(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124468
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】細胞分離装置および細胞分離方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230830BHJP
C12M 1/12 20060101ALI20230830BHJP
C12N 1/02 20060101ALI20230830BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M1/12
C12N1/02
C12M1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028240
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】都倉 知浩
(72)【発明者】
【氏名】松田 博行
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA09
4B029BB01
4B029CC13
4B029DG08
4B029HA06
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065BC41
4B065BD14
(57)【要約】
【課題】細胞とマイクロキャリアーとの分離を効率的に行うことが可能な細胞分離装置および細胞分離方法を提供する。
【解決手段】細胞とマイクロキャリアーとを含む懸濁液を処理して、細胞とマイクロキャリアーとを分離する細胞分離装置10であって、濾材によりマイクロキャリアーを細胞から分離する分離デバイス11と、分離デバイス11に懸濁液を供給する供給経路12と、分離デバイス11によりマイクロキャリアーが除去された後の細胞を含む懸濁液を回収する回収経路13と、懸濁液の圧力を検知する圧力センサー15と、圧力センサー15で検知した圧力の変化に応じて供給経路12を通じた懸濁液の供給を制御する制御部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞とマイクロキャリアーとを含む懸濁液を処理して、前記細胞と前記マイクロキャリアーとを分離する細胞分離装置であって、
濾材により前記マイクロキャリアーを前記細胞から分離する分離デバイスと、
前記分離デバイスに前記懸濁液を供給する供給経路と、
前記分離デバイスにより前記マイクロキャリアーが除去された後の前記細胞を含む懸濁液を回収する回収経路と、
前記懸濁液の圧力を検知する圧力センサーと、
前記圧力センサーで検知した圧力の変化に応じて前記供給経路を通じた前記懸濁液の供給を制御する制御部と、を備えることを特徴とする細胞分離装置。
【請求項2】
前記圧力センサーは、前記供給経路に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項3】
前記分離デバイスにおいて、前記懸濁液が前記濾材に対して上向きに流れることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞分離装置。
【請求項4】
前記回収経路は、前記回収経路から前記分離デバイスに逆洗浄液を供給する経路を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞分離装置。
【請求項5】
前記供給経路は、前記分離デバイスの逆洗浄を実施した後の前記逆洗浄液を回収する経路を備えることを特徴とする請求項4に記載の細胞分離装置。
【請求項6】
前記供給経路と前記回収経路との間で、前記分離デバイスが並列に複数設置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞分離装置。
【請求項7】
細胞とマイクロキャリアーとを含む懸濁液を処理して、前記細胞と前記マイクロキャリアーとを分離する細胞分離方法であって、
濾材により前記マイクロキャリアーを前記細胞から分離する分離デバイスと、
前記分離デバイスに前記懸濁液を供給する供給経路と、
前記分離デバイスにより前記マイクロキャリアーが除去された後の前記細胞を含む懸濁液を回収する回収経路と、
前記懸濁液の圧力を検知する圧力センサーと、を用いて、
前記圧力センサーで検知した圧力の変化に応じて前記供給経路を通じた前記懸濁液の供給を制御することを特徴とする細胞分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞分離装置および細胞分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞などの大量培養は、医薬品、食品、化粧品や、これらの原材料などとして有用な各種物質の生産に広く用いられている。例えば、多細胞生物に由来する全能性幹細胞等、付着依存性(足場依存性)を有する細胞を培養する場合は、他の細胞または細胞外基質の代わりとなる足場の確保が必要になることがある。
