壌表面Xとの間に位置するため、開口部20に土が詰まることがない。
本実施例による阻止部材30は平板材で構成し、阻止部材30の下端31が、空洞10の仮想軸線Yに近接するように、阻止部材30を傾斜させている。
このように、阻止部材30を平板材とし、阻止部材30を傾斜させることで、阻止部材30を確実に開口部20側に屈曲させることができ、阻止部材30を開口部20と土壌表面Xとの間に位置させることができる。なお、阻止部材30は、蝶番や関節のような機構的な構造による屈曲よりも、樹脂等の可撓性部材で形成することで屈曲することが好ましい。また、阻止部材30だけでなく、散布用ノズル1全体を樹脂等の可撓性部材で形成することが好ましい。可撓性部材による屈曲では、泥や塵の付着による屈曲動作への影響が少なく、機構的な構造による屈曲よりも優れている。
【0019】
図3は本発明の第1実施例による散布用ノズルの実証試験を示す写真である。
図3(a)は本実施例による散布用ノズルを
図2(c)及び
図2(d)のように土壌表面に押圧した状態、
図3(b)は
図3(a)の状態の後に土壌表面から引き上げた状態、
図3(c)は比較例による散布用ノズルを
図2(c)及び
図2(d)のように土壌表面に押圧した状態、
図3(d)は
図3(c)の状態の後に土壌表面から引き上げた状態を示し、
図3(e)は比較例による散布用ノズルを示している。
図3(e)に示すように、比較例による散布用ノズルは、開口部20より下方に一対の延出部を形成しているが、押圧によって屈曲する阻止部材30を備えていない。
図3(d)に示すように、比較例による散布用ノズルでは土詰まりが生じたが、
図3(b)に示すように、本実施例による散布用ノズル1では、土詰まりを生じることがなかった。
【0020】
図4は本発明の第2実施例による散布用ノズルを示す構成図であり、
図4(a)は土壌表面に接触しない状態での散布用ノズルの正面図、
図4(b)は
図4(a)の右側面図、
図4(c)は土壌表面に押圧された状態での散布用ノズルの正面図、
図4(d)は
図4(c)の右側面図である。
第2実施例による散布用ノズル1は、種子を落下させる空洞10を形成するノズル本体11と、種子を土壌表面Xに落下させる開口部20と、開口部20より下方に位置する阻止部材30とを備え、阻止部材30として、第1阻止部材30aと第2阻止部材30bとを有している。開口部20はノズル本体11の下端、すなわち空洞10の下端に形成されている。
第1阻止部材30aと第2阻止部材30bとは、対向させて配置している。
阻止部材30の下端31が土壌表面Xに押圧された場合には、
図4(c)及び
図4(d)に示すように、阻止部材30が屈曲して、阻止部材30が開口部20と土壌表面Xとの間に位置することで、阻止部材30によって開口部20に土が詰まることを阻止する。
このように、第2実施例による散布用ノズル1は、阻止部材30の下端31が土壌表面Xに押圧されると阻止部材30が屈曲し、阻止部材30が屈曲することで、阻止部材30が開口部20と土壌表面Xとの間に位置するため、開口部20に土が詰まることがない。
本実施例による阻止部材30は平板材で構成し、阻止部材30の下端31が、空洞10の仮想軸線Yに近接するように、阻止部材30を傾斜させている。
このように、阻止部材30を平板材とし、阻止部材30を傾斜させることで、阻止部材30を確実に開口部20側に屈曲させることができ、阻止部材30を開口部20と土壌表面Xとの間に位置させることができる。
また、阻止部材30として、第1阻止部材30aと第2阻止部材30bとを有することで、少なくともいずれかの阻止部材30を開口部20と土壌表面Xとの間に位置させることができる。
【0021】
なお、第2実施例による散布用ノズル1についても、阻止部材30は、蝶番や関節のような機構的な構造による屈曲よりも、樹脂等の可撓性部材で形成することで屈曲することが好ましい。また、阻止部材30だけでなく、散布用ノズル1全体を樹脂等の可撓性部材で形成することが好ましい。可撓性部材による屈曲では、泥や塵の付着による屈曲動作への影響が少なく、機構的な構造による屈曲よりも優れている。
また、第2実施例による散布用ノズル1についても、可撓性ある阻止部材30を、下端を斜め後方に傾けて用いることで開口部20への土の詰まりを更に防止できる。
【0022】
図5は本発明の第3実施例による散布用ノズルを示す構成図であり、
