(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124538
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/38 20060101AFI20230830BHJP
B65H 31/36 20060101ALI20230830BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20230830BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B65H31/38
B65H31/36
B65H7/02
G03G15/00 431
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028352
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 正暁
(72)【発明者】
【氏名】南 和正
(72)【発明者】
【氏名】三尾 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】入江 昭吉
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 三樹彦
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F054
【Fターム(参考)】
2H072AA24
2H072FB08
2H072HB07
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA22
3F048BA30
3F048BB02
3F048BD07
3F048CA10
3F048CB12
3F048DC12
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BB01
3F054BE03
3F054BG11
3F054BH03
3F054BH14
3F054CA02
3F054CA23
3F054CA31
3F054DA01
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】ジョガーの過送り量やジョギング回数を最適化することができるシート処理装置。
【解決手段】シートを排出する排出ローラと、前記排出ローラから排出された前記シートを積載するスティプルトレイと、前記シートの搬送方向の端部を突き当てる基準フェンスと、排出された前記シートを、積載されたシートの積載面に向けて落としながらスイッチバックし、前記シートを前記基準フェンスまで搬送する戻し搬送ローラと、前記スティプルトレイに、前記シートの幅方向の両側に設置され、前記シートを両側から挟み込んでシートの幅方向の位置を揃えるジョガーと、前記基準フェンス近傍であって、積載された前記シートの角を撮影する撮像装置と、を有することを特徴とするシート処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出する排出ローラと、
前記排出ローラから排出された前記シートを積載するスティプルトレイと、
前記シートの搬送方向の端部を突き当てる基準フェンスと、
排出された前記シートを、積載されたシートの積載面に向けて落としながらスイッチバックし、前記シートを前記基準フェンスまで搬送する戻し搬送ローラと、
前記スティプルトレイに、前記シートの幅方向の両側に設置され、前記シートを両側から挟み込んでシートの幅方向の位置を揃えるジョガーと、
前記基準フェンス近傍であって、積載された前記シートの角を撮影する撮像装置と、
を有するシート処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート処理装置であって、
前記撮像装置が撮影した画像を用いて前記スティプルトレイに排出される前記シートと、既に積載されたシートとのずれを計測することを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート処理装置であって、
前記画像から計測された前記シートの幅方向のずれ量に応じて、前記ジョガーの過送り量を変動させることを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のシート処理装置であって、
前記画像から計測された前記シートの幅方向のずれ量に応じて、前記ジョガーのジョギング回数を変動させることを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載のシート処理装置であって、