【0003】
培養容器等の培養面に細胞を付着させる接着培養方式では、培養面積の制約から、細胞の収量が低い問題がある。培養液中に細胞を浮遊させる浮遊培養方式では、培養液の体積に応じて収量を増加させることが可能になる。しかし、培養液中での細胞の過剰な凝集を抑制するには、細胞死を起こさない程度の撹拌により培養液に剪断力を加える等の複雑な制御が必要になる。
【0004】
接着培養方式と浮遊培養方式の利点を兼ね備えた培養方式として、培養液中で浮遊することが可能な足場材(マイクロキャリアー)を用いたマイクロキャリアー培養方式が提案されている。この方式では、細胞が足場材に付着した状態で、培養液に浮遊させることができる。このため、付着依存性を有する細胞の培養制御が容易になる。
【0005】
しかし、マイクロキャリアー培養方式では、マイクロキャリアーが混在した状態となるため、培養細胞の利用に支障となる場合がある。このため、細胞を培養した後には、マイクロキャリアーから細胞を剥離する工程と、細胞を含む懸濁液からマイクロキャリアーを除去する工程とが必要になる。例えば、特許文献1、2には、多孔質メッシュまたは網状構造によって区画された容器を備える細胞分離装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2018-537993号公報
【特許文献2】国際公開第2020/054755号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多孔質メッシュ、網状構造等の濾材を用いた細胞分離装置を用いて細胞を含む培養液を濾過すると、マイクロキャリアーと細胞とを分離することができる。しかし、例えば濾材に多量のマイクロキャリアーが付着したときに、細胞が濾材を通過しにくくなり、細胞の回収が停滞するおそれがある。さらに、濾材の目詰まりにより濾過中の培養液の圧力が高まると、細胞がダメージを受けるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、細胞とマイクロキャリアーとの分離を効率的に行うことが可能な細胞分離装置および細胞分離方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、細胞とマイクロキャリアーとを含む懸濁液を処理して、前記細胞と前記マイクロキャリアーとを分離する細胞分離装置であって、濾材により前記マイクロキャリアーを前記細胞から分離する分離デバイスと、前記分離デバイスに前記懸濁液を供給する供給経路と、前記分離デバイスにより前記マイクロキャリアーが除去された後の前記細胞を含む懸濁液を回収する回収経路と、前記懸濁液の圧力を検知する圧力センサーと、前記圧力センサーで検知した圧力の変化に応じて前記供給経路を通じた前記懸濁液の供給を制御する制御部と、を備えることを特徴とする細胞分離装置を提供する。
【0010】
前記圧力センサーは、前記供給経路に配置されていてもよい。
前記分離デバイスにおいて、前記懸濁液が前記濾材に対して上向きに流れてもよい。
前記回収経路は、前記回収経路から前記分離デバイスに逆洗浄液を供給する経路を備えてもよい。
前記供給経路は、前記分離デバイスの逆洗浄を実施した後の前記逆洗浄液を回収する経路を備えてもよい。
前記供給経路と前記回収経路との間で、前記分離デバイスが並列に複数設置されていてもよい。
【0011】
また、本発明は、細胞とマイクロキャリアーとを含む懸濁液を処理して、前記細胞と前記マイクロキャリアーとを分離する細胞分離方法であって、濾材により前記マイクロキャリアーを前記細胞から分離する分離デバイスと、前記分離デバイスに前記懸濁液を供給する供給経路と、前記分離デバイスにより前記マイクロキャリアーが除去された後の前記細胞を含む懸濁液を回収する回収経路と、前記懸濁液の圧力を検知する圧力センサーと、を用いて、前記圧力センサーで検知した圧力の変化に応じて前記供給経路を通じた前記懸濁液の供給を制御することを特徴とする細胞分離方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圧力の変化に応じて懸濁液の供給を制御することにより、細胞とマイクロキャリアーとの分離を効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の細胞分離装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0015】
