(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124425
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20230830BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G06F11/34 176
G06F11/30 140D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028171
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 達也
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042MA04
5B042MA06
5B042MA08
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】障害発生時のログの保存において、記憶装置の故障リスクの増加を防ぐこと。
【解決手段】データを記憶装置に保存する第1記憶部と、前記第1記憶部の記憶装置よりも耐性が高い記憶装置にデータを保存する第2記憶部と、前記第1記憶部に保存する画像データを読込んだことを通知する読込部と、前記通知を受信した後、ログの保存先を前記第1記憶部から前記第2記憶部に変更し、前記画像データの保存が完了した後、前記ログの保存先を前記第2記憶部から前記第1記憶部に変更する制御部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶装置に保存する第1記憶部と、
前記第1記憶部の記憶装置よりも耐性が高い記憶装置にデータを保存する第2記憶部と、
前記第1記憶部に保存する画像データを読込んだことを通知する読込部と、
前記通知を受信した後、ログの保存先を前記第1記憶部から前記第2記憶部に変更し、前記画像データの保存が完了又は中止した後、前記ログの保存先を前記第2記憶部から前記第1記憶部に変更する制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の電源を再起動する電源部を更に有し、
前記第2記憶部は、前記画像データを前記第1記憶部に送信する際に通信障害が発生した場合、前記通信障害に関する前記ログを保存し、
前記制御部は、前記通信障害に関する前記ログの保存が完了した後に、前記電源部に前記電源の再起動を要求する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2記憶部は、前記画像形成装置が有する機能により共通に利用される領域に前記ログを保存する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記再起動によって前記電源の供給が停止される場合に、前記第2記憶部の記憶装置に前記電源を供給するための電池を有する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の電子機器や情報処理装置において、発生した障害や不具合を解析する目的で、ハードディスク(HD)等の記憶装置に通信履歴や実行履歴等のログを保存する。特許文献1には、メイン制御部とサブ制御部が通信する装置において、障害によりメイン制御部でログの取得が不可となった場合、サブ制御部が一時的に不揮発メモリ(HD等)にログを保存し、復旧後にログをメイン制御部に送信する技術が公開されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、障害発生時に書込み耐性が低い不揮発メモリの記憶装置にログを保存するため、記憶装置の故障が発生するリスクが高くなる問題があった。また、故障が発生するリスクを下げるために、ログを保存する専用の記憶装置を用意すること、又は書込み耐性の高い不揮発メモリの記憶装置を用意することは、コストの増加が問題となる。
【0004】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑み、障害発生時のログの保存において、記憶装置の故障リスクの増加を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、データを記憶装置に保存する第1記憶部と、前記第1記憶部の記憶装置よりも耐性が高い記憶装置にデータを保存する第2記憶部と、前記第1記憶部に保存する画像データを読込んだことを通知する読込部と、前記通知を受信した後、ログの保存先を前記第1記憶部から前記第2記憶部に変更し、前記画像データの保存が完了した後、前記ログの保存先を前記第2記憶部から前記第1記憶部に変更する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、障害発生時のログの保存において、記憶装置の故障リスクの増加を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置における機能ブロックの構成図の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るログ保存場所変更処理に関するシーケンスの一例を示す図である。
【
図5】通信障害(制御部と不揮発メモリ間)時におけるログ保存処理に関するシーケンスの一例を示す図である。
【
図6】通信障害(制御部と揮発メモリ間)時におけるログ保存処理に関するシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
<概要>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図の一例を示す図である。