前記撮像装置が撮影した画像を用いて、前記シートの搬送方向の端部から前記基準フェンスまでの距離を計測し、
当該距離に基づいて前記戻し搬送ローラの当接時間を変動させることを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載のシート処理装置と、
前記シート上に画像を形成する画像形成装置と、を有する画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシート処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置に接続された後処理装置において、シート束の端部又は中央部に綴じ処理を施す綴じ装置を設置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような綴じ処理においては、対象となる用紙束(シート束)の端部の位置を揃えるために、基準位置から幅方向に用紙を過送りすることで幅方向の端部位置を揃えるジョガーと呼ばれる構成や搬送方向端部を合わせるフェンス等を用いて、用紙の端部を揃える構成が広く知られている(例えば特許文献1~3等参照)。
また、こうした用紙揃え機構の一部として、搬送されてきた用紙のサイズを画像形成装置本体から入手したり、搬送経路内で測定されたカール量を取得したりすることで、用紙サイズに応じたジョガーの過送り量を制御する構成が知られている。
しかしながら、こうした構成では、実際に綴じ処理が行われるスティプルトレイ上においてどのような積載状態であるかまでは考慮されておらず、積載の状態によっては適切な過送り量が得られないという問題が生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、シートの処理を行う際のスティプルトレイ上におけるシートの積載状態を撮像装置によって画像認識するとともに、シートのずれ量を当該画像を用いて計測することにより、ジョガーの過送り量やジョギング回数を最適化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のシート処理装置は、シートを排出する排出ローラと、前記排出ローラから排出された前記シートを積載するスティプルトレイと、前記シートの搬送方向の端部を突き当てる基準フェンスと、排出された前記シートを、積載されたシートの積載面に向けて落としながらスイッチバックし、前記シートを前記基準フェンスまで搬送する戻し搬送ローラと、前記スティプルトレイに、前記シートの幅方向の両側に設置され、前記シートを両側から挟み込んでシートの幅方向の位置を揃えるジョガーと、前記基準フェンス近傍であって、積載された前記シートの角を撮影する撮像装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、ジョガーの過送り量やジョギング回数を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】シート処理装置を備えた画像形成システムの一例を示す構成図である。
【
図2】シート処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】シート処理装置のスティプルトレイの構成の一例を示す図である。
【
図6】ジョガーを用いた幅方向の揃え動作の制御例を示す図である。
【
図7】スティプルトレイにおける基準フェンスの構成の一例を示す図である。
【
図8】基準フェンスを用いた戻し搬送ローラの搬送方向の揃え動作の一例を示す図である。
【
図9】端部撮影カメラによる用紙端部の計測の一例を示す図である。
【
図10】端部撮影カメラによる用紙端部の計測の他の一例を示す図である。
【
図11】端部撮影カメラを1台としたときの構成の一例を示す図である。
【
図13】従来の揃え部材を用いたときの揃え動作を行う一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて順次説明する。実施形態において、同一機能や同一構成を有するものには同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。図面は一部構成の理解を助けるために部分的に省略あるいは簡素化して記載する場合もある。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成システムを示している。この画像形成システム1は、複写機能、プリント機能、ファクシミリ機能等を備えた複合機2と、複合機2において画像形成された記録媒体に対してスティプル処理等を行うためのシート処理装置として機能する後処理装置3を有している。これらの構成のうち、複合機2は単体で画像形成装置としても動作し、また複合機2と後処理装置3とを有する構成でも画像形成装置5が構成される。