例えばマイクロキャリアーを用いて細胞を培養して得られる培養液は、細胞がマイクロキャリアーに付着した状態で浮遊している。蛋白質分解酵素や非酵素性剥離剤等の細胞剥離剤を培養液に添加することにより、マイクロキャリアーに対する細胞の接着が解離されて、細胞を液中に浮遊させることができる。これにより得られた懸濁液は、細胞とマイクロキャリアーとを含む。実施形態の細胞分離装置は、細胞剥離処理後の懸濁液を処理して、細胞とマイクロキャリアーとを分離することができる。
【0016】
以下の説明では、分離デバイス11で処理される前の、細胞とマイクロキャリアーとを含む懸濁液を「分離前懸濁液」という場合がある。また、分離デバイス11によりマイクロキャリアーが除去された後の細胞を含む懸濁液を「分離後懸濁液」という場合がある。単に「懸濁液」というときは、分離前懸濁液、分離後懸濁液、および分離デバイス11内で処理中の懸濁液を包含する場合がある。
【0017】
図1に、実施形態の細胞分離装置10の一例を示す。細胞分離装置10は、濾材を用いてマイクロキャリアーを細胞から分離する分離デバイス11と、分離デバイス11に分離前懸濁液を供給する供給経路12と、分離デバイス11によりマイクロキャリアーが除去された後の分離後懸濁液を回収する回収経路13と、を概略として備えている。
【0018】
供給経路12および回収経路13における懸濁液の送液方法は特に限定されないが、例えば、供給経路12側にポンプ14を設置し、供給経路12側から分離前懸濁液を加圧することが好ましい。分離前懸濁液を加圧することにより、懸濁液の流量を増加して、処理時間を短くすることができる。他の送液方法としては、懸濁液の自重による流下、回収経路13側からの吸引等が挙げられる。
【0019】
分離デバイス11は、懸濁液中のマイクロキャリアーを細胞と分離するため、濾材を含む。濾材は、マイクロキャリアーの通過を阻止すると共に、細胞を通過させることが可能である。マイクロキャリアーが濾材に捕捉されても構わないが、マイクロキャリアーが濾材から離れた状態で回収可能であることが好ましい。
【0020】
分離デバイス11は、供給経路12に接続された入口11aと、回収経路13に接続された出口11bとを有する。供給経路12と回収経路13との間で、分離デバイス11が並列に複数設置されていてもよい。
【0021】
入口11aから出口11bへの流れの向きは、特に限定されないが、上向きでもよく、下向きでもよく、横向きでもよく、斜め上向きでもよく、斜め下向きでもよい。分離デバイス11の内部で、流れの向きが一様であってもよい。分離デバイス11の内部で、流れの向きが例えば折れ線状、螺旋状、クランク状、放射状等に変化してもよい。
【0022】
分離デバイス11中の流れが下向き、横向き、斜め下向きである場合は、懸濁液中の細胞および液体が流れる方向に沿って重力が作用するので、細胞を流すのに必要な運動エネルギーを抑制することができる。しかし、濾材に阻止されたマイクロキャリアーが濾材に捕捉されやすい。
【0023】
分離デバイス11中の流れが上向きまたは斜め上向きの場合は、流れを維持するために懸濁液に運動エネルギーを付与する必要がある。しかし、懸濁液中の細胞および液体が流れる方向に抗して重力が作用するので、濾材に捕捉されたマイクロキャリアーが濾材から離れて、分離デバイス11の入口11a側に沈降しやすくなる。これにより、マイクロキャリアーの目詰まりを抑制することができる。
【0024】
マイクロキャリアーが濾材から離れやすくするためには、分離デバイス11において、懸濁液の流れの向きが濾材に対して上向きであればよい。例えば、懸濁液が濾材に流入する面が下向きまたは斜め下向きとなるように、濾材が配置されていてもよい。分離デバイス11における流れの向きが、入口11a側から一旦は下向きに誘導された後、濾材に向けて上向きに誘導されてもよい。さらに、濾材を通過するときに上向きとされた流れが、出口11bに向けて下向きに誘導されてもよい。
【0025】
分離デバイス11中の流れが上向き等の場合であっても、濾材に捕捉されたマイクロキャリアーの量が多くなる等により、細胞を含む液が濾材を通過しにくくなる場合がある。また、何らかの原因で流れが停滞することにより、供給経路12から分離デバイス11に供給される懸濁液の流量に比べて、濾材を通過する液の流量が低下すると、供給経路12内の圧力が増加する場合がある。
【0026】
供給経路12内の圧力が増加すると、供給経路12を通じて供給されている懸濁液中の細胞が損傷するおそれがある。あるいは、分離デバイス11内においても、濾材より供給経路12側の空間で圧力が増加し、供給経路12内と同様の現象が起こるおそれがある。あるいは、濾材に目詰まりを起こしたマイクロキャリアーにより濾材の通路が狭くなると、細胞が狭い通路を通過する際に、損傷を受けるおそれがある。あるいは、細胞が濾材の狭くなった通路を通過できない状況で、圧力を受けることにより、損傷を受けるおそれがある。
【0027】