図5(a)は土壌表面に接触しない状態での散布用ノズルの正面図、
図5(b)は
図5(a)の右側面図、
図5(c)は土壌表面に押圧された状態での散布用ノズルの正面図、
図5(d)は
図5(c)の右側面図である。
第3実施例による散布用ノズル1は、種子を落下させる空洞10を形成するノズル本体11と、種子を土壌表面Xに落下させる開口部20と、開口部20より下方に位置する阻止部材30とを備え、阻止部材30の下端31には押圧面32が形成されている。開口部20は空洞10の下端よりも低位置でノズル本体11の側面に形成され、空洞10の下端から開口部20までは傾斜面となっている。押圧面32は、少なくともノズル本体11のZ-Z断面以上の面積を有することが好ましい。ここで、ノズル本体11のZ-Z断面は、空洞10の仮想軸線Yに垂直な面である。
第3実施例による散布用ノズル1では、押圧面32によって土壌表面Xを押圧することで、開口部20に土が詰まることを阻止することができる。
また、開口部20をノズル本体11の側面に形成することで、開口部20に土が詰まることを更に阻止することができる。
【0023】
図6は本発明の第4実施例による散布用ノズルを示す構成図であり、
図6(a)は土壌表面に接触しない状態での散布用ノズルの正面図、
図6(b)は
図6(a)の右側面図、
図6(c)は土壌表面に押圧された状態での散布用ノズルの正面図、
図6(d)は
図6(c)の右側面図である。
第4実施例による散布用ノズル1は、種子を落下させる空洞10を形成するノズル本体11と、種子を土壌表面Xに落下させる開口部20と、開口部20より下方に位置する阻止部材30とを備え、阻止部材30の下端31には押圧面32が形成され、開口部20には種子の落下を誘導する誘導部材40を設けている。開口部20は空洞10の下端よりも低位置でノズル本体11の側面に形成され、空洞10の下端から開口部20までは傾斜面となっている。押圧面32は、少なくともノズル本体11のZ-Z断面以上の面積を有することが好ましい。ここで、ノズル本体11のZ-Z断面は、空洞10の仮想軸線Yに垂直な面である。誘導部材40の下面には落下口部41を形成している。
第4実施例による散布用ノズル1では、押圧面32によって土壌表面Xを押圧することで、開口部20に土が詰まることを阻止することができる。
また、開口部20をノズル本体11の側面に形成することで、開口部20に土が詰まることを更に阻止することができる。
また、開口部20には種子の落下を誘導する誘導部材40を設け、誘導部材40の下面に落下口部41を形成することで、種子の落下を誘導しやすい。また、種子の通過する空洞の幅を確保しやすく、種子が詰まりにくい。
【0024】
図7は本発明の第5の実施例による散布用ノズルを示す構成図であり、
図7(a)は土壌表面に接触しない状態での散布用ノズルの正面図、
図7(b)は
図7(a)の右側面図、
図7(c)は土壌表面に押圧された状態での散布用ノズルの正面図、
図7(d)は
図7(c)の右側面図である。
第5実施例による散布用ノズル1は、種子を落下させる空洞10を形成するノズル本体11と、種子を土壌表面Xに落下させる開口部20と、開口部20より下方に位置する阻止部材30とを備えている。開口部20はノズル本体11の下端、すなわち空洞10の下端に形成されている。また、開口部20は、空洞10の仮想軸線Yの垂直面に対して傾斜させて形成している。
本実施例による散布用ノズル1は、ノズル本体11と阻止部材30とが一体となった可撓性ホースで形成され、開口部20が上方を向くようにノズル本体11を斜め後方に傾けて設置して用いる。
従って、阻止部材30の下端31が土壌表面Xに押圧された場合には、
図7(c)及び
図7(d)に示すように、阻止部材30が屈曲して、阻止部材30が開口部20と土壌表面Xとの間に位置することで、阻止部材30によって開口部20に土が詰まることを阻止する。
このように、第5実施例による散布用ノズル1は、阻止部材30の下端31が土壌表面Xに押圧されると阻止部材30が屈曲し、阻止部材30が屈曲することで、阻止部材30が開口部20と土壌表面Xとの間に位置するため、開口部20に土が詰まることがない。
【0025】
なお、
図2から
図7に示した散布用ノズル1の正面図は、
図1に示す播種機に取り付けられた状態では、播種機の後方から見た図となる。