【0010】
複合機2は、被記録媒体である転写シートに画像形成を行う周知の構成である画像形成部2Aと、画像形成される転写シートを収容してこの転写シートを画像形成部2Aに給送する給紙部2Bとを備えている。複合機2において画像形成がなされた転写シートは、排紙トレイを兼用する中継装置2C上に排出される。中継装置2C上に排出された転写シートは、後処理装置3に対して給送可能に構成されている。従って、画像形成装置5によれば複合機2によって画像形成が行われた複数の転写シートを、スタックして綴じ処理を行うまでの一連の処理を自動的に行うことができる。
【0011】
図2に後処理装置3の基本構成を示す。
図2に示されている後処理装置3は、複合機2の側部に備え付けられており、上部側の仕分け部3Aと、下部側のスティプル部3Bと、これら各部の動作を制御する制御部3Cから構成されている。
仕分け部は、中継装置2Cから搬送されてきた転写シートPを受け入れる第1搬送路104と、第1搬送路104の上流側に設けられた入り口ローラ対101とを有している。さらに入り口ローラ対101の左方には、搬送ローラ対102と、分岐爪301と、が配置され、第1搬送路104の終端部の分岐部に位置する分岐爪301が図中上下に回動することにより、転写シートPを上方の排出ローラ対302、303のある第2搬送路305へと搬送するか、左方のスティプル排紙ローラ対103のある第3搬送路106へと搬送するかを仕分けられるようになっている。
仕分け部には、複合機2から送られた転写シートPがフィニッシャー等の綴じ処理工程を行われない場合に、この転写シートPを送り出す排出ローラ対302、303と、排出ローラ対302、303によって排紙された転写シートを載置するための第1排紙トレイ304と、が設けられている。
【0012】
スティプル部には、綴じ処理を行うために転写シートPを一時積載するスティプルトレイ201と、スティプルトレイ201に複数枚積載された転写シートPを綴じるためのスティプラ210と、スティプル排紙ローラ対103によって排出された転写シートPをスティプルトレイ201に向かって叩いて落下させるとともに搬送方向を逆転して基準フェンス214側へと転写シートPの後端部を突き当てる戻し搬送ローラ209と、転写シートPの搬送方向端部を揃えるために転写シートP上をスリップしながら過送りする戻しコロ212と、転写シートPの幅方向を揃えるために幅方向両側から転写シートPを挟み込むように揃える揃え部材たるジョガー211と、が備えられている。
スティプル部はまた、スティプルトレイ201の端部に設けられた第2排出ローラ対208と、第2排出ローラ対208によって排出された綴じ処理済のシート束を積載する第2排紙トレイ105と、を有している。
スティプルトレイ201の基準フェンス214側には、
図3に示すように、基準フェンス214において位置を揃えられた転写シートPの端部の画像を取得するための撮像装置である第1端部カメラ401と、第2端部カメラ402と、を有している。
第1端部カメラ401と、第2端部カメラ402とは、本実施形態では、
図3に示すように互いに転写シートPの異なる端部を撮影可能なように、スティプルトレイ201の載置面に対向するように、第1端部カメラ401が設けられ、またスティプルトレイ201の延長線上に第2端部カメラ402が設けられている。
【0013】
図3には、スティプルトレイ201の具体的な構成例を示している。
戻し搬送ローラ209を支持する支持アーム209aは、矢印A方向へと回動可能に支持されており、スティプル排紙ローラ対103によってスティプルトレイ201上に排出されてきた転写シートPを、スティプルトレイ201に叩き落すとともに、支持アーム209aの先端に取り付けられた戻し搬送ローラ209によって搬送方向を逆転すなわちスティプルトレイ201の下方にある基準フェンス214に向けて搬送可能である。
戻しコロ212は、基準フェンス214に向けて転写シートPを過送りすることで、転写シートPを基準フェンス214に突き当てて基準フェンス214に転写シートPの端部を揃える回転ローラである。なお、戻しコロ214の表面の摩擦抵抗は適度に滑りやすい設計値に設定されており、転写シートPが基準フェンス214に突き当てられると、戻しコロ214は転写シートP上をスリップすることで、転写シートPの過送りを行う際に折り曲がってしまうことを防いでいる。
ジョガー211は、転写シートPの幅方向の両端側に、スティプルトレイ201から立ち上がるように設けられた一対のフェンスであり、用紙幅方向に可動するように設けられている揃え部材である。
ジョガー211は、後述するように制御部3Cからの過送り量の指示に従って、幅方向の移動距離が制御される。
【0014】