細胞が圧力の変化等により損傷を受けると、損傷の程度により、細胞の機能が低下したり、細胞死を引き起こしたりするおそれがある。細胞の種類によっては、力学的ストレスに弱く、細胞が耐久可能な圧力が比較的低い場合がある。細胞が損傷して生じた結果は、しばしば回復できない場合があるため、細胞に損傷を与える要因は、事前に除去することが望まれる。
【0028】
<圧力センサー>
実施形態の細胞分離装置10は、懸濁液の圧力を検知する圧力センサー15を備えている。図示例の細胞分離装置10では、供給経路12に配置した圧力センサー15を第1圧力センサーP1とし、回収経路13に配置した圧力センサー15を第2圧力センサーP2としている。特に図示しないが、分離デバイス11の濾材より入口11a側または濾材より出口11b側に、圧力センサー15を配置してもよい。
【0029】
例えば、第1圧力センサーP1では、濾材に捕捉されたマイクロキャリアーの量が増加するにしたがって、供給経路12の圧力が上昇する状況を観測することができる。細胞の損傷を抑制する観点で、供給経路12の圧力に関して、許容される上限値等の閾値を設定することが好ましい。例えば、濾材が目詰まりを起こす前で、供給経路12の圧力が通常の圧力よりも高く、細胞の損傷が顕著になる圧力よりも低い圧力を閾値としてもよい。
【0030】
第2圧力センサーP2では、供給経路12側と同様に回収経路13側の圧力が上昇する場合には、回収経路13の圧力に関して、許容される上限値を閾値として設定してもよい。例えば、濾材が目詰まりを起こす前で、回収経路13の圧力が通常の圧力よりも高く、細胞の損傷が顕著になる圧力よりも低い圧力を閾値としてもよい。濾材の圧力損失等により、回収経路13側の圧力が低下する場合には、回収経路13の圧力に関して、許容される下限値を閾値として設定してもよい。
【0031】
圧力センサー15の方式は特に限定されないが、ダイヤフラム式、静電容量式、拡散式、抵抗線式、ピエゾ抵抗式等が挙げられる。細胞やマイクロキャリアーを含む懸濁液の圧力を測定するため、圧力センサー15は、圧力検出部の滅菌、洗浄または交換が可能であることが好ましい。細胞やマイクロキャリアー等の浮遊物が圧力センサー15の内部に侵入しにくいように、圧力検出部に対して流入口および流出口を設けて、懸濁液の流体部分のみを圧力センサー15に導入してもよい。
【0032】
<制御部>
実施形態の細胞分離装置10は、圧力の変化に応じた懸濁液の供給を制御するため、制御部16を有する。制御部16は、第1圧力センサーP1または第2圧力センサーP2から選択される少なくとも一方の圧力センサー15で検知した圧力の変化に応じて、供給経路12を通じた分離前懸濁液の供給を制御する。
【0033】
制御部16は、圧力センサー15等のセンサーから受信した情報に基づいて、機器を制御するため、コントローラー等の処理装置を備えてもよい。制御部16は、記憶装置、入力装置、出力装置、処理用プログラム等を備えてもよい。制御部16を用いることにより、自動制御が可能になる。圧力センサー15を用いた懸濁液の供給制御は、手動の操作で行うことも可能である。制御信号の送受信方式は特に限定されないが、無線でも有線でもよい。
【0034】
圧力の変化に応じて、分離前懸濁液の供給を制御する方法は、圧力の変化に応じた方法であれば特に限定されないが、懸濁液の供給を停止する方法、懸濁液の流量を削減する方法、懸濁液の流速を低下させる方法などが挙げられる。細胞への影響を抑制する観点からは、徐々に懸濁液の流量を削減しながら、状況に応じて、懸濁液の供給を停止させてもよい。適切でない圧力の変化が継続する場合は、細胞分離装置10を点検させるため、作業員等に警報を発する等の通知機能を設けてもよい。
【0035】
懸濁液の供給量を低下させている間に、マイクロキャリアーが濾材から外れる等して、圧力が正常な方向に近づく傾向を示すことも考えられる。このような場合は、懸濁液の供給を停止しないまま、懸濁液の流量を、細胞分離処理における通常の供給量まで増加させてもよい。
【0036】
分離デバイス11中の細胞の流れが上向きまたは斜め上向きの場合は、マイクロキャリアーを沈降させることにより、濾材の機能を回復させることができる。そこで、懸濁液の供給を停止または抑制した後、分離デバイス11の下部等から過剰なマイクロキャリアーを排出してもよい。
【0037】
懸濁液の流量の削減および供給の停止は、例えばポンプ14の動作を制御してもよく、供給経路12に設けられたバルブV1を制御してもよい。このバルブV1は、分離前懸濁液を貯留した懸濁液容器21から供給経路12への流路を制御するバルブである。バルブV1は、分離前懸濁液の流れを開状態と閉状態の2通りから選択する機能を有してもよく、分離前懸濁液の流量を段階的または連続的に変更する機能を有してもよい。
【0038】
第2圧力センサーP2を省略して、第1圧力センサーP1で検知した圧力の変化に応じて、懸濁液の供給を制御してもよい。第1圧力センサーP1を省略して、第2圧力センサーP2で検知した圧力の変化に応じて、懸濁液の供給を制御してもよい。第1圧力センサーP1および第2圧力センサーP2で検知した圧力の変化に応じて、懸濁液の供給を制御してもよい。