図1に示す画像形成装置9は、画像読込部、制御部、印刷部、電源部、不揮発メモリ、揮発メモリ、及び電池を有する。画像読込部は、画像形成装置9が受信したファックス等の画像データ、又は画像形成装置9が有するスキャン機能によりスキャンした画像データ等を読込んで、制御部に送信する。制御部は、画像読込部から受信した画像データをハードディスク等の不揮発メモリに保存する。また、制御部は、画像データを印刷する場合に、不揮発メモリに保存した画像データを印刷部に送信する。印刷部は、制御部から受信した画像データを印刷する。電源部は、装置内で発生した障害から復旧する場合などに、制御部から受信した再起動要求に応じて、画像形成装置9の電源をオフした後、再度オンにする。
【0010】
本発明の実施形態では、画像形成装置9は、通常、ログをハードディスク等の不揮発メモリに保存するが、画像データが不揮発メモリに送信されている間、制御部は、ログの保存先を不揮発メモリから揮発メモリに変更する。このように、ログと画像データを異なる保存先に保存することにより、画像データを不揮発メモリに送信する際に通信障害が発生した場合においても、ログを保存することが可能となる。ここで、一時的なログの保存先として使用するDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発メモリは、不揮発メモリに比べて、データの書込みに対する耐性が極めて高い特性がある。ここで、耐性とは、熱や振動に対する機能仕様上の耐性(耐久性)を意味する。従って、障害発生時においてもログの保存を可能とすることで、記憶装置への書込み回数が増加しても、故障リスクの増加を防ぐことができる。また、ログの保存のために用いる揮発メモリの領域として、例えば、ファックス、印刷、スキャン等の機能により共通に使用される領域を一時的に使用することにより、揮発メモリの追加又は容量の増加、及びそのために必要となるコストを避けることができる。ただし、揮発メモリは、記憶している情報を保持するために電源を供給し続ける必要があるため、本発明の実施形態では、障害発生時又は障害から復旧する際の電源の再起動時等において、専用の電池を用いて揮発メモリに電源を供給する。
【0011】
なお、
図1に示した画像形成装置9の構成は一例である。例えば、画像形成装置9は、有線又は無線のネットワークに接続されており、画像読込部はネットワーク経由で画像データを読込む構成であってもよい。また、画像形成装置9は、ファックス、印刷、スキャナ等の機能を全て有するものであってもよいし、少なくとも一つの機能を有するものであってもよい。
【0012】
<ハードウェア構成例(画像形成装置)>
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置9のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されているように、画像形成装置9(あるいは、MFP、Multifunction Peripheral/Product/Printerと呼ばれる)は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950、及び電源960を備えている。
【0013】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、ローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、HD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0014】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置9の全体を制御する。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0015】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDD908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0017】
近距離通信回路920は、ICカードなどに記憶された利用者の認証情報などを読込むためのカードリーダ920aを有する。
【0018】
操作パネル940は、利用者による入力を受け付けるタッチパネル940aとテンキー940bを有する。また、タッチパネル940aは、画像形成装置9が実行するアプリケーション画面などを表示する。
【0019】
電源960は、画像形成装置9の装置全体の電源を供給し、コントローラ910からの指示又は要求に応じて、電源のオン・オフ、再起動(オフ・オン)を実行する。また、電池961は、障害発生時などにおいて、電源960が再起動される場合、MEM-C907に保存されたログなどの情報を保持するためにMEM-C907に電力を供給する。
【0020】
<機能について>
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置9における機能ブロックの構成図の一例を示す図である。画像形成装置9は、読込部10、制御部11、及び電源部12を有する。これら各部は、画像形成装置9にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU901が実行することで実現される機能又は手段である。第1記憶部14と第2記憶部15は、それぞれ、例えば、画像形成装置9が有するHD504とローカルメモリ(MEM-C)907等の記憶装置によって実現可能である。
【0021】
読込部10は、ファックス機能又はスキャン機能等により取得した画像データを読込む。更に、読込部10は、読込んだ画像データをハードディスク等の不揮発メモリに保存する場合、画像データの送信を制御部11に通知する。
【0022】