さて、後処理装置3を用いて、複数枚の転写シートP1~P5を重ねて綴じ合わせる処理について説明する。
まず、転写シートP1が複合機2から排出されると、入り口ローラ対101が受け取って第1搬送路104へと搬送する。切替爪301は、スティプル排紙ローラ対103へと向かう第3搬送路106側へ切り替えられて、転写シートP1がスティプル排紙ローラ対103からスティプルトレイ201へと搬送される(
図6のステップS101)。
【0015】
スティプルトレイ201に積載された転写シートP1は、戻し搬送ローラ209によってスティプルトレイ201上を基準フェンス214方向へと搬送され、基準フェンス214に突き当てられる(ステップS102)。
次いで、転写シートP2が同様にステップS101~S102を経て重ねられると、転写シートP1と転写シートP2とは、搬送方向端部は基準フェンス214に突き当てられており、基準フェンス214の位置で揃えられているが、幅方向については、搬送時にずれが生じていることが多い。
このような「ずれ」を、ジョガー211が左右に移動することによってジョガー211の位置で転写シートPの幅方向端部が押され、位置が整えられる。
【0016】
さて、かかる幅方向の移動量については、用紙のサイズや、搬送経路内で生じた用紙のカール量によって異なることが知られている。そこで従来の揃え部材500においては、こうした揃え部材500の幅方向の移動量について、用紙のサイズやカール量によって予め定められた過送り量X’だけ用紙の幅方向に移動させる方法が知られていた。
しかしながら、
図13に比較例として示すように、実際の用紙のずれΔXに対して、設定された過送り量X’が小さすぎた場合には、十分に幅方向の用紙のずれが補正されないという問題がある。
また逆に、用紙のずれΔXに対して過送り量X’が大きすぎた場合には、揃え部材500によって用紙が撓み、揃え部材500が所定の位置へ戻る際にかかる撓みから解放されて逆に用紙のずれΔXが大きくばらけてしまうような現象が起きてしまうことが知られていた。
【0017】
そこで、本実施形態では、スティプルトレイ201上に載置された転写シートP2について、第1端部カメラ401と、第2端部カメラ402と、を用いて画像を取得する(ステップS103)。制御部3Cは、
図4に模式図として示すように、かかる画像から転写シートP1と転写シートP2との間の実際のずれ量ΔXを測定(ステップS104)する。
なお、本実施形態のステップS104においては、制御部3Cは、まず基準となるような、中央に正しく載置された基準画像から、ずれ量ΔXを大/中/小の3パターンのいずれかに分類する(ステップS105)。
制御部3Cは、かかる3パターンそれぞれについて、予め定められたジョガー211の動作設定に基づいて、転写シートP2の揃え動作を
図5の(a)~(f)に示すように繰り返しジョガー211を往復動作させることで行う。具体的には、例えばずれ量ΔXが大と判断された場合には、過送り量Xをずれ量:大に合わせて5mmとした上で、X方向に往復動作するジョギング回数を3回に設定する(ステップS108)と、ジョガー211が過送り量Xだけ往復動作し、転写シートP1,P2を幅方向の両側から幅方向端部を突き当てるようにして押圧する(
図5(c)、(d)参照)。かかる動作によって、ジョガー211の壁面の位置に揃う形で転写シートP1と転写シートP2との位置が揃う方向に移動し、所定の回数繰り返すことで、最終的に
図5(e)、(f)に示すように転写シートP1、P2が揃えられた状態となる。
あるいは、ずれ量ΔXが小と判断された場合には、過送り量Xをずれ量:小に合わせて0mmとして、ジョギング回数を1回に設定する(ステップS106)。
【0018】
これらステップS106~ステップS108で決定されたずれ量と、ジョガー動作量設定に従い、基準フェンス214は
図5で述べたように動作して、揃え動作を行う(ステップS109)。
【0019】
このように、第1端部カメラ401と第2端部カメラ402とを用いて、スティプルトレイ201上に載置された転写シートP1、P2に生じている実際のずれ量ΔXを算出し、制御部3Cがかかるずれ量ΔXに基づいてジョガー211の揃え処理動作の動作量を決定することによって、後処理装置3は、スティプルトレイ201上に載置された転写シートP1、P2を適切に位置揃えすることが可能となる。
【0020】
また、本実施形態では、第1端部カメラ401はスティプルトレイ201の載置面に対して対向するように、第2端部カメラ402は載置面の延長線上に、それぞれ設けられており、また転写シートP1、P2の角部分を撮影可能なように配置されている。
かかる構成によれば、
図4に示したように、転写シートP1と転写シートP2との間のずれ量を直接測定可能であり、より実際のずれ量に即した揃え処理動作の動作量に設定することができる。