【0039】
<洗浄機能>
供給経路12は、懸濁液容器21から分離前懸濁液を供給する経路とは別に、洗浄液を供給する洗浄液経路23を有してもよい。
【0040】
洗浄液としては、特に限定されないが、細胞を分散させる分散媒として適当な溶液を用いることが好ましい。適宜の緩衝液(バッファー)を洗浄液として用いることができる。液体培地等の成分を洗浄液に含有させてもよい。洗浄液は、細胞を含有しない液であることが好ましく、細胞およびマイクロキャリアーを含有しないことがより好ましいが、マイクロキャリアーを含む洗浄液を使用することも可能である。
【0041】
図示例の洗浄液経路23は、洗浄液を貯留した洗浄液容器22から供給経路12へと合流している。洗浄液経路23には、洗浄液の流れを制御するバルブV2が配置されることが好ましい。バルブV2は、洗浄液の流れを開状態と閉状態の2通りから選択する機能を有してもよく、洗浄液の流量を段階的または連続的に変更する機能を有してもよい。
【0042】
懸濁液容器21から分離前懸濁液を分離デバイス11に供給する間には、バルブV2を閉状態に設定する等して、洗浄液経路23を供給経路12から分離することが好ましい。洗浄液を分離デバイス11に供給する間には、バルブV2を開状態にすると共に、懸濁液容器21に通ずるバルブV1を閉状態に設定することが好ましい。
【0043】
洗浄液は、供給経路12に分離前懸濁液を供給して分離デバイス11で処理した後で、供給経路12に供給されることが好ましい。これにより、分離デバイス11、供給経路12、回収経路13等の途中に残留した細胞があれば、細胞を洗浄液で洗い流し、懸濁液と同様に処理して回収することができる。
【0044】
供給経路12に細胞およびマイクロキャリアーが残留しているときは、洗浄液により、細胞と共にマイクロキャリアーも洗い流される。このとき、洗浄液は、細胞とマイクロキャリアーとを含む懸濁液となる。分離前懸濁液と同様にして、細胞およびマイクロキャリアーを含む洗浄液を分離デバイス11に通すことにより、分離後懸濁液と同様にして、マイクロキャリアーを分離し、細胞を含む洗浄液を回収することができる。
【0045】
特に図示しないが、懸濁液容器21から供給経路12に分離前懸濁液を供給して分離デバイス11で処理した後に、懸濁液容器21を取り外し、洗浄液容器22に入れ替えることも可能である。この場合は、供給経路12が洗浄液容器22に接続された箇所から、洗浄液経路23を兼ねることができる。
【0046】
供給経路12の途中に洗浄液経路23を接続する代わりに、分離デバイス11に直接、洗浄液経路23を接続することも可能である。この場合は、供給経路12中の残留物を洗浄することはできないが、分離デバイス11中の残留物を洗浄することは可能である。また、シリンジ等の器具を用いて、供給経路12または分離デバイス11に洗浄液を供給することも可能である。
【0047】
<細胞回収>
図示例の細胞分離装置10では、回収経路13は、分離後懸濁液を貯留する細胞回収容器31を備える。細胞回収容器31には、回収された細胞の生存や保存に資する物質を貯留または供給してもよい。
【0048】
回収経路13には、分離デバイス11と細胞回収容器31との間の所望の位置に、バルブV3を配置してもよい。このバルブV3は、回収経路13から細胞回収容器31への流路を制御するバルブである。バルブV3は、分離後懸濁液の流れを開状態と閉状態の2通りから選択する機能を有してもよく、分離後懸濁液の流量を段階的または連続的に変更する機能を有してもよい。
【0049】
分離前懸濁液または洗浄液を分離デバイス11に供給する間には、バルブV3は開状態に設定される。細胞分離処理が終了した後は、バルブV3を閉状態に設定することが好ましい。また、例えば分離デバイス11または供給経路12の異常時において、細胞回収容器31に回収されている細胞への影響を回避するため、一時的にバルブV3を閉状態にしてもよい。
【0050】
<逆洗浄機能>
回収経路13は、回収経路13から分離デバイス11に逆洗浄液を供給する逆洗浄液供給経路33を備えてもよい。
【0051】
逆洗浄液としては、特に限定されないが、逆洗浄液が細胞に触れたり、逆洗浄操作後に逆洗浄液が分離デバイス11等に残留したりする場合を考慮して、適当な液体を用いることが好ましい。例えば、適宜の緩衝液(バッファー)を逆洗浄液として用いることができる。液体培地等の成分を逆洗浄液に含有させてもよい。
【0052】
逆洗浄液は、マイクロキャリアーを含有しないことが好ましく、細胞およびマイクロキャリアーを含有しないことがより好ましい。逆洗浄液が洗浄液と同一の組成を有してもよく、異なる組成でもよい。逆洗浄液が洗浄液と同種の成分を含有してもよく、異なる成分を含有してもよい。
【0053】