制御部11は、画像データを不揮発メモリに送信して保存する間、ログの保存先を不揮発メモリから揮発メモリに変更する。また、制御部11は、必要に応じて、第1記憶部14及び第2記憶部15にログの保存を要求する。また、制御部11は、通信障害が発生した場合等に、障害から復旧するために、電源の再起動を電源部12に要求する。
【0023】
電源部12は、制御部11からの要求に応じて、電源の再起動(電源をオフした後、オンにする)を実行する。
【0024】
第1記憶部14は、制御部11からの要求に応じて、ログをハードディスク等の不揮発メモリに保存する。
【0025】
第2記憶部15は、制御部11からの要求に応じて、ログをDRAM等の揮発メモリに保存する。また、第2記憶部15は、障害から復旧する際の電源の再起動時等によって、電源部12からの電源供給が停止した際に、電池961による電源供給に切り替える。
【0026】
<ログ保存場所変更処理>
図4は、本発明の実施形態に係るログ保存場所変更処理に関するシーケンスの一例を示す図である。本シーケンスにおいて、画像形成装置9は、画像データを不揮発メモリに送信する間、ログの保存先を不揮発メモリから揮発メモリに変更する。以下、
図4の各ステップの処理について説明する。
【0027】
ステップS20:画像形成装置9の読込部10は、ファックス機能又はスキャン機能などにより取得した画像データを読込む。更に、読込部10は、読込んだ画像データをハードディスク等の不揮発メモリである第1記憶部14に保存する場合、画像データの送信を通知するメッセージを制御部11に送信する。ここで、画像データを第1記憶部14に保存する場合として、例えば、印刷時に画像データの読込速度が印刷速度よりも速い場合等において一時的に保存する場合と、長期的に保持する目的で保存する場合がある。また、読込部10は、画像データのサイズが予め定めた所定のサイズ以上である場合にメッセージを送信するようにしてもよいし、或いはメッセージに画像のサイズに関する情報を含めるようにしてもよい。
【0028】
ステップS21:画像形成装置9の制御部11は、第1記憶部14に保存する画像データの送信を通知するメッセージを読込部10から受信すると、ログの保存先を第1記憶部14から第2記憶部15に変更する。或いは、制御部11は、受信したメッセージに画像サイズに関する情報が含まれる場合、画像サイズの大きさが予め定めた所定の大きさよりも大きい場合に、ログの保存先を変更するようにしてもよい。
【0029】
ステップS22:画像形成装置9の制御部11は、ログの保存を要求するメッセージを第2記憶部15に送信する。メッセージには、保存するログの情報が含まれる。以降、制御部11は、ログの保存先を変更した場合、印刷、スキャン、ファックスなどの機能を実行した場合、障害が発生した場合等、予め定めたイベントが発生する毎に、予め定めた情報をログとして保存する要求メッセージを第2記憶部15に送信する。
【0030】
ステップS23:画像形成装置9の第2記憶部15は、受信したログを保存し、ログの保存を完了したことを通知するメッセージを制御部11に送信する。
【0031】
ステップS24:画像形成装置9の読込部10は、画像データを制御部11に送信する。送信する画像データは、画像毎に分割されたものであってもよいし、或いは複数のファイルで構成されていてもよい。
【0032】
ステップS25:画像形成装置9の制御部11は、画像データの保存を要求するメッセージを画像データともに第1記憶部14に送信する。
【0033】
ステップS26:画像形成装置9の第1記憶部14は、受信した画像データを保存し、画像データの保存を完了したことを通知するメッセージを制御部11に送信する。
【0034】
ステップS27:画像形成装置9の制御部11は、画像データを送信する間、一時的に揮発メモリに保存したログを通常の保存先である不揮発メモリに移動させるために、保存したログの送信を要求するメッセージを第2記憶部15に送信する。
【0035】
ステップS28:画像形成装置9の第2記憶部15は、保存したログを制御部11に送信する。
【0036】
ステップS29:画像形成装置9の制御部11は、第2記憶部15から受信したログの保存を要求するメッセージを第1記憶部14に送信する。メッセージには、第2記憶部15から受信したログが含まれる。第1記憶部14は、受信したメッセージに応じて、受信したログを保存する。
【0037】
ステップS30:画像形成装置9の制御部11は、保存したログの削除を要求するメッセージを第2記憶部15に送信する。第2記憶部15は、受信したメッセージに応じて、保存したログを削除する。
【0038】
ステップS31:画像形成装置9の制御部11は、ログの保存先を第2記憶部15から第1記憶部14に変更する。
【0039】
以上の処理により、画像形成装置9は、画像データを不揮発メモリに送信する間、ログの保存先を不揮発メモリから揮発メモリに変更することが可能である。
【0040】
<通信障害(制御部と不揮発メモリ間)時におけるログ保存処理>
図5は、通信障害(制御部と不揮発メモリ間)時におけるログ保存処理に関するシーケンスの一例を示す図である。本シーケンスにおいて、画像形成装置9は、画像データを不揮発メモリに送信する間に、制御部と不揮発メモリ間で通信障害が発生しても、ログの保存が可能であることを示す。以下、
図5の各ステップの処理について説明するが、
図4に示した処理と同じ処理を示すステップについては説明を省略する。
【0041】
ステップS20からステップS25は、
図4に示した処理と同じ処理を実行する。ここで、制御部11と第1記憶部14の間で通信障害が発生し、画像データを制御部11から第1記憶部14に送信して保存することができない状態となるが、ログの保存先はステップS21において第2記憶部15に変更されているため、ログの保存は可能である。