【0021】
同様に、搬送方向端部についても、戻し搬送ローラ209によって基準フェンス214に突き当てられるときの戻し搬送ローラ209の転写シートP2への当接時間を変えることによって、揃え処理動作の動作量を変化させることが可能である。
搬送方向端部の揃え処理動作について、S201~S204の動作については、幅方向のときの動作ステップS101~S105と同様の部分は、説明を適宜省略する。
【0022】
転写シートP1がスティプルトレイ201上に載置された後、転写シートP2が搬送されてきた場合を考える。
このとき、
図4で既に示したように、第1端部カメラ401によって、転写シートP1の搬送方向端部も撮影されているため、
図7のように戻し搬送ローラ209を回動させるときに、基準フェンス214と新たに搬送されてきた転写シートP2の搬送方向端部との間で生じている空隙であるずれ量ΔYが撮影した画像から取得可能である。
【0023】
制御部3Cは、かかるずれ量ΔYの数値に基づいて、戻し搬送ローラ209を回動させるとともに、支持アーム209aの位置を制御し、戻し搬送ローラ209が転写シートP2に当接する時間を調整することで、転写シートP2と、転写シートP1との間で生じる搬送方向の位置のずれを補正することが可能である。
このような当接時間の変化により、戻し搬送ローラ209が転写シートP2に当接する時間が短すぎる場合には、転写シートP2が十分に搬送されず、
図7(a)に示すように基準フェンス214に突き当たらなかったり、あるいは、当接時間が過剰となる場合には、基準フェンス214に突き当てられた後も戻し搬送ローラ209による搬送の力が加わり転写シートP2が座屈してしまい、反動で揃えが乱れてしまう虞がある。
【0024】
そこで、本実施形態では、第1端部カメラ401がスティプルトレイ201の載置面に対向するように配置されており、また転写シートP1、P2の角部分を撮影可能な程度の近傍に配置されている。
かかる構成により、
図7に示したように、第1端部カメラ401によって撮影された画像から、制御部3Cが戻し搬送ローラ209の当接時間を決定することができる(ステップS205)。
具体的には、例えば基準フェンス214に当接したことを検知したときには(
図7(b))、
図7(c)に示すように、制御部3Cが戻し搬送ローラ209を転写シートP2から離間するように制御する。あるいは、例えば第1端部カメラ401によって撮影された画像において、転写シートP2が基準フェンス214に未到達な場合には、当接時間を延長することで、より正確に搬送されてきた転写シートP1、P2の搬送方向端部の位置を揃えることができる。
【0025】
具体的には、例えば転写シートP2が基準フェンス214に到達した場合には戻し搬送ローラ209の設定を過送り量:なしに設定し(ステップS206)、揃え処理動作を完了する。
あるいは、転写シートP2が基準フェンス214に未到達であり、かつ基準フェンス214までの距離ΔYが十分に短い場合には、戻し搬送ローラ209の設定を過送り量:小として(ステップS207)、戻し搬送ローラ209をさらに動作させて揃え処理動作を完了する。
あるいは、転写シートP2が基準フェンス214に未到達であり、かつ基準フェンス214までの距離が長い場合には、戻し搬送ローラ209の設定を過送り量:大として(ステップS208)、戻し搬送ローラ209を動作させて(ステップS209)揃え処理動作を完了する。
このように、制御部3Cは、転写シートPの搬送方向端部から、基準フェンス214までの距離に応じて、戻し搬送ローラ209の当接時間を変化させる。かかる戻し搬送ローラ209の当接時間とは、すなわち戻し搬送ローラ209の「過送り量」に相当する。
【0026】
以上のようなステップS101~S109、ステップS201~S209の動作を搬送されてきた転写シートP1~P5について繰り返し行うことで、最終的にスティプルトレイ201上には端部の位置が揃えられた一揃いのシート束が載置される。なお、かかる揃え動作を行う際には、搬送方向、幅方向、どちらかを先に行っても良いし、同時に行っても構わない。
スティプラ210は、かかる揃えられたシート束について綴じ処理を行う。かかる綴じ処理については、所謂ステープラーのように金属の針をシート束に貫通させるものでもよいし、あるいは紙面の綴じ処理部分を波型の歯で挟持することによって、紙面を構成する繊維を解して絡み合わせることで圧着するような構成のものであっても良い。
【0027】