図示例の逆洗浄液供給経路33は、逆洗浄液を貯留した逆洗浄液供給容器32から回収経路13へと合流している。逆洗浄液供給経路33には、逆洗浄液の流れを制御するバルブV4が配置されることが好ましい。バルブV4は、逆洗浄液の流れを開状態と閉状態の2通りから選択する機能を有してもよく、逆洗浄液の流量を段階的または連続的に変更する機能を有してもよい。
【0054】
分離前懸濁液または洗浄液を分離デバイス11に供給する間には、バルブV4を閉状態に設定する等して、逆洗浄液供給経路33を回収経路13から分離することが好ましい。逆洗浄を行うときは、バルブV4を開状態にすると共に、細胞回収容器31に通ずるバルブV3を閉状態に設定することが好ましい。
【0055】
逆洗浄液を用いた逆洗浄では、分離デバイス11の出口11b側から逆洗浄液が濾材に供給される。細胞分離処理における分離前懸濁液とは逆方向に逆洗浄液を流すことにより、濾材に付着したマイクロキャリアーや細胞等を濾材から遊離させることができる。
【0056】
閉鎖された雰囲気で細胞分離処理を実施する場合は、分離デバイス11に供給された逆洗浄液を、適宜の容器に誘導して回収することが好ましい。例えば供給経路12は、分離デバイス11の逆洗浄を実施した後の逆洗浄液を回収する逆洗浄液回収経路25を備えることが好ましい。
【0057】
図示例の細胞分離装置10では、供給経路12から分岐する逆洗浄液回収経路25を通じて、逆洗浄液回収容器24が設けられている。分離デバイス11の入口11a側から供給経路12に逆流させた逆洗浄液は、出口11b側から逆洗浄液回収容器24に回収される。
【0058】
バルブV1,V2を閉状態にしてから逆洗浄液を逆洗浄液回収容器24で回収することにより、懸濁液容器21または洗浄液容器22に対する逆洗浄の影響を回避することができる。また、逆洗浄液回収容器24に回収された細胞の状態が良好であれば、再び細胞分離処理に供することにより、細胞の収量に貢献させることができる。
【0059】
逆洗浄液回収経路25には、逆洗浄液の流れを制御するバルブV5が配置されることが好ましい。バルブV5は、逆洗浄液の流れを開状態と閉状態の2通りから選択する機能を有してもよく、逆洗浄液の流量を段階的または連続的に変更する機能を有してもよい。
【0060】
分離前懸濁液または洗浄液を分離デバイス11に供給する間には、バルブV5を閉状態に設定する等して、逆洗浄液回収経路25を供給経路12から分離することが好ましい。逆洗浄を行うときは、バルブV5を開状態にすると共に、バルブV1,V2を閉状態に設定する。
【0061】
特に図示しないが、回収経路13の途中に逆洗浄液供給経路33を接続する代わりに、分離デバイス11に直接、逆洗浄液供給経路33を接続することも可能である。分離デバイス11の濾材よりも出口11b側から逆洗浄液を供給することにより、濾材の逆洗浄を実施することができる。また、シリンジ等の器具を用いて、回収経路13または分離デバイス11に逆洗浄液を供給することも可能である。
【0062】
また、供給経路12の途中に逆洗浄液回収経路25を接続する代わりに、分離デバイス11に直接、逆洗浄液回収経路25を接続することも可能である。分離デバイス11の濾材よりも入口11a側から逆洗浄液を排出することにより、濾材を逆洗浄した後の逆洗浄液を回収することができる。
【0063】
<気泡検出機能>
供給経路12は、懸濁液の気泡を検出する気泡検出センサー17を備えてもよい。分離前懸濁液中に気泡が含まれている場合は、気泡が濾材等で滞留することにより、濾材における懸濁液の流れを停滞させるおそれがある。気泡検出センサー17が気泡を検出した場合は、圧力センサー15で検知した圧力の変化にかかわらず、供給経路12を通じた分離前懸濁液の供給を制御することが好ましい。
【0064】
気泡検出センサー17の気泡検出方式は特に限定されないが、光学式、超音波式などの非接触式が好ましい。チューブ等で形成される流路の外側から、検査光または超音波を照射し、流路内を気泡が通過するときと液体が通過するときとの差を検出することで、気泡の有無を検知することができる。
【0065】
気泡の検出に応じて、分離前懸濁液の供給を制御する方法は、特に限定されないが、懸濁液の供給を停止する方法、懸濁液の流量を削減する方法、懸濁液の流速を低下させる方法などが挙げられる。細胞への影響を抑制する観点からは、徐々に懸濁液の流量を削減しながら、状況に応じて、懸濁液の供給を停止させてもよい。気泡の検出が継続する場合は、細胞分離装置10を点検させるため、作業員等に警報を発する等の通知機能を設けてもよい。
【0066】
気泡検出センサー17は、供給経路12に洗浄液経路23が合流する位置よりも懸濁液容器21に近い側に設置してもよく、供給経路12に洗浄液経路23が合流する位置よりも分離デバイス11に近い側に設置してもよく、洗浄液経路23に設置してもよい。分離デバイス11の入口11aに近い箇所に気泡検出センサー17を設置すると、供給経路12の途中で気泡が発生しても、分離デバイス11に流入する前に気泡を検知することができる。