【0042】
ステップS40:画像形成装置9の制御部11は、通信障害や画像データの送信等に関するログの保存を要求するメッセージを第2記憶部15に送信する。
【0043】
ステップS41:画像形成装置9の第2記憶部15は、受信したログを保存し、ログの保存を完了したことを通知するメッセージを制御部11に送信する。
【0044】
ステップS42:画像形成装置9の制御部11は、通信障害を復旧するために、画像形成装置9の電源の再起動を要求するメッセージを電源部12に送信する。ここで、発生した通信障害は、電源の再起動によって復旧が可能なものであるとする。画像形成装置9の電源部12は、受信した要求メッセージに応じて、電源の再起動(電源をオフした後、オンにする)を実行する。これにより、画像形成装置9は通信障害から復旧する。また、第2記憶部15は、揮発メモリに記憶している情報を保持するために、電源部12からの電源供給が停止した際に、電池961からの電源供給に切り替える。
【0045】
通信障害が解消した後、
図4に示したステップS27からステップS31と同じ処理を実行することにより、第2記憶部15に保存したログを第1記憶部14に移動させて保存し、ログの保存先を第2記憶部15から第1記憶部14に変更する。
【0046】
以上の処理により、画像形成装置9は、画像データを不揮発メモリに送信する間に、制御部と不揮発メモリ間で通信障害が発生しても、画像データの送信前に、ログの保存先を画像データと異なる保存先に変更しているため、ログの保存が可能である。従って、通信障害の発生時に保存したログを障害の原因調査のために利用することが可能である。
【0047】
<通信障害(制御部と揮発メモリ間)時におけるログ保存処理>
図6は、通信障害(制御部と揮発メモリ間)時におけるログ保存処理に関するシーケンスの一例を示す図である。本シーケンスでは、画像データを不揮発メモリに送信する間に、制御部と揮発メモリ間で通信障害が発生した場合のログ保存処理について示す。以下、
図6の各ステップの処理について説明するが、
図4に示した処理と同じ処理については説明を省略する。
【0048】
ステップS20からステップS25は、
図4に示した処理と同じ処理を実行する。ここで、制御部11と第2記憶部15の間で通信障害が発生し、ログの保存ができない状態となるが、画像データを制御部11から第1記憶部14に送信して保存することは可能である。従って、画像形成装置9の制御部11は、ステップS26で、画像データ保存の完了通知メッセージを第1記憶部14から受信すると、障害から復旧するために、
図5に示したステップS42と同じ処理(電源の再起動要求)を実行する。
【0049】
通信障害が解消した後、
図4に示したステップS27からステップS31と同じ処理を実行することにより、第2記憶部15に保存したログを第1記憶部14に移動させて保存し、ログの保存先を第2記憶部15から第1記憶部14に変更する。また、第2記憶部15は、記憶している情報を保持するために、電源部12からの電源供給が停止した際に、電池961からの電源供給に切り替える。
【0050】
以上の処理が示すように、画像形成装置9は、画像データを不揮発メモリに送信する間に、制御部と揮発メモリ間で通信障害が発生すると、障害が発生している間は、ログの保存は不可能である。しかし、障害が発生している間以外(障害発生前後)においては、揮発メモリにログの保存が可能であり、保存したログを障害の原因調査のために利用することが可能である。また、画像データを不揮発メモリに送信する間は、制御部11と揮発メモリ間の通信よりも、制御部11と不揮発メモリ間の通信で障害が発生する可能性が高いと考えられる。従って、画像データを不揮発メモリに送信する間は、ログの保存場所を不揮発メモリから揮発メモリに変更することにより、通信障害により損失するログの保存機会は減少する、即ち、ログを保存する頻度は増加すると考えられる。
【0051】
<主な効果>
本発明の実施形態によれば、画像データを不揮発メモリに送信する間、ログの保存先を不揮発メモリから書込み耐性の高い揮発メモリに変更することにより、障害発生時のログの保存において、記憶装置の故障リスクの増加を防ぐことが可能である。ここで、画像データを不揮発メモリに送信する間は、画像データの送信開始から画像データの保存が完了又は中止するまでの間であってもよい。また、ログの保存のために用いる揮発メモリの領域として、例えば、ファックス、印刷、スキャン等の機能により共通に使用される領域を一時的に使用することにより、揮発メモリの追加又は容量の増加、及びそのために必要となるコストは不要となる。
【0052】
以上、本発明を実施するための幾つかの形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0053】
例えば、
図3の機能ブロックの構成図の一例は、画像形成装置9による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。画像形成装置9における処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0054】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0055】
また、記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、画像形成装置9は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【符号の説明】
【0056】
9 画像形成装置
10 読込部
11 制御部
12 電源部
14 第1記憶部
15 第2記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】