本実施形態では、転写シートPを排出するスティプル排紙ローラ対103と、スティプル排紙ローラ対103から排出された前記シートを積載するスティプルトレイ201と、転写シートPの搬送方向の端部を突き当てる基準フェンス214と、排出された転写シートPを、積載されたシートの積載面に向けて落としながらスイッチバックし、転写シートPを基準フェンス214まで搬送する戻し搬送ローラ209と、転写シートPの搬送方向端部を基準フェンス214へと当接させる戻しコロ212と、スティプルトレイ201に、転写シートPの幅方向の両側に設置され、転写シートPを両側から挟み込んで幅方向の位置を揃えるジョガー211と、基準フェンス214の近傍であって、積載された転写シートPの角を撮影する第1端部カメラ401、第2端部カメラ402と、を有している。
かかる構成により、スティプルトレイ201上に積載された転写シートPの端部において生じるずれを、第1端部カメラ401及び/または第2端部カメラ402を用いて確認できるので、シートのずれを揃えるジョガー211及び戻し搬送ローラ209の揃え処理動作を適切に行うことができて、ジョガーの過送り量やジョギング回数を最適化することができる。
【0028】
本実施形態では、制御部3Cは第1端部カメラ401または第2端部カメラ402が撮影した画像を用いて、スティプルトレイ201に排出される転写シートPと、既に積載されたシートとのずれを計測する。かかる構成により、シートのずれを揃えるジョガー211による揃え処理動作を適切に行うことができて、ジョガーの過送り量やジョギング回数を最適化することができる。
【0029】
本実施形態では、画像から計測されたシートの幅方向のずれ量に応じて、ジョガー211の過送り量Xを変動させる。
かかる構成により、シートのずれを揃えるジョガー211の揃え処理動作を適切に行うことができて、ジョガーの過送り量を最適化することができる。
また本実施形態では、画像から計測されたシートの幅方向のずれ量に応じて、ジョガー211のジョギング回数を変動させる。
かかる構成により、シートのずれを揃えるジョガー211の揃え処理動作を適切に行うことができて、ジョガーのジョギング回数を最適化することができる。
【0030】
また本実施形態では、制御部3Cは第1端部カメラ401または第2端部カメラ402が撮影した画像を用いて、転写シートPの搬送方向の端部から基準フェンス214までの距離を計測し、当該距離に基づいて戻し搬送ローラ209の当接時間を変動させる。かかる構成により、シートのずれを揃える戻し搬送ローラ209の揃え処理動作を適切に行うことができる。
【0031】
また、本発明の他の実施形態として、第1端部カメラ401と第2端部カメラ402の配置例について説明する。
図9は、転写シートPの載置面の上面側からスティプルトレイ201を見たときの第1端部カメラの配置例である。
本実施形態では、第1端部カメラ401a、401bの2つが、転写シートPの幅方向両側の端部の近傍にそれぞれ1つずつ取り付けられている。
なお、ここでいう「幅方向両側の端部の近傍」とは、一点鎖線の円で示したような載置された転写シートPの角が視野角内に入る程度近傍であれば良い。
かかる構成とすることによれば、
図10に示すように+X方向側に転写シートPのずれが生じた際に、+X側に配置された第1端部カメラ401からでは測定しづらいずれ量を‐X方向側に配置された第1端部カメラ401bによって正しく検知することができるので、正確な計測が可能となる。
また、
図11には、転写シートPの載置面の斜め上方から、一方の角を撮影可能なような第3端部カメラ403を設けた例について示す。
このように、第1端部カメラ401、第2端部カメラ402に代えて、第3端部カメラ403のような配置とすることによれば、積載された転写シートPの斜め上から、
図12に示すように転写シートPの角部を立体的に撮影して、幅方向と搬送方向、両方についてのずれ量を1台の撮像装置で取得することが可能である。
【0032】
また、上述のそれぞれの実施形態では、ジョガー211のジョギング回数や、戻し搬送ローラ209の当接時間を、ずれ量ΔXの大、中、小の3パターンに分けて設定されることとしたが、制御部3Cは、測定されたずれ量をパラメータとして予め定められた所定の値だけ上述のジョガー211のジョギング回数や戻し搬送ローラ209の当接時間を変更しても良い。
【0033】
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
1…画像形成システム
3…シート処理装置(後処理装置)
5…画像形成装置
201…スティプルトレイ
209…戻し搬送ローラ
211…ジョガー(揃え部材)
214…基準フェンス
401、402、403…撮像装置
P…転写シート(シート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特許第2960770号公報
【特許文献2】特開平06-219630号公報
【特許文献3】特開2002-370864号公報