【0067】
<細胞分離処理の詳細>
分離デバイス11の詳細は特に限定されないが、濾材として、シート状のメッシュ、チューブ状のメッシュ、袋状のメッシュ、線材を編んで網の目状としたメッシュ等が挙げられる。フィルム、シート、チューブ等に多数の貫通孔を形成して、メッシュ状としてもよい。
【0068】
濾材の材質は特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ステンレス等の金属などが挙げられる。フレキシブルな濾材を用いてもよく、剛直な濾材を用いてもよい。少なくとも細胞分離処理中は、分離デバイス11に濾材を収容する容器に対して、濾材が固定されていることが好ましい。分離デバイス11は、濾材の交換が可能であることが好ましい。
【0069】
分離デバイス11の入口11aと出口11bとが同一の直線上にあってもよく、入口11aの中心軸と出口11bの中心軸が平行にずれていてもよく、入口11aと出口11bが異なる方向であってもよい。入口11aが2つ以上に分かれていてもよく、また、出口11bが2つ以上に分かれていてもよい。分離デバイス11の入口11a付近の形状は、入口11aから断面積が広がるテーパー状であってもよい。分離デバイス11の出口11b付近の形状は、出口11bに向けて断面積が狭くなるテーパー状であってもよい。
【0070】
マイクロキャリアーとしては、特に限定されないが、培養液中で浮遊が可能であることが好ましい。マイクロキャリアーが無撹拌で培養液に浮遊可能でもよく、撹拌速度に応じて浮遊可能な運動エネルギーを得てもよい。培養液の撹拌方式は特に限定されないが、振とう培養でもよい。マイクロキャリアーの比重が、培養液の比重より小さくてもよく、培養液の比重より大きくてもよい。マイクロキャリアーが多孔質、カプセル、中空糸等であってもよい。
【0071】
マイクロキャリアーは、ナノファイバー等の繊維状足場材でもよく、マイクロビーズ等の粒子状足場材でもよい。繊維状足場材は、短径に対する長径の比率(アスペクト比)が、例えば2以上でもよく、2~500程度でもよく、10~300程度でもよい。粒子状足場材は、アスペクト比が例えば2以下でもよく、1~1.5程度でもよい。マイクロキャリアーの粒子径は特に限定されないが、例えば0.1μm~10mm程度で適宜選択してもよい。
【0072】
マイクロキャリアーの材質は特に限定されないが、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、アガロース、アルギン酸塩等の多糖類;コラーゲン、ゼラチン等の蛋白質;ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン等の合成ポリマー;ガラス、シリカ、アルミナ等の無機物などが挙げられる。
【0073】
マイクロキャリアーの表面は、細胞の種類、培養条件等に応じて、被覆材を用いてコーティングしてもよい。被覆材としては、コラーゲン、ゼラチン、ケラチン等のタンパク質が挙げられる。ポリマーからなるマイクロキャリアーの場合は、表面のポリマーの化学処理により、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、ホルミル基等の官能基を付与してもよい。マイクロキャリアーに磁性体を含めて、磁気的にマイクロキャリアーの浮遊状態を制御可能にしてもよい。
【0074】
細胞剥離剤としては、特に限定されないが、トリプシン、プロテアーゼ、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、ヌクレアーゼ等の酵素;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)等のキレート化合物などが挙げられる。細胞剥離剤が1種の物質から構成されてもよく、2種以上の物質から構成されてもよい。細胞剥離処理は、培養容器内で実施してもよく、培養容器から細胞およびマイクロキャリアーを取り出した後に実施してもよい。
【0075】
細胞分離装置10に用いられる各容器の構成は特に限定されず、硬質のボトル、タンク等でもよく、フレキシブルなバッグ、パウチ等であってもよい。ここで容器としては、分離デバイス11で濾材を収容する容器、懸濁液容器21、洗浄液容器22、逆洗浄液回収容器24、細胞回収容器31、逆洗浄液供給容器32が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
容器の形状は特に限定されないが、円柱状、円錐状、角柱状、角錐状、扁平状、球状等が挙げられる。容器の材質としては、特に限定されないが、樹脂、ゴム、エラストマー、金属、ガラス等が挙げられる。容器がフレキシブルな場合は、容器の周囲を硬質の外装容器で支持してもよい。
【0077】
フレキシブル容器の材質は特に限定されないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ナイロン等のポリアミドなどが挙げられる。外装容器の材質としては、特に限定されないが、樹脂、ゴム、エラストマー、金属、ガラス等が挙げられる。
【0078】
それぞれの容器には、注入口、注出口、給気管、排気管、センサー類、温度調節装置等を設けてもよい。容器の容量は特に限定されないが、試験的な小スケールから、生産用の大スケールまで、所望のスケールに対応することが可能である。
【0079】
細胞分離装置10に用いられる各流路の構成は特に限定されず、フレキシブルなチューブ、ホース等でもよく、硬質のパイプ等でもよい。各流路の材質としては、樹脂、ゴム、エラストマー、金属等が挙げられる。流路には、フィルター、フローモニター、流量計、温度調節装置等の適宜の機器を設けてもよい。ここで流路としては、例えば、供給経路12、回収経路13、洗浄液経路23、逆洗浄液回収経路25、逆洗浄液供給経路33が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
容器と流路との間を接続する箇所、あるいは、流路の途中で直列または並列にチューブ等の流路を接続する箇所などでは、ポート、コネクタ等の接続器具を用いてもよい。無菌接続が可能な無菌接続ポート、無菌コネクタ等を用いることが好ましい。
【0081】
流路に設けるバルブの構成は特に限定されないが、操作性、信頼性、利便性、処理量等の観点から適宜選択することができる。フレキシブルなチューブ、ホース等の流路に対しては、流路を外側から圧縮して閉鎖するピンチバルブを用いてもよい。ここでバルブとしては、上述のバルブV1,V2,V3、V4,V5が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
流路に設けるポンプの構成は特に限定されないが、操作性、信頼性、利便性、処理量等の観点から適宜選択することができる。フレキシブルなチューブ、ホース等の流路に対しては、流路を外側から圧縮する動作により、内容液に動力を付与するチューブポンプを用いてもよい。
【0083】
培養される細胞等の培養物としては、特に限定されないが、菌類、細菌類、ウイルス、酵母、藻類、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞などが挙げられる。培養細胞が、CHO細胞、HeLa細胞、COS細胞等の細胞株でもよく、胚性幹細胞(ES細胞)、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)、間葉系幹細胞、神経幹細胞等の幹細胞でもよく、分化させた組織細胞などであってもよい。
【0084】
細胞の培養方式としては、回分培養、流加培養、灌流培養などが挙げられる。マイクロキャリアーを用いた浮遊培養は、細胞およびマイクロキャリアーを培養容器に接着させない条件で、細胞をマイクロキャリアーに接着させた条件で培養される。浮遊培養に用いられる培地は、液体培地であることが好ましい。培地には、塩類、糖分、多糖類など適宜の成分を添加することができる。
【0085】
実施形態の細胞分離装置10を用いてマイクロキャリアーから分離される細胞は、当該マイクロキャリアーを用いて培養された細胞であることが好ましい。培養中とは異なるマイクロキャリアーが混在した懸濁液から細胞を分離する目的、またはマイクロキャリアー以外の浮遊物が混在した懸濁液から細胞を分離する目的でも、細胞分離装置10を使用することができる。
【0086】
細胞分離処理の対象となる細胞は、多細胞生物の細胞でもよく、単細胞生物の細胞でもよい。マイクロキャリアーから遊離させた細胞が、1個ずつ遊離されていてもよく、複数個の細胞を含む集団を形成していてもよい。
【0087】
細胞分離処理に使用される容器、流路等は、必要に応じて滅菌処理が施される。滅菌方法としては、特に限定されないが、例えば、γ線、電子線、X線等の照射による放射線滅菌法、エチレンオキサイドや過酸化水素等を用いたガス滅菌法、熱水浸漬滅菌法、熱水シャワー滅菌法、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)法等が挙げられる。
【0088】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【符号の説明】
【0089】
V1,V2,V3,V4,V5…バルブ、10…細胞分離装置、11…分離デバイス、11a…入口、11b…出口、12…供給経路、13…回収経路、14…ポンプ、15…圧力センサー、16…制御部、17…気泡検出センサー、21…懸濁液容器、22…洗浄液容器、23…洗浄液経路、24…逆洗浄液回収容器、25…逆洗浄液回収経路、31…細胞回収容器、32…逆洗浄液供給容器、33…逆洗浄液供給経路。